JP2007250079A - 光ディスクおよび光ディスクの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】支持基体表面に情報記録面を有し、この情報記録面上に光透過層を有し、この光透過層を通して記録または再生用のレーザー光が照射される光情報媒体を製造するに際し、製造工程および製造装置の複雑化を最小限に抑えた上で、光透過層の外周側の厚さむらを小さくすること。
【解決手段】中心孔を有するディスク状の支持基体上に、情報記録面を有し、この情報記録面上に、樹脂を含有する光透過層を有し、この光透過層を通して記録または再生のためのレーザー光が入射するように使用される光情報媒体であって、ディスク状の支持基体の情報記録面の外周端部に複数の凹部が形成されていることを特徴とする光ディスク。
【選択図】図1

Description

本発明は、再生専用光ディスク、光記録ディスク等の光ディスクと、その製造する方法に関する。
近年、再生専用光ディスクや光記録ディスク等の光記録媒体では、動画情報等の膨大な情報を記録ないし保存するため、記録密度向上による媒体の高容量化が求められ、これに応えるために、高記録密度化のための研究開発が盛んに行なわれてきた。以降に述べる特許文献8の特開2001−351275号公報は該研究開発の主なる1方向を良く表現しているので、該特開2001−351275号公報記載の内容を借用してそのような研究開発の方向と問題点を説明する。
つまり、研究開発の中のひとつとして、例えばDVD(Digital Versatile Disk)にみられるように、記録・再生波長を短くし、かつ、記録・再生光学系の対物レンズの開口数(NA)を大きくして、記録・再生時のレーザービームスポット径を小さくすることが提案されている。DVDをCDと比較すると、記録・再生波長を780nmから650nmに変更し、NAを0.45から0.6に変更することにより、6〜8倍の記録容量(4.7GB/面)を達成している。
しかし、このように高NA化すると、チルトマージンが小さくなってしまう。チルトマージンは、光学系に対する光記録媒体の傾きの許容度であり、NAによって決定される。記録・再生波長をλ、記録・再生光が入射する透明基体の厚さをdとすると、チルトマージンは、
λ/(d・NA
に比例する。
また、光記録媒体がレーザービームに対して傾くと、すなわちチルトが発生すると、波面収差(コマ収差)が発生する。基体の屈折率をn、傾き角をθとすると、波面収差係数は、
(1/2)・d・{n・sinθ・cosθ}・NA/(n−sinθ)−5/2
で表わされる。
これら各式から、チルトマージンを大きくし、かつコマ収差の発生を抑えるためには、基体の厚さdを小さくすればよいことがわかる。実際、DVDでは、基体の厚さをCD基体の厚さ(1.2mm程度)の約半分(0.6mm程度)とすることにより、チルトマージンを確保している。
ところで、より高品位の動画像を長時間記録するために、基体をさらに薄くできる構造が提案されている。この構造は、通常の厚さの基体を剛性維持のための支持基体として用い、その表面にピットや記録層を形成し、その上に薄型の基体として厚さ0.1mm程度の光透過層を設け、この光透過層を通して記録・再生光を入射させるものである。この構造では、従来に比べ基体を著しく薄くできるため、高NA化による高記録密度達成が可能である。このような構造をもつ媒体は、例えば特許文献1(特開平10−320859号公報)および特許文献2(特開平11−120613号公報)に記載されている。厚さ0.1mm程度の光透過層を設けることにより、開口数NAの大きい、例えばNAが0.85程度の対物レンズが使用可能となる。
厚さ0.1mm程度の光透過層の形成方法としては、例えばスピンコート法が挙げられる。スピンコート法を用いる場合、回転テーブルに固定したディスク基板の表面に樹脂を供給し、ディスク基板を回転させて、遠心力により樹脂を展延する。ディスク基板には、駆動装置に装填する際に利用する中心孔が形成されているため、樹脂を回転中心(ディスク基板の中央)に供給することはできず、回転中心から等距離に環状に供給することになる。しかし、樹脂供給位置が回転中心から離れるほど、光透過層の径方向での厚さむらが大きくなってしまう。
光透過層の径方向での厚さむらを低減するために幾つかの提案がなされている(特許文献3:特開平10−320850号公報、特許文献4:特開平10−249264号公報、特許文献5:特開平10−289489号公報、特許文献6:特開平11−195250号公報、特許文献7:特開平11−195251号公報、特許文献8:特開2001−351275号公報)。
しかし、これらの提案は中心側の厚さむらを低減するもので、記録・再生ピックアップの稼動領域から見て必要とされる外周側の厚さむらの低減にはなっていない。
特開平10−320859号公報 特開平11−120613号公報 特開平10−320850号公報 特開平10−249264号公報 特開平10−289489号公報 特開平11−195250号公報 特開平11−195251号公報 特開2001−351275号公報
本発明の目的は、支持基体表面に情報記録面を有し、この情報記録面上に光透過層を有し、この光透過層を通して記録または再生用のレーザー光が照射される光情報媒体を製造するに際し、製造工程および製造装置の複雑化を最小限に抑えた上で、光透過層の外周側の厚さむらを小さくすることである。
上記課題は、以下の本発明によって解決される。
(1)「中心孔を有するディスク状の支持基体上に、情報記録面を有し、この情報記録面上に、樹脂を含有する光透過層を有し、この光透過層を通して記録または再生のためのレーザー光が入射するように使用される光情報媒体であって、ディスク状の支持基体の情報記録面の外周端部に複数の凹部が形成されていることを特徴とする光ディスク」、
(2)「中心孔を有するディスク状の支持基体上に、情報記録面を有し、この情報記録面上に、樹脂を含有する光透過層を有し、この光透過層を通して記録または再生のためのレーザー光が入射するように使用される光ディスクの製造方法であって、熱可塑性樹脂で射出成形によりディスク状に成形されてなる前記支持基体の情報記録面の外周端部に、複数の凹部を、ローラーにより形成する工程を有することを特徴とする光ディスクの製造方法」、
(3)「中心孔を有するディスク状の支持基体上に、情報記録面を有し、この情報記録面上に、樹脂を含有する光透過層を有し、この光透過層を通して記録または再生のためのレーザー光が入射するように使用される光ディスクの製造方法であって、熱可塑性樹脂で射出成形によりディスク状に成形されてなる前記支持基体の情報記録面の外周端部に、複数の凹部を、プレスにより形成する工程を有することを特徴とする光ディスクの製造方法」、
(4)「中心孔を有するディスク状の支持基体上に、情報記録面を有し、この情報記録面上に、樹脂を含有する光透過層を有し、この光透過層を通して記録または再生のためのレーザー光が入射するように使用される光ディスクの製造方法であって、熱可塑性樹脂で射出成形によりディスク状に成形されてなる前記支持基体の情報記録面の外周端部に、複数の凹部を、射出成形金型により形成する工程を有することを特徴とする光ディスクの製造方法」
本発明の光ディスクにおいては、ディスク状の支持基体の情報記録面の外周端部に複数の凹部が形成されて情報記録面の外周端形状が円形でないので、スピンコートの際に外周端に発生する液だまりがなく、外周端に至るまで均一性の高い光透過層が形成できて、記録・再生ピックアップの稼動領域から見て必要とされるディスク状の支持基体の情報記録面外周側の厚さむらを低減することができる。
また、本発明の光ディスクの製造方法においては、スピンコーティング工程などのディスク状の支持基体回転時にローラーを押し当てるだけで複数の凹部が形成できるので、安価に本発明の支持基体を得ることができる。
また、本発明の光ディスクの製造方法においては、スパッタ工程などのディスク状の支持基体の外周を保持する工程で複数の凹部が形成できるので、安価に本発明の支持基体を得ることができる。
また、本発明の光ディスクの製造方法においては、成形工程で複数の凹部が形成できるので、確実に本発明の支持基体を得ることができる。
本発明により製造される光情報媒体の構成例を、図1に示す。
この光情報媒体は記録媒体であり、支持基体(120)上に、情報記録面として記録層(104)を有し、この記録層(104)上に光透過層(102)を有する。記録または再生のためのレーザー光は、光透過層(102)を通して入射する。
本発明は、記録層の種類によらず適用できる。すなわち、例えば、相変化型記録媒体であっても、ピット形成タイプの記録媒体であっても、光磁気記録媒体であっても適用できる。なお、通常は、記録層の少なくとも一方の側に、記録層の保護や光学的効果を目的として誘電体層や反射層が設けられるが、図1では図示を省略してある。また、本発明は、図示するような記録可能タイプに限らず、再生専用タイプにも適用可能である。その場合、支持基体(120)と一体的に形成されるピット列が、情報記録面を構成することになる。
次に、光透過層(102)の形成方法を説明する。
まず、図2、3に示すように、回転テーブル(2)上にディスク基板(100)を載置する。このディスク基板(100)は、情報記録層(104)の面を設けた支持基体(120)からなり、中心孔(101)を有する。ディスク基板(100)は、中心孔(101)が回転テーブル(2)の環状の突起(21)に填め込まれて固定される。なお、これらの図は断面図であるが、断面に現れる端面だけを表示し、奥行き方向の図示は省略してある。これ以降の断面図においても同様である。
次に、図4に示すように、樹脂または樹脂溶液からなる塗布液(102a)をノズル(3)から吐出する。このとき、回転テーブル(2)を比較的低速、好ましくは20〜100rpmで回転させ、円板部であるディスク基板(100)上に一様に塗布液(102a)が行き渡るようにする。本発明で用いる樹脂は特に限定されず、例えば、エネルギー線硬化型樹脂を用いてもよく、熱硬化性樹脂を用いてもよいが、好ましくはエネルギー線硬化型樹脂、特に紫外線硬化型樹脂を用いる。
次いで、図5に示すように、回転テーブル(2)を比較的高速で回転させることにより塗布液を展延する。これにより、ディスク基板(100)上に光透過層(102)としての樹脂層が形成される。
塗布液(102a)の展延条件は特に限定されない。スピンコート法において塗布液の粘度以外の条件を同一とした場合、理論的には、塗膜の厚さは塗布液の粘度の平方根に比例することが知られている。一方、回転数が大きいほど、また、回転時間が長いほど塗膜は薄くなる。したがって、スピンコート時の回転数および回転時間は、形成する光透過層(102)の厚さおよび塗布液の粘度に応じて適宜決定すればよい。ただし、後述するように厚さ30〜300μm程度の光透過層(102)を形成する場合には、塗布液(102a)の粘度は100〜100,000cP、回転数は500〜6,000rpm、回転時間は2〜10秒間の範囲からそれぞれ選択することが好ましい。
本発明においては、ディスク基板(100)の外周部、特に支持基体(120)の外周部に、図6に示すような複数の凹部(122)が設けられている。
これにより、従来のディスク基板の外周部にできていた液だまりが無く均一性の高い光透過層が得られる。
ディスク基板(100)の外周部に設けられた複数の凹部(122)は、図7に断面を示すようなギア状のローラーを回転する基板(120)に押し付けて形成される。ローラーは加熱されていても良い。
あるいは、凸部の形成されたリング状の治具を押し付けても良い。スパッタ時の外周マスクを用いてもよい。
あるいは、金型の外周リングの凸部を設けて、成形時に形成しても良い。
次に、本発明により製造される媒体各部の具体的構成を説明する。
支持基体(120)は、光情報記録媒体の剛性を維持するために設けられる。支持基体(120)の厚さは、通常、0.2〜1.2mm、好ましくは0.4〜1.2mmとすればよく、透明であっても不透明であってもよい。支持基体(120)は、通常の光記録媒体と同様に樹脂から構成すればよいが、ガラスから構成してもよい。光記録媒体において通常設けられるグルーブ(案内溝)(121)は、図示するように、支持基体(120)に設けた溝を、その上に形成される各層に転写することにより、形成できる。グルーブ(121)は、記録再生光入射側から見て手前側に存在する領域であり、隣り合うグルーブ間に存在する凸条はランドと呼ばれる。
光透過層(102)は、レーザー光を透過するために透光性を有する。光透過層の厚さは、30〜300μmの範囲から選択することが好ましい。光透過層がこれより薄いと、光透過層表面に付着した塵埃による光学的な影響が大きくなる。一方、光透過層が厚すぎると、高NA化による高記録密度達成が難しくなる。
(実施例1)
以下の手順で、再生専用光ディスクサンプルを作製した。
情報を保持するピットを形成したディスク状支持基体{ポリカーボネート製、外径120mm、内径(中心孔の直径)15mm、厚さ1.2mm}の表面に、Alからなる反射層をスパッタ法により形成した。
次いで、本発明のディスク状支持基体(120)を利用して、以下の手順で光透過層(102)を形成した。
まず、回転テーブルを60rpmで回転させながら紫外線硬化型樹脂(大日本インキ化学工業社製のSD301、粘度500cP)を供給し、次いで、回転テーブルを800rpmで5秒間回転させることにより前記反射層表面に樹脂を展延して樹脂層を形成した。樹脂層を紫外線硬化することにより光透過層とし、光ディスクサンプルを得た。
このサンプルの情報記録面に相当する半径23〜58mmの領域において、上記光透過層の厚さをレーザーフォーカス変位計により測定した。その結果、光透過層の厚さは97±2μmの範囲内に収まり、径方向の厚さむらが極めて小さいことが確認できた。
(実施例2)
紫外線硬化樹脂として日本化薬社製のK2009(粘度2500cP)を用い、回転数2500rpmで4秒間スピンコートしたほかは実施例1と同様にして、光ディスクサンプルを作製した。このサンプルについて実施例1と同様な測定を行なったところ、光透過層の厚さは78±2μmに収まり、径方向の厚さむらが極めて小さいことが確認できた。
(比較例1)
外周端形状が円形の通常のディスク基板を用いたほかは実施例1と同様にして、光ディスクサンプルを作製した。このサンプルについて実施例1と同様な測定を行なったところ、外周で光透過層の厚さは急激に変化し、20μmの径方向の厚さむらが生じた。
本発明により製造される光情報媒体の構成例を示す図である。 光透過層の形成方法を説明する図である。 光透過層の形成方法を説明する他の図である。 光透過層の形成方法を説明する他の図である。 光透過層の形成方法を説明する他の図である。 本発明のディスク基板の外周部を示す図である。 図6の凹部を作製するために使用するギア状のローラー断面図を示す図である。
符号の説明
2 回転テーブル
3 ノズル
21 環状突起
102a 塗布液
100 ディスク基板
101 中心孔
102 光透過層
104 記録層
120 支持基体
121 グルーブ(案内溝)
122 凹部

Claims (4)

  1. 中心孔を有するディスク状の支持基体上に、情報記録面を有し、この情報記録面上に、樹脂を含有する光透過層を有し、この光透過層を通して記録または再生のためのレーザー光が入射するように使用される光情報媒体であって、ディスク状の支持基体の情報記録面の外周端部に複数の凹部が形成されていることを特徴とする光ディスク。
  2. 中心孔を有するディスク状の支持基体上に、情報記録面を有し、この情報記録面上に、樹脂を含有する光透過層を有し、この光透過層を通して記録または再生のためのレーザー光が入射するように使用される光ディスクの製造方法であって、熱可塑性樹脂で射出成形によりディスク状に成形されてなる前記支持基体の情報記録面の外周端部に、複数の凹部を、ローラーにより形成する工程を有することを特徴とする光ディスクの製造方法。
  3. 中心孔を有するディスク状の支持基体上に、情報記録面を有し、この情報記録面上に、樹脂を含有する光透過層を有し、この光透過層を通して記録または再生のためのレーザー光が入射するように使用される光ディスクの製造方法であって、熱可塑性樹脂で射出成形によりディスク状に成形されてなる前記支持基体の情報記録面の外周端部に、複数の凹部を、プレスにより形成する工程を有することを特徴とする光ディスクの製造方法。
  4. 中心孔を有するディスク状の支持基体上に、情報記録面を有し、この情報記録面上に、樹脂を含有する光透過層を有し、この光透過層を通して記録または再生のためのレーザー光が入射するように使用される光ディスクの製造方法であって、熱可塑性樹脂で射出成形によりディスク状に成形されてなる前記支持基体の情報記録面の外周端部に、複数の凹部を、射出成形金型により形成する工程を有することを特徴とする光ディスクの製造方法。
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