JP2007248319A - シンチレーション検出器およびシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計 - Google Patents
シンチレーション検出器およびシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】入射窓15と、シンチレータ12と、光電子増倍管13と、を備え、20keV以下におけるエネルギーに対する入射窓の透過率の特性を20keV以下の1cm線量当量換算係数曲線に近似させることで、10keVから150keVまでの低エネルギー光子が入射したときのエネルギーレスポンスの平坦化を図るシンチレーション検出器10とした。また、このシンチレーション検出器10を搭載したシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計とした。
【選択図】図1
Description
従来技術の低エネルギー光子を測定対象とする1cm線量当量計等の放射線測定装置はこのようなものである。
この検出感度の点については、特許文献1でも同様の問題があった。
このように、10keV〜150keVという低エネルギー光子を検出する1cm線量当量計等の従来技術の放射線測定装置は、低域の検出感度が良好でないため、低域で検出精度に問題が生じるおそれがあった。
また、このシンチレーション検出器を採用し、10keV〜150keVという領域の低エネルギー光子に対して検出精度を高めたシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計を提供することにある。
入射する光子の一部を吸収するとともに残りは通過させ、所定エネルギー以下の光子に対してエネルギーが小さくなるにつれて透過率が小さくなる特性を有する入射窓と、
入射窓を通過した光子に応じてシンチレーション光を放出するシンチレータと、
シンチレータから放出されるシンチレーション光の強度に比例したパルス信号を出力する光電子増倍管と、
を備えるシンチレーション検出器であって、
20keV以下におけるエネルギーに対する入射窓の透過率の特性を20keV以下の1cm線量当量換算係数曲線に近似させることで、10keVから150keVまでの低エネルギー光子が入射したときのエネルギーレスポンスの平坦化を図ること特徴とする。
請求項1に記載のシンチレーション検出器において、
前記入射窓の材料をアルミニウムとし、その厚さを0.1mmから0.4mmまでの厚さとすることを特徴とする。
請求項1に記載のシンチレーション検出器において、
前記入射窓の材料をベリリウムとし、その厚さを5mmから20mmまでの厚さとすることを特徴とする。
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のシンチレーション検出器と、
前記シンチレーション検出器から出力されるパルス信号を所定の波高レベルまで増幅するアンプと、
パルス信号に対して所定波高レベル以下を除去する基準の弁別閾値を設定する弁別基準信号を出力する弁別基準信号発生部と、
弁別基準信号発生部に接続され、少なくとも弁別閾値の下限レベルを調整する調整手段と、
弁別基準信号発生部から出力される弁別基準信号に基づいて、アンプから出力されるパルス信号を弁別して整形パルス信号を出力するディスクリミネータと、
整形パルス信号を用いて計数してカウント値を1cm線量当量として出力するカウント部と、
1cm線量当量を表示する表示器と、
を備え、
調整手段を用いて調整し、10keV付近のエネルギーレスポンスが略1.0となるような下限レベルを設定することを特徴とする。
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のシンチレーション検出器と、
前記シンチレーション検出器から出力されるパルス信号を所定の波高レベルまで増幅するアンプと、
所定周期におけるパルス信号に含まれる全パルスに対して波高別にパルス数を調整するため所定周期における弁別閾値を所定パターンに従って時間的に変化させる弁別基準信号を出力する弁別基準信号発生部と、
弁別基準信号発生部から出力される弁別基準信号の弁別閾値に基づいて、アンプから出力されるパルス信号を弁別して、波高レベル別にパルス数を調整した整形パルス信号を出力するディスクリミネータと、
整形パルス信号を用いて計数してカウント値を1cm線量当量として出力するカウント部と、
1cm線量当量を表示する表示器と、
を備えることを特徴とする。
請求項5に記載のシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計において、
前記弁別基準信号発生部からの弁別基準信号は、60keV以上におけるエネルギーに対するシンチレーション検出器からのレスポンスを60keV以上の1cm線量当量換算係数曲線に近似させるような弁別基準信号とすることで、10keVから150keVまでの低エネルギー光子が入射したときのエネルギーレスポンスの平坦化を図ること特徴とする。
請求項5または請求項6に記載のシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計において、
前記弁別基準信号発生部に接続され、少なくとも弁別閾値の下限レベルを調整する調整手段を備え、
調整手段を用いて調整し、10keV付近のエネルギーレスポンスが略1.0となるような下限レベルを設定することを特徴とする。
請求項4または請求項7に記載のシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計において、
10keV付近のエネルギーレスポンスと、エネルギー40keVにおけるエネルギーレスポンスと、が略一致するような弁別閾値の下限レベルを設定することを特徴とする。
請求項4〜請求項8の何れか一項に記載のシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計において、
前記カウント部は、1cm線量当量率とその積算値である1cm線量当量を算出し、
前記表示器は、前記カウント部により算出された1cm線量当量率をバー表示で表し、また、1cm線量当量を数値表示で表示する、
ことを特徴とする。
請求項9に記載のシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計において、
前記カウント部は、所定期間における1cm線量当量率の平均値、最大値および最小値と、1cm線量当量率の積算値である1cm線量当量を算出し、
前記表示器は、1cm線量当量率の平均値、最大値および最小値をバー表示で同時に表し、また、1cm線量当量を数値表示で表示する、
ことを特徴とする。
また、このシンチレーション検出器を採用し、10keV〜150keVという領域の低エネルギー光子に対して検出精度を高めたシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計を提供することができる。
容器11は、前方に検出孔を、後方に信号線・電源線を引き出す孔を有する金属製の筒体であり、光や磁気を遮蔽する機能を有する。
ブリーダ回路14は、光電子増倍管13の各電極に対して適切な電圧を印加する。
光子エネルギーが50keV以下の低エネルギー領域ではシンチレータ12の検出効率は、図2で示したように、ほぼ100%で一定(=1.0)であって、この場合は数1でも明らかなように、1cm線量当量換算係数の低下具合と、入射窓15の吸収による透過率の低下具合と、を一致させると測定値(1cm線量当量)の光子エネルギーに対する依存性を小さくすることができる。
以上より、例えば10keV以上を測定する場合、入射窓の材質および厚さはアルミニウムで0.1mm〜0.4mm(特に0.3mm)が適切である。また、アルミニウムよりも吸収が小さいベリリウムでは5mm〜20mmが適切である。
高圧電源20は、シンチレーション検出器10内のブリーダ回路14に高圧の電圧を供給する。後述するが、電圧値は操作スイッチ80により操作されて所定電圧が決定され、DAC52を介して所定波形の信号を送ることにより高圧電源20から所定波形に応じた電源電圧が供給される。
詳しくは、カウンタ55が、整形パルス信号を計数してCPU51へカウント値を出力する。この場合、シンチレーション検出器10が入射窓15により補償されているため、目標としている10keV〜150keVに対してはエネルギーレスポンスが平坦に近いものであり、そのままカウント値を使用して1cm線量当量を生成する。CPU51はタイマ54より所定周期の測定時間が経過したことの情報を検知し、その時間でカウンタ55が計数したカウント値を読み取り、所定周期の間に積算したカウント値を元に1cm線量当量を生成したり、または、積算値を単位時間当たりのカウント値に換算して1cm線量当量率を生成したりして、ドライバ53を介して表示器60へ出力して表示させる。この場合、カウント部は、制御・処理部50のカウンタ55、CPU51、タイマ54、ドライバ53により機能する。
低圧電源70は、各部で必要な電力を供給する電源として機能する。
操作スイッチ80は、動作状態(例えばテストモードと測定モード)を切り替える信号などをDI(ディジタル信号入力回路)57を介して、CPU51へ指令を与えるマン−マシンインタフェースである。
ワンチップマイコンである制御・処理部50の記憶部56に含まれるROMには制御・処理部50がワンチップマイコンとして動作するためのプログラムが記憶されており、記憶部56に含まれるRAMはプログラムが動作するための一時的な情報が保持される。
ディスクリミネータ40は、このように整形して整形パルス信号を出力する。
CPU51は、所定周期で記憶部56のROMからデータを読み出す。記憶部56のROMには弁別基準データが書き込まれており、DAC52によりアナログ信号である弁別基準信号に変換して出力する。この弁別基準信号は、ディスクリミネータ40の弁別基準である下限レベルを所定期間では時間とともに上昇させる信号であり、所定期間において1cm線量当量換算係数に見合うようにエネルギーレベルが低いパルスを少なく計数することで、1cm線量当量換算係数が上昇しつづけるエネルギー(約60keV以上)領域のエネルギーレベルが高いパルスが相対的に沢山あるように調整したものであり、所定期間ではエネルギーレスポンスを平坦化した。また、変動する下限レベルのうち最も最低なレベルも先に説明した11.6keVを採用している。このような変動をする弁別基準信号により出力される整形パルス信号は、約60keV以上では1cm線量当量換算係数により換算したのと同じ効果を有する。
ディスクリミネータ40は、このように整形して整形パルス信号を出力する。そして、以下は先の説明と同様にして1cm線量当量を算出し、表示器60に表示させる。
なお、バー表示は図9(a)で示すように円弧状の表示部としたり、図10〜図12のように、直線状の表示部とすることができる。説明のため、両方式を併記して説明する。
1cm線量当量率のバー表示では、測定値の指示範囲を広くするため図9(a)や図10で示すように擬似対数表示を採用している。ここでいう擬似対数で2桁を表示した例示している。2桁を表示するために、図9(a)では、10−3〜10−2の範囲を0.001毎の等間隔目盛とし、10−2〜10−1の範囲は0.01毎の等間隔目盛とした表示方式であり、また、図10では、1〜10の範囲を1毎の等間隔目盛とし、10〜100の範囲は10毎の等間隔目盛とした表示方式である。
以上のように1cm線量当量率とその積算値である1cm線量当量との両方を同時に測定して表示できるので効率のよい測定ができる。
例えば10秒間に1回10msのX線照射を行いその時の漏洩線量を測定する場合、線量率は1秒間の平均値で表示されるので、実際の漏洩線量の100分の1(10ms/1s)の表示になり、照射時の本当の漏洩線量が判らない。
そこで、図11で示すように、表示切り替え時間間隔内の平均値である平均線量率とその中の各サンプリング時間毎の1cm線量当量率のうち最大値である最大線量率と最小値である最小線量率とを表示させることで、上記のような短時間照射時の線量も正確に測定し表示することができる。また、図12で示すように、1cm線量当量率の平均値である平均線量率を連続のバー表示させ、最大線量率を個別のバーで表示させるようにしても、上記のような短時間照射時の線量も正確に測定して表示することができる。
10:シンチレーション検出器
11:容器
12:シンチレータ
13:光電子増倍管
14:ブリーダ回路
15:入射窓
20:高圧電源
30:アンプ
40:ディスクリミネータ
50:制御・処理部
51:CPU
52:DAC
53:ドライバ
54:タイマ
55:カウンタ
56:記憶部(ROM・RAM)
57:DI
58:操作スイッチ
60:表示器
70:低圧電源
80:操作スイッチ
90:弁別基準信号発生部
Claims (10)
- 入射する光子の一部を吸収するとともに残りは通過させ、所定エネルギー以下の光子に対してエネルギーが小さくなるにつれて透過率が小さくなる特性を有する入射窓と、
入射窓を通過した光子に応じてシンチレーション光を放出するシンチレータと、
シンチレータから放出されるシンチレーション光の強度に比例したパルス信号を出力する光電子増倍管と、
を備えるシンチレーション検出器であって、
20keV以下におけるエネルギーに対する入射窓の透過率の特性を20keV以下の1cm線量当量換算係数曲線に近似させることで、10keVから150keVまでの低エネルギー光子が入射したときのエネルギーレスポンスの平坦化を図ること特徴とするシンチレーション検出器。 - 請求項1に記載のシンチレーション検出器において、
前記入射窓の材料をアルミニウムとし、その厚さを0.1mmから0.4mmまでの厚さとすることを特徴とするシンチレーション検出器。 - 請求項1に記載のシンチレーション検出器において、
前記入射窓の材料をベリリウムとし、その厚さを5mmから20mmまでの厚さとすることを特徴とするシンチレーション検出器。 - 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のシンチレーション検出器と、
前記シンチレーション検出器から出力されるパルス信号を所定の波高レベルまで増幅するアンプと、
パルス信号に対して所定波高レベル以下を除去する基準の弁別閾値を設定する弁別基準信号を出力する弁別基準信号発生部と、
弁別基準信号発生部に接続され、少なくとも弁別閾値の下限レベルを調整する調整手段と、
弁別基準信号発生部から出力される弁別基準信号に基づいて、アンプから出力されるパルス信号を弁別して整形パルス信号を出力するディスクリミネータと、
整形パルス信号を用いて計数してカウント値を1cm線量当量として出力するカウント部と、
1cm線量当量を表示する表示器と、
を備え、
調整手段を用いて調整し、10keV付近のエネルギーレスポンスが略1.0となるような下限レベルを設定することを特徴とするシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計。 - 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のシンチレーション検出器と、
前記シンチレーション検出器から出力されるパルス信号を所定の波高レベルまで増幅するアンプと、
所定周期におけるパルス信号に含まれる全パルスに対して波高別にパルス数を調整するため所定周期における弁別閾値を所定パターンに従って時間的に変化させる弁別基準信号を出力する弁別基準信号発生部と、
弁別基準信号発生部から出力される弁別基準信号の弁別閾値に基づいて、アンプから出力されるパルス信号を弁別して、波高レベル別にパルス数を調整した整形パルス信号を出力するディスクリミネータと、
整形パルス信号を用いて計数してカウント値を1cm線量当量として出力するカウント部と、
1cm線量当量を表示する表示器と、
を備えることを特徴とするシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計。 - 請求項5に記載のシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計において、
前記弁別基準信号発生部からの弁別基準信号は、60keV以上におけるエネルギーに対するシンチレーション検出器からのレスポンスを60keV以上の1cm線量当量換算係数曲線に近似させるような弁別基準信号とすることで、10keVから150keVまでの低エネルギー光子が入射したときのエネルギーレスポンスの平坦化を図ること特徴とするシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計。 - 請求項5または請求項6に記載のシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計において、
前記弁別基準信号発生部に接続され、少なくとも弁別閾値の下限レベルを調整する調整手段を備え、
調整手段を用いて調整し、10keV付近のエネルギーレスポンスが略1.0となるような下限レベルを設定することを特徴とするシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計。 - 請求項4または請求項7に記載のシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計において、
10keV付近のエネルギーレスポンスと、エネルギー40keVにおけるエネルギーレスポンスと、が略一致するような弁別閾値の下限レベルを設定することを特徴とするシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計。 - 請求項4〜請求項8の何れか一項に記載のシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計において、
前記カウント部は、1cm線量当量率とその積算値である1cm線量当量を算出し、
前記表示器は、前記カウント部により算出された1cm線量当量率をバー表示で表し、また、1cm線量当量を数値表示で表示する、
ことを特徴とするシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計。 - 請求項9に記載のシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計において、
前記カウント部は、所定期間における1cm線量当量率の平均値、最大値および最小値と、1cm線量当量率の積算値である1cm線量当量を算出し、
前記表示器は、1cm線量当量率の平均値、最大値および最小値をバー表示で同時に表し、また、1cm線量当量を数値表示で表示する、
ことを特徴とするシンチレーション式低エネルギー光子1cm線量当量計。
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