JP2007247516A - 風力発電装置 - Google Patents

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泰庸 岸上
Mikiya Inui
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Abstract

【課題】低風速時における集風効率を更に高めると共に装置全体の小型化も達成可能な風力発電装置を提供する。
【解決手段】垂直に設定される回転軸芯Yと同軸に設けられる円筒体1と、この円筒体1の周囲に、円筒体1の外周面1aに近接した状態で配置される複数の羽根3と、この複数の羽根3を回転軸芯Yに対して回転可能に支持する羽根支持プレート4と、複数の羽根3の回転に連動して発電する発電機20とを備えた風力発電装置であって、各羽根3は風を受けるように凹面に形成された風受け面3aと、この風受け面3aの裏面側に形成される風逃がし面3bとを有し、複数の羽根3のうちの1つの羽根3Aの風受け面3aに対し、隣接する他の羽根3Bの風逃がし面3b及び円筒体1の外周面1aが、1つの羽根3Aの風受け面3aに対する集風機能を有するように配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転軸芯と同軸に設けられる案内体と、この案内体の周囲に、案内体の外周面に近接した状態で配置される複数の羽根と、この複数の羽根を前記回転軸芯に対して回転可能に支持する羽根支持体と、複数の羽根の回転に連動して発電する発電機とを備えた風力発電装置に関するものである。
風力エネルギーを利用する風力発電装置は、石油・石炭を用いる火力発電に比べて二酸化炭素を排出することがなく、クリーンなエネルギーであることで注目をされている。また、風力エネルギーは、非枯渇性を有し、化石燃料に比べて半永久的エネルギーであることも大きな特徴である。
かかる風力発電装置には、大きく分けて水平軸型と垂直軸型があり、現在の主流は水平軸型のプロペラ型風車による大規模発電である。プロペラ型は、風切り音による騒音公害、景観公害などの問題の他、風向きにより発電が制限されることや、低風速時の発電効率が低く、風車単独での起動が困難などの問題点を有している。
これに対して垂直軸型の1つであるサボニウス型風車(例えば、下記特許文献1参照)は、一般的には半円筒形の2枚の羽根により構成され、低風速で起動しトルクを得ることができること、風向きによらず起動できること、小型化が可能で設置場所をとらない等の利点を有している。かかるサボニウス型風車は、比較的風が弱く、風向きも変動しやすい都市部や住宅地などに設置することが考えられ、実際にショッピングモールなどで実用化されている。しかし、実際には風があまり吹かないために、回転していない風車も多く、より低風速で起動できるような風力発電装置が望まれている。かかる点を考慮した先行技術として、例えば、下記特許文献2,3に開示される風力発電装置が知られている。
特許文献2に開示される風車は、支持軸に回転自在に装着した円筒体と、この円筒体に半径方向に離間して取り付けられ、円筒体と一体的に回転する羽根(ブレード)を有している。円筒体と羽根との距離は、円筒体の半径rの0.4倍から0.6倍程度の距離離れている。
特許文献3に開示される風車は、円筒の両端に取り付けた円形プレートの間に、プレートから適当な距離を開けて、湾曲させた複数枚の羽根を均等な間隔で円周方向に沿って設け、プレートの中心に回転軸を通した風車を、4面に風向制御板を取り付けた風車塔の中に垂直に設置した構造を有している。
特開2005−320868号公報 特開2006−2725号公報 実用新案登録第3102155号
しかしながら、特許文献2に開示される風車は、サボニウス型風車のような風受け面を有しない羽根(ブレード)を使用しており、低風速時における起動はいまだに困難な状況であると考えられる。特に、円筒体と羽根の間の間隔が比較的大きく設定されており、低風速時における発電効率は十分ではないと考えられる。
特許文献3に開示される風車は、複数枚の羽根の周囲を囲むように風向制御板が配置されている。従って、風力発電装置全体の大きさが大型化するという問題がある。また、円筒体と羽根の間に形成される間隔が比較的大きく設定されており、集風性能の面では効率が良くないものと考えられる。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、低風速時における集風効率を更に高めると共に装置全体の小型化も達成可能な風力発電装置を提供することである。
上記課題を解決するため本発明に係る風力発電装置は、
垂直に設定される回転軸芯と同軸に設けられる案内体と、
この案内体の周囲に、案内体の外周面に近接した状態で配置される複数の羽根と、
この複数の羽根を前記回転軸芯に対して回転可能に支持する羽根支持体と、
複数の羽根の回転に連動して発電する発電機とを備えた風力発電装置であって、
各羽根は風を受けるように凹面に形成された風受け面と、この風受け面の裏面側に形成される風逃がし面とを有し、
複数の羽根のうちの1つの羽根の風受け面に対し、隣接する他の羽根の風逃がし面及び案内体の外周面が、前記1つの羽根の風受け面に対する集風機能を有するように配置されていることを特徴とするものである。
かかる構成を有する風力発電装置の作用・効果を説明する。この風力発電装置は、垂直に設定される回転軸芯を有し、この回転軸芯と同軸に設けられる案内体と、この案内体の周囲に、案内体の外周面に近接した状態で配置される複数の羽根を備えている。この複数の羽根は、羽根支持体により支持され、案内体と同じ回転軸芯を中心として回転可能に軸支される。複数の羽根の回転に連動して発電する発電機が設けられている。各羽根は、風受け面と風逃がし面を有しており、風受け面は風を受けることができるように凹面に形成される。従って、風逃がし面は凸面に形成されることになる。更に、複数の羽根のうちの1つの羽根の風受け面に対して、隣接する他の羽根の風逃がし面と、案内体の外周面が受けた風が、前記1つの羽根の風受け面に対して集風できるように配置されている。これにより、1つの風受け面が受けることができる集風能力を高めることができる。特に、案内体の外周面に羽根が近接配置されるため、より効率よく集風することができる。従って、例えば、特許文献3のように風向制御板を用いる必要もなく、装置全体の小型化を達成することができる。その結果、低風速時における集風効率を更に高めると共に装置全体の小型化も達成可能な風力発電装置を提供することができる。
本発明に係る案内体は、前記回転軸芯に対して、前記複数の羽根と独立して回転可能に軸支されていることが好ましい。
特許文献2,3に開示される風車は、いずれも案内体と羽根が一体的に回転する構成を採用しているが、本発明においては、案内体は、複数の羽根とは独立して回転可能に軸支されている。従って、自由度を有する状態で案内体が回転することができ、風の状態に柔軟に対応することができ、低風速時における集風効率を高めることができる。
本発明において、前記複数の羽根を円周方向に等間隔で配置したことが好ましい。
これにより、1つの羽根の風受け面に対する集風効率が高くなるようにすることができる。
本発明に係る風力発電装置の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、風力発電装置の好適な実施形態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は側面図である。
図1において、風力発電装置の回転軸芯Yは、垂直方向に設定されている。回転軸芯Yと同軸に中空の円筒体1(案内体に相当)が設けられ、この円筒体1は、筒本体1aと筒本体1aの上下両端部に設けられる支持プレート1bにより構成される。回転軸芯Yに沿って回転軸2が垂直方向に設けられており、円筒体1はこの回転軸2に対して軸受により軸支され回転自在に取り付けられている。
円筒体1の周囲には3枚の羽根3A,3B,3Cが円周方向に沿って等間隔(120゜間隔)で配置されている。各羽根3は、水平方向の断面形状が同一であり、垂直方向に沿って伸びる形状を有している。従って、基本的には、どの水平断面も同じ形状を有している。また、各羽根3は、風受け面3aと風逃がし面3bを有しており、風受け面3aは集風機能を発揮するために凹面形状を有している。凹面の具体的な形状については、円弧面、楕円形状、サイクロイド曲線、その他の任意の曲線を採用することができ、特定の形状に限定されるものではない。
羽根3の上下両端部には羽根支持プレート4(羽根支持体に相当)が設けられており、羽根3の上端部と下端部を支持する。従って、羽根3は羽根支持プレート4と共に回転することができる。羽根支持プレート4と円筒体11の上下の支持プレート1bとの間には、所定の間隔が形成されている。羽根3の半径方向の内側端面3cは、円筒体1の外周面1aに近接して配置されており、所定の隙間でもって配置される。羽根3の半径方向の外側端面3dは、羽根支持プレート4の円周方向外側の端面位置とほぼ同じ位置にある。
下方の羽根支持プレート4には、軸受ホルダ5が取り付けられており、軸受6が内部に取り付けられている。この軸受6により、回転軸2の下端部2aを回転自在に軸支する。軸受ホルダ5の下部には羽根支持軸7が一体的に取り付けられており、この羽根支持軸7は、更に軸受8により回転自在に軸支されている。この軸受8は、不図示のフレームに対して取り付けられている。
上方の羽根支持プレート4にも、軸受ホルダ9が取り付けられており、この軸受ホルダ9の内部に軸受10が取り付けられている。この軸受10は、回転軸2の外周に設けられているので、回転軸2に対して相対的に回転できるように羽根3が支持されていることになる。
回転軸2の上端部2bは、不図示のフレームにより支持される。また、軸受10の下部において、軸受11により円筒体1が回転自在に軸支されている。この軸受11は、円筒体1の上側の支持プレート1bに対して取り付けられている。更に、羽根支持プレート4の上方には、発電機20が設置されており、羽根3が回転することで発電する機能を有する。
図1(a)を用いて、3枚の羽根3のうち特定の1枚の羽根3Aの集風機能について説明する。羽根3Aに隣接する羽根3Bの風逃がし面3bに当たった風は、羽根3Aの風受け面3aの方向に向かうように構成され、2つの羽根3A,3Bにより挟まれる部分の円筒体1の外周面1aに当たった風も、同様に羽根3Aの風受け面3aの方向に向かうように構成される。従って、効率よく風受け面3aに集風することができ、低風速時においても、発電を行なうことが可能になる。
また、羽根3と円筒体1は、独立して回転されるように軸受により支持されており、円筒体1に当たった風により円筒体1は羽根3の回転に拘束されることなく自由に回転することができ、より集風効率を高めることができると考えられる。
<実験結果>
本発明による風力発電装置の効果を確認するための実験を行った。比較対象とする風力発電装置としてサボニウス型風車を用いた。図2は、実験に使用した風力発電装置を示す図であり(a)は比較例であるサボニウス型風力発電装置、(b)は本発明による風力発電装置の羽根の構成を示す図である。
サボニウス型風車のタイプは、アスペクト=4.0、オーバーラップ比=0.267であり、2枚の羽根30は0.5mm厚のアルミニウム板で半径75mmの半円形である。また、羽根30の垂直方向の高さは600mmとした。羽根支持プレート40は、1.5mm厚のアルミニウム板であり、直径は300mmの円板となっている。また、軸受支持構造は図1に示す構造を採用した。
一方、図2(b)に示す風力発電装置は、同じく羽根3は0.5mm厚のアルミニウム板であり、垂直方向の高さは600mmとした。また、羽根3の断面形状は、1/4円弧形状としている。羽根支持プレート4は、1.5mm厚さのアルミニウム板であり、直径は360mmの円板となっている。また、羽根3の内側端面3cと円筒体1の外周面1aとの隙間寸法は、10mmに設定されている。
風車が起動する時の風速を測定するとサボニウス型が1.12m/sであり、本発明は0.98m/sであった。従って、風速1m/sの低風速時においても起動できることが確認できた。
また、起動に最も影響を及ぼす低周速比(例えば、0.2)でのトルク係数Ctについては、サボニウス型が0.4であり、本発明は0.6であった。従って、本発明による風力発電装置は、低風速時において大きなトルク特性を有している。ちなみに、周速比(λ)とは風速に対して風車がどの程度回転しているのかを示す指標である。風車半径r(m)、風速V(m/s)、各速度ω(rad/s)とすると、
λ=rω/V
また、トルク特性Ctは、風車の得るトルクを無次元化したものであり、トルクT(Nm)、空気密度ρ(kg/m3)、受風面積A(m2)、風車半径r(m)、風速V(m/s)とすると、
Ct=T/(0.5ρArV2)となる。受風面積Aはサボニウス型で0.156m2、本発明は0.176m2であった。
以上の通り、本発明による風力発電装置によれば、羽根3だけでなく、円筒体1に当たった風も羽根3の方向に集風することができ、更に、他の羽根3に当たった風をも円筒体1の外周面1aを利用して集風することができる。更に、円筒体1と羽根3の間の隙間を利用すれば、コアンダ効果による円筒表面の流れの剥離が押えられることを利用して、本来トルクの発生に寄与しない下流側の羽根の効果も利用できるようになる。すなわち、羽根3A、羽根3Bの間に集められた風の一部は、円筒体1と羽根3Aの間の僅かの隙間を抜けて円筒体1の外周面1aに沿って速い速度で噴出するため、更に下流に位置する羽根3Cのトルク発生にも寄与することができる。このような集風効果により、羽根3の受ける力を増大させ、例えば風速1m/s未満の低風速時でも羽根3を回転できるようになる。
<別実施形態>
次に、別実施形態に係る風力発電装置の構成を図3により説明する。図1では、羽根3の枚数は3枚であったが、図3に示すように4枚を等間隔に配置して構成してもよい。枚数は、更に増やしてもよい。
円筒体1の直径の大きさ(比率)は、本実施形態に説明したものに限定されるものではなく、例えば、羽根支持プレート4(あるいは、羽根3の端面3dにより描かれる円)の直径の1/2程度以上にすることができる。また、円筒体1の外周面1cと羽根3の内側端面3cとの距離についても本発明の効果が得られる範囲で適宜変更可能であり、翼弦長の20%以下にすることが好ましい。
次に、軸受支持構造に関して別実施形態を図4により説明する。図4(a)において、羽根3の垂直方向の両端部は羽根支持プレート4により指示されている。回転軸芯に沿って配置される回転軸15が上側の羽根支持プレート4に取り付けられており、この回転軸15の下端側に発電機20が配置される。円筒体1の上側の支持プレート1bに軸受16が設けられており、回転軸15に対して相対的に回転自在に軸支される。回転軸15と同軸に固定された固定軸17が設けられており、この固定軸17の上端部に発電機20が設置される。下側の羽根支持プレート4は軸受18により固定軸17に対して軸支され、更に、円筒体1の下側の支持プレート1bも軸受19により固定軸17に対して軸支される。かかる構成により、円筒体1と羽根3を別個独立して回転できるように軸支することができる。
図4(b)は更に別の軸受支持構造を示す図である。基本的には、図4(a)と同じ構造であるが、発電機20の配置が異なっている。すなわち、円筒体1の上側の軸受16の更に上側に発電機20が設置されている。なお、その他にも種々の軸受支持構造例が考えられる。
本実施形態において、案内体の例として円筒体をあげているが、例えば、樽型や糸巻き形を採用してもよい。
実施形態に係る風力発電装置の構成を示す図 実験に使用した風力発電装置の断面形状を示す図 別実施形態にかかる風力発電装置の構成を示す断面図 別実施形態にかかる風力発電装置の軸受支持構造を示す図
符号の説明
1 円筒体
2 回転軸
3 羽根
3a 風受け面
3b 風逃がし面
4 羽根支持プレート
Y 回転軸芯

Claims (3)

  1. 垂直に設定される回転軸芯と同軸に設けられる案内体と、
    この案内体の周囲に、案内体の外周面に近接した状態で配置される複数の羽根と、
    この複数の羽根を前記回転軸芯に対して回転可能に支持する羽根支持体と、
    複数の羽根の回転に連動して発電する発電機とを備えた風力発電装置であって、
    各羽根は風を受けるように凹面に形成された風受け面と、この風受け面の裏面側に形成される風逃がし面とを有し、
    複数の羽根のうちの1つの羽根の風受け面に対し、隣接する他の羽根の風逃がし面及び案内体の外周面が、前記1つの羽根の風受け面に対する集風機能を有するように配置されていることを特徴とする風力発電装置。
  2. 案内体は、前記回転軸芯に対して、前記複数の羽根と独立して回転可能に軸支されていることを特徴とする請求項1に記載の風力発電装置。
  3. 前記複数の羽根を円周方向に等間隔で配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の風力発電装置。
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