JP2007246556A - インクジェット用油性インク、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット用油性インク、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】分散物の分散安定性に優れ、特に、静電インクジェット方式に好適なポリマー微粒子を含有するインクジェット用油性インクを提供する。
【解決手段】媒体と、媒体中にポリマー微粒子とを有するインクジェット用油性インクにおいて、該ポリマー微粒子を構成するポリマーが不溶部位と溶解部位を共に有し、該不溶部位の割合が50〜95質量%であるインクジェット用油性インク。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリマー微粒子を含有するインクジェット用油性インク、前記インクを用いたインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット技術は紙などの吸水性被記録材を用いて文書や写真などの画像形成を行うだけではなく、プラスチックフィルムなどの非吸水性被記録材への画像形成、配線基板などの電子部品材料の作成、DNAアレイの作成、立体模型等の構造物の作成など様々な分野への応用が広がっている。非吸水性被記録材に吐出する場合、水性インクはにじみの発生や乾燥が遅いなどの問題があり、更に、電子部品材料等に用いる場合には表面張力調整剤や界面活性剤などの極性有機分子がインクの成分として必須なことから、電気特性や密着性、膜質の悪化が生じるなどの問題があるために、非吸水性被記録材への記録あるいは電子部品材料等に用いる場合には油性インク、及び固体状インクが主流となっている。
一方、電子部品材料や立体模型等の作成には絶縁材あるいは構造材となるポリマー材料がインク中に含まれることが必須である。例えば、特許文献1には絶縁材であるポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が溶解した油性インクが提案されている。乾燥・加熱後に十分な膜質のポリマー膜を得るにはポリアミド酸の分子量が1万以上必要となるが、高分子量のポリマー溶液は粘度が著しく高いため、インクジェットで吐出させるためにはポリマー濃度を低くしなけらばならず、所望の膜厚を得るには吐出回数を増やす必要があった。また、ポリマー溶液のインクでは通常の静電インクジェット方式には適用できないなどの欠点を有していた。ポリマーをラテックスのように粒子状に分散させれば高分子量のポリマーであっても分散液の粘度を低下させることができる。特許文献2には有機溶剤中にポリマーを分散した印刷用のインキが提案されているが、インクジェット用のインクに用いるには分散安定性が低い、吐出性が悪い、静電インクジェット方式には適用できないなどの欠点を有していた。
以上の通り、膜質に優れ、構造材の形成が可能な程度に十分な分子量を有するポリマーを含有し、分散物の分散安定性に優れ、特に、静電インクジェット方式に好適なインクジェット用油性インクは未だ提供されていないのが現状である。
特開2003−309369号公報 特開平7−268264号公報
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明は、分散物の分散安定性に優れ、特に、静電インクジェット方式に好適なポリマー微粒子を含有するインクジェット用油性インクを提供することを目的とする。
本発明は、分散物の分散安定性に優れ、特に、静電インクジェット方式に好適なポリマー微粒子を含有するインクジェット用油性インクを用いたインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
前記課題は下記の手段によって解決された。
(1) 媒体と、媒体中にポリマー微粒子とを有するインクジェット用油性インクにおいて、該ポリマー微粒子を構成するポリマーが不溶部位と溶解部位を共に有し、該不溶部位の割合が50〜95質量%であることを特徴とするインクジェット用油性インク。
(2) 前記ポリマー微粒子を構成するポリマーにおいて、溶解部位がポリマー鎖の末端または側鎖に位置することを特徴とする、(1)に記載のインクジェット用油性インク。
(3) 媒体と、媒体中にポリマー微粒子と分散剤とを有するインクジェット用油性インクにおいて、該ポリマー微粒子を構成するポリマーが55質量%以上の不溶部位を有し、該分散剤が不溶部位と溶解部位を共に有し、かつ下記式fで表される値が50〜95質量%であることを特徴とするインクジェット用油性インク。
Figure 2007246556
ここで、fpはポリマー微粒子を構成するポリマーにおける不溶部位の割合(質量%)を表し、fdは分散剤における不溶部位の割合(質量%)を表し、mpはポリマー微粒子と分散剤の合計質量に対するポリマー微粒子の質量比(質量%)を表す。
(4) 前記分散剤が重量平均分子量2000〜300000のポリマーであることを特徴とする(3)に記載のインクジェット用油性インク。
(5) 前記分散剤の溶解部位がポリマー鎖の末端または側鎖に位置することを特徴とする、(4)に記載のインクジェット用油性インク。
(6) 前記ポリマー微粒子が帯電粒子であり、かつ前記媒体が10Ω・cm以上の電気抵抗率を有する誘電性の液体であることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれか1項に記載のインクジェット用油性インク。
(7) 前記ポリマー微粒子を構成するポリマーが有機絶縁体または有機半導体であることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれか1項に記載のインクジェット用油性インク。
(8) 前記ポリマー微粒子に対して10質量%以下の色材を媒体中に含むことを特徴とする、(1)〜(7)のいずれか1項に記載のインクジェット用油性インク。
(9)前記ポリマー微粒子を構成するポリマーのガラス転移温度が350℃以下であることを特徴とする、(1)〜(8)のいずれか1項に記載のインクジェット用油性インク。
(10) (6)〜(9)のいずれか1項に記載のインクに静電力を作用させてインクを吐出させる記録工程を含むことを特徴とする、インクジェット記録方法。
本発明により、分散物の分散安定性に優れ、特に、静電インクジェット方式に好適なポリマー微粒子を含有するインクジェット用油性インクが提供でき、更に、分散物の分散安定性に優れ、特に、静電インクジェット方式に好適なポリマー微粒子を含有するインクジェット用油性インクを用いたインクジェット記録方法が提供できる。
以下、本発明のポリマー微粒子、インクジェット用油性インク及びインクジェット記録方法について説明する。
(ポリマー微粒子)
前記本発明のポリマー微粒子は媒体に不溶な部位を有するポリマーの微粒子であり、ポリマーは単体で媒体に分散するものでも、分散剤と併用して分散するものでも良い。ポリマーの重量平均分子量(Mw)は2000〜300000であり、好ましくは3000〜100000である。分子量が2000未満であると、安定な微粒子分散物を得るのが難しかったり、吐出後のポリマーとしての力学特性(膜質や構造材の強度)などが劣る傾向にあり、300000より大きい場合、分散の工程が困難になる傾向がある。
−ポリマー−
ポリマーが(1)分散剤を使用することなく微粒子として分散する場合、(2)分散剤を併用して分散する場合、それぞれについて説明する。
分散剤を使用することなく微粒子として分散する場合について詳細に説明する。この場合、ポリマーは少なくともポリマー鎖中に媒体に不溶な部位(以下、不溶部位という)と、媒体に溶解する部位(以下、溶解部位という)を含有する(以下、両方の部位をもつポリマーを分散性ポリマーという場合がある)。
不溶部位とは、不溶部位単独、あるいは不溶部位を含むモノマー単位からポリマーを形成した場合(このポリマーを不溶部位の判断ポリマーと呼ぶ)、5質量%の濃度で媒体に不溶かつ分散もしない性質をもつ部位であり、前記溶解部位とは、溶解部位単独、あるいは溶解部位を含むモノマー単位からポリマーを形成した場合(このポリマーを溶解部位の判断ポリマーと呼ぶ)、5質量%の濃度で媒体に溶解、あるいは分散する性質をもつ部位である。
不溶とは、不溶部位の判断ポリマーを媒体と混合したときに、溶解しない、あるいは、膨潤した状態で固形分が残存する状態をいい、溶解とは、溶解部位の判断ポリマーの溶け残りが無く、液が透明な状態をいい、分散とは、溶解部位の判断ポリマーの溶け残りがなく、液が透明から半透明の状況をいう。分散している場合、粒径が10nmから200nmの値となる。
ここでいう部位とは、ポリマー主鎖を構成する炭素数が16以上であるオリゴマー、あるいはビニルポリマー、縮合系ポリマー等の従来公知の重合形式からなるポリマーである。具体例としては、ポリオレフィン類(例えば、ポリエチレン(重合度が8以上、すなわち、ポリマー主鎖を構成する炭素数が16以上のもの、以下同様の考えを適用する)、ポリイソプレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリノルボルネン、ポリブタジエンなど)、ポリスチレン類(例えば、ポリスチレン、置換基に水酸基やアルキル基、アルコキシ基、アシル基などを有する置換スチレンポリマーなど)、ポリアクリルアミド類(例えば、ポリアクリルアミド、N−モノアルキル置換アクリルアミドポリマー、N,N−ジアルキル置換アクリルアミドポリマーなど)、ポリ(メタ)アクリレート類(例えば、炭素数1から18のアルキル基をエステルとするポリ(メタ)アクリレート、置換アルキル基(例えば、ヒドロキシエチル基、3−ジメチルアミノプロピル基など)をエステルとするポリ(メタ)アクリレーなど)、ポリイミド類(例えば、全芳香族ポリイミド、半脂環ポリイミド、全脂環ポリイミドなど)、ポリビニルエーテル類(例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルなど)、ポリウレタン類(例えば、ポリオール系ポリウレタン、シリコーン変性ポリウレタンなど)、ポリエステル類(例えば、ポリアリレート、ポリアルキレンナフタレート、ポリアルキレンフタレート、エポキシ変性ポリエステル、不飽和ポリエステルなど)、ポリアミド類(例えば、全芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミドなど)、ポリウレタン・ウレア類(例えば、ポリウレタン、ポリウレアなど)、ポリカーボネート類(例えば、ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリカーボネートなど)、ポリエーテルスルホン類(例えば、ポリエーテルスルホン樹脂など)、多糖類(例えば、セルロース、変性セルロースなど)、シリコーン樹脂、などである。
本発明において、分散剤を使用することなくポリマー微粒子を分散する場合、該ポリマー微粒子を構成する分散性ポリマー中の不溶部位の含量は50〜95質量%である。不溶部位の量が50質量%未満だとポリマー微粒子中への媒体の取り込みが多く、粒径の増大や溶解部位が少ないことによる分散安定性の悪化、吐出性能の悪化、吐出後のポリマーとしての力学特性(膜質や構造材の強度)や電子物性(絶縁性や半導体特性など)が劣るために好ましくない。不溶部位の量が95質量%よりも多いと、分散不良の成分が多くなり、分散物の沈降後の再分散性が悪化する傾向にあるため好ましくない。不溶部位の含量は55〜95質量%が好ましく、60〜95質量%がさらに好ましい。
分散性ポリマー中の不溶部位と溶解部位の配置は任意であるが、溶解部位がポリマーの末端に位置するブロックポリマーや、側鎖が溶解部位であるグラフトポリマーが好ましい。なかでも特に、溶解部位−不溶部位−溶解部位の連鎖を持つブロックポリマー、不溶部位−溶解部位の連鎖を持つブロックポリマー、側鎖が溶解部位であるグラフトコポリマーがより好ましく、不溶部位−溶解部位の連鎖を持つブロックポリマー、側鎖が溶解部位であるグラフトコポリマーが特に好ましい。
次に、分散剤を併用してポリマー微粒子を分散する場合について詳細に説明する。
本発明において、分散剤を併用してポリマー微粒子を分散する場合、該ポリマー微粒子を構成するポリマーは55質量%以上の不溶部位を有し、溶解部位はあってもなくてもよい。不溶部位の割合は70〜100質量%であることが好ましく、95〜100質量%であることがより好ましい。
さらに、前記分散剤は不溶部位と溶解部位を共に有しており、かつ下記式で表されるfの値が50〜95質量%であることを特徴とする。
Figure 2007246556
ここで、fpはポリマー微粒子を構成するポリマーにおける不溶部位の割合(質量%)を表し、fdは分散剤における不溶部位の割合(質量%)を表し、mpはポリマー微粒子と分散剤の合計質量に対するポリマー微粒子の質量比(質量%)を表す。
前記fの値が50質量%未満だとポリマー微粒子中への媒体の取り込みが多く、粒径の増大や溶解部位が少ないことによる分散安定性の悪化、吐出性能の悪化、吐出後のポリマーとしての力学特性(膜質や構造材の強度)や電子物性(絶縁性や半導体特性など)が劣るために好ましくない。fの値が95質量%よりも多いと、分散不良の成分が多くなり、分散物の沈降後の再分散性が悪化する傾向にあるため好ましくない。fの値は55〜95質量%が好ましく、60〜95質量%がさらに好ましい。
分散剤を併用する場合、ポリマー微粒子を構成するポリマーに対する分散剤の使用量は10〜100質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、10〜50質量%が特に好ましい。
分散剤は低分子であっても高分子であっても良いが、重量平均分子量(Mw)が3000〜300000のであることが好ましい。分散剤がである場合、不溶部位と溶解部位の配置は任意であるが、溶解部位が分散剤の末端に位置するブロックポリマーや、側鎖が溶解部位であるグラフトポリマーが好ましい。なかでも特に、溶解部位−不溶部位−溶解部位の連鎖を持つブロックポリマー、不溶部位−溶解部位の連鎖を持つブロックポリマー、側鎖が溶解部位であるグラフトコポリマーがより好ましく、不溶部位−溶解部位の連鎖を持つブロックポリマー、側鎖が溶解部位であるグラフトコポリマーが特に好ましい。
ポリマー微粒子を構成するポリマー(および分散剤を併用する場合は、その分散剤)における溶解部位、不溶部位の構造は媒体によっても変化するが、炭化水素系溶剤を媒体に用いる場合の溶解部位、不溶部位の具体例を示す。
溶解部位の具体例としては、ポリオレフィン類(例えば、ポリエチレン、ポリイソプレン、ポリ塩化ビニル、ポリノルボルネン、ポリブタジエンなど)、ポリスチレン類(例えば、ポリスチレン、置換基にアルキル基を有する置換スチレンポリマーなど)、炭素数6から18のアルキル基をエステルとするポリ(メタ)アクリレート類(例えば、ポリオクチル(メタ)アクリレート、ポリドデシル(メタ)アクリレート、ポリオクタデシル(メタ)アクリレートなど)、アルコキシ基が炭素数6以上のポリビニルエーテル類(例えば、ポリヘキシルビニルエーテル、ポリオクチルビニルエーテルなど)、シリコーン樹脂などである。
不溶部位の具体例としては、
ポリウレタン類(例えば、ポリオール系ポリウレタン、シリコーン変性ポリウレタンなど)、ポリエステル類(例えば、ポリアリレート、ポリアルキレンナフタレート、ポリアルキレンフタレート、エポキシ変性ポリエステル、不飽和ポリエステルなど)、ポリアミド類(例えば、全芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミドなど)、ポリイミド類(例えば、全芳香族ポリイミド、脂肪族ポリイミドなど)、ポリウレタン・ウレア類(例えば、ポリウレタン、ポリウレアなど)、ポリカーボネート類(例えば、ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリカーボネートなど)、ポリエーテルスルホン類(例えば、ポリエーテルスルホン樹脂など)、炭素数1から5のアルキル基をエステルとするポリ(メタ)アクリレート類(例えば、ポリオクチル(メタ)アクリレート、ポリドデシル(メタ)アクリレート、ポリオクタデシル(メタ)アクリレートなど)、アルコキシ基が炭素数5以下のポリビニルエーテル類(例えば、ポリヘキシルビニルエーテル、ポリオクチルビニルエーテルなど)、多糖類(例えば、セルロース、変性セルロースなど)などである。
ポリマーは所望の機能を有するものであれば何れの性質のものでも使用できるが、電気的物性からいえば絶縁体あるいは半導体であることが好ましく、力学的物性からいえばフィルムあるいは立体物を形成した場合に、強靭なものが好ましい。例えばフィルムを形成した場合の弾性率は0.5GPa以上が好ましい。
絶縁体の例としては、ポリヒドロキシスチレン、ポリイミド、ポリメタクリレート、ポリアクリレートなどが挙げられ、半導体の例としては、チオフェン部位、アリーレンビニレン部位などを有するポリマーなどが挙げられる。
ポリマー微粒子は吐出後の加熱処理で融着するのが好ましい。具体的にはポリマー微粒子の全体あるいは一部(さらに分散剤を用いている場合にはその分散剤のガラス転移点が350℃以下であることが好ましく、50℃〜250℃であるのがより好ましく、50℃〜200℃であるのが特に好ましい。50℃未満であると分散物がインクの状態でも凝集や融着を起こしやすくなり、350℃よりも高いと熱処理時にポリマーの変色や変質、分解などが起こりやすくなるため好ましくない。
前記ポリマー微粒子を構成するポリマーの具体例を以下に列挙する。なお、これらの具体例は分散剤を併用する/しないに依存しない。また、本発明は、これらの具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2007246556
Figure 2007246556
Figure 2007246556
Figure 2007246556
Figure 2007246556
−媒体−
媒体(キャリア液ともいう)はインクジェット用油性インクの液体成分である。媒体は、水を実質的に含有しない有機溶剤であれば特に制限はないが、静電方式インクジェット方式の場合には、高い電気抵抗率(10Ω・cm以上、好ましくは1010Ω・cm以上)を有する誘電性の液体であるのが好ましい。媒体の電気抵抗が低いと、制御電極に印加される駆動電圧により、媒体自身が電荷注入を受けて帯電してしまい、微粒子の濃縮がおこらない。また、電気抵抗の低い媒体は、隣接する制御電極間での電気的導通を生じさせる懸念もあるため不向きである。
媒体として用いられる誘電性液体の比誘電率は、5以下が好ましく、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3.5以下である。このような比誘電率の範囲とすることによって、媒体中の微粒子に有効に電界が作用し、泳動が起こりやすくなる。
なお、このような媒体の固有電気抵抗の上限値は1016Ω・cm程度であるのが望ましく、比誘電率の下限値は1.9程度であるのが望ましい。媒体の電気抵抗が上記範囲であるのが望ましい理由は、電気抵抗が低くなると、低電界下でのインクの吐出が悪くなるからであり、比誘電率が上記範囲であるのが望ましい理由は、誘電率が高くなると溶媒の分極により電界が緩和され、これにより形成されたドットの色が薄くなったり、滲みを生じたりするからである。水を実質的に含有しないとは、水の含有量が2%以下であることをいう。
媒体の具体例としては、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノンなど)、炭化水素系溶剤(直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、または芳香族炭化水素、および、これらの炭化水素のハロゲン置換体であり、例えば、へキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM(アイソパー:エクソン社の商品名)、シェルゾール70、シェルゾール71(シェルゾール:シェルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ:スピリッツ社の商品名)など)、アルコール系溶剤(メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノールなど)、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなど)、エーテル系溶剤(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、アミド系溶剤(N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなど)、シリコーン系溶剤(シリコーンオイル、例えば、信越シリコーン社製KF−96Lなど)などが挙げられ、ケトン系溶剤、炭化水素系溶剤、またはシリコーン系溶剤が好ましく、炭化水素系溶剤、またはシリコーン系溶剤が特に好ましい。これらを単独で用いても良いし2種以上を併用しても良い。
−ポリマー微粒子の製造−
本発明のポリマー微粒子(および分散剤との混合物)を製造する方法としては、固体状のポリマーを粉砕する方法、ポリマーを析出分散する方法、モノマーを重合する工程で微粒子とする方法などが挙げられ、ポリマーを析出分散する方法、またはモノマーを重合する工程で微粒子とする方法が好ましく、ポリマーを析出分散する方法が特に好ましい。良好な膜質を得るためのポリマーは強靭なために、固体状のポリマーを粉砕する方法では粉砕が困難な場合が多く、モノマーを重合する工程で微粒子とする方法は適用できるモノマー範囲が限定されるために、汎用性の点では劣る傾向にある。
固体状のポリマーを粉砕する方法について説明する。ポリマー(分散剤を併用する場合はポリマーと分散剤の混合物)を分散機にて処理し、ポリマーを微粒子状に分散させる。分散は媒体あるいは媒体と有機溶剤の混合物中で処理される。また、処理に用いる分散機としては、例えばメディア型分散機や衝突型分散機が挙げられる。メディア型分散機とは、ベッセル内で、ガラス、アルミナ、ジルコニア、スチール、タングステンなどの小径のメディアを高速で運動させ、そのあいだを通過するスラリーをメディア間の剪断力で摩砕させるものをいう。かかるメディア型分散機の具体例としては、たとえば、ボールミル、サンドミル、パールミル、アジテータミル、コボールミル、ウルトラビスコミル、スパイクミル、ウルトラファインミルなどが挙げられる。衝突型分散機とは、1つの壁面に流体を高速で衝突させるか、流体同士を高速で衝突させて流体中の固形物を粉砕させるものをいう。かかる衝突型分散機の具体例としては、たとえばナノマイザー、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、アルチマイザーなどが挙げられる。これら以外にもロールミル、超音波分散機など他の公知の分散機を用いてもよい。
ポリマーを析出分散する方法について説明する。基本的にはポリマー(分散剤を併用する場合はポリマーと分散剤の混合物)を溶解させた液を媒体と混合し、ポリマーを微粒子状に分散させる。
この方法の第一の例は、分散剤を併用しない場合であって、有機溶剤(後記参照)にポリマーを溶解したポリマー溶液を調製する第一の工程と、前記ポリマー溶液と媒体を含む液とを混合してポリマー分散物を調製する第二の工程とを含む。
この方法の第二の例は、分散剤を併用する場合であって、有機溶剤にポリマーを溶解したポリマー溶液を調製する第一の工程と、媒体を主成分とする液に分散剤を溶解した分散剤溶液を調整する第二の工程と、ポリマー溶液と分散剤溶液とを混合して分散物を調製する第三の工程とを含む。
この方法の第三の例は、分散剤を併用する場合であって、有機溶剤にポリマーを溶解したポリマー溶液を調製する第一の工程と、有機溶剤に分散剤を溶解あるいは分散した分散剤液を調整する第二の工程と、ポリマー溶液と分散剤液と媒体とを混合して分散物を調製する第三の工程とを含む。
モノマーを重合する工程で微粒子とする方法について説明する。基本的には媒体あるいはその他の有機溶剤中でモノマーを重合させてポリマーを微粒子状に分散させる。
この方法の第一の例は、不溶部位(あるいは重合したときに不溶部位となる部位)を有するモノマーが溶解する有機溶剤であって、かつ、不溶部位(あるいは重合したときに不溶部位となる部位)を有するモノマーが重合したポリマーが不溶である有機溶剤中に、該モノマー(さらに必要に応じて重合に必要な開始剤や触媒など)を溶解したモノマー溶液を調製する第一の工程と、モノマー溶液を重合させてポリマー微粒子液を調整する第二の工程と、ポリマー微粒子に分散剤を吸着させる第三の工程とを含む。このとき分散剤は初めからモノマー溶液に加える場合、微粒子調整途中または調整後に加える場合の何れでも良い。
この方法の第二の例は、不溶部位(あるいは重合したときに不溶部位となる部位)を有するモノマーが溶解する有機溶剤であって、かつ、不溶部位(あるいは重合したときに不溶部位となる部位)を有するモノマーが重合したポリマーが不溶である有機溶剤中に、該モノマーと、溶解部位(あるいは重合したときに溶解部位となる部位)を有するモノマー(さらに必要に応じて重合に必要な開始剤や触媒など)とを溶解したモノマー溶液を調製する第一の工程と、モノマー溶液を重合させる第二の工程とを含む。
ポリマー微粒子は媒体あるいはそれ以外の有機溶剤、媒体とそれ以外の有機溶剤との混合物の何れを用いて調製してもよいが、インクジェット用油性インクに使用される媒体あるいは媒体とそれ以外の溶剤との混合物を用いて調製することが好ましい。
ポリマー微粒子の含有量としては、油性インク全質量の0.1〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。含有量は、希釈、蒸発、限外濾過等により適宜調整することができる。
ポリマー微粒子の平均粒径としては、インクジェットの方式に依存するが、ピエゾ方式やサーマル方式などの孔状のヘッドを有するものでは、ヘッドの直径の1/1000〜1/2が好ましく、1/1000〜1/10がより好ましく、1/1000〜1/20が特に好ましい。静電方式では、0.1〜5μmが好ましく、0.2〜1.5μmがより好ましく、0.4〜1.0μmが特に好ましい。
粒径分布に関しては特に制限はなく、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよいが、単分散の粒径分布を持つものがより好ましい。前記粒径、前記粒径分布は、遠心分離、濾過等の手段により、調整することもできる。
微粒子の状態で加熱や光照射などにより、ポリマーを反応あるいは変性させるなどの処理を行っても良い。
−有機溶剤−
ポリマー微粒子を製造する際に用いる有機溶剤としては、特に制限はなく、ポリマーの溶解性に基づいて適宜選択することができ、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。有機溶剤は単独で用いても良いし2種以上を併用しても良い。
前記有機溶剤の使用量としては、本発明の効果を害しない範囲内であれば特に制限はないが、前記ポリマー100質量部に対し、10〜2000質量部が好ましく、100〜1000質量部がより好ましい。
前記有機溶剤の使用量が、10質量部未満であると、ポリマー微粒子の微細で安定な分散が難しくなる傾向があり、2000質量部を超えると、前記有機溶剤を除去するための脱溶媒と濃縮の工程が必須かつ煩雑となり、かつ配合設計上の余裕がなくなる傾向がある。
前記有機溶剤は、ポリマー微粒子の安定性の観点から有機溶剤を除去するのが好ましい。有機溶剤を除去する方法は溶剤の種類に応じて各種の公知の方法を用いることが出来る。即ち、蒸発法、真空蒸発法、相分離、限外濾過法等である。この有機溶剤の除去工程は分散直後、出来るだけ速やかに行うのが好ましい。
(インクジェット用油性インク、インクジェト記録方法)
本発明のインクジェット用油性インクは、ポリマー微粒子を含有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の添加剤を含有してなる。なお前記その他の添加剤としては、荷電制御剤、色材、表面張力調整剤、分散安定剤、酸化防止剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、キレート剤、紫外線吸収剤等等の公知添加剤が挙げられる。
−その他の添加剤−
荷電制御剤は、静電方式インクジェット方式に用いる油性インクの場合は添加するのが好ましく、ポリマー微粒子の内部、表面、媒体中の何れに含まれていても良いが、ポリマー微粒子の内部あるいは表面に含まれるのが好ましい。荷電制御剤は、電子写真液体現像剤に用いられている各種のものが利用可能であり、また、「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」139〜148頁、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁(コロナ社、1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44頁(1977年)等に記載の各種の荷電制御剤も利用可能である。
なお、ポリマー微粒子は、制御電極に印加される駆動電圧と同極性であれば、正電荷および負電荷のいずれに荷電したものであってもよい。
また、ポリマー微粒子の荷電量は、好ましくは5〜200μC/g、より好ましくは10〜150μC/g、さらに好ましくは15〜100μC/gの範囲である。
また、荷電制御剤の添加によって誘電性溶媒の電気抵抗が変化することもあるため、下記数式(2)のより定義される分配率Pを、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上とする。
P=100×(σ1−σ2)/σ1 ・・・(2)
ここで、上記数式(2)において、σ1は、インクの電気伝導度、σ2は、インクを遠心分離器にかけた上澄みの電気伝導度である。電気伝導度は、LCRメーター(安藤電気(株)社製AG−4311)および液体用電極(川口電機製作所(株)社製LP−05型)を使用し、印加電圧5V、周波数1kHzの条件で測定を行った値である。また遠心分離は、小型高速冷却遠心機(トミー精工(株)社製SRX−201)を使用し、回転速度14500rpm、温度23℃の条件で30分間行った。
以上のようなインクを用いることによって、荷電粒子の泳動が起こりやすくなり、濃縮しやすくなる。
色材は、本発明の目的の効果を妨げない範囲内で使用することが好ましい。色材の添加量は、ポリマー微粒子に対して10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
色材としては、従来からインクジェットインク組成物、印刷用(油性)インキ組成物、あるいは静電写真用液体現像剤に用いられている顔料および染料であればどれでも使用可能である。
色材として用いる顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用することができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、コバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、等の従来公知の顔料を特に限定されることなく用いることができる。
色材として用いる染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、アニリン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染料が好ましく例示される。
本発明のインクに用いられうる表面張力調整剤、分散安定剤、酸化防止剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、キレート剤、紫外線吸収剤等の添加剤は、特開2001−181549号公報などに記載されている公知の化合物を使用することができる。
インクの電気伝導度は、インクジェットの方式に依存するが、静電方式では100〜3000pS/cmが好ましく、より好ましくは150〜2500pS/cm、さらに好ましくは200〜2000pS/cmである。以上のような電気伝導度の範囲とすることによって、制御電極に印加する電圧が極端に高くならず、隣接する記録電極間での電気的導通を生じさせる懸念もない。
また、インクの表面張力は、15〜50mN/mの範囲が好ましく、15.5〜45mN/mがより好ましく、16〜40mN/mの範囲が特に好ましい。表面張力をこの範囲とすることによって、制御電極に印加する電圧が極端に高くならず、ヘッド周りにインクが漏れ広がり汚染することがない。
さらに、インクの粘度は、インクジェットの方式に依存するが、ピエゾ方式やサーマル方式では0.5〜200mPa・secが好ましく、0.6〜100mPa・secがより好ましく、0.7〜50mPa・secが更に好ましく、0.7〜20mPa・secが特に好ましい。静電方式では0.5〜5mPa・secが好ましく、0.6〜3.0mPa・secがより好ましく、0.7〜2.0mPa・secが特に好ましい。
−インクジェト記録方法−
本発明のインクジェット用油性インクを用いたインクジェット記録方式には、特に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる静電方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式、等のいずれであってもよいが、静電方式が好ましい。
[実施例]
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において「部」及び「%」は、特に断りがない限り、「質量部」及び「質量%」を表す。
−製造例1(インク1の調製)−
テトラヒドロフラン 25部、2−ブタノン 10部、ポリマー(P−4)3部、ビス(フタルイミドフェニルスルホン)0.06部の溶液に、攪拌しながら、アイソパーG 40部を徐々に添加し、ポリマー分散物を作成した。分散液を攪拌した後に1分間静置してから濁った上澄み液を20部除いた後、さらにアイソパーGを20部加える操作の繰り返しを3回行った。
この液を減圧下30℃で濃縮し、固形分8%のポリマー分散液を調製した。得られた液をインク1とした。
アイソパーGを媒体に用いてポリマー(P−4)の判断ポリマーの溶解性を調査したところ、ポリアクリル酸オクタデシル部位が溶解性部位、ポリイミド部位が不溶部位であった。
−製造例2(インク2の調製)−
テトラヒドロフラン 27部、2−ブタノン 8部、ポリマー(P−21)2部、分散剤(D−1)0.8部、N−ベンジル−N,N−ジメチル−3−ジフェニルメチルシリルプロピルアンモニウム=テトラ(4−フルオロフェニル)ボレート0.1部の溶液に、攪拌しながら、アイソパーG 40部とヘプタン 20部の混合溶液を徐々に添加し、ポリマー分散物を作成した。分散液を攪拌した後に1分間静置してから濁った上澄み液を20部除いた後、さらにアイソパーGを20部加える操作の繰り返しを3回行った。
この液を減圧下30℃で濃縮し、固形分8%のポリマー分散液を調製した。得られた液をインク2とした。
製造例1と同様に、ポリマー(P−21)の判断ポリマーの溶解性を調査したところ、ポリイミド部位が不溶部位であり、溶解部位はなかった。
分散剤(D−1)(ブロックポリマー)
Figure 2007246556
−製造例3(インク3の調製)−
ジメチルアセトアミド 20部、ポリマー(P−22)1.1部、分散剤(D−1)0.4部、ポリ(1−オクタデセン−co−N−ヘキサデシルマレイミド−co−N−ヘキサデシルマレインアミド酸)0.03部の溶液に、攪拌しながら、アイソパーG 40部とヘプタン 20部の混合溶液を徐々に添加し、更に、水 10部を添加してポリマー分散物を作成した。
分散液を5分間静置してから下層を除いた後、更に水を10部加えてから攪拌する操作を2回行った。最後に下層を除去した後、モレキュラーシーブで脱水してから、分散物を濃縮し、を減圧下30℃で濃縮し、固形分8%のポリマー分散液を調製した。得られた液をインク3とした。
製造例1と同様に、ポリマー(P−22)の判断ポリマーの溶解性を調査したところ、ポリアミド部位が不溶部位であり、溶解部位はなかった。
−製造例4(インク4の調製)−
製造例1において、ポリマー(P−4)の替わりにポリマー(P−5)を用いた以外は製造例1と同様にして、インク4を作成した。
製造例1と同様に、ポリマー(P−5)の判断ポリマーの溶解性を調査したところ、ポリアクリル酸オクタデシル部位が溶解性部位、ポリメタクリル酸メチル部位が不溶部位であった。
−製造例5(インク5の調製)−
テトラヒドロフラン 25部、2−ブタノン 10部、ポリメタクリル酸ヘキサデシル 3部、ビス(フタルイミドフェニルスルホン)0.06部の溶液に、攪拌しながら、アイソパーG 40部を徐々に添加した。ポリマーは分散物とはならずに溶液となった。この液を減圧下30℃で濃縮し、固形分8%のポリマー分散液を調製した。得られた液をインク5とした。
製造例1と同様に、判断ポリマーの溶解性を調査したところ、ポリメタクリル酸ヘキサデシルは溶解部位であり、不溶部位はなかった。
−製造例6(インク6の調製)−
製造例1において、荷電制御剤のビス(フタルイミドフェニルスルホン)を使用しない以外は製造例1と同様にして、インク6を作成した。
−製造例7(インク7の調製)−
製造例2において、分散剤(D−1)の替わりに分散剤(D−2)を用いた以外は製造例2と同様にして、インク7を作成した。
分散剤(D−2)(ランダムポリマー)
Figure 2007246556
−製造例8(インク8〜10の調製)−
製造例1において、ポリマー(P−4)の替わりにポリマー(P−4)と同様の構造単位であり、溶解部位と不溶部位の比率が異なるポリマー(P−4a)、(P−4b)、(P−4c)を用いた以外は製造例1と同様にして、インク8〜10を作成した。
−製造例9(インク11の調製)−
製造例4において、ポリマー(P−5)の替わりにポリマー(P−5)と同様の共重合比率でランダムポリマーのものP−5(R)を用いた以外は製造例4と同様にして、インク11を作成した。
<インクの吐出>
インク1から13を用いて、図1の静電式インクジェット装置でインク吐出性能について評価した。
インク吐出性能は、インクを吐出させたときのドットの大きさ、着弾精度、応答性などを総合的に評価した。インク吐出性能の評価は、吐出性能が優れているものを○とし、インクの吐出が困難なものを△、インクの吐出が殆どできなかったものを×とした。分散安定性は、25℃で1週間保存した後に、攪拌により分散が回復するものを○とし、僅かに凝集が生じるものを△、凝集が多いものを×とした。これらの結果を下記表1に示す。表の不溶部位(質量%)には、分散剤を使用しない場合にはポリマー微粒子を構成するポリマー中の不溶部位の含量を、分散剤を使用する場合にはfの値を、それぞれ示した。
Figure 2007246556
表中、P16MA:ポリメタクリル酸ヘキサデシル
インク12:特開平7−268264号公報の実施例1(樹脂EVA550)の樹脂分散物を用いて固形分を8%としたインク
インク13:インク12に製造例1に用いた荷電制御剤ビス(フタルイミドフェニルスルホン)をポリマーに対して同じ質量%で使用したインク
分散粒子でないインク5や印刷インキ用の樹脂分散物を希釈したインク12、13は粘度が高く吐出が不可能であったのに対し、本発明のインクは同様のポリマー固形分でもインク粘度が低く、吐出に適しており、分散安定性も優れていた。
同じポリマー構造単位をもち、不溶部位の含有量が90から65質量%のインク1、8、9は吐出性能、分散性とも優れているが、溶解部位が58質量%のインク10は吐出性能が低下している。
溶解部位がポリマーの末端に存在するインク4の方が、溶解部位がポリマー中にランダムに存在するインク11よりも吐出性能、分散性とも優れていることがわかる。
分散剤はブロックポリマーを用いたインク2の方が、分散剤がブロックポリマーでないインク7よりも吐出性能、分散性とも優れていることがわかる。
更に、静電インクジェット装置での吐出は荷電制御剤を含む方が吐出性能が良好なことがわかる。
−製造例10(インク20の調製)−
製造例3において、ポリマー(P−22)の替わりにポリマー(P−10)を用いた以外は製造例3と同様にして、インク20を作成した。
製造例1と同様に、ポリマー(P−10)の判断ポリマーの溶解性を調査したところ、ポリイミド部位が不溶部位であり、溶解部位はなかった。
−製造例11(インク21の調製)−
製造例2において、ポリマー(P−21)と同様の構造単位であるが、共重合比が30:70ではなく50:50のポリマーを用いた以外は製造例2と同様にして、インク21を作成した。
−製造例12(インク22の調製)−
製造例2において、ポリマー(P−21)の替わりにポリイミド:[(ビシクロ[2.2.2]オクタ−2,3,5,6−テトラカルボン酸)−alt−(2,2’−ジトリフルオロメチルベンジジン)]を用いた以外は製造例2と同様にして、インク22を作成した。
製造例1と同様に、判断ポリマーの溶解性を調査したところ、ポリイミド部位が不溶部位であり、溶解部位はなかった。
<インク製膜試験>
実施例1と同様の装置でステンレス板上に吐出と室温乾燥を繰り返し、乾燥厚さが40μmのベタのパターン形成を行った。更に、温度を変えて加熱処理を行い、基板から剥離して、折り曲げ評価と外見評価を行った。何れのインクもインク吐出性能は良好だった。
折り曲げ評価は、フィルムを曲げたときに割れが生じないもの○とし、割れが生じたものを×とした。外見評価は、フィルムの面状が良く着色が殆どないものを○とし、面状が悪いものあるいは著しく着色したものを×とした。これらの結果を下記表2に示す。
Figure 2007246556
何れのインクもガラス転移温度(Tg)付近あるいはそれ以上の加熱で折り曲げが良好なフィルムが得られたが、処理温度400℃では着色が生じるために外見評価は劣る結果となった。したがって、製膜性能の観点からはTgが350℃以下であることが好ましいことがわかる。
−製造例13(インク30の調製)−
テトラヒドロフラン 27部、2−ブタノン 8部、ポリマー(P−21)2部、色材(M−1)を所定量(表3参照)、分散剤(D−1)0.8部、N−ベンジル−N,N−ジメチル−3−ジフェニルメチルシリルプロピルアンモニウム=テトラ(4−フルオロフェニル)ボレート0.1部の溶液に、攪拌しながら、アイソパーG 40部とヘプタン 20部の混合溶液を徐々に添加し、ポリマー分散物を作成した。分散液を攪拌した後に1分間静置してから濁った上澄み液を20部除いた後、さらにアイソパーGを20部加える操作の繰り返しを3回行った。
この液を減圧下30℃で濃縮し、固形分8%のポリマー分散液を調製した。得られた液をインク30a〜cとした。
−製造例14(インク31の調製)−
製造例13において、色材(M−1)の替わりに C.I.Pigment Red 122.を用いた以外は製造例2と同様にして、インク31a〜cを作成した。
<インク製膜>
インク30、インク31を用いて、実施例2と同様にしてフィルムを得た。熱処理はポリマー(P−21)のTg以上の350℃で行った。
フィルムを90℃相対湿度80%24時間および90℃相対湿度30%24時間のサイクル試験を10回行った後に実施例1と同様の折り曲げ評価を行った。
Figure 2007246556
Figure 2007246556
何れのインクもフィルム形成後未処理の条件では折り曲げは良好であったが、サイクル試験後では色材が10質量%以上のインクは折り曲げが劣る結果となった。したがって、加熱強制試験の観点からは色材が10質量%以下であることが好ましいことがわかる。
図1は静電式インクジェット装置のインクジェットヘッド部分を表す。
符号の説明
P 被記録材
Q インク
R インク滴
100 インクジェットヘッド
102 ヘッド基板
104 インクガイド
104a 凸状の先端部分
106 絶縁性基板
108 制御電極
110 対向電極
112 DCバイアス電圧源
114 パルス電圧源
116 貫通孔(吐出口)
118 インクQの流路

Claims (10)

  1. 媒体と、媒体中にポリマー微粒子とを有するインクジェット用油性インクにおいて、該ポリマー微粒子を構成するポリマーが不溶部位と溶解部位を共に有し、該不溶部位の割合が50〜95質量%であることを特徴とするインクジェット用油性インク。
  2. 前記ポリマー微粒子を構成するポリマーにおいて、溶解部位がポリマー鎖の末端または側鎖に位置することを特徴とする、請求項1に記載のインクジェット用油性インク。
  3. 媒体と、媒体中にポリマー微粒子と分散剤とを有するインクジェット用油性インクにおいて、該ポリマー微粒子を構成するポリマーが55質量%以上の不溶部位を有し、該分散剤が不溶部位と溶解部位を共に有し、かつ下記式fで表される値が50〜95質量%であることを特徴とするインクジェット用油性インク。
    Figure 2007246556
    ここで、fpはポリマー微粒子を構成するポリマーにおける不溶部位の割合(質量%)を表し、fdは分散剤における不溶部位の割合(質量%)を表し、mpはポリマー微粒子と分散剤の合計質量に対するポリマー微粒子の質量比(質量%)を表す。
  4. 前記分散剤が重量平均分子量2000〜300000のポリマーであることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット用油性インク。
  5. 前記分散剤の溶解部位がポリマー鎖の末端または側鎖に位置することを特徴とする、請求項4に記載のインクジェット用油性インク。
  6. 前記ポリマー微粒子が帯電粒子であり、かつ前記媒体が10Ω・cm以上の電気抵抗率を有する誘電性の液体であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット用油性インク。
  7. 前記ポリマー微粒子を構成するポリマーが有機絶縁体または有機半導体であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット用油性インク。
  8. 前記ポリマー微粒子に対して10質量%以下の色材を媒体中に含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット用油性インク。
  9. 前記ポリマー微粒子を構成するポリマーのガラス転移温度が350℃以下であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット用油性インク。
  10. 請求項6〜9のいずれか1項に記載のインクに静電力を作用させてインクを吐出させる記録工程を含むことを特徴とする、インクジェット記録方法。
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