JP2007245690A - 平版印刷版原版、平版印刷版原版の製造方法及び印刷方法 - Google Patents

平版印刷版原版、平版印刷版原版の製造方法及び印刷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】機上現像性、耐刷性も良好で、明室保存性、傷耐性に優れ取り扱いの良好な平版印刷版の提供。
【解決手段】支持体上に、画像記録層、保護層を順じ有する平版印刷版原版であって、画像記録層に重合性化合物、ラジカル重合開始剤、およびバインダーポリマーを有し、保護層にワックス粒子を含み、ワックス粒子の保護層固形分量に対しての添加量をA(%)とすると、10<A≦80であることを特徴とする平版印刷版原版。
【選択図】なし

Description

本発明は、平版印刷版原版、平版印刷版原版の製造方法及び印刷方法に関するものであり、詳しくは、ディジタル信号に基づいた画像記録が可能であり、安定した印刷物を得ることができる平版印刷版原版、平版印刷版原版の製造方法及び印刷方法に関する。
従来の印刷工程は、原稿画像からネガもしくはポジフィルムを作製し、フィルムを介してアルミ砂目支持体上に感光層を有する平版印刷版材料(平版印刷版原版)に画像を露光し、アルカリ性現像液で現像処理を行うことで平版印刷版を作製し、これを印刷機に取り付け印刷するという手順で行われてきた。
近年、コンピューターの普及に伴い、フィルムを介さずに原稿画像データを直接印刷版に描画するコンピューター・トゥー・プレート(CTP)技術が普及しつつあり、フィルム作製に要していた時間短縮、コスト削減が可能となってきている。又印刷物のニーズとして、数千枚〜1万枚程度の刷り枚数で多種の高品質画像を印刷する、少部数多品種の傾向が高くなってきた。この為、描画時間が短く、高解像度が得られるヒートモードレーザー記録を用いた刷版作製がCTPの主流となりつつある。
CTPの普及と同期して印刷環境もオフィス化が進み、又環境適性の面からもアルカリ現像液を必要としない、更には全く現像処理を必要としない平版印刷版材料が望まれるようになってきた。
例えば特開平9−123387号、同9−123388号、同9−131850号には親水性結合剤中に分散された熱可塑性粒子を含有する平版印刷版原版を印刷機に取り付け、印刷機上で現像して平版印刷版を作製する方法を開示している。これらの技術に依ればアルカリ現像を施すことなく、又現像機も要することなく刷版作製が可能であり、擬似的に現像処理不要の平版印刷版を提供できる。
平版印刷版原版においては、支持体に親水性のアルミ基板を用いず近年プラスチックフィルムを支持体として用い得ることも記載されている。
プラスチックフィルムは金属に比較して熱伝導性が低く、画像形成の際のレーザー露光により感熱層において発生する熱を支持体へと拡散させることなく、効率よく画像形成に利用でき、さらに、アルミニウム支持体に比較して安価であるという利点も有している。
これらのプラスチックフィルムを支持体に用いた刷版として特許文献1には表面をコロナ処理した支持体の使用例が挙げられており、特許文献2にはプラズマ処理した支持体が開示されている。
従来、画像記録層の上には、汚れやほこりから画像記録層を保護するため、また、画像記録層がラジカル重合による画像形成要素を含む場合には、重合性ラジカルが空気中の酸素と反応して不活性化されるのを防ぐための酸素遮断層として、水溶性樹脂などからなる保護層を設けることが一般に行われる。
しかしながら、機上現像可能な平版印刷版原版においては、保護層を設けると、湿し水に対する溶解速度が遅くなり、機上現像性が不十分であり、改良が望まれていた。
特開平9−314794号公報 特開平11−245530号公報
本発明の目的は機上現像性、耐刷性も良好で、明室保存性、傷耐性に優れ取り扱いの良好な平版印刷版を提供することにある。
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
1.支持体上に、画像記録層、保護層を順じ有する平版印刷版原版であって、画像記録層に重合性化合物、ラジカル重合開始剤、およびバインダーポリマーを有し、保護層にワックス粒子を含み、ワックス粒子の保護層固形分量に対しての添加量をA(%)とすると、10<A≦80であることを特徴とする平版印刷版原版。
2.画像記録層の付き量をB(g/m2)、保護層の付き量をC(g/m2)とすると0.5<C/B≦6であることを特徴とする前記1に記載の平版印刷版原版。
3.ワックス粒子がカルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、キャンデリラワックス又はパラフィンワックスから選ばれる少なくとも1種のワックスであることを特徴とする前記1又は2に記載の平版印刷版原版。
4.前記1〜3の何れか1項に記載の平版印刷版原版をバー塗布方法で製造することを特徴とする平版印刷版原版の製造方法。
5.前記1〜3の何れか1項に記載の平版印刷版原版を画像情報に基づきレーザー露光し、機上現像処理を行い印刷することを特徴とする印刷方法。
即ち、本発明者は支持体上に、画像記録層、保護層を順じ有する平版印刷版原版であって、画像記録層にラジカル重合開始剤、重合性化合物、およびバインダーポリマーを有し、保護層にワックス粒子を含むことが重要であることを見いだした。
本発明者は保護層にワックス粒子を含むことで、従来問題として抱えていた機上現像可能な平版印刷版原版の機上現像性を著しく改善できることも始めて見出した。
即ち、保護層にワックス粒子を含むとインキに対する親和性が高くなり、そのことで保護層自身の膜が剥離されやすくなる、また表面に微細な凹凸が付与されることで湿し水の保護層に対する浸透性も速くなり、結果的に機上現像性を著しく改善されると推定している。
また、保護層にワックス粒子を用いることで保護層膜面に微細な凹凸付与されることで膜面に外部圧力が直接伝わることなく、結果的に外部傷も良化すると推定している。
本発明者はワックス粒子の添加量Aが80%を超えると、重合性化合物の重合を阻害し、10%未満であると本効果が見られないことも見いだした。
更に、本発明者は画像形成部は、ワックスとインキの親和力があるために感度、耐刷力も向上することも見いだした。
本発明による平版印刷版及び印刷方法は機上現像性、耐刷性も良好で、明室保存性、傷耐性にも優れ取り扱いが良好で優れた効果を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。
〜画像形成層のワックス粒子〜
本発明の平版印刷版原版の画像形成層は、熱により融着可能なワックス粒子を有することが重要である。
熱により融着可能なワックス粒子は、溶剤に分散されていても、水に分散されていても良く、特に制限はない。これらの融点が50〜180℃のものが好ましく、更に好ましくは70〜150℃である。またワックス粒子の表面エネルギーの親水性成分が1×10-4N/cm2以下であることが好ましい。
本発明のワックス粒子としてはカルナバワックス、蜜蝋、鯨蝋、木蝋、ホホバ油、ラノリン、オゾケライト、パラフィンワックス、モンタンワックス類、キャンデリラワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等が挙げられる。
特に好ましいワックス粒子としては、カルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、キャンデリラワックス、パラフィンワックスである。
ワックス粒子は1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
乳化しやすくするためにこれらのワックス粒子を酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入しても良い。
〜画像形成層と保護層の付き量〜
画像記録層の付き量をB(g/m2)、保護層の付き量をC(g/m2)とすると0.5<C/B≦6であると印刷性能のバランスが良い。
C/Bが6を超えると保護層が画像形成層に比べ厚くなり機上現像しにくくなることで印刷性能のバランスが悪くなる傾向があり、0.5以下であると保護層が画像形成層に比べ薄くなり重合阻害を起こしやすい傾向にある。
〜光熱変換材料〜
本発明の平版印刷版材料は、光熱変換材料を含有する層を有することが好ましい。
光熱変換材料を有する層は、画像形成層またはその隣接層であることが好ましく、特に画像形成層であることが好ましい。
光熱変換材料としては赤外吸収色素または顔料を用いることができる。
〈赤外吸収色素〉
赤外吸収色素としては、一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素等の有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体等が挙げられる。
具体的には、特開昭63−139191号、同64−33547号、特開平1−160683号、同1−280750号、同1−293342号、同2−2074号、同3−26593号、同3−30991号、同3−34891号、同3−36093号、同3−36094号、同3−36095号、同3−42281号、同3−97589号、同3−103476号、同7−43851号、同7−102179号、特開2001−117201号の各公報等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。
〈顔料〉
顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。
カーボンとしては、特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。
グラファイトとしては、粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
金属としては、粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。
形状としては球状、片状、針状等何れの形状でもよい。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。
可視光域で黒色を呈している素材しては、黒色酸化鉄(Fe34)や、二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。
具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは特開平8−27393号、同9−25126号、同9−237570号、同9−241529号、同10−231441号の各公報等に開示されている方法により製造することができる。本発明に用いることができる複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。
これらの複合金属酸化物は光熱変換効率が良好である。これらの複合金属酸化物は平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均1次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。
ただし、添加量に対する光熱変換能は粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。従って、これらの複合金属酸化物粒子は塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。平均1次粒子径が0.01未満となると、分散が困難となるため好ましくない。分散には適宜分散剤を使用することができる。分散剤の添加量は複合金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。分散剤の種類は特に限定しないが、Si元素を含むSi系界面活性剤を用いることが好ましい。
素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材としては、例えば、SbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn23(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)等が挙げられる。また、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al23・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの粒径は0.5μm以下、好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下である。
特に好ましい光熱変換材料としては、前記の赤外吸収色素及び金属酸化物が二種以上の金属の酸化物からなる黒色複合金属酸化物である。
これらの光熱変換材料の添加量としては、これを含む層に対して0.1〜50質量%であり、1〜30質量%が好ましく、3〜25質量%がより好ましい。
〜重合性化合物〜
(ラジカルによって付加重合可能な化合物)
ラジカルによって付加重合可能な化合物としては、特に限定されないが、例えば、エチレン性不飽和重合性化合物等が挙げられる。
エチレン性不飽和重合性化合物は、複数のエチレン性不飽和基を有する(2官能以上である)ことが好ましく、3個以上のエチレン性不飽和基を有する(3官能以上である)ことがより好ましく、4官能以上であることがさらに好ましく、5官能以上であることがさらにまた好ましく、6官能以上であることが最も好ましい。
エチレン性不飽和重合性化合物は、下記一般式(I)で表されることが好ましい。
一般式(I)
L1(−CR1=CR2R3)m
一般式(I)において、L1はm価の連結基であり、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基であり、そして、mは2以上の整数である。
mが2の場合、L1は、アルキレン基、置換アルキレン基、アリーレン基、置換アリーレン基、二価の複素環基、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−CO−、−SO−、−SO2−およびそれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。Rは、アルキル基、置換アルキル基、アリール基または置換アリール基である。
アルキレン基およびアルキル基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。アルキレン基およびアルキル基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至15であることがより好ましく、1乃至10であることがさらに好ましく、1乃至8であることが最も好ましい。
置換アルキレン基および置換アルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、アリール基、置換アリール基およびアルコキシ基が含まれる。
アリーレン基は、フェニレンであることが好ましく、p−フェニレンであることが最も好ましい。アリール基は、フェニルであることが好ましい。
二価の複素環基は、置換基を有していてもよい。
置換アリーレン基、置換アリール基および置換複素環基の置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基およびアルコキシ基が含まれる。
mが3以上の場合、L1は、三価以上の脂肪族基、三価以上の芳香族基、三価以上の複素環基、あるいはそれらとアルキレン基、置換アルキレン基、アリーレン基、置換アリーレン基、二価の複素環基、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−N<、−CO−、−SO−または−SO2-との組み合わせであることが好ましい。Rは、アルキル基、置換アルキル基、アリール基または置換アリール基である。
三価以上の脂肪族基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至15であることがより好ましく、1乃至10であることがさらに好ましく、1乃至8であることが最も好ましい。
脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アリール基、置換アリール基およびアルコキシ基が含まれる。
芳香族基は、ベンゼン環残基であることが好ましい。芳香族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基およびアルコキシ基が含まれる。
複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例には、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルコキシ基、オキソ(=O)およびチオ(=S)が含まれる。
L1は、m個の繰り返し単位からなるポリマーの主鎖を構成してもよい。
R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基であることがより好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至3のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子またはメチルであることがさらにまた好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
前記式(I)の連結基L1が、ウレタン結合(−NH−CO−O−または−NR−CO−O−、Rは、アルキル基、置換アルキル基、アリール基または置換アリール基である)を含むと、耐刷性が優れたポリマー画像を形成することができる。ウレタン結合を含む重合性化合物は、特開昭51−37193号、特公平2−32293号および特開2001−117217号の各公報に記載がある。
前記一般式(I)の連結基L1が、液晶性を有する部分構造であってもよい。言い換えると、エチレン性不飽和基(前記式(I)の−CR1=CR2R3)を有する液晶性化合物を、重合性化合物として用いることができる。重合性基を有する液晶性化合物は、光学材料の技術分野、特に位相差板や光学補償シートの製造で普通に使用されている。
エチレン性不飽和基を有する液晶性化合物の融点は、30乃至300℃が好ましく、50乃至270℃がより好ましく、70乃至240℃がさらに好ましく、90乃至210℃が最も好ましい。
液晶化合物に含まれるエチレン性不飽和基の割合は、液晶性化合物1g当たり5.0ミリモル以上であることが好ましく、7.0ミリモル以上であることがさらに好ましい。
液晶性化合物は、棒状液晶性化合物および円盤状液晶性化合物が好ましい。液晶性化合物は、高分子液晶でもよい。
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましい。
棒状液晶性化合物には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性化合物を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状液晶性化合物として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性化合物は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶性化合物については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
棒状液晶性化合物は、その棒状分子構造の両端に、二個のエチレン性不飽和基を有することが好ましい。
棒状液晶性化合物よりも、円盤状(ディスコティック)液晶性化合物の方が好ましい。すなわち、液晶性化合物は、多くのエチレン性不飽和基を有することが好ましい。棒状液晶
性化合物(一般に、エチレン性不飽和基の数は二個以下)よりも、円盤状液晶性化合物(一般に、四個以上のエチレン性不飽和基を導入可能)の方が、多数のエチレン性不飽和基を有することができる。
円盤状液晶性化合物の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルを挙げることができる。
円盤状液晶性化合物は、一般的な分子構造として、上記の分子中心の母核に対して放射線状に、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基が置換した構造の化合物であって、液晶性を示す。
円盤状液晶性化合物の例は、特開平8−50206号公報に記載されている。重合性基を有する円盤状液晶性化合物については、特開平8−27284号公報に記載がある。
〜ラジカル重合開始剤〜
熱によりラジカルを発生する化合物
本発明の平版印刷版用原版の画像形成層に用いられる、熱によりラジカルを発生する化合物について説明する。
(熱によりラジカルを発生する化合物)
熱によりラジカルを発生する化合物(以下、熱ラジカル発生剤とも称する)は、熱エネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進させる化合物を指す。本発明に係る熱ラジカル発生剤としては、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などを選択して使用することができ、例えば、特開2002−137562号、特開2001−343742号、特開2002−148790号の各公報に記載の、オニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、キノンジアジド化合物、メタロセン化合物等が挙げられるが、以下に述べるオニウム塩が高感度であり、好ましい。
熱ラジカル発生剤として好適に用いられるオニウム塩としては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられ、なかでも、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩等が好ましく挙げられる。これらのオニウム塩は酸発生剤としても働くが、別の作用機構で、イオン性のラジカル重合の開始剤としても機能する。熱ラジカル発生剤として好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(II)〜(IV)で表されるオニウム塩であるが、特開2002−46361号、特開2002−29162号の各公報等に記載のカルボン酸イオンとオニウム塩がより好適である。
Figure 2007245690
一般式(II)において、Ar11とAr12は、それぞれ独立に、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11-はハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、スルホン酸イオンおよびカルボン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、アリールスルホン酸イオンおよびカルボン酸イオンである。
一般式(II)において、Ar21は、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基または、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。Z21-は、Z11-と同義の対イオンを表す。
一般式(IV)において、R31、R32及びR33は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z31-は、Z11-と同義の対イオンを表す。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(II)で示されるオニウム塩([OI−1]〜[OI−10])、一般式(III)で示されるオニウム塩([ON−1]〜[ON−5])、及び一般式(IV)で示されるオニウム塩([OS−1]〜[OS−6])の具体例を以下に挙げるが、本発明に用いられるオニウム塩は、これらに限定されるものではない。
Figure 2007245690
Figure 2007245690
Figure 2007245690
これらの熱ラジカル発生剤としてのオニウム塩は、平版印刷版用原版の画像形成層の全固形分に対し0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%の割合で添加することができる。添加量が0.1質量%以上であると感度がより向上し好ましく、また50質量%以下であると印刷時非画像部に汚れがより発生し難くなり好ましい。
これらの熱ラジカル発生剤としてのオニウム塩は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
〜ポリマーバインダー〜
本発明の平版印刷版用原版の画像形成層に用いられる、ポリマーバインダーについて説明する。
ポリマーバインダーは従来公知のものであれは、特に限定無く使用できる。疎水性ポリマーであっても、親水性ポリマーであってもよいが、疎水性ポリマーであることが好ましい。
バインダーポリマーの主鎖は、炭化水素(ポリオレフィン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエーテルおよびそれらの組み合わせから選ばれることが好ましい。炭化水素またはポリウレタンを含む主鎖がより好ましい。炭化水素主鎖からなるポリマーは、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリスチレン、ポリビニルアセタールまたはそれらのコポリマーであることが好ましい。ポリビニルアセタールおよびポリウレタンが特に好ましい。
画像形成層に用いられる各種ポリマーについては、「POLYMER HANDBOOK」、FORTH EDITION、J.BRANDRUP,E.H.IMMERGUT,and E.A.GRULKE編集、JOHN WILEY&SONS,INC.に記載がある。
バインダーポリマーは、酸性基を含まないことが好ましい。酸性基を含むポリマーは支持体に吸着されて、機上現像を阻害する場合がある。酸性基は、酸解離定数(pKa)が7未満の基、例えば、−COOH、−SO3H、−OSO3H、−PO32、−OPO32を意味する。
ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、50乃至300℃が好ましく、70乃至250℃がさらに好ましく、80乃至200℃が最も好ましい。ポリマーのガラス転移温度を高めるために、ポリマーの側鎖にアミド結合(−NRCO−)、イミド結合(−N=CO−)、ウレタン結合(−NRCOO−)、ウレア結合(−NRCONR−)、スルホンアミド結合(−SO2NR−)、スルホニル結合(−SO2−)またはシアノ基(−CN)を導入できる。上記Rは、水素原子または炭化水素基である。ガラス転移温度を高める機能がある側鎖を有するバインダーポリマーは、特開2000−250216号、同2001−51408号、同2001−109138号、同2001−242612号、同2002−122984号、同2002−122989号の各公報に記載がある。
〜熱重合防止剤〜
本発明においては以上の基本成分の他に画像形成性組成物の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加してもよい。
適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、平版印刷用原版とする場合、支持体等への塗布後の乾燥の過程でその画像形成層の表面に偏在させてもよい。
高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
[支持体]
支持体としては、金属板、プラスチックフイルムまたは紙を用いることができる。具体的には、表面処理されたアルミニウム板、親水処理されたプラスチックフイルムまたは耐水処理された紙が好ましい。さらに具体的には、陽極酸化処理されたアルミニウム板、親水性層を設けたポリエチレンテレフタレートフイルムまたはポリエチレンでラミネートされた紙が好ましい。
陽極酸化処理されたアルミニウム板が特に好ましい。
アルミニウム板は、純アルミニウム板またはアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板である。アルミニウム合金に含まれる異元素の例には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケルおよびチタンが含まれる。異元素の割合は、10質量%以下であることが好ましい。市販の印刷版用アルミニウム板を用いてもよい。
アルミニウム板の厚さは、0.05乃至0.6mmであることが好ましく、0.1乃至0.4mmであることがさらに好ましく、0.15乃至0.3mmであることが最も好ましい。
アルミニウム板表面には、粗面化処理を行うことが好ましい。
粗面化処理は、機械的方法、電気化学的方法あるいは化学的方法により実施できる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法またはバフ研磨法を採用できる。
電気化学的方法としては、塩酸または硝酸などの酸を含む電解液中で交流または直流により行う方法を採用できる。混合酸を用いた電解粗面化方法(特開昭54−63902号公報記載)も利用することができる。化学的方法としては、アルミニウム板を鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法(特開昭54−31187号公報記載)が適している。
粗面化処理は、アルミニウム板の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.2乃至1.0μmとなるように実施することが好ましい。
粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理を行う。アルカリ処理液としては、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムの水溶液が一般に用いられる。アルカリエッチング処理の後は、さらに中和処理を行うことが好ましい。
アルミニウム板の陽極酸化処理は、支持体の耐摩耗性を高めるために行う。
陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質が使用できる。一般には、硫酸、塩酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が電解質として用いられる。
陽極酸化の処理条件は一般に、電解質の濃度が1乃至80質量%溶液、液温が5乃至70℃、電流密度が5乃至60A/dm2、電圧が1乃至100V、そして、電解時間が10秒乃至5分の範囲である。
陽極酸化処理により形成される酸化皮膜量は、1.0乃至5.0g/m2であることが好ましく、1.5乃至4.0g/m2であることがさらに好ましい。
陽極酸化処理により形成された酸化皮膜には、さらにシリケート処理を実施して、親水性表面を形成できる。アルカリ金属ケイ酸塩(例、ケイ酸ナトリウム)の水溶液を用いる処理については、米国特許第2714066号、同3181461号、同3280734号および同3902734号の各明細書に記載がある。
水溶液中のアルカリ金属ケイ酸塩の濃度は、0.1乃至30質量%が好ましく、0.5乃至15質量%がさらに好ましい。25℃における水溶液のpHは、10乃至13.5であることが好ましい。水溶液の温度は、5乃至80℃が好ましく、10〜70℃がさらに好ましく、15乃至50℃がさらに好ましい。処理時間は、0.5乃至120秒間が好ましい。陽極酸化被膜と水溶液との接触方法は、浸漬またはスプレーによる吹き付けが好ましい。
ケイ酸塩の対イオンとなるアルカリ金属は、ナトリウム、カリウムまたはリチウムが好ましい。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液は、水酸化物(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム)を用いてpHを調整することが好ましい。水溶液に、アルカリ土類金属塩もしくは第IVb族金属塩を配合してもよい。
アルカリ土類金属塩は水溶性であることが好ましい。アルカリ土類金属塩の例には、硝酸塩(例、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム)、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩およびホウ酸塩が含まれる。第IVb族金属塩の例には、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウムが含まれる。二種類以上のアルカリ土類金属または第IVb族金属塩を併用してもよい。アルカリ土類金属または第IVb族金属塩の添加量は、0.01乃至10質量%の範囲であることが好ましく、0.05乃至5.0質量%の範囲であることがさらに好ましい。
〔保護層バインダー〕
本発明の保護層に用いられるバインダーとしては、特に大きな制限なく用いることができる。
バインダー樹脂としては、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体等の塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリアミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルホルマール等のアセタール系樹脂、及びポリビニルアルコール、ゼラチン等の水溶性樹脂等がある。
バインダー樹脂は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
〔アンカー層〕
本発明の平版印刷版原版においては、支持体上に重合性基を含有する化合物のアンカー層を設けることが好ましい。アンカー層が用いられるときは、画像記録層はアンカー層の上に設けられる。アンカー層は、露光部においては支持体と画像記録層との密着性を強化し、また、未露光部においては、画像記録層の支持体からのはく離を生じやすくさせるため、機上現像性が向上する。
アンカー層としては、具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物などが好適に挙げられる。また、メタクリル基、アリル基などの重合性基とスルホン酸基、リン酸基、リン酸エステルなどの支持体吸着性基を有し、好ましくはさらにエチレンオキシド基などの親水性付与基を有する化合物も好適である。
アンカー層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/m2であるのが好ましく、1〜30mg/m2であるのがより好ましい。
〔印刷方法及び画像露光〕
本発明の平版印刷版材料に画像形成する露光光源としては、上記光熱変換材料が感応することのできる光源であれば特に制限なく用いることができる。
その中で高解像度を得るためにはエネルギー印加面積が絞り込める電磁波、特に波長が1nm〜1mmの紫外線、可視光線、赤外線が好ましく、このような光エネルギーを印加し得る光源としては、例えばレーザー、発光ダイオード、キセノンフラッシュランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク燈、メタルハライドランプ、タングステンランプ、石英水銀ランプ、高圧水銀ランプ等を挙げることができる。この際加えられるエネルギーは画像形成材料の種類により、露光距離、時間、強度を調整することにより適時選択して用いることができる。
本発明の印刷方法に使用するレーザー光源としては一般によく知られているルビーレーザー、YAGレーザー、ガラスレーザー等の固体レーザー;He−Neレーザー、Arイオンレーザー、Krイオンレーザー、CO2レーザー、COレーザー、He−Cdレーザー、N2レーザー、エキシマーレーザー等の気体レーザー;InGaPレーザー、AlGaAsレーザー、GaAsPレーザー、InGaAsレーザー、InAsPレーザー、CdSnP2レーザー、GaSbレーザー等の半導体レーザー;化学レーザー、色素レーザー等を挙げることができ、これらの中でも効率的にアブレートを起こさせるためには、波長が6000〜1200nmのレーザーが光エネルギーを熱エネルギーに変換できることから、感度の面で好ましい。
本発明の印刷方法では、画像情報に基づいてレーザー露光した後、現像処理を施さずに印刷することが特徴である。
本発明における機上現像とは、以下の内容である。
露光済みの平版印刷版材料を印刷機のシリンダーに装着し、シリンダーを回転しながら湿し水とインキを供給することによって、平版印刷版材料の画像形成層の未露光部を除去する方法である。
すなわち、平版印刷版材料を露光後、そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で現像処理が完了する方式である。
以下、本発明の実施形態を述べるが、本発明はこれに限るものではない。なお、以下の「部」は「質量部」を表す。
実施例1
〔支持体〕
厚さ0.30mmの材質1Sのアルミニウム板を8号ナイロンブラシと800メッシュのパミストンの水懸濁液を用い、その表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。10%水酸化ナトリウムに70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水で、水洗後、20%HNO3で中和洗浄、水洗した。これをVA=12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて1%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ0.45μm(Ra表示)であった。ひきつづいて30%のH2SO4水溶液中に浸漬し、55℃で2分間デスマットした後、33℃、20%H2SO4水溶液中で、砂目立てした面に陰極を配置して、電流密度5A/dm2において50秒間陽極酸化したところ、厚さが2.7g/m2であった。これに下記の表面処理用中間層(1)液状組成物をSi量が2mg/m2となるように塗布し、100℃で1分間乾燥させたものを支持体とした。
〔アンカー層〕
上記支持体に下記アンカー層をバー塗布にて0.01g/m2設けた。
ホスマーPE(ユニケミカル株式会社)・・・・・ 0.12部
イソプロピルアルコール・・・・・ 99.88部
〔画像形成層〕
アンカー層上に下記画像形成層塗布液をバー塗布にて1.0g/m2設けた。
下記赤外色素A(DS830AT) ・・・・・0.1328部
ホスマーPE(ユニケミカル株式会社)・・・・・ 0.146部
バインダーポリマーBM−S(積水化学工業株式会社) ・・・・・3.108部
重合性化合物M−315(東亞合成株式会社)・・・・・ 3.108部
オプトビーズ500S(日産化学工業株式会社) ・・・・・ 0.365部
メチルエチルケトン ・・・・・ 92.7部
〔保護層〕
画像形成層上に下記保護層をバー塗布にて1.2g/m2設けた。
GL−05(日本合成化学工業株式会社製) ・・6.776部
HI−DISPER A−118(株式会社岐阜セラック製造所製、カルナバワックス粒子)・・ 0.924部
純水・・ 92.3部
このときのC/Bは1.2であった。本サンプルを1とした。
以下の評価を行った。
〈感度〉
4000dpi(dpiとは2.54cm当たりのドットの数をいう)のライン&スペースの細線が印刷物で完全に再現される露光エネルギーを評価した。露光エネルギーが低いほど高感度である。
〈良好枚数〉
50%の網点画像の印刷物の仕上がり品質が、実用上使用可能で良好になり始めるまでの印刷枚数を目視評価した。枚数が少ない方が損紙も少なく良好である。
〈地汚れ〉
印刷物の100枚目の非画線部Dminを目視により下記ランクで評価した。
5:全く地汚れなし
4:若干地汚れがあるが実害なし
3:少し地汚れがあり実害性が懸念される
2:地汚れがあり、実害性がある
1:地汚れが多く、実害性がある
〈耐傷性〉
印刷前の版に爪で引っかき傷をつけ、その部分を50%網点画像を露光、印刷物の200枚目の仕上がりを下記ランクにて評価。
5:全く変化なし、良好
4:若干網点につぶれ変化があるが実害なし
3:少し網点につぶれがあり、実害性が懸念される
2:網点につぶれがあり、実害性がある
1:網点につぶれが多く、実害性がある
〈耐刷性〉
印刷物の50%網点が再現されなかった枚数を目視により評価した。
枚数が多い方が耐刷性が高く、良好である。
評価の結果を表1に示す。
また、下記サンプルも同様に評価した。
・サンプル2
サンプル1の保護層を以下に変えた以外サンプル1と同様にしてのサンプル2を作製し、同様の評価を行った。
GL−05(日本合成化学工業株式会社製) ・・ 6.16部
HI−DISPER A−118(株式会社岐阜セラック製造所製、カルナバワックス粒子)・・ 1.54部
純水・・ 92.3部
・サンプル3
サンプル1の保護層を以下に変えた以外はサンプル1同様にしてサンプル3を作製し、同様の評価を行った。
GL−05(日本合成化学工業株式会社製) ・・4.62部
HI−DISPER A−118(株式会社岐阜セラック製造所製、カルナバワックス粒子)・・ 3.08部
純水・・ 92.3部
・サンプル4
サンプル1の保護層を以下に変えた以外は同様にしてサンプル4を作製し、同様の評価を行った。
GL−05(日本合成化学工業株式会社製) ・・6.776部
HI−DISPER A−206(株式会社岐阜セラック製造所製、マイクロクリスタリンワックス粒子)・・ 0.924部
純水・・ 92.3部
・サンプル5
サンプル1の保護層を以下に変えた以外はサンプル1と同様にしてサンプル5を作製し、同様の評価を行った。
GL−05(日本合成化学工業株式会社製) ・・4.62部
HI−DISPER A−206(株式会社岐阜セラック製造所製、マイクロクリスタリンワックス粒子)・・ 3.08部
純水・・ 92.3部
・サンプル6
サンプル1の保護層を以下に変えた以外はサンプル1と同様にしてサンプル6を作製し、同様の評価を行った。
GL−05(日本合成化学工業株式会社製) ・・ 6.776部
HI−DISPER A−514(株式会社岐阜セラック製造所製、ポリエチレンワックス粒子)・ 0.924部
純水・・ 92.3部
・サンプル7
サンプル1の保護層を以下に変えた以外はサンプル1と同様にしてサンプル7を作製し、同様の評価を行った。
GL−05(日本合成化学工業株式会社製) ・・ 4.62部
HI−DISPER A−514(株式会社岐阜セラック製造所製、ポリエチレンワックス粒子)・ 3.08部
純水・・ 92.3部
・サンプル8
サンプル1の画像形成層の重合性化合物をA−TMMT(新中村化学工業株式会社)にした以外はサンプル1と同様にしてサンプル8を作製し、サンプル8を作製し同様の評価を行った。
サンプル9
サンプル1の画像形成層の重合性化合物をA−TMMT(新中村化学工業株式会社)4.351部、重合性化合物M−315(東亞合成株式会社)1.864部にした以外はサンプル1と同様にしてサンプル9を作製し、同様の評価を行った。
更に以下比較のサンプルを作製した。
・サンプル10
サンプル1の保護層のGL−05(日本合成化学工業株式会社製)7.7部をHI−DISPER A−118(株式会社岐阜セラック製造所製、カルナバワックス粒子)0部にした以外はサンプル1と同様にしてサンプル9を作製し、同様の評価を行った。
・サンプル11
サンプル9の保護層のGL−05(日本合成化学工業株式会社製)7.7部をHI−DISPER A−118(株式会社岐阜セラック製造所製、カルナバワックス粒子)0部
にした以外はサンプル1と同様にしてサンプル11を作製し、同様の評価を行った。
・サンプル12
サンプル1の保護層のGL−05(日本合成化学工業株式会社製)7.623部をHI−DISPER A−118(株式会社岐阜セラック製造所製、カルナバワックス粒子)0.077部にした以外はサンプル1と同様にしてサンプル12を作製し、同様の評価を行った。
・サンプル13
サンプル1の保護層のGL−05(日本合成化学工業株式会社製)0.77部をHI−DISPER A−118(株式会社岐阜セラック製造所製、カルナバワックス粒子)6.93部にした以外はサンプル1と同様にしてサンプル13を作製し、同様の評価を行った。
以下に上記サンプルに使用した特定の化合物の構造式を記載する。
Figure 2007245690
各サンプルの評価結果を表1に示す。
尚、表中のNo.1〜13がサンプル1〜13に相当する。
Figure 2007245690
表1から明らかなように、本発明の構成を満たせば印刷適正、性能の良好な平版印刷版材料が得られていることが分る。

Claims (5)

  1. 支持体上に、画像記録層、保護層を順じ有する平版印刷版原版であって、画像記録層に重合性化合物、ラジカル重合開始剤、およびバインダーポリマーを有し、保護層にワックス粒子を含み、ワックス粒子の保護層固形分量に対しての添加量をA(%)とすると、10<A≦80であることを特徴とする平版印刷版原版。
  2. 画像記録層の付き量をB(g/m2)、保護層の付き量をC(g/m2)とすると0.5<C/B≦6であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版。
  3. ワックス粒子がカルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、キャンデリラワックス又はパラフィンワックスから選ばれる少なくとも1種のワックスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷版原版。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の平版印刷版原版をバー塗布方法で製造することを特徴とする平版印刷版原版の製造方法。
  5. 請求項1〜3の何れか1項に記載の平版印刷版原版を画像情報に基づきレーザー露光し、機上現像処理を行い印刷することを特徴とする印刷方法。
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