JP2007244993A - セラミック担体、セラミック触媒体およびその製造方法 - Google Patents

セラミック担体、セラミック触媒体およびその製造方法 Download PDF

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ドニ ジャヤシラン ダニエル
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Hideki Hiuga
秀樹 日向
Kazuhiko Koike
和彦 小池
Tomohiko Nakanishi
友彦 中西
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Abstract

【課題】高温安定、高比表面積のコーディエライト多孔体を基材とし、繊維状セラミックが相互に絡み合った粒状凝集体を有するセラミック担体、及びセラミック触媒体を提供する。
【解決手段】繊維状セラミックが相互に絡み合った粒状凝集体が形成されたコーディエライト多孔質セラミック担体、この多孔質セラミック担体に触媒成分を担持した繊維状セラミックを有するセラミック触媒、及び焼成過程において、原料の一部と造孔材とが反応して、表面に相互に絡み合った繊維状セラミックの粒状凝集体を生成する上記多孔質セラミック担体の製造方法。
【効果】比表面積が大きく、焼結による比表面積の低下が抑制され、熱容量が小さいため触媒の早期活性化が可能であり、また、圧損が少ない、コーディエライト多孔体を基材とし、繊維状セラミックが相互に絡み合った粒状凝集体を有する触媒担持ハニカム構造体を提供することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、排ガス浄化に使用されるセラミック部材としての繊維状セラミック担体、繊維状セラミック触媒体に関するものであり、更に詳しくは、例えば、NOx除去のための自動車用三元触媒、ガスタービン用燃焼触媒、及び高温ガス浄化用触媒のような、800℃を超える高温・高速気流に曝される部位に好適に使用することが可能な繊維状セラミックハニカム触媒体に関するものである。
本発明は、例えば、自動車の三元触媒の触媒担持用の酸化物系ハニカム構造体の製造技術分野において、従来、高比表面積を有し、しかも、高温に長時間曝されても、焼結による比表面積の低下が少ない、高比表面積コーディエライト多孔体の開発が強く求められていたことを踏まえて開発されたものであり、高い比表面積を有し、800℃を超える温度に長時間曝されても、焼結による比表面積の低下が少ないコーディエライト多孔体を基材とする繊維状セラミック担体、及びそのような多孔質コーディエライトで直接形成される触媒担持用ハニカム構造体等を製造することを可能とする新しいコーディエライト多孔体の製造技術及びその製品を提供するものである。
本発明は、繊維状セラミックを多孔質セラミック、特に、触媒担持用ハニカム構造体として用いることにより、コーディエライト多孔体を基材とする繊維状セラミック担体について、焼結による比表面積の低下を抑制すること、コーディエライトハニカム原料から繊維状セラミックハニカム体を直接製造すること、ハニカム内部にコーティングを施す従来の工程を簡略化させ得ること、及びそれらの安価な製造方法を提供すること、等を実現可能にするものである。
従来、触媒担持用の酸化物系ハニカム構造体については、例えば、自動車の三元触媒や燃焼触媒等の高温で長時間曝されるような部位で、既に実用化が果たされており、また、その更なる特性の向上を目的とした開発が積極的に進められている。それらの内、特に、コーディエライトは、融点が1400℃程度と高いこと、熱膨張係数が極端に小さいこと、耐熱衝撃性に優れていること等から、例えば、自動車の三元触媒やガスタービン用の燃焼触媒、或いは高温ガス浄化用の触媒等の、800℃を超える高温部における触媒の担体として、そのハニカム構造体が用いられている。
このように、従来、コーディエライトの触媒担体としての有用性は認められているものの、従来のコーディエライト多孔体の製造法では、高い比表面積を有し、熱的に安定なものを作製することが困難であり、そのため、排ガス浄化用触媒として、従来より、高耐熱衝撃性のコーディエライトハニカム構造体よりなる担体表面を、ガンマアルミナで被覆(コート)し、貴金属触媒を担持させたものが広く用いられている。コート層を形成するのは、コーディエライトの比表面積が小さく、そのままでは、必要な量の触媒成分を担持させることができないからであり、ガンマアルミナのような高比表面積材料を用いて、担体の表面積を大きくしている。
しかしながら、担体のセル壁表面をガンマアルミナでコートすることは、重量増加による熱容量増加を招く。近年、触媒の早期活性化のために、セル壁を薄くして熱容量を下げることが検討されているが、コート層を形成すると、その効果が半減してしまうことから、その改善が課題となっていた。また、各セルの開口面積が低下するため、圧損が増加すること、担体としての熱膨張係数がコーディエライトのみの場合より大きくなること、ガンマアルミナは、1000℃以上の高温では、アルファアルミナに転移し、また、焼結が進行するために、高比表面積を維持することが困難であるという問題点を有していること、等の不具合があった。
本発明者らは、これまでに、サブミクロンの直径を有するコーディエライト針状結晶で構成されるコーディエライト多孔体の開発に成功しており、コーディエライト多孔体で構成されるハニカム構造体としては、先行技術文献に記載されているように、コーディエライト多孔体を直接利用するもの、及びコーディエライト多孔体の内壁へコーティングを施したものを提案している(特許文献1〜7参照)。そして、コーディエライトを高温に曝される部位に用いる場合には、ハニカム構造体の内壁にガンマアルミナ等のコーティングを施す以外に方法がないのが実情であった。
このため、コート層を形成することなく、触媒成分を担持可能なセラミック体について種々検討がなされている。先行技術として、例えば、酸処理した後、熱処理することによりコーディエライト自体の比表面積を向上させる方法が提案されている(特許文献8参照)。しかしながら、この種の方法は、酸処理や熱処理によりコーディエライトの結晶格子が破壊されて強度が低くなるという問題があり、実用的ではなかった。
そこで、本発明者らは、先に、比表面積を向上させるためのコート層を形成することなく、必要量の触媒成分を担持可能なセラミック担体を提案した(特許文献9参照)。このセラミック担体は、基材セラミックを構成する元素の内の少なくとも1種類又はそれ以上の元素を、構成元素以外の元素と置換したものであり、このセラミック担体を、例えば、ヘキサクロロ白金酸、塩化第二白金、塩化ロジウム等の貴金属化合物の溶液に浸漬後、焼成することによって、貴金属触媒を置換元素上に直接担持することが可能である。このセラミック担体は、酸処理や熱処理を行って空孔を形成する従来の担体に比べて強度が高く、耐久性が向上する。更に、他の先行技術として、触媒成分を直接担持可能なセラミック担体に、主触媒成分と助触媒成分を担体表面に直接担持させる際に、主触媒を先に、助触媒を後に担持させることにより、熱劣化し難い触媒体としたセラミック触媒が提案されている(特許文献10参照)。
特開2003−321280号公報 特開2003−212672号公報 特開2003−025316号公報 特開2002−355511号公報 特開2002−119870号公報 特開2002−172329号公報 特開2001−310128号公報 特開昭62−004441号公報 特開2003−080080号公報 特開2003−230838号公報
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術における諸問題を解決することを可能とする、新しい触媒担持用コーディエライトハニカム構造体を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、焼成過程において原料の一部と造孔材との反応により、バルク表面に繊維状セラミックが相互に絡み合った粒状凝集体を形成し、それにより、比表面積を飛躍的に向上させることができること、繊維状セラミックが高温に曝されても安定であり、また、それぞれが互いに絡み合った構造を有することから、焼結による比表面積の低下を劇的に抑制させ得ることが可能となること、従来の製造法におけるハニカム構造体の内壁へのガンマアルミナのコーティング等の工程を省略することができること等を見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。
本発明は、触媒成分を直接担持可能なセラミック担体を用いて、より優れた触媒性能を有するセラミック触媒体を実現することを可能とする新規セラミック触媒体を提供することを目的とするものである。また、本発明は、高比表面積を有し、1000℃の熱処理でも比表面積の低下を抑制することが可能な、コーディエライト多孔体を基材とする新規繊維状セラミック担体、そのハニカム構造体、それらの製造方法及びその製品としての繊維状セラミック触媒体を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下のような技術的手段から構成される。
本発明は、排ガス浄化に使用される多孔質セラミック担体において、ガス通路内の壁面あるいは気孔内部に、少なくとも一端が微小粒子に結合して成る、繊維状セラミックが相互に絡み合った粒状凝集体が形成されていることを特徴とする多孔質セラミック担体、である。本発明では、多孔質セラミック担体が、ペレット状又はハニカム状であること、繊維状セラミックの径が、100nm以下であること、繊維状セラミックが、構成元素として少なくともSi及びCを含むこと、多孔質セラミック担体が、コーディエライトを基材とすること、気孔率が30%以上で、比表面積が1m/g以上であること、原料粉末に、構成元素として少なくともCを含む造孔材が含まれること、を好ましい実施態様としている。
また、本発明は、上記多孔質セラミック担体に触媒成分が担持されていることを特徴とする排ガス浄化に使用されるセラミック触媒体、である。また、本発明は、コーディエライト組成となるように配合したセラミック原料に炭素含有物質を配合し、所定の形状に成形した成形体を、焼成及び熱処理することにより、焼結体表面に径が100nm以下の繊維状セラミックが相互に絡み合った粒状凝集体を形成することを特徴とする多孔質セラミック担体の製造方法、である。本発明は、上記多孔質セラミック担体の製造方法において、焼成及び熱処理を、不活性雰囲気中、1000℃〜1400℃の焼成工程、及び大気中、600℃〜800℃の熱処理工程で行うこと、を好ましい実施態様としている。更に、本発明は、上記多孔質セラミック担体に触媒成分を担持して排ガス浄化に使用されるセラミック触媒体を作製することを特徴とするセラミック触媒体の製造方法、である。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、セラミック担体において、バルク表面に繊維状セラミックを形成することにより、比表面積を増加させるためにガンマアルミナでコートする必要をなくし、熱容量及び圧損を低減することを可能とするセラミック担体とセラミック触媒体及びその製造方法を提供するものである。本発明のセラミック体は、コーディエライト多孔体バルクを基材とするものであり、焼成過程において原料の一部と造孔材との反応により、表面に繊維状セラミックが相互に絡み合った粒状凝集体が形成された、高比表面積を有するコーディエライト多孔体から構成されるものである。本発明では、原料にはシリカを含むセラミック原料を使用すること、造孔材にはカーボンあるいは構成元素として少なくともCを含む物質を使用すること、が好ましい。
まず、本発明の繊維状セラミックス体について説明する。本発明では、出発物質として、コーディエライト組成になるように配合した出発粉末が用いられる。例えば、出発物質として、カオリン、タルク、アルミナ、シリカ粉末を使用し、これらをコーディエライト組成になるように秤量し、配合する。この際に、造孔材として、構成元素として少なくともCが含まれる物質、例えば、カーボンブラックを配合する。造孔材の量としては、例えば、5〜30重量%のカーボンブラック等を添加することができる。それにより、気孔率が30%以上、例えば、38〜55%の気孔率の焼結体を得ることが可能となるとともに、焼成過程において原料の一部と造孔材との反応により、セラミック焼結体表面に径が100nm以下の繊維状セラミックが相互に絡み合った粒状凝集体が形成される。
本発明では、上記出発粉末と造孔材を、例えば、ボールミル混合し、得られた混合スラリーを、エバポレーター、オーブン等で乾燥させ、得られた乾燥体を粉砕し、分級し、次いで、この粉末を加圧成形し、成形体を1200℃〜1400℃で焼結する。それにより、サブミクロンのコーディエライト結晶相を有するコーディエライトバルクを作製することができる。
本発明のコーディエライトセラミック体を作製する場合には、原料に炭素含有物質を配合する。この炭素含有物質は、焼成過程において、焼結体の気孔を形成するとともに、原料の一部、例えば、シリカと反応して、セラミック焼結体基材表面に繊維状セラミックが相互に絡み合った粒状凝集体を形成する。本発明で使用する炭素含有物質としては、例えば、カーボンブラック、でんぷん、フェノール樹脂、ポリスチレン等が例示され、原料中に、例えば、5〜30重量%の炭素含有物質を添加することができ、特に、5〜10重量%配合することが好適である。例えば、シリカを原料中に含み、カーボンブラックを配合した原料粉末を、1350℃で焼成して、本発明のセラミック体を作製する場合には、CがSiOと反応して、SiCO又はSiCが生成する。これらの化合物は、気相を介して生成するため、セラミック体上で成長するが、このとき繊維状セラミックを形成する。
本発明では、造孔材の量を変えることにより、セラミック体の気孔率、繊維状セラミックの生成量を制御して、例えば、気孔率が30%以上で、比表面積が1m/g以上である、優れた特性を有するセラミック体とすることが可能である。造孔材として、例えば、カーボンブラックを使用した場合には、余剰炭素が、不活性雰囲気中の焼成過程で、わずかにセラミック体中に残留するが、焼成後の大気中での熱処理により除去することが可能である。また、不活性雰囲気中での焼成後、大気中での熱処理を行うことにより、気孔が3次元に連結した高比表面積のセラミック体の作製が可能である。また、気孔内部に繊維状セラミックを生成することも可能である。
本発明のセラミック体の製造方法においては、出発物質として、コーディエライト組成となるように配合したセラミック原料、例えば、高純度のカオリン、タルク、アルミナ、シリカ粉末に、炭素含有物質を配合した後、成形してハニカム形状等として、不活性雰囲気中、1200℃〜1400℃で焼成した後、余剰炭素を除去するために、大気中、600℃〜800℃の熱処理することによりセラミック体が作製される。この焼成・熱処理工程により、特殊な工程を経ることなく、繊維状セラミックが相互に絡み合った粒状凝集体をコーディエライト多孔体の基材にその場生成することが可能である。
本発明の針状結晶相で構成されたセラミック体の基材を製造する場合には、針状形状粒子のできるだけ低温での発達を促進するために、結晶化温度低下剤、例えば、酸化ホウ素等を配合するのこと好適である。また、結晶粒子を針状に発達させるための添加剤(針状化添加剤)を配合することが好適である。針状化添加剤としては、例えば、ランタノイド元素、遷移金属元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素から選ばれる少なくとも1種が使用され、具体的には、酸化ストロンチウム等が好適である。しかしながら、本発明のセラミック体を構成する粒子形態は、必ずしも針状に限定されない。
本発明のセラミック体の基材である、コーディエライト多孔体を、針状結晶相で構成すると、比表面積が増加する。また、それにより、焼結が進行しにくい構造となり、高温での熱処理によっても焼結による基材自体の比表面積の低下を抑制することができる。このことから、本発明では、セラミック体の基材である高温安定・高比表面積コーディエライト多孔体から、直接、触媒担体としてのハニカム構造体を製造することが可能となる。
すなわち、本発明のセラミック体の基材である、高温安定・高比表面積コーディエライト多孔体から、直接、触媒担体としてのハニカム構造体を製造することにより、従来製造されているハニカム構造体の製造工程において、ガンマアルミナのコーティング等の工程を省略することが可能となり、触媒担持用ハニカム構造体の製造コストを大幅に低減することが可能となる。
本発明では、上記高温安定・高比表面積コーディエライト多孔体を触媒担持用ハニカム構造体として用いることにより、従来問題となっていた長時間使用することによるガンマアルミナコーティング層の剥離に起因する触媒品質の劣化を皆無とすることができる。また、本発明では、上記高温安定・高比表面積コーディエライト多孔体を触媒担持用ハニカム構造体として用いることにより、貴金属触媒を担持させたハニカム触媒を低コストで製造し、提供することができる。
本発明のセラミック体の基材である、コーディエライト多孔体を、針状結晶相で構成すると、焼結が進行しにくい構造となり、高温での熱処理によっても焼結による基材自体の比表面積の低下を抑制することがき、また、比表面積が大きいハニカム構造体として直接製造することができるので、例えば、高温安定・高比表面積触媒担持用コーディエライト多孔体として好適に使用することが可能である。
上述の方法により作製した触媒担持能を有するコーディエライトハニカム構造体は、内燃機関の排ガス浄化用触媒等に用いられるセラミック担体として好適に使用される。このセラミック担体は、例えば、コーディエライトハニカム構造体が有する細孔や、ハニカム内壁に生成した繊維状セラミックが相互に絡み合った粒状凝集体の内部又は表面に、ガンマアルミナのコートなしに、触媒成分を担持することができ、これにより、低熱容量、高耐熱衝撃性、低圧損なセラミック触媒体が得られる。
触媒成分としては、触媒能を有する金属、及び触媒能を有する金属の酸化物の少なくとも1種類を用いる。触媒能を有する金属としては、例えば、Pt、Pd、Rh等の貴金属が、触媒能を有する金属の酸化物としては、例えば、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Sn、Pb等の金属の内少なくとも1つ以上の金属を含む酸化物が使用される。また、助触媒として、ランタノイド元素、遷移金属元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素又はその酸化物複合酸化物の1種又は複数種を同時に使用することができる。
触媒成分を担持する方法としては、例えば、触媒成分を溶媒に溶解して、コーディエライトハニカム構造体に含浸させ、触媒成分を担持させる液相法の他、CVD法、PVD法等の気相法、超臨界流体を使用する方法等が使用される。液相法では、溶媒として水を用いることもできるが、水よりも表面張力が小さな溶媒、例えば、メタノール等のアルコール系溶媒を用いることが好ましい。
このようにして作製される本発明のセラミック触媒体は、セラミック担体表面にガンマアルミナのコート層を形成することなしに、必要量の触媒成分が、直接、且つ狭い間隔で担持された、浄化性能に優れたセラミック触媒体となる。本発明の多孔質セラミック担体は、高温に長時間曝されても、安定であり、焼結による比表面積の低下がなく、高比表面積を維持することができる高温安定・高比表面積多孔質セラミック担体である。したがって、従来製品のように、担体のセル壁の表面をガンマアルミナでコートする必要がない。そのために、ガンマアルミナコートによる各セルの開口面積の低下と圧損の増加の問題や、熱膨張係数がコーディエライトのみの場合より大きくなるという問題がない。本発明では、上記高温安定・高比表面積コーディエライト多孔体から、直接、触媒担体としてのハニカム構造体を製造することができるので、触媒担体用ハニカム構造体を低コストで作製できるという利点が得られる。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)バルク表面に繊維状セラミックを形成した、高比表面積を有するコーディエライト多孔体からなるセラミック体及びセラミック触媒体を提供できる。
(2)このセラミック体は、表面に繊維状セラミックが相互に絡み合った粒状凝集体が形成されているため、例えば、1000℃を超える高温に長時間曝されても、焼結による比表面積の低下を抑制できる。
(3)この多孔体は、高温で安定な高比表面積を有する触媒担持用コーディエライトハニカム構造体として有用である。
(4)ハニカム内部にコーティングを施す従来の工程を省略できる。
(5)低コストで高品質のハニカム体を製造することが可能な新しいセラミック体の製造技術を提供できる。
(6)従来法による、例えば、コーディエライトハニカム体の内壁にガンマアルミナをコートした製品では、1000℃以上の高温で、ガンマアルミナがアルファアルミナに転移し、また、焼結が進行するために高比表面積を維持することが困難であるという問題があったが、本発明の製品では、そのような問題がない。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
本実施例では、カオリン(共立マテリアル製)、タルク(高純度化学製)、水酸化アルミニウム(Al(OH)、高純度化学製)、及びシリカ(シリカクォーツ、d50〜0.8ミクロン、高純度化学製)を出発原料として用いた。MgO−Al−SiOの状態図によれば、原料粉末より化学量論組成のコーディエライト相(2Al・2MgO・5SiO)の形成が可能である。更に、気孔及び繊維状炭化ケイ素を生成させるために、カーボンブラックを5wt%添加し、原料粉末とした。表1に、これらの原料の組成を示す。
これらの原料粉末を、めのう乳鉢で混合し、この混合粉末を金型成形し、直径20mmのペレット状サンプルを得た。このペレットを1400℃で、アルゴン雰囲気中で4時間焼成した。加熱速度は1300℃まで5℃/min、1300℃から1400℃まで3℃/minであった。焼成後、余剰炭素を除去するために、700℃で、大気中で熱処理した。焼成したペレットのX線回折による結晶相の同定を行ったところ、コーディエライトが主相であり、第2相として炭化ケイ素の生成が認められた。また、微量のムライト及びスピネルが認められた。
得られたペレットの気孔率は40〜55%であった。得られたペレットの組織をSEMで観察した結果、試料表面に直径50〜100nm程度の繊維状物質が多数生成しており、EDSの分析結果から、Si及びCが確認された。X線回折の結果から炭化ケイ素が認められたことから、この繊維状物質は炭化ケイ素であることが判明した。これは、アルゴン雰囲気での焼成中に、コーディエライトが析出すると同時に、残存している炭素が原料中のシリカと熱炭素還元反応して繊維状炭化ケイ素を生成したものと思われる。原料に炭素を含まない場合、繊維状物質の生成は認められなかった.また、アルゴン雰囲気での焼成後、大気中で熱処理を行うことにより、気孔が3次元に連結した多孔体となった。典型的な組織の例を図1に示す。
上記実施例1と同様の成分を使用し、コーディエライトハニカム担体を成形した。また、ハニカム担体内部のコーディエライト結晶の成長の助長及びコーディエライト相の結晶化温度の低温化を目的として、これらの原料粉末にSrO及びBを添加した。表2に、これらの原料の組成を示す。バインダとしてメチルセルロースを6wt%添加し、適量の水を加えて混練し、セル壁厚100μm、セル密度400cpsi、φ50mm、L100mmのハニカムを押出成形した。この成形体を1400℃で、Ar中、4時間焼成した。焼成後、余剰炭素を除去するために、700℃で、大気中で熱処理した。
得られたハニカム担体のX線回折による結晶相の同定を行ったところ、実施例1と同様にコーディエライトが主相であり、第2相として炭化ケイ素の生成が認められた。また、微量のムライト及びスピネルが認められた。得られたハニカムの気孔率は53%であった。得られたハニカムから試験片を切り出し、SEMで観察した結果、ハニカム壁面に繊維状物質が多数生成しており、EDSの分析結果及びX線回折の結果から、この繊維状物質は、実施例1と同様に、炭化ケイ素であることが判明した。また、アルゴン雰囲気での焼成後、大気中で熱処理を行うことにより、気孔が3次元に連結した多孔体となった。典型的な組織の例を図2に示す。窒素ガス吸着法により、このハニカムの比表面積を測定した結果、繊維状炭化ケイ素が生成していないハニカムの比表面積の約10倍に増大していた。
以上詳述したように、本発明は、排ガス浄化に使用されるセラミック部材に係るものであり、本発明により、表面に繊維状セラミックが相互に絡み合った粒状凝集体が形成されている多孔質セラミック担体を作製し、提供することができる。また、本発明により、不活性雰囲気中での焼成後、大気中での熱処理を行うことにより、気孔が3次元に連結した高比表面積の多孔質セラミック担体を作製すること、また、気孔内部に繊維状セラミックを生成することも可能である。本発明では、基材表面に繊維状セラミックが相互に絡み合った粒状凝集体を生成させ、更に、基材を針状結晶相で構成することにより、高温加熱処理でも、焼結による比表面積の低下を劇的に抑制することが可能となる。このことから、本発明は、触媒担持用コーディエライトハニカム構造体の製造において、ハニカム内壁へのガンマアルミナのコーティング等の工程を省略することができ、高温で安定な高比表面積を有するコーディエライトハニカムを作製する技術を提供することができる。更に、本発明は、高比表面積コーディエライト多孔体からなる繊維状セラミックを含有する多孔質セラミック担体、その製造方法及びその製品としての繊維状セラミック担体を含有する新規セラミック触媒体を提供するものとして有用である。
ペレット上に生成した繊維状炭化ケイ素群及びその形態(右は拡大図)を示す。 ハニカム壁面に生成した繊維状炭化ケイ素群及びその形態(右は拡大図)を示す。

Claims (10)

  1. 排ガス浄化に使用されるセラミック触媒体を構成する触媒担持用セラミック部材において、セラミック焼結体基材表面に、少なくとも一端が微小粒子に結合して成る、繊維状セラミックが相互に絡み合った粒状凝集体が形成されていることを特徴とする多孔質セラミック担体。
  2. 上記多孔質セラミック担体が、ペレット状又はハニカム状である、請求項1に記載の多孔質セラミック担体。
  3. 上記繊維状セラミックの径が、100nm以下である、請求項1に記載の多孔質セラミック担体。
  4. 上記繊維状セラミックが、構成元素として少なくともSi及びCを含む、請求項1に記載の多孔質セラミック担体。
  5. 上記多孔質セラミック担体が、コーディエライトを基材とする、請求項1に記載のセラミック担体。
  6. 気孔率が30%以上で、比表面積が1m/g以上である、請求項1から5に記載の多孔質セラミック担体。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載の多孔質セラミック担体に触媒成分が担持されていることを特徴とする排ガス浄化に使用されるセラミック触媒体。
  8. コーディエライト組成となるように配合したセラミック原料に炭素含有物質を配合し、所定の形状に成形した成形体を、焼成及び熱処理することにより、焼結体表面に径が100nm以下の繊維状セラミックが相互に絡み合った粒状凝集体を形成することを特徴とする多孔質セラミック担体の製造方法。
  9. 上記焼成及び熱処理を、不活性雰囲気中、1200℃〜1400℃の焼成工程、及び大気中、600℃〜800℃の熱処理工程で行う、請求項10に記載の多孔質セラミック担体の製造方法。
  10. 請求項8又は9に記載の方法で作製した多孔質セラミック担体に触媒成分を担持して排ガス浄化に使用されるセラミック触媒体を作製することを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
JP2006071840A 2006-03-15 2006-03-15 セラミック担体、セラミック触媒体およびその製造方法 Withdrawn JP2007244993A (ja)

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