JP2007242849A - 金属用研磨液 - Google Patents
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Abstract
Description
このための技術として、絶縁性薄膜(SiO2など)や配線に用いられる金属薄膜を研磨し、半導体集積回路用基板(以下、単に「基板」という。)の平滑化や配線形成時の余分な金属薄膜の除去を行う化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下、「CMP」という。)等の種々の術が用いられてきている。
CMPの一般的な方法は、円形の研磨定盤(プラテン)上に研磨パッドを貼り付け、研磨パッド表面を研磨液(スラリー)で浸して、パッドに基板(ウエハ)の表面を押しつけ、その裏面から所定の圧力(研磨圧力)を加えた状態で、研磨定盤及び基板の双方を回転させ、発生する機械的摩擦により基板の表面を平坦化するものである。
CMPに用いる金属用研磨溶液は、一般には砥粒(例えば、アルミナ、シリカ)と酸化剤(例えば、過酸化水素、過硫酸)とを含むものであって、酸化剤によって金属表面を酸化し、その酸化皮膜を砥粒で除去することで研磨していると考えられている。
このような従来の固体砥粒における問題点を解決するために、過酸化水素、リンゴ酸、ベンゾトリアゾール、ポリアクリル酸アンモニウム及び水を含有する金属用研磨液が提案されている(特許文献1参照。)。
この方法によれば、半導体基体の凸部の金属膜が選択的にCMPされ、凹部に金属膜が残されて所望の導体パターンが得られるものの、従来の固体砥粒を含むよりもはるかに機械的に柔らかい研磨パッドとの摩擦によってCMPが進むため、十分な研磨速度が得難いという問題点を有している。
また、高密度化を目指す配線の微細化に伴って、銅配線の導電性や電子マイギュレート耐性などの向上が必要となり、それに伴って高純度銅に銀などの第3成分を微量添加した銅合金を用いることも検討されはじめてきている。
これと同時に、これらの高精細で高純度の材料を汚染させることなく高生産性を発揮し得る高速金属研磨手段が求められている。
銅及び銅合金に対して機械的研磨手段をもたない化学研磨方法としては、溶解作用のみによる化学研磨方法が提案されている(特許文献2参照。)。
しかしながら、凸部の金属膜が選択的に化学的機械的に研磨されるCMPに比べ、ディッシングなどの発生による問題が発生しやすく平坦性の確保が課題となっている。
これらの技術により、銅配線における研磨性能の向上が見られる。
このため、化学的機械的研磨によって銅配線を形成する際、銅と一緒にタンタルまでが研磨されることを防止するために、研磨液には、銅または銅合金が削れやすく、タンタルが削れにくいという、銅または銅合金とタンタルとの研磨選択性(以下、「銅/タンタル研磨選択性」という。)が要求されている。
(1)半導体デバイスの製造における化学的機械的研磨に用いられる研磨液であって、下記式(I)で表される化合物を含有する金属用研磨液。
(2)前記式(I)で表される化合物が、さらに、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基またはこれらの基を部分構造として含む基を置換基として有する化合物である上記(1)に記載の金属用研磨液。
(3)前記置換基が、前記式(I)中のメチレン基のいずれかに結合している上記(2)に記載の金属用研磨液。
(4)研磨される金属が、銅または銅合金である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の金属用研磨液。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の金属用研磨液を用いて化学的機械的研磨によって研磨された半導体集積回路用基板。
まず、本発明の金属用研磨液について説明する。
本発明の金属用研磨液は、
半導体デバイスの製造における化学的機械的研磨に用いられる研磨液であって、下記式(I)で表される化合物を含有するものである。
本発明の金属用研磨液に含有される化合物は、下記式(I)で表されるものである。
nは、研磨性に優れるという観点から、好ましくは2である。
式(I)で表される化合物が有することができる置換基は、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基またはこれらの基(つまり、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基)を部分構造として含む基からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
なかでも、研磨性の観点から、炭素原子数1〜4程度の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐のプロピル基、直鎖又は分岐のブチル基がより好ましく、メチル基、エチル基がさらに好ましい。
また、アリール基を部分構造として含む置換基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、アントラニルメチル基などが挙げられる。
アリール基は、置換基を有することができ、無置換であってもよい。無置換であるのが好ましい態様として挙げられる。
これらの置換基の中でも、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基が好ましく、ハロゲン原子、アルキル基がより好ましい。
なお、これらの置換基は、ここに挙げられた置換基により更に置換されていてもよい。
活性メチン基に含まれる電子求引性基としては、例えば、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)が挙げられる。
2つの電子求引性基は互いに結合して環状構造をとってもよい。
ヘテロ環基は、置換基を有することができ、無置換であってもよい。無置換であるのが好ましい態様として挙げられる。
なかでも、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基が好ましく、ハロゲン原子、アルキル基がより好ましい。
なかでも、研磨性の観点から、カルボキシアルキル基が好ましく、カルボキシ基を1つ有する炭素原子数1〜3程度のアルキル基がより好ましく、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基がさらに好ましく、カルボキシメチル基が特に好ましい。
なかでも、研磨性の観点から、ヒドロキシアルキル基が好ましく、ヒドロキシ基を1つ有する炭素原子数1〜3程度のアルキル基がより好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基がさらに好ましく、ヒドロキシメチル基が特に好ましい。
なかでも、研磨性の観点から、カルバモイルアルキル基が好ましく、カルバモイル基を1つ有する炭素原子数1〜3程度のアルキル基がより好ましく、カルバモイルメチル基、カルバモイルエチル基、カルバモイルプロピル基がさらに好ましく、カルバモイルメチル基、カルバモイルエチル基が特に好ましい。
また、式(I)で表される化合物が有することができる置換基の数は、研磨性の観点から、1〜2個が好ましく、特に好ましくは1個である。
ここで、式(I)で表される化合物が複数の置換基を有する場合、置換基は同じでも、互いに異なっていてもよい。
式(I)中のメチレン基は、カルボキシメチル基のメチレン基、アミノアルキル基のメチレン鎖のメチレン基である。
置換基は、研磨性の観点から、式(I)中のメチレン基のいずれかに結合しているのが好ましく、カルボキシメチル基のメチレン基、アミノアルキル基のメチレン鎖のメチレン基に結合しているのがより好ましく、カルボキシメチル基のメチレン基に結合しているのが特に好ましい。
置換基、nについては上記と同義である。
具体的には、例えば、Journal of Organic Chemistry,5687-5692(1992)を参考にして合成することができる。
すなわち、まず、1,2−ジアミノエタン1モルに対して、クロロ酢酸またはブロモ酢酸(クロロ酢酸またはブロモ酢酸は、上記の置換基を有することができる。)を0.1〜1倍モル加えて、反応溶液を調製する。このとき、1,2−ジアミノエタンは、そのまま使用してもよく、例えば、水、アセトニトリル、アルコール又はこれらの混合溶媒に溶解させて使用してもよい。一方、クロロ酢酸またはブロモ酢酸は、例えば、水、アセトニトリル、アルコール又はこれらの混合溶媒に溶解させて使用してもよい。
そして、反応溶液を5〜90℃に加熱、かくはんして反応させた後、溶媒を除去し、残留物に貧溶媒を加えて生成物を析出させる。貧溶媒としては、アルコール、アセトン、アセトニトリル、又はこれらの混合溶媒がよい。
析出物を濾取し、得られた析出物を風乾させることによって、目的の式(I)で表される化合物が得られる。
また、本発明の金属用研磨液は、式(I)で表される化合物がタンタルとは銅ほど相互作用しないため、良好な銅/タンタル研磨選択性を有すると考えられる。
また、式(I)で表される化合物が銅表面を改質するため、本発明の金属用研磨液を用いてCMPを行なう場合、ディッシングの発生が少なく、平坦性に優れる基板が得られうると考えられる。
本発明の金属用研磨液は、式(I)で表される化合物以外に、本発明の効果を損なわない限りにおいて、さらに、例えば、溶媒/分散媒、酸化剤、不動態膜形成剤、砥粒、有機酸、無機酸、キレート剤、界面活性剤、水溶性ポリマー、アルカリ剤、緩衝剤、添加剤、その他金属用研磨液に用いられうる化合物を含有ことができる。また、その処方に特に制限はなく、目的に応じて選択することができる。
本発明の金属用研磨液は、溶媒/分散剤として、更に、水および/または水溶液を含有するのが好ましい。
上記水溶液としては、式(I)で表される化合物以外に、さらに、例えば、酸化剤、有機酸、添加剤および界面活性剤のうち少なくとも1つ以上を含有する水溶液等が挙げられる。
濃縮液又は濃縮された研磨液とは、研磨に使用する際の研磨液(使用液)よりも、溶質の濃度が高く調製された研磨液を意味する。
本発明の金属用研磨液が研磨に使用される際に水又は水溶液などで希釈される場合、希釈倍率は、一般的には1〜20体積倍である。
また、金属用研磨液の濃縮液作製時に、室温での水に対する溶解度が5質量%未満のものを添加する場合、その配合量は、濃縮液を5℃に冷却した際の析出を防止する点で、室温での水に対する溶解度の2倍以内とすることが好ましく、1.5倍以内とすることがより好ましい。
本発明の金属用研磨液は、さらに、酸化剤を含有するのが好ましい。
酸化剤は、研磨対象の金属を酸化させうる化合物である。
酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酸化物、硝酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン水、銀(II)塩、及び鉄(III)塩が挙げられる。
なかでも、過酸化水素、硝酸、過ヨウ素酸カリウム、次亜塩素酸、及びオゾン水が好ましい。
鉄(III)の有機錯塩を用いる場合、鉄(III)錯塩を構成する錯形成化合物としては、例えば、酢酸、クエン酸、シュウ酸、サリチル酸、ジエチルジチオカルバミン酸、コハク酸、酒石酸、グリコール酸、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、チオグリコール酸、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−エタンジチオール、マロン酸、グルタル酸、3−ヒドロキシ酪酸、プロピオン酸、フタル酸、イソフタル酸、3−ヒドロキシサリチル酸、3,5−ジヒドロキシサリチル酸、没食子酸、安息香酸、マレイン酸などやこれらの塩の他、アミノポリカルボン酸及びその塩が挙げられる。
対塩の種類は、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、特にはアンモニウム塩が好ましい。
これらの中でも、過酸化水素、硝酸、過ヨウ化酸カリウム、次亜塩素酸、及びオゾン水が好ましく、特に過酸化水素が好ましい。
酸化剤と酸化剤以外の他の成分を含有する混合物とを混合する時期としては、研磨液の品質保持の観点から、研磨液を使用する直前の1時間以内が好ましく、更に好ましくは5分以内である。特に好ましくは、研磨装置にて研磨液を供給する場合、被研磨面へ供給する直前5秒以内に酸化剤と、酸化剤以外の他の成分とを混合することである。
本発明の金属用研磨液は、さらに、不動態膜形成剤を含有することが好ましい。
不動態膜形成剤は、金属表面に不動態膜を形成し、研磨速度を制御する機能を有する化合物である。
また、本発明の金属用研磨液が金属塩、金属イオンを含む場合、金属が触媒として機能してしまい、酸化剤の分解を促進することがあるが、不動態膜形成剤は、その酸化剤の分解を抑制することができる。
芳香環化合物としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族炭化水素もしくはその誘導体、またはベンゼン核をもたないが芳香族性を示す化合物(非ベンゼノイド芳香族化合物)が挙げられる。具体的には、例えば、テトラゾール類及びその誘導体、アントラニル酸類及びその誘導体、アミノトルイル酸、キナルジン酸、アゾール類が挙げられる。
芳香族化合物の分子量は、好ましくは20〜600である。
なかでも、ベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾールブチルエステル、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾールが高いCMP速度と低いエッチング速度を両立する上で好ましい。
アントラニル酸類及びその誘導体は、ディッシング改良の観点から、例えば、下記式(III)で表される化合物が好ましい。
式(III)中、R3〜R8は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、R3〜R6のうちの隣り合った二つは互いに結合して環を形成してもよい。M+は陽イオンを表す。
式(II)において、R1及びR2で表される置換基は、特に限定されない。例えば、以下のものが挙げられる。
すなわち、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基(置換基を有するカルバモイル基としては、例えば、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基)、カルバゾイル基、カルボキシ基又はその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基若しくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシ若しくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシ若しくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキル若しくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えば、ピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)ジチオ基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基又はその塩、スルファモイル基(置換基を有するスルファモイル基としては、例えば、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基)又はその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
活性メチン基が有する電子求引性基としては、例えば、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)が挙げられる。
2つの電子求引性基は互いに結合して環状構造をとっていてもよい。
これらの置換基は、更にここで挙げた置換基で置換されていてもよい。
式(II)で表される化合物は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
式(II)で表される化合物は、常法に従って合成できるほか、市販品を使用してもよい。
式(III)におけるR3〜R8で表される置換基は、特に限定されない。例えば以下のものが挙げられる。
すなわち、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基(置換基を有するカルバモイル基としては、例えば、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基)、カルバゾイル基、カルボキシ基又はその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基若しくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシ若しくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシ若しくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキル若しくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えば、ピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)ジチオ基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基又はその塩、スルファモイル基(置換基を有するスルファモイル基としては、例えばN−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基)又はその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
これら置換基は、ここで挙げた置換基で更に置換されていてもよい。
例えば、化合物III−29は、Synthesis(8)、654−659(1983)に記載の合成法に準じて合成することができる。
化合物III−37は、例えば、Tetrahedron Letters,51(7)、1861−1866(1995)及びTetrahedron Letters,44(25)、4741−4745(2003)に記載の方法に準じて合成することができる。
他の化合物もこれらに記載の方法に準じて合成することができる。
不動態膜形成剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の金属用研磨液は、さらに、砥粒を含有することが好ましい。
砥粒としては、例えば、シリカ(沈降シリカ、フュームドシリカ、コロイダルシリカ、合成シリカ)、セリア、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、酸化マンガン、炭化ケイ素、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリテレフタレートなどが挙げられる。
また、砥粒は平均粒径が5〜1000nmが好ましく、特には10〜200nmが好ましい。
これらの特性のバランスにより優れる点から、上記砥粒の含有量は、使用する際の金属用研磨液(使用液)の全質量に対して、0.05〜5質量%であることがより好ましい。
本発明の金属用研磨液は、さらに、式(I)で表される化合物以外の有機酸を含有することができる。
有機酸は、酸を発生させうる有機化合物である。
有機酸は、酸化の促進、pH調整、緩衝剤としての作用を有する。
なお、有機酸は、金属を酸化するための酸化剤とは構造が異なる化合物であり、前述の酸化剤として機能する酸を包含するものではない。
有機酸は水溶性のものが望ましく、より好ましくはアミノ酸類である。
例えば、グリシン、L−アラニン、β−アラニン、L−2−アミノ酪酸、L−ノルバリン、L−バリン、L−ロイシン、L−ノルロイシン、L−イソロイシン、L−アロイソロイシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、サルコシン、L−オルニチン、L−リシン、タウリン、L−セリン、L−トレオニン、L−アロトレオニン、L−ホモセリン、L−チロシン、3,5−ジヨード−L−チロシン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、L−チロキシン、4−ヒドロキシ−L−プロリン、L−システィン、L−メチオニン、L−エチオニン、L−ランチオニン、L−シスタチオニン、L−シスチン、L−システィン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、S−(カルボキシメチル)−L−システィン、4−アミノ酪酸、L−アスパラギン、L−グルタミン、アザセリン、L−アルギニン、L−カナバニン、L−シトルリン、δ−ヒドロキシ−L−リシン、クレアチン、L−キヌレニン、L−ヒスチジン、1−メチル−L−ヒスチジン、3−メチル−L−ヒスチジン、エルゴチオネイン、L−トリプトファン、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、N−ヒドロキシエチルグリシン、N−ヒドロキシエチル−α−アラニン、アクチノマイシンC1、アパミン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII及びアンチパイン等が挙げられる。
本発明の金属用研磨液は、更に、無機酸を含有することができる。
無機酸は、酸化の促進、pH調整、緩衝剤としての作用を有する。
無機酸としては、例えば、硫酸、硝酸、ホウ酸、燐酸などが挙げられる。なかでも、研磨性の観点から、硝酸が好ましい。
本発明の金属用研磨液は、さらに、キレート剤(すなわち、硬水軟化剤)を含有することができる。
キレート剤は、混入する多価金属イオンなどの悪影響を低減させうる。
キレート剤としては、例えば、カルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤である汎用の硬水軟化剤やその類縁化合物が挙げられる。具体的には、例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンビス(オルトヒドロキシフェニル)ジ酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。
キレート剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の金属用研磨液は、さらに、界面活性剤及び/又は親水性ポリマーを含有することが好ましい。
界面活性剤と親水性ポリマーは、いずれも被研磨面の接触角を低下させる作用を有して、均一な研磨を促す作用を有する。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイドを挙げることができる。
非イオン界面活性剤としては、例えば、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられ、より具体的には、エーテル型として、ポリオキシエチレンアルキル及びアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;、エーテルエステル型として、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル;エステル型として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル;含窒素型として、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が例示される。
また、フッ素系界面活性剤を用いることもできる。
本発明の金属用研磨液を適用する基体がガラス基板等である場合はその限りではない。
上記例示化合物の中でもシクロヘキサノール、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリビニルアルコール、コハク酸アミド、ポロビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーがより好ましい。
本発明の金属用研磨液は、必要に応じて、pH調整のためにアルカリ剤、更にはpHの変動抑制の点から緩衝剤を含有することができる。
特に好ましいアルカリ剤としては、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドが挙げられる。
また、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)のpHは2〜14が好ましく、3〜12がより好ましく、3.5〜8が最も好ましい。この範囲の場合、優れた効果を発揮する。
所望のpHに調整するため、酸を加えることもできる。
ここで用いることができる酸としては、例えば、硫酸、硝酸、ホウ酸、燐酸、炭酸等が挙げられ、この中では硝酸、硫酸が好ましい。
また、本発明の金属用研磨液は、さらに、添加剤を含有するのが、研磨性の観点から、好ましい。
添加剤としては、例えば、アンモニア;ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、プロピレンジアミン等のアルキルアミンや、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム及びキトサン等のアミン;ジチゾン、クプロイン(2,2’−ビキノリン)、ネオクプロイン(2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン)、バソクプロイン(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)及びキュペラゾン(ビスシクロヘキサノンオキサリルヒドラゾン)等のイミン;ベンズイミダゾール−2−チオール、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオプロピオン酸、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオブチル酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、2,3−ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、4−メトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−ブトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−オクチルオキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、5−ヘキシルベンゾトリアゾール、N−(1,2,3−ベンゾトリアゾリル−1−メチル)−N−(1,2,4−トリアゾリル−1−メチル)−2−エチルヘキシルアミン、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾール、ビス[(1−ベンゾトリアゾリル)メチル]ホスホン酸等のアゾール;ノニルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、トリアジンチオール、トリアジンジチオール、トリアジントリチオール等のメルカプタン、その他、アントラニル酸、アミノトルイル酸、キナルジン酸などが挙げられる。
これらの中でもキトサン、エチレンジアミンテトラ酢酸、L−トリプトファン、キュペラゾン、トリアジンジチオール、ベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾールブチルエステル、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾールが高いCMP速度と低いエッチング速度を両立する上で好ましい。
研磨される金属としては、例えば、銅、銅合金、タンタルが挙げられる。
なかでも、銅、銅合金を研磨する際に使用されるのが好ましい。
また、式(I)で表される化合物、水および不動態膜形成剤、ならびに必要に応じて各任意成分を容器に入れ、混合ミキサー等のかくはん機を用いて十分にかくはんして混合液を調製する方法が挙げられる。このような場合、別途、酸化剤を準備し、使用時に、混合液と酸化剤とを混合して使用することができる。
以下、本発明の金属用研磨液を用いて化学的機械的研磨によって研磨を行う際、研磨される対象(ウエハ)および研磨方法について、詳細に説明する。
本発明の金属用研磨液は、例えば、ダマシン法、デュアルダマシン法において行われるCMPに使用することができる。
本発明の金属用研磨液を用いてCMPによって研磨されるウエハは、特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
ウエハは、配線を形成するための金属層を有するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
また、ウエハは、その直径が200mm以上であることが好ましく、300mm以上がより好ましい。300mm以上である場合、より迅速な研磨速度で金属を研磨することができ、より良好な銅/タンタル研磨選択性を有し、ディッシングを発生させることがより少なく、より平坦性に優れる基板を得ることができる。
ウエハにおいて、配線を形成する金属は、銅金属および/または銅合金が好ましく、銅合金がより好ましい。
配線を形成する金属が銅合金の場合、銀を含有する銅合金が好ましい。
銀の含有量は、より迅速な研磨速度で金属を研磨することができ、より良好な銅/タンタル研磨選択性を有し、ディッシングを発生させることがより少なく、より平坦性に優れる基板を得ることができるという観点から、銅合金中の40質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.00001〜0.1質量%であうのが特に好ましい。
金属層は、例えば、めっきによって、微細孔や溝の底からめっき膜を成長させ、微細孔や溝をめっき膜で埋め込む方法によって得られる。
ウエハとしては、例えば、DRAMデバイス系、MPUデバイス系が挙げられる。
ウエハがDRAMデバイス系である場合、そのハーフピッチが0.15μm以下であり、更に0.10μm以下であり、特に0.08μm以下である配線を有するものであることが好ましい。
ウエハがMPUデバイス系である場合、0.12μm以下であり、更に0.09μm以下であり、特に0.07μm以下である配線を持つLSIであることが好ましい。
これらのLSIに対して、本発明の金属用研磨液は、より迅速な研磨速度で金属を研磨することができ、より良好な銅/タンタル研磨選択性を有し、ディッシングを発生させることがより少なく、より平坦性に優れる基板を得ることができる。
ウエハは、銅金属及び/又は銅合金からなる配線と層間絶縁膜との間に、バリア層を有することができる。
バリア層によって、銅が拡散するのを防ぐことができる。
バリア層に使用される材料は、低抵抗のメタル材料が好ましい。
低抵抗のメタル材料としては、例えば、TiN、TiW、Ta、TaN、W、WNが挙げられる。
なかでも、Ta、TaNが好ましい。
バリア層は、その製造について特に制限されない。
以下、本発明の金属用研磨液を用いて化学的機械的研磨によって研磨する方法について説明する。
本発明の金属用研磨液を用いる研磨方法は、CMPであれば特に制限されない。
CMPは、研磨液を研磨定盤上の研磨パッドに供給し、被研磨面と研磨パッドとを接触させて、被研磨面と研磨パッドとを相対運動させることによって研磨する方法が挙げられる。
本発明の金属用研磨液を用いた研磨方法は、本発明の金属用研磨液が上記のいずれの場合であっても適用できる。
CMPにおいて使用される研磨用のパッドは、特に制限されない。例えば、無発泡構造パッド、発泡構造パッドが挙げられる。
無発泡構造パッドは、プラスチック板のような硬質の合成樹脂バルク材をパッドに用いるものである。
また、発泡構造パッドとしては、例えば、独立発泡体(乾式発泡系)、連続発泡体(湿式発泡系)、2層複合体(積層系)が挙げられる。特に、2層複合体(積層系)が好ましい。発泡は、均一でも不均一でもよい。
更に、パッドは、研磨に用いる砥粒(例えば、セリア、シリカ、アルミナ、樹脂など)を含有したものでもよい。砥粒の各種はそれぞれに硬さは軟質のものと硬質のものがあり、どちらでもよい。積層系ではそれぞれの層に異なる硬さのものを用いることが好ましい。
パッドの材質としては、例えば、不織布、人工皮革、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、多孔質フッ素樹脂が挙げられる。
パッドは、研磨面と接触する面に、例えば、格子溝/穴/同心溝/らせん状溝などの加工を施してもよい。
研磨定盤の回転速度は基板が飛び出さないように200rpm以下の低回転が好ましい。
被研磨面(被研磨膜)を有するウエハを研磨パッドへ押しつける際の押し付け圧力は、5〜500g/cm2であることが好ましく、研磨速度のウエハ面内均一性及びパターンの平坦性を満足するためには、12〜240g/cm2であることがより好ましい。
金属用研磨液の供給量に制限はなく、研磨パッドの表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。
また、金属用研磨液の供給速度は、研磨速度のウエハ面内均一性及びパターンの平坦性を満足させるため、10〜1000ml/minが好ましく、170〜800ml/minであることがより好ましい。
このように、濃縮液を水溶液で希釈して使用する場合には、溶解しにくい成分を水溶液の形で後から配合することができることから、より濃縮した濃縮液を調製することができる。
具体的には、例えば、酸化剤を構成成分(A)とし、式(I)で表される化合物、有機酸、添加剤、界面活性剤、及び水を構成成分(B)とし、それらを使用する際に水又は水溶液で、構成成分(A)及び構成成分(B)を希釈して使用することができる。
また、溶解度の低い添加剤を2つの構成成分(A)と(B)に分け、例えば、酸化剤、添加剤、及び界面活性剤を構成成分(A)とし、式(I)で表される化合物、有機酸、添加剤、界面活性剤、及び水を構成成分(B)とし、それらを使用する際に水又は水溶液を加え、構成成分(A)及び構成成分(B)を希釈して使用する。
その他の混合方法は、上記したように直接に3つの配管をそれぞれ研磨パッドに導き、研磨パッドと被研磨面の相対運動により混合する方法や、1つの容器に3つの構成成分を混合して、そこから研磨パッドに希釈された金属用研磨液(使用液)を供給する方法がある。
また、本発明の金属用研磨液を濃縮液とし、希釈水を別にして研磨面に供給することができる。
ウエハにおいて、本発明の金属用研磨液を用いて研磨しうる部分としては、例えば、配線を形成するための金属層、バリア層金属が挙げられる。
また、本発明の金属用研磨液を用いて、配線を形成するための金属層およびバリア層金属を研磨することができる。
また、本発明の金属用研磨液を使用して配線を形成するための金属層を研磨したのち、本発明の金属用研磨液以外の研磨液を使用してバリア層を研磨することができる。このような場合、バリア層を研磨する際に使用される研磨液は、特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
<化合物A−1の合成>
1,2−ジアミノエタン500mL(7.5mol)に、クロロ酢酸140g(1.5mol)を水140mLに溶解したものをゆっくり加えた。反応液を、室温で24時間かくはんした後、エバポレーターで減圧濃縮し、エタノールを加えることにより、析出物を得た。析出物を濾取し、風乾することで、下記式(A−1)で表される化合物(以下、「化合物A−1」という。)が130g(1.1mol,収率73%)得られた。
・元素分析値の実測値:C40.1%、N23.9%
下記に示す成分および組成の研磨液を調製し、実施例1の金属用研磨液を得た。
また、この金属用研磨液を用いて下記の方法により研磨試験を行い、研磨速度、ディッシング、銅/タンタル研磨速度比を評価した。
・過酸化水素(酸化剤)・・・5g
・化合物A−1・・・6g
・ベンゾトリアゾール(芳香環化合物)・・・0.9g
・コロイダルシリカ(砥粒)・・・8g
・純水・・・全量が1000mlとなる量
なお、アンモニア水と硫酸とを用いて、研磨液のpHを6.8に調整した。
また、上記過酸化水素、化合物A−1、ベンゾトリアゾール及びコロイダルシリカの質量は、これらの成分自体の質量を示す。
・研磨パッド:IC1400XY−K Groove(ロデール社)
・研磨機:LGP−612(LapmaSterSFT社)
・押さえ圧力:100g/cm2
・研磨液供給速度:200ml/min
・銅ブランケットウエハ:厚さ1.4μmの銅膜を形成したウエハ(200mm)
・タンタルブランケットウエハ:厚さ1μmのタンタル膜を形成したウエハ(200mm)
・パターンウエハ:セマテック社製CMP854パターンウエハ(200mm)
・研磨パッド/ウエハの回転数:95/120rpm
・定盤温調:20℃
・研磨速度:銅ブランケットウエハ面上の49箇所と、タンタルブランケットウエハ面上の49箇所に対し、金属膜のCMP前後での膜厚さを電気抵抗値から換算して、それぞれの平均研磨速度を求めた。
また、求められた平均研磨速度を、下記の式に導入し、下記数式(1)にあてはめて銅とタンタルの研磨速度比(銅/タンタル研磨速度比)を算出した。
=(銅の平均研磨速度)/(タンタルの平均研磨速度) (1)
上記研磨液を用いてCMPを行って得られた平均研磨速度、ディッシング、及び銅/タンタル研磨速度比を下記表1に示す。
実施例1の金属用研磨液の組成において、ベンゾトリアゾール(芳香環化合物)をテトラゾールに代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の金属用研磨液を作製した。
得られた金属用研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、研磨速度、ディッシング、及び銅/タンタル研磨速度比を求めた。結果を表1に併記する。
実施例1の金属用研磨液の組成において、化合物A−1を下記表1に示す有機酸にそれぞれ代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜3の金属用研磨液を作製した。
得られた金属用研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、研磨速度、ディッシング、及び銅/タンタル研磨速度比を求めた。結果を表1に併記する。
このような結果から、本発明の金属用研磨液は、主として銅または銅合金から得られる配線の研磨に用いられることが好ましい。
Claims (5)
- 前記式(I)で表される化合物が、さらに、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基またはこれらの基を部分構造として含む基を置換基として有する化合物である請求項1に記載の金属用研磨液。
- 前記置換基が、前記式(I)中のメチレン基のいずれかに結合している請求項2に記載の金属用研磨液。
- 研磨される金属が、銅または銅合金である請求項1〜3のいずれかに記載の金属用研磨液。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の金属用研磨液を用いて化学的機械的研磨によって研磨された半導体集積回路用基板。
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