JP2009087968A - 金属用研磨液、及び化学的機械的研磨方法 - Google Patents

金属用研磨液、及び化学的機械的研磨方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被研磨体(ウェハ)を研磨する際に、高い研磨速度とウェハ面内における均一な研磨の両立を可能とする金属用研磨液、及びそれを用いた化学的機械的研磨方法を提供すること。
【解決手段】半導体デバイス製造工程における化学的機械的研磨に用いられ、ペルオキソ二硫酸塩および下記一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴とする金属用研磨液。一般式(I)中、XおよびXはテトラゾール類、1,2,4−トリアゾール類、1,2,3−トリアゾール類、および、ベンゾトリアゾールからなる群より選択される化合物より水素原子を除いてなる一価の置換基を表し、Lは、ウレイド基、チオウレイド基、アミド基、エステル基、スルホンアミド基等から選ばれる少なくとも一つの基を含んで構成される二価の連結基を表す。
−L−X 一般式(I)
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体デバイスの製造工程において、化学的機械的な平坦化を行う際に用いられる金属用研磨液、及びこれを用いた研磨方法に関する。
近年、半導体集積回路(以下LSIと記す)で代表される半導体デバイスの開発においては、小型化・高速化のため、近年配線の微細化と積層化による高密度化・高集積化が求められている。このための技術として化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下CMPと記す)等の種々の技術が用いられてきている。
このCMPは層間絶縁膜等の被加工膜の表面平坦化、プラグ形成、埋め込み金属配線の形成等を行う場合に必須の技術であり、この技術を用いて、基板の平滑化や配線形成時の余分な金属薄膜の除去を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
CMPの一般的な方法は、円形の研磨常盤(プラテン)上に研磨パッドを貼り付け、研磨パッド表面を研磨液で浸して、パッドに基板(ウエハ)の表面を押しつけ、その裏面から所定の圧力(研磨圧力)を加えた状態で、研磨常盤及び基板の双方を回転させ、発生する機械的摩擦により基盤の表面を平坦化するものである。
CMPに用いる金属用研磨溶液は、一般には、砥粒(例えばアルミナ、シリカ)と酸化剤(例えば過酸化水素、過硫酸)とが含まれる。基本的なメカニズムは、酸化剤によって金属表面を酸化し、その酸化皮膜を砥粒で除去することで研磨していると考えられており、その方法は、例えば、非特許文献1に記載されている。
配線用の金属としては、従来からタングステン及びアルミニウムがインターコネクト構造体に汎用されてきた。しかしながら更なる高性能化を目指し、これらの金属より配線抵抗の低い銅を用いたLSIが開発されるようになった。この銅を配線する方法としては、例えば、特許文献2に記載されている、ダマシン法が知られている。また、コンタクトホールと配線用溝とを同時に層間絶縁膜に形成し、両者に金属を埋め込むデュアルダマシン法が広く用いられるようになってきた。銅金属の研磨においては、特に軟質の金属であるがため、益々高精度の研磨技術が要求されてきている。また、同時に、高生産性を発揮し得る高速金属研磨手段が求められている。
また近年、生産性向上のため、LSI製造時のウェハ径が大型化しており、現在は直径200mm以上が汎用されており、300mm以上の大きさでの製造も開始され始めた。このようなウェハの大型化に伴い、ウェハ中心部と周辺部とでの研磨速度の差異が生じ易くなり、研磨の均一性を達成することが重要になってきている。
特に、金属配線形成工程のCMPでは、研磨が進行すると研磨ウェハ表面と研磨パッド表面の接触部の温度が上昇することが知られており、一般に研磨ウェハ表面と研磨パッド表面の摩擦を高めて高速に研磨するほど発熱が大きくなる。上記の如くウェハ径が大きくなるに従い、特に200mm以上においては、ウェハ中心部の熱が外部に逃げにくいため、ウェハ面内で温度分布を生じ、この温度差がさらなる研磨の不均一性につながることが懸念される。これに対し、研磨圧力を下げることにより研磨ウェハ表面と研磨パッド表面の摩擦力を下げると温度差による研磨の不均一性は緩和されるものの、研磨速度が低下するという問題が生じていた。
一般にペルオキソ二硫酸塩を含む研磨剤は高い研磨速度が得られるという特徴を有するが、ディッシングやエロージョンが進行しやすいという問題がある。前記ディッシングを解決するひとつの手段として、金属膜の研磨を抑制する防食剤としてベンゾトリアゾール類が利用されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、本発明者らが、前記特許文献3に記載の技術を用いて、高速研磨とウェハ面内における均一な研磨の両立を試みたところ、未だ不十分であった。
米国特許4944836号明細書 特開平2−278822号公報 特開2005−116987号公報 ジャーナル・オブ・エレクトロケミカルソサエティ誌(Journal of Electrochemical Society)、1991年、第138巻、第11号、3460〜3464頁
本発明の目的は、被研磨体(ウェハ)を研磨する際に、高い研磨速度とウェハ面内における均一な研磨の両立を可能とする金属用研磨液、及びそれを用いた化学的機械的研磨方法を提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、下記の金属用研磨液及びそれを用いた研磨方法により、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の金属用研磨液及びそれを用いた研磨方法は、以下の通りである。
<1>半導体デバイス製造工程における化学的機械的研磨に用いられ、ペルオキソ二硫酸塩および下記一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴とする金属用研磨液。
Figure 2009087968
一般式(I)中、XおよびXはそれぞれ独立に、テトラゾール類、1,2,4−トリアゾール類、1,2,3−トリアゾール類、および、ベンゾトリアゾールからなる群より選択される化合物より水素原子を除いてなる一価の置換基を表し、Lは、ウレイド基、チオウレイド基、アミド基、エステル基、スルホンアミド基、スルホンウレイド基、ヒドロキシ基、エーテル基、アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、ヘテロ環基、チオエーテル基、カーボネート基、カルバメート基、アルキル基、およびアリール基から選ばれる少なくとも一つの基を含んで構成される二価の連結基を表す。
<2>研磨液のpHが8.0〜12.0であることを特徴とする前記<1>に記載の金属用研磨液。
<3>研磨液のpHが9.0〜11.0であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の金属用研磨液。
<4>前記<1>〜<4>のいずれかに記載の金属用研磨液を研磨定盤上の研磨パッドに供給し、該研磨定盤を回転させることで、該研磨パッドを被研磨体の被研磨面と接触させつつ相対運動させて研磨することを特徴とする化学的機械的研磨方法。
本発明によれば、被研磨体(ウェハ)を研磨する際に、高い研磨速度とウェハ面内における均一な研磨の両立を可能とする金属用研磨液、及びそれを用いた化学的機械的研磨方法を提供することができる。
以下、本発明の具体的態様について説明する。
本発明において「金属用研磨液」とは、研磨に使用する組成(濃度)の研磨液のみならず、金属用研磨液の濃縮液をも包含するものとする。即ち、実際に使用される組成よりも溶媒、分散媒に対してより高濃度の成分を含み、使用時に必要により希釈して用いる研磨濃縮液も本発明では特に断りのない限り、研磨液と称する。
ここで、濃縮液または濃縮研磨液とは、研磨に使用する際の研磨液よりも、溶質の濃度が高く調製された研磨液を意味し、研磨に使用する際に、水または水溶液などで希釈して、研磨に使用されるものである。希釈倍率は、一般的には1〜20体積倍である。
本明細書において「濃縮液」とは、使用状態よりも溶媒、分散媒に対してより多くの有効成分を含む「濃厚な液」を意味する慣用表現にしたがって用いており、「蒸発などの物理的な濃縮操作の結果得られる液」の意味とは異なる用法で用いている。
なお、金属用研磨液の濃縮液作製時に添加する成分のうち、室温での水に対する溶解度が5%未満のものの配合量は、成分の温度や経時による析出抑制の観点から、室温での水に対する溶解度の2倍以内とすることが好ましく、1.5倍以内とすることがより好ましい。
<金属用研磨液>
本発明の金属用研磨液は、下記一般式(I)で表される化合物を含有する。
一般式(I)で表される化合物は、本発明の金属用研磨液において、不動態膜形成剤として、研磨対象の金属表面に研磨速度を制御する不動態膜を形成しうる化合物であり、不動態膜を形成する機能のほかに、酸化剤の分解を抑制する機能を有する。
Figure 2009087968
一般式(I)中、XおよびXはそれぞれ独立に、テトラゾール類、1,2,4−トリアゾール類、1,2,3−トリアゾール類、および、ベンゾトリアゾールからなる群より選択される化合物より水素原子を除いてなる一価の置換基を表し、Lは、ウレイド基、チオウレイド基、アミド基、エステル基、スルホンアミド基、スルホンウレイド基、ヒドロキシ基、エーテル基、アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、ヘテロ環基、チオエーテル基、カーボネート基、カルバメート基、アルキル基、およびアリール基から選ばれる少なくとも一つの基を含んで構成される二価の連結基を表す。
上記テトラゾール類とは、テトラゾール以外に、置換基として、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホ基、ホスホノ基、スルホンアミド基、アルキル基、アリール基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、ヘテロ環基を有するテトラゾール誘導体を含む。上記置換基の中で、より好ましいのは、ヒドロキシ基、カルボキシ基である。
上記置換基のテトラゾール誘導体における置換位置は、1位または5位が好ましく、5位がより好ましい。
またこれらの置換基は更に置換基を有していてもよい。
1,2,3−トリアゾール類とは、1,2,3−トリアゾール以外に、置換基として、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホ基、ホスホノ基、スルホンアミド基、アルキル基、アリール基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、メルカプト基を有する1,2,3−トリアゾール誘導体を含む。上記置換基の中で、より好ましいのは、ヒドロキシ基、カルボキシ基である。
上記置換基の1,2,3−トリアゾール誘導体における置換位置は、1位、4位または5位が好ましく、4位または5位がより好ましい。
またこれらの置換基は更に置換基を有していてもよい。
1,2,4−トリアゾール類とは、1,2,4−トリアゾール以外に、置換基として、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホ基、ホスホノ基、スルホンアミド基、アルキル基、アリール基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、メルカプト基を有する1,2,4−トリアゾール誘導体を含む。上記置換基の中で、より好ましいのは、ヒドロキシ基、カルボキシ基である。
上記置換基の1,2,4−トリアゾール誘導体における置換位置は、3位、4位または5位が好ましく、3位または5位がより好ましい。
またこれらの置換基は更に置換基を有していてもよい。
一般式(I)中、Lで表される二価の連結基としては、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,1,3−トリメチルへキシレン基等)、アリーレン基(例えば、p−フェニレン基、m−フェニレン基、ナフタレン基等)、ヘテロ環基(例えば、ピリジン環連結基、トリアジン環連結基、トリアゾール環連結基、チアジアゾール環連結基等)、ウレイド基、チオウレイド基、アミド基、エステル基、スルホンアミド基、スルホンウレイド基、ヒドロキシ基、エーテル基、アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、チオエーテル基、カーボネート基、およびカルバメート基、から選ばれる少なくとも一つの基を含んで構成される二価の連結基が挙げられる。
一般式(I)中のLで表される二価の連結基としては、ウレイド基、アミド基、エステル基、カーボネート基、カルバメート基、スルホンアミド基、ヒドロキシ基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、および、ヘテロ環基から選択される基を含んで構成される連結基、および、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基などが置換した二価の連結基がより好ましく、ウレイド基、アミド基、エーテル基、および、アミノ基から選択される基を含んで構成される連結基、および、ヒドロキシ基が置換した連結基が更に好ましい。
Lで表される二価の連結基は、上記連結基を二つ以上連結してなる二価の連結基を用いることができ、例えば、以下に示す連結基等が挙げられる。
Figure 2009087968
連結基は、炭化水素基の両末端にそれぞれ独立に存在する、ウレイド基、チオウレイド基、アミド基、エステル基、スルホンアミド基、スルホンウレイド基、エーテル基を有し、ウレイド基、チオウレイド基、アミド基、エステル基、スルホンアミド基、スルホンウレイド基においてXまたはXと結合するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
このような場合、ウレイド基はウレイレン基となり、チオウレイド基はチオウレイレン基となり、アミド基は−NHCO−となり、スルホンアミド基は−SONH―となり、スルホンウレイド基はスルホンウレイレン基となる。
また、連結基は、エーテル基、ウレイド基、チオウレイド基、アミド基、エステル基、スルホンアミド基、スルホンウレイド基、エーテル基を介して2つの炭化水素基を結合させることができる。
また、連結基における炭化水素基に、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、ウレイド基、チオウレイド基、アミド基、エステル基、スルホンアミド基、スルホンウレイド基が結合しているのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
また一般式(I)のLは、可能な限り更に置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基(置換基を有するカルバモイル基としては、例えば、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基)、カルバゾイル基、カルボキシ基又はその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基またはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシまたはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシまたはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルまたはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えば、ピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)ジチオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基、スルファモイル基(置換基を有するスルファモイル基としては、例えば、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基)、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
一般式(I)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明は、何らこれらに限定されるものではない。
Figure 2009087968
Figure 2009087968
Figure 2009087968
Figure 2009087968
合成容易の観点から、一般式(I)におけるXとXは同一であることが好ましいが、異なるものも用いることができる。
一般式(I)で表される化合物は一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
本発明で金属表面に不動態膜を形成するために用いる上記一般式(I)で表される化合物の添加量は、総量として、研磨に使用する際の金属用研磨液1L中、1×10−8〜1×10−1molの範囲が好ましく、より好ましくは1×10−7〜1×10−2molであり、更に好ましくは1×10−6〜1×10−2molである。
本発明の研磨液は、その好適な研磨対象である金属を酸化できる化合物(酸化剤)として、ペルオキソ二硫酸塩を含有する。
ペルオキソ二硫酸塩の中でもペルオキソ二硫酸アンモニウム、またはペルオキソ二硫酸カリウムが好ましく、ペルオキソ二硫酸アンモニウムが最も好ましい。
ペルオキソ二硫酸塩の添加量は、研磨に使用する際の研磨用の1L当たり、0.005mol〜0.5molとすることが好ましく、0.001mol〜0.4molとすることがより好ましく、0.05mol〜0.3molとすることが更に好ましい。即ち、酸化剤の添加量は、金属の酸化が十分で高いCMP速度を確保する点で0.005mol以上が好ましく、研磨面の荒れ防止の点から0.5mol以下が好ましい。
本発明の金属用研磨液は、ペルオキソ二硫酸塩と、上記一般式(I)で表される化合物であるテトラゾール誘導体、1,2,3トリアゾール誘導体、1,2,4トリアゾール誘導体、およびベンゾトリアゾール誘導体の中から選ばれた、少なくとも1種の化合物と、を必須成分として含有する。
さらに本発明の金属用研磨液は砥粒、有機酸、界面活性剤などを含有することが好ましく、通常は、各成分を溶解してなる水溶液に、砥粒を分散させてなるスラリーの形態をとる。
また、上記金属用研磨液のpHは、8.0から12.0であることが好ましく、9.0から11.0であることがより好ましい。
本発明の金属用研磨液は、本発明の効果を損なわない範囲において、前記一般式(I)で表される化合物以外の複素環化合物を併用することができる。
併用しうる「複素環化合物」とはヘテロ原子を1個以上含んだ複素環を有する化合物である。ヘテロ原子とは、炭素原子、又は水素原子以外の原子を意味する。複素環とはヘテロ原子を少なくとも一つ持つ環状化合物を意味する。ヘテロ原子は複素環の環系の構成部分を形成する原子のみを意味し、環系に対して外部に位置していたり、少なくとも一つの非共役単結合により環系から分離していたり、環系のさらなる置換基の一部分であるような原子は意味しない。
ヘテロ原子として好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、及びホウ素原子であり、さらに好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、及びセレン原子であり、特に好ましくは、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子であり、最も好ましくは窒素原子、及び硫黄原子である。
併用しうる複素環化合物は、へテロ原子を4個以上有するのが好ましく、3個以上の窒素原子を有するのがより好ましく、4個以上の窒素原子を有するのが特に好ましい。
併用しうる複素環化合物の複素環の環員数は特に限定されず、単環化合物であっても縮合環を有する多環化合物であっても良い。
単環の場合の員数は、好ましくは5〜7であり、特に好ましくは5である。縮合環を有する場合の環数は、好ましくは2または3である。
これらの複素環として、具体的には以下のものが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
例えば、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンズオキサゾール環、ナフトイミダゾール環、ベンズトリアゾール環、テトラアザインデン環等が挙げられ、より好ましくはトリアゾール環、テトラゾール環が挙げられる。
複素環化合物に導入しうる置換基としては、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、ヘテロ環基が挙げられる。
さらに、複数の置換基のうち2以上が互いに結合して環を形成してもよく、例えば、芳香環、脂肪族炭化水素環、複素環などを形成することもできる。
本発明で特に好ましく併用しうる複素環化合物の具体例としては以下のものが挙げられる。
すなわち、1,2,3,4−テトラゾール、5−アミノ−1,2,3,4−テトラゾール、5−メチル−1,2,3,4−テトラゾール、1,2,3−トリアゾール、4−アミノ−1,2,3−トリアゾール、4,5−ジアミノ−1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾールである。
なかでも、1,2,3,4−テトラゾール、5−アミノ−1,2,3,4−テトラゾール、5−メチル−1,2,3,4−テトラゾールなどのテトラゾール類及びその誘導体が好ましい。
本発明で併用しうる複素環化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明で用いる複素環化合物の総添加量(一般式(I)で表される化合物+他の複素環化合物)は、総量として、研磨に使用する際の金属用研磨液の1L中、0.0001〜0.1molが好ましく、より好ましくは0.0005〜0.05mol、更に好ましくは0.0005〜0.01molである。
本発明の金属用研磨液を構成する他の成分については、以下に詳述するが、それぞれの成分は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<有機酸>
本発明に係る金属用研磨液は更に少なくとも1種の有機酸を含有することが好ましい。ここでいう有機酸は、金属の酸化剤ではなく、酸化の促進、pH調整、緩衝剤としての作用を有する。
有機酸としては、水溶性のものが望ましい。以下の群から選ばれたものがより適している。
即ち、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、アセドアミドイミノ二酢酸、ニトリロ三プロパン酸、ニトリロ三メチルホスホン酸、ジヒドロキシエチルグリシン、トリシン、及びそれらのアンモニウム塩やアルカリ金属塩等の塩、アンモニウム塩類、又はそれらの混合物等が挙げられる。
また、アミノ酸としては、水溶性のものが好ましい。以下の群から選ばれたものがより適している。
即ち、グリシン、L−アラニン、β−アラニン、L−2−アミノ酪酸、L−ノルバリン、L−バリン、L−ロイシン、L−ノルロイシン、L−イソロイシン、L−アロイソロイシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、サルコシン、L−オルニチン、L−リシン、タウリン、L−セリン、L−トレオニン、L−アロトレオニン、L−ホモセリン、L−チロシン、3,5−ジヨード−L−チロシン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、L−チロキシン、4−ヒドロキシ−L−プロリン、L−システィン、L−メチオニン、L−エチオニン、L−ランチオニン、L−シスタチオニン、L−シスチン、L−システィン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、S−(カルボキシメチル)−L−システィン、4−アミノ酪酸、L−アスパラギン、L−グルタミン、アザセリン、L−アルギニン、L−カナバニン、L−シトルリン、δ−ヒドロキシ−L−リシン、クレアチン、L−キヌレニン、L−ヒスチジン、1−メチル−L−ヒスチジン、3−メチル−L−ヒスチジン、エルゴチオネイン、L−トリプトファン、アクチノマイシンC1、アパミン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII及びアンチパイン等が挙げられる。
本発明においては、上記の有機酸又はアミノ酸の中でも、特に以下のアミノ酸を用いることが好ましい。
即ち、グリシン、イミノ二酢酸、メチルイミノ二酢酸、N−メチルグリシン、ニトリロ三プロパン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、L−アラニン、β−アラニン、グリシルグリシン、ジヒドロキシエチルグリシン、アセトアミドイミノ二酢酸、トリシン等である。
有機酸の添加量は、研磨に使用する際の金属用研磨液の1L中、0.005〜0.5molとすることが好ましく、0.01〜0.3molとすることがより好ましく、0.05〜0.3molとすることが更に好ましい。上記範囲とすることで、研磨速度が向上し、ディシングを抑制することができる。
本発明の金属用研磨液において、上記有機酸は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
また、これらの有機酸は、常法に従って合成できるほか、市販品を使用してもよい。
<砥粒>
本発明の金属用研磨液は、砥粒を含有することが好ましい。好ましい砥粒としては、例えば、シリカ(沈降シリカ、フュームドシリカ、コロイダルシリカ、合成シリカ)、セリア、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、酸化マンガンなどが挙げられ、特にコロイダルシリカが好ましい。
砥粒として好ましく用いうるコロイダルシリカ粒子の作製法として、例えばSi(OC、Si(sec−OC、Si(OCH、Si(OCのようなシリコンアルコキシド化合物をゾルゲル法により加水分解する作製法が挙げられる。このようにして得られたコロイダル粒子は粒度分布が非常に急峻なものとなる。
砥粒の一次粒子径とは、砥粒の粒子径とその粒子径を持つ粒子数を積算した累積度数との関係を示す粒度累積曲線を求め、この曲線の累積度数が50%のポイントでの粒子径を意味するものである。例えば、粒度分布を求める測定装置しては堀場製作所製LB−500等が用いられる。
砥粒の粒子が球形の場合はそのまま測定した値を採用しうるが、不定形粒子の粒子サイズは、該粒子体積と等しくなる球の直径で表すものとする。粒子サイズは光子相関法、レーザー回折法、コールターカウンター法等の公知の様々な方法で測定することが可能であるが、本発明においては、走査顕微鏡による観察、又は、透過電子顕微鏡写真を撮影して、個々の粒子の形状とサイズを求め、算出する方法を用いる。
本発明の研磨用組成物に含有される砥粒の平均粒径(一次粒径)は20〜150nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜50nmである。充分な研磨加工速度を達成する目的から20nm以上の粒子が好ましい。また、研磨加工中に過剰な摩擦熱を発生させない目的で粒子径は50nm以下が好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲において、前記した如き一般的な無機砥粒のみならず、有機重合体粒子を併用することも可能である。さらに、アルミン酸イオンまたはホウ酸イオンを用いて表面改質したコロイダルシリカ、表面電位を制御したコロイダルシリカなど、各種表面処理を行ったコロイダルシリカや、複数の材料からなる複合砥粒などを目的に応じて用いることも可能である。
本発明における砥粒の添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般には、金属用研磨液の全質量に対して0.001〜20質量%の範囲で用いることができるが、本発明においては、砥粒の添加量は1.0質量%未満であることが好ましく、0.01〜0.5質量%の範囲であることがより好ましい。本発明では、砥粒の添加量が1.0質量%未満でも優れた研磨特性を発揮し、砥粒に起因するスクラッチを抑制することができる。
本発明の金属用研磨液は、さらに他の成分を含有してもよく、例えば、界面活性剤、親溶性ポリマー、金属キレート剤及び、その他の添加剤を挙げることができる。
<界面活性剤および/または親水性ポリマー>
本発明の研磨液は、界面活性剤および/または親水性ポリマーを含有することが好ましい。
界面活性剤および親水性ポリマーは、いずれも被研磨面の接触角を低下させる作用を有して、均一な研磨を促す作用を有する。用いられる界面活性剤や親水性ポリマーとしては、以下の群から選ばれたものが好適である。
陰イオン界面活性剤として、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩が挙げられ、陽イオン界面活性剤として、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩が挙げられ、両性界面活性剤として、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイドを挙げることができ、非イオン界面活性剤として、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられ、また、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
さらに、親水性ポリマーとしては、ポリエチレングリコール等のポリグリコール類、ポリビニルアルコール、ポロビニルピロリドン、アルギン酸等の多糖類、ポリメタクリル酸等のカルボン酸含有ポリマー等が挙げられる。
なお、上記のものは、酸もしくはそのアンモニウム塩の方が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化物等による汚染がなく望ましい。上記例示化合物の中でもシクロヘキサノール、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリビニルアルコール、コハク酸アミド、ポロビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーがより好ましい。
これらの界面活性剤および親水性ポリマーの重量平均分子量としては、500〜100,000が好ましく、2,000〜50,000がより好ましい。
界面活性剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。親水性ポリマーについても、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤および/または親水性ポリマーの添加量は、総量として、研磨に使用する際の金属用研磨液の1L中、0.001〜10gとすることが好ましく、0.01〜5gとすることがより好ましく0.1〜3gとすることが更に好ましい。
<金属キレート剤>
本発明の金属用研磨液は、金属用研磨液の経時安定性を高める目的で、金属キレート剤を含有することが好ましい。
キレート剤としては、アミノカルボン酸系キレート剤及びホスホン酸系キレート剤を挙げることができる。アミノカルボン酸系キレート剤としては、例えば、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸(HIDA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸(CyDTA)、1,2−プロパンジアミン四酢酸(1、2―PDTA)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(1、3―PDTA)、1、4―ブタンジアミン四酢酸(1、4―BDTA)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸(DPTA−OH)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸(EDHPA)、SS―エチレンジアミンジコハク酸(SS−EDDS)、エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、β−アラニンジ酢酸(ADA)、メチルグリシンジ酢酸(MGDA)、L−アスパラギン酸−N,N−ジ酢酸(ASDA)、L−グルタミン酸―N,N−ジ酢酸(GLDA)、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N’−ジ酢酸(HBEDDA)、が挙げられる。
ホスホン酸系キレート剤としては、例えばN,N,N−トリメチレンホスホン酸(NTMP)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸(PBTC)、が挙げられる。
これらのキレート剤は、H体(遊離酸)だけでなく、アルカリ塩(例えば、アンモニウム塩、Na塩、K塩)であってもよい。好ましくは、H体またはアンモニウム体である。
これらのキレート剤は、市販のものを使用することができる。
キレート剤は必要に応じて2種以上併用してもよい。キレート剤の添加量は混入する多価金属イオンなどの金属イオンを封鎖するのに充分な量であればよいが、0.001g/L〜0.1g/Lになるように添加することが好ましく、より好ましくは0.005g/L〜0.1g/L、さらに好ましくは0.01g/L〜0.1g/Lである。
<アルカリ剤/緩衝剤>
本発明の金属用研磨液は、所定のpHとすべく、アルカリ剤又は緩衝剤を添加することが好ましい。
アルカリ剤(及び緩衝剤)としては、水酸化アンモニウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドなどの有機水酸化アンモニウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのようなアルカノールアミン類などの非金属アルカリ剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、リン酸三ナトリウムなどのリン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩などを挙げることができる。
特に好ましいアルカリ剤として水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドが挙げられる。
アルカリ剤(及び緩衝剤)の添加量としては、pHが好ましい範囲に維持される量であればよく、研磨に使用する際の金属用研磨液の1L中、0.0001mol〜1.0molとすることが好ましく0.003mol〜0.5molとすることがより好ましい。
<研磨用組成物のpH>
本発明の研磨液においては、研磨面への反応性や吸着性、研磨金属の溶解性、被研磨面の電気化学的性質、化合物官能基の解離状態、液としての安定性などにより、適宜、前記した成分の種類、添加量、或いは、pHを設定することが好ましい。
本発明の研磨液におけるpHは、平坦化性能の点から、3.0〜12.0であることが好ましく、より好ましくはpHが8.0〜12.0、さらに好ましくはPHが9.0〜11.0の範囲である。pHは、緩衝剤、アルカリ剤などを適宜選択して添加することで容易に調整することができる。
<化学的機械的研磨方法>
本発明の化学的機械的研磨方法は、本発明の金属用研磨液を研磨定盤上の研磨パッドに供給し、該研磨定盤を回転させることで、該研磨パッドを被研磨体の被研磨面と接触させつつ相対運動させて研磨することを特徴とする。
以下、この化学的機械的研磨方法について詳細に説明する。
(研磨装置)
まず、本発明の研磨方法を実施できる装置について説明する。
本発明に適用可能な研磨装置としては、被研磨面を有する被研磨体(半導体基板等)を保持するホルダーと、研磨パッドを貼り付けた(回転数が変更可能なモータ等を取り付けてある)研磨定盤と、を備える一般的な研磨装置が使用でき、例えば、F−REX300(荏原製作所製)を用いることができる。
(研磨圧力)
本発明の研磨方法では、研磨圧力、即ち、被研磨面と前記研磨パッドとの接触圧力が3000〜25000Paで研磨を行うことが好ましく、6500〜18000Paで研磨を行うことがより好ましい。
(研磨定盤の回転数)
本発明の研磨方法では、研磨定盤の回転数が50〜200rpmで研磨を行うことが好ましく、60〜150rpmで研磨を行うことがより好ましい。
(研磨液供給方法)
本発明では対象金属を研磨する間、研磨定盤上の研磨パッドに金属用研磨液をポンプ等で連続的に供給する。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。
本発明の研磨方法には、濃縮された研磨液に水又は水溶液を加え希釈して用いることもできる。希釈方法としては、例えば、濃縮された研磨液を供給する配管と、水又は水溶液を供給する配管と、を途中で合流させて混合し、希釈された研磨液を研磨パッドに供給する方法などを挙げることができる。その場合の混合は、圧力を付した状態で狭い通路を通して液同士を衝突混合する方法、配管中にガラス管などの充填物を詰め液体の流れを分流分離、合流させることを繰り返し行う方法、配管中に動力で回転する羽根を設ける方法など、通常に行われている方法を用いることができる。
また、他の希釈方法としては、研磨液を供給する配管と水又は水溶液を供給する配管とをそれぞれ独立に設け、それぞれから所定量の液を研磨パッドに供給し、研磨パッドと被研磨面の相対運動により混合する方法する方法も本発明に用いることができる。
更に、1つの容器に、所定量の濃縮された研磨液と水又は水溶液を入れて混合し、所定の濃度に希釈した後に、その混合液を研磨パッドに供給する方法も、本発明に適用することができる。
これらの方法以外に、研磨液が含有すべき成分を少なくとも2つの構成成分に分けて、それらを使用する際に、水又は水溶液を加え希釈して研磨パッドに供給する方法も、本発明に用いることができる。この場合、酸化剤を含む成分と、本発明における有機酸を含有する成分と、に分割して供給することが好ましい。
具体的には、酸化剤を1つの構成成分(A)とし、有機酸、添加剤、界面活性剤、複素環化合物、砥粒、及び水を1つの構成成分(B)とすることが好ましく、それらを使用する際に水又は水溶液で構成成分(A)と構成成分(B)を希釈して使用する。この場合、構成成分(A)と構成成分(B)と水又は水溶液とをそれぞれ供給する3つの配管が必要であり、3つの配管を研磨パッドに供給する1つの配管に結合し、その配管内で混合してもよく、2つの配管を結合してから他の1つの配管を結合して混合してもよい。例えば、溶解しにくい添加剤を含む構成成分と他の構成成分を混合し、混合経路を長くして溶解時間を確保してから、更に水又は水溶液の配管を結合することで研磨液を供給することも可能である。
また、上記の3つの配管をそれぞれ研磨パッドに導き研磨パッドと被研磨面の相対運動により混合して供給してもよいし、1つの容器に3つの構成成分を混合した後に、その混合液を研磨パッドに供給してもよい。更に、金属用研磨液を濃縮液とし、希釈水を別にして研磨面に供給してもよい。
(研磨液の供給量)
本発明の研磨方法において、研磨液の研磨定盤上への供給量は50〜500ml/minとすることが好ましく、100〜300ml/minであることがより好ましい。
(研磨パッド)
本発明の研磨方法において用いられる研磨パッドは、特に制限はなく、無発泡構造パッドでも発泡構造パッドでもよい。前者はプラスチック板のように硬質の合成樹脂バルク材をパッドに用いるものである。また、後者は更に独立発泡体(乾式発泡系)、連続発泡体(湿式発泡系)、2層複合体(積層系)の3つがあり、特には2層複合体(積層系)が好ましい。発泡は、均一でも不均一でもよい。
本発明における研磨パッドは、更に研磨に用いる砥粒(例えば、セリア、シリカ、アルミナ、樹脂など)を含有したものでもよい。また、それぞれに硬さは軟質のものと硬質のものがあり、どちらでもよく、積層系ではそれぞれの層に異なる硬さのものを用いることが好ましい。材質としては不織布、人工皮革、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート等が好ましい。また、研磨面と接触する面には、格子溝/穴/同心溝/らせん状溝などの加工を施してもよい。
次に、本発明の研磨方法において研磨が施される被研磨体(基板、ウエハ)について説明する。
(配線金属材料)
本発明における被研磨体は、銅又は銅合金からなる配線を持つ基板(ウエハ)であることが好ましい。配線金属材料としては、銅合金の中でも銀を含有する銅合金が適している。銅合金に含有される銀含量は、10質量%以下、更には1質量%以下で優れた効果を発揮し、0.00001〜0.1質量%の範囲である銅合金において最も優れた効果を発揮する。
(配線の太さ)
本発明における被研磨体は、例えば、DRAMデバイス系では、ハーフピッチで、好ましくは0.15μm以下、より好ましくは0.10μm以下、更に好ましくは0.08μm以下の配線を有することが好ましい。
一方、MPUデバイス系では、好ましくは0.12μm以下、より好ましくは0.09μm以下、更に好ましくは0.07μm以下の配線を有することが好ましい。
このような配線を有する被研磨体に対して、本発明に使用される研磨液は特に優れた効果を発揮する。
(バリア金属材料)
本発明における被研磨体において、銅配線と絶縁膜(層間絶縁膜を含む)との間には、銅の拡散を防ぐためのバリア層が設けられる。このバリア層を構成するバリア金属材料としては、低抵抗のメタル材料、例えば、TiN、TiW、Ta、TaN、Nb、Co、Zr、ZrN、Ru、W、WN等が好ましく、中でもTa、TaNが特に好ましい。
(ウェハ)
本発明の研磨液でCMPを行なう対象ウェハには特に制限はなく、いずれのウェハにも適用しうるが、なかでも径が200mm以上のウェハに適用することが好ましく、特に300mm以上が好ましい。即ち、研磨面積が大きく、温度勾配が生じやすいために研磨の均一性が達成し難い300mm以上のウェハに適用される場合、顕著に本発明の効果を発揮するといえる。
以下、実施例により本発明を説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
下記組成を混合し、金属用研磨液(101)を調製した。
(金属用研磨液の調製)
・砥粒:コロイダルシリカ(1次粒径35nm、会合度3) 0.5g/L
・有機酸:L−アラニン 0.05mol/L
・不動態膜形成剤:表1記載の例示化合物 4mmol/L
・酸化剤:表1記載の化合物 0.05mol/L
・界面活性剤:ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム 0.3g/L
上記成分に純水を加えて全量を1000mLとし、pH調整剤としてはKOHを用いた。pHを測定し、結果を表1に示す。
(実施例2〜11)
実施例1における不動態膜形成剤を表1に示す化合物に代えた以外は、実施例1と同様にして実施例2〜11の金属用研磨液を調整した。
(比較例1〜5)
実施例1における酸化剤と不動態膜形成剤を表1に示す化合物に代えた以外は、実施例1と同様にして比較例1〜5の金属用研磨液を調整した。
実施例1〜11および比較例1〜5の金属用研磨液を用いて、下記の方法で研磨速度および研磨の均一性を測定した。
(研磨試験)
以下の条件で研磨を行い、研磨速度の評価を行った。
・研磨装置:F−REX300(荏原製作所)
・被研磨体(ウエハ):
シリコン基板上に厚み1.5μmのCu膜を形成した直径300mmの
ブランケットウエハ
・研磨パッド:IC1400−K Groove(ロデール社製)
・研磨条件;
研磨圧力(被研磨面と前記研磨パッドとの接触圧力):14000Pa
研磨液供給速度:200ml/min
研磨定盤回転数:104rpm
研磨ヘッド回転数:85rpm
(評価方法)
研磨速度の算出:上記方法で経時した研磨液と調液直後の研磨液について、それぞれ
Cuブランケットウエハを60秒間研磨し、ウエハ面上の均等間隔の49箇所に対し、
研磨前後での金属膜厚を電気抵抗値から換算して求め、それらを研磨時間で割って求
めた値の平均値を研磨速度とした。
(ウェハ面内の研磨の均一性)
上記方法でウェハ面上の均等間隔の49箇所それぞれに対して求めた研磨速度から平均研磨速度、最大研磨速度及び最小研磨速度を求め、
以下の式によりウェハ面内の研磨の均一性を見積もった。
ウェハ面内の研磨の均一性(%)
=[(最大研磨速度−最小研磨速度)/(平均研磨速度)×2]×100
結果を「研磨の均一性」として下記表1に示す。
Figure 2009087968
表1から明らかなように、本発明の金属用研磨液を用いた化学的機械的研磨方法(本発明の研磨方法)により、高研磨速度と、ウェハ面内における均一な研磨の両立ができた。

Claims (4)

  1. 半導体デバイス製造工程における化学的機械的研磨に用いられ、ペルオキソ二硫酸塩および下記一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴とする金属用研磨液。
    Figure 2009087968
    (一般式(I)中、XおよびXはそれぞれ独立に、テトラゾール類、1,2,4−トリアゾール類、1,2,3−トリアゾール類、および、ベンゾトリアゾールからなる群より選択される化合物より水素原子を除いてなる一価の置換基を表し、Lは、ウレイド基、チオウレイド基、アミド基、エステル基、スルホンアミド基、スルホンウレイド基、ヒドロキシ基、エーテル基、アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、ヘテロ環基、チオエーテル基、カーボネート基、カルバメート基、アルキル基、およびアリール基から選ばれる少なくとも一つの基を含んで構成される二価の連結基を表す。
  2. 研磨液のpHが8.0〜12.0であることを特徴とする請求項1に記載の金属用研磨液。
  3. 研磨液のpHが9.0〜11.0であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属用研磨液。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の金属用研磨液を研磨定盤上の研磨パッドに供給し、該研磨定盤を回転させることで、該研磨パッドを被研磨体の被研磨面と接触させつつ相対運動させて研磨することを特徴とする化学的機械的研磨方法。
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