JP2009087981A - 研磨液及び研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の研磨液は、バリア層を有する半導体集積回路の平坦化工程において化学的機械的研磨に用いる研磨液であって、(A)コロイダルシリカ粒子、(B)親水性のベンゾトリアゾール誘導体、(C)疎水性のベンゾトリアゾール誘導体、及び(D)酸化剤、を含有する。(B)親水性ベンゾトリアゾール誘導体は、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、又はヒドロキシメチル基を有することが好ましく、前記(C)疎水性ベンゾトリアゾール誘導体は、非置換のアルキル基、炭素数10以上のアルコキシ基、炭素数15以上のアルコキシカルボニル基、炭素数15以上のカルボニルアミド基、又は炭素数15以上のアミノカルボニル基を有することが好ましい。
【選択図】なし
Description
LSIなどの半導体集積回路を製造する際には微細な配線が多層に形成され、その各層においてCuなどの金属配線を形成する際に、TaやTaN、Ti、TiNなどのバリアメタルが前もって形成されるのが一般的である。バリア層は、層間絶縁膜(以下「絶縁層」と称する場合がある)への配線材料の拡散を防止することや、配線材料の密着性を向上させることを目的として付与される。
このCMPは、絶縁層等の表面平坦化、プラグ形成、埋め込み金属配線の形成等を行う場合に必須の技術である。CMPによって、基板の平滑化や配線形成時の余分な金属薄膜の除去や、余分なバリア層の除去を行っている。
第一段階の研磨では、メッキ法などで盛付けられた余分な金属配線材をCMPによって除去する。余分な金属配線材の金属膜除去の工程を、以下「金属膜CMP」と称する。金属膜CMPは、1段または多段に亘って行う。
つまり、当該バリアメタルCMPでは、主に、金属配線材とバリアメタルとを同時に研磨して表面を平坦化する。
このとき、固体砥粒を含む前記研磨液を用いてバリアメタルCMPを行うと、配線部が速く研磨されてディッシングやエロージョンを発生させることがある。
即ち、ディッシングやエロージョンを発生させないよう、金属配線材の研磨速度と同程度にまで絶縁層の研磨速度を速めることが望ましい。
例えば、研磨傷をほとんど発生させずに高速研磨することを目的としたCMP研磨剤及び研磨方法(例えば、特許文献1参照。)、CMPにおける洗浄性を向上させた研磨組成物及び研磨方法(例えば、特許文献2参照。)、及び、研磨砥粒の凝集防止を図った研磨用組成物(例えば、特許文献3参照。)がそれぞれ提案されている。
本発明の研磨液は、バリア層を有する半導体集積回路の平坦化工程において化学的機械的研磨に用いる研磨液であって、(A)コロイダルシリカ粒子、(B)親水性のベンゾトリアゾール誘導体、(C)疎水性のベンゾトリアゾール誘導体、及び(D)酸化剤、を含有することを特徴とする研磨液液である。
また、(B)親水性のベンゾトリアゾール誘導体と、(C)疎水性ベンゾトリアゾール誘導体との含有比率は、質量比で2:1〜1:5であることが好適である。
本発明の研磨液は、半導体集積回路のバリア層を化学的機械的に研磨するための研磨液であって、(A)コロイダルシリカ粒子、(B)親水性のベンゾトリアゾール誘導体、(C)疎水性のベンゾトリアゾール誘導体、及び(D)酸化剤を含有することを特徴とし、更に必要に応じて、任意の成分を含んでいてもよい。本発明の研磨液が含有する各成分は1種を単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
濃縮液又は濃縮された研磨液とは、研磨に使用する際の研磨液よりも、溶質の濃度が高く調製された研磨液を意味し、研磨に使用する際に、水又は水溶液などで希釈して、研磨に使用されるものである。希釈倍率は、一般的には1〜20体積倍である。本明細書において「濃縮」及び「濃縮液」とは、使用状態よりも「濃厚」及び「濃厚な液」を意味する慣用表現にしたがって用いており、蒸発などの物理的な濃縮操作を伴う一般的な用語の意味とは異なる用法で用いている。
以下、本発明の研磨液を構成する各成分について詳細に説明する。
本発明に使用する研磨液は、構成成分としてコロイダルシリカ粒子を含有する。コロイダルシリカ粒子は研磨粒子(砥粒)として含有される。
上記コロイダルシリカ粒子の作製法として、例えばSi(OC2H5)4、Si(sec−OC4H9)4、Si(OCH3)4、Si(OC4H9)4のようなシリコンアルコキシド化合物をゾルゲル法により加水分解することにより得ることができる。このような第1、第2のコロイダル粒子(例えば第1、第2のコロイダルシリカ粒子)は粒度分布が非常に急峻なものとなる。
例えば、粒径が異なる組合せとしては、平均粒径30〜100nmの大粒径シリカと、平均粒径20〜60nmの小粒径シリカとを、質量比1:10〜10:1の割合で併用することで、各膜種に対する研磨速度の向上が図れる。
具体的には、例えば、平均粒子径が10〜50nm程度の球状シリカ微粒子と、長径が50nmであって長径/単径比=1〜5の非真球状のシリカ微粒子との組み合わせなどを挙げることができる。
このような非真球コロイダルシリカ粒子については、特願2005−366712に詳細に記載され、当該記載は本願にも適用することができる。
本発明における(B)親水性ベンゾトリアゾール誘導体と、(C)疎水性ベンゾトリアゾール誘導体は、いわゆる腐食抑制剤であり、被研磨表面に吸着して皮膜を形成し、金属表面の腐食を制御する。
しないように協奏的に働いていると考えられ、より具体的には親水性のベンゾトリアゾール、疎水性のベンゾトリアゾールで段差の凹凸部でそれぞれ吸着しやすさ、腐食抑制能力が異なると予想している。この機構によりディッシングとエロージョンの発生が抑えられているものと推測される。しかし、上記推測によって本発明が限定されることは無い。
本発明の(B)親水性のベンゾトリアゾール誘導体は、親水性を示すものであればその他は特に制限されないが、置換基として親水性基を1つ以上有することが好ましい。
本発明の親水性ベンゾトリアゾールとは、室温(25℃)で水100gに対して2g以上溶解するものと定義する。
親水性のベンゾトリアゾール誘導体において、親水性基で置換される位置は特に問わないが、親水性基の個数が3個のときには、1位、3位、4位が親水性基であることが好ましく、親水性基の個数が2個のときには、1位及び3位、又は3位及び4位が親水性基であることが好ましく、親水性基の個数が1個のときには、1位又は3位が親水性基であることが好ましい。
疎水性ベンゾトリアゾール誘導体は、疎水性を示すものであればその他は特に制限されず、置換基を有さないベンゾトリアゾールを含むが、下記の置換基を有するベンゾトリアゾールであることが好ましい。
本発明の疎水性ベンゾトリアゾールとは、室温(25℃)で、水100mlに対して2gよりも溶解しないものと定義する。
また、非置換アルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基が更に好ましい。
疎水性ベンゾトリアゾール誘導体が有する置換基の数は、良好なディッシング、エロージョンを達成する観点から、1〜3個であることが好ましく、1〜2個であることがより好ましい。
研磨に使用する際の研磨液中の全ベンゾトリアゾールに対して、(B)親水性のベンゾトリアゾール誘導体及び(C)疎水性ベンゾトリアゾール誘導体の含有率は、50質量%〜100質量%であり、60質量%〜90質量%であることが好ましく、70質量%〜90質量%であることがより好ましい。
本発明の研磨液は、研磨対象の金属を酸化できる酸化剤を含有する。
酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酸化物、硝酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン水及び銀(II)塩、鉄(III)塩が挙げられる。
酸化剤の添加量は、研磨に使用する際の金属用研磨液の1Lあたり、0.001質量%以上5質量%以下とすることが好ましく、0.003質量%以上3質量%以下とすることがより好ましい。即ち、酸化剤の添加量は、金属の酸化が充分で高いCMP速度を確保する点で0.001質量%以上であることが好ましく、研磨面の荒れ防止の点から85質量%以下であることが好ましい。
本発明における研磨液は更に有機酸を含有することができる。ここでいう有機酸は、酸化の促進、pH調整、緩衝剤としての作用を有する。本発明でいう有機酸とは、金属を酸化するための酸化剤とは構造が異なる化合物であり、前述の酸化剤として機能する酸を包含するものではない。
即ち、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、及びそれらのアンモニウム塩やアルカリ金属塩等の塩、硫酸、硝酸、アンモニア、アンモニウム塩類、又はそれらの混合物等が挙げられる。
これらの中では、ギ酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸が、銅、銅合金及び銅又は銅合金の酸化物から選ばれた少なくとも1種の金属層を含む積層膜に対して好適である。
このアミノ酸等としては、水溶性のものが好ましく、以下の群から選ばれたものがより適している。
即ち、例えば、グリシン、L−アラニン、β−アラニン、L−2−アミノ酪酸、L−ノルバリン、L−バリン、L−ロイシン、L−ノルロイシン、L−イソロイシン、L−アロイソロイシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、サルコシン、L−オルニチン、L−リシン、タウリン、L−セリン、L−トレオニン、L−アロトレオニン、L−ホモセリン、L−チロシン、3,5−ジヨード−L−チロシン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、L−チロキシン、4−ヒドロキシ−L−プロリン、L−システィン、L−メチオニン、L−エチオニン、L−ランチオニン、L−シスタチオニン、L−シスチン、L−システィン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、S−(カルボキシメチル)−L−システィン、4−アミノ酪酸、L−アスパラギン、L−グルタミン、アザセリン、L−アルギニン、L−カナバニン、L−シトルリン、δ−ヒドロキシ−L−リシン、クレアチン、L−キヌレニン、L−ヒスチジン、1−メチル−L−ヒスチジン、3−メチル−L−ヒスチジン、エルゴチオネイン、L−トリプトファン、アクチノマイシンC1、アパミン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII及びアンチパイン等のアミノ酸等から少なくとも1種を含むことが望ましい。
これらの中でも、特に、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グリシン、グリコール酸については実用的なCMP速度を維持しつつ、エッチング速度を効果的に抑制できるという点で好ましい。
本発明の研磨液は、好ましい併用成分として、水溶性高分子を含有することができる。
(F)水溶性高分子としては、多糖類(例えば、アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、寒天、キサンタンガム、キトサン、メチルグリコールキトサン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロール、カルボキシエチルセルロース、プルラン)、ポリカルボン酸およびその誘導体(例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸)、ポリビニル硫酸、ポリアミノアクリルアミド、ポリアミド酸、ポリグリオキシル酸)、ポリエチレンイミン、ビニル系ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクロレイン)、ポリグリコール類(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール)などが挙げられ、より好ましくは、多糖類(例えば、アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、寒天、キサンタンガム、キトサン、メチルグリコールキトサン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロール、カルボキシエチルセルロース、プルラン)、ポリカルボン酸およびその誘導体(例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸)、ポリビニル硫酸、ポリアミノアクリルアミド、ポリアミド酸、ポリグリオキシル酸)、ポリエチレンイミン、ビニル系ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクロレイン)、が挙げられる。
本発明の研磨液には、上記必須成分である(A)成分〜(D)成分、及び、好ましい併用成分である前記(E)成分〜(F)成分に加え、本発明の効果を損なわない範囲において、他の公知の成分を併用することができる。
本発明の研磨液は、好ましい併用成分として、(G)四級窒素原子を分子中に1つ以上有する四級アンモニウムカチオン(以下、単に、「特定カチオン」または「四級アンモニウムカチオン」と称する場合がある。)を含有することができる。
即ち、研磨液中の四級アンモニウムカチオンが研磨粒子表面に吸着することで、研磨粒子と被研磨面間での相互作用が強くなると考えられる。より具体的には、表面がマイナスに帯電した研磨粒子、表面がマイナスに帯電した被研磨面の間での斥力を四級アンモニウムカチオンが緩和すると考えられる。結果として、研磨粒子−被研磨面間での物理作用(物理的な引っ掻き除去作用)が強くなり、各膜種に対する研磨速度が向上すると考えられる。
また、前記R1〜R6としての、アルケニル基としては、炭素数2〜10のものが好ま
しく、具体的には、具体的には、エチニル基、プロペニル基等が挙げられる。
前記R1〜R6としての、アリール基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。
前記R1〜R6としての、アラルキル基としては、具体的には、ベンジル基、が挙げられ、中でも、ベンジル基が好ましい。
なお、Xで表される連結基は、上記の有機連結基の他に、その鎖中に、−S−、−S(=O)2−、−O−、−C(=O)−を含んでいてもよい。
前記アルケニレン基としては、具体的には、エチニレンル基、プロピニレン基等が挙げられ、中でも、プロピニレン基が好ましい。
前記シクロアルキレン基としては、具体的には、シクロヘキシレン基、シクロペンチレン基等が挙げられ、中でも、シクロヘキシレン基が好ましい。
前記アリーレン基としては、具体的には、フェニレン基、ナフチレン基が挙げられ、中でも、フェニレン基が好ましい。
また、一般販売試薬としての購入も可能である。
本発明の研磨液は、界面活性剤を併用することができる。併用可能な界面活性剤としては、陰イオン系界面活性剤、陽イオン界面活性剤が挙げられる。
より具体的には、カルボン酸塩としては、石鹸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド;
硫酸エステル塩として、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩;
リン酸エステル塩として、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸塩を好ましく用いることができる。
界面活性剤は1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
本発明の研磨液は、pH2〜5の範囲であることが好ましく、pH2〜4の範囲であることがより好ましく、pH2.5〜4の範囲であることが更に好ましい。研磨液のpHをこの範囲に制御することで、層間絶縁膜の研磨速度調整がより顕著に行うことが可能にある。
本発明の金属用研磨液は、所定のpHとすべく、アルカリ/酸又は緩衝剤を添加されることが好ましい。
特に好ましいアルカリ剤として水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドである。
本発明の研磨液は、混入する多価金属イオンなどの悪影響を低減させるために、必要に応じてキレート剤(すなわち硬水軟化剤)を含有することが好ましい。
キレート剤としては、カルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤である汎用の硬水軟化剤やその類縁化合物であり、例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラメチレンスルホン酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N’−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N’−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。
キレート剤の添加量は混入する多価金属イオンなどの金属イオンを封鎖するのに充分な量であればよく、例えば、研磨に使用する際の研磨液の1L中、0.0003mol〜0.07molになるように添加する。
本発明の研磨液は、一般に、銅金属及び/又は銅合金からなる配線と層間絶縁膜との間に存在する、銅の拡散を防ぐためのバリア層の研磨に適する。
なお、バリアCMPにおいて、バリア層の研磨および絶縁層の研磨を1段階で一括して行なう場合にも本発明の研磨液を好適に適用できるため、本発明の研磨液は絶縁層の研磨にも適用し得る。
バリア層を構成する材料としては、一般に低抵抗のメタル材料がよく、TiN、TiW、Ta、TaN、W、WN、Ruなどが好適に用いられ、中でも、Ta、TaNが好適に用いられる。これらTa系のメタル材料のほか、Mn、Ti、Ru又はそれらの誘導体で形成されたバリア層であっても、本発明の研磨液を適用できる。
層間絶縁膜(絶縁層)としては、TEOS等の通常用いられる層間絶縁膜の他、例えば、比誘電率が3.5〜2.0程度の低誘電率の材料(例えば、有機ポリマー系、SiOC系、SiOF系等が挙げられ、通常、Low−k膜と略称される)を含む層間絶縁膜が挙げられる。
具体的には、低誘電率の層間絶縁膜の形成に用いる材料として、SiOC系ではHSG-R7(日立化成工業)、BLACKDIAMOND(Applied Materials, Inc)などがある。
このようなLow−k膜は、通常、TEOS絶縁膜の下に位置し、TEOS絶縁膜上にバリア層及び金属配線が形成される。
本発明においては、研磨対象である被研磨体は、例えば、LSI等の半導体集積回路に適用されるような、銅金属及び/又は銅合金からなる配線を有することが好ましい。特にこの配線の原材料としては、銅合金が好ましい。更に、銅合金の中でも銀を含有する銅合金が好ましい。
なお、銅合金に含有される銀含量は、40質量%以下が好ましく、特には10質量%以下、更には1質量%以下が好ましく、0.00001〜0.1質量%の範囲である銅合金において最も優れた効果を発揮する。
本発明においては、研磨対象である被研磨体が、例えば、DRAMデバイス系に適用される場合、ハーフピッチで0.15μm以下である配線を有することが好ましく、より好ましくは0.10μm以下、更に好ましくは0.08μm以下である。
一方、被研磨体が、例えば、MPUデバイス系に適用される場合、0.12μm以下である配線を有することが好ましく、より好ましくは0.09μm以下、更に好ましくは0.07μm以下である。
このような配線を有する被研磨体に対して、上述の本発明における研磨液は特に優れた効果を発揮する。
本発明の研磨液は、(1)濃縮液であって、使用する際に水又は水溶液を加えて希釈して使用液とする場合、(2)各成分が次項に述べる水溶液の形態で準備され、これらを混合し、必要により水を加え希釈して使用液とする場合、(3)使用液として調製されている場合がある。
本発明の研磨液を用いた研磨方法にはいずれの場合の研磨液も適用可能である。
この研磨方法は、研磨液を研磨定盤上の研磨パッドに供給し、被研磨体の被研磨面と接触させて、被研磨面と研磨パッドを相対運動させる方法である。
また、研磨条件には制限はないが、研磨定盤の回転速度は被研磨体が飛び出さないように200rpm以下の低回転が好ましい。被研磨面(被研磨膜)を有する被研磨体の研磨パッドへの押しつけ圧力は、0.68〜34.5KPaであることが好ましく、研磨速度の被研磨体の面内均一性及びパターンの平坦性を満足するためには、3.40〜20.7KPaであることがより好ましい。
研磨終了後の被研磨体は、流水中でよく洗浄された後、スピンドライヤ等を用いて被研磨体上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させる。
このように、濃縮液を水溶液で希釈して使用する場合には、溶解しにくい成分を水溶液の形で後から配合することができることから、より濃縮した濃縮液を調製することができる。
例えば、酸化剤を構成成分(A)とし、酸、その他の添加剤及び水を構成成分(B)とし、それらを使用する際に水又は水溶液で、構成成分(A)及び構成成分(B)を希釈して使用することができる。
また、溶解度の低い添加剤を2つの構成成分(A)と(B)に分け、それらを使用する際に水又は水溶液を加え、構成成分(A)及び構成成分(B)を希釈して使用する。
その他の混合方法は、上記したように直接に3つの配管をそれぞれ研磨パッドに導き、研磨パッドと被研磨面の相対運動により混合する方法や、1つの容器に3つの構成成分を混合して、そこから研磨パッドに希釈された研磨液を供給する方法がある。
本発明において、本発明においては、研磨液の成分を二分割以上に分割して、被研磨面に供給する方法を適用する場合、その供給量は、各配管からの供給量の合計を表すものである。
本発明の研磨方法に適用しうる研磨用の研磨パッドは、無発泡構造パッドでも発泡構造パッドでもよい。前者はプラスチック板のように硬質の合成樹脂バルク材をパッドに用いるものである。また、後者は更に独立発泡体(乾式発泡系)、連続発泡体(湿式発泡系)、2層複合体(積層系)の3つがあり、特には2層複合体(積層系)が好ましい。発泡は、均一でも不均一でもよい。
更に、一般的に研磨に用いる砥粒(例えば、セリア、シリカ、アルミナ、樹脂など)を含有したものでもよい。また、それぞれに硬さは軟質のものと硬質のものがあり、どちらでもよく、積層系ではそれぞれの層に異なる硬さのものを用いることが好ましい。材質としては、不織布、人工皮革、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート等が好ましい。また、被研磨面と接触する面には、格子溝/穴/同心溝/らせん状溝などの加工を施してもよい。
本発明における研磨液でCMPを行なう対象の被研磨体としてのウエハは、径が200mm以上であることが好ましく、特には300mm以上が好ましい。300mm以上である時に顕著に本発明の効果を発揮する。
本発明の研磨液を用いて研磨を実施できる装置は、特に限定されないが、Mirra Mesa CMP、Reflexion CMP(アプライドマテリアルズ)、FREX200、FREX300(荏原製作所)、NPS3301、NPS2301(ニコン)、A-FP-310A、A-FP-210A(東京精密)、2300 TERES(ラムリサーチ)、Momentum(Speedfam IPEC)などを挙げることができる。
下記に示す組成の研磨液を調製し、研磨実験を行った。
<組成(1)>
(A)研磨粒子:コロイダルシリカ粒子A−1 紛体換算で100g/L
(B)親水性BTA誘導体:具体例化合物B1 0.2g/L
(C)疎水性BTA誘導体:具体例化合物C1 0.8g/L
(D)酸化剤:過酸化水素 5g/L
(F)水溶性高分子:重量分子量15000のポリビニルアルコール 1.0g/L
・純水を加えて全量 1000mL
・pH(アンモニア水と硝酸で調整) 3.0
研磨装置としてムサシノ電子社製装置「MA-300D」を使用し、下記の条件で、スラリーを供給しながら、下記に示すウエハを研磨した。
・テ−ブル回転数: 112rpm
・ヘッド回転数: 113rpm
・研磨圧力: 9.19kPa
・研磨パッド: ロデール・ニッタ株式会社製 IC1400 XY-K-Pad
・研磨液供給速度: 50ml/min
ディッシング及びエロージョン評価のウエハは、以下のようにして準備した。
まず、フォトリソグラフィー工程と反応性イオンエッチング工程によりSi基盤上のシリコン酸化膜をパターニングして、幅0.09〜100μm、深さ600nmの配線用溝と接続孔を形成した。次に、スッパタリング法により厚さ20nmのTa膜を形成し、続いてスッパタリング法により厚さ50nmの銅膜を形成した。その後、メッキ法により合計厚さ1000nmの銅膜を形成した。このウエハ(通称854PTNウエハ)を6×6cmに切って使用した。
研磨対象物を同一のCu-CMPスラリーを用いて、OP+30%に相当する時間だけ研磨したウエハを段差特性に用いた。上記ウエハを45秒間研磨し、処理後のウエハを触針式の段差測定計DektakV320Si(Veeco社製)を用いて、9μm/1μmのライン/スペース部の段差をエロージョンとして測定した。それぞれ得られた結果を表1に示す。
実施例1における組成を、下記表1に記載の組成に変更して調製した研磨液を用い、実施例1と同様の研磨条件で、研磨実験を行った。結果を表1に示す。
TBAN:硝酸テトラブチルアンモニウム〔カチオン性四級アンモニウム塩化合物〕
TMAN:硝酸テトラメチルアンモニウム〔カチオン性四級アンモニウム塩化合物〕
DBSA:ドデシルベンゼンスルホン酸〔界面活性剤〕
BTA:1,2,3−ベンゾトリアゾール〔腐食抑制剤〕
一方、比較例1〜4の研磨液は、ディッシング及びエロージョンの抑制効果のいずれも、実施例の研磨液と比較して劣っていることが分かる。
Claims (10)
- バリア層を有する半導体集積回路の平坦化工程において化学的機械的研磨に用いる研磨液であって、
(A)コロイダルシリカ粒子、(B)親水性のベンゾトリアゾール誘導体、(C)疎水性のベンゾトリアゾール誘導体、及び(D)酸化剤、を含有することを特徴とする研磨液。 - 前記(B)親水性のベンゾトリアゾール誘導体が、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、又はスルホ基を有することを特徴とする請求項1に記載の研磨液。
- 前記(C)疎水性のベンゾトリアゾール誘導体が、非置換のアルキル基、炭素数10以上のアルコキシ基、炭素数15以上のアルコキシカルボニル基、炭素数15以上のカルボニルアミド基、又は炭素数15以上のアミノカルボニル基を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の研磨液。
- 更に、アミノ酸を含有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の研磨液。
- 更に、水溶性高分子を含有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の研磨液。
- 前記(B)親水性のベンゾトリアゾール誘導体と、前記(C)疎水性のベンゾトリアゾール誘導体とを合計した濃度が、0.005質量%以上5質量%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の研磨液。
- 前記(B)親水性のベンゾトリアゾール誘導体と、前記(C)疎水性ベンゾトリアゾール誘導体との含有比率が、質量比で2:1〜1:5であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の研磨液。
- pHが2〜5であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の研磨液。
- (A)コロイダルシリカ粒子、(B)親水性のベンゾトリアゾール誘導体、(C)疎水性のベンゾトリアゾール誘導体、及び(D)酸化剤、を含有する研磨液を用いて、バリア層を備える半導体集積回路を化学的機械的に研磨する研磨方法。
- Mn、Ti、Ru又はそれらの誘導体で形成された前記バリア層を研磨することを特徴とする請求項9に記載の研磨方法。
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