JP2007242461A - 有機elディスプレイおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】色変換層によってもたらされる凹凸または段差を確実に緩和する構造を有し、該構造によって無機酸化物膜の被覆不良、および有機EL層に対する水分および酸素の侵入を確実に阻止して、ダークスポットの発生が抑制され、長期間にわたって安定した発光特性を維持する有機ELディスプレイの提供。
【解決手段】少なくとも、透明支持基板と、パターン状に形成されている1種または複数種の色変調層と、平坦化層と、無機膜層と、透明電極と、有機EL層と、反射電極とをこの順に含み、該平坦化層は、2層以上のアクリル樹脂層の積層体であることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【選択図】図2

Description

本発明は、有機ELディスプレイおよびその製造方法に関する。
有機ELディスプレイパネルの作製方式としては、電界をかけることにより赤・青・緑にそれぞれ発光する有機EL素子を配列する「3色発光方式」、および、有機EL素子の発する白色の発光を、カラーフィルタでカットし、赤・青・緑を表現する「カラーフィルタ方式」、さらに、有機EL素子の発する近紫外光、青色光、青緑色光または白色光を吸収し、波長分布変換を行って可視光域の光を発光する色変換色素を含む色変換層を用いる「色変換方式」が提案されている。
これらの方式の内、成膜時にメタルマスクを用いる必要がなく、フォトプロセスを用いて所望の形状および配列を有するカラーフィルタ層および/または色変換層を形成することができるという点において、「カラーフィルタ方式」および「色変換方式」が、ディスプレイの大画面化および高精細化に有利であると考えられている。
カラーディスプレイとしての実用上の重要課題は、精細なカラー表示機能を有すると共に、色再現性を含め長期的な安定性を有することである。しかしながら、カラー有機ELディスプレイには、一定期間の駆動により発光特性(電流−輝度特性)が著しく低下するという欠点を有している。
この発光特性の低下原因の代表的なものは、ダークスポットの成長である。このダークスポットとは、発光欠陥点のことである。駆動時および保存中に酸化が進むとダークスポットの成長が進み、発光面全体に広がる。このダークスポットは、素子中の酸素または水分により、素子を構成する積層材料の酸化または凝集によるものと考えられている。その成長は、通電中はもちろん、保存中にも進行し、特に(1)素子の周囲に存在する酸素または水分により加速され、(2)有機積層膜中に吸着物として存在する酸素または水分に影響され、および(3)素子作製時の部品に吸着している水分あるいは製造時等における水分の侵入にも影響されると考えられている。
この水分の有機EL素子への侵入を妨げる手法として、基板上に絶縁性の水分・酸素遮断層を設けることが提案されてきている。水分・酸素遮断層として、ポリイミド変性シリコーン樹脂(たとえば、特許文献1〜3参照)などの有機樹脂を配設する技術、および膜厚0.01〜200μmの無機酸化物層(特許文献4および5参照)を配設する技術が知られている。無機酸化物膜層には、有機発光層の寿命を維持するために高い防湿性が要求される。
また、基板上に1つまたは複数のカラーフィルタ層を設けたカラーフィルタの作製方法として、カラーフィルタ層上に形成した高分子膜層に、DCスパッタリングによりSiO、SiNを形成する方法があり、透明導電膜の密着性を向上させる効果が知られている(特許文献6および7参照)。また、低融点ガラスを焼結する方法がある(特許文献8参照)。
さらに、カラーフィルタ層および/または色変換層を形成し、それら層を保護層で被覆した上に有機EL素子を形成する場合に、保護層端部における段差による有機EL素子の電極の断線を防止することを目的として、2層からなる保護層を設けることが提案されている(特許文献10参照)。
有機EL素子の性能低下を防止することに関して、無機酸化物膜を色変換層上に適用することが注目され、その適用技術が検討されてきている。
特開平5−134112号公報 特開平7−218717号公報 特開平7−306311号公報 特開平8−279394号公報 特開平10−241860号公報 特開平7−146480号公報 特開平10−10518号公報 特開2000−214318号公報 特許第3304287号公報 特開2004−134099号公報
「色変換方式」における色変換層は10μm程度の膜厚を有する。このような大きな膜厚によって色変換層の間隙において段差が形成される結果、該間隙において形成される無機酸化物膜の被覆不良が発生し、色変換層などの有機膜積層体中に吸着物として存在する酸素または水分の侵入経路が形成される恐れがある。その結果として、ダークスポットが多く発生するという減少が見られている。
ダークスポットの発生を抑制するためには、大きな膜厚を有する色変換層によって形成される凹凸および段差を何らかの方法で平坦化する必要がある。そのような平坦化法としては、色変換層を研磨する方法(特許文献5参照)、色変換層の上に高分子膜を塗布する方法(特許文献9参照)、無機酸化物膜を形成する方法が提案されてきている。特許文献9は、その実施例において、膜厚15μmを有する遮光層および色変換層を形成した場合に、それらの層の上表面における凹凸が1.2μmとなること、および該上表面の上に膜厚5μmの平坦化層を形成することにより凹凸を0.5μmに低減することができ、十分な表示能が得られることを教示している。
しかしながら、市販されている遮光層材料(たとえば、カラーモザイクCK(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ製)など)は、一般的に材料の粘度が低いために、塗布によって形成される遮光層の膜厚は0.5〜2.0μm程度となる。前述のような15μmの膜厚を有する遮光層を形成するためには、材料粘度、色素濃度の調整などの材料の改良が必要となる。これは、製造コスト増加の要因である。
また、一般的に、色変換層は、あらかじめ形成されている遮光層に対する位置合わせを伴うフォトリソグラフ工程によって形成される。このため、隣接する色変換層が重なることを避けるため、およびマスクアライナーの位置合わせ精度を考慮して、隣接する色変換層の間に間隙を形成することが必須となっている。この間隙の深さ(すなわち段差)は、色変換層の膜厚である10μm程度である。このような段差を有する色変換層の上に膜厚5μmの平坦化層を形成した場合、平坦化層の上表面は1.5〜2.0μm程度の凹凸を有する。
したがって、色変換層によってもたらされる凹凸および段差が大きな場合であっても、確実にそれら凹凸および段差を緩和する構造が強く求められている。該構造によって、無機酸化物膜の被覆不良、および有機EL層に対する水分および酸素の侵入を確実に阻止して、ダークスポットの発生を抑制することが可能となる。
本発明の第1の実施形態である有機ELディスプレイは、透明支持基板と、透明支持基板上にパターン状に形成されている1種または複数種の色変調層と、前記1種または複数種の色変調層上に形成されている平坦化層と、該平坦化層上に形成されている無機膜層と、該無機膜層上に形成されている透明電極と、該透明電極上に形成されている有機EL層と、該有機EL層上に形成されている反射電極とを少なくとも含み、前記平坦化層は、2層以上のアクリル樹脂層の積層体であることを特徴とする。ここで、前記2層以上のアクリル樹脂層のそれぞれは、その下に存在する層の全体を覆うように形成されていることが望ましい。また、無機膜層は平坦化層の全体を覆うように形成されていることが望ましい。また、平坦化層を、第1平坦化層および第2平坦化層から形成し、第1平坦化層の膜厚を色変調層の膜厚の20%以上80%未満とし、第2平坦化層の膜厚を前記色変調層の膜厚の3%以上60%未満とし、および平坦化層の総膜厚を前記色変調層の膜厚の30%以上100%未満とすることが望ましい。さらに、平坦化層の端部において、平坦化層の表面と透明支持基板の表面とのなす角が40゜未満であることが好ましい。
本発明の第2の実施形態である有機ELディスプレイの製造方法は、透明支持基板を準備する工程と;透明支持基板上にパターン状の1種または複数種の色変調層を形成する工程と;前記1種または複数種の色変調層上に、2層以上のアクリル樹脂層の積層体である平坦化層を形成する工程と;該平坦化層上に無機膜層を形成する工程と;該無機膜上に透明電極を形成する工程と;該透明電極上に有機EL層を形成する工程と;該有機EL層上に反射電極を形成する工程とを含むことを特徴とする。ここで、前記2層以上のアクリル樹脂層は同一の材料を用いて形成されていてもよい。また、平坦化層を形成する工程は、20mPa・s以上50mPa・s以下の粘度を有する第1のアクリル樹脂塗布液を用いて第1平坦化層を形成する工程と、10mPa・s以上30mPa・s以下の粘度を有する第2のアクリル樹脂塗布液を用いて、第1平坦化層の上に第2平坦化層を形成する工程とを含むことが望ましい。
以上のような構成を採ることによって、本発明の有機ELディスプレイは、平坦化層の上表面の凹凸が0.5μm未満に制御される結果、透明支持基板の全ての領域において、被覆不良がなく、かつ水分および酸素の遮断性に優れた無機膜層を有し、透明支持基板側からの有機EL層の水分および酸素の侵入を効果的に防止することができる構造を有する。したがって、ダークスポットが発生することがなく、長期間にわたって優れた発光特性を維持する有機ELディスプレイを提供することができる。
本発明の有機ELディスプレイは、透明支持基板1と、透明支持基板1上にパターン状に形成されている1種または複数種の色変調層3(a,b,c)と、前記1種または複数種の色変調層3上に形成されている平坦化層4(a,b)と、該平坦化層4上に形成されている無機膜層5と、該無機膜層5上に形成されている透明電極21と、該透明電極21上に形成されている有機EL層22と、該有機EL層22上に形成されている反射電極23とを少なくとも含み、前記平坦化層4は、2層以上のアクリル樹脂層の積層体であることを特徴とする。図1に、3種の色変調層3(a,b,c)の間隙および周囲に設けられたブラックマトリクス2を有し、平坦化層4が第1平坦化層4aおよび第2平坦化層4bの2層構成である色変調フィルタ10の例を示す。また、図2に、図1の色変調フィルタ10の上に、複数の部分電極からなる透明電極21、有機EL層22および複数の部分電極からなる反射電極23が設けられている本発明の有機ELディスプレイの例を示す。
色変調フィルタ10は、透明支持基板1、1種または複数種の色変調層3、平坦化層4および無機膜層5を少なくとも含む積層体である。透明支持基板1は、可視光(波長400〜700nm)に対して透明であり、積層される層の形成に用いられる条件(溶媒、温度等)に耐えるものであるべきであり、および寸法安定性に優れていることが好ましい。好ましい透明支持基板1は、ガラス基板、およびポリオレフィン、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレートを含む)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレートを含む)、ポリカーボネート樹脂、またはポリイミド樹脂などの樹脂で形成された剛直性の樹脂基板を含む。あるいはまた、ポリオレフィン、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレートを含む)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレートを含む)、ポリカーボネート樹脂、またはポリイミド樹脂などから形成される可撓性フィルムを、透明支持基板1として用いてもよい。
ブラックマトリクス2は、隣接する色変調層の間隙および周囲に設けられてもよい任意選択の層である。ブラックマトリクス2は、可視光に対して不透明な層であり、有機ELディスプレイパネルのコントラスト比を向上させる効果を有する。ブラックマトリクス2は、フラットパネルディスプレイ用のブラックマトリクス材料として一般的に市販されているレジスト材料、またはカーボンブラックなどの黒色色素をポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネートなどのバインダー樹脂中に分散した材料を用いて形成することができる。ブラックマトリクス2は、可視光全領域において吸光度が97%以上(光学濃度(OD値)が1.5以上)となる膜厚を有することが望ましい。ブラックマトリクス2は、透明支持基板1の上にスピンコート、ロールコート、ナイフコートのような慣用の塗布方法によってブラックマトリクス材料を塗布し、その後にフォトリソグラフ法などを用いて所望の形状に成形することによって得ることができる。あるいはまた、スクリーン印刷などの手法を用いて、所望の位置に所望の形状を有するブラックマトリクス2を形成してもよい。
1種または複数種の色変調層3は、カラーフィルタ層、色変換層、またはカラーフィルタ層と色変換層との積層体から構成される。カラーフィルタ層は、入射光に含まれる成分のうち所望される波長域の成分のみを透過させる層である。また、カラーフィルタ層/色変換層の積層体を用いる場合、カラーフィルタ層は、光の出射側に設けられ、色変換層を出射する光の色純度を向上させる機能を有する。カラーフィルタ層は、たとえば、市販の液晶ディスプレイ用カラーフィルタ材料(カラーモザイク(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ製)など)を用いて形成することができる。
色変換層は、色変換色素とマトリクス樹脂とを含む層である。色変換色素は、入射光の波長分布変換を行って異なる波長の光を放射する色素であり、好ましくは、有機EL層が発する近紫外光または青色〜青緑色の可視光の波長分布変換を行って、所望の波長域の光(たとえば、青色、緑色、赤色)を放射する色素である。本発明において使用することができる色変換色素は、赤色光を放射するローダミン系色素およびシアニン系色素、緑色光を放射するクマリン系色素およびナフタルイミド系色素、および青色光を放射するクマリン系色素など、当該技術において知られている任意の色素を含む。マトリクス樹脂としては、光硬化性樹脂、光熱併用硬化型樹脂など、当該技術において知られている任意の樹脂を用いることができる。
本発明においては、透明支持基板1の上に複数種の色変調層3を設けることができる。図1および図2の構成においては、有機EL層が発する光を用いて赤色光を得る赤色変調層3a、有機EL層が発する光を用いて緑色光を得る緑色変調層3b、および有機EL層が発する光を用いて青色光に変換する青色変調層3cが設けられている。複数種の色変調層3をマトリクス状に配置し、およびそれらに対応する位置に独立的に制御される複数の有機EL発光部を配設することによって、本発明の有機ELディスプレイにおいて多色表示が可能となる。
色変調層3は、透明支持基板1の上に、スピンコート、ロールコート、ナイフコートのような慣用の塗布方法によって、その構成層(色変換層および/またはカラーフィルタ層)の材料を塗布し、その後にフォトリソグラフ法などを用いてパターニングして所望の形状に成形することによって得ることができる。あるいはまた、スクリーン印刷などの手法を用いて、所望の位置に所望の形状を有するパターン状の色変調層3を形成してもよい。
平坦化層4は、色変調層によってもたらされる凹凸(段差)を平坦化するための層である。平坦化層4は、可視光における高い透明性(400〜800nmの範囲で透過率50%以上)、100℃以上のTgおよび2H以上の鉛筆硬度(形成後の上表面における表面硬度)を有し、および色変調層3(ならびに、存在する場合にはブラックマトリクス2)を被覆することができる材料を用いて形成することができる。
平坦化層4を形成するための材料は、イミド変性シリコーン樹脂、エポキシ変性アクリレート樹脂、反応性ビニル基を有するアクリレートモノマー/オリゴマー/ポリマーを含む樹脂、フッ素系樹脂などの光硬化性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含む。本発明において、術語「アクリレート」は、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの両方を含むことを意図する。本発明においては、エポキシ変性アクリレート樹脂、および反応性ビニル基を有するアクリレートモノマー/オリゴマー/ポリマーを含む樹脂を、「アクリル樹脂」と総称する。
前述の材料の塗布は、スピンコート法、スリットコート法、ロールコート法、キャスト法などの慣用の手法により形成することができる。しかしながら、平坦化層4の端部にテーパ形状を形成することを考慮して、スピンコート法またはスリットコート法を用いることが好ましい。得られる平坦化層4の膜厚は、用いる材料の粘度、および/または該材料の塗布条件(たとえば、スピンコート法における回転数など)によって調整することができる。塗布の後に、当該技術において知られている任意の方法を用いて、露光または加熱を行って平坦化層4を形成することができる。
本発明においては、アクリレートポリマーを主成分とするネガ型光硬化性のアクリル樹脂を用いて平坦化層4を形成することが好ましい。その理由は以下の通りである。
(1) 一般的に色変調層材料のマトリクス樹脂としてアクリル樹脂が用いられることが多い。このために、他の材料を用いた場合に比較して、アクリル樹脂を用いて平坦化層を形成することにより、平坦化層と色変調層との屈折率差を小さくして、それら層の界面における光透過率の減少を抑制することができる。
(2) ポジ型光硬化性材料を用いた場合、露光された部分の溶解性が増大し、未露光部分が平坦化層4を形成する。ここで、平坦化層4を形成する未露光部分は現像液に対する溶解性が比較的に高いために、形成された平坦化層4の上表面の凹凸が大きくなる傾向にある。しかしながら、ネガ型光硬化性のアクリル樹脂を用いた場合、露光された部分が光硬化して平坦化層4を形成する。このため、平坦化層4を形成する光硬化部分の現像液に対する溶解速度を小さくすることができ、それによって形成された平坦化層4の上表面の凹凸を小さくすることができる(1nm以下の平均表面粗さRa)。
(3) 露光時の光の散乱によって、光硬化部分の末端において露光強度が緩やかに減衰する領域が発生する。このため、光硬化部分の末端において、現像液に対する溶解速度が漸次変化し、その結果としてテーパ形状を形成することができる。
本発明において、平坦化層4は2層以上の積層構造をとる。ここで、平坦化層4を構成する2つ以上の層のそれぞれは、その下に存在する層の全体を覆うように形成される。図1および図2の例においては、平坦化層4が第1平坦化層4aおよび第2平坦化層4bを有する2層構成を示した。図1および図2に示す2層構成の場合には、第1平坦化層4aは、色変調層3および存在する場合にはブラックマトリクス2の全体を覆うように形成される。同様に、第2平坦化層4bは、第1平坦化層4aの全体を覆うように形成される。
2層構成における第1平坦化層4aは、色変調層3の膜厚の20%以上75%未満、好ましくは25%以上60%未満の膜厚を有することが望ましい。たとえば、色変調層3の膜厚が10μmである場合、第1平坦化層4aの膜厚は、2.0μm以上7.5μm未満、好ましくは2.5μm以上6.0μm未満となる。ここで、複数種の色変調層3が存在し、その膜厚が異なる場合には、最も厚い色変調層3を基準とする。また、本発明における「第1平坦化層4aの膜厚」は、第1平坦化層4aが透明支持基板1と接触し、その上表面が平坦である領域(図1におけるdの領域)における膜厚を意味する。さらに、第1平坦化層4aの末端部(図1におけるcの領域)において、第1平坦化層4aの上表面と、透明支持基板1の表面とのなす角(以下、第1平坦化層4aのテーパ角と称する)が40゜未満であることが望ましい。
第1平坦化層4aは、好ましくは20〜50mPa・sの粘度を有する塗布材料(好ましくはアクリル樹脂塗布液)を用いて形成されることが望ましい。このような範囲内の粘度を有する塗布材料を用いることによって、所望の膜厚の第1平坦化層の形成が容易になり、およびパターン状に形成された色変調層3の間隙(図1におけるeの領域を意味する)における第1平坦化層4aの凹部の深さを低減して、上表面の凹凸を小さくすることができる。
2層構成における第2平坦化層4bは、色変調層3の膜厚の3%以上60%未満、好ましくは5%以上40%未満の膜厚を有することが望ましい。たとえば、色変調層3の膜厚が10μmである場合、第2平坦化層4bの膜厚は、0.3μm以上6.0μm未満、好ましくは0.5μm以上4.0μm未満となる。ここで、複数種の色変調層3が存在し、その膜厚が異なる場合には、最も厚い色変調層3を基準とする。また、本発明における「第2平坦化層4bの膜厚」は、第2平坦化層4bが透明支持基板1と接触し、その上表面が平坦である領域(図1におけるbの領域)における膜厚を意味する。さらに、第2平坦化層4bの末端部(図1におけるaの領域)において、第2平坦化層4bの上表面と、透明支持基板1の表面とのなす角(以下、第2平坦化層4bのテーパ角と称する)が40゜未満であることが望ましい。
第2平坦化層4bは、好ましくは10〜30mPa・sの粘度を有する塗布材料(好ましくはアクリル樹脂塗布液)を用いて形成されることが望ましい。このような範囲内の粘度を有する塗布材料を用いることによって、所望の膜厚の第2平坦化層の形成が容易になり、およびパターン状に形成された色変調層3の間隙における第2平坦化層4bの凹部の深さを低減して、上表面の凹凸を小さくすることができる。
本発明においては、色変調層3の間隙における平坦化層4の上表面(2層構成の場合、第2平坦化層4bの上表面)の凹部の深さ(以下、色変調層間隙部深さという)を0.5μm以下にすることが望ましい。
また、平坦化層4の総膜厚(すなわち、第1平坦化層4aの膜厚と第2平坦化層4bの膜厚の和)は、色変調層の膜厚の30%以上100%未満であることが望ましい。平坦化層4の総膜厚についても、複数種の膜厚が異なる色変調層3が存在する場合には、最も厚い色変調層3を基準とする。このような範囲内の総膜厚とすることによって、視野角依存性の増大などの悪影響を受けることなしに、平坦化層4の上面の凹凸および段差を緩和して、ダークスポットの発生、および透明電極21および/または反射電極23の故障の発生を効果的に防止することができる。
さらに、平坦化層4を3層以上の積層構造とすることも可能であり、その場合にも平坦化層4の総膜厚(すなわち、全ての部分構成層の膜厚の和)は、色変調層の膜厚の30%以上100%未満であることが望ましい。また、平坦化層4の各部分構成層(2層構成の場合には第1平坦化層4aおよび第2平坦化層4b)の形成後に、紫外線処理などの表面処理を施して、その上に形成される層の塗布材料の湿潤性、密着性などを向上させてもよい。
ここで、色変調層の膜厚を10μmとし、その上に種々の膜厚の第1平坦化層4aを形成した場合の、色変調層間隙部深さを図3に示す。図3から明らかなように、第1平坦化層4aの膜厚が増大するにつれて、色変調層3の間隙における凹部の深さが減少し、第1平坦化層4aの膜厚を10μmとした場合に、色変調層3の間隙における凹部の深さは0.55μmであった。また、第1平坦化層4aのテーパ角を測定したところ、膜厚6μmで50゜であり、膜厚8μm以上ではほぼ垂直(90゜)となった。これらの膜厚の第1平坦化層4aを形成した場合、たとえ第2平坦化層4bを形成したとしても、第1平坦化層4aの末端部(図1におけるcの領域)において、透明電極21および/または反射電極23の故障(断線およびまたは隣接する部分電極間での短絡)が発生した。図5に、平坦化層末端部における故障の顕微鏡写真を示した(図5(a)は断線を示し、図5(b)は隣接する部分電極間での短絡を示す)。
次に、色変調層の膜厚を10μmとし、その上に種々の膜厚の第1平坦化層4aを形成し、さらにその上に種々の膜厚の第2平坦化層4bを形成した場合の色変調層間隙部深さを図4に示す。図4から明らかなように、いずれの膜厚の第1平坦化層4aを用いた場合においても、第2平坦化層4bの膜厚が増大するにつれて、色変調層3の間隙における凹部の深さが減少した。
具体的には、第1平坦化層4aの膜厚が1.5μmの場合、膜厚6μmの第2平坦化層4bを形成したとしても色変調層間隙部深さは0.8μmであった。この際に、第2平坦化層4bのテーパ角は50゜であり、第2平坦化層の末端部(図1におけるaの領域に相当する領域)において、透明電極21の断線が発生した。
これに対して、第1平坦化層4aの膜厚が2.5μmの場合、膜厚1.2μm以上の第2平坦化層4bを形成することによって、色変調層間隙部深さを0.5μm以下にすることができた。同様に、第1平坦化層4aの膜厚が3.0μmの場合に1.0μm以上の膜厚、第1平坦化層4aの膜厚が4.0μmの場合に0.8μm以上の膜厚、および第1平坦化層4aの膜厚が5.0μmの場合に0.3μm以上の膜厚で第2平坦化層4bを形成することによって、色変調層間隙部深さを0.5μm以下にすることができた。0.5μm以下の色変調層間隙部深さを達成できたいずれの場合においても、透明電極21および/または反射電極23の故障は発生しなかった。以上の場合において、平坦化層4の総膜厚の下限値は3.7〜5.3μmであり、このような範囲内の膜厚を有する第1平坦化層を単独で用いた場合の色変調層3の間隙における凹部の深さは0.8〜1.3μm程度であることから、第2平坦化層4bを設けたことによって平坦化層4の上表面の凹凸および段差をより有効に平坦化することができたことが分かる。
以上のように検討した第1平坦化層4aおよび第2平坦化層4bの膜厚に関する代表的な組み合わせを以下の第1表に示す。
Figure 2007242461
平坦化層4の上に無機膜層5が形成される。無機膜層5は、該層が被覆する色変調層3および平坦化層4(ならびに、存在する場合にはブラックマトリクス2)から放出される水分が有機EL層22側に透過することを防止するための層である無機膜層5は、通常100nm〜1μmの膜厚を有する。無機膜層5を形成するための材料としては、SiO、AlO、TiO、TaO、ZnO等の金属酸化物、SiN等の金属窒化物、SiN等の金属酸窒化物等の材料を使用できる。好ましくは、色変調層3を形成する材料との屈折率差の小さいSiOまたはSiNを用いて無機膜層5を形成する。無機膜層5の形成においては、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法、ディップ法などの当該技術において知られている任意の手段を用いることができる。
次いで、図2に示すように、無機膜層5の上に、透明電極21、有機EL層22および反射電極23からなる有機EL素子20を形成する。有機EL素子20は、独立して制御することができる複数の発光部を有することが望ましい。
透明電極21は、陽極(正孔注入電極)または陰極(電子注入電極)のいずれか、好ましくは陽極として機能する電極である。透明電極21は、波長400〜800nmの光に対して好ましくは50%以上、より好ましくは85%以上の透過率を有することが好ましい。透明電極21を形成するための材料は、ITO(In−Sn酸化物)、IZO(In−Zn酸化物)、Al−Sn酸化物(ATO)、NESA膜、Sn酸化物、In酸化物、Zn酸化物、Zn−Al酸化物、Zn−Ga酸化物、および、これらの酸化物に対してF、Sbなどのドーパントを添加した導電性透明金属酸化物を含む。透明電極21は、通常50nm以上、好ましくは50nm〜1μm、より好ましくは100〜300nmの範囲内の厚さを有することが望ましい。通常、透明電極21は、導電性透明金属酸化物をスパッタ法を用いて堆積させることによって形成される。
独立して制御することができる複数の発光部を形成するために、透明電極21を、第1の方向に延びるストライプ形状の複数の部分電極から形成することが望ましい。ここで、、任意選択的にAl、Mo、Ni、CrまたはWなどの金属で形成される補助電極(不図示)を形成して、透明電極21の配線抵抗を低減することができる。補助電極を、第1の方向に延びるストライプ形状の複数の部分電極から形成して、補助電極を構成する部分電極のそれぞれを、透明電極21を構成する1つの部分電極に電気的に接続することが望ましい。補助電極は、有機ELディスプレイの表示部内に透明電極と並行させて設けてもよいし、あるいはまた、表示部内に形成される透明電極21と直列に配置させるように表示部外に設けてもよい(この場合、補助電極は透明電極21と外部駆動回路とを接続する端子電極として機能する)。
有機EL層22は、透明電極21および反射電極23から注入されるキャリアを再結合させて、所望の波長分布を有する光を発するための層である。有機EL層22は、有機発光層を少なくとも含み、必要に応じて正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層および/または電子注入層を含む。これらの各層は、それぞれにおいて所望される特性を実現するのに充分な膜厚を有して形成される。たとえば、下記のような層構成からなるものが採用される。
(1)有機発光層
(2)正孔注入層/有機発光層
(3)有機発光層/電子注入層
(4)正孔注入層/有機発光層/電子注入層
(5)正孔輸送層/有機発光層/電子注入層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層
(7)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層
(上記の構成において、陽極として機能する電極が左側に接続され、陰極として機能する電極が右側に接続される)
有機発光層の材料としては、任意の公知の材料を用いることができる。たとえば、青色から青緑色の発光を得るためには、例えば縮合芳香環化合物、環集合化合物、金属錯体(Alqのようなアルミニウム錯体など)、スチリルベンゼン系化合物(4,4’−ビス(ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)など)、ポルフィリン系化合物、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、べンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、芳香族ジメチリディン系化合物などの材料が好ましく使用される。あるいはまた、ホスト化合物にドーパントを添加することによって、種々の波長域の光を発する有機発光層を形成してもよい。ホスト化合物としては、ジスチリルアリーレン系化合物(たとえば出光興産製IDE−120など)、N,N’−ジトリル−N,N’−ジフェニルビフェニルアミン(TPD)、アルミニウムトリス(8−キノリノラート)(Alq)等を用いることができる。ドーパントとしては、ペリレン(青紫色)、クマリン6(青色)、キナクリドン系化合物(青緑色〜緑色)、ルブレン(黄色)、4−ジシアノメチレン−2−(p−ジメチルアミノスチリル)−6−メチル−4H−ピラン(DCM、赤色)、白金オクタエチルポルフィリン錯体(PtOEP、赤色)などを用いることができる。
正孔注入層の材料としては、フタロシアニン類(銅フタロシアニン(CuPc)などを含む)またはインダンスレン系化合物などを用いることができる。正孔輸送層は、トリアリールアミン部分構造、カルバゾール部分構造、オキサジアゾール部分構造を有する材料を用いて形成することができる。用いることができる材料は、好ましくは、TPD、α−NPD、MTDAPB(o−,m−,p−)、m−MTDATAなどを含む。
電子輸送層の材料としては、Alqのようなアルミニウム錯体;PBD、TPOBのようなオキサジアゾール誘導体;TAZのようなトリアゾール誘導体;以下に示す構造を有するもののようなトリアジン誘導体;フェニルキノキサリン類;BMB−2Tのようなチオフェン誘導体などを用いることができる。電子注入層の材料としては、Alqのようなアルミニウム錯体、あるいはアルカリ金属ないしアルカリ土類金属をドープしたアルミニウムのキノリノール錯体などを用いることができる。
有機EL層22を構成するそれぞれの層は、蒸着(抵抗加熱または電子ビーム加熱)などの当該技術において知られている任意の手段を用いて形成することができる。
反射電極23は、陽極または陰極のいずれか、好ましくは陰極として機能する電極である。反射電極23を形成するための材料として、高反射率の金属、アモルファス合金、微結晶性合金を用いることが好ましい。高反射率の金属は、Al、Ag、Mo、W、Ni、Crなどを含む。高反射率のアモルファス合金は、NiP、NiB、CrPおよびCrBなどを含む。高反射率の微結晶性合金は、NiAlなどを含む。反射電極23は、通常50nm以上、好ましくは50nm〜1μm、より好ましくは100〜300nmの範囲内の厚さを有することが望ましい。反射電極23を陰極として用いる場合には、前述の高反射率金属、アモルファス合金または微結晶性合金に対して、仕事関数が小さい材料であるリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属を添加して合金化し、電子注入効率を向上させることができる。反射電極23を陽極として用いる場合には、反射電極23と有機EL層22との界面に、前述の導電性透明金属酸化物の層を設けて有機EL層22に対する正孔注入の効率を向上させてもよい。
独立して制御することができる複数の発光部を形成するために、反射電極23を、第2の方向に延びるストライプ形状の複数の部分電極から形成することが望ましい。第2の方向は、透明電極21を構成するストライプ形状の部分電極が延びる第1の方向と交差する方向であり、好ましくは直交する方向である。このような構成を採ることによって、透明電極の1つの部分電極と、反射電極23の1つの部分電極とに所定の電界を印加することによって、それら部分電極の交差する位置で有機EL層22を発光させることができる。
反射電極23は、それを形成する材料に依存して、蒸着法(抵抗加熱蒸着法または電子ビーム加熱蒸着法)、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。ここで、ストライプ形状の部分電極からなる反射電極23を形成する場合には、所望の形状を与えるマスクを用いてもよいし、あるいは透明電極21上に逆テーパ形状断面を有する分離隔壁(不図示)を用いてもよい。
任意選択的に、陰極として用いる電極(透明電極21または反射電極23の一方)と有機EL層22との界面にバッファ層(不図示)をもうけて、有機EL層22に対する電子注入効率を向上させてもよい。バッファ層の材料としては、Li、Na、K、またはCsなどのアルカリ金属、Ba、Srなどのアルカリ土類金属またはそれらを含む合金、希土類金属、あるいはそれら金属のフッ化物などの用いることができるが、それらに限定されるものではない。バッファ層の膜厚は、駆動電圧および透明性等を考慮して適宜選択することができるが、通常の場合には10nm以下であることが好ましい。
さらに、周囲環境に存在する水分および酸素などからデバイスを保護する目的で、ガラスなどの封止基板を用いて有機ELディスプレイを封止してもよい。封止基板の貼り合わせは、UV硬化型、熱硬化型などの各種接着剤を用いて行うことが可能である。あるいはまた、有機ELディスプレイの反射電極23側を封止樹脂で被覆することによって封止を行うことも可能である。
(実施例1)
本実施例においては、160画素×120画素(各画素はRGBの副画素で構成される)、画素ピッチ0.33mmの有機ELディスプレイを作製する。
最初に、透明支持基板1としてのフュージョンガラス(コーニング製1737ガラス、100×100×1.1mm)上に、スピンコーティング法を用いてブラックマトリクス材料(カラーモザイクCK−7800(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製))を塗布し、フォトリソグラフ法によってパターニングを実施し、幅0.03mm、ピッチ0.11mmの開口部を有する膜厚1μmのブラックマトリクス2を得た。
次いで、青色フィルタ材料(カラーモザイクCB−7001(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製))をスピンコート法にて塗布し、フォトリソグラフ法によりパターニングを実施し、幅0.08mm、ピッチ0.33mm、膜厚10μmの第1の方向に延びる複数のストライプ形状部分からなる青色変調層3c(カラーフィルタ層のみで形成される)を形成した。
クマリン6(0.7重量部)を溶剤のプロピレングリコールモノエチルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解させた。この溶液に対して、光重合性樹脂組成物の「V259PA/P5」(商品名、新日鐵化学株式会社)100重量部を加えて溶解させ、塗布液を得た。この塗布液を、青色変調層3cを形成した透明支持基板1上にスピンコート法を用いて塗布し、フォトリソグラフ法によりパターニングを実施し、幅0.08mm、ピッチ0.33mm、膜厚10μmの第1の方向に延びる複数のストライプ形状部分からなる緑色変調層3b(色変換層のみで形成される)を形成した。
クマリン6(0.6重量部)、ローダミン6G(0.3質量部)、ベーシックバイオレット11(0.3質量部)を溶剤のプロピレングリコールモノエチルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解させた。この溶液に対して光重合性樹脂組成物の「V259PA/P5」(商品名、新日鐵化学株式会社)100重量部を加えて溶解させ、塗布液を得た。この塗布液を、緑色変調層3bを形成した透明支持基板1上にスピンコート法を用いて塗布し、フォトリソグラフ法によりパターニングを実施し、幅0.08mm、ピッチ0.33mm、膜厚10μmの第1の方向に延びる複数のストライプ形状部分からなる赤色変調層3a(色変換層のみで形成される)を形成した。
次いで、RGBの色変調層3を形成した透明支持基板1上の色変調層3およびブラックマトリクス2の全体を被覆するように、粘度40mPa・sのアクリル系樹脂材料(NN810(JSR製))をスピンコート法(回転数1000rpm)で塗布した。ブラックマトリクス2を形成した区域より広い開口部を有するフォトマスクを通して塗布層を露光し、次いでアルカリ性現像液(NMD−3(東京応化工業製))を用いて現像を行った。その後に200℃に加熱してポストベークを行い、膜厚3μmの第1平坦化層4aを得た。
次に、第1平坦化層4aを形成した透明支持基板1上の第1平坦化層4aの全体を被覆するように、粘度40mPa・sのアクリル系樹脂(NN810(JSR製))をスピンコート法(回転数1200rpm)で塗布した。第1平坦化層4aを形成した区域より広い開口部を有するフォトマスクを通して塗布層を露光し、次いでアルカリ性現像液(NMD−3(東京応化工業製))を用いて現像を行った。その後に200℃に加熱してポストベークを行い、膜厚2μmの第2平坦化層4bを得た。以上のように、膜厚5μmの平坦化層4が得られた。また、色変調層間隙部深さは約0.3μmであった。
次に、平行平板型プラズマCVD装置を用いて第2平坦化層4bを被覆するようにSiNxを堆積させ、膜厚300nmの無機膜層5を得た。この際に、雰囲気として流量50sccmのSiHガスおよび流量200sccmのNガスを用い、150WのRF電力を印加し、および基板ステージの温度を100℃に設定した。
次に、室温におけるスパッタ法を用いて、無機膜層5の全面に膜厚200nmのIZO膜を形成した。この際に、スパッタターゲットとしてIZOを用い、スパッタガスとしてArおよびOの混合ガスを用いた。得られたIZO膜をシュウ酸をエッチング液として用いるフォトリソグラフ法によってパターニングして、幅0.1mm、0.11mmピッチの第1の方向に延びる複数のストライプ形状の部分電極からなる透明電極21を得た。透明電極21の複数の部分電極は、色変調層3の複数のストライプ形状部分に相当する位置に形成された。そして、ポリイミド材料(フォトニース(東レ株式会社製))を用い、フォトリソグラフ法によって透明電極21の複数の部分電極の間隙に絶縁膜を形成した。
そして、ネガ型フォトレジスト(ZPN1168(日本ゼオン製))のスピンコート法による塗布、プリベーク、フォトマスクを用いる所定のパターンの焼き付け、60秒間にわたる110℃のホットプレート上でのポストエクスポージャベーク、現像、および15分間にわたる160℃のホットプレート上でのポストベークの行程を経て、第2の方向に延びる複数のストライプ形状部分からなり、逆テーパ形状の断面を有する反射電極分離隔壁を形成した。ここで、第2の方向は、透明電極21の複数の部分電極が延びる方向である第1の方向と直交するように設定した。
次いで、反射電極分離隔壁以下の構造を形成した基板を、抵抗加熱蒸着装置内に配置して、有機EL層22を形成した。有機EL層22は、正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層の4層構成とした。真空槽内圧を1×10−4Paまで減圧し、膜厚100nmの銅フタロシアニン(CuPc、正孔注入層)、膜厚20nmの4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD、正孔輸送層)、膜厚30nmのDPVBi(有機発光層)、および膜厚20nmのAlq(電子注入層)を、真空を破ることなく積層して、有機EL層40を得た。
さらに真空を破ることなしに、厚さ200nmのMg/Ag(質量比10:1)を積層して、ストライプ形状の複数の部分電極からなる反射電極23を形成した。反射電極23の部分電極のそれぞれは、反射電極分離隔壁が延びる方向である第2の方向に延び、幅0.3mm、ピッチ0.33mmを有した。
最後に、グローブボックス内の乾燥窒素雰囲気(酸素および水分ともに10ppm以下)中において、封止ガラス(不図示)およびUV硬化型接着剤を用いて封止を行い、有機ELディスプレイを得た。
(実施例2)
平坦化層4の形成を以下の方法で行ったことを除いて、実施例1と同様の方法を用いて有機ELディスプレイを作製した。
RGBの色変調層3を形成した透明支持基板1上の色変調層3およびブラックマトリクス2の全体を被覆するように、粘度40mPa・sのアクリル系樹脂材料(NN810(JSR製))をスピンコート法(回転数800rpm)で塗布した。ブラックマトリクス2を形成した区域より広い開口部を有するフォトマスクを通して塗布層を露光し、次いでアルカリ性現像液(NMD−3(東京応化工業製))を用いて現像を行った。その後に200℃に加熱してポストベークを行い、膜厚4μmの第1平坦化層4aを得た。
次に、第1平坦化層4aを形成した透明支持基板1上の第1平坦化層4aの全体を被覆するように、粘度20mPa・sのアクリル系樹脂(NN810L(JSR製))をスピンコート法(回転数1500rpm)で塗布した。第1平坦化層4aを形成した区域より広い開口部を有するフォトマスクを通して塗布層を露光し、次いでアルカリ性現像液(NMD−3(東京応化工業製))を用いて現像を行った。その後に200℃に加熱してポストベークを行い、膜厚1μmの第2平坦化層4bを得た。以上のように、膜厚5μmの平坦化層4が得られた。また、色変調層間隙部深さは約0.4μmであった。
(比較例1)
平坦化層4の形成を以下の方法で行ったことを除いて、実施例1と同様の方法を用いて有機ELディスプレイを作製した。
RGBの色変調層3を形成した透明支持基板1上の色変調層3およびブラックマトリクス2の全体を被覆するように、粘度40mPa・sのアクリル系樹脂材料(NN810(JSR製))をスピンコート法(回転数600rpm)で塗布した。ブラックマトリクス2を形成した区域より広い開口部を有するフォトマスクを通して塗布層を露光し、次いでアルカリ性現像液(NMD−3(東京応化工業製))を用いて現像を行った。その後に200℃に加熱してポストベークを行い、膜厚5μmの単一層からなる平坦化層を得た。色変調層間隙部深さは約0.8μmであった。
(評価)
実施例1、実施例2および比較例1で作製した有機ELディスプレイを、デューティ比1/60、面発光輝度100cd/m、および室温において1000時間にわたって連続駆動し、連続駆動後のダークスポットの発生数を比較した。なお、各実施例および比較例について、10個のサンプルを用意し、ディスプレイ全面を観察した。結果を第2表に示す。
Figure 2007242461
第2表から明らかなように、実施例1および実施例2の有機ELディスプレイは、比較例1の有機ELディスプレイと比較して、ダークスポットの発生密度が著しく少ないことがわかる。このダークスポット発生数低減の効果は、色変調層に起因する凹凸および段差を平坦化層が緩和することによって、無機膜層5の形成不良を抑制し、無機膜層5が水分および酸素から有機EL素子20を保護する層として有効に機能したためと考えられる。以上の結果から、平坦化層による凹凸および段差の緩和が、ダークスポットの発生防止および有機ELディスプレイの長寿命化において有効であることが分かる。
本発明の有機ELディスプレイの色変調フィルタの構成例を示す図である。 本発明の有機ELディスプレイの構成例を示す図である。 第1平坦化層の膜厚の変化に伴う色変調層の間隙における凹部の深さの変化を示すグラフである。 種々の膜厚を有する第1平坦化層に関して、第2平坦化層の膜厚の変化に伴う色変調層の間隙における凹部の深さの変化を示すグラフである。 平坦化層末端部における電極の故障の例の顕微鏡写真を示す図であり、(a)は断線を示し、(b)は隣接する部分電極間での短絡を示す図である。
符号の説明
1 透明支持基板
2 ブラックマトリクス
3a〜c 色変調層
4a 第1平坦化層
4b 第2平坦化層
5 無機膜層
10 色変調フィルタ
20 有機EL素子
21 透明電極
22 有機EL層
23 反射電極

Claims (8)

  1. 透明支持基板と、
    透明支持基板上にパターン状に形成されている1種または複数種の色変調層と、
    前記1種または複数種の色変調層上に形成されている平坦化層と、
    該平坦化層上に形成されている無機膜層と、
    該無機膜層上に形成されている透明電極と、
    該透明電極上に形成されている有機EL層と、
    該有機EL層上に形成されている反射電極と
    を少なくとも含み、前記平坦化層は、2層以上のアクリル樹脂層の積層体であることを特徴とする有機ELディスプレイ。
  2. 前記2層以上のアクリル樹脂層のそれぞれは、その下に存在する層の全体を覆うように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機ELディスプレイ。
  3. 前記無機膜層は前記平坦化層の全体を覆うように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機ELディスプレイ。
  4. 前記平坦化層が、第1平坦化層および第2平坦化層から形成されており、第1平坦化層の膜厚は前記色変調層の膜厚の20%以上80%未満であり、第2平坦化層の膜厚は前記色変調層の膜厚の3%以上60%未満であり、および平坦化層の総膜厚は前記色変調層の膜厚の30%以上100%未満であることを特徴とする請求項1に記載の有機ELディスプレイ。
  5. 前記平坦化層の端部において、前記平坦化層の表面と前記透明支持基板の表面とのなす角が40゜未満であることを特徴とする請求項1に記載の有機ELディスプレイ。
  6. 透明支持基板を準備する工程と、
    透明支持基板上にパターン状の1種または複数種の色変調層を形成する工程と、
    前記1種または複数種の色変調層上に、2層以上のアクリル樹脂層の積層体である平坦化層を形成する工程と、
    該平坦化層上に無機膜層を形成する工程と、
    該無機膜上に透明電極を形成する工程と、
    該透明電極上に有機EL層を形成する工程と、
    該有機EL層上に反射電極を形成する工程と
    を含むことを特徴とする有機ELディスプレイの製造方法。
  7. 前記2層以上のアクリル樹脂層が、同一の材料を用いて形成されることを特徴とする請求項6に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
  8. 前記平坦化層を形成する工程が、20mPa・s以上50mPa・s以下の粘度を有する第1のアクリル樹脂塗布液を用いて第1平坦化層を形成する工程と、10mPa・s以上30mPa・s以下の粘度を有する第2のアクリル樹脂塗布液を用いて、第1平坦化層の上に第2平坦化層を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項6に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
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