JP2008130363A - 有機el素子およびその製造方法、ならびに有機elディスプレイおよびその製造方法 - Google Patents

有機el素子およびその製造方法、ならびに有機elディスプレイおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の主たる目的は、有機層において生じた光をTFTとは反対側へ取り出す構造の、アクティブマトリクス方式の有機EL素子を、全体として低減された製造工数によって得ることにある。
【解決手段】基板と、上記基板上に順次形成されたTFT層、コンタクト電極およびパッシベーション層と、上記パッシベーション層上に形成された複数の隔壁と、上記隔壁間に順次形成された下部電極および有機層と、上記隔壁上に形成された補助電極と、上記有機層の上部から上記隔壁の側部および上記補助電極の側部を介して上記補助電極の上部に至るまで連続的に形成された上部電極とを備える有機EL素子において、上記下部電極と上記補助電極とを、同一材料を使用し、かつ、蒸着プロセスによって同時に形成したことを特徴とする、有機EL素子。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機EL素子に関し、特に、従来問題となっていた製造工数増大の問題を解決すべく、下部電極と補助電極とに同一材料を同時に形成した、有機EL素子に関する。本発明は、このような有機EL素子の製造方法、ならびに当該有機EL素子を用いた有機ELディスプレイおよびその製造方法に関する。
近年、自発光型の有機EL素子を備える発光装置の中で、アクティブマトリクス方式の発光装置の研究が盛んに行われている。アクティブマトリクス方式の発光装置は、各発光部(モノクロ表示の場合には画素、カラー表示の場合には副画素)が、薄膜トランジスタ(以下、「TFT」とも称する)を含むスイッチング素子にて駆動制御され、供給電流による記憶動作が発光部ごとに可能である。このため、アクティブマトリクス方式の発光装置は、フレーム周波数を一定にした際の各発光部での発光時間として定義されるデューティを、パッシブマトリクス方式の発光装置に比べて長くすることができる。よって、アクティブマトリクス方式の発光装置は、各発光部の輝度を高度に抑制でき、ひいては低消費電力化および長寿命化を実現することができる。
アクティブマトリクス方式の発光装置においては、従来、有機発光層において生じた光を、透明電極を介してTFT側へ取り出す構造が主に採用されていた。このため、発光部に位置するTFTおよび配線等の存在によって、光路が制限されるという問題があった。この問題を解決するため、近年においては、有機発光層において生じた光をTFTとは反対側へ取り出す構造の装置が盛んに研究されており、以下のような発光装置およびその関連技術が開示されている。
特開2003−77681号公報(特許文献1)には、陽極と陰極との間に発光層を含む1層以上の有機層を備え、発光層で発生した光を陰極の側から取り出し、陽極が銀または銀を含む合金により構成されているす有機電界発光素子が開示されている。
特開2002−229009号公報(特許文献2)には、互いに対向配置された一対の基板間に液晶が挟持され、一対の基板のうち、一方の基板上に銀合金膜と透明導電膜との積層構造を有する複数の第1の電極が設けられるとともに、他方の基板上には異なる色の複数の色素層が配列されたカラーフィルタと透明導電膜からなる複数の第2の電極とが設けられ、第1の電極は、銀合金膜と透明導電膜のうち、少なくとも銀合金膜が部分的に欠落した領域からなる光透過領域を各画素内に有し、一対の基板の少なくともいずれか一方の隣接する上記第1の電極の間の領域、もしくは隣接する上記第2の電極の間の領域に遮光層が設けられた液晶表示装置が開示されている。
特開2003−234193号公報(特許文献3)には、陽極および陰極を有し、陽極と陰極間に挟持された一または複数の有機化合物からなる層を少なくとも有し、陽極が、主成分金属と副成分金属とからなり、かつ反射率が70%以上である有機発光素子が開示されている。
特開2006−79836号公報(特許文献4)には、陰極と陽極との間に、少なくとも発光層を有する有機層を挟持してなり、陽極が、アルミニウムを主成分とする合金からなる第1の層を有し、合金の副成分が、主成分よりも相対的に仕事関数が小さい元素を少なくとも1つ含む有機電界発光素子が開示されている。
特開2004−265853号公報(特許文献5)には、正孔を供給する陽極と電子を供給する陰極との間に少なくとも発光層を有し、所定波長領域の透過率が高く、かつ低抵抗の導電膜により陰極を構成した表示体が開示されている。
特開2003−288994号公報(特許文献6)には、第1の電極と、第1の電極上に接する有機化合物層と、有機化合物層上に接する第2の電極とを有する発光素子を複数有する画素部と、駆動回路と、端子部とを有し、画素部には、薄膜トランジスタに接続する第1の電極の端部が絶縁物で覆われており、且つ、絶縁物上に導電性を有する材料からなる第3の電極と、絶縁物および第1の電極上に有機化合物層と、有機化合物層および第3の電極に接する第2の電極とが設けられており、端子部と画素部との間には、第3の電極と同一材料からなる配線または第2の電極と同一材料からなる配線が端子から延びている配線と接続する箇所を有する発光装置が開示されている。
特開2005−93398号公報(特許文献7)には、基板上に形成された第1電極と、基板上に第1電極とは絶縁して形成された補助配線と、発光層を含むと共に、基板上において少なくとも第1電極および補助配線を覆い、かつ、補助配線の側面において断絶部を有する有機層と、この有機層を覆うと共に、有機層の断絶部において補助配線に電気的に接続された第2電極とを備えた有機発光素子が開示されている。
特開2004−265853号公報(特許文献8)には、正孔を供給する陽極と電子を供給する陰極との間に少なくとも発光層を有し、所定波長領域の透過率が高く、かつ低抵抗の導電膜により陰極を構成した表示体が開示されている。
特開2002−83689号公報(特許文献9)には、絶縁表面上に形成された透明電極と、透明電極上に形成されたEL層と、EL層上に形成された不透明電極とを有し、遮光部も絶縁表面上に形成された発光装置が開示されている。
特開2003−77681号公報 特開2002−229009号公報 特開2003−234193号公報 特開2006−79836号公報 特開2004−265853号公報 特開2003−288994号公報 特開2005−93398号公報 特開2004−265853号公報 特開2002−83689号公報
特許文献1〜9に記載されている有機発光素子等においては、有機EL素子等の断面側方視において、発光部で生じた光を上方に反射させるための下部電極(反射電極)と、発光部で生じた光と、下部電極で反射した光をともに上方に取り出す透明な上部電極とが用いられている。しかしながら、これら文献1〜9においては、下部電極および上部電極に関し、以下のような改善事項が見受けられる。
まず、下部電極については、以下の改善事項が見受けられる。
特許文献1,2では、下部電極として、可視光を反射し易い銀または銀を含む合金(以下、「銀含有材料」とも称する)が使用されている。しかしながら、銀含有材料は、下部電極の下地層として用いるガラス基板、ならびに絶縁層として用いる酸化ケイ素、窒化酸化ケイ素、および樹脂材料との密着性に劣る。このため、特許文献1,2では、下部電極と下地層との間に、これら層をより強固に密着させる目的で他の層を別途形成しており、製造工数が嵩む。
また、銀含有材料は、形成後の耐酸化性に劣るだけでなく、リソグラフィ技術を用いたエッチング時におけるアルカリ性薬液に対する耐腐食性に劣る。このため、特許文献1,2では、銀合金の表面を保護する層を別途形成しており、これによっても製造工数が嵩む。
さらに、特許文献1,2に開示されている装置の形成には、リソグラフィ技術を用いたエッチング時において、銀合金に適切な薬液を用いる必要がある。このため、銀合金を使用しない下部電極を備える有機EL素子との間に、下部電極の材料を共通化することができない。
次に、特許文献3,4,5には、下部電極として、銀含有材料の代わりにアルミニウム含有材料を用いた例が開示されている。これらの場合にも、有機層を形成する前処理である熱処理またはUV照射処理によって、下部電極表面が酸化され、有機層への電荷の供給が低下するおそれがある。
一方、上部電極については、以下の改善事項が見受けられる。
特許文献6,7には、有機発光層において生じた光をTFTとは反対側へ取り出す構造に鑑み、光を透過させるための透明電極が開示されている。一般に、透明電極として使用されるインジウムスズ酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)は、金属材料と比較して、比抵抗が100倍程度大きい。上部電極は、下部電極と異なり複数のTFTユニット間で共通に機能するため、TFT側から供給された電流が集中して流れ込む構造をなす。このため、上部電極にITO等を使用すると、それらの大きな比抵抗に起因して、パルス面内での電圧降下が不均一に発生する結果、表示ムラが生ずるおそれがある。
従って、このような電圧降下を防止すべく、上部電極と比較して比抵抗の小さな補助電極を上部電極に接触配置させる技術が知られているが、この接触配置も表示装置の製造工程数を増加させる。
また、特許文献8には、上部電極に関し、インジウムセリウム酸化物(ICO)と銀が積層された、3層構造のICO/銀/ICOなる比抵抗の低い透明導電層が開示されている。このような3層構造体を形成する場合には、多層構造を形成するため、さらに製造工数が嵩む。
加えて、特許文献9には、上部電極の比抵抗を低減させる補助電極に関する他の例が開示されている。この補助電極は、他の電極、例えば、下部電極および上部電極とは別工程にて形成される。このため、従来の有機EL素子の形成においては、電極の形成だけでも下部電極形成工程、補助電極形成工程および上部電極形成工程の3工程を要するため、有機EL素子形成全体として、製造工数の削減は重要である。
本発明の第1の目的は、有機層において生じた光をTFTとは反対側へ取り出す構造の、アクティブマトリクス方式の有機EL素子であって、全体として低減された製造工数によって得られる有機EL素子を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、上記有機EL素子の製造方法を提供することにある。さらに、本発明の第3の目的は、上記有機EL素子を用いた有機ELディスプレイおよびその製造方法を提供することにある。
本発明は、基板と、上記基板上に順次形成されたTFT層、コンタクト電極およびパッシベーション層と、上記パッシベーション層上に形成された複数の隔壁と、上記隔壁間に順次形成された下部電極および有機層と、上記隔壁上に形成された補助電極と、上記有機層の上部から上記隔壁の側部および上記補助電極の側部を介して上記補助電極の上部に至るまで連続的に形成された上部電極とを備え、上記下部電極と上記補助電極とを、同一材料を使用し、かつ、蒸着プロセスによって同時に形成した有機EL素子に関する。本発明の有機EL素子は、下部電極の保護および上部電極の小比抵抗化に伴う製造工数増大の問題を解決した製造方法により得られるものである。本発明の有機EL素子においては、上記同一材料が、銀、あるいは、銀と、ニッケル、ルビジウム、パラジウム、白金、マグネシウム、およびカルシウムのうちの少なくとも1種とを含む合金であることが望ましい。
本発明は、基板上に、TFT層、コンタクト電極、およびパッシベーション層を順次形成する工程と、上記パッシベーション層上に複数の隔壁を形成する工程と、上記隔壁間に下部電極を形成するとともに上記隔壁上に補助電極を形成する工程と、上記下部電極上に有機層を形成する工程と、上記有機層の上部から上記隔壁の側部および上記補助電極の側部を介して上記補助電極の上部に至るまで連続的に上部電極を形成する工程とを含み、上記下部電極と上記補助電極とを、同一材料を使用し、かつ、蒸着プロセスによって同時に形成する有機EL素子の製造方法を包含する。本発明の製造方法においては、上記同一材料が、銀、あるいは、銀と、ニッケル、ルビジウム、パラジウム、白金、マグネシウム、およびカルシウムのうちの少なくとも1種とを含む合金であることが望ましい。
本発明は、上記有機EL素子と、透明基板上にカラーフィルタ層および色変換層の少なくとも一方を形成した積層体とを含む、有機ELディスプレイを包含する。本発明は、上記方法により得られた有機EL素子と、透明基板上にカラーフィルタ層および色変換層の少なくとも一方を形成した積層体とを張り合わせて、封止構造を実現する、有機ELディスプレイの製造方法を包含する。
本発明の有機EL素子は、下部電極と補助電極とに同一材料を使用し、しかも、これらの電極を、蒸着プロセスによって同時に形成し得られる素子である。このため、当該素子は、従来、下部電極、補助電極、および上部電極の3種類の電極を別々に3工程に分けて形成していたことに比べて、製造工数を低減させて得ることができる。
また、本発明の有機EL素子は、予め形成した隔壁によって下部電極の形成位置を画定し、その後下部電極を形成するだけで、従来のようなパターニングを行う必要なく得られる素子である。このため、当該素子は、当該パターニング用のエッチング処理等を省略できるのみならず、当該エッチング処理に付随して必要であった下部電極の耐腐食性を防止するための保護層の形成も行わずに得ることができる。よって、本発明の有機EL素子は、これらの観点からも、従来に比べて、製造工数を低減させて得ることができる。
さらに、本発明の有機ELディスプレイは、上記のように簡易かつ低廉に得られた有機EL素子を用いることにより、従来に比べて、全体として製造工数を低減させて得ることができる。
以下に、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。なお、以下に示す例は、単なる例示であって、当業者の通常の創作能力の範囲で適宜設計変更することができる。
<有機EL素子>
図1は、本発明の有機EL素子を示す断面図である。有機EL素子10は、同図に示すように、基板12と、基板12上に順次形成されたTFT層14、TFT補助層16、コンタクト電極18、平坦化層20、パッシベーション層22、隔壁24、下部電極26、有機層28、補助電極30、および上部電極32により構成されている。
ここで、TFT層14は、ソース領域14a、ゲート領域14b、ゲート絶縁膜14c、およびドレイン領域14dを含む。また、TFT補助層16は、ソース電極16a、ドレイン電極16b、および絶縁体16cからなり、両電極16a,16bは、低抵抗なオーミック電極である。
図1に示すように、基板12上には、TFT層14およびTFT補助層16が順次形成されている。両層14,16間では、ソース領域14aとソース電極16aとが、また、ドレイン領域14dとドレイン電極16bとが、それぞれ接続されている。
TFT補助層16のドレイン電極16bの上面には、コンタクト電極18が接続されており、電極18は、絶縁体16cの間に埋設されている。TFT補助層16の上部において、コンタクト電極18は、その下面を平坦化層20と、その側面および上面のほとんどをパッシベーション層22と接している。なお、コンタクト電極18の上面の一部は、下部電極26と接続されている。
パッシベーション層22は、コンタクト電極18と下部電極26との接続位置、および図示しない外部駆動回路とコンタクト電極18との接続位置にホールを有する。また、パッシベーション層22の上部には、一定の間隔を置いて、複数の、図1に示すところにおいては2個の隔壁24が形成されている。
パッシベーション層22上の、隔壁24が形成されていない領域には、下部電極26が形成されており、下部電極26はその一部が上記ホールを貫通してコンタクト電極18と接続されている。このような構成により、ドレイン領域14dからドレイン電極16bおよびコンタクト電極18を介して下部電極26への導通が達成される。
下部電極26上には、有機層28が形成されており、隔壁24上には補助電極30が形成されている。そして、有機層28および補助電極30上には、上部電極32が連続的に形成されている。
以下、本発明の有機EL素子の各構成部材について説明する。
(基板)
基板12は、その上に順次積層される層の形成における種々の条件(溶媒、温度等)に耐え得るものであれば特に限定されるものではないが、寸法安定性に優れていることが好ましい。好ましい基板12の例としては、ガラス基板、あるいは、ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、またはポリイミド樹脂で形成された剛直性の樹脂基板が挙げられる。また、他の好ましい基板12の例としては、ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、またはポリイミド樹脂などで形成された可撓性フィルムが挙げられる。
(TFT層)
TFT層14は、アクティブマトリクス方式の有機EL素子において、スイッチング素子としての役割を担い、各発光部を駆動制御するものである。好ましいTFT層14としては、公知の薄膜トランジスタが挙げられ、例えば、アモルファスシリコンTFT、ポリシリコンTFT、またはMIM(Metal−Insulator−Metal)TFTなどを用いることができる。
(TFT補助層)
TFT補助層16は、ソース電極16aをTFT層14のソース領域14aと導通させるとともに、ドレイン電極16bによってTFT層14のドレイン領域14dと下部電極26とを導通させるための層である。TFT補助層16は、低抵抗なオーミック電極であるソース電極16aおよびドレイン電極16b、ならびに絶縁体16cからなり、これらの各構成要素は、公知の材料を使用することができる。例えば、ソース電極16aとしてはAl合金、Cu合金、またはMo合金等を、ドレイン電極16bとしてはソース電極16aと同様にAl合金、Cu合金、またはMo合金等を、絶縁体としては酸化ケイ素、または窒化ケイ素等を、それぞれ用いることができる。
(コンタクト電極)
コンタクト電極18は、発光部ごとにドレイン電極16bと後述する下部電極26とを導通させるための電極である。コンタクト電極18には、後述するパッシベーション層22をパターニングする必要性から、ドライエッチングに対する耐腐食性の高いものを選択する必要がある。好ましいコンタクトコンタクト電極18の例としては、Cr、MoCr、Mo等からなるものが挙げられる。
(平坦化層)
平坦化層20は、コンタクト電極18を形成し易くするための層である。好ましい平坦化層としては、イミド変性シリコーン樹脂、エポキシ変性アクリレート樹脂、アクリレートモノマー/オリゴマー/ポリマーの反応性ビニル基を有した樹脂、フッ素系樹脂などの光硬化型樹脂および/または熱硬化型樹脂、ノボラック樹脂などからなるものが挙げられる。
(パッシベーション層)
パッシベーション層22は、平坦化層20から放出される水分等の有機層28への浸入を防ぐための層である。好ましいパッシベーション層22としては、防湿性の高い材料、例えば、SiO、SiN、SiN、AlO、TiO、TaO、ZnOなどの絶縁性の無機酸化物、無機窒化物、無機酸化窒化物等からなるものが挙げられる。なお、パッシベーション層22の膜厚を100nm〜1μmとすることが、防湿性を確保し、かつ平坦化層20との密着性を確保する点で好ましい。
(隔壁)
隔壁24は、発光領域を画定すべく、平面視で、各発光部を取り囲む形状の層である。隔壁24の断面形状を、図1に示すような逆テーパー形状とすることが、蒸着法で形成される下部電極26間、即ち隣接する発光部間において、絶縁性を確保する観点から好ましい。好ましい隔壁24としては、ノボラック樹脂材料等からなるものが挙げられる。
(下部電極)
下部電極26は、隔壁24によって画定された発光部ごとに形成され、発光を図1の上部電極32に向けて反射する、反射電極として機能する電極である。好ましい下部電極26としては、銀または銀合金からなるものが挙げられる。例えば、銀、あるいは、銀と、8族のニッケル、ルビジウム、鉛、および白金のうちの少なくとも1種との合金、さらには、銀と、2A族であるマグネシウムおよびカルシウムのうちの少なくとも1種との合金からなるものが好ましい。下部電極26は、銀または銀合金からなる単層構造であってもよいし、銀または銀合金からなる膜を積層した多層構造でもよい。
(有機層)
有機層28は、発光部を含み、下部電極26と上部電極32との間に挟まれて位置する層である。有機層28は、少なくとも有機発光層を含み、必要に応じて正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層および/または電子注入層を含む。これらの各層は、それぞれ所望される特性を実現するのに十分な膜厚を有して形成される。具体的に各層の膜厚は、正孔輸送層については5〜50nm、正孔注入層については5〜200nm、電子輸送層については5〜50nm、電子注入層については5〜100nmとすることが好ましい。また、有機層は、下記のような層構成とすることができる。
(1)有機発光層
(2)正孔注入層/有機発光層
(3)有機発光層/電子注入層
(4)正孔注入層/有機発光層/電子注入層
(5)正孔輸送層/有機発光層/電子注入層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層
(7)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層
なお、上記(1)〜(7)の各構成においては、陽極として機能する電極が左側に接続され、陰極として機能する電極が右側に接続される。
有機発光層には、公知の材料を用いることができる。青色から青緑色の発光を得るため用いる材料としては、例えば、縮合芳香環化合物、環集合化合物、金属錯体(Alq(トリス(8−キノリノール)アルミニウム)に代表されるアルミニウム錯体など)、スチリルベンゼン系化合物(4,4'−ビス(ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)など)、ポルフィリン系化合物、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系およびベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、芳香族ジメチリディン系化合物などが好ましい。
また、ホスト化合物にドーパントを添加することによって、種々の波長域の光を発する有機発光層を形成することもできる。ホスト化合物としては、ジスチリルアリーレン系化合物(例えば、出光興産製IDE−120など)、N,N'−ジトリル−N,N'−ジフェニルビフェニルアミン(TPD)、Alqなどを使用することができる。一方、ドーパント化合物としては、ペリレン(青紫色)、クマリン6(青色)、キナクリドン系化合物(青緑色ないし緑色)、ルブレン(黄色)、4−ジシアノメチレン−2−(p−ジメチルアミノスチリル)−6−メチル−4H−ピラン(DCM、赤色)、白金オクタエチルポルフィリン錯体(PtOEP、赤色)などを使用することができる。
正孔輸送層には、トリアリールアミン部分構造、カルバゾール部分構造、オキサジアゾール部分構造を有する材料を用いることができる。特に、TPD、α−NPD、MTDAPB(o−,m−,p−)、m−MTDATAなどを使用することが、輝度劣化を抑制し、非発光点(ダークスポット)の形成を抑制する観点から好ましい。
正孔注入層には、Pc類(CuPcなどを含む)、インダンスレン系化合物などの材料を用いることができる。
電子輸送層には、Alqのようなアルミニウム錯体、PBD、TPOBのようなオキサジアゾール誘導体、TAZのようなトリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、フェニルキノキサリン類、BMB−2Tのようなチオフェン誘導体などの材料を用いることができる。
電子注入層には、Alqのようなアルミニウム錯体、またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属をドープしたアルミニウムのキノリノール錯体などの材料を用いることができる。
有機層28は、以上のような各層から形成することができるが、これらの層とは別に、有機層28と上部電極32との間に、任意選択的に、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはそれらの合金、あるいはアルカリ金属フッ化物などの電子注入性材料の薄膜で形成されたバッファ層を形成し、さらに電子注入効率を高めることもできる。なお、当該バッファ層の膜厚は、光透過率を確保するため、10nm以下とすることが好ましい。
(補助電極)
補助電極30は、上部電極32と接続することで、これら全体して、上部電極32単独の場合に比べて低抵抗化を図るために形成される。本発明においては、補助電極32は、下部電極26と同一の材料によって構成される。また、補助電極30は、下部電極26と同様に、単層構造または多層構造のいずれでもよい。
(上部電極)
上部電極32は、有機層28および補助電極30上に連続的に形成され、有機層28からの発光を上方に取り出すための透明電極である。上部電極32には、SnO、In、ITO、IZO、ZnO:Alなどの導電性金属酸化物を用いることができる。
また、上部電極32の厚さは、注入電流による電圧降下を抑制するため、50nm以上とすることが必要であり、形成時の温度上昇を抑制するため、50nm〜1μmとすることが好ましい。さらに、当該厚さは、光透過率を確保するため、100nm〜300nmとすることがより好ましい。
さらに、上部電極32の透過率は、有機層28からの発光を上方に取り出す機能を実効あるものとするため、波長400〜800nmの光に対して50%以上とすることが好ましく、同条件において85%以上とすることがより好ましい。
図1には図示しないが、上部電極32の上部には、有機発光層への水分、酸素浸入を防止する目的で、酸化ケイ素、窒化酸化ケイ素などの材料を用いて、有機EL素子10全体を被覆するパッシベーション膜を任意選択的に形成することもできる。
<有機EL素子の製造方法>
図1に示す有機EL素子を製造するに際し、以下の各形成工程を採用することができる。
(TFT層、コンタクト電極、およびパッシベーション層形成工程)
基板12上に常法によりTFT層14を形成し、TFT層14上にTFT補助層16を形成する。
TFT補助層16上に、平坦化層20を形成する。当該形成は、スピンコート法等を用いることができる。例えば、スピンコート法により膜厚1〜5μmに塗布し、プリベークを行い、所定の位置に開口部をもつフォトマスクを用いて露光、現像、焼成する。この際、ノボラック樹脂系材料を用いることにより、ドレイン電極16b上へのレジスト残渣を低減できる。なお、平坦化層20は、後述のコンタクト電極18を形成し易くするための層である。このため、特に簡易に有機EL素子を形成しようとする場合には、本工程は省略することができる。
TFT補助層16のドレイン電極16b上から平坦化層20上の一部にコンタクト電極18を形成する。当該形成は、例えば、スパッタ法によって所定材料を積層した後、スピンコート法を用いたエッチングなどの処理により行うことができる。例えば、Cr、MoCr、Mo等の材料をスパッタ法で形成し、フォトレジストを形成する。フォトレジストには、一般に、TFR1250(商品名、東京応化工業製)等のノボラック樹脂材料を用いる。この際、エッチング液として、Cr系材料の場合には第二硝酸セリウム系液を、Mo系材料の場合にはリン酸−硝酸−酢酸混合液を用いることが、電極端部を約45°のテーパー形状とすることができる点で好ましい。
コンタクト電極18の側部および上部を覆うように、パッシベーション層22を形成する。当該形成は、例えば、スパッタ法によって所定材料を積層した後、スピンコート法を用いたエッチングなどの処理により行うことができる。例えば、まず、SiまたはSiOターゲットを用いたスパッタ法により酸化ケイ素を形成するか、または、モノシラン等のシラン系ガスとN、NOx、NHガスとを用いてCVD法により窒化ケイ素膜を形成する。次いで、フォトレジストを形成し、ドライエッチングにより所定の位置に開口部を形成する。エッチングガスとしてはSF、またはCHF等のフッ素系ガス等を用いることができる。
(隔壁形成工程)
パッシベーション層22上に、一定の間隔を置いて、複数の隔壁24を形成する。当該形成は、例えば、スピンコート法によって所定材料を塗布した後に、プリベーク、パターン焼き付け、ポストエクスポージャーベーク、現像、および加熱処理を経て行うことができる。例えば、まず、スピンコート法により1〜5μmに塗布し、プリベークを行う。次いで、所定の位置に開口部を有するフォトマスクを用い露光し、その後ベーク、現像、および焼成を順次行う。この際、露光後のベーク条件を110℃〜130℃において30秒〜150秒とすることが、パッシベーション層22との密着性を確保でき、ひいては隔壁24のはく離を防止できる点で好ましい。
図2は、基板12に、TFT層14、TFT補助層16、平坦化層20、コンタクト電極18、パッシベーション層22、および隔壁24を順次形成した積層体の平面図である。同図によれば、隔壁24により区画された領域にパッシベーション層22が形成されており、その一部にはパッシベーション層22が存在しない部分に、コンタクト電極18が現れている。
(下部電極および補助電極形成工程)
パッシベーション層22上に下部電極26をコンタクト電極18の一部と導通するように形成するとともに、下部電極26と電気的に分離する補助電極30を隔壁24上に形成する。これらの両電極26,30は、同一の材料、本例では銀をまたは銀合金を用いて同時に形成することができる。当該形成には、抵抗加熱または電子ビーム加熱を用いた蒸着を用いることができる。例えば、抵抗加熱においては、1.0×10−4Pa以下の真空条件において加熱ボート温度を500℃〜700℃とし、成膜レートを0.1〜0.5nm/秒とすることができる。これにより、パッシベーション層22との密着性が十分な下部電極26を形成できる。また、電子ビーム加熱においては、1.0×10−4Pa以下の真空条件において加速電圧5〜20kV、ビーム電流1〜5A、容器としてアルミナるつぼを用い形成することができる。この際、形成雰囲気を1.0×10−4Pa以下の真空とすることが、隣接する層との優れた密着性を実現できる点で好ましい。両電極26,30を多層構造とする場合も真空中で連続して形成することにより密着性を実現できる。
(有機層形成工程)
下部電極26上に有機層28を形成する。当該形成には、抵抗加熱または電子ビーム加熱を用いた蒸着を用いることができる。当該蒸着においては、図1の、発光部となる部分(隔壁24と隔壁24との間の部分)の上面部に対応する部分が開口部であり、かつ、隔壁24の側面部および上面部に対応する部分が遮蔽部であるマスクを用いて形成する。このようなマスクによる形成によれば、隔壁24の上面には有機層28が形成されない。この際、形成雰囲気を真空とすることが、隣接する層との優れた密着性を実現できる点で好ましい。このような形成態様によれば、隔壁24の上面部においては補助電極30が露出したままであるため、後述の上部電極32の形成時において、隔壁24上で補助電極30と上部電極32とが好適に接続される。
なお、有機層28を形成する際に、発光部ごと区切られた下部電極26の端部まで被覆することが肝要である。よって、例えば、有機層28の形成時に各層12〜26からなる積層体を回転させる方法、または多数の蒸着源により下部電極26への有機層28の入射を多方向から行う方法等を採用することで、下部電極26と上部電極32との短絡を効率よく防止する。
(上部電極形成工程)
有機層28の上部から、隔壁24の側部および補助電極30の側部を介して、補助電極30の上部に至るまで、連続的に上部電極32を形成する。即ち、上部電極32は、有機層28および隔壁24を被覆するように形成する。上部電極32はスパッタ法を用いて形成することができる。例えば、ターゲットとして、ITO、IZO等を用い、ArおよびO雰囲気において、100〜1000Wの成膜電力を用いる。この際、形成雰囲気を真空とすることが、隣接する層との優れた密着性を実現できる点で好ましい。
図3は、(図1に示す)隔壁24および補助電極30に対する上部電極32の被覆状態を示すSEM写真である。図3において、その左半分に注目すると、黒く見える部分が隔壁24であり、隔壁24の上方の灰色に見える部分が補助電極30であり、補助電極30の上方の白く見える部分が上部電極32である。この左半分は、隔壁24の上方における、これら層24,30,32の界面を示す。これに対し、中央部分から右半分は、隔壁24の側方における、これら層24,30,32の界面を示す。
このように、スパッタ法を用いて上部電極32の形成を行うことにより、図3の中央部分から右半分に示すように、隔壁24の側面においても連続的に層形成が可能であり、上部電極32の全形成領域において電気的に連続した層形成が可能であることが判る。
以上に示した本発明の有機EL素子の製造方法によれば、下部電極26と補助電極30とに、同一材料を使用し、しかも、これらの電極を蒸着プロセスによって同時に形成することができる。このため、当該製造方法によれば、従来、下部電極、補助電極、および上部電極の3種類の電極を別々に3工程に分けて形成していたことに比べて、製造工数を低減させて、有機EL素子を得ることができる。
また、本発明の有機EL素子の製造方法によれば、予め形成した隔壁24によって下部電極26の形成位置を画定し、その後下部電極26を形成するだけで、従来のようなパターニングを行う必要なく、有機EL素子10を得ることができる。このため、当該製造方法によれば、当該パターニング用のエッチング処理等を省略できるのみならず、当該エッチング処理に付随して必要であった下部電極26の耐腐食性を防止するための保護層の形成も行わずに、素子10を得ることができる。よって、本発明の有機EL素子の製造方法は、これらの観点からも、従来に比べて、製造工数を低減させて、有機EL素子を得ることができる点で有利である。
さらに、本発明の有機EL素子の製造方法によれば、下部電極26の実質上の形成を、隔壁24を用いて行うことができるとともに、下部電極26の形成から上部電極32の形成までを真空中で行うことができる。このため、これらの形成態様および形成条件等により、基板12の上方で形成される、隔壁24、下部電極26、有機層28、補助電極30、および上部電極32の優れた密着性を実現することができる。
<有機ELディスプレイおよびその製造方法>
以上は、本発明の有機EL素子の製造方法を構成する各工程についての説明であるが、このような各工程の終了後、有機ELディスプレイを形成する際には、本発明の有機EL素子を、カラーフィルタ層、色変換層、またはカラーフィルタ層と色変換層との積層体を形成した透明基板と張り合わせ、封止構造をとる。以下に、このような有機ELディスプレイの各形成工程について説明する。
(カラーフィルタ層形成工程)
カラーフィルタ層は、所望される波長域の光のみを透過させる層である。また、色変換層との積層体を採用する場合には、色変換層にて波長分布変換された光の色純度を向上させることにカラーフィルタ層は有効である。カラーフィルタ層は、透明基板上に、または色変換層上に、たとえば、市販の液晶用カラーフィルタ材料(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ製カラーモザイクなど)を、スピンコート法、ロールコート法、キャスト法、ディップコート法などによって塗布し、続いてフォトリソグラフィ法などを用いてパターニングすることによって形成することができる。
(色変換層形成工程)
色変換層は、色変換色素とマトリクス樹脂からなる層である。色変換色素は、入射光の波長分布変換を行って、異なる波長域の光を放射する色素であり、有機発光層からの近紫外光または青色ないし青緑色の光の波長分布変換を行って、所望の波長域の光(たとえば、青色、緑色または赤色)を放射する色素である。色変換色素としては、赤色光を放射するローダミン系色素、シアニン系色素など、緑色光を放射するクマリン系色素、ナフタルイミド系色素など、青色光を放射するクマリン系色素など、当該技術で知られている任意のものを用いることができる。色変換層は、透明基板上に、またはカラーフィルタ層上に、上記材料を、スピンコート法、ロールコート法、キャスト法、ディップコート法などによって塗布し、続いてフォトリソグラフィ法などを用いてパターニングすることによって形成することができる。
(封止工程)
封止用の透明基板にカラーフィルタ層および色変換層の少なくとも一方が形成された積層体と、上述した本発明の有機EL素子を張り合わせることで、封止構造を実現し、本発明の有機ELディスプレイを得る。貼り合わせに際しては、当該積層体と有機EL素子とを、例えば、グローブボックス内乾燥窒素雰囲気下で、UV硬化接着剤を用いて張り合わせて封止することができる。封止条件としては、雰囲気を酸素および水分濃度をともに10ppm以下とすることが好ましい。
なお、上記積層体において、1つの透明基板に、複数種の色変調部、たとえば有機EL素子からの光を吸収して赤色光を放射する赤色変調部、緑色光を放射する緑色変調部、および青色光を放射する青色変調部を設けることもできる。本発明においては、複数種の色変調部をマトリクス状に配置することによってフルカラー表示を可能にする構成を実現できる。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明し、本願発明の効果を実証する。
本実施例は、有機ELディスプレイ(画素数160×120(RGB)、画素ピッチ0.33mm)を作成した例である。
(有機EL素子の形成)
有機EL素子の形成に際しては、図1に示す素子10を形成した。
透明基板12としてのフュージョンガラス(コーニング製1737ガラス、100mm×100mm×1.1mm)を用いた。この基板12上に、当該技術分野で使用される一般的なTFT層14およびTFT補助層16を形成した。さらに、TFT補助層16上にNN810(JSR製)を用いてスピンコート法により膜厚3μmの平坦化層20を形成した。平坦化層20は、図1に示すように、発光部を被覆する領域に、かつ、ドレイン電極16b上にコンタクトホールを有するように形成した。
次いで、平坦化層20上に、コンタクト電極18を形成した。即ち、まず、スパッタ法により膜厚300nmのMoCr膜を形成した。次に、スピンコート法によりレジスト(TFR1250 東京応化工業製)を1.5μmの厚さで形成した。さらに、平面視でコンタクトホール周辺にパターンを有するフォトマスクを用いて露光を行い、レジストパターンを形成した後に、エッチング処理を行い、ドレイン電極16bと接続するコンタクト電極18を形成した。
その後、平坦化層20およびコンタクト電極18上に、パッシベーション層22を形成した。即ち、まず、スパッタ法により膜厚300nmの酸化ケイ素膜を形成した。さらに、スピンコート法によりレジスト(TFR1250 東京応化工業製)を1.5μmの厚さで形成した。さらに、外部駆動回路とコンタクト電極18との接続位置にホールを有するフォトマスクを用いて露光を行ってレジストパターンを形成し後に、SFおよびCHをエッチングガスとするドライエッチング処理によりパターニングし、パッシベーション層22を形成した。
引き続いて、パッシベーション層22上に、隔壁24を形成した。即ち、ネガ型フォトレジスト(日本ゼオン製ZPN1168)をスピンコート法によって塗布し、プリベークを行った。次に、フォトマスクを用いて所定のパターンを焼き付け、60秒間にわたって110℃のホットプレート上でポストエクスポージャーベークを行った後に現像を行った。さらに、15分間にわたって220℃のホットプレート上で加熱処理し、逆テーパー形状の隔壁24を形成した。
このように隔壁24を形成した後、図1の隔壁24以下の積層体を、抵抗加熱蒸着装置内に装着し、下部電極26と補助電極30を同時に形成した。ここで、これらの電極26,30には、Ag−2at%Mg合金を用い、膜厚は100nmとした。両電極26,30の形成に際し、真空槽内圧は1×10-4Paまで減圧した。
さらに、抵抗加熱蒸着装置内で上記真空を破らずに、有機層28(正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子注入層からなる)を順次成膜した。ここで、正孔注入層には、銅フタロシアニン(CuPc)を用い、膜厚は100nmとした。正孔輸送層には、4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を用い、膜厚は20nmとした。有機発光層には、4,4'−ビス(2,2'−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を用い、膜厚は30nmとした。電子注入層には、Alqを用い、膜厚は20nmとした。
最後に、上記真空を破らずに、金属マスクを用いて、膜厚200nmのIZO膜を対向スパッタ法により堆積させて、上部電極32を形成し、図1に示す構造の有機EL素子を得た。
(有機ELディスプレイの形成)
次に、上記有機EL素子を用いて、以下のように、有機ELディスプレイを形成した。
封止用の透明基板に、ブラックマトリクス材料(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製:カラーモザイクCK−7800)を塗布し、フォトリソグラフィ法によってパターニングを行い、幅0.03mm、ピッチ0.11mm、厚さ1μmの格子状のブラックマトリクス層を形成した。
次に、青色変調フィルタ層を形成した。即ち、まず、上記ブラックマトリクスにより形成された格子状の開口部の一部に、青色フィルタ材料(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製:カラーモザイクCB−7001)を塗布した。その後、フォトリソグラフィ法によってパターニングを行い、幅0.08mm、ピッチ0.33mm、厚さ10μmの複数のストライプからなる青色変調フィルタ層を形成した。
同様に、緑色変調フィルタ層を形成した。即ち、まず、蛍光色素としてクマリン6の0.7重量部を、溶剤のプロピレングリコールモノエチルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解させて混合溶液を得た。さらに、該溶液に対して100重量部の新日鐵化学製VPA100を加えて溶解させ、塗布液を得た。この塗布液を、上記ブラックマトリクスにより形成された格子状の開口部の一部に塗布し、フォトリソグラフィ法によってパターニングを行い、幅0.08mm、ピッチ0.33mm、厚さ10μmの複数のストライプからなる緑色変調フィルタ層(色変換層のみで構成されている)を得た。
同様に、赤色変調フィルタ層を形成した。即ち、まず、蛍光色素としてクマリン6の0.6重量部、ローダミン6Gの0.3重量部およびベーシックバイオレットの0.3重量部を120重量部のPGMEA中へ溶解させ、混合溶液を得た。さらに、該溶液に対して100重量部の新日鐵化学製VPA100を加えて溶解させ、塗布液を得た。この塗布液を、上記ブラックマトリクスにより形成された格子状の開口部の一部に塗布し、フォトリソグラフィ用によってパターニングを行い、幅0.08mm、ピッチ0.33mm、厚さ10μmの複数のストライプからなる赤色変調フィルタ層を得た。
さらに、各変調フィルタ層上に、平坦化層を以下の手順で形成した。まず、該変調フィルタ層上に、アクリル系材料(JSR株式会社製:NN810)を、スピンコート法によって回転数1000rpmで塗布した。次に、ブラックマトリクス形成領域よりも広い開口部を有するフォトマスクで露光を行った後、アルカリ現像液(NMD−3 東京応化工業性)を用いて現像した。さらに、200℃でポストベークを行い、厚さ3μmの平坦化層のパターンを形成した。
引き続き、平行平板型プラズマCVD装置を用い、平坦化層の上部および側部において、平坦化層を覆うように、無機酸化窒化物層(SiNx膜)を300nm形成し、封止ガラスを得た。この際、雰囲気はSiHガス50sccmとNガス200sccmとし、RF印加電力は150Wとして、基板ステージ温度は100℃とした。
こうして得られた封止用ガラスと、上記のようにして得られた有機EL素子とを、グローブボックス内乾燥窒素雰囲気下(酸素および水分濃度ともに10ppm以下)において、UV硬化接着剤を用いて張り合わせて封止構造を実現した。以上に示したように、有機発光層において生じた光をTFTとは反対側へ取り出す構造の、アクティブマトリクス方式の有機ELディスプレイを形成することができた。
本実施例よれば、有機EL素子の下部電極と補助電極とに、同一材料を使用し、しかも、これらの部分を蒸着プロセスによって同時に形成できた。このため、従来に比べて製造工数を低減させて、有機EL素子、ひいては有機ELディスプレイが得られることが実証された。
また、本実施例では、有機EL素子の下部電極形成時に、従来下部電極に対して行われていたパターニング用のエッチング処理を省略できるのみならず、エッチング処理に起因する下部電極の耐腐食性を防止するための保護層を別途設ける必要もなかった。このため、これらの観点からも、従来に比べて、製造工数を低減させて有機EL素子、ひいては有機ELディスプレイが得ることが実証された。
本発明によれば、従来に比べて製造工数を低減させて有機EL素子等を提供することができる。よって、本発明は、近年、より簡易に得られる有機EL素子等の開発が要請されている状況下において、有望な技術である。
本発明の有機EL素子を示す断面図である。 基板12に、TFT層14、TFT補助層16、平坦化層20、コンタクト電極18、パッシベーション層22、および隔壁24を順次形成した積層体の平面図である。 (図1に示す)隔壁24および補助電極30に対する上部電極32の被覆状態を示すSEM写真である。
符号の説明
10 有機EL素子
12 基板
14 TFT
16 TFT層補助層
18 コンタクト電極
20 平坦化層
22 パッシベーション層
24 隔壁
26 下部電極
28 有機層
30 補助電極
32 上部電極

Claims (6)

  1. 基板と、前記基板上に順次形成されたTFT層、コンタクト電極およびパッシベーション層と、前記パッシベーション層上に形成された複数の隔壁と、前記隔壁間に順次形成された下部電極および有機層と、前記隔壁上に形成された補助電極と、前記有機層の上部から前記隔壁の側部および前記補助電極の側部を介して前記補助電極の上部に至るまで連続的に形成された上部電極とを備える有機EL素子において、
    前記下部電極と前記補助電極とを、同一材料を使用し、かつ、蒸着プロセスによって同時に形成したことを特徴とする、有機EL素子。
  2. 前記同一材料が、銀、あるいは、銀と、ニッケル、ルビジウム、パラジウム、白金、マグネシウム、およびカルシウムのうちの少なくとも1種とを含む合金であることを特徴とする、請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 基板上に、TFT層、コンタクト電極、およびパッシベーション層を順次形成する工程と、前記パッシベーション層上に複数の隔壁を形成する工程と、前記隔壁間に下部電極を形成するとともに前記隔壁上に補助電極を形成する工程と、前記下部電極上に有機層を形成する工程と、前記有機層の上部から前記隔壁の側部および前記補助電極の側部を介して前記補助電極の上部に至るまで連続的に上部電極を形成する工程とを含み、
    前記下部電極と前記補助電極とを、同一材料を使用し、かつ、蒸着プロセスによって同時に形成することを特徴とする、有機EL素子の製造方法。
  4. 前記同一材料が、銀、あるいは、銀と、ニッケル、ルビジウム、パラジウム、白金、マグネシウム、およびカルシウムのうちの少なくとも1種とを含む合金であることを特徴とする、請求項3に記載の有機EL素子の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の有機EL素子と、透明基板上にカラーフィルタ層および色変換層の少なくとも一方を形成した積層体とを含むことを特徴とする、有機ELディスプレイ。
  6. 請求項3または4に記載の方法によって得られた有機EL素子と、透明基板上にカラーフィルタ層および色変換層の少なくとも一方を形成した積層体とを張り合わせて、封止構造を実現することを特徴とする、有機ELディスプレイの製造方法。
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