JP2007240594A - 感光性平版印刷版用の製版方法 - Google Patents

感光性平版印刷版用の製版方法 Download PDF

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Abstract

【課題】現像安定性を阻害せず非画像部の溶出性を改良した感光性平版印刷版用現像液を提供する。
【解決手段】一般式(I)〜(III)の化合物を含有する。
Figure 2007240594

Figure 2007240594

Figure 2007240594

【選択図】 なし

Description

本発明は感光性組成物を利用した感光性平版印刷版用の製版方法に関する。更に詳しくは、レーザーを用いて画像形成可能な感光性組成物を利用した感光性平版印刷版用の製版方法に関する。また、特に750nm以上の近赤外光から赤外光の波長範囲にある光に感度を有するネガ型の感光性平版印刷版用の製版方法に関する。
紫外光露光により感光し、画像形成を行う従来からの感光性樹脂およびこれを利用した平版印刷版に加えて、可視光領域の光に対する感度を大幅に向上させた高感度の感光性樹脂系が開発され、アルゴンイオンレーザー(488nm)やFD−YAG(532nm)等の光源を利用し、これらレーザーによる直接描画、製版が可能な系が実用化されている。これらは、光重合開始剤と色素増感剤および重合性化合物を有し、色素増感剤が吸収した光エネルギーを光重合開始剤のラジカル開裂に利用し、発生するラジカルによる重合性化合物の重合を利用するものである。
露光光源として可視光レーザー以外に、750nm以上の領域に発光する高出力半導体レーザーやYAGレーザー等が光源として利用されるようになり、これら光源の出力に合わせた感光材料およびこれを利用した印刷版の開発が盛んに行われるようになってきた。
上記の光重合系を構成する光重合開始剤と増感剤の具体的な組み合わせについては、例えば有機ホウ素アニオンとカチオン色素の組み合わせが特開昭62−143044号、同62−150242号、特開平5−5988号、特開2000−89455号公報等に記載されている。光重合開始剤の他の例としては、チタノセン化合物と増感剤の組み合わせについて特開昭63−221110号公報などに見られる。さらに、トリハロアルキル置換トリアジン化合物とシアニン色素の組み合わせについては特開平2−189548号公報等に見られ、ヘキサアリールビイミダゾール化合物と色素の組み合わせについては特開平1−279903号公報などに記載されている。
しかしながら、上記したような感光性組成物の課題として現像安定性がある。即ち、現像条件によっては、未露光部の溶出不良が生じる場合があった。この問題は、特に感度を高めることによって起こりやすくなり、高感度と現像安定性の両立が望まれている。この傾向は750nm以上の波長の光に感光する増感色素を添加した場合に特に顕著である。溶出不良が発生すると、印刷時に非画像部が汚れやすいという問題が発生する。これに対して、特開2002−278085号公報(特許文献1)にはアルカノールアミンやポリアルキレンオキシ基を含有する現像液で処理する方法が開示されている。また特開2003−66624号公報(特許文献2)にはアルカリ可溶性のメルカプト化合物やチオエーテル化合物を含有するpH11.5〜12.8の現像液で処理する方法が開示されているが、いずれも微小網点の耐刷性が劣るという問題があった。一方、特開2005−099358号公報(特許文献3)はチタノセン化合物を光重合開始剤に用い感光層にチオ尿素誘導体を含有させることにより保存性、解像性、耐刷性を向上させる方法が記載されているが、750nm以上の近赤外光に対して感度を有する感光性平版印刷版の溶出性を向上させる方法としては有効な手段とは言えなかった。従って、750nm以上の近赤外光に対して感度を有し、耐刷力を低下させることなく非画像部の溶出性が良好で印刷時の地汚れの発生しない感光性平版印刷版の溶出促進剤が求められている。
特開2002−278085号公報 特開2003−66624号公報 特開2005−099358号公報
従って、本発明の目的は、現像安定性、即ち画像部の印刷性能を阻害せず非画像部の溶出性を改良した感光性平版印刷版の製版方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、光重合性層を有する感光性平版印刷版の製版方法において、下記一般式(I)〜(III)の化合物の中から選ばれる化合物を少なくとも1つ含有し、かつpHが11.5以下の現像液を用いることを特徴とする製版方法により達成された。
Figure 2007240594
式中、R〜Rは炭素数1〜3までのアルキル基を表し、R〜Rは同一または異なっていても良い。mは1から4までの整数を表す。RとRは5員環または6員環を形成しても良い。
Figure 2007240594
式中、R〜Rは炭素数1〜3までのアルキル基を表し、R〜Rは同一または異なっていても良い。XはN原子またはS原子を表す。RとRは5員環または6員環を形成しても良い。
Figure 2007240594
式中、R〜R12は炭素数1〜3までのアルキル基を表し、R〜R12は同一または異なっていても良い。R13とR14は水素または炭素数1〜3までのアルキル基を表し、R13とR14は同一または異なっていても良い。R10とR13及びR12とR14はそれぞれ、5員環または6員環を形成しても良い。nは1〜3までの整数を表す。
本発明の製版方法により、耐刷性が低下することなく溶出性に優れた感光性平版印刷版が得られた。
本発明の光重合性層を有する感光性平版印刷版の製版方法において、前記一般式(I)〜(III)の化合物の中から選ばれる化合物を少なくとも1つ含有し、かつpHが11.5以下の現像液を用いることを特徴とする製版方法における一般式(I)〜(III)の化合物の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるわけではない。
Figure 2007240594
Figure 2007240594
Figure 2007240594
Figure 2007240594
Figure 2007240594
Figure 2007240594
Figure 2007240594
Figure 2007240594
本発明の現像液に含有される一般式(I)〜(III)の化合物の含有量は現像液に対して0.1〜10質量%であり、特に好ましくは0.5〜5質量%である。
本発明の現像液のpHは30℃の温度でpHメーターにより測定されたpHを指す。本発明のpH11.5以下の現像液のpHはpH10.5以上11.5以下の範囲が好ましく、より好ましくはpH11.0以上11.5以下の範囲である。本発明の現像液に用いられるアルカリ水溶液としては、例えば、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸アンモニウム、メタ珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、第二燐酸ナトリウム、第三燐酸ナトリウム、第二燐酸アンモニウム、第三燐酸アンモニウム、硼酸ナトリウム、硼酸カリウム、硼酸アンモニウム等の無機アルカリ塩が用いられる。
本発明の現像液は、耐刷力を低下させない範囲で特開2002−278085号公報に記載の炭素数が1〜10のアルキル基を有するアルカノールアミンや炭素数2〜10のアルキル基とポリアルキレンオキシ基を有する化合物を非画像部の溶出促進剤として用いることが出来る。
本発明に用いられる現像液には現像性の促進や現像かすの分散及び印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々界面活性剤を添加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の好ましい例としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、しょ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、エチレンジアミンのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンフブロック共重合体付加物、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどの非イオン性界面活性剤、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物などのアニオン界面活性剤、アルキルアミン塩類、テトラブチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体などのカチオン性界面活性剤、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミダゾリン類、などの両性界面活性剤が挙げられる。以上挙げた界面活性剤の中でポリオキシエチレンとあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンなどのポリオキシアルキレンに読み替えることもでき、それらの界面活性剤もまた含有される。更に好ましい界面活性剤は、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系の界面活性剤である。係るフッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどのアニオン型、パーフルオロアルキルベタインなどの両性型、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩などのカチオン型及びパーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキル基及び親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性及び親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基含有ウレタンなどの非イオン型が挙げられる。上記の界面活性剤は、単独もしくは二種以上を組み合わせて使用することが出来、現像液中に0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%の範囲で添加される。
本発明に用いられる現像液には、好ましくは種々現像安定化剤が用いられる。それらの好ましい例として、特開平6−282079号公報記載の糖アルコールのポリエチレングリコール付加物、テトラブチルホスホニウムブロマイドなどのホスホニウム塩及びジフェニルヨードニウムクロライドなどのヨードニウム塩が好ましい例として挙げられる。更には、特開昭50−51324号公報記載のアニオン界面活性剤又は両性界面活性剤、また特開昭55−95946号公報記載の水溶性カチオン性ポリマー、特開昭56−142528号公報に記載されている水溶性の両性高分子電解質がある。更に、特開昭59−84241号公報のアルキレングリコールが付加された有機ホウ素化合物、特開昭61−215554号公報記載の質量平均分子量300以上のポリエチレングリコール、特開昭63−175858号公報のカチオン性基を有する含フッ素界面活性剤、特開平2−39157号公報の酸又はアルコールに4モル以上のエチレンオキシドを付加して得られる水溶性エチレンオキシド付加物と、水溶性ポリアルキレン化合物などが挙げられる。
本発明に用いられる現像液は使用時よりも水の含有量を少なくした濃縮液として作製し、使用時に水で希釈するようにしておくことが運搬上有利である。この場合の濃縮度は各成分が分離や析出を起こさない程度が適当であり、含有物にもよるが、通常、濃縮液:水=1:0〜1:10程度に濃縮する事ができる。又、容器としてはアルカリ性であることから、炭酸ガスを透過しない、しかも安全上輸送中に破損することのない材料を用いることが好ましく、通常ハードボトル、キュービテナー等の樹脂製容器が好ましく用いられる。
本発明の製版方法においては、露光後通常自動現像機で処理を行う。自動現像機は、一般に現像部と後処理部とからなり、印刷版を搬送する装置と、各処理液槽及びスプレー槽から成り、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで組み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像及び後処理するものである。又、最近は現像液が満たされた現像槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて現像処理する方法が開発されており、この様な現像方法も本発明に好適に適用できる。この様な自動現像液においては、現像処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することが出来る。
この様な組成の現像液で現像処理された印刷版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムやデンプン誘導体等を主成分とするフィニッシャーや保護ガム液で後処理を施される。本発明の印刷版の後処理はこれらの処理を種々組み合わせて用いることができ、例えば、現像→水洗→界面活性剤を含有するリンス液処理や現像→水洗→フィニッシャー液による処理がリンス液やフィニッシャー液の疲労が少なく好ましい。更にリンス液やフィニッシャー液を用いた向流多段処理も好ましい態様である。これらの後処理は、一般に現像部と後処理部とからなる自動現像機を用いて行われる。後処理液は、スプレーノズルから吹き付ける方法、処理液が満たされた処理槽中を搬送する方法が用いられる。又、現像後一定量の少量の水性水を版面に供給して水洗し、その廃液を現像液原液の希釈水として再利用する方法も知られている。この様な自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間に応じてそれぞれの補充液を補充しながら処理することが出来る。また、実質的に未使用の後処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。この様な処理によって得られた平版印刷版は、オフセット印刷機に掛けられ、印刷に用いられる。
本発明の光重合性層を有する感光性平版印刷版とは、少なくとも支持体上に光重合開始剤、重合組成物から成る層が塗布されたもので、光の照射によって重合組成物が架橋、重合反応を起こし、未反応部分を除去することで、重合部分をインキ受容性部分とする平版印刷版である。
本発明の印刷版において、光重合開始剤は、光照射によりラジカルを発生しうる化合物であれば任意の化合物を用いることができる。例えばトリハロアルキル置換された化合物(例えばトリハロアルキル置換された含窒素複素環化合物としてs−トリアジン化合物およびオキサジアゾール誘導体、トリハロアルキルスルホニル化合物)、ヘキサアリールビスイミダゾール、チタノセン化合物、ケトオキシム化合物、チオ化合物、有機過酸化物等が挙げられるが特に有機ホウ素塩が好ましく用いられる。有機ホウ素塩として、特に下記一般式で示される有機ホウ素アニオンを有する化合物を用いることが好ましい。
Figure 2007240594
上記一般式において、R15、R16、R17およびR18は各々同じであっても異なっていても良く、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらの内で、R15、R16、R17およびR18の内の一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
上記の有機ホウ素アニオンは、これと塩を形成するカチオンが同時に存在する。この場合のカチオンとしては、アルカリ金属イオンおよびオニウムイオンが挙げられる。オニウム塩としては、アンモニウム、スルホニウム、∃一ドニウムおよびホスホニウム化合物が挙げられる。アルカリ金属イオンおよびオニウム化合物と有機ホウ素アニオンとの塩を用いる場合には、別に増感色素を添加することで色素が吸収する光の波長範囲での感光性を付与することが行われる。
本発明に係わる好ましい様態の一つとして、有機ホウ素塩を380nm〜1300nmの波長域に増感する増感色素とともに含む感光性組成物であり、この場合の有機ホウ素塩は可視光から赤外光の波長領域に感光性を示さず、増感色素の添加によって初めてこうした波長領域の光に感光性を示すものである。
この場合の有機ホウ素塩としては、上記一般式で表される有機ホウ素アニオンを含む塩であり、塩を形成するカチオンとしてはアルカリ金属イオンおよびオニウム化合物が好ましく使用される。特に好ましい例は、有機ホウ素アニオンとのオニウム塩として、テトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩等のホスホニウム塩が挙げられる。特に好ましい有機ホウ素塩の例を以下に示す。
Figure 2007240594
Figure 2007240594
感光性組成物中に於ける有機ホウ素塩の割合については好ましい範囲が存在し、感光性組成物トータル100質量部において該有機ホウ素塩は0.1質量部から50質量部の範囲で含まれていることが好ましい。
本発明の感光性組成物は、光重合開始剤として上記有機ホウ素塩とともにトリハロアルキル置換化合物を組み合わせて用いるのが好ましい。これらを併用することによって更なる高感度化が実現できる。ここで言うトリハロアルキル置換化合物とは、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体およびオキサジアゾール誘導体が挙げられ、或いは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環或いは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
トリハロアルキル置換した含窒素複素環化合物やトリハロアルキルスルホニル化合物の特に好ましい例を以下に示す。
Figure 2007240594
Figure 2007240594
上記したトリハロアルキル置換化合物を併用する場合、有機ホウ素塩に対する割合としては、有機ホウ素塩1質量部に対してトリハロアルキル置換化合物は0.1質量部から50質量部の範囲で含まれていることが好ましい。
開始剤の分解を増感するものであり、種々のカチオン性色素、アニオン性色素および電荷を有しない中性の色素としてメロシアニン、クマリン、キサンテン、チオキサンテン、アゾ色素等が使用できる。これらの内で特に好ましい例は、カチオン色素としてのシアニン、カルボシアニン、へミシアニン、メチン、ポリメチン、トリアリールメタン、インドリン、アジン、チアジン、キサンテン、オキサジン、アクリジン、ローダミン、およびアザメチン色素から選ばれる色素である。これらのカチオン性色素との組み合わせに於いては特に高感度でかつ保存性に優れるために好ましく使用される。さらには近年380〜410nmの範囲に発振波長を有するバイオレット半導体レーザーを搭載した出力機(プレートセッター)が開発されている。この出力機に対応する高感度である感光系としては増感色素としてピリリウム系化合物やチオピリリウム系化合物を含む系が好ましい。本発明に関わる好ましい増感色素の例を以下に示す。
Figure 2007240594
Figure 2007240594
Figure 2007240594
Figure 2007240594
Figure 2007240594
Figure 2007240594
上記の増感色素の内で、特に本発明の課題の一つである750nm以上の近赤外から赤外光の波長領域の光に感光性を持たせる系に於いては、増感色素としてこうした波長領域に吸収を有することが必要であり、こうした目的で使用される特に好ましい例を以下に示す。
Figure 2007240594
Figure 2007240594
上記のような増感色素と光重合開始剤との量的な比率に於いて好ましい範囲が存在する。増感色素1質量部に対して光重合開始剤は0.01質量部から100質量部の範囲で用いることが好ましく、更に好ましくは光重合開始剤は0.1質量部から50質量部の範囲で使用することが好ましい。
本発明は高分子結着剤として、側鎖に重合性二重結合を有しかつカルボキシル基含有モノマーを共重合成分として有するポリマーを用いる。該ポリマーはアルカリ可溶性ポリマーであることが好ましい。この場合において共重合体組成中に含まれるカルボキシル基含有モノマーの割合として、トータル組成100質量%中に於いて5質量%以上99質量%以下であることが好ましく、これ以下の割合では共重合体がアルカリ水溶液に溶解しない場合がある。より好ましくは、共重合体組成中に含まれるカルボキシル基含有モノマーの割合は、トータル組成100質量%中に於いて10質量%以上80質量%以下であり、特に20質量%以上70質量%以下が好ましい。また共重合体組成中に含まれる重合性二重結合を有するモノマーの割合は、トータル組成100質量%中に於いて1質量%以上95質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上80質量%以下であり、特に20質量%以上75質量%以下が好ましい。
上記のカルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸2−カルボキシエチルエステル、メタクリル酸2−カルボキシエチルエステル、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン等のような例が挙げられる。
カルボキシル基を有するアルカリ可溶性ポリマーの側鎖に重合性二重結合を導入したポリマーを用いた場合、前述した有機ホウ素塩との組み合わせにおいて、高感度なネガ型の感光性組成物を与えることが可能となり、また前述した増感色素との組み合わせにおいて広い波長域での高感度化が実現できるために、各種レーザー光を用いた走査型露光に対応できるようになる。ポリマー側鎖に重合性二重結合を導入する場合のモノマーとしては、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレート、1−プロペニル−アクリレート、1−プロペニル−メタクリレート、β−フェニル−ビニル−メタクリレート、β−フェニル−ビニル−アクリレート、ビニルメタクリルアミド、ビニルアクリルアミド、α−クロロ−ビニル−メタクリレート、α−クロロ−ビニル−アクリレート、β−メトキシ−ビニル−メタクリレート、β−メトキシ−ビニル−アクリレート、ビニル−チオ−アクリレート、ビニル−チオ−メタクリレート等が挙げられる。
本発明に用いられるポリマーとして特に好ましくは、ビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有し、かつカルボキシ基含有モノマーを共重合成分として有するポリマーである。ビニル基が置換したフェニル基は直接もしくは連結基を介して主鎖と結合したものであり、連結基としては特に限定されず、任意の基、原子またはそれらの複合した基が挙げられる。また、前記フェニル基は置換可能な基もしくは原子で置換されていても良く、また、前記ビニル基はハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等で置換されていても良い。上記した側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有する重合体とは、更に詳細には、下記の一般式で表される基を側鎖に有するものである。
Figure 2007240594
式中、Zは連結基を表し、R21、R22、及びR23は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等であり、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていても良い。R24は置換可能な基または原子を表す。nは0または1を表し、mは0〜4の整数を表し、kは1〜4の整数を表す。
上記一般式について更に詳細に説明する。Zの連結基としては、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R25)−、−C(O)−O−、−C(R26)=N−、−C(O)−、スルホニル基、複素環基、及び下記で表される基等の単独もしくは2以上が複合した基が挙げられる。ここでR25及びR26は、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。更に、上記した連結基には、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
Figure 2007240594
上記複素環基としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、更にこれらの複素環には置換基が結合していても良い。上記一般式で表される基の例を以下に示すが、これらの例に限定されるものではない。
Figure 2007240594
Figure 2007240594
Figure 2007240594
Figure 2007240594
上記化一般式で表される基の中には好ましいものが存在する。即ち、R21及びR22が水素原子でR23が水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)であるものが好ましい。更に、Zの連結基としては複素環を含むものが好ましく、kは1または2であるものが好ましい。
上記一般式で示される基を有し、かつカルボキシ基含有モノマーを共重合成分として有するポリマーの例を下記に示す。式中、数字は共重合体トータル組成100質量%中に於ける各繰り返し単位の質量%を表す。
Figure 2007240594
Figure 2007240594
Figure 2007240594
Figure 2007240594
Figure 2007240594
本発明のポリマーは、更に他のモノマーを共重合体成分として含んでもよい。他のモノマーとしては、スチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−カルポキシスチレン、4−アミノスチレン、クロロメチルスチレン、4−メトキシスチレン等のスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アリールエステル或いはアルキルアリールエステル類、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メトキシジエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキシ基を有するメタクリル酸エステル類、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有メタクリル酸エステル類、或いはアクリル酸エステルとしてこれら対応するメタクリル酸エステルと同様の例、或いは、リン酸基を有するモノマーとしてビニルホスホン酸等、或いは、アリルアミン、ジアリルアミン等のアミノ基含有モノマー類、或いは、ビニルスルホン酸およびその塩、アリルスルホン酸およびその塩、メタリルスルホン酸およびその塩、スチレンスルホン酸およびその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩等のスルホン酸基を有するモノマー類、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環を有するモノマー類、或いは4級アンモニウム塩基を有するモノマーとして4−ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライドによる4級化物、N−ビニルイミダゾールのメチルクロライドによる4級化物、4−ビニルベンジルピリジニウムクロライド等、或いはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、またアクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシエチルアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルアミド誘導体、さらにはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、フェニルマレイミド、ヒドロキシフェニルマレイミド、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロビオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、またメチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、その他、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート等各種モノマーが挙げられる。
本発明に係わるポリマーの分子量については好ましい範囲が存在し、質量平均分子量として1000から100万の範囲にあることが好ましく、さらに5000から50万の範囲にあることがさらに好ましい。
本発明の感光性組成物は、更にエチレン性不飽和化合物を含有するのが好ましい。これを組み合わせることによって更に高感度が実現でき、また印刷性能に優れた平版印刷版を得ることができる。
本発明に係わるエチレン性不飽和化合物としては、分子内に2個以上の重合性二重結合を有する重合性化合物が挙げられる。好ましいエチレン性不飽和化合物の例としては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールグリセロールトリアクリレート、グリセロールエポキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能アクリル系モノマーが挙げられる。
或いは、上記の重合性化合物に代えてラジカル重合性を有するオリゴマーも好ましく使用され、アクリロイル基、メタクリロイル基を導入した各種オリゴマーとしてポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等も同様に使用されるが、これらもエチレン性不飽和化合物として同様に好ましく用いることが出来る。
エチレン性不飽和化合物として、更に好ましい態様は、分子内にビニル基が置換したフェニル基を2個以上を有する重合性化合物が挙げられる。該化合物を使用した場合に於いて、発生するラジカルにより生成するスチリルラジカル同士の再結合により効果的に架橋を行うため、高感度のネガ型感光材料を作製する上で極めて好ましい。
分子内にビニル基が置換したフェニル基を2個以上有する重合性化合物は、代表的には下記一般式で表される。
Figure 2007240594
式中、Zは連結基を表し、R31、R32及びR33は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等であり、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていても良い。R34は置換可能な基または原子を表す。mは0〜4の整数を表し、kは2以上の整数を表す。
更に詳細に説明する。Zの連結基としては、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R35)−、−C(O)−O−、−C(R36)=N−、−C(O)−、スルホニル基、複素環基等の単独もしくは2以上が複合した基が挙げられる。ここでR35及びR36は、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。更に、上記した連結基には、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
上記複素環基としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、これらには置換基が結合していても良い。
上記一般式で表される化合物の中でも好ましい化合物が存在する。即ち、R31及びR32は水素原子でR33は水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)で、kは2〜10の化合物が好ましい。以下に上記一般式で表される化合物の具体例を示すが、これらの例に限定されるものではない。
Figure 2007240594
Figure 2007240594
Figure 2007240594
上記のようなエチレン性不飽和化合物が感光性組成物中に占める割合に関しては好ましい範囲が存在し、全感光性組成物100質量部中においてエチレン性不飽和化合物は1質量部から60質量部の範囲で含まれることが好ましく、さらに5質量部から50質量部の範囲で含まれることが特に好ましい。
上記に述べたポリマー錯塩中に光重合開始剤および増感色素、エチレン性不飽和化合物が含まれる感光性組成物に於いて、該ポリマー錯塩をマトリックスとしてこうした加剤が均一に分散されており、恐らくは加剤の拡散を防止するためと推測されるが、本発明の特徴の一つとして感光性組成物の保存安定性が格段に向上することが挙げられる。
本発明の感光性組成物は、空気中の酸素の影響を受けることなく光照射により直ちに硬化し、現像液に不溶性となることから、感光層上にオーバー層を設ける必要が無く、また露光後に何ら加熱処理を行うこと無く、良好に現像および印刷を行うことが出来るという利点も併せ持つ。
感光性組成物を構成する他の要素として重合禁止剤の添加も好ましく行うことが出来る。例えば、キノン系、フェノール系等の化合物が好ましく使用され、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、カテコール、t−ブチルカテコール、2−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等の化合物が好ましく用いられる。これらの重合禁止剤と先に述べたエチレン性不飽和化合物との好ましい割合は、エチレン性不飽和化合物1質量部に対して0.001から0.1質量部の範囲で使用することが好ましい。
感光性組成物を構成する他の要素として着色剤の添加も好ましく行うことが出来る。着色剤としては露光および現像処理後に於いて画像部の視認性を高める目的で使用されるものであり、カーボンブラック、フタロシアニン系色素、トリアリールメタン系色素、アントラキノン系色素、アゾ系色素等の各種の色素および顔料を使用することが出来、バインダー1質量郡に対して0.005質量部から0.5質量部の範囲で好ましく添加することが出来る。
感光性組成物を構成する要素については上述の要素以外にも種々の目的で他の要素を追加して含有することも出来る。例えば感光性組成物のブロッキングを防止する目的もしくは現像後の画像のシャープネス性を向上させる等の目的で無機物微粒子あるいは有機物微粒子を添加することも好ましく行われる。
平版印刷版材料として使用する場合の感光層自体の厚みに関しては、支持体上に0.5ミクロンから10ミクロンの範囲の乾燥厚みで形成することが好ましく、さらに1ミクロンから5ミクロンの範囲であることが耐刷性を大幅に向上させるために極めて好ましい。感光層は上述の3つの要素を混合した溶液を作製し、公知の種々の塗布方式を用いて支持体上に塗布、乾燥される。支持体については、例えばフィルムやポリエチレン被覆紙を使用しても良いが、より好ましい支持体は、研磨され、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム板である。
上記のようにして支持体上に形成された感光層を有する材料を印刷版として使用するためには、これに密着露光あるいはレーザー走査露光を行い、露光された部分が架橋することでアルカリ性現像液に対する溶解性が低下することから、後述するアルカリ性現像液により未露光部を溶出することでパターン形成が行われる。
本発明に係わるレーザー走査露光に使用する特に好ましいレーザー光源は、近赤外領域に発振波長を有するレーザーであり、各種半導体レーザー、YAGレーザーやガラスレーザー等の固体レーザーが最も好ましい。
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、効果はもとより本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例中の部は質量部を示す。
ポリマーとして、P−1(特開2001−290271号公報に記載した方法に従い、クロロメチルスチレンとビスムチオールを等モル反応させて得たモノマーとメタクリル酸をトリエチルアミンで中和してエタノール中で重合を行い、重合終了後クロロメチルスチレンを付加することにより合成した)を使用し、下記の処方による感光性組成液を作製し、ワイアバーを用いて、厚みが0.24mmの砂目立て処理および陽極酸化処理を施したアルミ板上に乾燥膜厚が3ミクロンになるよう塗布し、感光性組成物が塗布された感光性平版印刷版を作製した。
<感光性組成液>
アルカリ可溶性ポリマー(P−1)の10%ジオキサン溶液 100質量部
エチレン性不飽和化合物(C−1) 5質量部
光重合開始剤として
(BC−6) 2質量部
(BS−2) 1質量部
増感色素として(S−34) 0.3質量部
重合禁止剤として、2,6−ジ−t−ブチルクレゾール 0.1質量部
溶媒として
1,3−ジオキソラン 20質量部
シクロヘキサノン 20質量部
上記感光材料をサーマル用プレートセッター(PTR4000(大日本スクリーン製造(株)製))で露光した後、手動での現像処理を行い、溶出性を評価するための試料を作製した。また、耐刷評価用の試料は自動現像機PD−912−M(大日本スクリーン製造(株)製)を用いて30℃で現像処理を行い、続いて下記処方のガム液を塗布した。現像液の処方を表1に示す。
表1において、前記平版印刷版を一般式(I)〜(III)の化合物の中から選ばれる化合物を含有しpH11.5以下の本発明の現像液1〜5及び比較の現像液6〜13で処理した。B−1〜B−6は下記の化合物を表す。
Figure 2007240594
Figure 2007240594
Figure 2007240594
Figure 2007240594
Figure 2007240594
Figure 2007240594
<ガム液>
リン酸1カリウム 5g
アラビアガム 30g
デヒドロ酢酸Na 0.5g
エチレンジアミンテトラアセテート2Na塩 1g
水で 1L
このようにして得られた平版印刷版の非画像部の溶出性及び微細画像の耐刷性を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
<溶出性>
非画像部の溶出性を目視して以下の基準で評価した。
5 28℃6秒間現像処理して非画像部が問題なく溶出しているもの
4 28℃8秒間現像処理して非画像部が問題なく溶出しているもの
3 28℃10秒間現像処理して非画像部が問題なく溶出しているもの
2 28℃12秒間現像処理して非画像部が問題なく溶出しているもの
1 28℃12秒間現像処理して僅かに塗布物の残膜の色が残っているもの
0 28℃12秒間現像処理して殆ど溶出していないもの
<耐刷性>
耐刷性の評価は、印刷機はハイデルベルグTOK(Haidelberg社製オフセッ
ト印刷機の商標)を使用し、インキはBEST ONE墨H(T&KTOKA(株)社製)、湿し水はアストロマークIII(株式会社日研化学研究所社製湿し水)の1%水溶液を使用して印刷を行い、175lpiで2%の網点画像が欠落し印刷ができなくなった枚数で評価した。
5 25万枚以上
4 15万枚〜20万枚未満
3 10万枚〜15万枚未満
2 5万枚〜10万枚未満
1 5万枚以下
Figure 2007240594
表1の結果から、本発明の一般式(I)〜(III)の化合物の中から選ばれる化合物を少なくとも1つ含有するpHが11.5以下の現像液で現像処理することにより、溶出性が良好で、微細網点画像の耐刷性にも優れた平版印刷版が得られることが分かる。

Claims (1)

  1. 光重合性層を有する感光性平版印刷版の製版方法において、下記一般式(I)〜(III)の化合物の中から選ばれる化合物を少なくとも1つ含有し、かつpHが11.5以下の現像液を用いることを特徴とする製版方法。
    Figure 2007240594
    式中、R〜Rは炭素数1〜3までのアルキル基を表し、R〜Rは同一または異なっていても良い。mは1から4までの整数を表す。RとRは5員環または6員環を形成しても良い。
    Figure 2007240594
    式中、R〜Rは炭素数1〜3までのアルキル基を表し、R〜Rは同一または異なっていても良い。XはN原子またはS原子を表す。RとRは5員環または6員環を形成しても良い。
    Figure 2007240594
    式中、R〜R12は炭素数1〜3までのアルキル基を表し、R〜R12は同一または異なっていても良い。R13とR14は水素または炭素数1〜3までのアルキル基を表し、R13とR14は同一または異なっていても良い。R10とR13及びR12とR14はそれぞれ、5員環または6員環を形成しても良い。nは1〜3までの整数を表す。
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