JP2007239591A - 容量可変型圧縮機及び容量制御弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】電力供給量が所定値以上になった場合に、容量制御弁を介してクランク室から吸入圧領域へ液冷媒を速やかに排出することができるとともに、電力供給量が所定値に達しない場合は容量制御弁を閉塞してクランク室と吸入圧領域とを遮断することができる容量可変型圧縮機及び容量制御弁を提供すること。
【解決手段】容量制御弁CVは、弁室66に弁体部64aを備えた第1ロッド64を備え、該第1ロッド64は、付勢ばね49の付勢力により連通路67の開放方向へ付勢されている。また、第2ロッド62は、連結ばね63により第1ロッド64に連結されている。ソレノイド部60の固定鉄心82において、第2ロッド62の周面に対向する位置に第1連通室82aと第2連通室82bが離間して形成されているとともに、第2ロッド62には第1連通室82aと第2連通室82bとを連通させる連通溝62aが形成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、クランク室の圧力を容量制御弁により制御して吐出容量を調節可能とする容量可変型圧縮機及び容量制御弁に関する。
この種の容量可変型圧縮機(以下、単に圧縮機と呼ぶ)は、例えば、斜板を収容するクランク室と吸入圧領域とを連通する抽気通路、及び吐出圧領域と前記クランク室とを連通する給気通路を備え、容量制御弁によってクランク室の圧力を調節することにより斜板の傾斜角度を変更して、吐出容量を調節する構成のものが知られている。クランク室の圧力調節は、容量制御弁によって給気通路の開度を調節することで、クランク室から吸入圧領域への冷媒ガスの導出量、及び吐出圧領域からクランク室への冷媒ガスの導入量が調節されて行われている。
前記容量制御弁としては、例えば、特許文献1に開示されるものが存在する。電磁弁よりなる容量制御弁のバルブハウジング内には、前記給気通路の一部を構成する弁室が形成されている。弁室内には、該弁室での位置に応じて前記給気通路の開度を調節する弁体部が設けられている。また、容量制御弁は、冷媒循環回路に設定された2つの圧力監視点の差圧に応じて変位する感圧部材を備えている。そして、前記感圧部材の変位は、前記差圧の変動を打ち消す側に圧縮機の吐出容量が変更されるように、弁体部の位置決めに反映されるようになっている。さらに、容量制御弁はソレノイド部を備え、該ソレノイド部への電力供給量を調節し、該ソレノイド部が前記感圧部材に付与する力を変更することで、該感圧部材による弁体部の位置決め動作の基準となる設定差圧を変更可能になっている。そして、上記容量制御弁においては、ソレノイド部への通電を行わない状態では、弁体部による給気通路の開度が最大となり、吐出圧領域からクランク室への冷媒ガスの導入量が最大となって斜板の傾斜角度が最小となって圧縮機の吐出容量は最小となる。一方、ソレノイド部への通電が行われる状態では、弁体部による給気通路の開度が最大よりも小さくなり、吐出圧領域からクランク室への冷媒ガスの導入量が最大よりも小さくなって斜板の傾斜角度が最小以上となって圧縮機の吐出容量は増大傾向となるようになっている。
特開2002−81374号公報
ところで、圧縮機を長時間にわたって停止しておくと、冷媒ガスが液状化した液冷媒がクランク室に停溜する。クランク室に液冷媒が停溜した状態で圧縮機の駆動を開始すると、クランク室内で液冷媒が掻き回されることで気化してしまい、クランク室の圧力が上昇してしまう。そして、この圧縮機の駆動開始直後に、例えば、クールダウンの要求に応じて圧縮機の吐出容量を増大させる指令がなされ、ソレノイド部への電力供給量が増大して給気通路の開度が減少しても、クランク室の圧力上昇によって斜板の傾斜角度が増大しにくくなり、吐出容量が増大するまでに時間がかかってしまう。よって、クランク室に停溜した液冷媒は、クランク室と吸入圧領域とを連通する抽気通路を通って該吸入圧領域へと排出されるのが好ましい。そして、液冷媒を吸入圧領域へ速やかに排出するためには、抽気通路の通路断面積が大きく確保されていることが好ましい。
しかし、クランク室へ供給される冷媒ガスは、圧縮された高圧の冷媒ガスであるので、クランク室から吸入圧領域へ排出される冷媒ガスの排出量が多くなるほど、圧縮機における運転効率が悪くなる。このため、圧縮機における運転効率の観点からすると、クランク室から吸入圧領域へ排出される冷媒ガス量を抑えるために、抽気通路の通路断面積はできるだけ小さい方がよく、例えば、抽気通路に固定絞りが設けてある場合が多い。したがって、圧縮機の駆動開始時のクールダウンの要求により、容量制御弁が給気通路を全閉としても、固定絞りを設けてあるためクランク室内の液冷媒は吸入圧領域へ速やかに排出されず、結果として、クランク室内の圧力が過大になってしまう。
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものである。その目的は、電力供給量が所定値以上になった場合に、容量制御弁を介してクランク室から吸入圧領域へ液冷媒を速やかに排出することができるとともに、電力供給量が所定値に達しない場合は容量制御弁を閉塞してクランク室と吸入圧領域とを遮断することができる容量可変型圧縮機及び容量制御弁を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、空調装置の冷媒循環回路を構成し、クランク室と前記冷媒循環回路の吐出圧領域とを連通する給気通路、及び前記クランク室と前記冷媒循環回路の吸入圧領域とを連通する抽気通路が設けられ、前記クランク室の圧力を容量制御弁により制御して吐出容量を調節可能とする容量可変型圧縮機であって、前記容量制御弁は、前記給気通路の一部を構成する弁室と、前記弁室に収容され、該弁室の弁座部に対する離間又は着座により前記弁室の弁孔を開閉することで前記給気通路の開度を調節する弁体部を備えた第1ロッドと、前記第1ロッドに連結され、前記冷媒循環回路内の圧力に応じて該圧力の変動を打ち消す側へ吐出容量が変更されるように内部自律的に前記第1ロッドを位置決めする感圧機構と、前記弁体部が弁座部から離間する方向へ前記第1ロッドを付勢する付勢ばねと、外部からコイルへの電力供給量を変更することにより電磁付勢力を変更して前記感圧機構の動作の基準となる設定圧を変更する設定圧変更手段と、前記電磁付勢力を前記第1ロッドに作用させる第2ロッドと、前記第1ロッドと第2ロッドとを連結する連結ばねと、前記設定圧変更手段にて前記第2ロッドの周面に対向する位置に設けられ、前記弁室に連通する第1連通室、及び前記第2ロッドの軸方向に沿って前記第1連通室と離間した位置に設けられた第2連通室と、前記第2連通室と前記冷媒循環回路の吸入圧領域とを接続する接続通路と、前記第2ロッドの周面に設けられ、該第2ロッドの移動により前記第1連通室と第2連通室とを連通させる連通部とを備えており、前記コイルへの電力供給量が所定値以上では、前記第1ロッドの弁体部が前記弁座部に着座し、かつ前記連結ばねを収縮させる方向への電磁付勢力を前記第2ロッドに作用させるとともに、前記連通部により前記第1連通室と第2連通室とを連通させて前記弁室及び接続通路を介してクランク室と吸入圧領域とを連通させるようにしたことを要旨とする。
また、請求項5に記載の発明は、空調装置の冷媒循環回路を構成し、クランク室の圧力を制御して吐出容量を調節可能な容量可変型圧縮機に用いられる容量制御弁であって、前記クランク室と前記冷媒循環回路の吐出圧領域とを接続する給気通路の一部を構成する弁室と、前記弁室に収容され、該弁室の弁座部に対する離間又は着座により前記弁室の弁孔を開閉することで前記給気通路の開度を調節する弁体部を備えた第1ロッドと、前記第1ロッドに連結され、前記冷媒循環回路内の圧力に応じて該圧力の変動を打ち消す側へ吐出容量が変更されるように内部自律的に前記第1ロッドを位置決めする感圧機構と、前記弁体部が弁座部から離間する方向へ前記第1ロッドを付勢する付勢ばねと、外部からコイルへの電力供給量を変更することにより電磁付勢力を変更して前記感圧機構の動作の基準となる設定圧を変更する設定圧変更手段と、前記電磁付勢力を前記第1ロッドに作用させる第2ロッドと、前記第1ロッドと第2ロッドとを連結する連結ばねと、前記設定圧変更手段にて前記第2ロッドの周面に対向する位置に設けられ、前記弁室に連通する第1連通室、及び前記第2ロッドの軸方向に沿って前記第1連通室と離間した位置に設けられた第2連通室と、前記第2連通室と前記冷媒循環回路の吸入圧領域とを接続する接続通路と、前記第2ロッドの周面に設けられ、該第2ロッドの移動により前記第1連通室と第2連通室とを連通させる連通部とを備え、前記コイルへの電力供給量が所定値以上では、前記第1ロッドの弁体部が前記弁座部に着座し、かつ前記連結ばねを収縮させる方向への電磁付勢力を第2ロッドに作用させるとともに、前記連通部により前記第1連通室と第2連通室とを連通させて前記弁室及び接続通路を介してクランク室と吸入圧領域とを連通させるようにしたことを要旨とする。
請求項1又は請求項5に記載の発明によれば、コイルへ電力が供給され、該電力供給量が所定値に達しない場合においては、第2ロッド及び連結ばねを介して第1ロッドには弁体部が弁座部に着座する方向への電磁付勢力が作用する。このため、弁体部によって弁孔が閉塞され、給気通路の開度が小さくなる。この電力供給量が所定値に達しない場合においては、第1連通室と第2連通室とは連通部によって連通されておらず、容量制御弁を介したクランク室と吸入圧領域との連通が遮断されている。このため、容量制御弁を介して冷媒ガスがクランク室から吸入圧領域へ排出されることが防止され、容量可変型圧縮機における運転効率の低下が抑えられている。そして、コイルへの電力供給量が所定値以上になると、弁体部が弁座部に着座し弁孔が弁体部によって全閉され、給気通路が全閉される。さらに、連結ばねの収縮に伴い、第1連通室と第2連通室とは連通部によって連通され、該第1連通室、第2連通室、及び連通部を介して、弁室と接続通路とが連通される。このため、容量可変型圧縮機においては、コイルへの電力供給量が所定値以上となった場合だけ、クランク室と吸入圧領域とが連通され、クランク室に液冷媒が停溜されていると、該液冷媒は吸入圧領域へ排出される。
また、前記付勢ばねの付勢力は、前記連結ばねの付勢力を下回るように設定されていてもよい。この構成によれば、コイルへの電力供給量が所定値に達しない場合において、第2ロッドに作用した電磁付勢力によって付勢ばねは収縮して弁体部が弁座部に着座する方向への移動を可能とする一方で、連結ばねは収縮することなく第2ロッドの電磁付勢力を弁体部に伝達することが可能となる。そして、弁体部が弁座部に着座した後は、連結ばねが収縮することで、弁体部が弁座部に着座した状態であっても電磁付勢力により第2ロッドを移動させ、第1連通室と第2連通室とを連通部により連通させることが可能となる。すなわち、付勢ばねの付勢力を連結ばねの付勢力より下回らせることによって、給気通路を全閉とした後に、容量制御弁を介してクランク室と吸入圧領域とを連通させることが可能となる。
また、前記抽気通路は、前記容量制御弁を介することなくクランク室と吸入圧領域とを連通するように設けられ、該抽気通路には固定絞りが設けられていてもよい。この構成によれば、コイルへの電力供給量が所定値に達しない場合においては、容量制御弁を介したクランク室と吸入圧領域との連通が遮断される。抽気通路は、容量制御弁を介することなくクランク室と吸入圧領域とを連通し、該抽気通路には固定絞りが設けられている。このため、コイルへの電力供給量が所定値に達しない場合は、抽気通路を介してクランク室と吸入圧領域とが連通され、冷媒ガスの吐出圧領域、クランク室、及び吸入圧領域の内部循環を可能とすることができる。また、抽気通路には固定絞りが設けられているため、クランク室から吸入圧領域へ冷媒ガスを排出するための通路の通路断面積は絞られ、固定絞りが設けられていない場合のように、高圧の冷媒ガスがクランク室から吸入圧領域へ多量に排出されることが防止される。
また、前記所定値は、前記コイルへの電力供給量の最大値であってもよい。この構成によれば、容量可変型圧縮機の駆動開始後において、クールダウンの要求があると、コイルへの電力供給量は最大となる。そして、この電力供給量が最大値のときに、クランク室と吸入圧領域とが容量制御弁を介して連通され、クランク室に停溜された液冷媒が吸入圧領域へ排出される。したがって、容量可変型圧縮機の駆動開始後にクールダウンの要求があったとき、液冷媒の気化によるクランク室の圧力が過大となることを防止することができ、かつ給気通路は全閉されているため、駆動開始後は吐出容量を速やかに増大させ、クールダウンの要求に速やかに対応することができる。
本発明によれば、電力供給量が所定値以上になった場合に、容量制御弁を介してクランク室から吸入圧領域へ液冷媒を速やかに排出することができるとともに、電力供給量が所定値に達しない場合は容量制御弁を閉塞してクランク室と吸入圧領域とを遮断することができる。
以下、本発明を車両用の空調装置における冷媒循環回路に用いられる容量可変型斜板式圧縮機(以下、単に圧縮機とする)及び該圧縮機が備える容量制御弁に具体化した一実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。なお、以下の説明において圧縮機の「前」「後」は、図1に示す矢印Y1の方向を前後方向とし、「上」「下」は、図1に示す矢印Y2の方向を上下方向とする。
図1に示すように前記圧縮機10は、シリンダブロック11と、該シリンダブロック11の前端に接合固定されたフロントハウジング12と、シリンダブロック11の後端に弁・ポート形成体13を介して接合固定されたリヤハウジング14とから構成されている。そして、前記シリンダブロック11、フロントハウジング12及びリヤハウジング14が、圧縮機10のハウジングを構成している。前記ハウジング内においてシリンダブロック11とフロントハウジング12とで囲まれた領域には、クランク室15が区画形成されている。また、前記ハウジングには駆動軸16が回転可能に支持されているとともに、前記クランク室15内には前記駆動軸16が回転可能に配置されている。クランク室15において前記駆動軸16上には、ラグプレート21が一体回転可能に固定されている。
前記駆動軸16の圧縮機10外の端部には、動力伝達機構PTを介して、車両の走行駆動源たるエンジン(内燃機関)Eが作動連結されている。動力伝達機構PTは、外部からの電気制御によって動力の伝達/遮断を選択可能なクラッチ機構(例えば電磁クラッチ)であってもよく、又は、そのようなクラッチ機構を持たない常時伝達型のクラッチレス機構(例えばベルト/プーリの組合せ)であってもよい。本実施形態では、クラッチレス機構からなる動力伝達機構PTが採用されている。
前記クランク室15内には斜板22が収容されている。斜板22は、駆動軸16にスライド移動可能でかつ傾動可能に支持されている。ヒンジ機構23は、ラグプレート21と斜板22との間に介在されている。したがって、斜板22は、ヒンジ機構23を介したラグプレート21との間でのヒンジ連結、及び駆動軸16の支持により、ラグプレート21及び駆動軸16と同期回転可能であるとともに、駆動軸16の軸方向へのスライド移動を伴いながら駆動軸16に対して傾動可能となっている。
前記シリンダブロック11には、複数(図面には一つのみ示す)のシリンダボア11aが、駆動軸16を取り囲むようにして貫通形成されている。片頭型のピストン20は、各シリンダボア11a内に往復動可能に収容されている。シリンダボア11aの前後開口は、弁・ポート形成体13及びピストン20によって閉塞されているとともに、シリンダボア11a内にはピストン20の往復動に応じて容積変化する圧縮室28が区画されている。各ピストン20は、シュー29を介して斜板22の外周部に係留されている。したがって、駆動軸16の回転にともなう斜板22の回転運動が、シュー29を介してピストン20の往復直線運動に変換される。
前記弁・ポート形成体13とリヤハウジング14との間には、中心域に位置する吸入室31と、該吸入室31を取り囲む吐出室32とが区画形成されている。弁・ポート形成体13には各圧縮室28に対応して、吸入ポート33及び該吸入ポート33を開閉する吸入弁34、並びに、吐出ポート35及び該吐出ポート35を開閉する吐出弁36がそれぞれ形成されている。吸入室31の冷媒ガスは、各ピストン20の上死点位置から下死点位置側への移動により、吸入ポート33及び吸入弁34を介して圧縮室28へと吸入される。圧縮室28に吸入された冷媒ガスは、ピストン20の下死点位置から上死点位置側への移動により所定の圧力にまで圧縮された後、吐出ポート35及び吐出弁36を介して吐出室32へと吐出される。
車両用空調装置の冷媒循環回路(冷凍サイクル)は、上述した圧縮機10と外部冷媒回路40とを備えている。外部冷媒回路40は例えば、ガスクーラ41、膨張弁42及び蒸発器43を備えている。外部冷媒回路40の下流域には、蒸発器43の出口と圧縮機10の吸入室31とをつなぐ冷媒の流通管45が設けられている。外部冷媒回路40の上流域には、圧縮機10の吐出室32とガスクーラ41の入口とをつなぐ冷媒の流通管46が設けられている。前記圧縮機10は、外部冷媒回路40の下流域から吸入室31へと導入された冷媒ガスを吸入して圧縮し、この圧縮した冷媒ガスを吐出室32へと吐出する。圧縮機10において吐出室32と流通管46とは、リヤハウジング14内に設けられた吐出通路27を介して接続されている。吐出通路27の途中には絞り27aが配設されている。
前記冷媒循環回路において蒸発器43の出口から圧縮機10の吸入室31までの領域は、該冷媒循環回路の吸入圧(Ps)領域として把握することができる。冷媒循環回路において圧縮機10の吐出室32からガスクーラ41の入口までの領域は、該冷媒循環回路の吐出圧領域として把握することができる。この吐出圧領域において、特に、吐出通路27の絞り27aよりも上流側(吐出室32側)の領域は高圧側吐出圧領域P1として、また該絞り27aよりも下流側(ガスクーラ41側)の領域は低圧側吐出圧領域P2として、それぞれ把握することができる。
前記斜板22の傾斜角度(駆動軸16の軸線に対して直交する平面との間でなす角度)は、クランク室15の圧力(クランク圧Pc)の変更に応じて変更される。図2に示すように、クランク圧Pcの制御は、圧縮機10に設けられた、排出通路37、抽気通路38、給気通路39及び容量制御弁CVによって行われる。前記排出通路37は容量制御弁CVを介してクランク室15と冷媒循環回路の吸入圧領域(詳しくは吸入室31)とを連通し、抽気通路38は、容量制御弁CVを介することなく直接クランク室15と吸入圧領域(詳しくは吸入室31)とを連通している。また、抽気通路38は固定絞り38aを備えている。給気通路39は、冷媒循環回路の低圧側吐出圧領域P2(詳しくは吐出通路27において絞り27aよりも下流側)と、クランク室15とを連通している。給気通路39の途中には、容量制御弁CVが配設されている。容量制御弁CVは、給気通路39の開度を調節可能となっている。
そして、前記容量制御弁CVによって給気通路39を介したクランク室15への高圧な冷媒ガス(吐出ガス)の導入量が調節され、さらに、抽気通路38を介したクランク室15からのガス導出量とのバランスが制御され、クランク圧Pcが決定される。このクランク圧Pcの変更に応じて、ピストン20を介してのクランク圧Pcと圧縮室28の内圧との差が変更され、斜板22の傾斜角度が変更される結果、ピストン20のストローク、すなわち圧縮機10の吐出容量が調節される。例えば、クランク圧Pcが低下すると斜板22の傾斜角度が増大し、圧縮機10の吐出容量が増大される。逆に、クランク圧Pcが上昇すると斜板22の傾斜角度が減少し、圧縮機10の吐出容量が減少される。
次に、前記容量制御弁CVについて説明する。
図3に示すように前記容量制御弁CVは、該図中の上半部を占める弁機能部59と、下半部を占めるソレノイド部60とを備えている。弁機能部59は、前記給気通路39の開度を調節可能であるとともに、前記排出通路37を開閉可能である。容量制御弁CV内には棒状をなす作動ロッド61が配置され、ソレノイド部60は、外部からの通電制御に基づき作動ロッド61を付勢制御するための一種の電磁アクチュエータである。前記作動ロッド61は、前記ソレノイド部60内に配置された第2ロッド62と、前記弁機能部59内に配置されるとともに前記第2ロッド62にコイルばねよりなる連結ばね63によって連結された第1ロッド64とから構成されている。すなわち、前記作動ロッド61は、第2ロッド62と第1ロッド64とに分割され、前記連結ばね63は、その一端が第2ロッド62の一端(上端)に設けられた第1取付部材48aに固定され、他端が第1ロッド64の一端(下端)に設けられた第2取付部材48bに固定されている。そして、連結ばね63によって、第2ロッド62と第1ロッド64とが連結されている。なお、前記第1ロッド64には弁体部64aが一体に形成されている。
前記容量制御弁CVのバルブハウジング65は、上半部のバルブボディ65aと、下半部のアクチュエータハウジング65bとからなっている。バルブボディ65a内には、図面上側から順に、感圧室68、連通路67、及び弁室66が連接配置されている。前記感圧室68内には、感圧部材たるベローズ70が収容配置されている。ベローズ70の上端部(固定端部)はバルブボディ65aに固定されているとともに、ベローズ70の下端部(可動端部)には、前記作動ロッド61における前記第1ロッド64の先端が当接可能となっている。そして、感圧室68内は、有底円筒状をなすベローズ70によって、該ベローズ70の内部空間である第1圧力室74と、外部空間である第2圧力室75とに区画されている。第2圧力室75内には、コイルばねよりなるベローズ付勢ばね79が配置されているとともに、該ベローズ付勢ばね79はベローズ70を収縮方向に向けて付勢している。
前記第1圧力室74は、第1導圧通路77を介して冷媒循環回路の前記高圧側吐出圧領域P1(詳しくは吐出室32)に接続されている。したがって、第1圧力室74内には、冷媒循環回路の高圧側吐出圧領域P1の圧力PdHが導入されている。第2圧力室75は、第2導圧通路78を介して冷媒循環回路の低圧側吐出圧領域P2(詳しくは吐出通路27において絞り27aよりも下流側)に接続されている。したがって、第2圧力室75内には、冷媒循環回路の低圧側吐出圧領域P2の圧力PdLが導入されている。本実施形態においては、感圧室68(第1及び第2圧力室74,75)、ベローズ70、ベローズ付勢ばね79、第1及び第2導圧通路77,78等によって、感圧機構が構成されている。
そして、前記ベローズ70は、第1圧力室74の内圧と第2圧力室75の内圧との差、つまり吐出通路27における絞り27aの前後の差圧(ΔPd=PdH−PdL)に応じて伸縮することで、この差圧ΔPdの変動を第1ロッド64(弁体部64a)の位置決めに反映させる。絞り27aの前後の差圧ΔPdには、冷媒循環回路の冷媒流量が反映されている。例えば、冷媒循環回路の冷媒流量が多くなると、絞り27aの前後の差圧ΔPdが大きくなる。したがって、ベローズ70が、ベローズ付勢ばね79に抗して伸長する。逆に、冷媒循環回路の冷媒流量が少なくなると、絞り27aの前後の差圧ΔPdが小さくなる。したがって、ベローズ70が、ベローズ付勢ばね79の付勢力によって収縮するようになっている。
容量制御弁CVにおいて、前記バルブボディ65aの周壁には、弁室66に連通する第1ポート71が設けられ、該第1ポート71とクランク室15とは、クランク室通路58を介して接続されている。また、前記感圧室68、連通路67、及び弁室66内には、前記第1ロッド64がバルブハウジング65の軸方向(図面上下方向)へと移動可能に配置されている。すなわち、前記連通路67内には、前記第1ロッド64にて弁体部64aよりも小径をなす先端側が挿入され、該第1ロッド64の先端は感圧室68内にて前記ベローズ70の下端部に当接している。また、バルブボディ65aにおいて、弁室66と連通路67との境界に位置する段差は弁座部53をなし、弁座部53に対する弁体部64aの離間又は着座によって連通路67は開閉されるようになっている。すなわち、連通路67は、弁体部64aによって開閉される弁孔を構成している。また、弁室66内にて、前記弁座部53の周囲となる位置と、前記第2取付部材48bとの間にはコイルばねよりなる付勢ばね49が介在されているとともに、付勢ばね49は弁体部64aが弁座部53から離間する方向、すなわち、連通路67を開放する方向に向けて第1ロッド64を付勢する。なお、付勢ばね49の付勢力(ばね力)は、第2ロッド62と第1ロッド64を連結する連結ばね63の付勢力(ばね力)を下回っている。
そして、作動ロッド61(第1ロッド64)が、図3の位置にあり、弁体部64aが連通路67と弁室66との連通を許容する位置から、図4の位置にあり、弁体部64aが弁座部53に着座する位置へ上動すると、連通路67と弁室66との連通が遮断される、すなわち、弁孔が弁体部64aによって閉塞されるようになっている。そして、図3に示すように、前記第1ロッド64(弁体部64a)が連通路67と弁室66との連通を許容する状態では、冷媒循環回路の低圧側吐出圧領域P2の圧力PdLが、第2導圧通路78、感圧室68(第2圧力室75)、連通路67、弁室66、第1ポート71及びクランク室通路58を同順に経由してクランク室15へと導入される。すなわち、この状態では、第2導圧通路78、感圧室68(第2圧力室75)、連通路67、弁室66、第1ポート71及びクランク室通路58が、給気通路39をなしている。
容量制御弁CVにおいて、前記ソレノイド部60は、アクチュエータハウジング65b内の中心部に有底円筒状の収容筒81を備えている。収容筒81には、円柱状の固定鉄心(コア)82が嵌入固定されているとともに、固定鉄心82の嵌入により、収容筒81内の最下部にはソレノイド室83が区画されている。前記ソレノイド室83内には、可動鉄心84が移動可能に収容されている。固定鉄心82の中心部には、軸方向に延びるガイド孔85が貫通形成されているとともに、ガイド孔85内には、前記作動ロッド61の第2ロッド62が軸方向へ移動可能に収容されている。第2ロッド62は、ソレノイド室83内において可動鉄心84に嵌合固定されているため、可動鉄心84と第2ロッド62とは常時一体となって上下動するようになっている。ここで、前記付勢ばね49の付勢力(ばね力)は、連結ばね63の付勢力(ばね力)を下回っているため、第2ロッド62の上動により連結ばね63及び付勢ばね49が上方へ押圧された際には、付勢ばね49が連結ばね63より先に収縮されるようになっている。そして、付勢ばね49が収縮し、弁体部64aが弁座部53に着座した後に、連結ばね63が収縮するようになっている。
前記固定鉄心82において、前記第2ロッド62の周面と対向することとなるガイド孔85の周面には、それぞれガイド孔85の全周に亘って第1連通室82aと第2連通室82bが凹設されている。前記第1連通室82aは、ガイド孔85の周面の上端部に形成され、弁室66に向かって開放され該弁室66と連通している。また、前記第2連通室82bは、ガイド孔85の周面にて、前記第1連通室82aよりも第2ロッド62の軸方向下側(可動鉄心84側)に凹設されている。そして、第1連通室82aと第2連通室82bの間には、ガイド孔85の周面が介在され、互いに離間している。また、前記第2ロッド62の周面には、該第2ロッド62の軸方向に細孔状に延びる連通溝62aが凹設されている。この連通溝62aは、図3に示す位置から図5に示す位置までの第2ロッド62の上動に伴い、第1連通室82aと第2連通室82bとを連通させるようになっている。また、連通溝62aは、図5に示す位置から図3に示す位置までの第2ロッド62の下動に伴い、第1連通室82aと第2連通室82bとを非連通とさせるようになっている。そして、本実施形態では、上記連通溝62aは、第2ロッド62の移動により前記第1連通室82aと第2連通室82bとを連通させる連通部を構成している。
また、バルブボディ65aの周壁及び固定鉄心82には、前記第2連通室82bに連通する接続通路としての第2ポート72が設けられている。この第2ポート72と吸入室31とは、吸入室通路69を介して接続されている。そして、図5に示すように、連通溝62aが第1連通室82aと第2連通室82bとの連通を許容する状態では、圧縮機10のクランク圧Pcが、クランク室通路58、第1ポート71、弁室66、第1連通室82a、連通溝62a、第2連通室82b、第2ポート72及び吸入室通路69を同順に経由して吸入室31へと導出される。この状態では、クランク室通路58、第1ポート71、弁室66、第1連通室82a、連通溝62a、第2連通室82b、第2ポート72及び吸入室通路69が、排出通路37をなしている。なお、連通溝62aが第1連通室82aと第2連通室82bとの連通を許容しない状態では、排出通路37は遮断され、クランク室15と吸入室31とは遮断されている。なお、クランク室通路58及び第1ポート71並びに弁室66は、排出通路37と給気通路39との間で共用されている。
前記アクチュエータハウジング65b内において固定鉄心82及び可動鉄心84の外周側には、これら鉄心82,84を跨ぐ範囲にコイル87が巻回配置されている。このコイル87には、冷房負荷等に応じた制御装置91の指令に基づき、駆動回路92から電力が供給される。したがって、コイル87への電力供給量に応じた大きさの電磁付勢力(電磁吸引力)が、固定鉄心82と可動鉄心84との間に発生する。この電磁付勢力は、可動鉄心84を介して作動ロッド61(弁体部64a)へと伝達される。なお、コイル87への通電制御は、該コイル87への印加電圧を調整することでなされ、本実施形態においてコイル87への印加電圧の調整はPWM(パルス幅変調)制御が採用されている。
前記容量制御弁CVにおいては、ソレノイド部60が第1ロッド64(弁体部64a)に付与する電磁付勢力を、外部からの電力供給量に応じて変更することで、ベローズ70による弁体部64aの位置決め動作の基準となる、冷媒循環回路における絞り27aの前後の差圧ΔPdの制御目標(設定圧たる設定差圧)を変更可能である。そして、ベローズ70は、コイル87への電力供給量によって決定された設定差圧を維持するように、絞り27aの前後における差圧ΔPdの変動に応じて、内部自律的に第1ロッド64(弁体部64a)を位置決めする。
また、前記容量制御弁CVの設定差圧は、コイル87への電力供給量を調節することで外部から変更可能となっている。すなわち、容量制御弁CVにおけるソレノイド部60は、コイル87への電力供給量を変更することにより、電磁付勢力を変更して前記感圧機構の動作の基準となる設定圧(設定差圧)を変更する設定圧変更手段を構成している。そして、例えば、前記制御装置91から駆動回路92に指令されるデューティ比が増大すると(電力供給量が増大すると)、ソレノイド部60が第1ロッド64(弁体部64a)に付与する電磁付勢力が大きくなり、容量制御弁CVの設定差圧が大きくなる。設定差圧が増大変更されると、給気通路39の開度が減少傾向となる。したがって、圧縮機10の吐出容量が増大傾向となって、絞り27aの前後の差圧ΔPdは増大傾向となる。さらに、制御装置91から駆動回路92に指令されるデューティ比が最大(100%)となると、ソレノイド部60が第1ロッド64(弁体部64a)に付与する電磁付勢力が最大となる。なお、本実施形態において、クールダウンの要求が車室の乗員からなされると、制御装置91から駆動回路92に指令されるデューティ比は最大(100%)となっている。
逆に、前記制御装置91から駆動回路92に指令されるデューティ比が減少すると(電力供給量が減少すると)、ソレノイド部60が第1ロッド64に付与する電磁付勢力が小さくなり、容量制御弁CVの設定差圧が小さくなる。設定差圧が減少変更されると、給気通路39の開度が増大傾向となる。したがって、圧縮機10の吐出容量が減少傾向となって、絞り27aの前後の差圧ΔPdは減少傾向となる。さらに、制御装置91から駆動回路92に指令されるデューティ比が最小(0%(通電停止))となると、ソレノイド部60が第1ロッド64に付与する電磁付勢力が最小となる(消失する)。
なお、前記付勢ばね49の付勢力(ばね力)は、デューティ比が最小を上回るときの電磁付勢力を下回る設定となっているとともに、連結ばね63の付勢力(ばね力)は、デューティ比が最大のときの電磁付勢力を下回る設定となっている。このため、デューティ比が最小を上回る電磁付勢力が第1ロッド64に付与されると、付勢ばね49は収縮する一方で連結ばね63は収縮せず、第1ロッド64(弁体部64a)の位置決めは電磁付勢力が支配的となる。すなわち、連結ばね63は、第2ロッド62に作用する電磁付勢力(推力)を第1ロッド64に伝達する機能を果たしている。さらに、デューティ比が最大を僅かに下回る電磁付勢力が第1ロッド64に付与されると、弁体部64aによって給気通路39が全閉されて圧縮機10の吐出容量は最大となる。さらに、デューティ比が最大となる電磁付勢力が第1ロッド64に付与されると、連結ばね63も収縮して、第2ロッド62(連通溝62a)の位置決めにはこの電磁付勢力が支配的となる。そして、デューティ比が最大となったとき、前記連通溝62aによって第1連通室82aと第2連通室82bが連通されるようになっている。すなわち、コイル87への電力供給量が所定値(デューティ比最大)に達したとき、連通溝62aによって第1連通室82aと第2連通室82bが連通されるようになっている。よって、制御装置91から駆動回路92に指令されるデューティ比が最大(100%)を下回る値となり、ソレノイド部60が第1ロッド64に付与する電磁付勢力が最大より小さくなったとき、第1連通室82aと第2連通室82bとは非連通となっている。すなわち、コイル87への電力供給量が所定値に達しない場合は、第1連通室82aと第2連通室82bとは非連通となっている。
さて、上記構成の圧縮機10においては、エンジンEの停止から長時間が経過すると、クランク室15内に多量の液冷媒が停溜された状態となる。この状態からエンジンEが始動し、該エンジンEの始動と同時に圧縮機10の駆動(駆動軸16の回転駆動)が開始されると(上述したように動力伝達機構PTはクラッチレス機構である)、液冷媒は斜板22によって掻き回されること等で気化して、クランク圧Pcが過大に上昇しようとする。なお、このとき、容量制御弁CVは、図3に示すように、弁体部64aが弁座部53から離間した位置にあるとする。
ここで、クールダウンの要求が車室の乗員からなされると、制御装置91から駆動回路92に指令されるデューティ比、すなわち、コイル87への電力供給量は最大(100%)となり、該電力供給量が所定値に達する。そして、駆動回路92に最大デューティ比が指令されることで、電磁付勢力は付勢ばね49の付勢力及び連結ばね63の付勢力を上回り、図4に示すように、容量制御弁CVの作動ロッド61にて、第1ロッド64は、弁体部64aが弁座部53に着座する位置へ移動して、給気通路39を全閉して給気通路39を全閉する。よって、低圧側吐出圧領域P2からクランク室15への高圧冷媒ガスの供給が停止される。
さらに、弁体部64aが弁座部53に着座した後であっても、連結ばね63の収縮に伴い、前記電磁付勢力によって第2ロッド62が上動する。すると、図5に示すように、連通溝62aによって第1連通室82aと第2連通室82bとが連通され、排出通路37が開放される。よって、前記クランク室15の液冷媒は、開放状態の排出通路37を介して速やかに吸入室31へと導出されることとなる。このため、クランク室15に停溜された液冷媒が掻き回されることが防止され、液冷媒の気化によりクランク圧Pcが上昇することが防止される。
この場合、クランク室15に溜まった液冷媒は排出通路37から吸入圧領域(吸入室31)へと速やかに排出される。また、給気通路39は全閉状態にあるため、クランク室15への高圧冷媒ガスの供給が停止されるとともに、クランク圧Pcは、最大デューティ比に応じた低い状態に維持され、圧縮機10は斜板22の傾斜角度を速やかに増大させて吐出容量を最大とする。その結果、車両用の空調装置は、エンジンEの始動後、速やかに所望のクールダウン状態を得ることができる。
前記圧縮機10の最大吐出容量運転によって車室内が或る程度にまで冷えてくれば、制御装置91は駆動回路92へ指令するデューティ比を最大から減少変更する。すると、図3に示すように、作動ロッド61にて、第2ロッド62は下動して、連通溝62aによる第1連通室82aと第2連通室82bとの連通が解除され、排出通路37が閉塞される。すなわち、デューティ比が最大より下回るとき(電力供給量が所定値に達しないとき)は、容量制御弁CVを閉塞してクランク室15と吸入圧領域とが遮断されている。
そして、容量制御弁CVにて、第2ロッド62が排出通路37を閉塞して以降、エンジンEが停止されるまでは、第1ロッド64(弁体部64a)の位置決めのみ、すなわち入れ側制御のみによって、クランク圧Pcの調節が行われる。つまり、容量制御弁CVの抜き側制御機能は、エンジンEの始動時において圧縮機10の吐出容量を最大とする場合にのみ働く。また、排出通路37が閉塞された状態では、抽気通路38から吸入圧領域(吸入室31)へは冷媒ガスが導出され、吐出圧領域からクランク室15への冷媒ガスの導入とからクランク圧Pcが調節され、吐出容量が調節される。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)作動ロッド61を第2ロッド62と第1ロッド64に分割し、第2ロッド62と第1ロッド64とを連結ばね63によって連結した。さらに、第2ロッド62の周面に連通溝62aを形成し、連通溝62aにより第1連通室82aと第2連通室82bとを連通させることで、容量制御弁CVを介してクランク室15と吸入圧領域とを連通可能にした。制御装置91から駆動回路92に指令されるデューティ比が最大(100%)を下回る値のときは、連結ばね63は収縮せず、第1ロッド64の弁体部64aが弁座部53に着座するまでは給気通路39を開状態とする一方で、連通溝62aによる第1連通室82aと第2連通室82bの連通がなされず排出通路37は閉塞されている。また、弁体部64aが弁座部53に着座し、給気通路39を全閉した後も、連通溝62aによる第1連通室82aと第2連通室82bの連通がなされず排出通路37は閉塞されている。そして、制御装置91から駆動回路92に指令されるデューティ比が最大(100%)となると、連結ばね63が収縮して、給気通路39が全閉された状態で、連通溝62aによる第1連通室82aと第2連通室82bの連通がなされ、排出通路37が開放される。したがって、制御装置91から駆動回路92に指令されるデューティ比が最大(100%)となるとき(電力供給量が所定値に達したとき)のみ、すなわち、圧縮機10の駆動開始直後に、クールダウンの要求がなされたときだけ、排出通路37が開放され、クランク室15に停溜された液冷媒を吸入室31へ排出することができる。このとき、排出通路37には、固定絞りといった排出通路37の通路断面積を小さくする要因が存在しないため、液冷媒は排出通路37を通って速やかに吸入室31へ排出することができる。その結果として、液冷媒の気化によるクランク室15の圧力が過大となることを防止することができ、かつ給気通路39は弁体によって閉塞されているため、圧縮機10の駆動開始後は吐出容量を速やかに増大させることができる。
(2)そして、圧縮機10においては、圧縮機10の駆動開始直後に、クールダウンの要求がなされたときだけ排出通路37を開放して液冷媒が排出される。したがって、圧縮機10の駆動開始直後にクールダウンの要求がなされたとき以外は(コイル87への電力供給量が所定値に達しないとき)、排出通路37は閉塞され、クランク室15と吸入圧領域とを遮断することができる。このため、クランク室15へ供給される冷媒ガスが容量制御弁CVを介して吸入圧領域へ導出されることがなく、固定絞り38aが設けられた抽気通路38から吸入圧領域へ導出される。すなわち、クランク室15へ供給された高圧の冷媒ガスが、通路断面積を十分に確保された通路を通って吸入圧領域へ導出されることが防止される。このため、液冷媒の排出の機構を設けた構成であっても圧縮機10の運転効率が低下することを防止することができる。
(3)付勢ばね49の付勢力(ばね力)は、連結ばね63の付勢力(ばね力)を下回るように設定されている。このため、制御装置91から駆動回路92に指令されるデューティ比が最大(100%)となったとき(コイル87への電力供給量が所定値に達したとき)、連結ばね63が収縮して連通溝62aを、第1連通室82aと第2連通室82bとを連通させる位置へ移動させることが可能となる。すなわち、給気通路39を全閉とした後に、排出通路37を開放させることができる。したがって、給気通路39が開状態のまま排出通路37が開放されてしまい、クランク圧Pcが上昇されながら液冷媒が排出されることが防止される。その結果として、液冷媒を排出した後は、クランク圧Pcが低い状態に維持され、圧縮機10は斜板22の傾斜角度を速やかに増大させることができる。
(4)圧縮機10は、容量制御弁CVを介さずクランク室15と吸入室31とを連通する抽気通路38を備えている。このため、制御装置91から駆動回路92に指令されるデューティ比が最大(100%)を下回るときは、容量制御弁CVを介したクランク室15と吸入室31との連通が遮断される。このとき、抽気通路38を用いることでクランク室15と吸入室31とが連通され、冷媒ガスの吐出室32、クランク室15、及び吸入室31の内部循環を可能として、吐出容量の調節を可能とすることができる。
なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で例えば以下の態様でも実施できる。
○ 連通溝62aが第1連通室82aと第2連通室82bとを連通させることとなる、コイル87への電力供給量を実施形態より低く設定してもよい。すなわち、デューティ比が最大を下回るときに連通溝62aが第1連通室82aと第2連通室82bとを連通させる構成としてもよい。
○ 第2ロッド62の周面とガイド孔85の周面との間のクリアランスを用いて、第1連通室82aと第2連通室82bとを常時連通させて、弁室66と第2ポート72とを連通させるとともに、クランク室15と吸入室31とを連通させてもよい。すなわち、排出通路37を常時開状態として冷媒ガスを流通させてもよく、連通溝62aによって第1連通室82aと第2連通室82bとが連通されたときは、排出通路37の通路断面積を広げて冷媒ガスの流量を増大させてもよい。この場合、抽気通路38を削除することが可能となるとともに、排出通路37がクランク室15と吸入圧領域とを連通する抽気通路を構成する。
○ 感圧機構として、冷媒循環回路の吸入圧領域の圧力に応じて、該圧力の変動を打ち消す側へ圧縮機10の吐出容量が変更されるように内部自律的に弁体部64aを位置決めする構成としてもよい。この場合、制御装置91から駆動回路92に指令されるデューティ比に応じて、感圧機構の動作の基準となる、設定圧としての設定吸入圧が変更される。
○ 付勢ばね49の付勢力(ばね力)と連結ばね63の付勢力(ばね力)は同じであってもよい。
○ 本発明の容量可変型圧縮機を、ワッブル式の容量可変型圧縮機にしてもよい。
○ 連通部として、連通溝62aの代わりに第2ロッド62の全周に亘って連通凹部を形成してもよい。
実施形態の容量可変型斜板式圧縮機を示す縦断面図。 容量可変型斜板式圧縮機と容量制御弁との関係を模式的に示す説明図。 実施形態の容量制御弁を示す縦断面図。 容量制御弁にて弁体部が弁座部に着座した状態を示す断面図。 連通溝によって第1連通室と第2連通室とが連通した状態を示す断面図。
符号の説明
CV…容量制御弁、10…容量可変型圧縮機としての容量可変型斜板式圧縮機、15…クランク室、31…吸入圧領域としての吸入室、32…吐出圧領域としての吐出室、38…抽気通路、38a…固定絞り、39…給気通路、49…付勢ばね、53…弁座部、60…設定圧変更手段としてのソレノイド部、62…第2ロッド、62a…連通部としての連通溝、63…連結ばね、64…第1ロッド、64a…弁体部、66…弁室、67…弁孔としての連通路、68…感圧機構を構成する感圧室、70…感圧機構を構成するベローズ、72…接続通路としての第2ポート、77…感圧機構を構成する第1導圧通路、78…感圧機構を構成する第2導圧通路、79…感圧機構を構成するベローズ付勢ばね、82a…第1連通室、82b…第2連通室、87…コイル。

Claims (6)

  1. 空調装置の冷媒循環回路を構成し、クランク室と前記冷媒循環回路の吐出圧領域とを連通する給気通路、及び前記クランク室と前記冷媒循環回路の吸入圧領域とを連通する抽気通路が設けられ、前記クランク室の圧力を容量制御弁により制御して吐出容量を調節可能とする容量可変型圧縮機であって、
    前記容量制御弁は、前記給気通路の一部を構成する弁室と、
    前記弁室に収容され、該弁室の弁座部に対する離間又は着座により前記弁室の弁孔を開閉することで前記給気通路の開度を調節する弁体部を備えた第1ロッドと、
    前記第1ロッドに連結され、前記冷媒循環回路内の圧力に応じて該圧力の変動を打ち消す側へ吐出容量が変更されるように内部自律的に前記第1ロッドを位置決めする感圧機構と、
    前記弁体部が弁座部から離間する方向へ前記第1ロッドを付勢する付勢ばねと、
    外部からコイルへの電力供給量を変更することにより電磁付勢力を変更して前記感圧機構の動作の基準となる設定圧を変更する設定圧変更手段と、
    前記電磁付勢力を前記第1ロッドに作用させる第2ロッドと、
    前記第1ロッドと第2ロッドとを連結する連結ばねと、
    前記設定圧変更手段にて前記第2ロッドの周面に対向する位置に設けられ、前記弁室に連通する第1連通室、及び前記第2ロッドの軸方向に沿って前記第1連通室と離間した位置に設けられた第2連通室と、
    前記第2連通室と前記冷媒循環回路の吸入圧領域とを接続する接続通路と、
    前記第2ロッドの周面に設けられ、該第2ロッドの移動により前記第1連通室と第2連通室とを連通させる連通部とを備えており、
    前記コイルへの電力供給量が所定値以上では、前記第1ロッドの弁体部が前記弁座部に着座し、かつ前記連結ばねを収縮させる方向への電磁付勢力を前記第2ロッドに作用させるとともに、前記連通部により前記第1連通室と第2連通室とを連通させて前記弁室及び接続通路を介してクランク室と吸入圧領域とを連通させるようにしたことを特徴とする容量可変型圧縮機。
  2. 前記付勢ばねの付勢力は、前記連結ばねの付勢力を下回るように設定されている請求項1に記載の容量可変型圧縮機。
  3. 前記抽気通路は、前記容量制御弁を介することなくクランク室と吸入圧領域とを連通するように設けられ、該抽気通路には固定絞りが設けられている請求項1又は請求項2に記載の容量可変型圧縮機。
  4. 前記所定値は、前記コイルへの電力供給量の最大値である請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の容量可変型圧縮機。
  5. 空調装置の冷媒循環回路を構成し、クランク室の圧力を制御して吐出容量を調節可能な容量可変型圧縮機に用いられる容量制御弁であって、
    前記クランク室と前記冷媒循環回路の吐出圧領域とを接続する給気通路の一部を構成する弁室と、
    前記弁室に収容され、該弁室の弁座部に対する離間又は着座により前記弁室の弁孔を開閉することで前記給気通路の開度を調節する弁体部を備えた第1ロッドと、
    前記第1ロッドに連結され、前記冷媒循環回路内の圧力に応じて該圧力の変動を打ち消す側へ吐出容量が変更されるように内部自律的に前記第1ロッドを位置決めする感圧機構と、
    前記弁体部が弁座部から離間する方向へ前記第1ロッドを付勢する付勢ばねと、
    外部からコイルへの電力供給量を変更することにより電磁付勢力を変更して前記感圧機構の動作の基準となる設定圧を変更する設定圧変更手段と、
    前記電磁付勢力を前記第1ロッドに作用させる第2ロッドと、
    前記第1ロッドと第2ロッドとを連結する連結ばねと、
    前記設定圧変更手段にて前記第2ロッドの周面に対向する位置に設けられ、前記弁室に連通する第1連通室、及び前記第2ロッドの軸方向に沿って前記第1連通室と離間した位置に設けられた第2連通室と、
    前記第2連通室と前記冷媒循環回路の吸入圧領域とを接続する接続通路と、
    前記第2ロッドの周面に設けられ、該第2ロッドの移動により前記第1連通室と第2連通室とを連通させる連通部とを備え、
    前記コイルへの電力供給量が所定値以上では、前記第1ロッドの弁体部が前記弁座部に着座し、かつ前記連結ばねを収縮させる方向への電磁付勢力を第2ロッドに作用させるとともに、前記連通部により前記第1連通室と第2連通室とを連通させて前記弁室及び接続通路を介してクランク室と吸入圧領域とを連通させるようにしたことを特徴とする容量制御弁。
  6. 前記付勢ばねの付勢力は、前記連結ばねの付勢力を下回るように設定されている請求項5に記載の容量制御弁。
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