JP2007238787A - シール部材及び該シール部材の成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被シール体と当接して気密を保つためのシール部材において、被シール体との当接部分においては耐熱性や耐摩耗性に優れる一方、その他の部分においては低剛性を保持して被シール体表面への沿い性及びシール性を確保することを課題とする。
【解決手段】樹脂成分41にセラミックス成分42a,42bが添加された複合材料43からなるシール部材21において、前記セラミックス成分42a,42bを、シール部材21の表面の被シール体との当接部分21aでは、焼結状態42aで前記樹脂成分41中に分散させ、その他の本体部分21bでは、未焼結状態42bで前記樹脂成分41中に分散させる。又は、本体部分21bでは、セラミックス成分42a,42bを、樹脂成分41中に存在させなくてもよい。
【選択図】図4

Description

本発明は、シール部材及び該シール部材の成形方法に関し、被シール体と当接して気密や油密等の密封性を保つためのシール部材の材料及び組成を改良する技術分野に属する。
一般に、ロータリーエンジンのロータの頂点にはアペックスシールが配設される。このアペックスシールは、シールスプリングの付勢力とロータの回転による遠心力とによりロータハウジングのトロコイド面に押し付けられ、隣接する作動室間の気密を保ちながら摺動すると共に、ペリフェラルポートの場合、給排気バルブの役割も兼ね備えたロータリーエンジンに独自の重要部品である。
従来、アペックスシールは、特殊カーボン材や金属製が主流であったが、ロータハウジングのメッキ技術や表面処理技術の進歩に伴い、セラミックス製のアペックスシールが実用化されるに至り、さらに樹脂製のアペックスシールも検討されている。しかし、それぞれ次のような欠点を含んでいる。まず、金属製は、特殊鋳鉄を母材として、ロータハウジングとの摺動部分を電子ビームによりチル化して硬度を高め、耐摩耗性を確保したものであるが、切削や研削等の機械加工工程が多いことに加え、材料が剛直なためにトロコイド面への沿い性が悪く、特に低速でのシール性に劣って、圧縮比の低下、トルクの低下、ひいては燃費の低下がみられる。次に、セラミックス製は、窒化珪素が好ましく用いられ、耐摩耗性、耐熱性に優れると共に、ロータハウジングとの非金属接触により自己潤滑性能に類似の効果が期待されるが、衝撃強度が低いことと、金属製の場合と同様、剛性が高いためにトロコイド面への沿い性及びシール性に劣ることが難点である。また、困難な研磨加工工程が必要となり、生産コストが高くなる問題もある。これらに対し、樹脂製は剛性が低いためにトロコイド面への沿い性が良好で、最もシール性に優れるばかりでなく、加工性が良いので、金属製やセラミックス製に比べて生産コストを低減することができる。しかしながら、樹脂製は、耐摩耗性及び耐熱性の点で満足する結果が得られない。
この点、特許文献1には、レシプロエンジンのピストンリングに関する技術であるが、ピストンリングを剛性体でなる内側リングと弾性体でなる外側リングとで構成し、内側リングを鋳鉄等で製造すると共に、外側リングをポリイミド等の樹脂で製造し、この樹脂製の外側リングに酸化モリブデン等のセラミック微粒子を分散させて耐摩耗性の向上を図ることが開示されている。この技術をアペックスシールに適用すると、ロータハウジングのトロコイド面と当接するアペックスシールの表面部分(摺動部分、より一般には当接部分)を、樹脂等の弾性体で製造し、かつ、その樹脂成分中にセラミック微粒子を分散させる一方、それ以外の部分(本体部分)を、鋳鉄等の剛性体で製造することになる。しかし、これではアペックスシールは全体的に剛性が高くなり、その結果、樹脂製アペックスシールの長所であるトロコイド面への沿い性が低下してシール性が損なわれてしまう。つまり、耐摩耗性の改良が望まれるアペックスシールの当接部分においては、セラミック微粒子が分散された樹脂製とすることで、耐摩耗性の向上が図られるが、柔軟にしてトロコイド面への沿い性を確保しなければならないその他の本体部分においては、鋳鉄等の金属製とすることで、剛直なままとなってトロコイド面への沿い性が低下してしまうのである。
また、特許文献2には、固体電解質型燃料電池に関する技術であるが、セルとセパレータとの間に介装するガスシール部材を固体電解質型燃料電池の運転温度で焼結するセラミックス材料で形成することが開示されている。しかし、この技術をアペックスシールに適用しても、アペックスシール全体をセラミックス材料で形成することになるだけであって、やはり特許文献1の場合と同様、アペックスシールは全体的に耐熱性や耐摩耗性が向上するが、トロコイド面への沿い性向上等の部分的な組成や物性の改良が図られない。
特開2003−194224号公報(段落0010、段落0011、段落0014) 特開平10−92446号公報(段落0011、段落0026)
本発明は、被シール体と当接して気密や油密等の密封性を保つためのシール部材における前記問題に対処するもので、被シール体との当接部分においては耐熱性や耐摩耗性に優れる一方、その他の本体部分においては低剛性ないし柔軟性を保持して被シール体表面への沿い性及びシール性が確保されたシール部材の提供を課題とする。
前記課題を解決するため、本願の請求項1に記載の発明は、樹脂成分にセラミックス成分が添加された複合材料からなるシール部材であって、前記セラミックス成分が、シール部材の表面の被シール体との当接部分では、焼結状態で前記樹脂成分中に分散し、その他の本体部分では、未焼結状態で前記樹脂成分中に分散していることを特徴とする。
なお、前記シール部材と前記被シール体との組合せとしては、前述のロータリーエンジンのアペックスシールとロータハウジングのトロコイド面の他、例えば、ロータリーエンジンのロータの側面に配設されるオイルシールとサイドハウジングの摺動面、レシプロエンジンのピストン頭部に嵌着されるコンプレッションリングとシリンダボアの壁面、レシプロエンジンのシリンダブロックとシリンダヘッドとの間に挟設されるガスケットと前記ブロック及びヘッドの合せ面、エンジンの排気系統を構成する管と管との間に挟設されるガスケットと前記管の合せ面、等が挙げられる。
次に、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載のシール部材であって、内燃機関の燃焼室の気密を保つためのものであることを特徴とする。
次に、請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載のシール部材であって、内燃機関の運転に伴い前記当接部分が被シール体との摺接により摩耗するものであることを特徴とする。
次に、請求項4に記載の発明は、樹脂成分にセラミックス成分が添加された複合材料からなるシール部材であって、前記セラミックス成分が、シール部材の表面の被シール体との当接部分では、焼結状態で前記樹脂成分中に分散し、その他の本体部分では、前記樹脂成分中に分散していないことを特徴とする。
次に、請求項5に記載の発明は、前記請求項1から4のいずれかに記載のシール部材であって、前記セラミックス成分は、繊維状及びウィスカー状の少なくとも一方であることを特徴とする。
次に、請求項6に記載の発明は、前記請求項1から5のいずれかに記載のシール部材であって、前記樹脂成分は、熱可塑性樹脂であることを特徴とする。
次に、請求項7に記載の発明は、前記請求項1から6のいずれかに記載のシール部材であって、前記複合材料は、焼結助剤を含有していることを特徴とする。
一方、本願の請求項8に記載の発明は、樹脂成分にセラミックス成分が添加された複合材料からなるシール部材の成形方法であって、シール部材の表面の被シール体との当接部分及びその他の本体部分で、前記樹脂成分中に未焼結状態のセラミックス成分を分散させ、又は、前記当接部分でのみ、前記樹脂成分中に未焼結状態のセラミックス成分を分散させ、次に、前記当接部分を加熱して、該当接部分の未焼結状態のセラミックス成分を焼結状態とすることを特徴とする。
次に、請求項9に記載の発明は、前記請求項8に記載のシール部材の成形方法であって、樹脂成分中に未焼結状態のセラミックス成分を分散させた後、シール部材を内燃機関におけるシール部材配設位置に組み付け、次に、前記内燃機関を運転することにより、前記当接部分を加熱して、該当接部分の未焼結状態のセラミックス成分を焼結状態とすることを特徴とする。
次に、請求項10に記載の発明は、前記請求項9に記載のシール部材の成形方法であって、樹脂成分中に未焼結状態のセラミックス成分を分散させた後、シール部材を内燃機関の燃焼室内に組み付け、次に、前記内燃機関を運転することにより、前記当接部分を混合気の燃焼熱で加熱して、該当接部分の未焼結状態のセラミックス成分を焼結状態とすることを特徴とする。
次に、請求項11に記載の発明は、前記請求項8から10のいずれかに記載のシール部材の成形方法であって、前記セラミックス成分は、繊維状及びウィスカー状の少なくとも一方であることを特徴とする。
次に、請求項12に記載の発明は、前記請求項8から11のいずれかに記載のシール部材の成形方法であって、前記樹脂成分は、熱可塑性樹脂であることを特徴とする。
そして、請求項13に記載の発明は、前記請求項8から12のいずれかに記載のシール部材の成形方法であって、前記複合材料は、焼結助剤を含有していることを特徴とする。
まず、請求項1に記載の発明によれば、被シール体と当接して密封性を保つためのシール部材において、該シール部材を、樹脂成分にセラミックス成分を添加した複合材料で構成することを前提とした上で、シール部材の表面の被シール体との当接部分においては、前記セラミックス成分を焼結状態で前記樹脂成分中に分散させる一方、その他の本体部分においては、前記セラミックス成分を未焼結状態で前記樹脂成分中に分散させるようにしたから、前記被シール体との当接部分においては焼結状態のセラミックス成分に起因して耐熱性や耐摩耗性に優れる一方、その他の本体部分においてはセラミックス成分が未焼結状態であることに起因して低剛性ないし柔軟性が保持されて被シール体表面への沿い性及びシール性が確保されたシール部材が得られることとなる。
次に、請求項2に記載の発明によれば、前記シール部材として、内燃機関の燃焼室の気密を保つためのシール部材を採用したから、例えばレシプロエンジンのシリンダブロックとシリンダヘッドとの間に挟設されるガスケット等の他、当接部分が被シール体と単に当接するだけでなく当接状態で摺動するシール部材である、ロータリーエンジンのアペックスシールやレシプロエンジンのピストンリング等に関して、前記請求項1に記載の発明の効果が得られることとなり、本発明の最も好ましい態様であるといえる。
次に、請求項3に記載の発明によれば、前記シール部材として、内燃機関の運転に伴い前記当接部分が被シール体との摺接により摩耗するシール部材を採用したから、前記請求項2で挙げたシール部材のうち、レシプロエンジンのガスケットを除く、特にロータリーエンジンのアペックスシールやレシプロエンジンのピストンリング等に関して、前記請求項1に記載の発明の効果が得られることとなる。そして、その場合に、前記本体部分の未焼結状態のセラミックス成分は、少なくとも前記当接部分の近傍においても前記樹脂成分中に分散しているから、たとえ、内燃機関の運転に伴いシール部材が長期間使用され、その使用に伴い当接部分が被シール体との摺接によって摩耗しても、その当接部分の摩耗に従って新たに当接部分となる本体部分の未焼結状態のセラミックス成分が内燃機関の運転温度に起因して焼結状態となり、その結果、ただ単に内燃機関の運転を続けるだけで、シール部材の当接部分においては焼結状態のセラミックス成分が自然に再生することとなり、わざわざシール部材を取り外して当接部分の再生作業を行う必要がなくなる。
一方、請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様、被シール体と当接して密封性を保つためのシール部材において、該シール部材を、樹脂成分にセラミックス成分を添加した複合材料で構成することを前提とした上で、シール部材の表面の被シール体との当接部分においては、前記セラミックス成分を焼結状態で前記樹脂成分中に分散させる一方、その他の本体部分においては、前記セラミックス成分を前記樹脂成分中に分散させないようにしたから、請求項1に記載の発明と同様、前記被シール体との当接部分においては焼結状態のセラミックス成分に起因して耐熱性や耐摩耗性に優れる一方、その他の本体部分においてはセラミックス成分が存在していないことに起因して低剛性ないし柔軟性が保持されて被シール体表面への沿い性及びシール性が確保されたシール部材が得られることとなる。
次に、請求項5に記載の発明によれば、前記セラミックス成分を、同じ含有量であってもセラミックス成分同士が接触し易く、結合し易い形状である繊維状及び/又はウィスカー状としたから、該セラミックス成分の含有量を抑制しながら焼結効率を確保することができる。
次に、請求項6に記載の発明によれば、前記樹脂成分を熱可塑性樹脂としたから、成形性及びリサイクル性が向上し、環境負荷の軽減に寄与できる。
次に、請求項7に記載の発明によれば、前記複合材料にさらに焼結助剤を含有させたから、請求項5に記載の発明と同様、セラミックス成分の含有量を抑制しながら焼結効率を確保することができる。
一方、請求項8に記載の発明によれば、請求項1又は請求項4に記載のシール部材の成形方法において、シール部材の表面の被シール体との当接部分及びその他の本体部分で、前記樹脂成分中に未焼結状態のセラミックス成分を分散させ、又は、前記当接部分でのみ、前記樹脂成分中に未焼結状態のセラミックス成分を分散させる工程と、前記当接部分を加熱して、該当接部分の未焼結状態のセラミックス成分を焼結状態とする工程とを有するようにしたから、当接部分ではセラミックス成分が焼結状態であり、その他の本体部分ではセラミックス成分が未焼結状態であるという、組成や物性が部分的に改良されたシール部材、又は、当接部分ではセラミックス成分が焼結状態であり、その他の本体部分ではセラミックス成分が存在していないという、組成や物性が部分的に改良されたシール部材を容易に生産することができる。また、このシール部材は、内燃機関等に組み付ける前から、当接部分では耐熱性及び耐摩耗性が向上されているから、初期耐熱性及び初期耐摩耗性に優れたシール部材が得られることとなる。
次に、請求項9に記載の発明によれば、請求項8に記載のシール部材の成形方法において、樹脂成分中に未焼結状態のセラミックス成分を分散させた後、シール部材を内燃機関におけるシール部材配設位置に組み付ける工程と、前記内燃機関を運転することにより、前記当接部分を加熱して、該当接部分の未焼結状態のセラミックス成分を焼結状態とする工程とを有するようにしたから、このシール部材を内燃機関に組み付ける前にシール部材の当接部分を加熱して該当接部分のセラミックス成分を焼結状態とする必要がなくなり、このシール部材を内燃機関に組み付ける工程も含めて考えると、請求項8に記載の発明と比べて工程が1つ減り、生産性が上がる(生産エネルギ及び生産コストが低減する)こととなる。
次に、請求項10に記載の発明によれば、請求項9に記載のシール部材の成形方法において、樹脂成分中に未焼結状態のセラミックス成分を分散させた後、シール部材を内燃機関の燃焼室内に組み付ける工程と、前記内燃機関を運転することにより、前記当接部分を高温の混合気の燃焼熱(あるいは火炎)で直接加熱して、該当接部分の未焼結状態のセラミックス成分を焼結状態とする工程とを有するようにしたから、シール部材の当接部分のセラミックス成分を高温で比較的短時間のうちに焼結状態とすることができる。
次に、請求項11に記載の発明によれば、構成が請求項5に記載の発明と同様であるから、請求項5に記載の発明と同様の効果が得られ、次に、請求項12に記載の発明によれば、構成が請求項6に記載の発明と同様であるから、請求項6に記載の発明と同様の効果が得られ、そして、請求項13に記載の発明によれば、構成が請求項7に記載の発明と同様であるから、請求項7に記載の発明と同様の効果が得られることとなる。
以下、発明の最良の実施形態を通して本発明をさらに詳しく説明する。
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態においては、本発明は、図1に示すロータリーエンジン10のロータ20の頂点に配設されたアペックスシール21…21に適用されている。このアペックスシール21は、図2に示すように、サイドピース31と合せて用いられる2分割構造で、シールスプリング32の付勢力とロータ20の回転による遠心力とによりロータハウジング11のトロコイド面12に押し付けられ、隣接する作動室間の気密を保ちながら摺動する。ロータ20には、アペックスシール21…21の他、サイドハウジング60(図6参照)との気密を保つためのサイドシール22…22、アペックスシール21とサイドシール22との連結部の気密を保つためのコーナシール23…23、及び、ロータ20の軸受部の潤滑油が作動室に混入するのを防ぐためのオイルシール24,24等がさらに具備されている。
図3に示すように、アペックスシール21は、樹脂成分41にセラミックス成分42a,42bが添加された複合材料43(図4参照)からなっている。そして、アペックスシール21の表面に位置し、ロータハウジング11のトロコイド面12と当接するアペックスシール21の当接部分21aにおいては、焼結状態のセラミックス成分42aが樹脂成分41中に分散しており、一方、その他の部分、つまり本体部分21bにおいては、未焼結状態のセラミックス成分42bが樹脂成分41中に分散している(請求項1の構成)。
これにより、このアペックスシール21は、トロコイド面12との当接部分21aにおいては、焼結状態のセラミックス成分42aに起因して、耐熱性や耐摩耗性に優れる一方、本体部分21bにおいては、未焼結状態のセラミックス成分42bに起因して、低剛性ないし柔軟性が保持されてトロコイド面12への沿い性及びシール性が確保されている。したがって、たとえ低回転時であっても、圧縮比の低下や、トルクの低下、ひいては燃費の低下が回避される。
このように部分的に組成や物性が改良された構成のアペックスシール21は、例えば次のようにして生産することができる。まず、図4(a)に示すように、アペックスシール21の当接部分21a及び本体部分21bにおいて、樹脂成分41中に未焼結状態のセラミックス成分42bを分散させて複合材料43を得る。次に、図4(b)に示すように、得られた複合材料43からなるアペックスシール21の当接部分21aを熱源50を用いて加熱する。ここで、熱源としては、ヒーターの放射熱や、バーナーの火炎による直火等が使用できる。その結果、図4(c)に示すように、本体部分21bでは未焼結状態のセラミックス成分42bが分散し、当接部分21aでは焼結状態のセラミックス成分42aが分散しているアペックスシール21が得られる(請求項8の構成)。このように、この方法によれば、当接部分21aではセラミックス成分が焼結状態42aであり、本体部分21bではセラミックス成分が未焼結状態42bであるという、組成や物性が部分的に改良されたアペックスシール21が容易に生産される。また、この方法によれば、アペックスシール21は、ロータ20ひいてはロータリーエンジン10に組み付ける前から、当接部分21aでは耐熱性及び耐摩耗性が向上されているから、初期耐熱性及び初期耐摩耗性に優れたアペックスシール21が得られることとなる。
また、これとは別に、アペックスシール21を次のような第2の構成とすることも可能である。すなわち、アペックスシール21の表面に位置し、ロータハウジング11のトロコイド面12と当接するアペックスシール21の当接部分21aにおいては、焼結状態のセラミックス成分42aが樹脂成分41中に分散しており、一方、その他の部分、つまり本体部分21bにおいては、セラミックス成分42a,42bが樹脂成分41中に分散していない構成である(請求項4の構成)。
これによっても、アペックスシール21は、トロコイド面12との当接部分21aにおいては、焼結状態のセラミックス成分42aに起因して、耐熱性や耐摩耗性に優れる一方、本体部分21bにおいては、セラミックス成分42a,42bが存在していないことに起因して、低剛性ないし柔軟性が保持されてトロコイド面12への沿い性及びシール性が確保されることとなる。したがって、たとえ低回転時であっても、圧縮比の低下や、トルクの低下、ひいては燃費の低下が回避される。
そして、このように部分的に組成や物性が改良された第2の構成のアペックスシール21は、例えば次のようにして生産することができる。まず、図5(a)に示すように、アペックスシール21の当接部分21aにおいてのみ、樹脂成分41中に未焼結状態のセラミックス成分42bを分散させて複合材料43を得る。次に、図5(b)に示すように、得られた複合材料43からなるアペックスシール21の当接部分21aを熱源50を用いて加熱する。ここで、熱源としては、ヒーターの放射熱や、バーナーの火炎による直火等が使用できる。その結果、図5(c)に示すように、本体部分21bではセラミックス成分42a,42bが分散せず、当接部分21aでは焼結状態のセラミックス成分42aが分散しているアペックスシール21が得られる(請求項8の構成)。このように、この方法によれば、当接部分21aではセラミックス成分が焼結状態42aであり、本体部分21bではセラミックス成分が存在していないという、組成や物性が部分的に改良されたアペックスシール21が容易に生産される。また、この方法によっても、アペックスシール21は、ロータ20ひいてはロータリーエンジン10に組み付ける前から、当接部分21aでは耐熱性及び耐摩耗性が向上されているから、初期耐熱性及び初期耐摩耗性に優れたアペックスシール21が得られることとなる。
ここで、前記セラミックス成分42a,42bとしては、アルミナ(酸化アルミニウム)やチタニア(酸化チタン)等、各種の汎用されるセラミックス成分が使用可能であるが、耐摩耗性に優れる炭化珪素や窒化珪素が好ましく使用可能である。特に、炭化珪素は、樹脂成分(バインダー樹脂)41中にシリコン樹脂を混入しておくことにより、樹脂成分41の炭素とシリコン樹脂の珪素とが結合して炭化珪素が得られるため、より焼結され易くなり、最も好適なものの1つである。
また、セラミックス成分42a,42bの形状としては、粒子状、繊維状、ウィスカー状等、各種の汎用される形状のものが使用可能であるが、同じ含有量であってもセラミックス成分同士が接触し易く、焼結され易い形状である繊維状のもの、ウィスカー状のもの、又はこれらの混合物が好ましく使用可能である(請求項5及び請求項11の構成)。
なお、本発明者の知見によれば、セラミックス成分42a,42bが粒子状の場合、その径は0.1〜1.0μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。この範囲を超えて径が大きいと、未焼結状態のセラミックス成分42bが分散している本体部分21bの耐衝撃性が低下し、この範囲を超えて径が小さいと、セラミックス成分42a,42bの二次凝集が起こり易くなって樹脂成分41中での均一分散が困難になる。
一方、前記樹脂成分41としては、例えばポリイミド等、熱硬化性のものでも熱可塑性のものでも、各種の汎用される樹脂成分が使用可能であるが、成形性及びリサイクル性に優れ、環境負荷の軽減に寄与し得る熱可塑性樹脂が好ましく使用可能である(請求項6及び請求項12の構成)。特に、熱可塑性樹脂であって高い耐熱性を有するTPI(熱可塑性ポリイミド)やLCP(液晶ポリマー)等が好適であり、なかでもPEK(ポリエーテルケトン)やPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等は耐衝撃性にも優れているので最も好適なものの1つである。
そして、前記複合材料43に、焼結助剤を含有させると、セラミックス成分42a,42bの含有量を抑制しながら焼結効率を確保することができてさらに好ましい(請求項7及び請求項13の構成)。焼結助剤としては、イットリア(酸化イットリウム)等、各種の汎用される焼結助剤が使用可能である。
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態においては、本発明は、図1に示すロータリーエンジン10のロータ20の側面に配設されたオイルシール24,24に適用されている。このオイルシール24は、図6に示すように、シールスプリング33の付勢力によりサイドハウジング60の摺動面に押し付けられ、ロータ20の軸受部の潤滑油が作動室に混入するのを防ぎながら摺動する。
そして、このオイルシール24もまた、樹脂成分41にセラミックス成分42a,42bが添加された複合材料43からなっている。そして、オイルシール24の表面に位置し、サイドハウジング60の摺動面と当接するオイルシール24の当接部分24aにおいては、焼結状態のセラミックス成分42aが樹脂成分41中に分散しており、一方、その他の部分、つまり本体部分24bにおいては、未焼結状態のセラミックス成分42bが樹脂成分41中に分散している(請求項1の構成)。
なお、状況に応じて、ロータ20の他のシール部材、すなわち、サイドシール22やコーナシール23にも本発明を適用して構わない。また、オイルシール24を、当接部分24aにおいては、焼結状態のセラミックス成分42aが樹脂成分41中に分散しており、本体部分24bにおいては、セラミックス成分42a,42bが樹脂成分41中に分散していない、第2の構成とすることも可能である(請求項4の構成)。
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態においては、本発明は、図7に示すレシプロエンジンのピストン70の頭部に嵌着された第1コンプレッションリング71に適用されている。この第1コンプレッションリング71は、自己の拡径方向の弾性復元力によりシリンダボアの壁面80に押し付けられ、燃焼室の気密を保ちながら上下に摺動する。
そして、このコンプレッションリング71もまた、樹脂成分41にセラミックス成分42a,42bが添加された複合材料43からなっている。そして、コンプレッションリング71の表面に位置し、シリンダボアの壁面80と当接するコンプレッションリング71の当接部分71aにおいては、焼結状態のセラミックス成分42aが樹脂成分41中に分散しており、一方、その他の部分、つまり本体部分71bにおいては、未焼結状態のセラミックス成分42bが樹脂成分41中に分散している(請求項1の構成)。
なお、状況に応じて、ピストン70の他のリング、すなわち、第2コンプレッションリング72やオイルリング73にも本発明を適用して構わない。また、コンプレッションリング71を、当接部分71aにおいては、焼結状態のセラミックス成分42aが樹脂成分41中に分散しており、本体部分71bにおいては、セラミックス成分42a,42bが樹脂成分41中に分散していない、第2の構成とすることも可能である(請求項4の構成)。
<第4の実施の形態>
図8は、本発明の第4の実施の形態に係るエンジン1の排気系統1aの構成を示す平面図である。このエンジン1の排気系統1aには、上流側から、エキゾーストマニホールド2、触媒コンバータ3、ミドルパイプ4及びサイレンサ5,5が直列に並んでいる。そして、エキゾーストマニホールド2と触媒コンバータ3とは、前者の集合管2aと後者の上流管3aとが結合されて連結されており(結合部A)、ミドルパイプ4とサイレンサ5,5とは、前者の分岐管4a,4aと後者の上流管5a,5aとが結合されて連結されている(結合部B,B)。
図9は、前記ミドルパイプ4の分岐管4aと前記サイレンサ5の上流管5aとの結合部Bを拡大断面で示した分解図である。サイレンサ5の上流管5aがミドルパイプ4の分岐管4a内に嵌入され、両管4a,5aのフランジ部4b,5bが重ね合わされて、ボルト91及びナット92で締結される。その場合に、環状のガスケット90が、両管4a,5aのフランジ部4b,5bに形成された合せ面4c,5cの間に挟設される。
図10は、前記ガスケット90と前記両管4a,5aの合せ面4c,5cとの当接状態を示す説明図である。この第4の実施の形態においては、本発明は、図9、図10に示す結合部Bにおいて前記両管4a,5aの合せ面4c,5cの間に挟設された前記ガスケット90に適用されている。このガスケット90は、自己の膨張方向の弾性復元力により両管4a,5aの合せ面4c,5cに押し付けられ、結合部Bにおいて排気系統1aの気密を保っている。
そして、このガスケット90もまた、樹脂成分41にセラミックス成分42a,42bが添加された複合材料43からなっている。そして、ガスケット90の表面に位置し、両管4a,5aの合せ面4c,5cと当接するガスケット90の当接部分90aにおいては、焼結状態のセラミックス成分42aが樹脂成分41中に分散しており、一方、その他の部分、つまり本体部分90bにおいては、未焼結状態のセラミックス成分42bが樹脂成分41中に分散している(請求項1の構成)。これにより、このガスケット90は、合せ面4c,5cの間に挟設されたときの初期なじみが良く、かつ、熱損や経年変形が少ない、という利点を有する。
なお、状況に応じて、排気系統の他の結合部のガスケット、すなわち、エキゾーストマニホールド2の集合管2aと触媒コンバータ3の上流管3aとの結合部Aのガスケットにも本発明を適用して構わない。また、ガスケット90を、当接部分90aにおいては、焼結状態のセラミックス成分42aが樹脂成分41中に分散しており、本体部分90bにおいては、セラミックス成分42a,42bが樹脂成分41中に分散していない、第2の構成とすることも可能である(請求項4の構成)。
ところで、以上の実施形態のうち、図3及び図7に示したように、第1実施形態のアペックスシール21及び第3実施形態のコンプレッションリング71は、内燃機関の燃焼室の気密を保つためのものである(請求項2の構成)。すなわち、アペックスシール21はトロコイド面12と単に当接するだけでなく当接状態で摺動するし、コンプレッションリング71はシリンダボア壁面80と単に当接するだけでなく当接状態で上下に摺動する。したがって、このような使用の環境下で、アペックスシール21又はコンプレッションリング71のトロコイド面12又はシリンダボア壁面80への沿い性及びシール性が確保されることにより、たとえ低回転時であっても、圧縮比の低下や、トルクの低下、ひいては燃費の低下が回避されることになって、本発明の最も好ましい態様が実現する。
また、その場合に、同じく図3及び図7に示したように、第1実施形態のアペックスシール21及び第3実施形態のコンプレッションリング71は、内燃機関の運転に伴い当接部分21a,71aが被シール体との摺接により摩耗するものである(請求項3の構成)。すなわち、アペックスシール21はトロコイド面12と摺接することにより摩耗するし、コンプレッションリング71はシリンダボア壁面80と摺接することにより摩耗する。そして、前記アペックスシール21及び前記コンプレッションリング71は、いずれも、本体部分21b,71bにおいても、未焼結状態のセラミックス成分42bが樹脂成分41中に分散している構成である。したがって、アペックスシール21及びコンプレッションリング71の本体部分21b,71bの未焼結状態のセラミックス成分42bは、少なくとも当接部分21a,71aの近傍においても前記樹脂成分41中に分散している。それゆえ、内燃機関の運転に伴ってアペックスシール21及びコンプレッションリング71が長期間使用され、その使用に伴って当接部分21a,71aを構成する複合材料43ひいては焼結状態のセラミックス成分42aがトロコイド面12又はシリンダボア壁面80との摺接によって摩耗しても、その当接部分21a,71aの摩耗に従って新たに当接部分21a,71aを構成することとなる(今まで本体部分21b,71bを構成していた)複合材料43中の未焼結状態のセラミックス成分42bが、内燃機関の運転温度に起因して焼結状態42aとなる。その結果、ただ単に内燃機関の運転を続けるだけで、アペックスシール21及びコンプレッションリング71の当接部分21a,71aにおいては焼結状態のセラミックス成分42aが自然に再生することとなり、わざわざアペックスシール21又はコンプレッションリング71を取り外して前記当接部分21a,71aの再生作業を行う必要がない。
一方、前記図4及び図5に示した生産方法に代えて、例えば、樹脂成分41中に未焼結状態のセラミックス成分42bを分散させた後、得られた複合材料43からなるシール部材(すなわち、第1実施形態のアペックスシール21、第2実施形態のオイルシール24、第3実施形態のコンプレッションリング71、又は第4実施形態のガスケット90)を内燃機関におけるシール部材配設位置(すなわち、第1実施形態ではロータ20の頂点、第2実施形態ではロータ20の側面、第3実施形態ではピストン70の頭部、及び第4実施形態では合せ面4c,5c間)に組み付け、次に、前記内燃機関を運転することにより、前記シール部材21,24,71,90の当接部分21a,24a,71a,90aを加熱して、該当接部分21a,24a,71a,90aの未焼結状態のセラミックス成分42bを焼結状態のセラミックス成分42aとしてもよい(請求項9の構成)。この方法によれば、前記図4及び図5に示した生産方法のように、シール部材21,24,71,90を内燃機関に組み付ける前に、該シール部材21,24,71,90の当接部分21a,24a,71a,90aを加熱して該当接部分21a,24a,71a,90aのセラミックス成分42bを焼結状態42aとする必要がなくなり(すなわち、図4(b)及び図5(b)の工程が省略できる)、シール部材21,24,71,90を内燃機関に組み付ける工程も含めて考えると、前記図4及び図5に示した生産方法と比べて工程が1つ減り(すなわち、図4(b)及び図5(b)の工程が減り)、生産性が上がる(生産エネルギ及び生産コストが低減する)こととなる。
その場合に、特に、第1実施形態のアペックスシール21及び第3実施形態のコンプレッションリング71は、内燃機関の燃焼室内に組み付けられるから、前記内燃機関を運転することにより、前記アペックスシール21及び前記コンプレッションリング71の当接部分21a,71aを高温の混合気の燃焼熱(あるいは火炎)で直接加熱することができる(請求項10の構成)。その結果、アペックスシール21及びコンプレッションリング71の当接部分21a,71aのセラミックス成分42bを高温で比較的短時間のうちに焼結状態42aとすることが可能となる。
<第5、第6の実施の形態>
図11(a)は、本発明の第5の実施の形態に係るアペックスシール21の側面図、及び図11(b)は、本発明の第6の実施の形態に係るアペックスシール21の側面図である。一般に、ロータハウジング内を摺動するアペックスシールは、エンジンの燃焼工程で直火に曝されることとなるが、次の瞬間には水冷されているロータハウジング内を摺動することにより直ちに冷却される。しかし、アペックスシールを構成する主材料の樹脂は相対的に熱伝導性が低いため、アペックスシールが蓄熱する可能性があり、蓄熱が過ぎると、アペックスシールが溶解する可能性も生じる。そこで、本発明の第5実施形態においては、図11(a)に例示したように、アペックスシール21の下縁部を波形状部25として表面積を増やし、放熱し易い形状としたものである。また、本発明の第6実施形態においては、図11(b)に例示したように、アペックスシール21とシールスプリングとを一体成形して、アペックスシール21全体の体積を増やし、アペックスシール21に蓄積した熱をシールスプリング部34にも伝導させて冷却し易い形状としたものである。なお、状況に応じて、この構成を、第2実施形態のオイルシール24、第3実施形態のコンプレッションリング71及び第4実施形態のガスケット90等にも採用して構わない。
前記実施形態は、いずれも本発明の最良の実施形態ではあるが、特許請求の範囲を逸脱しない限り、種々の修正や変更を施してよいことはいうまでもない。
以下、発明の実施例を通して本発明をさらに詳しく説明する。
図12に示すように、実施例1、2、3として、樹脂成分であるPEK(ポリエーテルケトン)と、セラミックス成分である炭化珪素ウィスカー又は炭化珪素粒子と、焼結助剤であるイットリアとを混合して複合材料を作製し、これを3mm×5mm×8.5mmの柱状に成形した後、その一端部分をバーナーを用いて直火で加熱することにより、該一端部分においてのみ炭化珪素ウィスカー又は炭化珪素粒子を焼結状態として、本発明に係るシール部材の試験片を得た。これに対して、比較例1は、窒化珪素及び炭化珪素からなる従来のセラミックス製のシール部材、比較例2は、鋳鉄をチル化処理した従来の金属製のシール部材、比較例3及び4は、PEK(ポリエーテルケトン)又はPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)に炭素繊維又はガラス繊維を混入した従来の樹脂製のシール部材である。
前記実施例1〜3及び比較例1〜4を用いて、図13に示す条件で、摩耗量試験、相手攻撃性試験、及びシール性試験を行った。実施例1〜3は、摩耗量において、比較例1(セラミックス製)より劣るものの、比較例2〜4(金属製及び樹脂製)より優れ、相手攻撃性において、トロコイド面を傷つけることが無く、そして、シール性において、比較例1(セラミックス製)、比較例2(金属製)及び比較例4(ガラス繊維強化樹脂製)より優れていた。比較例4の場合、ガラス繊維によってトロコイド面が大いに傷ついたため、シール性試験は行わなかった。これらの結果から、本発明に係るシール部材は、従来のシール部材と比べて、被シール体との当接部分における耐熱性及び耐摩耗性と、被シール体への沿い性及びシール性との両方にバランスよく優れていることがわかる。
以上、具体例を挙げて詳しく説明したように、本発明は、被シール体と当接して気密や油密等の密封性を保つためのシール部材において、被シール体との当接部分においては耐熱性や耐摩耗性に優れ、その他の本体部分においては被シール体表面への沿い性及びシール性に優れるものであるから、例えばロータリーエンジンやレシプロエンジン等の内燃機関の技術分野等において広範な産業上の利用可能性を有する。
本発明の第1の実施の形態及び第2の実施の形態に係るロータリーエンジンの構成を示す正面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るアペックスシールの側面図である。 図2のIII−III線に沿うアペックスシールの拡大断面図であると共に、該アペックスシールとトロコイド面との摺動状態を示す説明図である。 前記アペックスシールの成形方法を段階的に示す説明図であって、(a)は、シール部材の当接部分及び本体部分で樹脂成分中に未焼結状態のセラミックス成分を分散させた状態、(b)は、得られた複合材料からなるアペックスシールの当接部分を熱源で加熱している状態、そして、(c)は、加熱の結果、前記当接部分のセラミックス成分が焼結状態となった状態を示している。 前記アペックスシールの別の成形方法を段階的に示す説明図であって、(a)は、シール部材の当接部分でのみ樹脂成分中に未焼結状態のセラミックス成分を分散させた状態、(b)は、得られた複合材料からなるアペックスシールの当接部分を熱源で加熱している状態、そして、(c)は、加熱の結果、前記当接部分のセラミックス成分が焼結状態となった状態を示している。 本発明の第2の実施の形態に係る図1のVI−VI線に沿うロータのオイルシールの拡大断面図であると共に、該オイルシールとサイドハウジングの摺動面との摺動状態を示す説明図である。 本発明の第3の実施の形態に係るレシプロエンジンのピストンの正面図であると共に、該ピストンのコンプレッションリングとシリンダボアの壁面との摺動状態を示す説明図である。 本発明の第4の実施の形態に係るエンジンの排気系統の構成を示す平面図である。 前記排気系統を構成する管と管との結合部を拡大断面で示した分解図である。 前記結合部におけるガスケットと前記管の合せ面との当接状態を示す説明図である。 (a)は、本発明の第5の実施の形態に係るアペックスシールの側面図、(b)は、本発明の第6の実施の形態に係るアペックスシールの側面図である。 本発明の実施例1〜3及び比較例1〜4のシール部材の組成の一覧表である。 前記実施例1〜3及び比較例1〜4の各種試験結果の一覧表である。
符号の説明
1 エンジン
1a 排気系統
2a エキゾーストマニホールドの集合管
3a 触媒コンバータの上流管
4a ミドルパイプの分岐管
4b 分岐管のフランジ部
4c 分岐管の合せ面
5a サイレンサの上流管
5b 上流管のフランジ部
5c 上流管の合せ面
10 ロータリーエンジン
11 ロータハウジング
12 トロコイド面
20 ロータ
21 アペックスシール
21a,24a,71a,90a 当接部分
21b,24b,71b,90b 本体部分
24 オイルシール
41 樹脂成分
42a 焼結状態のセラミックス成分
42b 未焼結状態のセラミックス成分
43 複合材料
60 サイドハウジング
70 ピストン
71 コンプレッションリング
80 シリンダボア壁面
90 ガスケット

Claims (13)

  1. 樹脂成分にセラミックス成分が添加された複合材料からなるシール部材であって、
    前記セラミックス成分が、シール部材の表面の被シール体との当接部分では、焼結状態で前記樹脂成分中に分散し、その他の本体部分では、未焼結状態で前記樹脂成分中に分散していることを特徴とするシール部材。
  2. 前記請求項1に記載のシール部材であって、
    内燃機関の燃焼室の気密を保つためのものであることを特徴とするシール部材。
  3. 前記請求項2に記載のシール部材であって、
    内燃機関の運転に伴い前記当接部分が被シール体との摺接により摩耗するものであることを特徴とするシール部材。
  4. 樹脂成分にセラミックス成分が添加された複合材料からなるシール部材であって、
    前記セラミックス成分が、シール部材の表面の被シール体との当接部分では、焼結状態で前記樹脂成分中に分散し、その他の本体部分では、前記樹脂成分中に分散していないことを特徴とするシール部材。
  5. 前記請求項1から4のいずれかに記載のシール部材であって、
    前記セラミックス成分は、繊維状及びウィスカー状の少なくとも一方であることを特徴とするシール部材。
  6. 前記請求項1から5のいずれかに記載のシール部材であって、
    前記樹脂成分は、熱可塑性樹脂であることを特徴とするシール部材。
  7. 前記請求項1から6のいずれかに記載のシール部材であって、
    前記複合材料は、焼結助剤を含有していることを特徴とするシール部材。
  8. 樹脂成分にセラミックス成分が添加された複合材料からなるシール部材の成形方法であって、
    シール部材の表面の被シール体との当接部分及びその他の本体部分で、前記樹脂成分中に未焼結状態のセラミックス成分を分散させ、又は、前記当接部分でのみ、前記樹脂成分中に未焼結状態のセラミックス成分を分散させ、
    次に、前記当接部分を加熱して、該当接部分の未焼結状態のセラミックス成分を焼結状態とすることを特徴とするシール部材の成形方法。
  9. 前記請求項8に記載のシール部材の成形方法であって、
    樹脂成分中に未焼結状態のセラミックス成分を分散させた後、シール部材を内燃機関におけるシール部材配設位置に組み付け、
    次に、前記内燃機関を運転することにより、前記当接部分を加熱して、該当接部分の未焼結状態のセラミックス成分を焼結状態とすることを特徴とするシール部材の成形方法。
  10. 前記請求項9に記載のシール部材の成形方法であって、
    樹脂成分中に未焼結状態のセラミックス成分を分散させた後、シール部材を内燃機関の燃焼室内に組み付け、
    次に、前記内燃機関を運転することにより、前記当接部分を混合気の燃焼熱で加熱して、該当接部分の未焼結状態のセラミックス成分を焼結状態とすることを特徴とするシール部材の成形方法。
  11. 前記請求項8から10のいずれかに記載のシール部材の成形方法であって、
    前記セラミックス成分は、繊維状及びウィスカー状の少なくとも一方であることを特徴とするシール部材の成形方法。
  12. 前記請求項8から11のいずれかに記載のシール部材の成形方法であって、
    前記樹脂成分は、熱可塑性樹脂であることを特徴とするシール部材の成形方法。
  13. 前記請求項8から12のいずれかに記載のシール部材の成形方法であって、
    前記複合材料は、焼結助剤を含有していることを特徴とするシール部材の成形方法。
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