JP2007234520A - 高張力電力ケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】ケーブル端末処理が容易でかつ耐光性に優れた高張力電力ケーブルを提供すること。
【解決手段】導体を被覆する絶縁体の表面に内外2層の保護被覆層があり、かつ該両保護被覆層の間にポリエチレンナフタレート繊維からなる抗張力体が配置されることを特徴とする。さらには、抗張力体が撚糸されたものであることや、抗張力体がビカット軟化点150℃以下の樹脂を含浸したものであること、抗張力体の引抜き力が80N以上であることが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】導体を被覆する絶縁体の表面に内外2層の保護被覆層があり、かつ該両保護被覆層の間にポリエチレンナフタレート繊維からなる抗張力体が配置されることを特徴とする。さらには、抗張力体が撚糸されたものであることや、抗張力体がビカット軟化点150℃以下の樹脂を含浸したものであること、抗張力体の引抜き力が80N以上であることが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は例えば架空配電線の無停電バイパス工法等に使用される高張力電力ケーブルに関するものである。
架空配電線の無停電バイパス工法においては、メッセンジャーワイヤに吊架することなく直接架設しうる高耐張力電力ケーブルとして特許文献1のようなケーブルが知られている。これはスチール製の重いメッセンジャーワイヤに変えて芳香族ポリアミド繊維(以下アラミド繊維と記す)などによって補強された耐張力電力ケーブルを用いる方法である。
しかしアラミド繊維を用いたケーブルでは、ケーブル端末処理の際にアラミド繊維そのものを端末部に引留める必要があるが、アラミド繊維は摩擦係数が小さく、かつ非常にしなやかなため、機械的な把持により引留めようとしても、把持部で滑りが生じ堅固な引留めが困難であるという問題があった。このため、エポキシ樹脂などの硬化性樹脂を用いた固着によって引留める方法などが考案されている(特許文献2)が、この方法は通常の一般的な電力ケーブルの端末処理に比べて非常に手数がかかるだけでなく、アラミド繊維を堅固に引留めるために必要な固着寸法を確保せねばならず、端末部の寸法が大きくなるという問題点があった。また、電力ケーブルは野外で用いられるものであるが、アラミド繊維には有機合成繊維の中では耐光性が比較的低いという問題もあった。
本発明はケーブル端末処理が容易でかつ耐光性に優れた高張力電力ケーブルを提供することにある。
本発明の高張力電力ケーブルは、導体を被覆する絶縁体の表面に内外2層の保護被覆層があり、かつ該両保護被覆層の間にポリエチレンナフタレート繊維からなる抗張力体が配置されることを特徴とする。
さらには、抗張力体が撚糸されたものであることや、抗張力体がビカット軟化点150℃以下の樹脂を含浸したものであること、抗張力体の引抜き力が80N以上であることが好ましい。
本発明によれば、ケーブル端末処理が容易でかつ耐光性に優れた高張力電力ケーブルが提供される。
本発明の高張力電力ケーブルは、導体を被覆する絶縁体の表面に内外2層の保護被覆層があり、かつ該両保護被覆層の間にポリエチレンナフタレート繊維からなる抗張力体が配置されるものである。
導体とそれを被覆する絶縁体は通常の電力ケーブルで用いられる公知のものであり、絶縁体としてはポリエチレンや架橋ポリエチレン等のプラスチック絶縁体が、内外2層の保護被覆層としてはポリエチレン、塩化ビニル等が用いられることが一般的である。そして導体を被覆する絶縁体の外側に存在する抗張力体としては、本発明の高張力電力ケーブルではポリエチレンナフタレート繊維を用いることを必須とする。
本発明で用いられるポリエチレンナフタレート繊維は、好ましくはポリマー繰り返し単位の90モル%以上、より好ましくは95%以上がエチレン−2,6−ナフタレート単位であるポリマーから形成された繊維であるが、ポリエチレン−2,6−ナフタレート以外に10モル%より少ない量ならば他の成分を含む共重合体であっても良い。また二酸化チタンなどの艶消し剤や、リン酸、亜リン酸及びそれらのエステルなどの安定剤が含まれても良いことは言うまでもない。このようなポリエチレンナフタレート繊維を用いることによって合成繊維であるにもかかわらず高い耐光性を有する電力ケーブルとすることができる。
抗張力体として用いられる繊維コードとしては、その単糸繊度が1〜50dtexの範囲であることや、繊維コードの総繊度としては500〜5万dtexの範囲であることが好ましい。単糸繊度が細過ぎると取り扱い性が悪くなる傾向にあり、太すぎると柔軟性が低下し、屈曲疲労性が悪化する傾向にある。このような繊維コードは200〜3000dtex程度の糸条を2〜20本程度引き揃え、無撚りのまま、あるいは撚りをかけたコードとして用いることが好ましい。また撚りの代わりに編組することも好ましい形態である。撚り等のピッチとしては2〜20mm程度が最適である。
繊維の強力としては、ケーブルとしたときの引き抜き接着力程度であれば十分であり、具体的には6cN/dtex以上であれば本発明の高張力電力ケーブルとすることができる。さらには7〜20cN/dtex、さらには8〜12cN/dtexであることが好ましい。いたずらに高強力である必要が無いのはアラミド繊維のように高強力であってもケーブルに成形した場合の引き抜き力がそれより小さいために、その強力の利用が100%発揮できるわけではないからである。繊維の弾性率としては150〜300cN/dtexの範囲であることが好ましい。抗張力体の引き抜き力としてはその総繊度にもよるが、通常80N以上であることが好ましく、さらには80〜200Nであることが好ましい。
また、このポリエチレンナフタレート繊維からなる抗張力体は内外2層の保護被覆層の間に配置されているが、その際抗張力体の繊維コードは前記撚り合わせ又は編組する各繊維束に予め樹脂を含浸するか、あるいは撚り合わせ又は編組に際して樹脂を塗布して、抗張力体に樹脂を含浸せしめることが好ましい。なお含浸に用いる樹脂としては、保護被覆層との接着させるため、例えばエステル型ポリウレタン樹脂のようなビカット軟化点50℃以上、さらには60〜200℃程度の樹脂を含浸することが好ましい。
また、外層の保護被覆層が抗張力体を取り囲むように被覆され、かつ内層被覆層と0.1kg/12.4mm以上の剥離力で接着していることが好ましい。
本発明の高張力電力ケーブルは、このような構成をとることによって、内外被覆層と抗張力体を構成する繊維間の摩擦力が高く、接着力とその抗張力体の強度のバランスが取れているためにケーブル端末処理を通常の方法で行うことができ、また張力印加時の長さ変化を抑え、良好な耐光性をも得る事ができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例における特性は下記の測定法によりおこなった。
(1)引き抜き力
電力ケーブル端末部のカシメ部の繊維把持力をモデル化するために、繊維を鏡面フェイス装着の平板チャックで10mm挟み、40kg/cm2でチャッキングした。これを万能引っ張り試験機で引張り、引き抜けるか断糸する力を測定した。
電力ケーブル端末部のカシメ部の繊維把持力をモデル化するために、繊維を鏡面フェイス装着の平板チャックで10mm挟み、40kg/cm2でチャッキングした。これを万能引っ張り試験機で引張り、引き抜けるか断糸する力を測定した。
(2)耐光強度維持率
光による劣化を測定するために、次のような測定を行った。
キセノンアークウェザオメーター(ATLAS Ci4000)で試料面放射照度150w/m2(300〜400nm、320nm以下カット)83℃、100hr照射を行い、照射前後の強力変化より、残存強力を算出した。
光による劣化を測定するために、次のような測定を行った。
キセノンアークウェザオメーター(ATLAS Ci4000)で試料面放射照度150w/m2(300〜400nm、320nm以下カット)83℃、100hr照射を行い、照射前後の強力変化より、残存強力を算出した。
(3)強力、弾性率
試長250mm、引張速度100mm/minにて強伸度測定を行った。
試長250mm、引張速度100mm/minにて強伸度測定を行った。
[実施例1]
ポリエチレンナフタレート繊維(1670dtex144fil 帝人テクノプロダクツ社製)を抗張体として用い、中心に導体、その周りに絶縁体としてポリエチレンを配し、絶縁体のさらに外側にはポリエチレンからなる内部保護被覆層と外部保護被覆層が抗張体を囲むように、そして内部保護被覆層と抗張体との剥離力は0.3kg/12.4mmとなるように接着を施した高張力電力ケーブルを作成した。抗張体として用いたポリエチレンナフタレート繊維の耐光強力維持率は86%であった。またその他の繊維物性を表1に記す。
ポリエチレンナフタレート繊維(1670dtex144fil 帝人テクノプロダクツ社製)を抗張体として用い、中心に導体、その周りに絶縁体としてポリエチレンを配し、絶縁体のさらに外側にはポリエチレンからなる内部保護被覆層と外部保護被覆層が抗張体を囲むように、そして内部保護被覆層と抗張体との剥離力は0.3kg/12.4mmとなるように接着を施した高張力電力ケーブルを作成した。抗張体として用いたポリエチレンナフタレート繊維の耐光強力維持率は86%であった。またその他の繊維物性を表1に記す。
抗張力体としては、エステル型のビカット軟化点80℃のポリウレタン樹脂を含浸した1670dtexを2本引き揃えた抗張力繊維を4本、ピッチ約10mmで撚合わせ、硬化させた構成のものを使用し、抗張力体16本を内外保護被覆層間に全周にわたって均一に縦添えさせたものである。
得られた高張力電力ケーブルの4900N荷重時の伸度は1.0%と非常に小さいものであり、ケーブル端末の引留金具も通常のものを使用することが可能であった。また耐光強力維持率も優れたものであった。
[比較例1]
ポリエチレンナフタレート繊維の代わりに、抗張力繊維として芳香族ポリアミド繊維(テクノーラ、T200、1670dtex1000fil、帝人テクノプロダクツ社製)を用い、その他の条件は実施例1と同様の条件にて高張力電力ケーブルを作成した。抗張体として用いた芳香族ポリアミド繊維の繊維物性を表1に併せて記す。
ポリエチレンナフタレート繊維の代わりに、抗張力繊維として芳香族ポリアミド繊維(テクノーラ、T200、1670dtex1000fil、帝人テクノプロダクツ社製)を用い、その他の条件は実施例1と同様の条件にて高張力電力ケーブルを作成した。抗張体として用いた芳香族ポリアミド繊維の繊維物性を表1に併せて記す。
得られた高張力電力ケーブルの4900N荷重時の伸度は0.8%と非常に小さいものであったものであったが、引き抜き力が弱いためケーブル端末の引留金具としては特殊なものを使用しなければいけなかった。また耐光強力維持率は低いものであった。
Claims (4)
- 導体を被覆する絶縁体の表面に内外2層の保護被覆層があり、かつ該両保護被覆層の間にポリエチレンナフタレート繊維からなる抗張力体が配置されることを特徴とする高張力電力ケーブル。
- 抗張力体が撚糸されたものである請求項1記載の高張力電力ケーブル。
- 抗張力体がビカット軟化点150℃以下の樹脂を含浸したものである請求項1または2記載の高張力電力ケーブル。
- 抗張力体の引抜き力が80N以上である請求項1〜3のいずれか1項記載の高張力電力ケーブル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006057683A JP2007234520A (ja) | 2006-03-03 | 2006-03-03 | 高張力電力ケーブル |
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JP2006057683A JP2007234520A (ja) | 2006-03-03 | 2006-03-03 | 高張力電力ケーブル |
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JP2007234520A true JP2007234520A (ja) | 2007-09-13 |
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JP (1) | JP2007234520A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011058145A (ja) * | 2009-09-14 | 2011-03-24 | Teijin Fibers Ltd | 抗張力体およびそれを用いてなる高張力電圧ケーブル |
KR101205423B1 (ko) | 2011-11-10 | 2012-11-27 | 엘에스전선 주식회사 | 도체 보호구조가 개선된 전력케이블 |
JP2013204164A (ja) * | 2012-03-27 | 2013-10-07 | Teijin Ltd | 抗張力体 |
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2006
- 2006-03-03 JP JP2006057683A patent/JP2007234520A/ja active Pending
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