JP2007232559A - Fret検出方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドナー分子及びアクセプター分子からなるサンプルについて、短時間に多数のサンプルのFRET検出を行うFRET検出方法及び装置を提供する。
【解決手段】本発明のFRETの検出は、まず、周波数f+Δfで強度変調したドナー分子励起用の第1のレーザ光をドナー分子に照射するとともに、周波数fで強度変調したアクセプター分子励起用の第2のレーザ光をアクセプター分子に照射し、アクセプター分子が発する蛍光を受光する。受光した蛍光の蛍光信号から、FRETによりアクセプター分子が発する蛍光の第1の信号成分と、第2のレーザ光の照射により励起したアクセプター分子が発する蛍光の第2の信号成分とを抽出する。抽出した第1の信号成分の位相遅れと、抽出した第2の信号成分の位相遅れとを算出し、これらの位相遅れに基づいて、FRETの発生の有無を判定する。
【選択図】図4

Description

本発明は、レーザ光の照射によって励起された第1の分子が発する蛍光が励起光として第2の分子を励起し、この励起された第2の分子が発する蛍光を受光することによって、第1の分子のエネルギーが第2の分子のエネルギーに移動するFRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer:蛍光共鳴エネルギー移動)を検出する方法及び装置に関する。具体的には、蛍光分子であるドナー分子と蛍光分子であるアクセプター分子との対に関して、両分子の相互作用を蛍光によって検出するFRET検出技術に関する。
現在、医療、創薬、食品産業におけるポストゲノム関連技術として、タンパク質の機能解析が重要となっている。特に、細胞の作用を解析するために、生細胞における生体物質であるタンパク質と、他のタンパク質や低分子化合物との間の相互作用(結合、分離)の研究が必要である。
このようなタンパク質の他のタンパク質や低分子化合物との間の相互作用について、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)現象を利用して解析することが最近行われている。すなわち、数ナノメータの領域での分子間の相互作用を蛍光を用いて検出する。このようなFRET現象を利用した検出は、主に顕微鏡システムを用いて行われる。
下記特許文献1は、FRETを用いた一分子蛍光解析を開示している。この文献では、FRET現象を用いて、受光した蛍光に基づいて蛍光相関分析法又は蛍光強度分布解析を行う。しかし、この方法では、短時間にFRETの検出を行うことのできる細胞等のサンプル数は、せいぜい数十個程度に限られており、多くの細胞を解析対象として短時間に統計的に解析することは難しい。
特開2005−207823号公報
そこで、本発明は、上記問題点を解決するために、ドナー分子及びアクセプター分子を含むサンプルについて短時間に多数のサンプルを解析することのできるFRET検出方法及び装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、レーザ光の照射によって励起された第1の分子が発する蛍光が励起光として第2の分子を励起し、この励起された第2の分子が発する蛍光を受光することによって、第1の分子のエネルギーが第2の分子に移動するFRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer)を検出するFRET検出方法であって、第1の分子を励起するために、第1の周波数で強度変調した第1のレーザ光を第1の分子に照射するとともに、第2の分子を励起するために、第1の周波数と異なる第2の周波数で強度変調した第2のレーザ光を第2の分子に照射するステップと、第2の分子が発する蛍光を受光するステップと、受光した第2の分子が発する蛍光の蛍光信号のうちの前記第1の周波数の信号成分の、第1のレーザ光の強度変調に対する第1の位相遅れと、受光した前記第2の分子が発する蛍光の蛍光信号のうちの前記第2の周波数の信号成分の、第2のレーザ光の強度変調に対する第2の位相遅れとを取り出し、この第1の位相遅れと第2の位相遅れとに基づいて、第1の分子のエネルギーが第2の分子に移動するエネルギー移動を検出するステップと、を有することを特徴とするFRET検出方法を提供する。
ここで、前記エネルギー移動は、前記第2の位相遅れに対する前記第1の位相遅れの比によって検定されることが好ましい。
又、前記第1のレーザ光は、前記第1のレーザ光の強度変調のために第1の周波数を有する第1の変調信号を用いて強度変調され、前記第2のレーザ光は、前記第2のレーザ光の強度変調のために第2の周波数を有する第2の変調信号を用いて強度変調され、前記第1の周波数の変調信号は、前記第2の周波数の変調信号に、前記差分周波数の生成信号を合成して得られた信号であり、受光した前記第2の分子が発する蛍光の蛍光信号は、前記差分周波数の生成信号に同期して、前記差分周波数の整数倍の周波数をサンプリング周波数としてサンプリングされることが好ましい。その際、前記サンプリングされた蛍光信号を前記差分周波数の整数分の1の周波数を周波数分解能として周波数分析をすることにより、前記蛍光信号のうちの前記第1の周波数の信号成分と蛍光信号のうちの前記第2の周波数の信号成分とを抽出することが好ましい。
又、前記第2の分子が発する蛍光を受光する際、さらに、前記第1の分子が発する蛍光を受光し、受光した前記第1の分子の発する蛍光の蛍光信号の、第1のレーザ光の強度変調に対する第3の位相遅れを算出し、この第3の位相遅れをFRETの検出に用いることもできる。
本発明は、さらに、レーザ光の照射によって励起された第1の分子が発する蛍光が励起光として第2の分子を励起し、この励起された第2の分子が発する蛍光を受光することによって、第1の分子のエネルギーが第2の分子に移動するFRETを検出するFRET検出装置であって、第1の分子を励起するために、第1のレーザ光を第1の分子に照射するとともに、第2の分子を励起するために、第2のレーザ光を第2の分子に照射するレーザ光源部と、第2の分子が発する蛍光を受光する受光部と、前記レーザ光源部から出射する第1のレーザ光を第1の周波数で強度変調させ、かつ前記レーザ光源部から出射する第2のレーザ光を第1の周波数と異なる第2の周波数で強度変調させるために、変調信号を生成する光源制御部と、受光した第2の分子が発する蛍光の蛍光信号のうちの前記第1の周波数の信号成分の、第1のレーザ光の強度変調に対する第1の位相遅れと、受光した前記第2の分子が発する蛍光の蛍光信号のうちの前記第2の周波数の信号成分の、第2のレーザ光の強度変調に対する第2の位相遅れとを取り出し、この第1の位相遅れと第2の位相遅れとに基づいて、第1の分子のエネルギーが第2の分子に移動するエネルギー移動を検定する処理部と、を有することを特徴とするFRET検出装置を提供する。
その際、前記処理部は、前記第2の位相差に対する前記第1の位相差の比によって前記エネルギー移動を検定することが好ましい。
又、前記光源制御部は、前記第1のレーザ光を、前記第1のレーザ光の強度変調のために第1の周波数を有する第1の変調信号を用いて強度変調させ、前記第2のレーザ光を、前記第2のレーザ光の強度変調のために第2の周波数を有する第2の変調信号を用いて強度変調させ、前記第1の周波数の変調信号は、前記第2の周波数の変調信号に、前記差分周波数の生成信号を合成して得られた信号であり、前記処理部は、受光した前記第2の分子が発する蛍光の蛍光信号を、前記差分周波数の生成信号に同期して、前記差分周波数の整数倍の周波数をサンプリング周波数としてサンプリングすることが好ましい。その際、前記処理部は、前記サンプリングされた蛍光信号を前記差分周波数の整数分の1の周波数を周波数分解能として周波数分析をすることにより、前記蛍光信号のうちの前記第1の周波数の信号成分と前記蛍光信号のうちの前記第2の周波数の信号成分とを抽出することが好ましい。
又、前記受光部は、前記第2の分子が発する蛍光の他に、前記第1の分子が発する蛍光を受光し、前記処理部は、前記受光部で受光した第1の分子が発する蛍光の蛍光信号の、第1のレーザ光の強度変調に対する第3の位相遅れを算出し、この第3の位相遅れをFRETの検出に用いることもできる。
本発明は、第1の分子の励起用レーザ光と、第2の分子の励起用レーザ光とを用い、これらのレーザ光を所定の周波数で強度変調を行い、かつ、そのときの強度変調の周波数を、蛍光の識別のために周波数をずらす。さらに、これらのレーザ光によって発する蛍光の受光後、強度変調の周波数が異なることを利用してこの2つの周波数における第2の分子が発する蛍光の位相遅れを求め、これらの位相遅れを用いてFRETを検出する。このような信号処理は短時間にできるので、短時間に効率よくサンプルの測定ができ、統計的にFRET検出結果を纏めることができる。
特に、上記2つの位相遅れの比は、FRETの発生により大きく変化する。このため、この比の値を用いることで、FRET効率が低い場合でもFRETの検出を精度良く行うことができる。又、本発明を、フローサイトメータに適用すると、一定速度で測定点を通過するサンプルからの蛍光の信号処理を行うことでFRETの検出ができるので、短時間に効率よくサンプルの測定ができ、統計的にFRET検出結果を纏めることができ、注目する分子の相互作用を効率良く調べることができる。
以下、本発明のFRET検出方法及び装置について詳細に説明する。
図1は、本発明のFRET検出装置の一実施形態であるフローサイトメータ10の概略構成図である。
フローサイトメータ10は、レーザ光の照射によって励起された第1の分子(ドナー分子)が発する蛍光を励起光として第2の分子(アクセプター分子)を励起し、この励起されたアクセプター分子が発する蛍光を受光することによって、ドナー分子のエネルギーがアクセプター分子のエネルギーに移動するか否かを判定するものである。このようなエネルギー移動の検出のために、ドナー分子及びアクセプター分子に照射するレーザ光は、一定の周波数で強度変調され、このレーザ光の照射に応答して発する蛍光の位相遅れを、以下に示すように測定することにより、FRETの発生を検出することを特徴とする。
フローサイトメータ10は、レーザ光の照射により蛍光するドナー分子及びアクセプター分子のサンプル12を一定速度で流し、このときサンプル12にレーザ光を照射し、このサンプル12が発する蛍光の蛍光信号を検出する検出部20と、検出部20で得られた処理結果からサンプル12においてFRETが発生しているか否かの検出を行なう分析装置(コンピュータ)80とを有する。
検出部20は、レーザ光源部22と、受光部24,26と、レーザ光源部22からのレーザ光を所定の周波数で強度変調させる制御部、及びサンプル12からの蛍光信号を処理する処理部を有する制御・処理部28と、高速流を形成するシース液とともにサンプル12を流してフローセルを形成する管路30と、を有する。
管路30の出口には、回収容器32が設けられている。
レーザ光源部22は、ドナー分子及びアクセプター分子がレーザ光を吸収して励起状態となる所定の波長のレーザ光を出射するドナー励起光源22a及びアクセプター励起光源22bを有する。
図2は、レーザ光源部22の概略構成図である。
ドナー励起光源22aは、ドナー分子を励起するレーザ光を出射する光源である。アクセプター励起光源22bは、アクセプター分子を励起するレーザ光を出射する光源である。ドナー分子を励起するレーザ光と、アクセプター分子を励起するレーザ光とは、ドナー分子、アクセプター分子をそれぞれ好適に励起することができるように波長帯域が異なっている。例えば、ドナー分子としてCFP(Cyan Fluorescent Protein)を用いる場合、波長405〜440nmのレーザ光が用いられ、アクセプター分子としてYFP(Yellow Fluorescent Protein)を用いる場合、波長470〜530nmのレーザ光が用いられる。レーザ光源部22は、このような可視光帯域の連続波のレーザ光を所定の周波数で強度変調して出射する部分である。
各光源のレーザ光の光路上には、レーザ光を同一位置に集束する光学レンズ23a,23bが設けられ、この集束位置を測定対象のサンプル12が通過するようになっている。
各レーザ光源には、それぞれの光源を駆動してレーザ光を出射させるレーザドライバ34a,34bが接続されており、レーザドライバ34a,34bは、後述する信号生成部(図4参照)40からの信号によって、レーザ光を強度変調するように制御される。
レーザ光を出射するドナー励起光源22a及びアクセプター励起光源として例えば半導体レーザが用いられ、例えば5〜100mW程度の出力でレーザ光が出射される。レーザ光の強度変調の周波数(変調周波数)は、その強度変調の周期がドナー分子、アクセプター分子が発する蛍光の蛍光緩和時間に比べて長く、例えば10〜100MHzである。ドナー分子を励起するためのレーザ光とアクセプター分子を励起するためのレーザ光とは、強度変調の周波数が100kHz〜2MHz異なり、ドナー分子を励起するレーザ光の強度変調の周波数が高くなっている。本発明においては、アクセプター分子を励起するレーザ光の強度変調の周波数がドナー分子を励起するためのレーザ光の強度変調の周波数に比べて高くてもよい。このように、レーザ光の強度変調の周波数を僅かに変えるのは、後述するように、受光した蛍光の蛍光信号の処理が短時間に行われるようにするためである。
レーザ光源部22は、レーザ光がドナー分子及びアクセプター分子をそれぞれ励起して特定の波長帯域の蛍光を発するように、予め定められた波長帯域で発振する。レーザ光によって発する蛍光は、サンプル12中のドナー分子及びアクセプター分子の発する蛍光であり、サンプル12は管路30を通過する際、測定点でレーザ光の照射を受けて蛍光分子特有の波長で蛍光を発する。
受光部24は、管路30を挟んでレーザ光源部22と対向するように配置されており、測定点を通過するサンプル12によってレーザ光が前方散乱することにより、サンプル12が測定点を通過する旨の検出信号を出力する光電変換器を備える。この受光部24から出力される信号は、制御・処理部28に供給され、制御・処理部28において標識サンプル12が管路30中の測定点を通過するタイミングを知らせるトリガ信号として用いられる。
一方、受光部26は、レーザ光源部22から出射されるレーザ光の出射方向に対して直交方向であって、かつ管路30中のサンプル12の移動方向に対して直交方向に配置されている。受光部26は、測定点にて照射されたサンプル12が発する蛍光を受光するフォトマルチプライヤ(光電子倍増管)やアバランシュフォトダイオード等の光電変換器が用いられる。
図3は、受光部26の一例の概略の構成を示す概略構成図である。
図3に示す受光部26は、サンプル12からの蛍光の蛍光信号を集束させるレンズ系26aと、ダイクロイックミラー26bと、バンドパスフィルタ26c,26c2と、光電子倍増管やアバランシュフォトダイオード等の光電変換器27a,27bと、を有する。
レンズ系26aは、受光部26に入射した蛍光を光電変換器27a,27bの受光面に集束させるように構成される。
ダイクロイックミラー26bは、アクセプター分子の蛍光を透過し、ドナー分子の蛍光を反射させるように、反射、透過の波長特性が定められて構成されたミラーである。バンドパスフィルタ26c,26c2でフィルタリングして光電変換器27a,27bは、それぞれドナー分子の蛍光及びアクセプター分子の蛍光所定の波長帯域の蛍光を取り込む。したがって、光電変換器27aは、ドナー分子の発する蛍光を受光し、光電変換器27bは、アクセプター分子の発する蛍光を受光する。
バンドパスフィルタ26c,26c2は、各光電変換器27a,27bの受光面の前面に設けられ、所定の波長帯域の蛍光のみが透過するフィルタである。透過する蛍光の波長帯域は、ドナー分子の蛍光及びアクセプター分子の蛍光の波長帯域に対応して設定されており、互いに異なる波長帯域となっている。
光電変換器27a,27bは、例えば光電子倍増管を備えたセンサを備え、光電面で受光した光を電気信号に変換するセンサである。ここで、受光する蛍光は強度変調されたレーザ光の照射によって発する位相が遅れた蛍光であり、この蛍光は、位相遅れの情報を持った光信号として受光される。このため、出力される電気信号は位相差の信号情報を持った蛍光信号となる。この蛍光信号は、制御・処理部28に供給され、増幅器で増幅される。
制御・処理部28は、図4に示すように、信号生成部40と、信号処理部42と、コントローラ44と、を有して構成される。信号生成部40は、所定の周波数の変調信号を生成する本発明の光源制御部を形成する。又、コントローラ44及び後述の分析装置80は、本発明における処理部を形成する。
信号生成部40は、レーザ光の強度を所定の周波数で変調(振幅変調)するための変調信号を生成する部分である。
具体的には、信号生成部40は、発振器46,47、パワースプリッタ48及びSSB(Single Side Band)変調器50及びアンプ52を有し、生成される変調信号を、レーザ光源部22のレーザドライバ34a,34bに供給するとともに、信号処理部42に供給する部分である。信号処理部42に変調信号を供給するのは、後述するように、光電変換機27a,27bから出力される蛍光信号の位相差検出のための参照信号として用いるためである。なお、変調信号は、所定の周波数の正弦波信号であり、10〜100MHzの範囲の周波数に設定される。レーザドライバ34bに供給する変調信号の周波数をfとすると、fは上述したようにアクセプター分子を励起するレーザ光の変調信号の周波数であり、10〜100MHzである。レーザドライバ34aに供給する変調信号の周波数は、ドナー分子を励起するレーザ光の周波数であり、f+Δfとなる。このときのΔfは、100kHz〜2MHzであり、f=10〜100MHzに比べてその周波数は小さい。
発振器46は、周波数fの正弦波信号を生成し、発振器47は周波数Δfの正弦波信号を生成する。SSB変調器50は、周波数fの正弦波信号に周波数Δfの正弦波信号を合成して、高周波側の合成信号(USB信号)である周波数f+Δfの正弦波信号を生成する。この正弦波信号は、変調信号としてレーザドライバ34aに供給される。レーザドライバ34bには、パワースプリッタ48から周波数fの正弦波信号が変調信号として供給される。
図5は、SSB変調器50のブロック構成図である。
SSB変調器50は、90度ハイブリッド50a、ミキサ50b,50c、90度位相器50d、180度ハイブリッド50eを有して構成される。
90度ハイブリッド50aは、発振器46から供給される周波数fの正弦波信号の位相を0度及び90度に分離するハイブリッドリングを備える高周波素子であり、0度及び90度に分離された正弦波信号をミキサ50b,50cに供給する。一方、90度位相器50dは、発振器47から供給された周波数Δfの正弦波信号を位相0度及び90度に変えてミキサ50b,50cに供給する。
180度ハイブリッド50eは、受光信号の位相を0度及び180度に分離するハイブリッドリングを備える高周波素子であり、端子の一方では、正弦波信号の位相情報を保持したまま、高周波側に周波数ΔfシフトさせたUSB信号が生成され、他方の端子では、受光信号の位相情報を保持したまま、低周波側に周波数ΔfシフトさせたLSB信号が生成される。
SSB変調器50は、USB信号を出力してレーザドライバ34aに供給する。
信号処理部42は、光電変換器27a,27bから出力される蛍光信号を用いて、レーザ光の照射によりサンプル12が発する蛍光の位相遅れに関する情報(位相差)を抽出する部分である。信号処理部42は、光電変換器27a,27bから出力される蛍光信号を増幅するアンプ54a,54bと、増幅された蛍光信号のそれぞれを信号生成部40から供給された周波数fの正弦波信号である変調信号を分配するパワースプリッタ56、及び増幅された蛍光信号を上記変調信号に合成するIQミキサ58a,58bを有する。
IQミキサ58a,58bは、光電変換器27a,27bから供給されるドナー分子の蛍光及びアクセプター分子の発する蛍光の蛍光信号を、信号生成部40から供給される変調信号を参照信号として同期して合成するために、光電変換器27a,27bの別に設けられている。変調信号を参照信号として同期して合成することで、後述するように、蛍光の位相遅れを求めることができる。
具体的には、IQミキサのそれぞれは、参照信号を蛍光信号(RF信号)と乗算して、蛍光信号のcos成分(実数部)と高周波成分を含む処理信号を算出するとともに、参照信号の位相を90度シフトさせた信号を蛍光信号と乗算して、蛍光信号のsin成分(虚数部)と高周波成分を含む処理信号を算出する。処理信号は、ドナー分子の発した蛍光の信号及びアクセプター分子の発した2つの蛍光の信号である。このcos成分を含む処理信号及びsin成分を含む処理信号は、コントローラ44に供給される。
コントローラ44は、信号生成部40に周波数f及びΔfの正弦波信号を生成させるように制御するとともに、信号処理部42にて求められた蛍光信号のcos成分及びsin成分を含む処理信号から、高周波成分を取り除いて蛍光信号のcos成分及びsin成分を求める部分である。
具体的には、コントローラ44は、各部分の動作制御のための指示を与えるとともに、フローサイトメータ10の全動作を制御管理するシステム制御器60と、信号処理部42で演算されたcos成分、sin成分に高周波成分が加算された処理信号から高周波成分を取り除くローパスフィルタ62と、高周波成分の取り除かれたcos成分、sin成分の処理信号を増幅するアンプ64と、増幅された処理信号をサンプリングするA/D変換器66と、を有する。A/D変換器66では、高周波成分の取り除かれたcos成分、sin成分の処理信号がサンプリングされて、分析装置80に供給される。サンプリングは、上述の周波数Δfの整数倍(好ましくは3倍以上の整数倍)の周波数をサンプリング周波数とする。ローパスフィルタ62は、A/D変換器66によるデジタル化のときのアンチエリアジングのために、かつ周波数Δfの信号成分を通過させるために、周波数特性が定められる。
分析装置80は、供給された処理信号を用いて、上述したΔfの正弦波信号に同期させて、Δfの整数分の1の周波数を周波数分解能とする周波数分析を行い、周波数分析を行った0Hzにおける振幅と位相を求めるとともに、周波数Δfにおける処理信号の振幅と位相を求める。求められた位相は、上述したように周波数fにおける正弦波信号を参照信号として同期して合成された処理信号に基づくため、これらの位相は、上記正弦波信号(レーザ光の強度変調)に対する位相遅れとなっている。又、処理信号は、上述したように、レーザ光の照射によりドナー分子の発する蛍光の蛍光信号に由来するものと、アクセプター分子の発する蛍光の蛍光信号に由来するものとを含むので、この2つの蛍光信号を分離するために、周波数0Hzと周波数Δfにおける振幅と位相が別々に取り出される。
分析装置80は、アクセプター分子の発する蛍光の処理信号の0Hzにおける位相と、周波数Δfにおける位相を求め、周波数Δfにおける位相の、0Hzにおける位相に対する比を算出し、この比の値の大小によって、上述したFRET発生の有無を判定する。例えば、上記比が予め設定された閾値を超えた場合、FRETの発生として判定する。
このように、アクセプターの発する蛍光の処理信号の0Hzにおける位相と周波数Δfにおける位相を用いるのは、0Hzにおける処理信号の位相は、アクセプター分子が周波数fで強度変調されたレーザ光の照射によって発した蛍光の位相遅れを表し、周波数Δfにおける処理信号の位相は、周波数f+Δfで強度変調されたレーザ光の照射によって発したドナー分子の蛍光を励起光としてアクセプター分子が吸収し、この結果励起したアクセプター分子が発する蛍光の位相遅れ、つまり、FRETの発生により生じた位相遅れを表すからである。
周波数Δfにおける処理信号の位相、すなわちFRETの発生により生じた位相遅れは、後述するように、レーザ光が照射されて発するドナー分子の蛍光の蛍光放射速度及びFRETの発生速度と、FRETを介して励起したアクセプター分子が発する蛍光の蛍光放射速度と、レーザ光が照射されたアクセプター分子が発する蛍光の蛍光放射速度によって表される。また、0Hzにおける処理信号の位相、すなわちレーザ光の照射によって発した蛍光の位相遅れは、後述するように、レーザ光の照射されてアクセプター分子が発する蛍光の蛍光放射速度によって表される。このため、後述するように、位相遅れの比を求めることで、FRETの発生の有無を判定することができる。特に、FRETの速度はドナー分子の蛍光放射速度及びアクセプター分子の蛍光放射速度に比べてその値が極めて小さい場合が多く、さらにドナー分子及びアクセプター分子の放射速度が比較的等しい場合、上記比の値は2になる。したがって、分析装置80は、測定結果である位相遅れの比を算出することにより、FRETの発生を上記比の値によって比較的容易に検出することができる。
また、FRETが発生したとき、ドナー分子が発する蛍光の処理信号のΔfHzにおける位相は、FRETの発生に応じて変わる。この位相の変化を用いてFRETの発生を検出することもできる。すなわち、ドナー分子の発する蛍光の蛍光信号から、ドナー分子の励起用のレーザ光の強度変調に対する位相遅れを取り出し、この位相遅れをFRETの検出に用いることもできる。
勿論、分析装置80では、処理信号の0Hz及び周波数Δfにおける振幅を用いて、ドナー分子及びアクセプター分子が発する蛍光強度を定量的に求めることもでき、周波数Δfにおける蛍光強度によって、FRETの発生を検出することもできる。
以上が、本発明を実施するフローサイトメータ10の説明である。
次に、このフローサイトメータ10で行われるFRETの検出方法を説明する。図6は、FRETの発生の検出の流れを示すフローチャートである。
まず、コントローラ44からの指示により、周波数fの正弦波信号を発振器46に発生させ、さらに周波数Δfの正弦波信号を発振器47に発生させる。周波数fの正弦波信号は、パワースプリッタ48で分けられ、一方は、SSB変調器50に、他方はアンプ52に供給される。周波数Δfの正弦波信号はSSB変調器50に供給される。
SSB変調器50では、供給された周波数fの正弦波信号は周波数Δfの正弦波信号と合成されて、高周波側の合成信号である周波数f+Δfの正弦波信号が生成され、レーザドライバ34aに強度変調信号として供給される。
一方、パワースプリッタ48で分けられた周波数fの正弦波信号は、レーザドライバ34bに強度変調信号として供給される。
この状態で、サンプル12が管路30を流れ、シースフローが形成される。シースフローは、例えば100μmの流路径に1〜10m/秒の流速を有する。また、サンプル12にはレーザ光の照射により蛍光を発するドナー分子とアクセプター分子が含まれる。
レーザ光は、ドナー励起光源22aから周波数f+Δfで強度変調されたレーザ光と、アクセプター励起光源22bから周波数fで強度変調されたレーザ光とが同時にサンプル12に向けて照射される(ステップS10)。
測定点でこれらのレーザ光による照射が成され、受光部24でサンプル12の通過を検出すると、検出信号がコントローラ44にトリガ信号として出力される。
信号処理部42及びコントローラ44では、この検出信号をトリガ信号として、ドナー分子が発する蛍光の受光が光電変換器27aにて、アクセプター分子が発する蛍光の受光が光電変換器27bにてそれぞれ開始されて、受光された蛍光の蛍光信号の信号処理が行われる(ステップS20)。
具体的には、アンプ52から供給された周波数fの正弦波信号を参照信号として、IQミキサ54a,54bで合成され、cos成分、sin成分に高周波成分が加算された処理信号が生成される。この処理信号は、コントローラ44に供給される。
コントローラ44では、フィルタリング処理が行われ、cos成分、sin成分に高周波成分が加算された処理信号から高周波成分が取り除かれ、蛍光信号のcos成分、sin成分からなる処理信号が取り出される。この信号は、アンプ64を介してA/D変換器66に供給される。
ここで、コントローラ44のシステム制御器60には、発振器47にて生成される周波数Δfの正弦波信号の整数倍の周波数(n・Δf)を持つ信号が供給され、この信号に同期してA/D変換器66にてドナー分子の発する蛍光の処理信号及びアクセプター分子の発する蛍光の処理信号のサンプリングが行われる(ステップS30)。
こうしてデジタル化された処理信号は、分析装置80に供給される。
分析装置80では、サンプリングされたアクセプター分子の蛍光の処理信号に対して周波数分析が行われる(ステップS40)。周波数分析は、周波数Δfの整数分の1の周波数を周波数分解能として、行われる。周波数分析後の、0Hzにおける処理信号の成分は、アクセプター分子にレーザ光が照射されて発した蛍光の蛍光信号成分である。周波数Δfにおける処理信号の成分は、FRETにより発したアクセプター分子の蛍光の蛍光信号成分である。このように、蛍光信号成分は、レーザ光の強度変調の周波数の違いを利用して取り出される。
得られた周波数分析の結果から、0Hzにおけるアクセプター分子の蛍光の処理信号の位相に対する、ΔfHzにおけるアクセプター分子の蛍光の処理信号の位相遅れの比を求める。この比が予め設定された閾値と比較され、この閾値を超える場合、FRETが発生したと判定することで、FRETの検出が行われる(ステップS50)。
その際、アクセプター分子の蛍光の処理信号の他に、ドナー分子の蛍光の処理信号の位相遅れの比を求め、この比を用いて、FRETの検出を綜合的に行うこともできる。
最後に、フローサイトメータ10にて測定点を通過して測定されるサンプル数が所定の数に達したか、例えばサンプル数が1000に達したか否かを判定し、サンプル数が所定の数に達するまで測定を続ける。
このように、強度変調したレーザ光をサンプル中のドナー分子に照射してアクセプター分子から発する蛍光を受光し、信号処理し、レーザ光の強度変調に対する位相遅れを求めることで、FRETの発生の有無の判定を短時間に行うことができ、測定点を通過するサンプルのFRETの検出を効率よく行うことができる。
図7は、ドナー分子のエネルギー吸収と蛍光及びアクセプター分子の吸収と蛍光のスペクトルの例を示す図である。図8は、FRETの発生を判り易く説明した説明図である。
図7では、ドナー分子がCFP(Cyan Fluorescent Protein)、アクセプター分子がYFP(Yellow Fluorescent Protein)であるときのエネルギーの吸収、蛍光放射の特性を示している。図7中、曲線A1はCFPのエネルギー吸収スペクトルを、曲線A2はCFPの蛍光放射スペクトルを、曲線B1はYFPのエネルギー吸収スペクトルを、曲線B2はYFPの蛍光放射スペクトルをそれぞれ示す。図7中、斜線の部分は、CFPが放射した蛍光をYFPがエネルギー吸収して、FRETが生じる波長帯域を示す。
一般に、FRETは、ドナー分子がレーザ光により励起され、その一部分が蛍光を放射し、一部のエネルギーはクーロン相互作用によりアクセプター分子へ流れる。このエネルギー移動は、2nm以下の極めて至近距離によって生じるものであり、このエネルギー移動が、分子の相互作用(結合)を表す。したがって、エネルギー移動が起きることで、アクセプター分子が励起されてアクセプター分子から蛍光が放射される。このとき、図7に示すように、ドナー分子の蛍光放射波長帯域と、アクセプター分子のエネルギー吸収の波長帯域とが一部分で重なっていることが、FRETの発生において必要である。
本発明では、図8に示すように、周波数f+Δfで強度変調したレーザ光が照射されたドナー分子は蛍光を放射し、その蛍光がアクセプター分子を励起して、周波数f+Δfで蛍光強度の変化する蛍光をアクセプター分子は放射する。同時に、周波数fで強度変調されたレーザ光が照射されたアクセプター分子は周波数fで蛍光強度が変化する蛍光を放射する。これによって、周波数f+Δfの蛍光と周波数fの蛍光を同時に受光するが、この2つの蛍光の蛍光信号は、上記周波数の違いによって分離することができる。
このようなFRETの現象を、1次の緩和過程により以下のように簡単に説明することができる。具体的に、FRET現象は、以下の方程式で規定される。
Figure 2007232559
ここで、Wdはドナー分子の励起状態密度、Waはアクセプター分子の励起状態密度、kdはドナー分子の蛍光放射速度、kaはアクセプターの蛍光放射速度、kdaはFRET速度をそれぞれ表す。また、pejωtはレーザ光により単位時間に励起される状態密度であり、ωは2πf(fは強度変調の周波数)を表す(角周波数)。
ここで、Wd及びWaは角周波数ωを用いて下記式(3)、(4)で表される。
Figure 2007232559
上記式(3)、(4)におけるWd、Waの位相は、下記式(5),(6)となる。
一方、レーザ光がアクセブター分子を直接励起して蛍光を発するとき、蛍光は下記式(7)にしたがって表される。
Figure 2007232559
Figure 2007232559
レーザ光の照射により励起したアクセプター分子が蛍光を発するとき、Waは、上記式(7)から下記式(8)で表され、下記式(9)に示す位相を生じる。
Figure 2007232559
Figure 2007232559
このとき、上記式(6)及び式(9)から位相の比を求めると、下記式(10)のようになる。
Figure 2007232559
上記式(10)で求められる比は、アクセプター分子に直接レーザ光を照射したときの位相遅れに対する、ドナー分子にレーザ光を照射しFRETを介してアクセプター分子が発する蛍光の位相遅れの比を表す。したがって、この比の値と予め設定された閾値とを比較して、比の値が閾値よりが大きい場合FRETが発生していると判定する。
特に、多くのドナー分子及びアクセプター分子において、kd,ka>>kdaであるので、上記式(10)は、下記式(11)のように表すことができ、kd,kaにて比を表すことができる。さらに、ω2<<kd・kaのとき、上記比は、下記式(12)のように表される。
特に、上記放射速度kd,kaが比較的等しい場合、上記式(12)で定まる比の値は2になる。したがって、分析装置80では、アクセプター分子の放射する蛍光の測定結果である位相遅れの比を算出することにより、FRETの発生の有無を精度良く判定することができる。
Figure 2007232559
Figure 2007232559
フローサイトメータ10では、単独のドナー分子をレーザ光で照射したときの蛍光の位相遅れと、レーザ光を照射してアクセプター分子との間でFRETが発生したときのドナー分子の蛍光の位相遅れとの比を求めることもできるが、アクセプター分子における位相遅れの比の値が上述したように2になるとき、ドナー分子における位相遅れの比の値は1近傍の値となり、アクセプター分子における位相遅れの比に比べてFRETの検出が難しくなる。このため、本発明では、アクセプター分子の蛍光の位相遅れの比を求める。勿論、アクセプター分子の蛍光の位相遅れの比に加えて、ドナー分子の蛍光の位相遅れの比を用いてFRETを綜合的に検出することもできる。
従来、ドナー分子の励起用レーザ光をドナー分子に照射し、FRETを介して発するアクセプター分子の蛍光強度を測定する方法が行われている。しかし、この方法の場合、アクセプター分子がドナー分子の励起用レーザ光によって励起されて蛍光を発することもあり、FRETにより励起されたアクセプター分子の発する蛍光の他、ドナー分子の励起用レーザ光によって励起されて発するアクセプター分子の蛍光を余分に受光する。このため、発生効率の低いFRETの場合FRETの誤検出を行うといった問題が生じる。しかし、本発明は、ドナー分子の励起用レーザ光と、アクセプター分子の励起用レーザ光とを用い、これらのレーザ光を所定の周波数で強度変調を行い、かつ、そのときの強度変調の周波数を、蛍光の識別のために周波数Δfずらす。さらに、これらのレーザ光によって発する蛍光の受光後、FRETを介して発するアクセプター分子の蛍光の位相遅れと、アクセプター分子がレーザ光で励起されて発する蛍光の位相遅れとを求め、これらの位相遅れを用いてFRETを検定する。このとき位相遅れの比の値は、上述したようにFRETの有無により比較的大きく変化する。このため、FRET効率が低い場合でも検出を精度良く行うことができる。又、上記フローサイトメータにおいて、信号処理を行うことでFRETの検出ができるので、短時間に効率よくサンプルの測定ができ、統計的にFRET検出結果を纏めることができ、注目する分子の相互作用を調べることができる。
以上、本発明のFRET検出方法及び装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
本発明のFRET検出装置の一実施形態であるフローサイトメータの概略構成図である。 図1に示すフローサイトメータにおけるレーザ光源部の概略構成図である。 図1に示すフローサイトメータにおける受光部の概略構成図である。 図1に示すフローサイトメータにおける制御・処理部の概略構成図である。 図4に示す制御・処理部におけるSSB変調器のブロック構成図である。 本発明のFRET検出方法の一例の流れを示すフローチャートである。 ドナー分子のエネルギー吸収と蛍光及びアクセプター分子の吸収と蛍光のスペクトルの例を示す図である。 FRETの発生を説明する説明図である。
符号の説明
10 フローサイトメータ
12 サンプル
20 検出部
22 レーザ光源部
22a ドナー励起光源
22b アクセプター励起光源
23a,23b レンズ系
24,26 受光部
26a レンズ系
26b ダイクロイックミラー
26c1,26c2 バンドパスフィルタ
27a,27b 光電変換器
28 制御・処理部
30 管路
32 回収容器
34a,34b レーザドライバ
40 信号生成部
42 信号処理部
44 コントローラ
46,47 発振器
48,56 パワースプリッタ
50 SSB変調器
50a 90度ハイブリッド
50b,50c ミキサ
50d 90°移相器
52,54a,54b,64 増幅器
58a,58b IQミキサ
60 システム制御器
62 ローパスフィルタ
66 A/D変換器
80 分析装置

Claims (10)

  1. レーザ光の照射によって励起された第1の分子が発する蛍光が励起光として第2の分子を励起し、この励起された第2の分子が発する蛍光を受光することによって、第1の分子のエネルギーが第2の分子に移動するFRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer)を検出するFRET検出方法であって、
    第1の分子を励起するために、第1の周波数で強度変調した第1のレーザ光を第1の分子に照射するとともに、第2の分子を励起するために、第1の周波数と異なる第2の周波数で強度変調した第2のレーザ光を第2の分子に照射するステップと、
    第2の分子が発する蛍光を受光するステップと、
    受光した第2の分子が発する蛍光の蛍光信号のうちの前記第1の周波数の信号成分の、第1のレーザ光の強度変調に対する第1の位相遅れと、受光した前記第2の分子が発する蛍光の蛍光信号のうちの前記第2の周波数の信号成分の、第2のレーザ光の強度変調に対する第2の位相遅れとを取り出し、この第1の位相遅れと第2の位相遅れとに基づいて、第1の分子のエネルギーが第2の分子に移動するエネルギー移動を検出するステップと、を有することを特徴とするFRET検出方法。
  2. 前記エネルギー移動は、前記第2の位相遅れに対する前記第1の位相遅れの比によって検定される請求項1に記載のFRET検出方法。
  3. 前記第1のレーザ光は、前記第1のレーザ光の強度変調のために第1の周波数を有する第1の変調信号を用いて強度変調され、前記第2のレーザ光は、前記第2のレーザ光の強度変調のために第2の周波数を有する第2の変調信号を用いて強度変調され、前記第1の周波数の変調信号は、前記第2の周波数の変調信号に、前記差分周波数の生成信号を合成して得られた信号であり、
    受光した前記第2の分子が発する蛍光の蛍光信号は、前記差分周波数の生成信号に同期して、前記差分周波数の整数倍の周波数をサンプリング周波数としてサンプリングされる請求項1又は2に記載のFRET検出方法。
  4. 前記サンプリングされた蛍光信号を前記差分周波数の整数分の1の周波数を周波数分解能として周波数分析をすることにより、前記蛍光信号のうちの前記第1の周波数の信号成分と蛍光信号のうちの前記第2の周波数の信号成分とを抽出する請求項3に記載のFRET検出方法。
  5. 前記第2の分子が発する蛍光を受光する際、さらに、前記第1の分子が発する蛍光を受光し、
    受光した前記第1の分子の発する蛍光の蛍光信号の、第1のレーザ光の強度変調に対する第3の位相遅れを算出し、この第3の位相遅れをFRETの検出に用いる請求項1〜4のいずれか1項に記載のFRET検出方法。
  6. レーザ光の照射によって励起された第1の分子が発する蛍光が励起光として第2の分子を励起し、この励起された第2の分子が発する蛍光を受光することによって、第1の分子のエネルギーが第2の分子に移動するFRETを検出するFRET検出装置であって、
    第1の分子を励起するために、第1のレーザ光を第1の分子に照射するとともに、第2の分子を励起するために、第2のレーザ光を第2の分子に照射するレーザ光源部と、
    第2の分子が発する蛍光を受光する受光部と、
    前記レーザ光源部から出射する第1のレーザ光を第1の周波数で強度変調させ、かつ前記レーザ光源部から出射する第2のレーザ光を第1の周波数と異なる第2の周波数で強度変調させるために、変調信号を生成する光源制御部と、
    受光した第2の分子が発する蛍光の蛍光信号のうちの前記第1の周波数の信号成分の、第1のレーザ光の強度変調に対する第1の位相遅れと、受光した前記第2の分子が発する蛍光の蛍光信号のうちの前記第2の周波数の信号成分の、第2のレーザ光の強度変調に対する第2の位相遅れとを取り出し、この第1の位相遅れと第2の位相遅れとに基づいて、第1の分子のエネルギーが第2の分子に移動するエネルギー移動を検定する処理部と、を有することを特徴とするFRET検出装置。
  7. 前記処理部は、前記第2の位相差に対する前記第1の位相差の比によって前記エネルギー移動を検定する請求項6に記載のFRET検出装置。
  8. 前記光源制御部は、前記第1のレーザ光を、前記第1のレーザ光の強度変調のために第1の周波数を有する第1の変調信号を用いて強度変調させ、前記第2のレーザ光を、前記第2のレーザ光の強度変調のために第2の周波数を有する第2の変調信号を用いて強度変調させ、前記第1の周波数の変調信号は、前記第2の周波数の変調信号に、前記差分周波数の生成信号を合成して得られた信号であり、
    前記処理部は、受光した前記第2の分子が発する蛍光の蛍光信号を、前記差分周波数の生成信号に同期して、前記差分周波数の整数倍の周波数をサンプリング周波数としてサンプリングする請求項6又は7に記載のFRET検出装置。
  9. 前記処理部は、前記サンプリングされた蛍光信号を前記差分周波数の整数分の1の周波数を周波数分解能として周波数分析をすることにより、前記蛍光信号のうちの前記第1の周波数の信号成分と前記蛍光信号のうちの前記第2の周波数の信号成分とを抽出する請求項8に記載のFRET検出装置。
  10. 前記受光部は、前記第2の分子が発する蛍光の他に、前記第1の分子が発する蛍光を受光し、
    前記処理部は、前記受光部で受光した第1の分子が発する蛍光の蛍光信号の、第1のレーザ光の強度変調に対する第3の位相遅れを算出し、この第3の位相遅れをFRETの検出に用いる請求項6〜9のいずれか1項に記載のFRET検出装置。
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