JP2007232547A - 自然循環式沸騰水型原子炉における原子炉炉心性能計算方法と原子炉炉心性能計算装置 - Google Patents

自然循環式沸騰水型原子炉における原子炉炉心性能計算方法と原子炉炉心性能計算装置 Download PDF

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Abstract

【課題】炉心内の燃料集合体の出力を正確に算出可能な自然循環式沸騰水型原子炉における原子炉炉心性能計算方法と原子炉炉心性能計算装置を提供する。
【解決手段】原子炉圧力、制御棒挿入位置を含む炉心状態データと、給水流量、給水温度の原子炉出力に係るプラントデータと、燃料集合体21の種類ごとに用意された核定数および熱水力定数のデータと、格子流路の水力定数データと、を用い、チムニ11の各格子流路11aに対して、対応する複数の燃料集合体の流量配分計算をし、当該格子流路への燃料集合体からの冷却材流量にもとづき当該格子流路内のボイド率を所定の計算式により計算する熱水力計算過程を含み、計算された格子流路内のボイド率にもとづき、炉心7内の3次元出力分布計算と各燃料集合体への冷却材流量配分計算を繰り返し行う。
【選択図】図4

Description

本発明は、自然循環式沸騰水型原子炉における原子炉炉心性能計算方法と原子炉炉心性能計算装置に関するものである。
これまでに商業運転されている強制循環式の沸騰水型原子炉(以下、BWRと称する)では、円筒形の炉心シュラウド内に、横断面が正方形の燃料集合体をX軸方向、Y軸方向に並べて林立させて炉心を構成している。そして、横断面がほぼ十字形の制御棒が、その周囲を囲む4体の燃料集合体の間に挿入可能に配置され、この制御棒を囲む4体の燃料集合体の単位を制御棒セルと称している。
炉心内には、LPRM(Local Power Range Monitor:局部出力領域モニタ)検出器集合体が、前記制御棒セルの2×2配列を、2×2配列のコーナ位置で囲むように離散的に配置され、炉心内中性子束分布を計測するように構成されている。LPRM検出器集合体で計測された炉心内中性子束分布は、炉心内の出力分布を計算して燃料集合体の熱的制限値[MCPR(Minimum Critical Power Ratio:最小限界出力比)およびMLHGR(Maximum Linear Heat Generation Rate:最大線出力密度)の運転制限値]に対する余裕などを計算する3次元核熱水力計算コードによる炉心性能計算に用いられる。
原子炉炉心性能計算の目的は、原子炉の各サイクルの運転に先立つ設計段階において、炉心内の3次元出力分布を計算し、各燃料集合体の出力を評価し、あらかじめ設定されている前記熱的制限値以内に収まること、または運転中の原子力プラントにおいて、測定されたデータを用いて同様な計算を行い、熱的制限値以内に収まっている原子炉の運転状態であることを確認することにある。
従来の、強制循環式BWRにおける原子炉炉心性能計算の方法については、非特許文献1に記載されているものが知られている。
近年、自然循環式BWRが提唱され、その自然循環式BWRでは自然循環の駆動力確保のため、炉心の上に強制循環式BWRには無いチムニが設けられる(特許文献1参照)。
特公平7−27051号公報(第1図、第2図) HLR−006訂1「沸騰水形原子力発電所 3次元核熱水力計算手法について」昭和59年9月、株式会社 日立製作所(図1、図2)
ところで、前記特許文献1に記載された自然循環式BWRでは、チムニ内を鉛直方向に仕切り板により分割して複数の格子流路を有している構成となっている。
その場合の冷却材の流れは以下のようになる。まず、冷却材は、下部プレナムから炉心へ流入時に各燃料集合体に分配され、燃料集合体を冷却して冷却材の気液二相流となる。さらに、個々の燃料集合体を出た冷却材は、チムニの格子流路の入口で一つの格子流路に対応している複数の燃料集合体分が合流して格子流路を通過する。その後上部プレナムで各格子流路の気液二相流全体が合流する。したがって、個々の燃料集合体に配分される冷却材流量は、この間の、燃料集合体圧損に格子流路の圧損を加えた圧損と、格子流路内のボイド率により主にきまる冷却材比重差による駆動力で決まる。つまり、各格子流路を流れる冷却材流量は、当該格子流路に対応する燃料集合体において発生する蒸気量に依存する。
燃料集合体の出力が大きいほどその燃料集合体の発生させる蒸気量は多くなるが、燃料集合体の出力は、燃料集合体の濃縮度および可燃性毒物の設計、燃焼度、燃料集合体に隣接して配置されている制御棒の炉心軸方向の挿入位置、燃料集合体軸方向のボイド率分布などにより異なる。したがって、例えば、炉心平面のX軸、Y軸に対称な位置に配された燃料集合体同士であり、濃縮度および可燃性毒物の設計、燃焼度、燃料集合体に隣接して配置されている制御棒の炉心軸方向の挿入位置が同じであっても、それぞれの燃料集合体が対応している格子流路間でボイド率が異なっていると、対称位置の燃料集合体間の冷却材流量配分は異なる。BWRでは、燃料集合体に流れる冷却材流量の差は、燃料集合体軸方向のボイド率分布の差となり、燃料集合体の出力に影響する。
前記の従来の原子炉炉心性能計算方法は、炉心内の全燃料集合体に対して、炉心の上下に設けられている上部プレナムと炉心下部プレナムとの同じ差圧が掛かっているとして、各燃料集合体への冷却材流量配分を計算する方法なので、チムニの格子流路による前記影響は考慮されていなかった。
本発明は、かかる問題を解決することを課題とし、炉心内の燃料集合体の出力を正確に算出可能な自然循環式沸騰水型原子炉における原子炉炉心性能計算方法と原子炉炉心性能計算装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため第1の発明は、原子炉圧力と原子炉出力に係るプラントデータにもとづき、炉心流量を算出し、燃料集合体の熱水力定数データと、格子流路の水力定数データとを用いて、各格子流路に対して、当該格子流路に対応する燃料集合体の流量配分計算をし、当該格子流路への燃料集合体からの冷却材流量にもとづき、当該格子流路内のボイド率を所定の計算式により計算する熱水力計算過程を含み、
計算された格子流路内のボイド率にもとづき、燃料集合体の核定数データと熱水力定数データと、格子流路の水力定数データと、制御棒挿入位置を用いて、炉心内の3次元出力分布計算と算出された炉心流量の各燃料集合体への冷却材流量配分計算を繰り返し行うことを特徴とする。
前記課題を解決するため第2の発明は、第1の発明に加えて、チムニの複数の格子流路のうちの少なくとも一つに設けられたボイド率測定手段、具体的には差圧センサ等からの測定値にもとづき所定の計算式を補正することを特徴とする。
前記課題を解決するため第3の発明は、原子炉圧力と前記原子炉出力に係るプラントデータにもとづき、炉心流量を算出し、差圧センサからの測定値にもとづきチムニ内の格子流路に対応する燃料集合体の炉心入口から炉心出口までの圧損を算出し、燃料集合体の核定数データと熱水力定数データと、制御棒挿入位置を用いて、炉心内の3次元出力分布計算と算出された炉心流量の各燃料集合体への冷却材流量配分計算を繰り返し行うことを特徴とする。
本発明によれば、流路隔壁により少なくとも径方向に複数区画された格子流路を有するチムニを炉心の上に備えた自然循環式沸騰水型原子炉における炉心内の燃料集合体の出力を精度よく計算できる。
《第1の実施の形態》
まず、本発明の第1の実施の形態の原子炉炉心性能計算方法および原子炉炉心性能計算装置を適用する自然循環式沸騰水型原子炉について、図1から図3を参照しながら詳細に説明する。
(原子炉の概要)
一般に、沸騰水型原子炉は、冷却材(軽水)の駆動方法により2種類に分類され、一方は再循環ポンプを用いて強制循環させる方法を用いた強制循環式沸騰水型原子炉と呼ばれ、他方は再循環ポンプを用いないで自然循環による方法を用いた自然循環式沸騰水型原子炉と呼ばれる。本実施の形態が適用される沸騰水型原子炉は、後者の方である。
自然循環式沸騰水型原子炉(以下、原子炉と称する)1は、図1に示すように、原子炉圧力容器(以下、圧力容器と称する)6内に収納する炉心7で発生するボイド、すなわち蒸気(気相)と飽和温度の液相の冷却材の混合した密度の低い冷却材と、給水配管16bから供給される給水と混合された液相の冷却材との比重差によって自然循環に必要な駆動力を得るものである。
原子炉1は、円筒状の圧力容器6内に、炉心シュラウド8が、同心の円筒状に設けられている。この炉心シュラウド8は、その外周面と圧力容器6の内周面との間隙に環状空間を形成し、これをダウンカマ9という。また、炉心シュラウド8の内部には、多数の燃料集合体21が配置された炉心7を収容している。
ダウンカマ9の上方には、復水器3から給水ポンプ4を介して、給水加熱器5で加熱の後、給水入口ノズル17から圧力容器6内に供給される冷却材を圧力容器6内に均等に配分する図示しない給水スパージャが円環状に設けられている。
炉心シュラウド8は、シュラウドレグ8aによって支持される。ダウンカマ9を下降した冷却材は、シュラウドレグ8a間の流路から、炉心7の下方の炉心下部プレナム(以下、下部プレナムと称する)10に導き入れられる。
炉心7の下部には、炉心支持板22を、上部には、上部格子板23を設け、燃料集合体21と制御棒24の横方向の配置を決めている。
炉心支持板22には、所定の間隔で円形の図示しない貫通孔が設けられ、その貫通孔に制御棒案内管25が挿入され、制御棒案内管25の下部は、圧力容器6の底部を貫通して制御棒24を上下方向に動かす制御棒駆動機構(以下、CRDと称する)26を収容する制御棒駆動機構ハウジング(以下、CRDハウジングと称する)26aの上部に組合わされている。
燃料集合体21は、制御棒案内管25の上端に取り付けられた図示しない燃料支持金具の上に据えられ、その荷重は制御棒案内管25およびCRDハウジング26aを介して、圧力容器6の底部に伝えられる。
前記の図示しない燃料支持金具は、側面に冷却材入口を有し、そこに図示しないオリフィスが設けられて、冷却材流量を規制している。燃料支持金具の冷却材入口に対応する制御棒案内管25の側面には開口が設けられ、下部プレナム10に導かれた冷却材が燃料支持金具を経て、燃料集合体21内に導かれる。
個々の燃料集合体21は、図示しない四角筒のチャンネルボックスで囲われ、軸方向の個別の流路を形成しており、チャンネルボックスは上部格子板23の上面まで到る。前記四角筒のチャンネルボックスの外側には、隣接している燃料集合体21のチャンネルボックスとの間に間隙を有し、所定割合の流量の冷却材が上方に流れる流路を形成している。
前記制御棒24は図示しない中性子吸収物質を含む有効部を有し、その有効部が前記チャンネルボックスの外面をガイドとして、4体の燃料集合体21間に挿入される。
さらに、炉心7内には、中性子検出器を複数含み出力領域の中性子束を計測するLPRM(Local Power Range Monitor:局部出力領域モニタ)検出器集合体(以下、単にLPRMと称する)33が、配置されている。LPRM33は、炉心7内に、例えば、軸方向に複数個配された公知の固定式の図示しない中性子検出器(以下、LPRM検出器と称する)と、移動式の図示しない中性子検出器(以下、TIP検出器と称する)を軸方向に移動可能とする図示しないTIP導管を有している(例えば、特開平11−264887号公報、図26、図27参照)。
LPRM33は、その下部が圧力容器6底部に設けられた貫通孔を通る炉内核計装ハウジング33aに収容され、信号ケーブルおよびTIP導管が炉内核計装ハウジング33aの下端から出ている。
炉心7の上には、炉心7から出た気液二相流の冷却材を上方に導き自然循環駆動力を増加させるチムニ11が設けられている。チムニ11は、例えば、圧力容器6と同心の円筒状のチムニ胴11dを有し、その内部を仕切り板で格子状に仕切った格子流路11aを有している。以下では、格子流路11aを構成する前記仕切り板を流路隔壁11bと称する。
なお、個々の格子流路11aを上方に流れる冷却材が、チムニ11内の上部で合流するように、チムニ11の上部に上部プレナム11cが設けられている。
上部格子板23とチムニ11の下端とは、ダウンカマ9を下降する冷却材と、炉心7を出た冷却材とが混じらないような組み合わせ構造となっている。
チムニ11の上端は、シュラウドヘッド12aで閉じられる。シュラウドヘッド12aには、所定の数の冷却材通過用の孔が設けられ、その孔はスタンドパイプ12bを介して気液二相流から飽和蒸気と飽和水とを分離する気水分離器12につながっている。気水分離器12の上方には、蒸気乾燥器13が設けられ、気水分離器12を出た飽和蒸気に含まれる湿分を除去する。を通過した蒸気は、蒸気ドーム14、蒸気出口ノズル15、主蒸気配管16aを経て、タービン2に送られる。
なお、シュラウドヘッド12aとスタンドパイプ12bと気水分離器12は一体に組み立てられており、燃料交換時には、一体でチムニ11の上端から取り外し可能な構成となっている。
このように、概略説明した原子炉1においては、給水入口ノズル17から供給される冷却材は、気水分離器12で分離された飽和水と混合し、図1中矢印Aで示される冷却材は、ダウンカマ9を下降し、シュラウドレグ8aの図示しない間隙によって構成される流路から、炉心シュラウド8内に流入し、炉心7によって加熱される。炉心7からの加熱によって冷却材Aは、矢印Bで示す飽和状態の気液二相流となり、この気液二相流は格子流路11a、上部プレナム11c、スタンドパイプ12bを経て、気水分離器12によって、矢印Cで示す気相の飽和蒸気と、矢印Dで示す液相の飽和水に分離される。飽和蒸気Cは、蒸気乾燥器13を経て、蒸気出口ノズル15から主蒸気配管16aによってタービン2に導かれ発電に供される。
一方、飽和水Dは、圧力容器6内の冷却材に混合され、給水入口ノズル17から供給される冷却材と更に混合されて、再びダウンカマ9を下降して圧力容器6内を循環する。
(炉心の構成−概要)
次に、図2を参照(適宜、図1を参照)しながら、炉心7の横断面(以下、炉心平面と称する)の詳細な構成を説明する。
燃料集合体21は、図1のG−G矢視平面図である図2の(a)に示すように、上部格子板23にX軸51方向、およびY軸52方向に所定の間隔で設けられた図中中太の実線で示す正方形の格子孔に対応して、細線の実線の正方形で示す燃料集合体21の4体ずつが組をなして配置され、ほぼ円柱状の炉心7を構成する。4体1組の燃料集合体21間には、横断面十字形状の制御棒24が下方の制御棒案内管25から前記図示しない燃料支持金具を貫通して出し入れ可能に設けられている(図1参照)。前記燃料集合体21の4体1組の単位を、以下、制御棒セル31という。図2では、代表的に炉心平面の中央に配される中央制御棒セル31(C)と、それ以外の位置の制御棒セル31のみを示し、制御棒セル31にのみ代表的に制御棒24を示してある。(a)中のL部の制御棒セル31を拡大して(b)に示す。
(炉心の構成−炉心平面の対称性)
炉心7は、炉心平面の中心を通るX軸51とY軸52のそれぞれの対称軸、および中心を通り、X軸51、またはY軸52に対して45°の角度をなす1/8対称の対称軸(以下、1/8対称軸と称する)53、54を有している。
通常、X軸51、Y軸52で分割した炉心平面の領域それぞれを「1/4炉心」と言い、「1/4炉心」をさらに1/8対称軸53、54で2分割した領域を「1/8炉心」と言う。
炉心7は、X軸51およびY軸52に対して、1/4炉心鏡対称、1/4炉心90°回転対称、1/2炉心鏡対称、1/2炉心180°回転対称の燃料集合体の装荷パターンが構成できる。また、炉心7は、1/8対称軸53、54に対して1/8炉心鏡対称、1/2炉心鏡対称、1/2炉心180°回転対称の燃料集合体の装荷パターンが構成できる。
(チムニの格子流路の構成)
次に、図3を参照しながら炉心7の上に設置するチムニ11の横断面の格子流路11aの詳細な配置構成について説明する。
本実施の形態が適用される原子炉1では、図1のH−H矢視平面図である図3の(a)に示すように、格子流路11aには、図中極太の実線で示す流路隔壁11bで囲まれた右斜線部で示す格子流路11aと、流路隔壁11bとチムニ胴11dとで囲まれた左斜線部で示す格子流路11aとがある。このような格子流路11aの横断面の配置は、炉心平面の中央に位置する中央制御棒セル31(C)を含む中央炉心流路11a(C)が、中央制御棒セル31(C)を左下隅に位置するように含み、かつ各格子流路11aが炉心平面の中央領域では原則的に2×2配列の制御棒セル31を含む配置となっている。したがって、(a)に示すように、格子流路11aの配置は、炉心平面の1/8対称軸53に対して鏡対称の配置である。
なお、格子流路11aの流路隔壁11bは、図中、中太の実線の正方形で示す上部格子板23(図2参照)の前記格子孔を横切らないような形となっている。(a)中のL1部の制御棒セル31を拡大して(b)に示す。
(原子炉炉心性能計算装置と原子炉炉心性能計算方法)
次に、図4から図8を参照しながら、第1の実施の形態の原子炉炉心性能計算装置と原子炉炉心性能計算方法を説明する。この計算方法は、前記非特許文献1に記載の公知の計算方法を基本としたものであり、本実施の形態において特徴とする部分以外は、概略のみ説明する。
図4に示す原子炉炉心性能計算装置(以下、計算機と称する)40Aは、原子炉1からプラントデータ入力装置49Aを介して、炉心状態データ、原子炉出力に係るプラントデータを取得する。炉心状態データとしては、蒸気ドーム14のドーム圧力(原子炉圧力)と、CRD26からの制御棒挿入位置と、LPRM33からのLPRM検出器出力(中性子束の測定値)、またはTIP検出器出力(中性子束の測定値)のデータが含まれる。原子炉出力に係るプラントデータとしては、給水配管16bに設けられた図示しない流量センサ、温度センサからの給水流量、給水温度のデータが含まれる。
本実施の形態ではこれらのデータを原子力プラントから直接入力しないで(つまり、プラントデータ入力装置49Aがない)、3次元核熱水力計算コードを演算装置41Aに搭載した計算機40Aをオフラインで使用する場合について説明する。
その場合の計算機40Aは、3次元核熱水力計算コードに必要な詳細なデータ(以下、データライブラリと称する)をあらかじめ格納しておく記憶装置43、計算結果を出力する表示装置、プリンタなどの出力装置47、キーボード、記録媒体読込装置などの入力装置45を備えている。なお、記憶装置43は、計算結果を次回の計算のために記憶する機能も備えている。
(3次元核熱水力計算コードの機能ブロック構成)
まず、図5を参照(適宜、図4参照)しながら前記した自然循環式の原子炉1に対して適用する本実施の形態における3次元核熱水力計算コードの機能を説明する。
図5に示すように3次元核熱水力計算コードは、入力定数読込部61、核熱水力計算部63A、熱的制限値計算部66、出力部67を備えている。
入力定数読込部61は、3次元核熱水力計算、熱的制限値計算に必要なデータ読み込みを行うものであり、入力装置45(図4参照)からの操作者の入力にもとづき、必要に応じて記憶装置43のデータライブラリから3次元核熱水力計算、熱的制限値計算に必要なデータを読み込み、必要に応じて入力定数を計算し、核熱水力計算部63A、熱的制限値計算部66、出力部67に入力する。
核熱水力計算部63Aは、核計算部64と熱水力計算部65Aを有する。核計算部64は、熱水力計算部65Aから入力される各燃料集合体21の軸方向の後記する冷却材密度分布を用いて炉心内中性子束分布計算を行って炉心内の出力分布を得る計算(本発明における炉心内の3次元出力分布計算に対応)を行い、炉心内の出力分布を熱水力計算部65Aに入力する。
熱水力計算部65Aは、核計算部64から入力された炉心内の出力分布を用いて、各燃料集合体21への冷却材流量配分計算を行う。この冷却材流量配分計算の際に各燃料集合体21の軸方向のボイド率分布、つまり冷却材密度分布が算出され、これを核計算部64に入力する。
以上のように、核熱水力計算部63Aは、核計算部64と熱水力計算部65Aとが、交互に計算結果をやり取りして計算結果が収束するまで繰り返す方法で計算を行う。
熱的制限値計算部66は、核熱水力計算部63Aにおける繰り返し計算が収束した結果の炉心内の出力分布を用いて燃料集合体21の熱的制限値(MCPR、MLHGR)を計算する。
出力部67は、核熱水力計算部63A、熱的制限値計算部66の結果を出力する。この際、必要に応じて計算に用いられた入力定数も出力する。
(入力定数読込部の詳細な機能とデータライブラリの説明)
次に、入力定数読込部61の詳細な機能と、記憶装置43(図4参照)に格納されているデータライブラリについて説明する。前記の様に3次元核熱水力計算コードに必要な詳細なデータはデータライブラリとして記憶装置43にあらかじめ格納されている。
入力定数読込部61は、前記ドーム圧力(原子炉圧力)、制御棒挿入位置などの炉心状態データ、原子炉出力と給水温度(原子炉出力に係るプラントデータ)の限定されたパラメータのデータを入力装置45から読み込み、詳細なデータは記憶装置43のデータライブラリから読み込み、必要に応じて読み込んだデータから入力定数を計算する。
新規に原子炉1に対する計算を行う場合は、さらに燃料集合体配置、オリフィス配置、炉内核計装配置などのデータを読み込む。
なお、1度三次元核熱水力計算を行えば、前記燃料集合体配置、オリフィス配置、炉内核計装配置などのデータは、記憶装置43に記憶され、次回からはそのデータが記憶装置43から読み出されて使用される。
なお、燃料集合体配置とは、濃縮度分布および可燃性毒物分布設計の異なる燃料集合体、燃料集合体の幾何学的構造そのものが異なる燃料集合体をタイプ別に区別して、炉心平面内に配置されている状況を示すデータであり、これに対応して前記燃料集合体21の各タイプの核定数データ、熱水力定数データなどがデータライブラリに含まれている。
そのほか、燃料集合体21のMCPR、MLHGRの計算に必要なデータも燃料集合体21のタイプごとにデータライブラリに格納されている。
核定数データは、公知の方法(例えば、非特許文献;HLR−005、「沸騰水形原子力発電所 2次元単位セル計算手法について」株式会社 日立製作所 昭和52年4月、参照)であらかじめ燃料集合体21の横断面の濃縮度分布および可燃性毒物分布設計が異なるごとに計算され、中性子無限増倍率、巨視的断面積、核種ごとの微視的断面積など、中性子束分布計算、中性子束分布から炉心内出力分布への変換計算、TIP検出器またはLPRM検出器の出力模擬計算などに必要なデータを含んでいる。
熱水力定数データは、燃料集合体21のチャンボックス内側(インチャンネル領域)の流路面積、水力直径、チャンボックス外側(バイパス領域)の流路面積、燃料集合体21の構成部品である図示しない上部タイプレート、下部タイプレート、スペーサにおける局所圧損に対する圧損係数など、燃料集合体21の冷却材流路内での圧損計算、ボイド率計算など燃料集合体21への流量配分計算の中で行われる各種の計算に必要なデータを含んでいる。
なお、流量配分計算の中で行われる燃料集合体21から冷却材への熱伝達計算の冷却材のクオリティ、ボイド率、エンタルピなどを算出時に用いられる蒸気表のデータもデータライブラリの一部として含まれている。
また、前記燃料支持金具に取り付けられたオリフィスの口径は、炉心平面の、たとえば、最外周部に配置された燃料集合体21と、それより内側に配置された燃料集合体21とでは異ならせることが普通である。オリフィス配置とは、オリフィスの口径ごとにタイプ分けして、炉心平面の燃料集合体位置に対応してオリフィスのタイプの配置されている状況を示すデータであり、これに対応してデータライブラリに格納されているオリフィスの圧損係数などの水力定数データが3次元核熱水力計算の中で使用される。
炉内核計装配置とは、前記LPRM33が配置されている位置を示すものであり、3次元核熱水力計算コードで計算した炉心内出力分布または炉心内中性子束分布からLPRM33のLPRM検出器およびTIP検出器の出力を推定計算するときに使用される。LPRM検出器およびTIP検出器の出力推定値は、原子力プラントからの炉心状態データとして、LPRM検出器およびTIP検出器の出力(炉心内の中性子束の測定値)を用いて炉心内出力分布を補正するときにも使用される。
なお、前記核定数データの中には、炉心内出力分布または炉心内中性子束分布とLPRM検出器/TIP検出器の出力との相関式の定数が含まれている。
さらに、データライブラリには、あらかじめチムニ11の各格子流路11aの軸方向高さ、流路断面積などの水力データ、図3に示すような炉心平面における燃料集合体位置(X座標、Y座標)と各格子流路11aとの対応関係を特定するデータが含まれている。
また、データライブラリの中には、原子炉1のヒートバランスデータも含まれている。ヒートバランスデータは、原子炉圧力、たとえば、ドーム圧力をパラメータとして、あらかじめ計算されて格納されたものであり、給水温度(または給水エンタルピ)と給水流量を入力すると炉心流量(Wcore)、原子炉出力、炉心入口冷却材エンタルピ、上部プレナム11cと下部プレナム10間の圧損(以下、上下プレナム間圧損と称する)(ΔPLP-UP)が算出され、給水温度(または給水エンタルピ)と原子炉出力を入力すると炉心流量、炉心入口冷却材エンタルピ、給水流量、上下プレナム間圧損(ΔPLP-UP)が算出される相関データである。
(全体フローチャート)
次に、図6を参照(適宜、図4、図5を参照)しながら、3次元核熱水力計算コードにおける計算の全体の流れを示す全体フローチャートを説明する。
ステップS101では、入力定数読込部61が、記憶装置43のデータライブラリから3次元核熱水力計算に必要なデータの読み込みを行う。入力定数読込部61は、この際、必要に応じてデータライブラリから読み込んだデータを用いて、核熱水力計算部63Aで用いられるデータを計算する。
たとえば、入力されたドーム圧力、給水温度(または給水エンタルピ)、給水流量にもとづき炉心流量(Wcore)、原子炉出力、上下プレナム間圧損(ΔPLP-UP)を算出する。
ステップS102では、核熱水力計算部63Aが、繰り返し計算の最初においては、3次元の炉心内出力分布P(i,j,k)を仮定する。たとえば、平坦な3次元出力分布を仮定する。次回の繰り返し時には、前回計算した炉心内出力分布P(i,j,k)を今回の繰り返し計算の炉心内出力分布P(i,j,k)として仮定する。
ちなみに、i,j,kは、炉心7を直角座標系(x,y,z)で表し、炉心7を単位直方体に分割してノードとしたときに、その各ノードの3次元座標をi,j,kのノード番号で示すものである。通常水平方向のノードi,jは燃料集合体21のX軸方向、Y軸方向の炉心配置ピッチ単位で、軸方向のkは適切な長さ単位で決められている。
ステップS103では、核熱水力計算部63Aの熱水力計算部65Aにおいて、燃料集合体21の熱水力定数データ、格子流路11aの水力定数データなどを用いて、各燃料集合体21への冷却材流量配分計算を行う。いわゆる熱水力計算部分であり、計算結果が入力された収束条件に合致するまで繰り返し計算を行う。この計算の詳細は、図7および図8に示すフローチャートを参照して後記する。この計算は、次のステップS104で説明する実効増倍率keff、3次元の炉心内中性子束分布φ(i,j,k)に必要な炉心7内の核燃料集合体21のインチャンネル領域の軸方向ボイド率分布と、バイパス領域のボイド率軸方向分布、つまり、インチャンネル領域、バイパス領域それぞれの軸方向の冷却材密度分布を得ることを目的とする。
ステップS104では、核熱水力計算部63Aの核計算部64において、燃料集合体21の核定数データを用いて、炉心7の実効増倍率keffと3次元の炉心内中性子束分布φ(i,j,k)の計算を行う。本発明の炉心内の3次元出力分布計算を行う部分、いわゆる核計算部分であり、計算結果が入力された収束条件に合致するまで繰り返し計算を行う。本願発明の特徴ではないので詳細な説明は省略する。
ステップS105では、核熱水力計算部63Aの核計算部64において、ステップS104で得られた炉心内中性子束分布φ(i,j,k)の収束結果を用いて、炉心内出力分布P(i,j,k)に変換する計算を行う。
ステップS106では、核熱水力計算部63Aが、ステップS102で仮定した炉心内出力分布P(i,j,k)と今回ステップS105で得られた炉心内出力分布P(i,j,k)を比較して収束していた場合(Yes)は、ステップS107へ進み、収束していない場合(No)は、ステップS102に戻る。
ステップS102に戻った場合、核熱水力計算部63Aは、今回の計算結果の炉心内出力分布P(i,j,k)を次の繰り返し計算の炉心内出力分布P(i,j,k)と仮定して用い、ステップS102からステップS106を繰り返す。
ステップS107では、熱的制限値計算部66が、熱的制限値に対する評価を行う。つまり、MLHGR、MCPRを算出する。ステップS108では、出力部67が、計算結果を表示装置、または必要に応じてプリンタに出力する。ステップS108で、3次元核熱水力計算コードの計算の全体の流れは終了する。
(熱水力部分のフローチャート)
次に、図6に示す全体フローチャートのステップS103の各燃料集合体21への冷却材流量配分計算の繰り返し計算を、図7、図8に示す熱水力計算のフローチャートを参照(適宜、図6参照)して以下に詳細に説明する。この計算は、すべて熱水力計算部65Aで行われる。
ステップS201では、上下プレナム間圧損(ΔPLP-UP)を繰り返し計算の初期値として仮定する。全体フローチャートのステップS102〜S106(図6参照)の繰り返し計算の最初の場合だけ、ステップS101で算出された上下プレナム間圧損(ΔPLP-UP)を初期値として仮定し、以後の全体フローチャートのステップS102〜S106の繰り返し計算のときには、前回の繰り返し計算の結果を初期値として仮定する。
ステップS202では、各格子流路11aに対応する引数mを、初期値をm=1とし、1から全格子流路11aの数(NTYPC)まで熱水力計算を行うようにする。
ステップS203では、チムニ11の格子流路(m)内のボイド率(αm)を仮定する。なお、このボイド率(αm)の初期値は、全体フローチャートのステップS102〜S106(図6参照)の繰り返し計算の最初の場合だけ、全体フローチャートのステップS101において炉心平面の出力が均一と仮定して算出するように、ヒートバランスデータに含めておいてそれを用い、以後の全体フローチャートのステップS102〜S106の繰り返し計算およびステップS203〜S222の繰り返し計算のときには、前回の繰り返し計算の結果を初期値として仮定する。
ステップS204では、格子流路(m)の圧損(ΔPCm)を算出する。格子流路11aにおける摩擦圧損は小さいため無視でき、位置圧損だけを考えればよいので、ΔPCmは、式(1)により以下のように算出できる。
ΔPCm={αmρG+(1−αm)ρL}g・h ・・・(1)
ここで、ρG:飽和蒸気密度
ρL:飽和水密度
g :重力定数
h :格子流路の軸方向長さ
である。
ステップS205では、格子流路(m)に係る炉心支持板22−上部格子板23間圧損(ΔPm)を計算する。ΔPmは式(2)により求まる。
ΔPm=ΔPLP-UP−ΔPCm ・・・(2)
なお、格子流路(m)に係る炉心支持板22−上部格子板23間圧損(ΔPm)が、本発明における燃料集合体21の炉心入口から炉心出口までの圧損に対応する。
次に、ステップS206〜S213までの繰り返し計算では、格子流路(m)に対応する燃料集合体[n=1〜NTYPEB(m)]に対する熱水力計算を行う。
ステップS206では、格子流路(m)に対応する燃料集合体21に対応する引数nを、初期値n=1とする。
ステップS207では、熱流束の計算をする。具体的には、全体フローチャートのステップS102にもとづいて炉心内出力分布P(i,j,k)から燃料集合体(n)に対応する軸方向の出力分布を取得し、図示しない燃料棒表面からインチャンネル領域の冷却材に伝達される熱(この中には、中性子、γ線などにより冷却材を直接加熱する分も考慮されている)、バイパス領域の冷却材への熱(前記の直接加熱とチャンネルボックスからの伝熱)のそれぞれの熱流束を計算する。
ステップS208では、格子流路(m)に対応する燃料集合体21の内の燃料集合体(n)のチャンネル流量(Wmn)を仮定する。これは、繰り返し計算のためのものであり、全体フローチャートのステップS102〜S106(図6参照)の繰り返し計算の最初の場合だけ、たとえば、全燃料集合体21が同一流量であると仮定して算出するが、全体フローチャートのステップS102〜S106までの繰り返し計算の途中の場合、およびステップS202〜S222の繰り返し計算のときは、前回の繰り返し計算の結果のチャンネル流量(Wmn)を仮定する。
なお、チャンネル流量(Wmn)とは、燃料集合体21の前記インチャンネル領域を流れる冷却材流量のことである。バイパス領域を流れる冷却材流量(バイパス流量)は、たとえば、炉心平面内で均一と仮定して各燃料集合体21当たりに同一流量(WBYPASS)として算出する。
ステップS209では、格子流路(m)の燃料集合体(n)のインチャンネル領域、バイパス領域の軸方向ノードkに対して冷却材の熱水力特性値[冷却材エンタルピ、クオリティ(蒸気重量率)、ボイド率など]を、軸方向ノードkの下方側から計算する。この方法の詳細は、たとえば、特開平11−264887号公報などに記載されている公知のものである。
ついで、ステップS210では、格子流路(m)に含まれる燃料集合体(n)において炉心支持板22下側から上部格子板23上側までの間のインチャンネル領域を流れる冷却材の圧損であるチャンネル圧損(ΔPBmn)を計算する。具体的には、ステップS208で仮定したチャンネル流量(Wmn)とステップS209で算出したインチャンネル領域の軸方向ノードkごとの熱水力特性値、当該燃料集合体(n)の熱水力定数データを用いて、位置圧損、摩擦圧損、局所圧損、加速圧損を計算し、それらを合計して算出する。気液二相流のこれらの圧損計算の詳細は、非特許文献1の式(22)〜(29)に詳しい記載があるので説明を省略する。
ステップS211では、ステップS205で計算した格子流路(m)に係る炉心支持板−上部格子板間圧損(ΔPm)とステップS210で計算したチャンネル圧損(ΔPBmn)の差分の絶対値をチェックして、所定の収束判定基準(ΔPerror)よりも小さいという条件を満たしているかどうかチェックする。満たしている場合(Yes)は、ステップS213へ進み、満たしていない場合(No)は、ステップS212へ進む。
ステップS212では、チャンネル流量(Wmn)を、差分(ΔPm−ΔPBmn)のプラス、マイナスに応じて増減修正してステップS209へ戻り、ステップS209〜S212を収束するまで繰り返す。
ステップS213では、n=NTYPEB(m)かどうかをチェックする。つまり、格子流路(m)に対応するすべての燃料集合体21に対して、チャンネル流量(Wmn)の配分計算が完了したかどうかをチェックする。完了した場合(Yes)は、ステップS215へ進み、完了していない場合(No)は、ステップS214へ進み、n=n+1とし、ステップS207へ戻り、次の燃料集合体(n)に対する流量配分の計算を行う。
ステップS215では、格子流路(m)内のボイド率(αm’)を計算する。
ここではステップS203で仮定した格子流路(m)内のボイド率と今回の繰り返し計算で算出した格子流路(m)内のボイド率を、それぞれαm,αm’と区別して表す。
格子流路(m)内のボイド率(αm’)は、例えばドリフトフラックスモデルを用いた公知の式(3)から求めることができる(「気液二相流技術ハンドブック」日本機会学会編、1989年5月20日、株式会社 コロナ社、p.78〜80参照)。式(3)では、添え字mを省略して記載する。
Figure 2007232547
式(3)における質量流束は、ステップS207〜S213の格子流路(m)に対応する燃料集合体[n=1〜NTYPEB(m)]に対する繰り返し計算で最終的に得られたチャンネル流量(Wmn)とバイパス流量(WBYPASS)を合算して得られる。式(3)のクオリティは、同様に燃料集合体[n=1〜NTYPEB(m)]のインチャンネル領域およびバイパス領域の出口クオリティをチャンネル流量(Wmn)とバイパス流量(WBYPASS)を重みとして平均して得られる。飽和蒸気密度および飽和水密度は、原子炉圧力から記憶装置43に格納されたデータライブラリ中の蒸気表より求められる。分布パラメータおよび平均ドリフト速度は実験的に求められる経験式であり、式(4)、式(5)により求められる。
Figure 2007232547
ステップS216では、αm−αm’の差分の絶対値をチェックして所定の判定条件αerrorよりも小さいというという条件を満たしているかどうかをチェックする。満たしている場合(Yes)は、ステップS218へ進み、満たしていない場合(No)は、ステップS217へ進む。
ステップS217では、ボイド率(αm)を修正する。つまり、前回仮定した格子流路(m)内のボイド率(αm)に替えてステップS215で算出したボイド率(αm’)を次の繰り返し計算のボイド率(αm)として用いる。ステップS217の後、ステップS204に戻り、ステップS204〜S217を収束するまで繰り返す。
ステップS218では、m=NTYPECかどうかをチェックする。つまりチムニ11の全格子流路11aについて、対応する燃料集合体21の流量配分計算が終わったかどうかをチェックする。m=NTYPECの場合(Yes)は、ステップS220へ進み、m≠NTYPECの場合(No)は、ステップS219へ進む。
ステップS219では、m=m+1として、ステップS203へ戻り、次の格子流路(m+1)に対応する燃料集合体21への流量配分計算を繰り返す。
ステップS220では、繰り返し計算で得られた各燃料集合体21のインチャンネル領域、バイパス領域のそれぞれの流量を合算して式(6)により全炉心流量WTを算出する。
Figure 2007232547
ステップS221では、全体フローチャートで計算した炉心流量WcoreにWTが所定の判定基準Werror内に収束したかどうか、すなわち、WcoreとWTとの差分の絶対値がWerroよりも小さいか否かをチェックする。収束した場合(Yes)は、核燃料集合体21への冷却材流量配分計算は終了し、全体フローチャートに戻る。収束していない場合(No)は、ステップS222に進み、ステップS221で算出した差分(Wcore−WT)のプラス、マイナスに応じて上下プレナム間圧損(ΔPLP-UP)を増減修正してステップS202へ戻り、次の一連の流量配分の繰り返し計算を収束するまで行う。
本実施の形態における入力装置45とプラントデータ入力装置49Aは、本発明の入力手段を構成する。また、本実施の形態におけるフローチャートのステップS202〜S219は、本発明の熱水力計算過程に対応する。また、ドリフトフラックスモデルを用いた式(3)は、本発明の、所定の計算式に対応する。
以上のように本実施の形態によれば、チムニ11の格子流路11aに含まれる燃料集合体21のチャンネル流量、バイパス流量とその出口クオリティにもとづいて格子流路11a内のボイド率(αm)まで計算しているので、1つの格子流路11aに対応する燃料集合体21の全圧損(位置圧損、摩擦圧損、局所圧損、加速圧損の合計)と格子流路11aの位置圧損の合計がダウンカマ9の下降流路側の水頭とバランスするように計算していることになる。つまり、格子流路11aごとに異なる自然循環駆動力を反映して、燃料集合体21への流量配分計算を行っているので、燃料集合体21の熱的制限値(MCPR、MLHGR)の計算を精度よく行うことができる。
なお、第1の実施の形態の計算機40Aを、原子力プラントの運転監視用にも使用できる。その場合、図4に示すようにプラントデータ入力装置49Aが設けられ、原子力プラントからプラントデータ入力装置49Aを介して、演算装置41Aに炉心状態データであるドーム圧力(原子炉圧力)、制御棒挿入位置、LPRM検出器出力(炉心内の中性子束の測定値)、TIP検出器出力(炉心内の中性子束の測定値)のデータと、原子炉出力に係るプラントデータである給水流量、給水温度のデータを取り込む。LPRM検出器出力、TIP検出器出力のデータは、公知の方法で炉心内中性子束分布φ(i,j,k)または炉心内出力分布P(i,j,k)を補正するのに使用される。
炉心状態データ、原子炉出力に係るプラントデータの入力が操作者により入力装置45から行われる替わりに、プラントデータ入力装置49Aを介して実機データがオンラインで入力されるだけであり、本質的に前記の3次元核熱水力計算と同じである。
《第2の実施の形態》
次に、本発明の第2の実施の形態における原子炉炉心性能計算装置と原子炉炉心計算方法を図9および図10と、第1の実施の形態の図6〜図8を参照しながら説明する。
本実施の形態では、図9に示すようにプラントデータ入力装置49Bが設けられ、原子プラントからプラントデータ入力装置49Bを介して、炉心状態データであるドーム圧力(原子炉圧力)、制御棒挿入位置、LPRM検出器出力(炉心内の中性子束の測定値)、TIP検出器出力(炉心内の中性子束の測定値)のデータと、原子炉出力に係るプラントデータである給水流量、給水温度のデータを取り込む構成としている。第1の実施の形態の構成と同じ構成については同一符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態では、さらに差圧センサ55によりチムニ11の特定の格子流路11aの上下端の差圧を測定してプラントデータ入力装置49Bに入力する点が異なる。差圧センサ55が差圧を計測する格子流路11aの位置は、代表的な格子流路11aとする。たとえば、炉心平面の中央および炉心平面の周辺部で2×2配列の制御棒セル31を含む格子流路11aをまず代表的な格子流路11aとして少なくとも一つずつ選ぶ。ついで、炉心平面周辺部で格子流路11aが流路隔壁11bとチムニ胴11dで囲まれて構成される格子流路11aの断面形状が矩形でないものを、その形状から、たとえば、2または3のグループに分けて、その各グループ内の一つの格子流路11aを代表として選ぶ。
(3次元核熱水力計算コードの機能ブロック構成)
図10を参照(適宜、図9参照)しながら本実施の形態における3次元核熱水力計算コードの機能を説明する。図10に示すように3次元核熱水力計算コードは、入力定数読込部61、核熱水力計算部63B、熱的制限値計算部66、出力部67、格子流路差圧データ記憶部68、分析部69を備えている。核熱水力計算部63Bは、核計算部64と熱水力計算部65Bを有する。第1の実施の形態の構成と同じ構成については同一符号を付し、説明を省略する。
3次元核熱水力計算コードの全体の流れおよび、熱水力計算部分は基本的に第1の実施形態と同じである。熱水力計算部分の第1の実施の形態と異なる部分、および格子流路差圧データ記憶部68、分析部69の機能を以下に説明する。
なお、本実施の形態においては、第1の実施の形態のフローチャートにおける、計算機40Aは計算機40Bに、演算装置41Aは演算装置41Bに、プラントデータ入力装置49Aはプラントデータ入力装置49Bに、核熱水力計算部63Aは核熱水力計算部63Bに、熱水力計算部65Aは熱水力計算部65Bに、読み替える。
以下に、詳しく説明するように格子流路11a内のボイド率(α)は、格子流路上下端での差圧を測定することで計測できる。
格子流路11aのように口径が約30cm以上となるような流路では摩擦圧損は無視でき、格子流路11a内の圧損は冷却材の水頭と等しくなる。そこで、格子流路11a内のボイド率(α)を、格子流路11a上下端の計測差圧ΔPC* mを用いて式(1)を変形し、式(7)のように表すことができる。
Figure 2007232547
したがって、ドーム圧力から飽和蒸気密度、飽和水密度はデータライブラリの蒸気表から求められ、格子流路の軸方向長さは既知なので、ボイド率を計測差圧ΔPC* mから求めることができる。以下、計測差圧ΔPC* mから換算したボイド率を計測ボイド率(α* m)と称する。
本実施の形態の熱水力計算部65Bでは、図8のフローチャートのステップS215で用いる式(1)における分布パラメータC0として、式(4)に示す既知の経験式を用いる替わりに、前記のように複数の代表的格子流路11aにグループ分けし、グループごとに実際の原子炉1の運転状態における格子流路11a内の計測ボイド率(α* m)から算出した分布パラメータC0を用いるところが特徴である。
このために本実施の形態では、原子炉炉心性能計算装置40Bで3次元核熱水力計算計を行うごとに、格子流路差圧データ記憶部68が、計測差圧ΔPC* mから換算した計測ボイド率(α* m)と、その格子流路(m)に対応する各燃料集合体(n)の3次元各熱水力計算コードで算出したチャンネル流量(Wmn)、バイパス流量(WBYPASS)、インチャンネル領域、バイパス領域それぞれの出口クオリティ、質量流束、および飽和蒸気密度、飽和水密度、ボイド率(αm)などを一組のデータセットとして記憶装置43に蓄積しておく。この蓄積したデータセットが所定以上の組蓄積されたところで、分析部69は、蓄積されたデータを用いて、たとえば分布パラメータC0をパラメータとして、回帰分析を行い、計測ボイド率(α* m)とボイド率(αm)の差が最小になるように分布パラメータC0の定数を格子流路11aの前記各代表的グループごとに設定し、記憶装置43に格納しておく。
こうして設定した分布パラメータC0の式は格子流路(m)の形状や冷却材温度、冷却材圧力などの違いに起因する誤差が排除されたものとなる。
熱水力計算部65Bは、分析部69が分布パラメータC0の定数を回帰分析で得ている場合は、記憶装置43に格納されている当該の分布パラメータC0の定数用いて、ステップS215における、格子流路(m)内のボイド率(αm’)を計算する。
この際、分布パラメータC0の定数は、同じ前記代表グループに属する格子流路11aに対して適用する。
また、本実施の形態の変形として、前記分布パラメータC0において式(8)のように新たな補正パラメータC1を導入してもよい。
Figure 2007232547
これは、分布パラメータC0は、正確には局所的なボイド率、および容積流束の分布に依存し、格子流路(m)内の局所的なボイド率および容積流束の分布は、格子流路(m)に対応する各燃料集合体(n)の出力によって異なるため、分布パラメータC0は、対応する燃料集合体(n)の状態を反映し、格子流路(m)ごとに設定するほうがボイド率をより精度良く計算する観点からは望ましいからである。
式(8)の添字nは格子流路(m)に対応する各燃料集合体(n)を表し、第2項目は各燃料集合体(n)のボイド率と容積流束の積の分散による分布パラメータの補正項である。各燃料集合体(n)のインチャンネル領域、バイパス領域の出口ボイド率および出口容積流速は3次元核熱水力計算(ステップS209)の結果として得られる。
したがって前記のように原子炉炉心性能計算装置40Bで3次元核熱水力計算計を行うごとに、格子流路差圧データ記憶部68が、式(4)で算出した分布パラメータC0の値と、計測差圧ΔPC* mから換算した計測ボイド率(α* m)と、その格子流路(m)に対応する各燃料集合体(n)の3次元各熱水力計算コードで算出したチャンネル流量(Wmn)、バイパス流量(WBYPASS)、インチャンネル領域、バイパス領域それぞれの出口クオリティ、質量流束、および飽和蒸気密度、飽和水密度、ボイド率(αm)、燃料集合体平均の出口ボイド率(〈αn〉)、燃料集合体平均の出口容積流速(〈jn〉)、燃料集合体(n)の出口ボイド率(αn)、燃料集合体(n)の出口容積流速(jn)などを一組のデータセットとして記憶装置43に蓄積しておく。この蓄積したデータセットが所定以上の組蓄積されたところで、分析部69は、蓄積されたデータを用いて、補正パラメータC1をパラメータとして回帰分析を行い、計測ボイド率(α* m)とボイド率(αm)の差が最小になるように補正パラメータC1を設定し、記憶装置43に格納する。
熱水力計算部65Bは、分析部69が補正パラメータC1の定数を回帰分析で得ている場合は、記憶装置43に格納されている当該の補正パラメータC1の定数を用いて、ステップS215における、格子流路(m)内のボイド率(αm’)を計算する。
この際、補正パラメータC1の定数は、同じ前記代表グループに属する格子流路11aに対して適用する。
こうして設定した分布パラメータC0’の式は格子流路(m)の形状や冷却材温度、冷却材圧力などの違いに起因する誤差が排除されたものとなるので、以後の熱水力計算部65BでのフローチャートのステップS215で用いる式(3)の分布パラメータC0をC0’に置き換えて、同じ前記グループに属する格子流路11aに対して適用する。
なお、一つの格子流路11aに対応する燃料集合体21の出口ボイド率は、サイクルごとに、またサイクル運転中にも変化するので、補正パラメータC1の定数は、定期的に再計算することが望ましい。
なお、本実施の形態における入力装置45とプラントデータ入力装置49Bは、本発明の入力手段を構成する。
以上のように、第2の実施の形態およびその変形例では、チムニ11の代表的な格子流路11aの上下端差圧を差圧センサ55で測定して、測定した差圧から当該代表格子流路11a内の計測ボイド率(α* m)を算出し、ドリフトフラックスモデルの分布パラメータの式を補正して用いるので、炉心7内の燃料集合体21への流量配分計算の精度が向上し、結果として熱的制限値の計算精度が向上する。熱的制限値の計算精度が向上すれば、原子炉1の運転中の熱的制限値に対する余裕を小さくすることができ、原子炉の燃料経済性が向上する。
また、第1の実施の形態と同じく、格子流路11aごとに異なる自然循環駆動力を反映して、燃料集合体21への流量配分計算を行っているので、熱的制限値(MCPR、MLHGR)に対する計算を適切に行うことができる。
なお、第2の実施の形態およびその変形においては、実際に差圧センサ55から差圧データが得られ、計測ボイド率(α* m)を算出することができる格子流路(m)についても、ステップS203、ステップS215で計測ボイド率(α* m)を使用せず、3次元核熱水力計算コードで算出したボイド率(αm)を用いるものとしたが、計測ボイド率(α* m)を算出することができる格子流路(m)に対しては、ステップS203で計測ボイド率(α* m)をそのまま使用し、ステップS213においてYesの場合、ステップS215、S216をジャンプしてステップS218へ進むようにしてもよい。
また、分布パラメータC0の式を補正することとしたが、同様に平均ドリフト速度(VGj)の式(5)の定数についても分析部69において計測ボイド率(α* m)とボイド率(αm)の差が最小になるように回帰分析をして求めるようにしてもよい。
なお、ボイド率を測定する手段として本実施形態では差圧センサ55を例示したが、例えば、特開2001−272494号公報で示されているように、格子流路11a内に電極を配置し、電極間の電気抵抗値を測定することによってもボイド率を測定できる。
《第3の実施の形態》
次に、本発明の第3の実施の形態における原子炉炉心性能計算装置と原子炉炉心計算方法を図9および図11と、第1の実施の形態の図6と、図12、図13を参照しながら説明する。
第2の実施の形態の構成と同じ構成については同一符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態の計算機40Bにおいて、第2の実施の形態と異なるところは、差圧センサ55をチムニ11のすべての格子流路11aに対して設けるところである。
(3次元核熱水力計算コードの機能ブロック構成)
図11を参照(適宜、図9参照)しながら本実施の形態における3次元核熱水力計算コードの機能を説明する。図11に示すように3次元核熱水力計算コードは、入力定数読込部61、核熱水力計算部63C、熱的制限値計算部66、出力部67を備えている。核熱水力計算部63Cは、核計算部64と熱水力計算部65Cを有する。第2の実施の形態の構成と同じ構成については同一符号を付し、説明を省略する。
3次元核熱水力計算コードの全体の流れは基本的に第2の実施形態と同じである。熱水力計算部分の第2の実施の形態と異なる部分の機能を以下に説明する。
差圧センサ55をチムニ11のすべての格子流路11aに対して設けることにより、3次元核熱水力計算コードでは、格子流路11a内のボイド率を計算する必要がなく、熱水力計算部65Cにおける炉心7内の各燃料集合体21への冷却材流量配分計算のフローチャートが図12、図13に示すようなより簡単な流れになる。
ここで、図12、図13フローチャートは図7、図8のフローチャートからステップS203、S204、S215、S216、S217を削除したものであり、ステップS301がステップS201に、ステップS302がステップS202に、ステップS303がステップS205に、ステップS304がステップS206に、ステップS305がステップS207に、ステップS306がステップS208に、ステップS307がステップS209に、ステップS308がステップS210に、ステップS309がステップS211に、ステップS310がステップS212に、ステップS311がステップS213に、ステップS312がステップS214に、ステップS313がステップS218に、ステップS314がステップS219に、ステップS315がステップS220に、ステップS316がステップS221に、ステップS317がステップS222に対応する。
なお、ステップS303における格子流路(m)に係る炉心支持板−上部格子板間差圧(ΔPm)の計算においては、式(2)においてΔPCmの替わりに差圧センサ55の計測差圧(ΔPC* m)を用いる。
なお、格子流路(m)に係る炉心支持板22−上部格子板23間圧損(ΔPm)が、本発明における燃料集合体21の炉心入口から炉心出口までの圧損に対応する。
本実施の形態においては、全格子流路(m)の上下端差圧を差圧センサ55で測定するものとしたがそれに限定されない、たとえば、図3に示すようにチムニ11の格子流路11aが炉心平面に対し1/8対称軸53に対して鏡対称なことから、炉心7に装荷する燃料集合体21の装荷パターンをも1/8対称軸53に対して鏡対称として、炉心内出力分布P(i,j,k)を1/8対称軸53に対して鏡対称とするように原子炉1のサイクルごとの炉心設計をすることにより、差圧センサ55を1/8対称軸53に対し一方の側の格子流路11aにだけ設け、差圧センサ55が設けられていない格子流路11aの差圧は対称位置の計測値と同じとしてもよい。
本実施の形態またはその変形例のようにすることによって、3次元核熱水力計算コードにおいて、熱水力計算の繰り返し計算のフローを簡単化できる。また、第1、第2の実施の形態と同様に格子流路11aごとに異なる自然循環駆動力を反映して、燃料集合体21への冷却材の流量配分計算を行っているので、熱的制限値(MCPR、MLHGR)に対する計算を適切に行うことができる。
なお、第1の実施の形態から第3の実施の形態およびその変形例において、炉心7の中性子束分布を計測するLPRM検出器集合体33を例示したがこれに限定されるものではない。LPRM検出器集合体33の中のTIP導管にTIP検出器の替わりにγTIP検出器を用いてもよいし、また移動式のTIP検出器の替わりに固定式のγサーモメータを用いてもよい。本発明の炉心内の中性子束の測定値は、炉心内中性子束分布を測定するものであれば検出器が核分裂電離箱型式以外のγ線を検出する電離箱型式によるものなど他の型式の検出器による測定値も含んでいる。
本発明の実施の形態の原子炉炉心性能計算装置および原子炉炉心性能計算方法が適用対象とする自然循環式沸騰水型原子炉の縦断面の模式図である。 図1のG−G矢視の炉心平面図である。 図1のH−H矢視のチムニの格子流路の横断面配置図である。 本発明の第1の実施の形態の原子炉炉心性能計算装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態の3次元核熱水力計算コードの機能ブロック構成図である。 本発明の実施の形態の原子炉炉心性能計算方法を示す全体フローチャートである。 本発明の第1の実施の形態の原子炉炉心性能計算方法を示す熱水力計算部分のフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態の原子炉炉心性能計算方法を示す熱水力計算部分のフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態の原子炉炉心性能計算装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態の3次元核熱水力計算コードの機能ブロック構成図である。 本発明の第3の実施の形態の3次元核熱水力計算コードの機能ブロック構成図である。 本発明の第3の実施の形態の原子炉炉心性能計算方法を示す熱水力計算部分のフローチャートである。 本発明の第3の実施の形態の原子炉炉心性能計算方法を示す熱水力計算部分のフローチャートである。
符号の説明
1 自然循環式沸騰水型原子炉
7 炉心
10 炉心下部プレナム
11 チムニ
11a 格子流路
11b 流路隔壁
11c 上部プレナム
14 蒸気ドーム
21 燃料集合体
22 炉心支持板
23 上部格子板
24 制御棒
26 制御棒駆動機構
31 制御棒セル
33 LPRM検出器集合体
40A、40B 原子炉炉心性能計算装置
41A、41B 演算装置
43 記憶装置
45 入力装置
49A、49B プラントデータ入力装置
55 差圧センサ
61 入力定数読込部
63A、63B、63C 核熱水力計算部
64 核計算部
65A、65B、65C 熱水力計算部
66 熱的制限値計算部
67 出力部
68 格子流路差圧データ記憶部
69 分析部

Claims (8)

  1. 複数の燃料集合体を装荷した炉心と、流路隔壁により少なくとも径方向に複数区画された格子流路を有するチムニを前記炉心の上に備えた自然循環式沸騰水型原子炉における原子炉炉心性能を計算機で演算する原子炉炉心性能計算方法であって、
    前記計算機の原子炉炉心性能を演算する演算装置に3次元核熱水力計算コードを搭載し、
    前記3次元核熱水力計算コードは、
    前記計算機の入力手段から原子炉圧力と、制御棒挿入位置と、原子炉出力に係るプラントデータと、を読み込み、
    さらに、前記計算機の記憶装置に格納された前記燃料集合体の種類ごとに用意された核定数データおよび熱水力定数データと、前記格子流路の水力定数データと、を読み込み、
    前記原子炉圧力と前記原子炉出力に係るプラントデータにもとづき、炉心流量を算出し、
    前記燃料集合体の熱水力定数データと、前記格子流路の水力定数データとを用いて、前記各格子流路に対して、当該格子流路に対応する前記燃料集合体の流量配分計算をし、当該格子流路への燃料集合体からの冷却材流量にもとづき、当該格子流路内のボイド率を所定の計算式により計算する熱水力計算過程を含み、
    前記計算された格子流路内のボイド率にもとづき、前記燃料集合体の核定数データと熱水力定数データと、前記格子流路の水力定数データと、前記制御棒挿入位置を用いて、前記炉心内の3次元出力分布計算と前記算出された炉心流量の各燃料集合体への冷却材流量配分計算を繰り返し行うことを特徴とする自然循環式沸騰水型原子炉における原子炉炉心性能計算方法。
  2. 前記3次元核熱水力計算コードは、
    前記入力手段からさらに前記チムニの複数の格子流路のうちの少なくとも一つに設けられたボイド率測定手段の測定値を読み込み、
    前記ボイド率測定手段の測定値にもとづき、前記所定の計算式を補正することを特徴とする請求項1に記載の自然循環式沸騰水型原子炉における原子炉炉心性能計算方法。
  3. 前記3次元核熱水力計算コードは、
    前記入力手段からさらに前記炉心内の中性子束の測定値を読み込み、
    前記中性子束の測定値にもとづき、前記3次元出力分布を補正することを特徴とする請求項1に記載の自然循環式沸騰水型原子炉における原子炉炉心性能計算方法。
  4. 前記3次元核熱水力計算コードは、
    前記入力手段からさらに前記チムニの複数の格子流路のうちの少なくとも一つに設けられたボイド率測定手段の測定値と、前記炉心内の中性子束の測定値と、を読み込み、
    前記ボイド率測定手段の測定値にもとづき前記所定の計算式を補正し、
    かつ、前記中性子束の測定値にもとづいて、前記3次元出力分布を補正することを特徴とする請求項1に記載の自然循環式沸騰水型原子炉における原子炉炉心性能計算方法。
  5. 前記ボイド率測定手段は、差圧センサであることを特徴とする請求項2または請求項4に記載の自然循環式沸騰水型原子炉における原子炉炉心性能計算方法。
  6. 複数の燃料集合体を装荷した炉心と、流路隔壁により少なくとも径方向に複数区画された格子流路を有するチムニを前記炉心の上に備えた自然循環式沸騰水型原子炉における原子炉炉心性能を計算機で演算する原子炉炉心性能計算方法であって、
    前記計算機の原子炉炉心性能を演算する演算装置に3次元核熱水力計算コードを搭載し、
    前記3次元核熱水力計算コードは、
    前記計算機の入力手段から原子炉圧力と、制御棒挿入位置と、原子炉出力に係るプラントデータと、前記チムニの各格子流路に設けられた差圧センサの測定値を読み込み、
    さらに、前記計算機の記憶装置に格納された前記燃料集合体の種類ごとに用意された核定数データおよび熱水力定数データと、前記格子流路の水力定数データと、を読み込み、
    前記原子炉圧力と前記原子炉出力に係るプラントデータにもとづき、炉心流量を算出し、
    前記差圧センサからの測定値にもとづき前記チムニ内の格子流路に対応する前記燃料集合体の炉心入口から炉心出口までの圧損を算出し、
    前記燃料集合体の核定数データと熱水力定数データと、前記制御棒挿入位置を用いて、前記炉心内の3次元出力分布計算と前記算出された炉心流量の各燃料集合体への冷却材流量配分計算を繰り返し行うことを特徴とする自然循環式沸騰水型原子炉における原子炉炉心性能計算方法。
  7. 前記3次元核熱水力計算コードは、
    前記入力手段からさらに前記炉心内の中性子束の測定値を読み込み、
    前記中性子束の測定値にもとづいて、前記3次元出力分布を補正することを特徴とする請求項6に記載の自然循環式沸騰水型原子炉における原子炉炉心性能計算方法。
  8. 演算装置と記憶装置と入力手段とを備え、
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の原子炉炉心性能計算方法を実行することを特徴とする原子炉炉心性能計算装置。
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