JP2007228870A - アクアガスを用いた農産物のフード供給システム - Google Patents

アクアガスを用いた農産物のフード供給システム Download PDF

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Abstract

【課題】アクアガスを用いた農産物のフード供給システムを提供する。
【解決手段】農産物をアクアガスを用いて低侵襲的に加熱処理することによって、ビタミンCの減少及び/又は糖類の増加の抑制、及び歩留まりの向上を図り、食材に次の優位性:高い歩留まり、旬の高品質維持、官能性の向上、簡便性の向上、長期間冷蔵保存性及びその保存安定性を付与して、冷蔵及び/又は輸送することを特徴とする農産物のフード供給システム、及び農産物の加工処理方法。
【効果】農産物を機能性を損なうことなしに、高い歩留まり、旬の高品質維持、官能性の向上、簡便性の向上、長期間冷蔵保存性及びその保存安定性等の優位性を付与した食材として供給することが可能な農産物のフード供給システム及び農産物の加工処理方法を提供することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、微細水滴を含んだ過熱水蒸気「アクアガス」(登録商標)を用いた農産物のフード供給システム及び農産物の加工処理方法に関するものであり、更に詳しくは、旬の農産物をアクアガスを用いて低侵襲的に加熱処理することによって、ビタミンCの減少及び/又は糖類の増加の抑制、及び歩留まりの向上を図り、食材に次の優位性:高い歩留まり、旬の高品質維持、官能性の向上、簡便性の向上、長期間冷蔵保存性及びその保存安定性を付与して、冷蔵及び/又は輸送することからなる農産物のフード供給システム及び農産物の処理方法に関するものである。
現在、農産物の機能性や安全性などに関する消費者の関心が高く、総じて国産農産物への需要が高い状況となっている。しかし、農産物の収穫時期は限られており、国産農産物の安定的な供給や多穫期の収穫後のロスなどを減じるために、長期保存する技術について種々検討されている。これらの収穫直後の農産物を余り品質を損なわないで、1次加工処理を行い、長期貯蔵を行い、通年的に食材として供給するフード供給システムを確立できれば、収穫期に左右されないで国産農産物の安定的な供給が可能となると考えられる。
しかし、現実には、国産農産物の長期貯蔵や、通年的に食材として供給する技術は確立されておらず、農産物のロスを減じることや、農産物を鮮度や機能性を損なわないで安定的に消費者に供給することは困難な状況となっているのが実情である。季節性の高い国産農産物の通年利用については、貯蔵中の品質の劣化や、更に、生の農産物と比べて物性的にも成分的にも劣る水煮などの1次加工食材を使用する以外には、十分に利用できない状況にあり、特に、端境期には輸入農産物を使用せざるを得ない状況にある。
一方、過熱水蒸気加熱は、高温高圧で、高カロリーで、しかも、熱エネルギー的に準安定な乾燥水蒸気を利用できるため、例えば、食品の加熱焼成手段等として、広くその応用技術が提案されている(特許文献1〜5)。
特開平06−090677号公報 特開2001−061655号公報 特開2001−214177号公報 特開2001−323085号公報 特開2002−194362号公報
このような状況の中で、本発明者らは、国産農産物を通年的に食材として供給するフード供給システムを確立することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、旬の農産物をアクアガスを用いて低侵襲的に加熱処理することによって、農産物に含まれるビタミンCの減少及び/又は糖類の増加の抑制、及び歩留まりの向上を図ることが可能であり、高い歩留まり、旬の高品質維持、官能性の向上、簡便性の向上、長期間冷蔵保存性及びその保存安定性等の優位性を付与した食材として、通年的に供給することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、アクアガスを用いて食材に旬の高品質維持等の優位性を付与して冷蔵及び/又は輸送することを可能とする農産物のフード供給システムを提供することを目的とするものである。また、本発明は、アクアガスを用いて高い歩留まり、長期間冷蔵保存性及びその保存安定性等の優位性を付与した食材を製造し、供給することを可能とする農産物の加工処理方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)農産物をアクアガスを用いて低侵襲的に加熱処理することによって、ビタミンCの減少及び/又は糖類の増加の抑制、及び歩留まりの向上を図り、食材に次の優位性:高い歩留まり、旬の高品質維持、官能性の向上、簡便性の向上、長期間冷蔵保存性及びその保存安定性を付与して、冷蔵及び/又は輸送することを特徴とする農産物のフード供給システム。
(2)農産物が、馬鈴薯、大根、南瓜、トウモロコシ、枝豆である前記(1)記載の農産物のフード供給システム。
(3)食材が、農産物の加熱済み食材又はそれを含む調理済み食品である前記(1)記載の農産物のフード供給システム。
(4)農産物をアクアガスを用いて低侵襲的に加熱処理することによって、ビタミンCの減少及び/又は糖類の増加の抑制、及び歩留まりの向上を図り、食材に次の優位性:高い歩留まり、旬の高品質維持、官能性の向上、簡便性の向上、長期間冷蔵保存性及びその保存安定性を付与して、冷蔵及び/又は輸送することを特徴とする農産物の加工処理方法。
(5)農産物が、馬鈴薯、大根、南瓜、トウモロコシ、枝豆である前記(4)記載の農産物の加工処理方法。
(6)食材が、農産物の加熱済み食材又はそれを含む調理済み食品である前記(4)記載の農産物の加工処理方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、葉菜を除く収穫農産物を速やかに冷蔵保管し、下拵えを行い、保冷車で加工場に搬入し、これをアクアガス加熱装置で低侵襲的、且つ迅速に芯温70〜95℃、又は、調理済み温度まで加熱し、冷蔵庫内でこれを無菌的、且つ低侵襲的に芯温3〜5℃まで素早く余熱を徐熱し、これを直接、あるいはバリアー性の高い包材で無菌包装して、冷蔵庫内でその端境期まで長期間保管し、下拵え及び/又は加工し、必要により、アクアガス装置で低侵襲的に所定温度まで加熱及び殺菌して、冷蔵及び/又は輸送により食材として供給することを特徴とするものである。
本発明では、旬の農産物を収穫後に食材・食品への加工を行う際に、アクアガスを用いて可能な限り低侵襲的に加熱処理することにより、収穫から需要家までの間一貫したチルド等の低温に維持すること、加熱処理による食材のダメージを最小化すること、そのような方式での貯蔵と貯蔵中の微生物汚染を防止することで、加工目的に合致した、生の状態に近い、高品質の状態で、高い歩留まりで、高品質の1次加工食材を供給するフード供給システムを構築し、提供することができる。本発明は、例えば、北海道を中心に生産される葉物を除く主要な農産物に好適に適用することができるものであり、本発明が適用される農産物としては、例えば、馬鈴薯、大根、トウモロコシ、エダマメ、南瓜、筍などが例示される。
本発明では、生産地で収穫後に洗浄・剥皮(用途に応じては成形)などの処理を施した後、アクアガス処理を行って、品質の劣化を防ぐために、急冷して無菌的に貯蔵(場合により、閑散期に生産地で加工処理)して、需要に応じて消費地に運搬し、加熱調理加工処理して販売するシステムを構築することができるが、それらの手段については特に制限されるものではない。本発明では、特に、馬鈴薯、トウモロコシ、大根、エダマメ、筍などは、処理後の長期保存性があることを確認している。
馬鈴薯(男爵芋)について、収穫直後にアクアガス処理して、長期冷蔵保存したものと、収穫後にそのまま貯蔵しておいたものにおいて、組織構造や微生物数の変化を観察した結果、アクアガス処理では、組織構造がしっかりと保持されていることが確認された。また、アクアガス処理を施すことで無菌状態で保存できることを確認した。
また、同じロットの男爵芋を用いて、収穫直後のもの、収穫後にそのまま冷蔵貯蔵で4ヶ月経過したもの、収穫直後にアクアガスガス処理(丸のまま)して冷蔵貯蔵で4ヶ月経過したもので、還元糖の量を測定した。その結果、アクアガス処理により、長期貯蔵中での還元糖の生成増加を抑制しており、生の状態での品質を保っている。比較とした冷蔵貯蔵のみのものでは、還元糖が多くなっている。還元糖が多くなると、フライドポテトなどでは褐変が進行し、また、食味も低下するとされており、アクアガス処理により男爵芋が収穫後も安定的に加工用食材として利用できる可能性を示している。更に、アクアガスを用いて加熱処理することにより、ビタミンCの減少及び/又は糖類の増加が抑制され、また、歩留まりが向上することが確認された。
アクアガスを用いて、被処理材料を短時間で効率よく低侵襲的に加熱・殺菌することができるが、アクアガスが農産物に含まれるビタミンCの減少及び/又は糖類の増加が抑制され、歩留まりの向上に有効であるか否かは全く未知であったが、本発明のアクアガスによる加熱処理により、それらが可能であること、それによって、食材を高い優位性を持って冷蔵及び/又は輸送により供給する農産物のフード供給システムが構築できることが分かった。
本発明において、「アクアガスを用いて低侵襲的に加熱処理する」とは、農産物を次の工程;(1)100℃以上に加熱された熱水及び/又は水蒸気を、これと同温度以上に加熱された準密閉空間の加熱室内に連続的に噴射させ、微細水滴と湿熱水蒸気を発生させる、(2)上記微細水滴と湿熱水蒸気で上記加熱室内の空気を置換させて、湿度95%以上及び酸素濃度1%以下の組成を有し、90〜180℃の温度領域に保持されたガス成分で満たす、(3)上記微細水滴と湿熱水蒸気で被加熱・殺菌材料に上記温度領域で少なくとも10℃の温度差の連続振幅加熱を施して加熱・殺菌処理する、により加熱処理することを意味するものとして定義される。
本発明では、上記アクアガスを用いて低侵襲的に加熱処理するための装置として、少なくとも、被処理材料を外気と遮断して加熱する準密閉状態の加熱室、該加熱室を100℃を越える所定の温度に加熱する加熱手段、100℃以上に加熱された熱水及び/又は水蒸気を上記加熱室内に連続的に噴射させ、微細水滴と湿熱水蒸気を発生させて所定の方向に移送する水蒸気発生手段、を構成要素として含み、100℃以上に加熱された熱水及び/又は水蒸気を上記加熱室内に連続的に噴射させ、微細水滴と湿熱水蒸気を発生させ、加熱室内部を常圧状態のまま微細水滴と水蒸気で充満させ、湿度95%以上、酸素濃度1.0%以下の組成を有し、90〜180℃の温度領域に保持されたガス成分で加熱室内部の空気を置換し、該微細水滴と湿熱水蒸気で加熱室内の被処理材料に上記温度領域で少なくとも10℃の温度差の連続振幅加熱を施して加熱処理するようにしたアクアガス発生装置が使用される。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)農産物を機能性を損なうことなしに、高い歩留まり、旬の高品質維持、官能性の向上、簡便性の向上、長期間冷蔵保存性及びその保存安定性等の優位性を付与した食材として供給することが可能な農産物のフード供給システム及び農産物の加工処理方法を提供することができる。
(2)農産物の高品質食材・食品への加工及び供給が可能となり、生産農家には作物の高付加価値化と出荷調整が、産地加工業者には産地振興が、そして、消費者には食の安心と安全確保と食生活の健全化が実現する。
次に、試験例及び実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の例によって何ら限定されるものではない。
試験例1
本試験例では、上述のアクアガス発生装置を用いて、アクアガスの発生試験を実施した。アクアガス発生装置の運転を開始し、準密閉状態の加熱室(加熱チャンバー)を水蒸気温度と同温度に加熱し、次いで、該チャンバーに300℃に加熱された水蒸気を連続的に噴射させて、チャンバーの内部を常圧状態のまま水蒸気で充満させた。運転開始から25分経過後に微細水滴と湿熱水蒸気の混合状態を作り出し、約7分後に湿度99.9%、酸素濃度0.01%のアクアガスの状態に達した。上記アクアガス発生装置による気体生成過程におけるチャンバー内の温度、湿度、酸素濃度、排気温度を測定した結果、25分経過後に、チャンバー内の酸素濃度の急激な低下及び湿度の急激な上昇を経て、アクアガスが生成された。
試験例2
本試験例では、水蒸気発生用パネルヒータ(2kw)、加熱室内の加熱ヒータ(10kw)を用いて、アクアガス発生装置の運転時の100℃から300℃までの水蒸気吐出温度と、装置内温度、装置内湿度、及び装置内酸素濃度との関係を調べた。上記パネルヒータは100℃以上において、連続最大運転とし、上記加熱ヒータは110℃以上において、連続最大運転とした。ただし、100℃以下においては、その設定温度に設定した。その結果、約100〜115℃の気化発生期の水蒸気では、温度上昇に時間を要し、約120℃以上の水蒸気は装置内温度に連動して短時間、かつ安定な温度上昇を示し、装置内温度と水蒸気温度がきわめて安定に制御し得ることが分かった。他方、115℃前後の水蒸気は、準安定状態ではあるが、高密度で高い潜熱量を有する熱媒体として利用し得ると考えられる。これにより、本発明では、これらの準安定及び安定状態のアクアガスを、その特性を生かして、農産物の種類、加熱加工の目的等に応じて任意に選択し、使用することが可能であることが分かった。
試験例3
本試験例では、アクアガス発生時における水蒸気及び微細水滴噴射ノズル付近の温度変化を調べた。その結果、約95〜150℃の温度領域で約10〜40℃の温度差の振幅で連続的かつ短時間の温度変化が生起することが分かった。また、上記温度差の振幅と、微細水滴と湿熱水蒸気及び乾熱水蒸気の組成は、噴射する水蒸気の温度と装置内温度を調節することにより、変化させ得ることが分かった。また、アクアガス発生時における装置内温度と気体水温度を比較した。供給水を加熱装置で余熱し、供給水量は定量ポンプ115spm(3.62l/h)とした。その結果、装置内温度を約120〜150℃の温度範囲で調節することにより、アクアガスの約20〜50℃の温度差の振幅の条件で連続振幅加熱できることが分かった。
また、上記と同様にして、アクアガス発生時における装置内温度とアクアガス温度を比較した。その結果、装置内温度を約115〜165℃の温度範囲で調節することにより、アクアガスの約20〜50℃の温度差の振幅の条件で連続振幅加熱できることが分かった。更に、約115〜165℃の温度範囲のアクアガスを用いて、水道水(100cc)を80℃に加熱するための加熱時間を比較した。その結果、約115℃の温度条件のアクアガスを用いたとき、最も加熱時間が短く、高いエネルギー効率を示すことが分かった。
図1に、微細水滴を含んだ過熱水蒸気(アクアガス)の発生装置の概略図を示す。この装置を用いて、軟水化処理された水を定量ポンプにて装置内のヒータに圧送した。送られた水は高圧下で100℃以上に加熱され、ノズルから過熱水蒸気で満たされた加熱チャンバ内へ噴霧された。噴霧された水滴は蒸発し、更に加熱され、最終的には過熱水蒸気になるが、加熱チャンバ内温度と噴霧水量のバランスを取ることにより、常に加熱チャンバ内に過熱水蒸気と微細水滴が混在する雰囲気を作り出すことができた。この雰囲気がアクアガスと呼ばれる。熱容量の大きな微細水滴によりアクアガスは高い熱伝達性を持つことが期待できる。また、アクアガスでは微細水滴が農産物に付着し乾燥を防ぐことから、農産物の加熱時間と含水率の組み合わせの自由度が大きく、食材の品質・歩留りの向上が期待できる。
ホールのジャガイモを30分間加熱処理した。加熱方法としては、115℃のアクアガスに加えて、比較対照として、115℃の過熱水蒸気ならびに100℃の沸騰した熱湯を用いた。加熱処理したジャガイモは3℃で4ヶ月間冷蔵貯蔵を行った。加熱処理中はジャガイモ表面温度と中心温度を測定した。加熱処理後はクリープメーターでジャガイモ組織の力学特性の測定を行い、また、色彩、目減りの測定を行った。更に、耐熱性菌である枯草菌の胞子を表面に接菌したジャガイモについて、アクアガスによる加熱処理を行い、殺菌効果について調べた。加熱処理後の冷蔵貯蔵については、アクアガス処理したジャガイモと未処理のジャガイモにて行い、貯蔵後の還元糖含有量の比較ならびにSEMによる組織構造変化の比較を行った。
(1)温度測定結果
ジャガイモの表面温度については、アクアガスと熱湯による処理において、ほぼ等しい上昇が見られたが、過熱水蒸気による処理においては、アクアガス、熱湯と比較して、表面温度上昇は遅くなった。これは、それぞれの加熱媒体の熱伝達率の違いによるものと考えられる。しかしながら、ジャガイモの中心温度については、いずれの処理においても大きな違いは見られなかった。これはいずれの加熱方法においてもジャガイモ表面における熱流束がジャガイモ内部への熱流に対してほぼ飽和しており、ジャガイモ中心温度の上昇はジャガイモ自身の熱拡散係数に律速されていたためと考えられる。
(2)力学特性の変化
加熱処理によるジャガイモの力学特性の変化をクリープメーターRE−33005(株式会社山電製)を用い、Φ2mm 円柱プランジャをジャガイモ中心部に挿入して破断応力と破断歪率を測定した。破断応力についてはアクアガス、過熱水蒸気により処理したものが熱湯にて処理したものよりも大きく、また、破断歪率についてもアクアガス、過熱水蒸気により処理したものが大きくなった。熱湯で処理したジャガイモは軟化が著しく非常に崩れやすくなっていたが、アクアガスならびに過熱水蒸気にて処理したジャガイモは熱湯で処理したものと比較して、軟化が抑えられ形状も良く保たれていた。
(3)色調の変化
色彩の測定は色彩色差計CR−300(ミノルタ株式会社製)で、表色系にはL*a*b*(CIE1976)を用いた。加熱処理により全体的に明度と彩度が下がる傾向が見られた。ジャガイモ表皮の色に着目すると、熱湯で処理したジャガイモとアクアガス、過熱水蒸気で処理したジャガイモの間に有意な差が見られた。しかしながら、ジャガイモ内部の色については各処理間に差は見られなかった。
(4)歩留まり変化
目減りについては、図2に示した様に、過熱水蒸気で処理したジャガイモの目減りは3%弱であったが、アクアガス処理では約1%であった。また、熱湯で処理したものはアクアガスによるものとほぼ等しい結果となった。アクアガス処理ではアクアガス中に分散する微細水滴がジャガイモ表面に付着するために、目減りが抑制されたと考えられた。
(5)加熱処理の殺菌性
殺菌試験の結果、枯草菌胞子を接菌した後、加熱処理を施していないものでは1ml当たり10の6乗の菌が検出されたが、30分間のアクアガス処理を施したジャガイモでは枯草菌は死滅した。尚、一般生菌数も検出されなかった。
(6)処理法による還元糖類の含有量変動性
アクアガス処理したジャガイモを貯蔵した後の特異性に関しては、図3に示した。
還元糖類の含有量については、収穫後、生の状態で冷蔵貯蔵した物については増加が見られたが、アクアガス処理をした後貯蔵したものについては、収穫直後の含有量とほぼ等しいという結果になった。アクアガス処理により、冷蔵貯蔵中のジャガイモの品質低下を抑制できたものと考えられた。
(7)加熱処理・貯蔵後のビタミンC残存率の測定
アクアガス処理をせずに冷蔵貯蔵したものに比べて、アクアガス処理を施してから4ヶ月間冷蔵貯蔵したジャガイモのビタミンC残存率は有意に高かった。
(8)加熱処理・貯蔵後の組織構造変化
ジャガイモの組織構造の観察結果を図4に示した。上が未処理のジャガイモのSEM写真で、下段左側がアクアガス処理をせずに冷蔵貯蔵したもので、右側がアクアガス処理を施してから冷蔵貯蔵したジャガイモのSEM写真である。両者を比較すると、アクアガス処理を施してから貯蔵したジャガイモには明瞭な構造が確認できる。これは、アクアガス処理をせずに冷蔵したジャガイモでは澱粉の分解等と共に、細胞壁など組織構造の劣化や分解が進んだためと考えられた。
アクアガス処理を施してから冷蔵貯蔵したジャガイモの官能性を評価した。アクアガス処理をせずに冷蔵貯蔵したものを対照として、アクアガス処理を施してから4ヶ月間冷蔵貯蔵したジャガイモから調製したスティックを所定条件でフライしたフライドポテトは、彩り・食感・食味・香りとも、対照に比べ良好な評価であった。
以上の実験結果によって、アクアガス処理に、下記の1)〜6)の優位性が実証された。このことによって、アクアガス加熱処理食材のコスト・性能比は顕著に高いことが明らかにされた。
優位性;1)歩留まりが高い、2)低侵襲性である(ビタミンCの損耗を抑制し、組織の損傷も無く、長期間に亘って旬の高品質を維持できる)、3)殺菌性があるため、冷蔵保存性が高い、4)農産物食材との相性が良く、長期間冷蔵保存後も旬の官能性を維持できる、5)下拵え済みであり、簡便性は高い、6)以上から、残飯率が低く消費地における環境負荷が少ない。
この様なアクアガス処理の顕著なコスト・性能比の改善効果を活用することにより、図5に示したフード供給システムの構築が可能となる。このフードシステムの概要としては、まず、生産地でジャガイモを収穫後、剥皮ないし成形し、アクアガス処理を施し、急冷し、無菌的に貯蔵し、需要に応じて消費地に運搬する。消費地では用途に応じて食材として、また、更に調理加工を行って販売する。また、本発明では、ジャガイモ以外の農産物についても、収穫後、アクアガス処理を行い、貯蔵し、食材として通年流通させることが可能なシステムが構築できる。
1)原料
薯畑で収穫した男爵新薯を10k入り段ボール10個で試験室に搬入し、直ちに5〜10℃の専用冷蔵ケースに段ボールごと収納し、保管した。原料薯の対照サンプルを調製するために、各段ボールから任意に選んで真空パックして冷凍保存に供した(原薯の対照)。また、各段ボールから任意に選んで開封包装して冷蔵保存に供した。(冷蔵保存原薯の対照)。原料薯の澱粉価測定は、規定濃度食塩水浸漬簡便法によった。男爵新薯の165個の平均でその澱粉価は13.1であった。
2)アクアガス加熱・冷却システムによる新薯の処理
平均8℃で保管中の男爵新薯2.240gを冷清水に浸漬後、表皮の損傷を最小限に留めるために、柔らかいスポンジで泥を落とし、除菌型冷蔵庫で3±2℃まで冷却後、パンチングトレーに入れて、アクアガス加熱装置で芯温80℃到達まで14分50秒間加熱した(以降、「アクアガス80皮付きラウンド新薯」と言うことがある。)。当該トレーごと無菌的に3±2℃の除菌型冷蔵庫内に移し、速やかに余熱を除去、品温10℃まで下げた。このトレーをクリーンベンチ内に移して、手早く市販実験用無菌パックで包装後、3℃の冷蔵庫内で120日間保存した(表1)。収率99%。
また、アクアガス80皮付きラウンド新薯を高バリアー性フィルム包材に取って、真空包装して常温で保管し、その安定性評価試験に供した。被加熱男爵新薯のアクアガス加熱装置に入れる際の温度が重要で、事前冷却の有無で、昇温速度と被加熱男爵新薯の食味が変化する。予め除菌型冷蔵庫内で3±2℃に保持した新薯と常温保管した新薯を処理して、その食味性を評価した。その結果を表2に示した。
アクアガス加熱・冷却システムで処理した男爵薯(芯温75℃で15分間アクアガス加熱装置で加熱処理)の残存ビタミンC量は、未処理生男爵薯と同等で、対照の蒸しと茹でに対して顕著に高いことが明らかにされ(表3)、当該システムの農産物に対する低損耗性(低侵襲性)が実証された。
更に、アクアガス加熱・冷却システムで処理した男爵薯(芯温95℃まで35分間アクアガス加熱装置で加熱処理)の官能性評価は、対照の蒸しと茹でに比べ、全ての評価項目で優れたスコアを示し(図6)、また、テクスチャー測定(テクスチャーアナライザーTA−XTplus;Stable Micro System社製)においても、アクアガス処理男爵新薯は他の対照に比べて、優れた結果が得られ(図7)、官能性評価が機器分析結果で再確認された。そして、当該処理皮男爵薯と対照の蒸し処理品の表皮近傍の内部切片を電子顕微鏡で撮影した結果、アクアガス加熱処理品の低損耗状態に比べ、対照の蒸し処理品の顕著な構造的損耗状態が明らかにされた(図8)。この官能性評価結果は、当該システム処理が農産物の加工手段として適合性と合理性を兼備していることを実証するものである。
保存安定性試験を行った。即ち、120日間3℃の冷蔵庫内で保存したアクアガス80皮付きラウンド新薯は、外観に異常なく、ドリップの発生もなく良好な状態であった。該保存新薯の微量成分分析の結果、対照の平均8℃下で120日間保存した泥付き薯に比べ、ビタミンC残存率が有意に高く、遊離糖類のスクロース、フルクトース及びグルコース含有量は顕著に少なく凍結保存した新薯と同程度であった(表4)。この結果は、男爵新薯をアクアガスで素早く芯温80℃加熱することによって、有用成分のビタミンCの減耗を最小化しながら、澱粉の糖化を顕著に抑制したことを示している。男爵薯の品質は豊富な澱粉含有量に基づく、「ホクホク」感で代表されるといっても過言ではない。
120日間8℃冷蔵庫保存泥付き男爵新薯を対照とする、アクアガス80皮付きラウンド新薯の組織切片の電顕写真解析の結果、アクアガス加熱・冷却システムによる処理は被加熱新薯組織の保全性に優れていることが明らかにされた(図9)。これは、農産物に対するアクアガス加熱・冷却システムの低侵襲性を示すもので、高い収率や高いビタミンC残存率、そして高い生産性となって被処理食材の費用対効果を高めることに寄与している。
皮剥き・芽取りラウンド新薯及びそのスティック成型品の2サンプルのアクアガス加熱・冷却システム処理結果(以下、各々「アクアガス95皮剥き・芽取りラウンド新薯」、「アクアガス98皮剥き・芽取りラウンド新薯」、「アクアガス95新薯スティック」ということがある。)及びその保存安定性試験結果に関しては、まとめて表1に示した。何れも、アクアガス80皮付きラウンド新薯と同様に良い結果が得られた。
アクアガス98皮剥き・芽取りラウンド新薯を、高バリアー性フィルム包装に取って真空包装して常温で保存し、その安定性評価試験に供した。後記の様に、対照に比べて何れも良好な結果が得られた。120日間8℃冷蔵庫保存泥付き男爵新薯の芯温80℃アクアガス加熱品を対照として、フライドポテトを調理してその官能性を評価した。その結果を表5に示した。何れの評価項目においても、アクアガス80皮付きラウンド新薯が優れた評価を得た。
対照区の処理法は、皮付き男爵新薯→冷蔵長期保存→皮むき→スティック成型→油温170℃4分揚げとした。試験区の処理法は、皮付き男爵新薯→アクアガス加熱中心芯温80℃達温→冷蔵長期保存→皮むき→アクアガス加熱中心芯温80℃達温→スティック成型→油温170℃4分揚げとした。
120日間8℃冷蔵庫保存泥付き男爵新薯の芯温98℃以上で20分間アクアガス(AQG)加熱品を対照として、下記処方のポテトサラダを調理してその官能性を評価した。その結果を表6に示した。香りと色調では対照と差がないがその他評価項目では、アクアガス98皮剥き・芽取りラウンド新薯が優れた評価を得た。
<AQG野菜入りポテトサラダの処方>
AQG男爵芋 :46.4%(上記で調製したものを破砕して使用)
AQG人参 :10%(3mmイチョウ切りのAQG60秒間加熱したものを使用)
AQGキャベツ:10%(4割カットをAQG2分間加熱後乱切りしたものを使用)
AQG胡瓜 :10% (1本をAQG60秒間加熱後スライスしたものを使用)
AQG玉葱 :7.1% (5mmスライスをAQG30秒間加熱したものを使用)
マヨネーズ :15%
上白糖 :1%
生クリーム :0.4%
食塩 :0.1%
胡椒 :0.01%
アクアガス加熱処理区で、「色調」でややスコアが落ちている原因は、AQG胡瓜の色調ががくすむことにある。以上の処方で試作した「野菜入りポテトサラダ」の初発一般生菌数は300以下、10℃で4日間保存後も300以下であった。通常の熱処理した食材で試作した「野菜入りポテトサラダ」の初発一般生菌数は1.5×10、10℃で4日間保存後では9.0×10となった。
120日間8℃冷蔵庫保存泥付き男爵新薯の皮剥き・芽取りラウンドからスティックを成型しこれをアクアガスで芯温95℃3.9分間加熱したものを対照に、アクアガススティックの3℃冷蔵120日間貯蔵品からポテトフライを調理して官能性評価に供した。その結果を表7に示した。何れの評価項目においても、アクアガス95新薯スティックが良い評価を得た。
アクアガス80皮付きラウンド新薯とアクアガス98皮剥き・芽取りラウンド新薯の真空包装・常温30日保存品の品質評価を行った。目視検査では何れも異常が認められなかった。一般生菌数及び耐熱性菌数は、初発及び30日間常温保存品ともに、検出限界以下で、変敗の兆候は認められなかった。
朝採り葉茎・泥付大根を除菌型冷蔵庫内で3±2℃保管した。次に、アクアガス加熱・冷却システムによる処理を行った。即ち、下拵え(葉茎除去・冷水洗浄)した大根を4cm輪切りカットして、除菌型冷蔵庫内で3℃±2に冷却後、これをパンチングトレーに取って、芯温95℃までアクアガス加熱装置で37分間加熱した(以下、「アクアガス95大根」と言うことがある。)。次いで、無菌的に除菌型冷蔵庫内で迅速に冷却し、クリーンベンチ内で手速く実験用市販無菌パックで包装した。収率は95%であった。
当該無菌パックを3℃で120日間冷蔵長期保存に供した(表1)。下記の常法処方で大根煮を調理し、官能性評価試験に供した(表8)。
大根 :48%(上記で調製したものを半割にして使用)
醤油 :3.94%
上白糖 :5.91%
風味だし :1.75%(顆粒)
鶏がらスープ:0.88%(顆粒)
水 :39.6%
アクアガス95大根の「大根煮」は、初発及び10℃4日間保存後の一般生菌数は、共に300以下であった。一方、水から40分間茹でた大根で調理した対照品は、初発が300以下で10℃4日間保存後の一般生菌数は5.6×10となった。
皮付き新筍をそのまま除菌型冷蔵庫内で冷却した。次に、アクアガス加熱・冷却システムによる処理を行った。即ち、冷却皮付き新筍を下拵え(皮剥き・ブロックカット)して、除菌型冷蔵庫内で3℃±2に冷却後、これをパンチングトレーに取って、芯温75℃までアクアガス加熱装置で5分間加熱した。次いで、無菌的に除菌型冷蔵庫内で迅速に冷却し、クリーンベンチ内で手速く実験用市販無菌パックで包装した(以下、「アクアガス75筍」と言うことがある。)収率は100%であった。
無菌パック新筍を3℃で120日間冷蔵長期保存に供した(表1)。下記常法処方で新筍土佐煮を調理し、「アクアガス75新筍」の官能性を評価した(表9)。
新筍 :49.5%(上記で調製したものを銀杏切にして使用)
醤油 :4.94%
みりん :4%
上白糖 :3.2%
風味だし :0.82%(顆粒)
鶏がらスープ:0.16%(顆粒)
こく味調味料:0.16%
鰹節破片 :0.2%
水 :37%
上記処方で常法で調理した「新筍土佐煮」は、初発及び10℃4日間保存後の一般生菌数は、共に、300以下であった。一方、市販の「水煮筍」から調理した「筍土佐煮」も初発及び10℃4日間保存後の一般生菌数は同じく300以下であるものの、風味と食感及び香は、遥かにアクアガス75新筍処方が優れていた。
朝獲れ南瓜を直ちに除菌型冷蔵庫で3±2℃で保管した。冷蔵南瓜を4分割し、種やワタ等の非可食部を手早く除去し、乱切りにして流水洗浄後、除菌型冷蔵内で3±2℃で冷却した。アクアガス加熱・冷却システムによる処理を行った。即ち、冷却乱切り南瓜をパンチングトレーに入れて、アクアガス加熱装置で芯温95℃まで13分間加熱後、直ちに無菌的に3℃±2に設定した除菌型冷蔵庫内で急速除熱後、無菌的に密封包装(以下、「アクアガス95新南瓜」と言うことがある。)して、3℃で120日間冷蔵長期保存に供した。収率は99%であった。
下記の常法処方で「アクアガス95新南瓜」の「南瓜煮」を調理し、その官能性評価に供した(表10)。
南瓜 :1kg
調味液(噴霧):10g(調味液;醤油14.2%、合せ出汁14.2%、
水71.6%)
上白糖 :80g(まぶす)
上記処方をアクアガスで4分間加熱した「南瓜煮」は、初発一般生菌数及び10℃4日間保存後が共に300以下であった。市販冷凍南瓜を使った蒸し加熱で11分間加熱調理した対照は、初発は300以下であるが、10℃4日間保存後は1.1×10となった。
朝獲れ玉蜀黍を直ちに3℃±2に設定した除菌型冷蔵庫内で保管した。非可食部を除去した芯付きの状態で除菌型冷蔵庫で3±2℃に冷却した。次に、アクアガス加熱・冷却システムによる処理を行った。即ち、芯付実をパンチングトレーに入れて、アクアガス加熱装置で芯温80℃まで8分30秒間加熱後、直ちに無菌的に3℃±2に設定した除菌型冷蔵庫内で急速除熱後、無菌的に密封包装して3℃で120日間冷蔵長期保存に供した(表1)。収率は99%であった。
当該処理品を高バリアー性フィルム包装で真空包装し、常温で30日間保存した。目視検査では変色・ドリップ・膨れが観察されず、彩りが良好で安定であった。市販のレトルト包装玉蜀黍を対照に、官能性評価を実施した。その結果を表11に示した。全項目でアクアガス処理品の評価が有意に良好であった。
朝獲れ鞘付き枝豆を直ちに強く塩揉みをして鞘の毛を除去し、流冷水で塩を流して除菌型冷蔵庫で3±2℃で冷却した。次に、アクアガス加熱・冷却システムによる処理を行った。即ち、下拵え冷却鞘付き枝豆をパンチングトレーに入れて、アクアガス加熱装置で芯温99℃まで4分間加熱後、直ちに無菌的に3℃±2に設定した除菌型冷蔵庫内で急速除熱後、無菌的に密封包装して3℃で120日間冷蔵長期保存に供した(表1)。収率は99%であった。
上記処理品を高バリアー性フィルム包装で真空包装し、冷蔵で30日間保存した。目視では変色・ドリップ・膨れが観察されず、彩りが良好で安定であった。市販冷凍生枝豆を対照として、真空包装冷蔵保存品の食味試験を行った。その結果を表12に示した。全項目で、アクアガス処理枝豆の評価が高かった。
茨城県産の紅あずまを流水洗浄後、除菌型冷蔵庫で3±2℃に保管した。次に、アクアガス加熱・冷却システムによる処理を行った。即ち、下拵え冷却紅あずまをパンチングトレーに入れて、アクアガス加熱装置で芯温98℃10分間まで加熱後、直ちに無菌的3℃±2に設定した除菌型冷蔵庫内で急速除熱後、無菌的に密封包装して3℃で120日間冷蔵長期保存に供した(表1)。収率は99%であった。
上記処理品を高バリアー性フィルム包装で真空包装し、常温で30日間保存した。目視評価は、変色・ドリップ・膨れが観察されず、彩りが良好で安定であった。市販レトルト紅あずまを対照として、真空包装常温保存品の食味試験を行った。その結果を表13に示した。全項目で、アクアガス処理新枝豆の評価が高かった。
以上詳述したように、本発明は、アクアガスを用いた農産物のフード供給システムに係るものであり、本発明により、農産物を機能性を損なうことなしに、高い歩留まり、旬の高品質維持、官能性の向上、簡便性の向上、長期間冷蔵保存性及びその保存安定性等の優位性を付与した食材として供給することが可能な農産物のフード供給システム及び農産物の加工処理方法を提供することができる。本発明により、加熱法(アクアガス、過熱水蒸気、飽和蒸気、熱水)の違いにより、食材の官能性、テクスチャー、組織構造変化、色調、破断応力、破断歪率、歩留まり変化、糖類の含有量変化、アクアガス加熱及び冷却処理の効果等が大きく変動し、それらの差異によって、食材の優位性が大きく変化することが分かった。本発明による農産物のフード供給システムは、アクアガス加熱と冷蔵を組み合わせることで食材に特異的な優位性を付与して通年的に冷蔵及び/又は輸送により農産物をその機能性及び高品質を維持して供給するシステムを構築することを可能にしたものとして高い技術的意義を有するものである。
微細水滴を含んだ過熱水蒸気(アクアガス)の発生装置を示す。 加熱処理による歩留まり変化を示す。 加熱処理貯蔵後の還元糖類の含有量変動を示す。 加熱処理・貯蔵後の組織構造変化を示す。 ジャガイモ等農産物のフード供給システムの構築を示す。 加熱法の違いによる男爵薯の官能検査結果を示す。 アクアガス加熱・冷却システム処理男爵薯のテクスチャーの特異性を示す。 男爵薯のアクアガス加熱処理、蒸し処理による表皮近傍の内部構造の変化を示す。 アクアガス皮付きラウンド新薯組織の電顕写真を示す。

Claims (6)

  1. 農産物をアクアガスを用いて低侵襲的に加熱処理することによって、ビタミンCの減少及び/又は糖類の増加の抑制、及び歩留まりの向上を図り、食材に次の優位性:高い歩留まり、旬の高品質維持、官能性の向上、簡便性の向上、長期間冷蔵保存性及びその保存安定性を付与して、冷蔵及び/又は輸送することを特徴とする農産物のフード供給システム。
  2. 農産物が、馬鈴薯、大根、南瓜、トウモロコシ、枝豆である請求項1記載の農産物のフード供給システム。
  3. 食材が、農産物の加熱済み食材又はそれを含む調理済み食品である請求項1記載の農産物のフード供給システム。
  4. 農産物をアクアガスを用いて低侵襲的に加熱処理することによって、ビタミンCの減少及び/又は糖類の増加の抑制、及び歩留まりの向上を図り、食材に次の優位性:高い歩留まり、旬の高品質維持、官能性の向上、簡便性の向上、長期間冷蔵保存性及びその保存安定性を付与して、冷蔵及び/又は輸送することを特徴とする農産物の加工処理方法。
  5. 農産物が、馬鈴薯、大根、南瓜、トウモロコシ、枝豆である請求項4記載の農産物の加工処理方法。
  6. 食材が、農産物の加熱済み食材又はそれを含む調理済み食品である請求項4記載の農産物の加工処理方法。
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