JP2007226967A - 電池用正極及びこれを使用した電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】重負荷放電特性、放電容量及び保存安定性に優れたアルカリ乾電池用正極、及び該正極を使用した電池を提供する。
【解決手段】正極活物質と導電剤とを含有する正極合剤からなる電池用正極において、正極活物質がオキシ水酸化ニッケルであり、かつ導電剤が繊維径0.5〜500nm及び繊維長500μm以下を有する、筒状の炭素層が重なり合う多層構造を有し、その中心軸が空洞構造の微細炭素繊維であることを特徴とする電池用正極、及び該正極、亜鉛からなる負極、アルカリ電解質からなるアルカリ電池。
【選択図】図1
【解決手段】正極活物質と導電剤とを含有する正極合剤からなる電池用正極において、正極活物質がオキシ水酸化ニッケルであり、かつ導電剤が繊維径0.5〜500nm及び繊維長500μm以下を有する、筒状の炭素層が重なり合う多層構造を有し、その中心軸が空洞構造の微細炭素繊維であることを特徴とする電池用正極、及び該正極、亜鉛からなる負極、アルカリ電解質からなるアルカリ電池。
【選択図】図1
Description
本発明は、新規な電池用正極、さらに詳しくは、重負荷放電特性、放電容量及び保存安定性に優れた正極、及び該正極を使用した電池、特にアルカリ乾電池に関する。
近年、小型の携帯用電子機器、とりわけ、携帯用ゲーム機、デジタルカメラの普及は非常にめざましい。今後もますますその普及が予想され、それに伴って、電源となる電池の需要も急速に拡大すると考えられる。現在、これらの機器には単3サイズの円筒形電池が主に使用されているが、こうした電子機器は一般に作動電圧が高く、かつ大電流を必要とするため、その電源としては重負荷での放電特性に優れていなければならない。
この要求を満たす電池の中で広く使用されているのは、二酸化マンガンを正極、亜鉛を負極に使用し、電解液に高濃度アルカリ水溶液を使用したアルカリマンガン電池である。この電池は二酸化マンガン、亜鉛ともに安価であり、また、単位重量当たりのエネルギー密度が高いことから、小型携帯用電子機器用の電源をはじめ、幅広く用いられている。
こうした小型携帯用機器での使用を鑑み、アルカリマンガン電池は更なる重負荷放電特性の向上を目指すべく、現在までに数多くの改良がなされてきた。しかしこの電池は、正極活物質である二酸化マンガンの放電が均一固相反応であるために、放電によって電圧が徐々に低下し、右下がりの放電曲線を描く。このため、高電圧、大電流を必要とする小型携帯用電子機器においては、このアルカリマンガン電池の放電挙動では僅かしか許容できず、機器の使用可能時間は、様々な改良がなされた現在においてもごく僅かでしかない。加えて、小型携帯用電子機器は、いずれもその市場投入初期は比較的高電圧、大電流で作動する傾向があり、今後新規の機器にも対応可能な、より重負荷特性に優れた電池が必要不可欠である。
このような要求を満たす電池として、特許文献1、特許文献2、特許文献3に見られるように、ニッケル亜鉛電池が従来から提案されている。この電池は、オキシ水酸化ニッケルと黒鉛粉末を含む正極、亜鉛を含む負極を使用した電池であり、アルカリマンガン電池よりも作動電圧の高い、重負荷特性に優れた電池である。しかし、従来のニッケル亜鉛電池は、アルカリマンガン電池と比較して高い作動電位が得られるものの、放電容量は必ずしも大きくなく、また、特に電池の高温保存時などには、オキシ水酸化ニッケルが自己放電し、電池の放電性能は低下するという難点が見られる。
特開2002−343346号公報
特開2003−17080号公報
特開2001−332250号公報
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、重負荷放電特性、放電容量の増大、および保存特性に優れた電池用正極、および該正極を使用する電池、特にアルカリ電池を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を進めたところ、オキシ水酸化ニッケルを含む正極を使用する電池の上記の問題は、正極合剤に含まれる導電剤に大きな基因があることを見出した。即ち、従来、導電剤としては、多くの場合、黒鉛粉末が使用されているが、本発明では、導電剤として、繊維径0.5〜500nm、繊維長500μm以下、アスペクト比3〜1000を有する、筒状の炭素層が重なり合う多層構造を有し、その中心軸が空洞構造の微細炭素繊維を使用することにより、放電容量が増大でき、電池の重負荷放電特性、および保存特性が顕著に改善されることが判明した。
本発明において何故には電池の放電容量が増大でき、重負荷放電特性および保存特性が改善されるかについては必ずしも明らかではないが、ほぼ次のように推定される。本発明で、正極における導電剤として使用される上記特性を有する微細炭素繊維は、従来の黒鉛に比較して、導電性が極めて大きいために単位体積あたり利用可能な充填される正極活物質であるオキシ水酸化ニッケルの量が大きくできるために放電容量が増大できる。
また、正極活物質であるオキシ水酸化ニッケルが自己放電した場合には酸素が発生するが、この酸素は導電剤が黒鉛の場合には、黒鉛と反応し酸素が消費される結果、さらに自己放電が促進される。しかし、本発明では、導電剤は、導電性の大きい微細炭素繊維であり、また、導電ネットワークを形成しやすいために電極の抵抗を低減できるので、酸素と導電剤との反応が起こる反応サイトを少なくできる結果、オキシ水酸化ニッケルの自己放電の促進を抑えられるものと思われる。
かくして、本発明は下記の要旨からなることを特徴とするものである。
(1)正極活物質と導電剤とを含有する正極合剤からなる電池用正極において、正極活物質がオキシ水酸化ニッケルであり、かつ導電剤が繊維径0.5〜500nm及び繊維長500μm以下を有する、筒状の炭素層が重なり合う多層構造を有し、その中心軸が空洞構造の微細炭素繊維であることを特徴とする電池用正極。
(2)微細炭素繊維が、気相成長炭素繊維、及び/又はカーボンナノチューブである上記(1)に記載の電池用正極。
(3)微細炭素繊維が、非酸化性雰囲気にて2300℃以上の温度で熱処理され黒鉛化度を高めた上記(1)又は(2)に記載の電池用正極。
(4)導電剤が、更に、平均粒径が2〜50μm及びBET比表面積が3〜30m2/gの黒鉛粉末を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の電池用正極。
(5)導電剤が、正極合剤中に好ましくは2〜20重量%含有される請求項1〜4のいずれかに記載の電池用正極。
(6)正極活物質が、平均粒径5〜40μmオキシ水酸化ニッケルと平均粒径が20〜50μmの二酸化マンガンとの混合物である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の電池用正極。
(7)電池が、電解液にアルカリ水溶液を使用したアルカリ乾電池である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の電池用正極。
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の正極、亜鉛からなる負極、およびアルカリ水溶液からなる電解液を有するアルカリ乾電池。
(1)正極活物質と導電剤とを含有する正極合剤からなる電池用正極において、正極活物質がオキシ水酸化ニッケルであり、かつ導電剤が繊維径0.5〜500nm及び繊維長500μm以下を有する、筒状の炭素層が重なり合う多層構造を有し、その中心軸が空洞構造の微細炭素繊維であることを特徴とする電池用正極。
(2)微細炭素繊維が、気相成長炭素繊維、及び/又はカーボンナノチューブである上記(1)に記載の電池用正極。
(3)微細炭素繊維が、非酸化性雰囲気にて2300℃以上の温度で熱処理され黒鉛化度を高めた上記(1)又は(2)に記載の電池用正極。
(4)導電剤が、更に、平均粒径が2〜50μm及びBET比表面積が3〜30m2/gの黒鉛粉末を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の電池用正極。
(5)導電剤が、正極合剤中に好ましくは2〜20重量%含有される請求項1〜4のいずれかに記載の電池用正極。
(6)正極活物質が、平均粒径5〜40μmオキシ水酸化ニッケルと平均粒径が20〜50μmの二酸化マンガンとの混合物である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の電池用正極。
(7)電池が、電解液にアルカリ水溶液を使用したアルカリ乾電池である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の電池用正極。
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の正極、亜鉛からなる負極、およびアルカリ水溶液からなる電解液を有するアルカリ乾電池。
本発明によれば、重負荷放電特性、放電容量、及び保存安定性に優れたアルカリ乾電池用正極、及び該正極を使用した電池、特にアルカリ乾電池を得ることができる。
本発明の正極を形成する正極合剤には、オキシ水酸化ニッケル(NiOOH)からなる活物質及び導電剤として微細炭素繊維が含まれる。オキシ水酸化ニッケル(NiOOH)としては、ベータ型オキシ水酸化ニッケル(真密度:約4.68g/cm3)やガンマ型オキシ水酸化ニッケル(真密度:約3.79g/cm3)が使用される。なかでもベータ型オキシ水酸化ニッケルが好ましく、その粒子の形状は略球状が好ましい。オキシ水酸化ニッケルは、必要により、その表面をコバルト系又はニッケル系物質で被覆することもできる。コバルト系又はニッケル系物質しては、オキシ水酸化コバルト、三酸化コバルト、水酸化コバルト、金属コバルト、金属ニッケルなどが使用できる。
オキシ水酸化ニッケルの平均粒径は、5〜40μmであることが好ましく、特に好ましくは7〜15μmが好適である。平均粒径が5μm未満になると、自己放電が起こりやすく、15μmを超えると、反応表面積が低下するので好ましくない。また、オキシ水酸化ニッケルの、バルク密度は好ましくは1.6〜2.2g/cm3であり、また、タップ密度は好ましくは2.2〜2.7g/cm3が好適である。
本発明の正極活物質はオキシ水酸化ニッケル単独でもよいが、オキシ水酸化ニッケルと二酸化マンガン(MnO2)の混合物でもよい。両者の混合物からなる場合、二酸化マンガンが20〜90重量%およびオキシ水酸化ニッケルが10〜80重量%からなることが、電池の初期および高温保存後の放電性能が優れる点から好ましい。また、初期の放電性能に特に優れた電池を得る観点からは、正極活物質が、二酸化マンガンが20〜80重量%およびオキシ水酸化ニッケル20〜80重量%からなることが特に好ましい。二酸化マンガンの平均粒径としては、20〜50μmであることが好ましく、特に好ましくは25〜40μmが好適である。平均粒径が20μm未満になると、成形性が低下して電池容量が減少し、50μmを超えると、反応表面積が低下する。
本発明において正極合剤に含まれる導電剤である微細炭素繊維は、繊維径0.5〜500nm、繊維長500μm以下、アスペクト比3〜1000を有する、筒状の炭素層が重なり合う多層構造を有し、その中心軸が空洞構造の微細炭素繊維である。かかる微細炭素繊維は、従来のPAN、ピッチ、セルロースなどの繊維を熱処理した炭化することによって得られる、繊維径が5〜10μmの所謂カーボンファイバーとは大きく異なるものである。本発明で使用される微細炭素繊維は、カーボンファイバーと比べて繊維径や繊維長さが異なるだけでなく、構造的にも、筒状の炭素層が重なり合う多層構造を有し、その中心が空洞構造を有する点で大きく異なる。また、導電性、熱伝導性、摺動性などの物性の点で極めて優れるものである。
本発明で使用される微細炭素繊維は、その繊維径が0.5nmより小さい場合には、得られる正極層の機械的強度が不十分になる。また、その繊維径が300nmより大きい場合、また、繊維長が500μmより大きい場合には、微細炭素繊維が正極層中に均一に分散し難くなり、正極の特性が低下してしまう。本発明で使用される微細炭素繊維は、繊維径が5〜300nm、繊維長が5〜200μm、アスペクト比が5〜500を有するものが特に好ましい。
本発明で使用される微細炭素繊維は、気相成長炭素繊維、及び/又はカーボンナノチューブが好ましい。気相成長炭素繊維は、VGCF(Vapor、Grown Carbon Fiber)とも呼ばれ、特開2003−176327号公報に記載されるように、炭化水素などのガスを有機遷移金属系触媒の存在下に水素ガスとともに気相熱分解することによって製造される。本発明でVGCFを使用する場合には、その構造の故に電解液の吸液性が高いので特に好ましい。気相成長炭素繊維は繊維径が好ましくは5〜300nm、繊維長が好ましくは5〜200μm、アスペクト比は、好ましくは5〜500のものが好ましい。
また、上記カーボンナノチューブは、グラファイトウイスカー、フィラメンタスカーボン、炭素フィブリルなどとも呼ばれているもので、チューブを形成するグラファイト膜が一層である単層カーボンナノチューブと、多層である多層カーボンナノチューブとがあり、本発明ではそのいずれも使用できる。しかし、多層カーボンナノチューブの方が高い導電性や機械的強度を成形物に付与できるので好ましい。
本発明で使用されるカーボンナノチューブは、例えば、「カーボンナノチュ−ブの基礎」(コロナ社発行、23〜57頁、1998年発行)に記載されるようにアーク放電法、レーザ蒸発法、又は熱分解法などにより製造される。カーボンナノチューブは、繊維径が好ましくは、1〜100nm、繊維長が好ましくは1〜50μm、アスペクト比は好ましくは3〜500のものが好ましい。
なお、本発明において微細炭素繊維の繊維径や繊維長は、走査型電子顕微鏡等により測定することができる。
本発明で使用される微細炭素繊維は、温度が2300℃以上、好ましくは2500〜3500℃の非酸化性雰囲気にて熱処理することが好ましく、これにより、黒鉛化が進行し、機械的強度、化学的安定性、さらには、導電性が大きく向上する。非酸化性雰囲気は、アルゴン、ヘリウム、窒素ガスの使用により達成される。この熱処理において、炭化ホウ素、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩、窒化ホウ素、有機ホウ素化合物などのホウ素を共存させた場合には、上記熱処理効果が一層向上するとともに、熱処理温度も低下し、有利に実施できる。このホウ素化合物は、熱処理された微細炭素繊維中にホウ素含有量が0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%になるように存在させるのが好ましい。
また、本発明における導電剤としては、微細炭素繊維に加えて黒鉛粉末を併用することができる。黒鉛粉末の平均粒径は2〜50μmが好ましく、さらには8〜30μmが好ましい。平均粒径が2μm未満になると、反応面積が大きくなり、酸素と黒鉛との反応抑制が困難となり、50μmを超えると、導電性が低下し、内部抵抗が上昇する。また、黒鉛粉末のBET比表面積は、好ましくは3〜30m2/g、特に好ましくは4〜20m2/gである。
また、本発明における導電剤としては、微細炭素繊維に加えて黒鉛粉末を併用することができる。黒鉛粉末の平均粒径は2〜50μmが好ましく、さらには8〜30μmが好ましい。平均粒径が2μm未満になると、反応面積が大きくなり、酸素と黒鉛との反応抑制が困難となり、50μmを超えると、導電性が低下し、内部抵抗が上昇する。また、黒鉛粉末のBET比表面積は、好ましくは3〜30m2/g、特に好ましくは4〜20m2/gである。
上記導電剤は、正極合剤中に好ましくは2〜20重量%、特に好ましくは3〜12重量%含有される。導電剤の含有量が2重量部未満になると、電池の内部抵抗が大きくなり、また、20重量部を超えると、電池の容量が低下する。また、導電剤が、微細炭素繊維と黒鉛粉末との混合物である場合には、黒鉛粉末の含有量は、微細炭素繊維100重量部に対して好ましくは1〜500重量部、特に好ましくは1〜300重量部であるのが好適である。
本発明の正極合剤には、活物質としてのオキシ水酸化ニッケル若しくはオキシ水酸化ニッケルと二酸化マンガン、導電剤としての微細炭素繊維若しくは微細炭素繊維と黒鉛粉末の他に、必要に応じて、アルカリ電解液(水酸化アルカリなど)、ポリオレフィン(ポリエチレンなど)などの適宜の結着剤が含まれる。
本発明のアルカリ電池に使用される負極を形成する負極合剤には、既知のものを用いることができる。例えば、負極活物質である亜鉛粉末からなるゲル状負極、ポリアクリル酸ナトリウムなどのゲル化剤、およびアルカリ電解液(水酸化アルカリなど)が含まれる。
図1は本発明の一つの実施の形態にかかる電池の一構成例を示す従断面図である。すなわち、この電池1は、正極と負極とを有する電池である。具体的には、この電池1は、電池缶2と、正極3と、セパレータ4と、負極5と、封口部材6と、ワッシャー7と、負極端子板8と、集電ピン9とを備えている。ここで、電池缶2は、開口部を有する中空有底円筒状の金属製の缶である。電池缶2は、例えば鉄にニッケルめっきが施されており、電池の外部正極端子となる。
正極3は、中空円筒状をしており、正極活物質と、導電剤と、電解液である例えば濃度が30〜50重量%の水酸化カリウム水溶液とからなる正極合剤を中空円筒状に成形した正極ペレット3a,3b,3cが電池缶2の内部に積層されている。セパレータ4は、薄い厚肉を有する円筒状であり、一方の端部は閉じられており、他の端部は開口部を有している。セパレータ4は、正極3の内側に接するように配される。
負極5は、負極活物質となる、例えば亜鉛粉末と、濃度が30〜50重量%の水酸化カリウム水溶液を使用した電解液と、負極5をゲル状として亜鉛粉末と電解液を均一に分散させておくためのゲル化剤とからなる。この負極5は、有底円筒状のセパレータ4の内部に注入されている。
正極3と、負極5が充填されたセパレータ4とが内部に収納された電池缶2の開口部は、封口部材6がこの開口部を封口するために嵌合されている。封口部材6はプラスチック材からなり、更に封口部材6を覆うようにワッシャー7と負極端子板8とが取り付けられている。さらに、上記ワッシャー7が取り付けられた封口部材6の貫通孔には、上方から黄銅製の集電ピン9が圧入されている。これにより、負極の集電は、負極端子板8に溶接された釘状の集電ピン9が封口部材6の中央部に形成された貫通孔に圧入されて、負極に達することで確保されている。また、正極の集電は、正極3と電池缶2とが接続されることで確保される。そして、電池缶2の外周面は、図示しない外装ラベルによって覆われており、電池缶2の下部に正極端子が位置している。
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。ただし、本発明の解釈はこの実施例に限定されるものではないことはもちろんである。
実施例1
まず、本発明においてテストしたアルカリ電池の作製方法について説明する。正極合剤は、ベータ型オキシ水酸化ニッケル(形状:略球状、タップ密度:2.5g/cm3 、バルク密度:2.0g/cm3 、平均粒径:10μm)、導電剤として、繊維径150nm、繊維長20μm及びアスペクト比133のVGCFの黒鉛化物(昭和電工社製、商品名:VGCF、比表面積13m2/g、d002=0.339nm))10質量%、水酸化カリウム水溶液を質量比で所定の割合で秤量し、インペラーやボールミルなどの攪拌方法によって混合した。
実施例1
まず、本発明においてテストしたアルカリ電池の作製方法について説明する。正極合剤は、ベータ型オキシ水酸化ニッケル(形状:略球状、タップ密度:2.5g/cm3 、バルク密度:2.0g/cm3 、平均粒径:10μm)、導電剤として、繊維径150nm、繊維長20μm及びアスペクト比133のVGCFの黒鉛化物(昭和電工社製、商品名:VGCF、比表面積13m2/g、d002=0.339nm))10質量%、水酸化カリウム水溶液を質量比で所定の割合で秤量し、インペラーやボールミルなどの攪拌方法によって混合した。
上記の混合材料を電池缶内に収まるように加圧成形して、中空円筒形に成形した正極とし、これを電池缶に挿入した。つぎに、有底円筒状に成形されたセパレータを正極の中心部に挿入し、ゲル状負極合剤を電池の中心空間部に充填した。ゲル状負極合剤は、粒状亜鉛と酸化亜鉛とを、ゲル化剤を用いて電解液である水酸化カリウム水溶液に均一に分散混合させたものである。
最後に、絶縁体のワッシャーと安全弁を伴う封口部材を電池缶に挿入し、電池缶の開口部を内側に、かしめ加工して単3形のアルカリ亜鉛電池とした。
上記のように作製した電池について、電池特性を評価した。すなわち、これらの電池を20℃の雰囲気で1.5Wの定電力放電をし、放電終止電圧1.0Vに達するまでの放電時間を測定したところ、48分間であった。
実施例2
実施例1において、導電剤として、VGCFの黒鉛化物7重量%と黒鉛粉末(人造黒鉛、商品名:SP−20、日本黒鉛社製)3重量%との混合物を使用したほかは、同様に実施して正極を作製し、また、アルカリ亜鉛電池とを作製した。この電池を20℃の雰囲気で1.5Wの定電力放電をし、放電終止電圧1.0Vに達するまでの放電時間を測定したところ、49分間であった。
比較例1
実施例1において、導電剤として、黒鉛粉末(人造黒鉛、商品名:SP−20、日本黒鉛社製)10重量%との混合物を使用したほかは、同様に実施して正極を作製し、また、アルカリ亜鉛電池とを作製した。この電池を20℃の雰囲気で1.5Wの定電力放電をし、放電終止電圧1.0Vに達するまでの放電時間を測定したところ、33分間であった。
実施例2
実施例1において、導電剤として、VGCFの黒鉛化物7重量%と黒鉛粉末(人造黒鉛、商品名:SP−20、日本黒鉛社製)3重量%との混合物を使用したほかは、同様に実施して正極を作製し、また、アルカリ亜鉛電池とを作製した。この電池を20℃の雰囲気で1.5Wの定電力放電をし、放電終止電圧1.0Vに達するまでの放電時間を測定したところ、49分間であった。
比較例1
実施例1において、導電剤として、黒鉛粉末(人造黒鉛、商品名:SP−20、日本黒鉛社製)10重量%との混合物を使用したほかは、同様に実施して正極を作製し、また、アルカリ亜鉛電池とを作製した。この電池を20℃の雰囲気で1.5Wの定電力放電をし、放電終止電圧1.0Vに達するまでの放電時間を測定したところ、33分間であった。
1 :電池 2 :電池缶 3 :正極
4 :セパレータ 5 :負極 6 :封口部材6
7 :ワッシャー 8 :負極端子板 9 :集電ピン
4 :セパレータ 5 :負極 6 :封口部材6
7 :ワッシャー 8 :負極端子板 9 :集電ピン
Claims (8)
- 正極活物質と導電剤とを含有する正極合剤からなる電池用正極において、正極活物質がオキシ水酸化ニッケルであり、かつ導電剤が繊維径0.5〜500nm、繊維長500μm以下を有する、筒状の炭素層が重なり合う多層構造を有し、その中心軸が空洞構造の微細炭素繊維であることを特徴とする電池用正極。
- 微細炭素繊維が、気相成長炭素繊維、及び/又はカーボンナノチューブである請求項1に記載の電池用正極。
- 微細炭素繊維が、非酸化性雰囲気にて2300℃以上の温度で熱処理されている請求項1又は2に記載の電池用正極。
- 導電剤が、更に、平均粒径が2〜50μm及びBET比表面積が3〜30m2/gの黒鉛粉末を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の電池用正極。
- 導電剤が、正極合剤中に好ましくは2〜20重量%含有される請求項1〜4のいずれかに記載の電池用正極。
- 正極活物質が、平均粒径5〜40μmのオキシ水酸化ニッケルと平均粒径が20〜50μmの二酸化マンガンとの混合物である請求項1〜5のいずれかに記載の電池用正極。
- 電池が、電解液にアルカリ水溶液を使用したアルカリ乾電池である請求項1〜6のいずれかに記載の電池用正極。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の正極、亜鉛からなる負極、およびアルカリ水溶液からなる電解液を有するアルカリ乾電池。
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