JP2007226459A - 授業管理装置および授業管理方法 - Google Patents

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朋 石沢
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Abstract

【課題】授業や教師の質的向上のために、効率的に授業内容を評価する。
【解決手段】メール送受信部は、生徒からの電子メールを受信する。この電子メールに基づいて、生徒の学習状況を判定するためのカルテデータが生成され、カルテデータ保持部に保持される。カルテ表示部は、カルテデータの表示形式を示すフォームデータにしたがって、カルテデータを画面表示させる。このカルテ画面300は、生徒ごとの学習状況を教師が一目で把握するために表示される画面である。出席状況表示領域306は、生徒の出席状況を示し、文長推移表示領域310は、授業の内容についての感想が記述された電子メールの文字数の変化を示す。
【選択図】図9

Description

本発明は、生徒の学習状況を管理するための教育支援技術に関する。
日本はいよいよ人口減少社会に突入しつつある。大学全入時代の到来も予想されるなか、各大学は生き残りをかけた厳しい競争にさらされている。魅力ある大学としての地位を築いてこのような競争に打ち勝つために、授業内容・方法を改善し、質的向上を図るための組織的な取り組み、いわゆるFD(Faculty Development)の必要性が高まってきている。
特開2004−252632号公報 特開2003−18324号公報 塚本榮一,赤堀侃司、「携帯電話による学習者レスポンスの収集と分析による授業改善」、教育システム情報学会誌、日本、教育システム情報学会、2004年、21、3、p.214−222
一般的なFDは、生徒の意見収集からはじまる。たとえば、アンケートによって生徒の意見を収集し、その結果に基づいて授業内容の見直しがなされる。しかし、このような手法は人的な負荷が大きく、教師が本業としての教育に専念できなくなるといった問題点も指摘されている。また、アンケートという手法には、生徒の意見が設問によって影響されるという可能性が潜在する。
授業評価は、客観的・中立的になされ、授業や教師の質的向上に結びつくものであることが重要である。
本発明の主たる目的は、授業評価のために生徒の学習状況を効率的に管理するための教育支援技術、を提供することにある。
本発明のある態様は、生徒の学習状況を管理することによって授業を支援するための授業管理装置である。
この装置は、まず、生徒から電子メールを受信し、その電子メールから抽出したデータを加工して、生徒の学習状況を判断するための学習記録データとして保持する。学習記録データは、その表示形式を定義するフォームデータに基づいて画面表示される。
ここでいうデータとは、電子メールの本文や添付ファイルのように送信者が明示的に設定するデータであってもよいし、送信アドレスや送信時刻のように暗黙的に設定されるデータであってもよい。電子メールから得られるさまざまな情報は、生徒の学習状況を判断する上で有益な情報となり得る。たとえば、電子メールの送信頻度といった情報も、生徒の授業に対する意欲を計る上で有益な情報といえるかもしれない。非特許文献1のように生徒の電子メールを人手で解析するのではなく、電子メールに含まれるさまざまなデータを加工するための演算を定義しておくことにより、学習記録データを自動的に生成できる。
生徒は、普段使い慣れている携帯電話等の通信端末から電子メールを送信するだけなので、授業管理装置の運用に対して生徒の協力を得やすいというメリットがある。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、授業評価のために生徒の学習状況を効率的に管理できる。
本実施例においては、まず、授業評価システムの概要を述べつつ、本発明の主たる特徴である「カルテ表示」を中心として説明してゆく。
図1は、授業評価システムのハードウェア構成図である。
授業評価システム10は、大学のような教育機関への導入を想定した、授業内容を評価・検証するためのシステムである。授業評価システム10は、教師と生徒によって利用されるシステムであり、授業に対する生徒の反応を授業内容にフィードバックさせるための仕組みを提供する。
授業評価システム10は、授業管理装置100、メールサーバ202および複数のクライアント端末204を含む。これらは、インターネット200を介して互いに接続されている。授業管理装置100は、教師によって使用される(以下、授業管理装置100のユーザであることを明示する意味で、「教師」のことを「ユーザ」ともよぶことにする)。各クライアント端末204は、生徒によって使用される携帯電話やノートパソコンなど、メール送受信機能を搭載した一般的な通信端末である。
まず、教師は講座の開設に際して、講座専用のメールアドレスを設定する(以下、「講座アドレス」とよぶ)。たとえば、「フランス語A」という計15回の授業からなる講座には、「fraA@xxx.co.jp」のように講座アドレスが設定される。フランス語Aの授業を受ける生徒は、その講座アドレスを介して授業管理装置100と電子メールを送受する。たとえば、生徒は授業に出席したときに、講座アドレスに対して出席を通知するための「出席メール」を送信する。メールサーバ202は、クライアント端末204から受信した出席メールを授業管理装置100に転送する。このメールサーバ202は、一般的な既知の装置でよい。授業管理装置100では、出席メールによって、どの講座にどの生徒が出席したかを自動的に集計する。
このほかにも、生徒は、授業に対する感想を記述した感想メールを講座アドレスに送信する。授業管理装置100は、感想メールを自然言語解析して、生徒の授業に対する理解度や意欲を定量的に評価する。たとえば、「やった」、「できた」、「してみたい」というあらかじめ定義された「意欲的な単語」を感想メールが多く含んでいる場合、生徒の理解度や学習意欲が高いと判定できる。このように、本実施例に示す授業管理装置100は、感想メールに含まれる用語を分析することにより、生徒の授業に対する反応を定量化する。このような処理を本明細書においては「語彙分析処理」とよぶことにする。
生徒の電子メールから得られるさまざまな情報は、授業内容の改善するための有用な情報として利用される。
図2は、授業管理装置の機能ブロック図である。
ここに示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組み合わせによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
授業管理装置100は、ユーザインタフェース処理部110、通信部120、データ処理部130およびデータ保持部150を含む。
ユーザインタフェース処理部110は、教師であるユーザからの入力処理やユーザに対する情報表示のようなユーザインタフェース全般に関する処理を担当する。通信部120は、メールサーバ202を介してクライアント端末204との通信処理を担当する。データ処理部130は、ユーザインタフェース処理部110や通信部120から取得されたデータを元にして各種のデータ処理を実行する。データ処理部130は、ユーザインタフェース処理部110、通信部120およびデータ保持部150の間のインタフェースの役割も果たす。
データ保持部150は、あらかじめ用意された設定データや、データ処理部130から受け取った電子メールなど、さまざまなデータを格納する。通信部120は、メールの送受信を処理するためのメール送受信部122を含んでいる。
ユーザインタフェース処理部110は、表示部112と入力部118を含む。入力部118は、ユーザからの入力操作を受け付ける。表示部112は、ユーザに対して各種情報を表示する。表示部112は、更に、カルテ表示114を含む。カルテ処理部114は、後の図9や図10等に示す表示形式にて、生徒の学習状況を示すカルテデータを画面表示させる。
データ保持部150は、メールデータ保持部152、カルテデータ保持部172、フォーム保持部170および評価基準データ保持部158を含む。
メールデータ保持部152は、生徒から受信した電子メールを保持する。生徒は宿題として提出を指示されたレポートファイルを電子メールに添付して送信することもある。メールデータ保持部152は、このようなレポートファイルも保持する。
カルテデータ保持部172は、ユーザが生徒の学習状況を判断するための元になるカルテデータを保持する。カルテデータには、たとえば、生徒の氏名やメールアドレス、出席状況、感想メールに記述された内容、レポートファイルの提出状況などの各種所定項目に対応したデータが含まれる。カルテデータ保持部172の具体的なデータ構造については、図7に関連して後述する。
フォーム保持部170は、カルテ表示部114がカルテデータを画面表示するときの表示レイアウトが定義されたフォームデータを保持する。フォームデータによって、カルテデータのうちの表示対象となるべきデータ、および、その表示方法が定義される。フォームデータは、カルテデータに基づく所定演算の結果を表示させるためのロジックを含めることもできる。具体的には、図9に関連して詳述する。
評価基準データ保持部158は、評価基準データを保持する。評価基準データは、「語彙」と「対応用語」の対応関係を定義したデータであるが、これについては、後の図8に関連して詳述する。
データ処理部130は、メール処理部132と授業データ管理部138を含む。
メール処理部132は、電子メールを内容を解析する。メール処理部132は、分類部134および整合判定部136を含む。分類部134は、電子メールの内容に応じて分類する。すでに述べたように、生徒から受信する電子メールは、出席メールや感想メールなどさまざまである。分類部134は、電子メールを内容に応じて分類する。たとえば、「件名」に「出席」という単語が含まれている電子メールは出席メールであるという条件のように、所定の分類条件にしたがって分類する。
整合判定部136は、受信された電子メールが処理対象として有効なメールであるかを判定する。たとえば、授業の開始前に受信された出席メールは有効ではないといえる。また、授業に出席していない生徒から送信された感想メールも有効ではない。整合判定部136は、受信された電子メールの有効性を所定の整合条件にしたがって判定する。
授業データ管理部138は、講座に関するデータを授業ごとに授業データとして管理する。講座は1回以上の授業によって構成される。試験の平均点や、感想メールから解析される生徒の理解度、授業計画などのようなさまざまなデータが授業データとして管理対象となる。
授業データ管理部138は、生徒管理部140、設定部142および分析部164を含む。
生徒管理部140は、出席率や試験結果など生徒の学習状況に関連するデータを管理する。生徒管理部140は、更に、カルテ管理部168を含む。カルテ管理部168は、生徒に関するデータのうち、カルテデータを管理する。カルテ管理部168は、入力部118や電子メールから取得されるデータから所定のデータをカルテデータ保持部172のカルテデータの一部として適宜記録する。
設定部142は、整合判定部136や分類部134の条件のように電子メールの解析に関する各種条件を設定する。設定部142は、更に、評価基準設定部144および用語設定部146を含む。
語彙分析処理により、生徒から受信した感想メール群の内容傾向は用語分布データとして定量化される。評価基準設定部144は、その評価基準を「語彙」として設定する。たとえば、生徒の授業に対する理解度や意欲、満足感等を指標化したい場合、「知識」、「興味」、「達成」、「洞察」の4つの語彙が評価基準として設定されてもよい。ここでいう「知識」とは、「生徒が授業の内容を理解しているか」という観点から感想メールを語彙分析するための評価基準の名前である。
用語設定部146は、各語彙に属する用語(以下、「対応用語」とよぶ)を設定する。たとえば、感想メールに「知った」、「覚えた」、「学んだ」という用語が多く含まれている場合、生徒が授業から着実に「知識」を身につけていると推測できる。この場合、先ほど設定した「知識」という語彙に対して、これらの用語が「知識」の対応用語として設定される。
感想メールにどのような用語が含まれているかに応じて、各語彙を基準とした内容傾向が判定されることになる。語彙と対応用語に関しては、図8に関連してより具体的に説明する予定である。
分析部164は、設定部142による各種設定条件にしたがって、語彙分析等の各種処理を実行する。分析部164は、用語分類部160、統計部162および文字計数部166を含む。
用語分類部160は、メール処理部132から感想メールを取得し、感想メールから用語を抽出する。ここでいう「用語」とは、単語であってもよいし、句を構成する単語群やバイトストリームであってもよい。用語抽出は、既知の形態素解析などの手法を応用すればよい。次に、用語分類部160は、抽出した用語が用語設定部146にて設定されたいずれかの対応用語に一致するか判定する。ここでいう一致とは、完全一致であってもよいし、前方一致または後方一致等の部分的な一致まで含めた概念であってもよい。統計部162は、評価対象となる感想メールの集合について、対応用語の出現回数をカウントする。そして、各語彙ごとに対応用語の出現頻度を「語彙値」として算出する。語彙値は、先ほどの例でいえば、「知識」、「興味」、「達成」、「洞察」の4つの語彙のうち、感想メールに含まれる用語がどの語彙に偏っているかを指標化した数値である。統計部162は、この4つの語彙のそれぞれについての語彙値を用語分布データとして集計する。
用語分布データはカルテデータの一部として、カルテ表示部114により図10の語彙分布表示領域312に示す形式にてグラフ表示されることになる。
図3は、授業管理装置のメニュー画面の画面図である。
教師であるユーザが授業管理装置100にログインしたときには、まず、このメニュー画面210が表示される。講座選択領域212は、現在開設されている講座を一覧表示する。ここでは、「フランス語A2005」、「フランス語B2005」および「フランス語C2005」という3つの講座が開設されている。同図においては、「フランス語A2005」が選択されている。
メニューボタン群214に含まれるいずれかのボタンが選択されると、講座選択領域212で選択された講座についての各種授業データにアクセスする画面が表示される。出席簿ボタン216は、生徒の出席状況を表示させるためのボタンである。感想受付ボタン218は、生徒から受信された感想メールの内容を一覧表示させるためのボタンである。提出物管理ボタン220は、宿題などの提出状況を表示させるためのボタンである。試験結果ボタン222は、試験結果を一覧表示させるためのボタンである。整合性チェックボタン224は、整合条件を設定するための画面を表示させるボタンである。カルテボタン226は、生徒の授業態度や成績に関する情報を「カルテ」として表示させるためのボタンである。通知ボタン228は、休講通知などのように授業に関する連絡事項を通知するための画面を表示させるボタンである。投票ボタン230は、生徒の意見を募るための画面を表示させるためのボタンである。
ここでは、授業管理装置100の基本的な機能として、メニューボタン群214のボタン群のうちの出席簿ボタン216、感想受付ボタン218および試験結果ボタン222が選択されたときにそれぞれ表示される出席簿画面240、感想受付画面250および試験結果画面260について説明する。その後、カルテボタン226が選択されたときに表示されるカルテ画面300に関して、カルテ表示処理を中心として説明する。
図4は、出席簿画面の画面図である。
出席簿画面240は、図3のメニュー画面210において、出席簿ボタン216がクリックされたときに表示される。教師は、授業開始時に、その授業の合い言葉を生徒に示す。合い言葉は、教室で口頭で示されてもよい。授業に出席した生徒はこの合い言葉を入力して出席メールを講座アドレスに送信する。分類部134が出席メールを分類し、整合判定部136がその出席メールに正しい合い言葉が記述されているかを判定する。有効な出席メールであれば、授業データ管理部138は出席メールの送信元である生徒を正規の出席者として認定する。表示部112は、授業に出席している生徒名を出席簿画面240に表示する。
合い言葉は、実際には出席していない生徒を出席扱いしないための仕組みである。このほかにも、授業が終わった後に送信された出席メールは無効としてあつかってもよい。また、クライアント端末204の位置に基づく出席管理方法も考えられる。たとえば、クライアント端末204がGPS(Global Positioning System)機能を搭載する場合、出席メールは、その送信時におけるクライアント端末204の位置情報を含んでもよい。整合判定部136は、この位置情報に基づいて、実際に教室にいる生徒からの出席メールであるかを判定する。クライアント端末204は、GPSのほかにも、接続した最寄りの基地局IDを位置情報として送信してもよい。
授業選択領域242は、「フランス語A2005」講座の各授業に関する出席状況を表示する。同図によれば、この講座の授業は4回目であり、4回分の授業の出席率が一覧表示されている。授業選択領域242では、4回目の「Rの発音」というテーマの授業が選択されている。出欠状況表示領域244は、授業選択領域242で選択された4回目の授業に出席している生徒名を一覧表示させている。ここでは、講座に登録されている6人の生徒のうち、「竹治義克」を除く5名が授業に出席している。授業管理装置100が出席メールを受け付けると、表示部112は自動的に出席簿画面240の内容が更新するため、出席簿画面240によって、教師は各生徒の出席状況をリアルタイムかつ正確に把握できる。
カルテ管理部168は、有効に出席メールが受け付けられたときには、カルテデータ保持部172が保持するカルテデータを更新する。たとえば、「竹治義克」から新たに出席メールを受信すると、カルテ管理部168は、「フランス語A2005」の「竹治義克」のカルテデータにおける出席状況に関するデータを更新する。
図5は、試験結果画面の画面図である。
試験結果画面260は、図3のメニュー画面210において、試験結果ボタン222がクリックされたときに表示される。授業中に試験を行ったときには、ユーザはその採点結果をユーザインタフェース処理部110を介して入力する。生徒は、試験に対する解答を記載した解答メールを講座アドレス宛に送信してもよい。また、授業管理装置100が採点機能を備えてもよい。採点結果は、各生徒の試験の結果として試験結果画面260に表示される。
カルテ管理部168は、ユーザから生徒の試験結果データが入力されると、カルテデータ保持部172のカルテデータを更新する。
試験選択領域262は、「フランス語A2005」講座に関する各試験の結果を表示する。同図によれば、過去5回試験が実施されている。試験選択領域262では、そのうち4回目の6月22日の試験結果が選択されている。試験結果一覧領域264は、試験選択領域262にて選択された4回目の試験に対する生徒の試験結果を一覧表示している。試験結果としては、得点、順位、前回の試験と比べた点数の変化などが表示対象となる。
試験結果は、CSV(Comma Separated Values)形式のファイルとして保存することもできる。生徒「石田英行」の場合であれば、「得点」や「順位」などの各項目に対して、それぞれ「80(点)」、「2(位)」といったデータが属性値として設定される。
図6は、感想受付画面の画面図である。
感想受付画面250は、図3のメニュー画面210において、感想受付ボタン218がクリックされたときに表示される。生徒は、授業が終わると、講座アドレス宛に感想メールを送信する。この感想メールによって、教師は、授業に対する生徒の反応を即座に知ることができる。授業選択領域252は、「フランス語A2005」講座の各授業に関する感想メールの受け付け状態を表示する。授業選択領域252では、4回目の授業が選択されている。感想一覧領域256は、授業選択領域252で選択された4回目の授業に対する生徒の感想を一覧表示させている。更に、感想表示領域254は、感想一覧領域256で選択された生徒「新井真由美」の感想が表示されている。
ここで、教師が「質問」というキーワードを設定すると、感想メールの中に「質問」という単語が含まれている生徒には星印が付記されている。この機能によって、教師は、質問事項が含まれている感想メールを簡単に見つけることができる。
カルテ管理部168は、有効に感想メールが受け付けられると、カルテデータ保持部172のカルテデータを更新する。
図7は、語彙登録画面の画面図である。
感想メールの集合から、その用語の分布状況を示す用語データが生成される。用語分布データを求めるにあたっては、まず、同図に示す語彙登録画面270を介して設定を行う。語彙セット入力領域272は、語彙セット名を指定するための領域である。ここでは、生徒の授業内容に対する反応を探るために、「授業評価」という名前の語彙セットが設定されている。語彙名入力領域274は、語彙セット入力領域272の語彙セットについて、1以上の語彙を設定する。ここでは、「知識」、「洞察」、「興味」、「達成」という4つの語彙が設定されている。感想メールに含まれる用語が、これら4つの語彙のいずれかの意味的な範疇に含まれるときに、その用語は語彙分析の処理対象となる。ここでは、生徒が、知識を身につけているか、授業内容に対して洞察力を発揮しているか、授業に興味を持っているか、達成感を感じているか、という4つの観点から感想メールの内容傾向を指標化するために、このような語彙が設定されているものとする。対応用語入力領域276は、語彙名入力領域274で選択されている語彙についての対応用語を設定するための領域である。
同図においては、「知識」という語彙に対して、「知った」、「覚えた」等の対応用語が設定されている。これは、「知識」という語彙の概念の中に「知った」、「覚えた」等の用語が含まれることを示している。すなわち、感想メールから、「知った」や「覚えた」といった用語が抽出されると、統計部162は、「知識」という語彙について語彙値に所定値、たとえば、「1」を加算する。感想メールの集合から「知った」、「覚えた」という用語がそれぞれ10回、30回検出されたときには、語彙値は10+30により「40」として算出される。これにより、感想メール群に含まれる用語と、設定された語彙および対応用語に基づいて、語彙ごとに語彙値が加算方式にて算出される。語彙値によって、感想メール群の内容傾向を語彙という評価基準から指標化できる。語彙値の計算方法は、これに限るものではなく、評価対象となる感想メール群において、各語彙に基づいてその内容傾向を指標化した数値であればよい。たとえば、対応用語の出現個数÷感想メールの数、対応用語の出現個数÷感想メールの総文字数などを語彙値として算出してもよい。
設定部142は、語彙セット、語彙、対応用語を関連付けて評価基準データとして評価基準データ保持部158に記録する。この評価基準データに基づいて、感想メール群についての用語分布データが集計され、カルテデータの一部としてカルテデータ保持部172に保持されることになる。用語分布データは、各語彙とそれらの語彙値を対応づけたデータであるといえる。
図8は、カルテデータ保持部172におけるカルテデータのデータ構造図である。
同図に示すのは「フランス語A2005」という講座について、各生徒のカルテデータである。ここでは、カルテデータに含まれるさまざまなデータのうち、その一部のみを示している。カルテデータとは生徒個々の学習状況を教師が把握するために管理されるデータである。
ID欄282は、生徒を識別するためにあらかじめ付与されているID(以下、「生徒ID」とよぶ)を示す。氏名欄284は生徒名を示す。出席履歴欄286は「フランス語A2005」の15回分の授業についての生徒の出席状況を示す。同図丸印は出席を示し、バツ印は欠席を示す。カルテ管理部168は、有効な出席メールを受信したとき、その送信アドレスに基づいて生徒を特定した上で、出席履歴欄286の該当データを更新する。
未提出物欄288はレポートファイルの提出状況を示す。カルテ管理部168は、レポートファイル付きの電子メールが受信されると、未提出物欄288の該当データを更新する。未送信感想欄290は感想メールの到着状況を示す。授業評価システム10は、授業に出席した生徒が受講後に講座アドレスに対して感想メールを送信するというルールで運用される。カルテ管理部168は、有効に感想メールが受け付けられると、未送信感想欄290の該当データを更新する。
特記事項欄292は、教師が入力部118を介して入力したデータである。生徒についてのコメント等、自由に書き込むことができる。このように、カルテデータは、電子メールの受信を契機としてカルテ管理部168によって自動的に記述されるデータと、ユーザによって入力されるデータによって構成されている。
図9は、カルテ画面の一部を示す画面図である。
ユーザが図3のメニュー画面210において講座を指定した上でカルテボタン226をクリックすると、カルテ表示部114は、フォームデータに定義されている表示レイアウトにて、カルテデータを表示させる。ID表示領域302は、図8のID欄282における生徒IDを示す。生徒IDを変更すると別の生徒についてのカルテデータが表示される。このようにカルテ画面300は、講座ごと、かつ、生徒ごとにそれぞれ別画面にて表示される。ここでは、「フランス語A2005」の受講生である「新井真由美」のカルテデータが表示対象となっている。
氏名表示領域304は、図8の氏名欄284における生徒名を表示する。出席状況表示領域306は、図8の出席履歴欄286における生徒の出席状況を示す。フォームデータには、あらかじめ「フランス語A2005」講座の授業が15回あるものとして出席状況表示領域306の欄がデザインされている。ユーザはフォームデータを自由にデザインできる。出欠率表示領域307は、「新井真由美」の「フランス語A2005」に対する出席率と欠席率(まとめて、「出欠率」とよぶ)を示す。フォームデータには、出席状況表示領域306に示される出席データに基づいて、出欠率を算出するための式が記述されている。カルテ表示部114は、カルテデータを表示させるときに、フォームデータにこのような計算式が記述されているときには、カルテ管理部168に計算実行を指示する。カルテ管理部168は、カルテデータとフォームデータを参照して、出席率と欠席率をそれぞれ計算し、その計算結果をカルテ表示部114に渡す。カルテ表示部114は、この計算結果を出欠率表示領域307に出欠率として表示させる。
整合性表示領域308は、レポートの提出状況や出席メールの有効性など、各種条件判定の結果を示す。フォームデータには、授業に出席していないのに感想メールを送ったり、レポートを提出していないなど、整合性表示領域308に表示すべき状況についてさまざまな条件設定を記述できる。たとえば、未提出レポートがあるか否かは、カルテデータの未提出物欄288のデータによって判定できる。また、出席率が50%以下なのに、試験の平均点が70点以上の生徒は印をつけてもよい。フォームデータに記述された各種判定条件は、カルテ管理部168によって判定される。
文長推移表示領域310は、授業終了後に生徒が送信する感想メールの本文の文字数(以下、「感想文字数」とよぶ)の変化をグラフとして示す。感想メールが受信されると、文字計数部166は、感想文字数を計数する。この感想文字数もカルテデータの一部としてカルテデータ保持部172に保持される。意欲的に授業に参加している生徒は、一般的には感想文字数も多くなると考えられる。そのため、生徒の意欲の変化を推し量る上で、文長推移表示領域310のグラフは有益な判断材料となる。このように、電子メールの内容だけではなく、感想文字数のように生徒の無意識心理を反映したデータもカルテとして活用することにより、より多面的に生徒の学習状況を探ることができる。
カルテ管理部168は、全生徒において感想文字数の平均値を計算する。そして、カルテ表示部114は、文長推移表示領域310に全生徒の感想文字数の平均値と生徒「新井真由美」の感想文字数とを比較したかたちで表示させている。このため、教師であるユーザは、全体傾向と個人傾向をあわせて把握できる。
図10はカルテ画面の別の一部を示す画面図である。
同図のカルテ画面300は、図9のカルテ画面300をスクロールさせたときに表示される。語彙分布表示領域312は、用語分布データをグラフとして示している。ここでは、第1回目の授業についての用語分布データと、第2回目の授業についての用語分布データが示されている。図7の語彙登録画面270に示したように、ここでは、「授業評価」という語彙セットについて、「知識」、「洞察」、「興味」、「達成」の4つの語彙についてのそれぞれの語彙値がグラフとして表示される。ユーザは、語彙分布表示領域312のグラフを参照することにより、生徒の授業に対する反応を任意の観点から定量評価できる。実際、成績が下位の生徒は「興味」どまりであり、成績が上位の生徒は「知識」にまで至っていることが多い。したがって、このような用語分布データを参照することによって、ユーザは生徒の授業に対する実際の理解度を探りやすくなる。語彙登録画面270において「授業評価」以外の語彙セットが登録されたときには、語彙セット選択ボタン314をクリックして語彙セットを変更することもできる。
試験結果表示領域316は生徒の試験結果を示す。図5の試験結果画面260に関連して説明したように、生徒の試験結果はカルテデータの一部として保存される。感想一覧領域318は、感想メールの内容を一覧表示する。提出物一覧領域320は、提出されたレポートファイルを一覧表示する。ユーザが提出物一覧領域320のレポートファイル名をクリックすると、メールデータ保持部152から該当するレポートファイルが表示される。
特記事項記入領域322を介してユーザは特記事項を自由に記入できる。ここで記入されたデータはカルテデータの一部としてカルテデータ保持部172に保存される。図8の特記事項欄292に対応する領域である。
以上、実施例に基づいて本発明を説明した。
本実施例に示した授業管理装置100によれば、授業評価システム10を運用する上で得られるさまざまなデータをカルテデータとしてまとめることができる。カルテ画面300によって、ユーザは、生徒ごとの学習状況をきめこまやかに、かつ、一目で把握しやすくなる。生徒の電子メールをベースとしてカルテデータを生成するので、カルテデータを作成するための教師の負荷を軽減できる。また、電子メールからカルテデータを生成するプロセスの自動化により、生徒の学習状況を客観的に反映した再利用生の高いカルテデータを生成できる。
また、出席やレポート提出などの管理もカルテデータでまとめて管理できるため、授業管理をいっそう省力化できる。教師は、カルテ画面300を見ながら特記事項を記入することもできるので、生徒からの電子メールと教師からの入力という2つの情報源に基づいたカルテデータをいっそう充実させることができる。生徒が、たとえば、1回生から2回生に進級するときにも、このカルテデータを介して、後任の教師は生徒についての予備知識を効果的に取得できる。また、カルテデータは、生徒自身が自分の学習状況や興味の方向を客観的に判断する上でも有益な情報となる。
カルテデータによれば、生徒間の比較のみならず教師間の比較も容易となる。たとえば、授業を重ねるごとに生徒の意欲が向上しているとき、そのような事実を指標化できるので、生徒の意欲を向上させる授業をしている教師を適正に評価しやすくなる。また、出席率が悪い生徒や感想文字数が急減している生徒には所定のマークが表示されるようにフォームデータにロジックを記述してもよい。これにより、ユーザはケアが必要な生徒を早期に発見しやすくなる。
本実施例に示した授業管理装置100によれば、授業に対する生徒の反応を即時的・客観的・視覚的に把握できるので、生徒の反応に応じて授業内容を柔軟に変化させやすくなる。授業に対する理解度や意欲、生徒の性格等についての情報は、クラス分けや授業のレベル調整、補習授業の必要性などの各種判断に対して有益である。
請求項に記載の学習記録データは、本実施例においてはカルテデータとして表現されている。
請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、本実施例において示された各機能ブロックの単体もしくはそれらの連係によって実現されることも当業者には理解されるところである。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
授業評価システムのハードウェア構成図である。 授業管理装置の機能ブロック図である。 授業管理装置のメニュー画面の画面図である。 出席簿画面の画面図である。 試験結果画面の画面図である。 感想受付画面の画面図である。 語彙登録画面の画面図である。 カルテデータ保持部におけるカルテデータのデータ構造図である。 カルテ画面の一部を示す画面図である。 カルテ画面の別の一部を示す画面図である。
符号の説明
10 授業評価システム、 100 授業管理装置、 110 ユーザインタフェース処理部、 112 表示部、 114 カルテ表示部、 118 入力部、 120 通信部、 122 メール送受信部、 130 データ処理部、 132 メール処理部、 134 分類部、 136 整合判定部、 138 授業データ管理部、 140 生徒管理部、 142 設定部、 144 評価基準設定部、 146 用語設定部、 150 データ保持部、 152 メールデータ保持部、 158 評価基準データ保持部、 160 用語分類部、 162 統計部、 164 分析部、 166 文字計数部、 168 カルテ管理部、 170 フォーム保持部、 172 カルテデータ保持部、 200 インターネット、 202 メールサーバ、 204 クライアント端末、 210 メニュー画面、 212 講座選択領域、 214 メニューボタン群、 240 出席簿画面、 250 感想受付画面、 260 試験結果画面、 270 語彙登録画面、 300 カルテ画面、 302 ID表示領域、 304 氏名表示領域、 306 出席状況表示領域、 307 出欠率表示領域、 308 整合性表示領域、 310 文長推移表示領域、 312 語彙分布表示領域、 314 語彙セット選択ボタン、 316 試験結果表示領域、 318 感想一覧領域、 320 提出物一覧領域、 322 特記事項記入領域。

Claims (9)

  1. 生徒の学習状況を管理することによって授業を支援するための装置であって、
    生徒からの電子メールを受信する電子メール受信部と、
    前記受信された電子メールに含まれるデータを加工するための演算を実行し、1通以上の電子メールから抽出されたデータに対する演算結果から前記生徒の学習状況を判断するための学習記録データを生成する学習記録管理部と、
    学習記録データの表示形式を定義するフォームデータを保持するフォーム保持部と、
    前記フォームデータにより定義される表示形式にて学習記録データを画面表示させる学習記録表示部と、
    を備えることを特徴とする授業管理装置。
  2. 前記フォームデータには、1回以上の授業についての前記生徒の出席状況を示す出席データを学習記録データに含めて表示するための表示形式が定義されており、
    前記学習記録管理部は、前記生徒から出席を通知する電子メールが受信されたときには、学習記録データのうち前記生徒の出席データを更新し、
    前記学習記録表示部は、前記フォームデータにより定義される表示形式にて前記生徒の出席データを含む学習記録データを画面表示させることを特徴とする請求項1に記載の授業管理装置。
  3. 前記フォームデータには、1回以上の授業についての前記生徒のレポート提出状況を示す提出状況データを学習記録データに含めて表示するための表示形式が定義されており、
    前記学習記録管理部は、前記生徒からレポートファイルが添付された電子メールが受信されたときには、学習記録データのうち前記生徒の提出状況データを更新し、
    前記学習記録表示部は、前記フォームデータにより定義される表示形式にて前記生徒の提出状況データを含む学習記録データを画面表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の授業管理装置。
  4. 授業についての感想が記述された電子メールについて、その文字数である感想文字数を計数する文字計数部、を更に備え、
    前記フォームデータには、感想文字数を学習記録データに含めて表示するための表示形式が定義されており、
    前記学習記録管理部は、前記生徒から授業についての感想が記述された電子メールが受信されたときには、学習記録データのうち前記生徒の感想文字数を示すデータを更新し、
    前記学習記録表示部は、前記フォームデータにより定義される表示形式にて前記生徒の感想文字数を含む学習記録データを画面表示させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の授業管理装置。
  5. 自装置のユーザによるデータの入力を受け付ける入力部、を更に備え、
    前記フォームデータには、ユーザから入力されたデータを学習記録データに含めて表示するための表示形式が定義されており、
    前記学習記録管理部は、ユーザから入力されたデータが学習記録データの一部として入力されたデータであるときには、学習記録データに対して、入力されたデータを新たに追加し、
    前記学習記録表示部は、前記フォームデータにより定義される表示形式にて入力されたデータを含む学習記録データを画面表示させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の授業管理装置。
  6. 電子メールの内容を評価するための1以上の評価基準と評価基準ごとに設定される1以上の対応用語を評価基準データとして保持する評価基準データ保持部と、
    前記電子メールから用語を抽出し、抽出した用語がいずれかの評価基準について設定された対応用語にあたるかを判定する用語分類部と、
    前記生徒から受信された電子メールの集合について、各評価基準についての用語の分布状況を用語分布データとして集計する統計部と、を更に備え、
    前記フォームデータには、前記用語分布データを学習記録データに含めて表示するための表示形式が定義されており、
    前記学習記録管理部は、前記用語分布データを学習記録データの一部として保持し、
    前記学習記録表示部は、前記フォームデータにより定義される表示形式にて前記用語分布データを含む学習記録データを画面表示させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の授業管理装置。
  7. 受信された電子メールが、電子メールに記述されているデータを学習記録データとして反映させるための所定条件を満たすか判定する整合判定部、を更に備え、
    前記学習記録管理部は、前記所定条件が成立したときに、その電子メールに含まれるデータによって学習記録データを更新することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の授業管理装置。
  8. 生徒の学習状況を管理することによって授業を支援するための方法であって、
    生徒から送信された電子メールを受信するステップと、
    前記受信された電子メールに含まれるデータを加工するための演算を実行し、1通以上の電子メールから抽出されたデータに対する演算結果から前記生徒の学習状況を判断するための学習記録データを生成するステップと、
    学習記録データの表示形式を定義するフォームデータを参照し、学習記録データを画面表示させるステップと、
    を備えることを特徴とする授業管理方法。
  9. 生徒の学習状況を管理することによって授業を支援するためのコンピュータプログラムであって、
    生徒から送信された電子メールを取得する機能と、
    前記受信された電子メールに含まれるデータを加工するための演算を実行し、1通以上の電子メールから抽出されたデータに対する演算結果から前記生徒の学習状況を判断するための学習記録データを生成する機能と、
    学習記録データの表示形式を定義するフォームデータを保持する機能と、
    前記フォームデータにより定義される表示形式にて学習記録データを画面表示させる機能と、
    をコンピュータに発揮させることを特徴とする授業管理プログラム。
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