以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。尚、以下の各種実施形態は、本発明を液晶装置に適用したものである。
[第1実施形態]
(液晶装置の構成)
まず、図1等を参照して、本発明の第1実施形態に係る液晶装置100の構成等について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る液晶装置100の概略構成を模式的に示す平面図である。図1では、紙面手前側(観察側)にカラーフィルタ基板92が配置されている一方、紙面奥側に素子基板91が配置されている。なお、図1では、紙面縦方向(列方向)をY方向と、また、紙面横方向(行方向)をX方向と規定する。また、図1において、R、G、Bの各色に対応する領域は1つのサブ画素領域SGを示していると共に、R、G、Bの各色のサブ画素領域SGにより構成される1行3列の画素配列は、1つの画素領域AGを示している。なお、以下では、1つのサブ画素領域SG内に存在する1つの表示領域を「サブ画素」と称し、また、1つの画素領域AG内に対応する表示領域を「1画素」と称することもある。
液晶装置100は、素子基板91と、その素子基板91に対向して配置されるカラーフィルタ基板92とが枠状のシール材5を介して貼り合わされ、そのシール材5の内側に液晶が封入されて液晶層4が形成されてなる。
ここに、液晶装置100は、R、G、Bの3色を用いて構成されるカラー表示用の液晶装置であると共に、スイッチング素子としてLTPS(低温ポリシリコン)型のTFT素子(以下、「LTPS型TFT素子21」と呼ぶ)を用いたアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置である。また、この液晶装置100は、画素電極等の各種電極が形成された素子基板91側において、当該素子基板91面に略平行な方向、及び略垂直な方向(観察側)にフリンジフィールド(電界E)を発生させて液晶分子の配向を制御する、いわゆるFFS方式の液晶装置である。このため、この液晶装置100では高い視野角等を得ることが可能となっている。また、液晶装置100は、透過型表示のみを行う透過型の液晶装置である。
まず、素子基板91の平面構成について説明する。素子基板91の内面上には、主として、複数のソース線32、複数のゲート線33、複数のLTPS型TFT素子21、複数の画素電極10、共通電極20、ドライバIC40、外部接続用配線35及びFPC(Flexible Printed Circuit)41などが形成若しくは実装されている。
図1に示すように、素子基板91は、カラーフィルタ基板92の一辺側から外側へ張り出してなる張り出し領域36を有しており、その張り出し領域36上には、ドライバIC40が実装されている。ドライバIC40の入力側の端子(図示略)は、複数の外部接続用配線35の一端側と電気的に接続されていると共に、複数の外部接続用配線35の他端側はFPC41と電気的に接続されている。
各ソース線32は、Y方向に延在するように且つX方向に適宜の間隔をおいて形成されており、各ソース線32の一端側は、ドライバIC40の出力側の端子(図示略)に電気的に接続されている。
各ゲート線33は、例えば、Ti(チタン)/Al(アルミニウム)/Ti(チタン)の3層構造を有し、Y方向に延在するように形成された第1配線33aと、その第1配線33aの終端部からX方向に且つ後述する有効表示領域V内に延在するように形成された第2配線33bとを備えている。各ゲート線33の第2配線33bは、各ソース線32と交差する方向、即ちX方向に延在するように且つY方向に適宜の間隔をおいて形成されており、各ゲート線33の第1配線33aの一端側は、ドライバIC40の出力側の端子(図示略)に電気的に接続されている。
各ソース線32と各ゲート線33の第2配線33bの交差位置付近にはLTPS型TFT素子21が対応して設けられており、LTPS型TFT素子21は各ソース線32、各ゲート線33及び各画素電極10等に電気的に接続されている。
各画素電極10は、例えばITOなどの透明導電材料により形成され、各サブ画素領域SG内に対応して設けられている。
共通電極20は、画素電極10と同一の材料により形成され、有効表示領域Vと略同一の大きさの領域(破線で囲まれた領域)を有し、図2に示す第3絶縁膜(誘電膜)53を介して各画素電極10の下側に略べた状に設けられる。共通電極20は、当該共通電極20と同一の材料などからなる配線27を通じて、ドライバIC40のCOM端子と電気的に接続されている。
1つの画素領域AGがX方向及びY方向に複数個、マトリクス状に並べられた領域が有効表示領域V(2点鎖線により囲まれる領域)である。この有効表示領域Vに、文字、数字、図形等の画像が表示される。なお、有効表示領域Vの外側の領域は表示に寄与しない額縁領域38となっている。また、各画素電極10等の内面上には、図示しない配向膜が形成されている。かかる配向膜は、所定の方向にラビング処理(図2を参照)が施されている。
次に、カラーフィルタ基板92の平面構成について説明する。カラーフィルタ基板92は、遮光層(一般に「ブラックマトリクス」と呼ばれ、以下では、単に「BM」と略記する)、R、G、Bの3色の着色層6R、6G、6B、オーバーコート層16(図3を参照)及び配向膜18(図3を参照)などを有する。なお、以下の説明において、色を問わずに着色層を指す場合は単に「着色層6」と記し、色を区別して着色層を指す場合は「着色層6R」などと記す。BMは、各サブ画素領域SGを区画する位置等に形成されている。
以上の構成を有する液晶装置100では、電子機器等と接続されたFPC41側からの信号及び電力等に基づき、ドライバIC40によって、G1、G2、・・・、Gm−1、Gm(m:自然数)の順にゲート線33が順次排他的に1本ずつ選択されるとともに、選択されたゲート線33には、選択電圧のゲート信号が供給される一方、他の非選択のゲート線33には、非選択電圧のゲート信号が供給される。そして、ドライバIC40は、選択されたゲート線33に対応する位置に存在する画素電極10に対し、表示内容に応じたソース信号を、それぞれ対応するS1、S2、・・・、Sn−1、Sn(n:自然数)のソース線32及び各LTPS型TFT素子21を介して供給する。その結果、液晶層4の表示状態が、非表示状態または中間表示状態に切り替えられ、液晶層4内の液晶分子の配向状態が制御されることとなる。これにより、有効表示領域V内において所望の画像を表示することができる。
(画素構成)
次に、図2及び図3を参照して、本発明の第1実施形態に係る液晶装置100の画素構成等について説明する。
図2は、第1実施形態に係る素子基板91における4画素分の平面構成を示す。図3は、図2における切断線A−A'に沿った断面図を示すと共に、LTPS型TFT素子21を通る位置で切断したときの1サブ画素の断面構成を示す。
まず、図2及び図3を参照して、第1実施形態の素子基板91における画素構成等について説明する。
下側基板1の内面上には、ソース線32とゲート線33の第2配線33bの交差位置に対応して略コの字状の平面形状を有する低温型のP−Si(ポリシリコン)層19が形成されている。P−Si層19及び下側基板1の内面上には、その略一面に亘って、例えばSiO2などからなるゲート絶縁膜50が形成されている。
ゲート絶縁膜50は、P−Si層19の一端側に且つソース線32の一部と平面的に重なる位置に第1のコンタクトホール50aを有すると共に、P−Si層19の他端側に対応する位置に第2のコンタクトホール50bを有する。ゲート絶縁膜50の内面上にはゲート線33が形成されており、そのゲート線33の第2配線33bは、図2に示すように、Y方向に一定の間隔をおいてX方向に延在するように形成され、当該第2配線33bは、P−Si層19と部分的且つ平面的に重なっている。
ゲート線33及びゲート絶縁膜50の内面上には、例えばSiO2などからなる第1絶縁膜51が形成されている。第1絶縁膜51は、第1のコンタクトホール50aに対応する位置に第1のコンタクトホール51aを有すると共に、第2のコンタクトホール50bに対応する位置に第2のコンタクトホール51bを有する。第1絶縁膜51の内面上には、ソース線32及び中継電極77が設けられている。
ソース線32は、図2に示すように、X方向に一定の間隔をおいてY方向に延在するように形成されている。ソース線32の一部は、P−Si層19の一端側の一部と平面的に重なっている。ソース線32の一部は、第1のコンタクトホール50a及び51a内まで入り込むように設けられており、当該ソース線32は、P−Si層19の一端側と電気的に接続されている。中継電極77は、P−Si層19の他端側の一部と平面的に重なり合っている。中継電極77の一部は、第2のコンタクトホール50b及び51b内まで入り込むように設けられており、当該中継電極77は、P−Si層19の他端側と電気的に接続されている。これにより、各ソース線32は、対応する各P−Si層19を介して、対応する各中継電極77に電気的に接続されている。こうして、各P−Si層19に対応する位置に且つソース線32とゲート線33の第2配線33bとの交差位置に対応してLTPS型TFT素子21が設けられている。
ソース線32、中継電極77及び第1絶縁膜51の内面上には、例えばアクリル樹脂等からなる第2絶縁膜52が形成されている。第2絶縁膜52の内面上は平坦性を有し、第2絶縁膜52は平坦化膜を構成している。第2絶縁膜52は、中継電極77の一端側に且つ第2のコンタクトホール50b及び51bの近傍位置にコンタクトホール52aを有する。なお、本発明では、第1絶縁膜51と第2絶縁膜52との間に、例えばSiNxなどからなる絶縁膜を更に設けるようにしても構わない。
第2絶縁膜52の内面上には、その略一面に亘って、COM端子に接続された共通電極20が形成されている(図1も参照)。共通電極20は、例えばITOなどの透明材料により形成され、コンタクトホール52aに対応する位置に開口20aを有する。コンタクトホール52a内に位置する第2絶縁膜52の一部、及び共通電極20の内面上には、例えばSiO2やSiNxなどからなる第3絶縁膜53が形成されている。第3絶縁膜53は、第2絶縁膜52のコンタクトホール52aに対応する位置にコンタクトホール53aを有する。第3絶縁膜53は、共通電極20と後述する画素電極10との間に設けられるため、補助容量を形成する誘電膜として機能する。ここで、十分な補助容量を確保するためには、第3絶縁膜53の厚さd1は、できる限り薄く設定されているのが好ましい。
かかる目的を実現するため、好適な例では、第3絶縁膜53の厚さd1は、自身に形成される補助容量の大きさが約100〜600fF、より好ましくは約200〜800fFに設定するように決定するのが好ましい。また、精細度200PPi以上では、第3絶縁膜53の厚さd1は約50〜400nmに設定するのが好ましい一方、精細度200PPi未満では、第3絶縁膜53の厚さd1は約200〜1000nmに設定するのが好ましい。
第3絶縁膜53の内面上であって、各サブ画素領域SG内には、例えばITOなどの透明導電材料よりなる画素電極10が形成されている。画素電極10は、コンタクトホール52aを介して中継電極77と電気的に接続されている。このため、ソース線32からのソース信号は、LTPS型TFT素子21及び中継電極77を介して画素電極10へ供給される。また、画素電極10は、第3絶縁膜53を介して共通電極20と対向し且つ平面的に重なっている。画素電極10には、自身と共通電極20との間で、フリンジフィールド(電界E)を発生させるための複数のスリット10aが設けられている。各スリット10aは、図2において、ソース線32の延在方向に一定の間隔をおいて且つゲート線33の第2配線33bの延在方向に対して時計廻りに所定角度だけ回転させた方向に延在するように設けられている。
第3絶縁膜53の一部、及び画素電極10の内面上には図示しない配向膜が形成されている。かかる配向膜には、図2に示すように、ゲート線33の第2配線33bの延在方向であるX方向を基準に反時計廻りに角度θ、好ましくは約5°の方向(以下、「ラビング方向R」と呼ぶ)にラビング処理が施されている。このため、液晶分子4aは、初期配向状態において、その長軸方向がラビング方向Rに沿った状態で配向している。また、下側基板1の下側には偏光板11が設けられていると共に、偏光板11の下側には照明装置としてのバックライト15が設けられている。こうして、第1実施形態に係る画素構成を含む素子基板91が構成されている。
一方、上記の画素構成に対応するカラーフィルタ基板92の構成は次の通りである。
上側基板2の内面上であって、各サブ画素領域SG内には赤色の着色層6R、緑色の着色層6G及び青色の着色層6Bのいずれかからなる着色層6が設けられている。上側基板2の内面上であって、各サブ画素領域SGを区画する位置及びLTPS型TFT素子21に対応する位置にはBMが設けられている。このため、LTPS型TFT素子21、ソース線32及びゲート線33の第2配線33b等はBMと平面的に重なっている。BM及び各着色層6の内面上にはオーバーコート層16が形成されている。このオーバーコート層16は、液晶装置100の製造工程中に使用される薬剤等による腐食や汚染から、着色層6等を保護する機能を有している。オーバーコート層16の内面上には所定の方向にラビング処理が施された配向膜18が形成されている。こうして、第1実施形態に係るカラーフィルタ基板92が構成されている。
以上の構成を有する液晶装置100では、その駆動時、図2に示すように、ラビング方向Rに沿って初期配向状態にある液晶分子4aは、ソース線32の延在方向に生じるフリンジフィールド(電界E)によって反時計廻りに回転してソース線32の延在方向に再配向する。なお、図3の断面構成では、フリンジフィールド(電界E)は、素子基板91と略平行な方向(図3の紙面横方向)及び略垂直な方向(図3のカラーフィルタ基板側)に強い電界成分を有し、画素電極10と、その複数のスリット10a及び第3絶縁膜53を介して共通電極20との間で生じる。これにより、液晶分子4aの配向状態が制御され、透過型表示をすることができる。具体的には、この透過型表示の際、バックライト15から出射した照明光は、図3に示す経路Tに沿って進行し、共通電極20、画素電極10及びR、G、Bの各着色層6等を通過して観察者に至る。この場合、その照明光は、その着色層6等を透過することにより所定の色相及び明るさを呈する。こうして、所望のカラー表示画像が観察者により視認される。
次に、比較例と比較した第1実施形態に係る液晶装置100の特有の作用効果について説明する。
まず、図4及び図5を参照して、比較例に係るFFS方式の液晶装置500の構成について説明する。なお、比較例において、第1実施形態と共通する要素については同一の符号を付し、その説明は簡略化又は省略する。
図4は、図2に対応する、比較例に係る素子基板93における4画素分の平面構成を示す。図5は、図4における切断線B−B'に沿った断面図を示すと共に、α−Si型TFT素子23を通る位置で切断したときの1サブ画素の断面構成を示す。
比較例に係る液晶装置500は、α−Si型TFT素子23を有する素子基板93と、カラーフィルタ基板92との間に液晶が封入されて液晶層4が形成されてなる。
まず、素子基板93の構成は次の通りである。
下側基板1上には、サブ画素領域SG毎にITO等からなる共通電極20(二点鎖線で囲まれた領域)が設けられている。共通電極20の一部上及び下側基板1上には、図4に示すように、Y方向に一定の間隔をおいて形成され、X方向に延在する共通電極線20xが設けられている。このため、共通電極20は、共通電極線20xに電気的に接続されている。共通電極線20xは、図示を省略するが素子基板93上の所定位置においてCOM用端子と電気的に接続されている。下側基板1上には、Y方向に一定の間隔をおいてX方向に延在するようにゲート線33の第2配線33bが設けられている。第2配線33bは、隣接する画素に対応して設けられた共通電極線20xの近傍位置に設けられている。
共通電極20、共通電極線20x、ゲート線33及び下側基板1の上には、ゲート絶縁膜50が形成されている。ゲート絶縁膜50上であって、後述するソース線32と、ゲート線33の第2配線33bとの交差位置近傍には、α−Si型TFT素子23の要素となるα−Si層26が設けられている。
図4において、ゲート絶縁膜50上には、Y方向に延在するようにソース線32が設けられている。ソース線32は、α−Si層26上に重なるように折れ曲がり、当該α−Si層26と電気的に接続される折れ曲がり部分32xを有する。また、α−Si層26及びゲート絶縁膜50上には、ドレイン電極34が設けられている。このため、ドレイン電極34は、α−Si層26と電気的に接続されている。このため、ソース線32の折れ曲がり部分32xは、α−Si層26を介してドレイン電極34に電気的に接続されている。こうして、その領域にはα−Si型TFT素子23が形成されている。
ゲート絶縁膜50及びα−Si型TFT素子23上には、例えばSiNxなどからなるパシベーション層54が形成されている。バシベーション層54は、共通電極20の一部と重なる位置に且つドレイン電極34の一端側と重なる位置にコンタクトホール54aを有する。
パシベーション層54上には、サブ画素領域SG毎にITOなどからなる画素電極10が形成されている。画素電極10の構成は第1実施形態と同様である。即ち、画素電極10は、複数のスリット10aを有し、コンタクトホール54aを通じてドレイン電極34に電気的に接続されている。このため、画素電極10には、ソース線32からのソース信号がα−Si型TFT素子23を介して供給される。画素電極10等の上には図示しない配向膜が形成されている。かかる配向膜には、第1実施形態と同様の方向にラビング処理が施されている。
以上の構成を有する比較例に係る液晶装置500では、その駆動時、第1実施形態に係る液晶装置100と同様の原理により液晶の配向が制御され、透過型表示がなされる。
このような構成を有する比較例では、次のような課題を有している。
即ち、比較例に係るα−Si型TFT素子23を有する液晶装置500では、図5に示すように、第1実施形態に相当する平坦化膜(第2絶縁膜52)が設けられていない。このため、特に、共通電極線20xの一部と平面的に重なる領域A1、及び、α−Si型TFT素子23の要素であるドレイン電極34の一部と平面的に重なる領域A2、及び、ソース線32の一部と平面的に重なる領域A3では、画素電極10の部分は凹凸状の形状(段差形状)に形成されている。このような段差形状を有する画素電極10の部分では液晶分子4aの配向乱れが生じ、表示品質に悪影響を与えるので、その画素電極10の部分を表示領域として用いることはできない。よって、一般的には、カラーフィルタ基板92において、その画素電極10の部分に対応する位置には、そのような液晶分子4aの配向乱れによる表示品質の劣化を覆い隠すためのBMが設けられる。これにより、比較例では開口率が低下してしまうという課題がある。しかも、比較例では、共通電極20の他に共通電極線20xをさらに設けるようにしているので、益々開口率が低下してしまうという課題がある。
また、比較例では、画素電極10と共通電極20との間に設けられた誘電膜としてのパシベーション層54及びゲート絶縁膜50の間には補助容量が形成されるが、上述のように、開口率が低下するのに伴って、画素電極10と共通電極20との平面的に重なる面積が小さくなり、所望の補助容量が得られなくなる虞がある。その上、比較例の誘電膜の厚さd2は、第1実施形態と比べてかなり厚いので、一般的な静電容量の式に基づき補助容量の大きさは益々小さくなる。このため、かかる構成を有する比較例は、高精細用の液晶表示装置には適用し難いという課題がある。
この点、第1実施形態に係る液晶装置100では、素子基板91側において、平坦性を有する第2絶縁膜(平坦化膜)52が、画素電極10、第3絶縁膜53及び共通電極20の下側に設けられている。これにより、少なくともソース線32及びLTPS型TFT素子21に位置する画素電極10、第3絶縁膜53及び共通電極20を平坦化することができる。つまり、サブ画素領域SG内には凹凸状の形状(段差形状)を有する電極部分が形成されない。これにより、ソース線32及びLTPS型TFT素子21付近で液晶分子4aの配向乱れが生じるのを防止できる結果、画素電極10を、ソース線32及びLTPS型TFT素子21付近のみならず、隣接する他の画素電極10付近まで延在させることができる。よって、比較例と比べて高開口率を実現できる。
さらに、第1実施形態では、共通電極20を、第2絶縁膜(平坦化膜)52上にその略一面に亘ってべた状に配置(但し、コンタクトホール52aの部分は除く)しているので共通電極20に係る時定数(コンデンサCと抵抗Rとの積)を小さな値とすることができる。よって、第1実施形態では、比較例に相当する共通電極線20xを設けていない。この点からも画素電極10等の有効面積を大きくすることができ、高開口率を実現できる。これにより、高精細用の液晶表示装置に好適に用いることが可能となる。
また、第1実施形態では、誘電膜としての第3絶縁膜53を画素電極10と共通電極20の間に設けているので、第3絶縁膜53の厚さを調整し易くなり、比較例と比べて補助容量の大きさの調整が容易となる。例えば、高精細用の液晶表示装置など補助容量を大きくする必要がある場合に、第3絶縁膜53の厚さd1を薄く設定することで必要十分な補助容量を得ることができる。よって、表示品質の向上、さらに低消費電力化を図ることができる。
好適な例では、第3絶縁膜53の厚さd1は、自身に形成される補助容量の大きさが約100〜600fF、より好ましくは約200〜800fFに設定するように決定するのが好ましい。また、精細度200PPi以上では、第3絶縁膜53の厚さd1は約50〜400nmに設定するのが好ましい一方、精細度200PPi未満では、第3絶縁膜53の厚さd1は約200〜1000nmに設定するのが好ましい。
また、誘電膜としての第3絶縁膜53の厚さd1を薄く設定できるのに伴って、画素電極10と共通電極20との間に形成されるフリンジフィールド(電界E)も強くなり、より低電圧であっても液晶分子4aを容易に動作させることが可能となる。例えば、ノーマリーブラックの表示モードにおいて第3絶縁膜53の厚さd1を約50〜200nmに設定した場合には、画素電極10と共通電極20の間に印加される白表示に対応する駆動電圧は約2〜5V程度とすることができる。また、ノーマリーブラックの表示モードにおいて第3絶縁膜53の厚さd1を約200〜600nmに設定した場合には、画素電極10と共通電極20の間に印加される白表示に対応する駆動電圧は約3〜5V程度とすることができる。さらに、第3絶縁膜53の厚さd1は極めて薄く設定されるので、第3絶縁膜53の形成に際してスループットの向上を図ることもできる。
また、第1実施形態では、カラーフィルタ基板92側において、上記した各コンタクトホールに対応する位置にBMを配置しているので、当該各コンタクトホールの付近で液晶分子4aの配向乱れが生じた場合でも、その配向乱れの領域をBMによって覆い隠すことができる。よって、液晶分子4aの配向乱れに伴って表示品位が低下するのを防止できる。
[第2実施形態]
次に、図6及び図7を参照して、本発明の第2実施形態に係る液晶装置200の構成について説明する。ここで、第2実施形態に係る液晶装置200は、LTPS型TFT素子21を有するFFS方式の液晶装置であると共に、透過型の液晶装置である。なお、以下では、第1実施形態と同一の要素については同一の符号を付し、その説明は簡略化又は省略する。
図6は、第2実施形態に係る素子基板93における4画素分の平面構成を示す。図7は、図6における切断線C−C'に沿った断面図を示すと共に、LTPS型TFT素子21を通る位置で切断したときの1サブ画素の断面構成を示す。
まず、図6及び図7を参照して、第2実施形態の素子基板93における画素構成等について説明する。
下側基板1の内面上であって、ソース線32とゲート線33の第2配線33bの交差位置にはP−Si層19が形成されている。P−Si層19及び下側基板1の内面上には、その略一面に亘って、第1のコンタクトホール50a及び第2のコンタクトホール50bを有するゲート絶縁膜50が形成されている。なお、第1のコンタクトホール50a及び第2のコンタクトホール50bの形成位置は第1実施形態と同様である。
ゲート絶縁膜50の内面上には、図6に示すように、ゲート線33の第2配線33bがY方向に一定の間隔をおいてX方向に延在するように形成され、当該第2配線33bの一部は、P−Si層19と平面的に重なる位置に設けられる。ゲート絶縁膜50の内面上であって、ゲート線33の第2配線33bに隣接する位置には、当該第2配線33bの延在方向と同方向に延在するように共通電極線20xが形成されている。共通電極線20xは、上述したゲート線33と同一の材料により形成されているのが好ましい。共通電極線20xは、ドライバIC40内に設けられたCOM端子と電気的に接続されている。
共通電極線20x、ゲート線33及びゲート絶縁膜50の内面上には、第1のコンタクトホール51a及び第2のコンタクトホール51bを有する第1絶縁膜51が形成されている。第1のコンタクトホール51a及び第2のコンタクトホール51bの形成位置は第1実施形態と同様である。第1絶縁膜51は、さらに、P−Si層19の近傍位置に且つ共通電極線20xに対応する位置に第3のコンタクトホール51cを有する。
図6において、第1絶縁膜51の内面上には、相隣接するサブ画素領域SGの間にY方向に延在するようにソース線32が設けられている。ソース線32の一部は、第1のコンタクトホール50a及び51aを介して、P−Si層19の一端側に電気的に接続されている。第1の絶縁膜51の内面上であって、P−Si層19の他端側と平面的に重なる位置には中継電極77が設けられている。第1の絶縁膜51の内面上であって、第3のコンタクトホール51cと平面的に重なる位置及び共通電極線20xとゲート線33の第2配線33bの間に対応する位置には他の中継電極34が設けられている。
中継電極77は、第2のコンタクトホール50b及び51bを介してP−Si層19の他端側に電気的に接続されている。このため、ソース線32は、P−Si層19を介して中継電極77に電気的に接続されている。これにより、P−Si層19に対応する位置に且つソース線32とゲート線33の第2配線33bとの交差位置にはLTPS型TFT素子21が形成されている。一方、他の中継電極34は、第3のコンタクトホール51cを介して共通電極線20xに電気的に接続されている。
ソース線32、中継電極77、他の中継電極34及び第1絶縁膜51の内面上には、コンタクトホール52aを有し、平坦化膜たる第2絶縁膜52が形成されている。なお、コンタクトホール52aの形成位置は第1実施形態と同様である。第2絶縁膜52の内面上には、サブ画素領域SG毎に画素電極10が形成されている。画素電極10は、コンタクトホール52aを介して中継電極77と電気的に接続されている。このため、画素電極10には、ソース線32からのソース信号がLTPS型TFT素子21及び中継電極77を介して供給される。
画素電極10及び第2絶縁膜52の内面上には、コンタクトホール53aを有し、誘電膜たる第3絶縁膜53が形成されている。なお、コンタクトホール53aの形成位置は第1実施形態と同様である。第3絶縁膜53の内面上には、共通電極20が設けられている。このため、各共通電極20は、第3絶縁膜53を介して各画素電極10に対向し且つ平面的に重なっている。また、本例では、各サブ画素に対応する各共通電極20は、当該各サブ画素の紙面左側に位置するソース線32と平面的に重なっている。共通電極20は、コンタクトホール53aを介して他の中継電極34に電気的に接続されている。このため、共通電極20は、他の中継電極34及び共通電極線20xを介して、ドライバIC40内のCOM端子に電気的に接続されている。また、共通電極20には、自身と画素電極10との間で、フリンジフィールド(電界E)を発生させるための複数のスリット20aが設けられている。各スリット20aは、図6において、ソース線32の延在方向に一定の間隔をおいて且つゲート線33の第2配線33bの延在方向に対して反時計廻りに所定角度だけ回転させた方向に延在するように設けられている。
第3絶縁膜53の一部及び共通電極20の内面上には図示しない配向膜が形成されている。かかる配向膜には、図6に示すように、共通電極線20xの延在方向であるX方向を基準に反時計廻りに角度θ、好ましくは約5°の方向に沿ってラビング処理が施されている。このため、液晶分子4aは、初期配向状態において、その長軸方向がラビング方向Rに沿った状態で配向している。こうして、第2実施形態に係る画素構成を含む素子基板93が形成されている。
一方、上記の画素構成に対応するカラーフィルタ基板92の構成は第1実施形態と略同様であるため説明を省く。但し、カラーフィルタ基板92側に設けられるBMは、ソース線32、ゲート線33の第2配線33b、共通電極線20x及びLTPS型TFT素子21等と平面的に重なる位置に配置されている。
以上の構成を有する液晶装置200では、その駆動時、上記した第1実施形態に係る液晶装置100と同様の原理により液晶分子4aの配向状態が制御され、所望のカラー表示画像が観察者により視認される。
次に、第2実施形態に係る液晶装置200の特有の作用効果について説明する。
まず、第2実施形態に係る液晶装置200では、素子基板93側に平坦性を有する第2絶縁膜(平坦化膜)52を設けているので、上述した第1実施形態と同様の作用効果が得られ、高開口率を実現できる。但し、第2実施形態では、共通電極20に係る時定数を低くする目的で、例えばチタン/アルミ/チタンの3層構造を有する低抵抗化材料からなる共通電極線20xを意図的に設けている。よって、表示品質が低下するのを防止できる一方、第1実施形態と比較すると、その分だけ開口率は低下することになる。
即ち、この点について詳述すると、共通電極20はITOなどの高抵抗化材料により形成されている。このため、当該共通電極20を有効表示領域Vの略一面に亘ってべた状に形成した場合には、当該共通電極20の面積は大きくなるので、それに伴って当該共通電極20の抵抗が高くなる。これにより、共通電極20に係る時定数が高くなり、表示品質に悪影響を及ぼす可能性がある。しかし、第2実施形態では、ITOからなる共通電極20をサブ画素領域SG毎に設けているため、べた状に形成されてなる共通電極と比べ、当該共通電極20の面積を小さくできる。加えて、各共通電極20を低抵抗化材料よりなる共通電極線20xに接続している。これらにより、共通電極線20xと共通電極20とを合わせた抵抗を小さくできるため、当該共通電極20に係る時定数を低くすることができる。これにより、表示品質に悪影響を及ぼすのを防止できる。なお、第2実施形態の構造で十分に共通電極20に係る時定数を小さくすることができるのであれば、第1実施形態と同様に共通電極線20xを不要とすることができる。これにより、第1実施形態と略同等の開口率が得られる。
また、第2実施形態では、誘電膜としての第3絶縁膜53を画素電極10と共通電極20の間に設けているので補助容量の大きさの調整が容易となり、第3絶縁膜53の厚さd1を極めて薄く設定することができる。よって、上記した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
特に、第2実施形態では、ソース線32と平面的に重なるように共通電極20を設けているので、任意のサブ画素に発生するフリンジフィールド(電界E)が、当該サブ画素に隣接する他のサブ画素へ与える影響を少なくすることができる。この点について、図8(a)及び(b)を参照して述べる。
図8(b)は、図6における切断線D−D'に沿った素子基板93の部分断面図であり、特に1つのソース線32とそのソース線32の両側に設けられた2つのサブ画素の部分に対応する断面図を示している。一方、図8(a)は、図8(b)に対応する比較例に係る素子基板95の部分断面図である。
まず、比較例に係る素子基板95の構成について簡単に説明する。
下側基板1上にはゲート絶縁膜50が設けられていると共に、ゲート絶縁膜50上には第1絶縁膜51が設けられている。第1絶縁膜51上にはソース線32が紙面手前側から紙面奥側へ延在するように設けられている。ソース線32及び第1絶縁膜51上には平坦化膜としての第2絶縁膜52が設けられている。第2絶縁膜52上には共通電極20が設けられていると共に、共通電極20上には誘電膜としての第3絶縁膜53が設けられている。第3絶縁膜53上であって、ソース線32の両側に対応する位置には、それぞれ画素電極10が設けられている。なお、以下では、説明の便宜上、紙面左側に位置する画素電極10を「画素電極10L」と、また、紙面右側に位置する画素電極10を「画素電極10R」と夫々称する。こうして、比較例に係る素子基板95が形成されている。
以上の構成を有する比較例では、その駆動時、同図に示すように、画素電極10と共通電極20との間で、素子基板95の基板面に対して略平行な方向及び略垂直な方向(紙面上側方向)に強い電界成分を有するフリンジフィールド(電界E)が発生する。ここで、例えば、画素電極10Lを駆動する電圧が高かった場合、それに応じて当該画素電極10Lと共通電極20との間に発生するフリンジフィールド(電界E)の強さも強くなる。これにより、そのフリンジフィールド(電界E)を構成する一部の電界Exが隣接する画素電極10Rにまで及び当該画素電極10Rの上側に位置する液晶分子4aの配向状態に悪影響を与える可能性がある。
これに対して、第2実施形態では、そのような不具合は生じない。
即ち、第2実施形態では、その駆動時、図8(b)に示すように、画素電極10と、ソース線32の上側に設けられ且つ平面的に重なる共通電極20との間でフリンジフィールド(電界E)が発生する。ここで、第2実施形態において、例えば、画素電極10Lを駆動する電圧が高かった場合、それに応じて当該画素電極10Lと共通電極20との間に発生するフリンジフィールド(電界E)の強さも強くなるが、そのフリンジフィールド(電界E)は、ソース線32の上側に設けられ且つ平面的に重なる共通電極20の存在によって、隣接する画素電極10Rまで及ぶことはない。よって、上記した比較例のような不具合は生じないので、隣接する画素電極10Rの上側に位置する液晶分子4aの配向状態に悪影響を与えるのを防止でき、良好な表示品位を得ることができると共に、より高精細化を実現できる。なお、その他の第2実施形態の作用効果は第1実施形態と同様である。
[変形例]
上記の第1及び第2実施形態では、本発明を透過型の液晶装置に適用することとしたが、これに限らず、本発明を反射型又は半透過反射型の液晶装置に適用することとしても構わない。
また、上記の第1及び第2実施形態では、本発明を、LTPS型TFT素子21を有する液晶装置に適用した。これに限らず、本発明では、その趣旨を逸脱しない範囲において、P−Si型のTFT素子若しくはα−Si型のTFT素子などに代表される三端子型素子、或いはTFD素子に代表される二端子型非線形素子に本発明を適用しても構わない。
また、上記の第1実施形態では、画素電極10に設けられる各スリット10aは、ゲート線33の第2配線33bの延在方向に対して反時計廻りに所定角度だけ回転させた方向に延在するように設けられていた。これに限らず、本発明では、画素電極10に設けられる各スリット10aを、ゲート線33の第2配線33bの延在方向に一定の間隔をおいて且つソース線32の延在方向に延在するように設けても構わない。また、本発明では、第2実施形態において、共通電極20に設けられる各スリット20aを、ゲート線33の第2配線33bの延在方向に一定の間隔をおいて且つソース線32の延在方向に延在するように設けても構わない。これらの場合、ラビング方向Rは、ソース線32の延在方向に対して時計廻りに所定角度θ、好ましくは約5°に設定されているのがよい。これにより、液晶分子4aをフリンジフィールド(電界E)によって各スリット10a又は20aと略直交する方向に再配向させ易くすることができる。
また、第2実施形態では、着色層6R及び6Bの各々に対応する各サブ画素に対応する各共通電極20が、ソース線32と平面的に重なるように形成すると共に、着色層6Gに対応するサブ画素に対応する共通電極20が、当該サブ画素の両側に設けられたソース線32とは平面的に重ならないように形成した。これに限らず、本発明では、共通電極20は、図1において各横方向(X方向)に列をなすサブ画素群と対向するようにストライプ状に形成しても構わない。これにより、図1の横方向に相隣接する画素電極10の間に位置するソース線32の部分は共通電極20と平面的に重なることになるため、任意のサブ画素に発生するフリンジフィールド(電界E)が、当該サブ画素に隣接する他のサブ画素へ与える影響を少なくすることができる。
また、本発明では、第2実施形態に設けた共通電極線20xを、仕様に応じて第1実施形態に設けるようにしても構わない。
その他、本発明では、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形をすることができる。
[電子機器]
次に、本発明の第1又は第2実施形態に係る液晶装置100、200を適用可能な電子機器の具体例について図9を参照して説明する。
まず、本発明の第1又は第2実施形態に係る液晶装置100、200を、可搬型のパーソナルコンピュータ(いわゆるノート型パソコン)の表示部に適用した例について説明する。図9(a)は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。同図に示すように、パーソナルコンピュータ710は、キーボード711を備えた本体部712と、本発明に係る液晶表示装置をパネルとして適用した表示部713とを備えている。
続いて、本発明の第1又は第2実施形態に係る液晶装置100、200を、携帯電話機の表示部に適用した例について説明する。図9(b)は、この携帯電話機の構成を示す斜視図である。同図に示すように、携帯電話機720は、複数の操作ボタン721のほか、受話口722、送話口723とともに、本発明の第1又は第2実施形態に係る液晶装置100、200を適用した表示部724を備える。
なお、本発明の第1又は第2実施形態に係る液晶装置100、200を適用可能な電子機器としては、図9(a)に示したパーソナルコンピュータや図9(b)に示した携帯電話機の他にも、液晶テレビ、ビューファインダ型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ディジタルスチルカメラなどが挙げられる。
1…下側基板、2…上側基板、4…液晶層、4a…液晶分子、10…画素電極、10a…スリット、20…共通電極、20a…スリット、20x…共通電極線、21…LTPS型TFT素子、32…ソース線、33…ゲート線、52…第2絶縁膜(平坦化膜)、53…第3絶縁膜(誘電膜)、91,93…素子基板、92…カラーフィルタ基板、100,200…液晶装置。