JP2007225801A - Memsデバイスの揺動状態監視装置、memsアクチュエータ及びレーザ光走査装置 - Google Patents

Memsデバイスの揺動状態監視装置、memsアクチュエータ及びレーザ光走査装置 Download PDF

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Abstract

【課題】揺動部材を揺動させるための駆動力を低下させずに、揺動部材の揺動状態を監視することが可能な揺動状態監視装置、該揺動状態監視装置を備えるMEMSアクチュエータ、該MEMSアクチュエータを備えるレーザ光走査装置を提供することを課題とする。
【解決手段】固定電極と可動電極との間に交流電圧を印加して静電力を生じさせて揺動部材を揺動させるMEMSデバイスの揺動状態を監視する装置であって、前記固定電極と前記可動電極との間に交流電圧が印加された状態で、前記固定電極と前記可動電極との間に通電される電流を測定する電流測定手段と、前記電流測定手段によって測定された電流に基づいて、前記揺動部材の揺動状態を判定する揺動状態判定手段とを備えることを特徴とするMEMSデバイスの揺動状態監視装置、該揺動状態監視装置を備えるMEMSアクチュエータ、及び該MEMSアクチュエータを備えるレーザ光走査装置を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、交流電圧を印加することによって生じる静電力を用いてマイクロミラー等の揺動部材を揺動させるように構成されたMEMSデバイスの揺動状態を監視するMEMSデバイスの揺動状態監視装置(以下、単に「揺動状態監視装置」という)、該揺動状態監視装置を備えるMEMSアクチュエータ、及び該MEMSアクチュエータを備えるレーザ光走査装置に関する。
近年、レーザを用いたプリンタ、複写機、プロジェクタ等に使用されるレーザ光走査装置など各種装置の小型化が要請されている。かかる装置の小型化の要請により、シリコンなどの半導体製造プロセス等における技術を応用して種々の機械要素の小型化を実現するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて作製されるマイクロミラースキャナ等のMEMSデバイスが種々提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
例えばマイクロミラースキャナには、シリコン基材にMEMS技術を用いて、サスペンションビームによって揺動可能に支持されたマイクロミラーや、マイクロミラーを揺動駆動するための交流電圧が印加される電極などが形成されており、前記電極間に交流電圧を印加することによって生じる静電力によってマイクロミラーが揺動するように構成されている。このような構成のマイクロミラーを、プリンタ、複写機等の感光ドラムを走査するレーザ光走査装置のレーザ光の反射部材として使用すれば、レーザ光の反射方向がマイクロミラーの揺動角と共に変化し、反射光によって感光ドラムを走査することが可能である。
上記のマイクロミラースキャナにおいては、電極間に交流電圧を印加することによってマイクロミラーが揺動するため、交流電圧の電源と電極との間で断線が生じると、マイクロミラーは揺動しなくなる。マイクロミラーが揺動しなくなると、レーザ光の反射方向が変化せず、感光ドラムの一点がレーザ光に照射され続け、その部分が焦げてしまうという問題が発生する。
この問題については、マイクロミラーの揺動状態を監視し、マイクロミラーが揺動していないときには、レーザ光源からのレーザ光の出射を停止させることで解決することが可能である。マイクロミラーの揺動状態を監視する技術については、既に特許文献3にて開示されおり、この技術を用いれば、感光ドラムが焦げる問題を解決することが可能である。
かかる特許文献3の技術は、電極の一部をマイクロミラーの揺動状態の監視用電極として使用するものである。かかる特許文献3の技術に使用される電極は、マイクロミラーと共に揺動する可動電極と、揺動しない固定電極とから構成されており、固定電極の一部を監視用電極として使用するものである。この技術において、マイクロミラーの揺動は、可動電極と、固定電極の監視用電極以外の部分に交流電圧を印加して行なわれる。マイクロミラーが揺動すると、マイクロミラーの揺動角に応じて固定電極と可動電極との距離が変動し、監視用電極に、マイクロミラーの揺動角に応じた電圧が励起される。特許文献3の技術は、この励起される電圧に基づいてマイクロミラーの揺動状態を監視するものである。
特開2002−311376号公報 特開2004−177957号公報 特開2005−208251号公報
しかしながら、特許文献3の技術においては、監視用電極には、交流電圧が印加されないため、電極のうち監視用電極の部分には、マイクロミラーを駆動させるための静電力が生じない。そのため、特許文献3の技術を採用すると、マイクロミラーを揺動させるための駆動力が低下する。
特許文献3の技術を用いて揺動状態を監視しようとすると、マイクロミラースキャナに限らず揺動部材を具備する各種のMEMSデバイスにおいて、マイクロミラーを揺動させるための駆動力が低下するという問題が発生する。
本発明は、マイクロミラー等の揺動部材を揺動させるための駆動力を低下させずに、揺動部材の揺動状態を監視することが可能な揺動状態監視装置、該揺動状態監視装置を備えるMEMSアクチュエータ、及び該MEMSアクチュエータを備えたレーザ光走査装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するべく、本発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載の如く、基板と、基板に対して揺動可能に支持された揺動部材と、前記基板に形成された固定電極と、前記揺動部材に取り付けられた可動電極とを具備し、前記固定電極と前記可動電極との間に交流電圧が印加されることによって生じる静電力によって前記揺動部材が揺動するように構成されたMEMSデバイスの揺動状態を監視する装置であって、前記固定電極と前記可動電極との間に交流電圧が印加された状態で、前記固定電極と前記可動電極との間に通電される電流を測定する電流測定手段と、前記電流測定手段によって測定された電流に基づいて、前記揺動部材の揺動状態を判定する揺動状態判定手段とを備えることを特徴とするMEMSデバイスの揺動状態監視装置を提供するものである。
本発明に係る揺動状態監視装置が揺動状態を監視するMEMSデバイスは、固定電極と可動電極とに交流電圧が印加されることによって生じる静電力によって揺動部材が揺動するように構成されている。従って、電気的な観点から、固定電極と可動電極とを1つのキャパシタとみなすことが可能である。よって、固定電極と可動電極とに交流電圧が印加されると、交流電圧の極性が変化する際に、固定電極と可動電極との間に固定電極と可動電極とで形成されるキャパシタの静電容量に応じた電流が通電する。かかるキャパシタの静電容量は、固定電極と可動電極との距離に反比例する。固定電極と可動電極との距離は、揺動部材の揺動角によって変動する。よって、キャパシタの静電容量は、揺動部材の揺動角に反比例するため、固定電極と可動電極との間に通電する電流は、揺動部材の揺動角に応じた大きさとなる。
電流測定手段は、このように揺動部材の揺動角に応じた大きさとなる固定電極と可動電極との間に通電する電流を測定し、揺動状態判定手段は、電流測定手段によって測定された電流に基づいて揺動部材の揺動状態を判定する。従って、本発明の揺動状態監視装置は、固定電極と可動電極との間に通電する電流を測定し、測定された電流に基づいて揺動部材の揺動状態を判定するため、従来のように、電極の一部を監視用電極として使用しなくても、揺動部材の揺動状態を判定することが可能である。よって、本発明の揺動状態監視装置によれば、揺動部材を揺動させるための静電力を電極全体に生じさせることができるので、揺動部材を揺動させるための駆動力を低下させることなく、揺動部材の揺動状態を監視することが可能である。
また、特許請求の範囲の請求項2に記載の如く、前記揺動状態判定手段は、前記電流測定手段によって測定した電流のピーク値を検出し、前記検出した電流のピーク値が、第1しきい値と前記第1しきい値より低い第2しきい値との間にあるか否かに基づいて、前記揺動部材の揺動状態を判定することが好ましい。
かかる好ましい構成によれば、電流のピーク値が、第1しきい値と第1しきい値より低い第2しきい値との間にあるか否かに基づいて、揺動部材の揺動状態を判定することになる。揺動部材の揺動が正常な状態よりも小さいときは、揺動部材の揺動角が小さく、固定電極と可動電極との間に通電する電流は揺動角に反比例するため、揺動が正常な状態に比べて大きい電流が通電する。従って、第1しきい値を、揺動が正常な状態である場合に通電する電流のピーク値に対応させた値とすれば、電流のピーク値が第1しきい値より大きい場合は、揺動が正常な状態である場合より小さい状態と判定することができる。一方、MEMSデバイス内に断線が生じている場合は、固定電極と可動電極との間に電流が通電せず、揺動部材は揺動しない。断線等によって固定電極と可動電極との間に電流が通電しない場合、電流測定手段にて電流値0が測定される。従って、第2しきい値を、0近傍の値とすれば、電流のピーク値が第2しきい値より小さい場合は、揺動部材が揺動していないと判定することができる。そして、このように第1しきい値と第2しきい値とを定めると、電流のピーク値が、第1しきい値と第2しきい値との間である場合は、揺動が正常な状態であると判定することができる。よって、かかる好ましい構成によれば、揺動が正常な状態な場合より小さい状態、揺動が無い状態、揺動が正常な状態をそれぞれ判定することが可能である。
好ましくは、特許請求の範囲の請求項3に記載の如く、前記揺動状態判定手段は、前記交流電圧の印加が開始されてから所定の時間が経過するまでの間、前記第1しきい値を低減する構成とされる。
マイクロミラーの揺動は、揺動開始から、揺動の大きさが一定になるまでは、時間の経過と共に大きくなり、従って、電流測定手段が測定する電流のピーク値は、時間の経過と共に小さくなる。よって、揺動開始から所定の時間が経過するまで、マイクロミラーの揺動の大きさの変化に応じて第1しきい値を低減させることで、揺動が正常な状態と、揺動が正常な状態よりも小さい状態とを正確に判定することができる。
また、本発明は、特許請求の範囲の請求項4に記載の如く、基板と、基板に対して揺動可能に支持された揺動部材と、前記基板に形成された固定電極と、前記揺動部材に取り付けられた可動電極とを具備し、前記固定電極と前記可動電極との間に交流電圧が印加されることによって生じる静電力によって前記揺動部材が揺動するように構成されたMEMSデバイスと、前記固定電極と前記可動電極との間に交流電圧を印加する交流電源と、請求項1から3の何れかに記載の揺動状態監視装置とを備えることを特徴とするMEMSアクチュエータとして提供することもできる。
また、特許請求の範囲の請求項5に記載のように、前記揺動部材を、マイクロミラーとすることもできる。
また、本発明は、特許請求の範囲の請求項6に記載のように、前記MEMSアクチュエータと、前記マイクロミラーに向けてレーザ光を出射するレーザ光源とを備え、前記揺動状態監視装置は、前記揺動状態判定手段によって判定された前記揺動部材の揺動状態に基づき、前記レーザ光源のレーザ光の出射を制御するレーザ光源制御手段を具備することを特徴とするレーザ光走査装置としても提供される。
このように、マイクロミラーの揺動状態に基づいてレーザ光源のレーザ光の出射を制御するレーザ光源制御手段を備えれば、例えば、マイクロミラーが揺動していないときは、レーザ光源制御手段が、レーザ光源のレーザ光の出射を停止させることで、感光ドラムの焦げを防止することができる。
以上のように、本発明によれば、揺動部材の揺動角を測定するため、電極の一部を監視用電極として使用する必要が無いため、揺動部材を揺動させるための駆動力を低下させずに、揺動部材の揺動状態を監視することが可能である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る揺動状態監視装置、MEMSアクチュエータ、及びレーザ光走査装置について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るレーザ光走査装置の概略構成図である。図1に示すように、本実施形態に係るレーザ光走査装置100は、MEMSアクチュエータ1と、後述するようにMEMSアクチュエータ1が具備する揺動部材(本実施形態では、マイクロミラー)に向けてレーザ光Lを出射するレーザ光源(本実施形態ではレーザダイオード)2とを備えている。その他、本実施形態に係るレーザ光走査装置100は、レーザ光源2から出射されたレーザ光Lを平行光にするためのコリメータレンズ3と、前記マイクロミラーにおけるレーザ光の反射光L’を感光ドラムP上で結像させるためのfθレンズ4及びシリンドリカルレンズ5を備えている。以上の構成を有するレーザ光走査装置100において、MEMSアクチュエータ1が具備するマイクロミラーを揺動させることにより、レーザ光源2から出射したレーザ光Lの反射光L’が感光ドラムPでプリント幅分だけ走査されることになる。
MEMSアクチュエータ1は、マイクロミラーを備えるMEMSデバイス10と、マイクロミラーを揺動させる交流電源20と、マイクロミラーの揺動を監視する揺動監視装置30とを備えている。
以下、本実施形態に係るMEMSデバイス10を詳述する。図2は、本実施形態に係るMEMSデバイス10の概略構成図である。図2に示すように、本実施形態に係るMEMSデバイス10は、シリコン材から形成された上層基板1Aと絶縁材料(例えばガラス材)から形成された下層基板1Bとが上下に積層された構造を有している(図2は、上層基板1Aと下層基板1Bとを分離した状態を示すが、実際には両者は積層されている)。なお、本実施形態に係るMEMSデバイス10は、エッチングや成膜などの公知のMEMS技術を適用することにより当業者であれば容易に作製することが可能であるため、その具体的な製造方法については説明を省略する。
上層基板1Aには、中央に楕円状のマイクロミラー11が支持されていると共に、その揺動軸(図2に示すX軸)方向両端部に、それぞれ接続部12を介してサスペンションビーム13A、13Bが形成されており、マイクロミラー11はサスペンションビーム13A、13Bによって揺動軸周りに揺動可能に支持されている。
サスペンショビーム13A、13Bの揺動軸方向端部(マイクロミラー11に接続されている側と反対側の端部)は、ヒンジ15A、15Dを介して、アンカーとなる接着パッド14A、14Bにそれぞれ接続されている。また、サスペンショビーム13Aには、接着パッド14Cと、ヒンジ15Bとが形成されており、ヒンジ15Bが接着パッド14Cに接続されている。同様にして、サスペンショビーム13Bには、接着パッド14Dと、ヒンジ15Cとが形成されており、ヒンジ15Cが接着パッド14Dに接続されている。
また、サスペンションビーム13A、13Bの揺動軸と直交する軸(図2に示すY軸)方向の端部には、Y軸方向に延びる櫛歯状の可動電極18が形成されており、上層基板1Aの本体19Aに形成されたY軸方向に延びる櫛歯状の固定電極19と揺動軸方向に沿って交互に配置されている。
一方、下層基板1Bには、上層基板1Aに形成されたマイクロミラー11とサスペンションビーム13A、13Bとを揺動軸周りに揺動可能とするべく、マイクロミラー11に
対応する位置に楕円形の掘り込み領域16が形成され、サスペンションビーム13A、13Bに対応する位置に矩形の掘り込み領域16A、16Bが形成されている。また、下層基板1Bには、上層基板1Aと下層基板1Bとが積層された状態で上層基板1Aに形成された接着パッド14C、14Dの裏面をそれぞれ固着するべく、固定用パッド17A、17Bが形成されている。また、接着パッド14A、14Bの裏面は、下層基板1Bの周壁に固着される。
図3は、レーザ光走査装置100の機能ブロック図である。図3に示すように、交流電源20と固定電極19とが接続されており、可動電極18とアース34とが接続されている。交流電源20によって、固定電極19と可動電極18とに交流電圧が印加されると、固定電極19及び可動電極18との間に静電力が生じる。このように静電力が生じると、マイクロミラー11は、図2に示す接着パッド14A〜14Dを固定端とし、ヒンジ15A〜15Dの弾性力に抗しながら揺動軸周りに揺動する。
図4は、マイクロミラー11の揺動の位相と、交流電圧の位相と、固定電極19と可動電極18との間に通電する電流との関係を示す図である。図4(a)は、マイクロミラーの揺動の位相と、交流電圧の位相との関係を示す。図4(a)に示すように、マイクロミラー11は、交流電圧の1/2倍の周波数で揺動する。本実施形態では、小さな駆動力で大きくマイクミラー11を揺動させるため、共振現象を利用している。共振現象を利用するために、本実施形態では、交流電圧の周波数を、マイクロミラー11の共振周波数の略2倍としている。なお、図4(a)に示すように、本実施形態では、交流電源20は矩形波の交流電圧を印加しているが、交流電源20が印加する交流電圧は、矩形波の交流電圧に限定されるものでなく、正弦波、三角波、のこぎり波などの交流電圧であってもよい。
以上のように、マイクロミラー11が揺動すると、レーザ光源2から出射されたレーザ光Lの反射方向がマイクロミラーの揺動と共に変化し、感光ドラムPが走査される。
このようなマイクロミラー11の揺動は、揺動監視装置30に監視され、揺動が正常な状態でないときは、かかる揺動監視装置30によってレーザ光源20からのレーザ光Lの出射が停止させられるようになっており、感光ドラムPが焦げることなどが防止されている。図3に示すように、揺動状態監視装置30は、固定電極19と可動電極18との間に通電する電流を測定する電流測定手段31と、電流測定手段31によって測定された電流に基づいて、マイクロミラー11の揺動状態を判定する揺動状態判定手段32と、揺動状態判定手段32によって判定されたマイクロミラー11の揺動状態に基づき、レーザ光源2のレーザ光Lの出射を制御するレーザ光源制御手段33とを備えている。
電流測定手段31は、交流電源20と固定電極19との間に配置され、交流電源20と固定電極19との間に通電する電流を測定している。交流電源20と固定電極19との間と、固定電極19と可動電極18との間とは直列の関係になっているため、交流電源20と固定電極19との間に通電する電流と、固定電極19と可動電極18との間に通電する電流とは、同じ大きさである。よって、電流測定手段31は、交流電源20と固定電極19との間に通電する電流を測定することで、固定電極19と可動電極18との間に通電する電流を測定している。
固定電極19と可動電極18との間に通電する電流の大きさは、図5に示すように、マイクロミラー11の揺動角θ(マイクロミラー11の表面と上層基板1Aの成す角度であり、ヒンジ15A〜15Dの捩れ量に対応する角度)に応じた大きさである。即ち、固定電極19と可動電極18とは、それぞれの間に静電力を生じさせるために非接触の状態で配置されているので、電気的な観点から、固定電極19と可動電極18との2つの電極を、1つのキャパシタCとみなすことが可能である。従って、固定電極19と可動電極18とに交流電圧が印加されると、交流電圧の極性が変化する際に、固定電極19と可動電極18との間に固定電極19と可動電極18とで形成されるキャパシタCの静電容量に応じた電流が通電することになる。キャパシタCの静電容量は、固定電極19と可動電極18との距離に反比例する。図5に示すように、固定電極19と可動電極18との距離は、マイクロミラー11の揺動角θが大きくなればなるほど大きくなる。よって、キャパシタCの静電容量は、マイクロミラー11の揺動角θに反比例し、固定電極19と可動電極18との間に通電する電流は、マイクロミラー11の揺動角θに応じた大きさとなる。
図4(a)に示すように、マイクロミラー11は、交流電圧の1/2倍の周波数で揺動するため、交流電圧の極性は、マイクロミラー11の揺動の位相が90度変化する度に変化する。従って、図4(b)に示すように、固定電極19と可動電極18との間には、マイクロミラー11の揺動が90度ずつ異なる4つの位相(ω0〜ω3)の時に、それぞれの位相におけるマイククロミラー11の揺動角θに対応する電流が通電する。
位相ω0と位相ω2とは、180度異なるため、位相ω0と位相ω2とのときのマイクロミラー11の揺動角θは等しく、位相ω0と位相ω2とのときには、同じ大きさの電流が、固定電極19と可動電極18との間に通電する。また、位相ω1と位相ω3とは、180度異なるため、位相ω1と位相ω3とのときのマイクロミラー11の揺動角θは等しく、位相ω1と位相ω3とのときには、同じ大きさの電流が、固定電極19と可動電極18との間に通電する。
このように固定電極19と可動電極18との間に通電する電流は、交流電圧の極性の変化する方向、即ち、負から正の方向か、正から負の方向かによって向きが異なる。図4(a)に示すように、本実施形態では、交流電圧の極性は、位相ω0と位相ω2とのときは、負から正の方向に変化し、位相ω1と位相ω3とのときは、正から負の方向に変化する。本実施の形態では、図4(b)に示すように、電流測定手段31は、位相ω0と位相ω2とのときに通電する電流を正の電流として、位相ω1と位相ω3とのときに通電する電流は負の電流として測定している。
揺動状態判定手段32は、交流電圧の極性の変化がある度に、電流測定手段31にて測定された電流のピーク値に基づいて、マイクロミラーの揺動状態を判定する。かかる判定を交流電圧の極性の変化がある度に行なえるように、揺動状態判定手段32には、交流電圧と同一周波数の信号が、例えば交流電源20より供給されており、揺動状態判定手段32は、当該信号の立上がり及び立下りの時にマイクロミラー11の揺動状態の判定を行なう。
マイクロミラーの揺動状態の判定は、電流測定手段31が測定した電流のピーク値に基づいて行なう。マイクロミラー11の揺動が正常な状態の場合、図4(b)に示すような、電流が測定される。しかし、マイクロミラー11の揺動が正常な状態より小さいときは、マイクロミラー11の揺動角θが小さく、固定電極19と可動電極18との間に通電する電流は揺動角θに反比例するため、揺動が正常な状態である場合に比べて大きい電流(絶対値)が測定される。即ち、位相ω0と位相ω2とのときには、揺動が正常な状態である場合に比べて大きい電流が測定され、位相ω1と位相ω3とのときには、小さい電流が測定される。
揺動状態判定手段32は、マイクロミラー11の揺動が正常な状態である場合よりも小さいか否かを判定するための基準として、第1しきい値を用いる。図4(b)に示すように、この第1しきい値には、マイクロミラー11の揺動が正常な状態である場合に、位相ω0と位相ω2とのときに電流測定手段31が測定する電流のピーク値に対応させた正の第1しきい値と、位相ω1と位相ω3のときに電流測定手段31が測定する電流のピーク値に対応させた負の第1しきい値とがある。従って、電流のピーク値が正の第1しきい値より大きい場合及び負の第1のしきい値より小さい場合は、揺動が正常な状態である場合より小さい状態である。よって、電流のピーク値が正の第1しきい値より大きい場合及び負の第1しきい値より小さい場合は、揺動が正常な状態である場合より小さい状態と判定することができる。
なお、マイクロミラー11の揺動が正常な状態である場合に比べて若干揺動が小さい状態であっても、マイクロミラー11の揺動が正常な状態であると判定可能なように、正の第1しきい値には、電流測定手段31が測定する電流のピーク値に比べて若干大きい値を用い、負の第1しきい値には、若干小さい値を用いることもできる。
一方、交流電源20と固定電極19との間及び可動電極18とアース34との間の少なくとも一方が断線している場合は、交流電源20とアース34との間に電流が通電せず、マイクロミラー11が揺動しない。断線によって、交流電源20とアース34との間に電流が通電しない場合は、当然に電流測定手段31にて電流が測定されない(電流値0が測定される)。揺動状態判定手段32は、断線が生じているか否かを判定するための基準として、第2しきい値を用いる。マイクロミラー11の揺動が正常な状態であれば、位相ω0と位相ω2とのときは、0より大きい電流が測定され、位相ω1と位相ω3とのときは、0より小さい電流が測定される。よって、この第2しきい値は、値が0近傍の正の第2しきい値と負の第2しきい値がある。電流のピーク値が第2のしきい値よりも0に近い場合は、マイクロミラー11が揺動していないと判定することができる。以上のような第1しきい値と第2しきい値とは予め揺動状態判定手段32を構成する記憶素子に記憶されている。
揺動状態判定手段32は、電流のピーク値が、正の第1しきい値と正の第2しきい値の間、又は、負の第1しきい値と負の第2しきい値の間である場合は、揺動が正常な状態と判定し、正の第1しきい値より大きい場合、正の第2しきい値と負の第2しきい値との間の場合、負の第1しきい値より小さい場合は、揺動が正常な状態でないと判定する。即ち、揺動状態判定手段32は、マイクロミラー11の揺動が正常な状態である場合より小さい状態のとき、及び、マイクロミラー11が揺動していないときは、揺動が正常な状態でないと判定する。
図6は、マイクロミラー11の揺動開始から、揺動の大きさが一定になるまでの間に電流測定手段31が測定した電流を示す図である。マイクロミラー11の揺動は、揺動開始から、揺動の大きさが一定になるまでは、時間の経過と共に大きくなり、従って、電流測定手段31が測定する電流のピーク値は、図6に示すように、時間の経過と共に小さくなる。揺動が正常な状態と揺動が正常な状態である場合より小さい状態とをより正確に判定するために、揺動状態判定手段32は、図6に示すように、揺動開始から所定の時間が経過するまで、マイクロミラー11の揺動の大きさの変化に応じて第1しきい値を低減させてもよい。なお、この揺動開始とは、具体的には、固定電極19と可動電極18に対して交流電圧の印加が開始された時である。所定の時間とは、揺動開始から揺動が一定の大きさとなるまでにかかる時間であり、この時間には、例えば、予め実験等によって測定された時間や、コンピュータ等を使ったシミュレーションによって求められた時間等を用いることができる。
レーザ光源制御手段33は、揺動状態判定手段32がマイクロミラー11の揺動が正常な状態でないと判定した場合は、レーザ光源2のレーザ光Lの出射を停止させる。このようにレーザ光Lの出射を停止させることで、例えば、断線により、マイクロミラー11が揺動していないときに、レーザ光Lが出射され、反射光L’が感光ドラムPの一点を照射し続け、これにより照射されている部分が焦げることを防止することができる。また、マイクロミラー11の揺動が正常な状態である場合より小さいときには、揺動が正常な状態である場合よりも幅の狭い潜像が感光ドラムPに形成され、この幅の狭い潜像にトナーが付着して不要な画像が形成される。しかし、マイクロミラー11の揺動が正常な状態である場合より小さいときに、レーザ光Lの出射を停止させることで、幅の狭い潜像の形成が防がれ、不要な画像の形成のためにトナーが消費されることを防ぐこともできる。
以上のように、本実施形態の揺動状態監視装置30は、固定電極19と可動電極18との間に通電する電流に基づいて、マイクロミラー11の揺動状態を監視しているので、揺動状態の監視のために、固定電極19と可動電極18との一部を監視用電極として使用する必要がない。よって、本実施形態の揺動状態監視装置30は、マイクロミラー11を揺動させるための静電力を電極全体に生じさせることができるので、マイクロミラー11を揺動させるための駆動力を低下させることなく、マイクロミラー11の揺動状態を監視することが可能である。
なお、本実施形態では、電流測定手段31は、交流電源20と固定電極19との間の電流を測定しているが、例えば可動電極18とアース34との間の電流を測定してもよい。
また、本実施形態では、図3に示すように、交流電源20と固定電極19とが接続され、可動電極18とアース34とが接続されているが、本発明のMEMSアクチュエータは、交流電源20が可動電極18に接続され、固定電極19がアース34に接続されている構成を採っても、本実施形態のMEMSアクチュエータ10と同様の効果を得ることができる。
本発明の一実施形態に係るレーザ光走査装置の概略構成図である。 本実施形態係る眼鏡フレームの側面図である。 本実施形態係るレーザ光走査装置の機能ブロック図である。 マイクロミラーの揺動の位相と、交流電圧の位相と、固定電極と可動電極との間に通電する電流との関係を示す図である。 揺動角を説明するための図であり、MEMSデバイスの上層基板付近の断面図を示す。 マイクロミラー11の揺動開始から、揺動の大きさが一定になるまでの間の電流測定手段が測定した電流値を示す図である。
符号の説明
1 MEMSアクチュエータ
10 MEMSデバイス
11 マイクロミラー
100 レーザ光走査装置
2 レーザ光源
20 交流電源
30 駆動状態監視装置
31 電流測定手段
32 揺動状態判定手段
33 レーザ光源制御手段

Claims (6)

  1. 基板と、基板に対して揺動可能に支持された揺動部材と、前記基板に形成された固定電極と、前記揺動部材に取り付けられた可動電極とを具備し、前記固定電極と前記可動電極との間に交流電圧が印加されることによって生じる静電力によって前記揺動部材が揺動するように構成されたMEMSデバイスの揺動状態を監視する装置であって、
    前記固定電極と前記可動電極との間に交流電圧が印加された状態で、前記固定電極と前記可動電極との間に通電される電流を測定する電流測定手段と、
    前記電流測定手段によって測定された電流に基づいて、前記揺動部材の揺動状態を判定する揺動状態判定手段とを備えることを特徴とするMEMSデバイスの揺動状態監視装置。
  2. 前記揺動状態判定手段は、
    前記電流測定手段によって測定した電流のピーク値を検出し、
    前記検出した電流のピーク値が、第1しきい値と前記第1しきい値より低い第2しきい値との間にあるか否かに基づいて、前記揺動部材の揺動状態を判定することを特徴とする請求項1に記載のMEMSデバイスの揺動状態監視装置。
  3. 前記揺動状態判定手段は、前記交流電圧の印加が開始されてから所定の時間が経過するまでの間、前記第1しきい値を低減させることを特徴とする請求項2に記載のMEMSデバイスの揺動状態監視装置。
  4. 基板と、基板に対して揺動可能に支持された揺動部材と、前記基板に形成された固定電極と、前記揺動部材に取り付けられた可動電極とを具備し、前記固定電極と前記可動電極との間に交流電圧が印加されることによって生じる静電力によって前記揺動部材が揺動するように構成されたMEMSデバイスと、
    前記固定電極と前記可動電極との間に交流電圧を印加する交流電源と、
    請求項1から3の何れかに記載の揺動状態監視装置とを備えることを特徴とするMEMSアクチュエータ。
  5. 前記揺動部材は、マイクロミラーであることを特徴とする請求項4に記載のMEMSアクチュエータ。
  6. 請求項5に記載のMEMSアクチュエータと、
    前記マイクロミラーに向けてレーザ光を出射するレーザ光源とを備え、
    前記揺動状態監視装置は、前記揺動状態判定手段によって判定された前記揺動部材の揺動状態に基づき、前記レーザ光源のレーザ光の出射を制御するレーザ光源制御手段を具備することを特徴とするレーザ光走査装置。
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