JP2007224678A - 繋ぎ杭の施工方法および杭の保持装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】繋ぎ杭の施工に際し、地表部に配置した保持装置1内を挿通させた状態で先行杭を地中に貫入し、その頭部を保持装置により保持しつつその頭部に後行杭を継ぎ足した後に、保持装置による先行杭の保持を解除し、しかる後に継ぎ足した先行杭と後行杭の全体をさらに地中に貫入させていく。保持装置は、杭が上下方向に挿通可能なベースフレーム2と、杭頭部を把持する把持機構3と、把持機構をベースフレームに対して上昇させて杭を押し上げる押し上げ機構4を具備する。
【選択図】図1
Description
その場合の施工方法としては、ラフテレーンクレーン等の重機をベースマシンとしてそのブームの先端にリーダーを装着し、リーダーをガイドとしてオーガースクリューで地盤を削孔した後、PC杭を継ぎ足しながら圧入機により削孔内に順次貫入していき、最後に根がらみのセメントミルクを注入する、という工法が最も一般的である。
すなわち、上記工法において先行して貫入した杭(先行杭、あるいは下杭)に対して後行杭(あるいは上杭)を継ぎ足す際には、先行杭が削孔内にずり落ちていかないように先行杭にワイヤーを玉掛けして仮支持する必要があり、したがって後行杭を継ぎ足した後には、その全体をさらに貫入していくに先立って先行杭からワイヤーを外す必要があり、そのためには杭全体をさらに他の何らかの手段により若干持ち上げて一時的に仮支持しなければならない。
特許文献1に示される杭打装置はリーダーの下部に反復押動機構を備えたものであって、杭をリーダーによってガイドしつつある程度まで打ち込んだ後に、杭を反復押動機構により把持してさらに圧入するようにしたものであるので、その杭打装置における反復押動機構を杭を継ぎ足す際の仮支持手段や持ち上げ手段として転用できるのではないかと考えられる。
ベースフレーム2の四隅部の位置には、押し上げ機構4により昇降する把持機構3を下方から支持するための鋼管等からなる支柱8,9がそれぞれ設けられている。
すなわち、図1(c)〜(d)に示すように、縦材6の先端部の位置には2本の支柱8が設けられ、それら支柱8は昇降フレーム10(後述)に取り付けられている円弧状アーム11(後述)の先端部をその下降限位置で直接支持する長さ(高さ)とされている。
また、縦材6の基端部と横材5との連結部には他の2本の支柱9が設けられ、それら支柱9は上下に分割されていて、その下半部9aはベースフレーム2上に立設され、上半部9bは昇降フレーム10の側部から垂下されており、したがって(d)に示すように昇降フレーム10が上昇した際にはその支柱9は上下に分断されるようになっている。そして、その支柱9の下半部9aの頭部には昇降の際のガイドとして機能するテーパ部9cが設けられており、(c)に示すように昇降フレーム10が下降限まで下降した際には、テーパ部9cを介して下半部9aと上半部9bとが自ずと同軸状態で連結されて全体として1本の支柱9となり、昇降フレーム10の両端部を安定かつ強固に支持するものとなっている。
円弧状アーム11の曲率は把持対象の杭Pの杭径に対応するものとされ、これは把持用アクチュエータ13の伸張操作により閉じられて杭Pを両側から強固に把持し、かつ縮退操作によって開かれた際にはその内側を杭Pが自由に挿通できるような大きさに設定されている。
円弧状アーム11の内側には硬質ゴム製のスペーサー16が取り付けられていて、把持用アクチュエータ13による円弧状アーム11の把持力のみならず、そのスペーサー16の弾性と摩擦力とによっても杭Pを確実に保持できるものとされている。
なお、スペーサー16の厚みは円弧状アーム11の曲率と杭径との関係により最適に設定しておけばと良いが、杭径に応じた最適な厚みのものに適宜交換可能としておくことにより様々な杭径にも対応可能となる。
まず杭Pの施工位置に上記の保持装置1を定置し、その保持装置1の内側(開いた状態の円弧状アーム11の内側)を通して最初の杭Pを先行杭(下杭)P1として施工する。その施工は周知の杭施工機械による在来工法により適宜行えば良く、たとえば上述したようにベースマシンのブームにリーダーを取り付けた杭施工機械を用いて、オーガースクリューにより地中に削孔を行ったうえで先行杭P1を圧入機により地中に貫入していく工法が好適に採用可能である。
先行杭P1を通常のように地中に貫入していき、(a)に示すようにその頭部まで貫入して後行杭P2を継ぎ足す段階となったら、先行杭P1の杭頭部を保持装置1により保持する。すなわち把持用アクチュエータ13により円弧状アーム11を閉じて杭頭部を強固に把持する。これにより、先行杭P1は保持装置1により吊られた状態で仮支持されて削孔内にずり落ちていくことはないから、その時点で杭施工機械から先行杭P1を切り離し、(b)に示すように後行杭P2を継ぎ足す。継ぎ足し作業も適宜の機器を用いて適宜工法により行えば良い。
後行杭P2の継ぎ足し完了後には、継ぎ足した杭Pの全体を杭施工機械に改めて装着した後、把持用アクチュエータ13により円弧状アーム11を開いてそれによる把持を解除し、継ぎ足した杭Pの全体をさらに貫入していく。
(c)に示すように、継ぎ足した杭Pの全体を後行杭P2の杭頭部まで貫入したら、それ以降は以上の作業、すなわち保持装置1による杭頭部の保持、他の後行杭の継ぎ足し、さらなる貫入、を順次繰り返せば良い。
すなわち、一般に繋ぎ杭の施工においては、杭を継ぎ足す際に削孔内に土砂が落ち込んだり、削孔壁面に軽微な崩落が生じてしまうことがあり、それにより杭周面と地盤との間の貫入抵抗が増大してそれ以降の貫入がし難くなる場合がある。そのような場合、従来においては重機を用いて杭全体を若干引き抜いて地盤との縁切りを行う必要があり、その点においても施工性が良くないものであった。
それに対し、上記保持装置1を用いる場合において、たとえば図2(c)に示す状態で貫入抵抗が増大してそれ以降の貫入が難しくなった際には、(d)に示すように昇降用アクチュエータ17を伸張させて把持機構3を押し上げることでそれが把持している杭P全体を若干押し上げることができ、それにより地盤に対する縁切りを容易にかつ確実にしかも安全に行うことが可能である。
なお、この保持装置1に、特許文献1に示されているような反復押動機構と同様にそれ自体で杭を地盤に圧入する機能を持たせることも考えられようが、それは好ましくない。すなわち、そのように構成する場合には昇降用アクチュエータ17として充分な圧入力を有する大型大容量のものを採用する必要があるし、それに伴い、圧入時の大きな反力を確実に受ける必要も生じてくるから、保持装置1全体の大型化、複雑化、高コスト化が不可避であり、結果的に継ぎ足し作業時の仮支持という本来の機能にそぐわないものとなってしまう。したがって、本発明の保持装置はあくまでも杭全体をわずかに押し上げることのできるものに留めるべきであり、それによりベースフレーム2や把持機構3も含めて装置全体の小形化、軽量化、コンパクト化、低コスト化を充分に実現できるものであり、繋ぎ杭の施工に用いるものとしてはそれで充分に有用である。
P1 先行杭
P2 後行杭
1 保持装置
2 ベースフレーム
3 把持機構
4 押し上げ機構
8,9 支柱
10 昇降フレーム
11 円弧状アーム
13 把持用アクチュエータ
17 昇降用アクチュエータ
Claims (3)
- 頭部を残して先行杭を地中に貫入した後、該先行杭の頭部に後行杭を継ぎ足してそれらの全体をさらに貫入していく繋ぎ杭の施工方法であって、
先行杭を貫入するに際して地表部に保持装置を配置し、該保持装置内を挿通させた状態で先行杭を地中に貫入してその頭部を前記保持装置内側に位置せしめ、該先行杭の頭部を前記保持装置により保持しつつその頭部に後行杭を継ぎ足した後に、保持装置による先行杭の保持を解除し、しかる後に継ぎ足した先行杭と後行杭の全体をさらに地中に貫入させていくことを特徴とする繋ぎ杭の施工方法。 - 請求項1記載の繋ぎ杭の施工方法に適用される杭の保持装置であって、
施工するべき杭が上下方向に挿通可能なベースフレームと、該ベースフレームを挿通している杭の杭頭部を把持する把持機構と、該把持機構をベースフレームに対して上昇させることによって該把持機構が把持している杭を押し上げる押し上げ機構とを具備してなることを特徴とする杭の保持装置。 - 請求項2記載の杭の保持装置であって、
押し上げ機構は、ベースフレームに対して昇降可能な昇降フレームと、該昇降フレームを昇降させる昇降用アクチュエータからなり、
把持機構は、前記昇降フレームに対して開閉自在に軸支されて杭を把持する対の円弧状アームと、該円弧状アームを開閉操作する把持用アクチュエータからなることを特徴とする杭の保持装置。
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