JP2007224435A - 有毛布帛と凹凸パターン描出法 - Google Patents

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Abstract

【課題】照射箇所選択装置を使用することなく有毛布帛の表面に凹凸パターンをレーザー光線を照射して描出する。その凹凸パターンの凹部の深さを変えて有毛布帛を立体感に富むものとする。又、レーザー光線を照射して生じる浮出繊維の溶融物を微細にし、その溶融物をレーザー光線の照射後に溶解除去せずに済むようにする。
【解決手段】熱溶融性合成繊維に成る浮出繊維44の構成する毛羽層41に、その浮出繊維44の熱溶融を妨げる第1防融剤を印捺・付与し、その第1防融剤の防融成分の付与されている毛羽層41にレーザー光線を照射し、そのレーザー光線によって、毛羽層41の表面に介在する浮出繊維44の一部を加熱変形させて有毛布帛の表面に凹凸パターンを描出する。第1防融剤は、水と水溶性有機溶剤と界面活性剤の何れかの液体と、水溶性樹脂と水分散性樹脂と粘土質鉱物の何れかを保湿剤とを防融成分として調製する。
【選択図】図1

Description

本発明は、有毛布帛の表面に凹凸パターンを描出する有毛布帛凹凸パターン描出法に関するものである。
熱溶融性繊維に成る毛羽層を部分的に加圧して超音波振動を与え、熱溶融性繊維に成る浮出繊維を加熱溶融して毛羽層に凹凸パターンを描出する超音波凹凸パターン描出法は公知である(例えば、特許文献1,2参照)。熱溶融性繊維に成る有毛布帛にレーザー光線を部分的に照射し、部分的に浮出繊維を加熱溶融して凹部を形成し、もって毛羽層に凹凸パターンを描出するレーザー光線凹凸パターン描出法は公知である(例えば、特許文献3,4,5参照)。布帛表面に捺染パターンと凹凸パターンが同調した複合パターンを描出する有毛布帛凹凸パターン描出法として、有毛布帛の毛羽層に不抜性染料を配合した抜蝕剤を印捺する抜蝕凹凸パターン描出法が知られている(例えば、特許文献6参照)。熱溶融性繊維に成る毛羽層に感光発熱物質を印捺して近赤外線を照射し、その熱溶融性繊維に成る浮出繊維を感光発熱物質を介して加熱溶融し、もって毛羽層に凹凸パターンを描出する近赤外線凹凸パターン描出法は公知である(例えば、特許文献7,8,9参照)。
特公平04−001114号公報(特開昭60−162880) 特公平03−025544号公報(特開昭62−104964) 特開昭59−137564号公報 実公平03−018552号公報(実開平2−57993) 特公昭63−025108号公報(特開昭58−174676) 特公昭61−53478公報(特開昭59−168196) 特公平05−071697号公報(特開昭63−309666) 特開2002−371478号公報 特開2002−201563号公報
超音波凹凸パターン描出法とレーザー光線凹凸パターン描出法では、パターンを構成する絵柄を多彩に色分けすることは出来ず、予め捺染パターンの描出された有毛布帛の絵柄に沿って超音波やレーザー光線を部分的に照射し、その照射箇所の絵柄の浮出繊維を熱溶融させて凹部を形成し得るとしても、超音波やレーザー光線を部分的に照射するための格別な照射箇所選択装置を必要とするし、捺染絵柄に超音波やレーザー光線を正確に同調させることは難しく、仮に、凹部を形成し得たとしても、その凹部に付着した浮出繊維の溶融物を溶解除去するための後処理を必要とする等の困難を伴う。
抜蝕凹凸パターン描出法では、基布と毛羽層の浮出繊維が同質の有毛布帛に適用することは出来ず、仮に、基布を抜蝕剤に侵されない不抜性繊維によって構成するとしても、毛羽層から続いて基布を構成している浮出繊維までも抜蝕除去されるので、凹部に露出する基布が脆弱になると共に、基布の抜蝕された凹部と抜蝕されない凸部との間に繊維密度の疎密差が生じ、凹部において基布が摩耗し易く、強度的に安定した凹凸パターン有毛布帛は得難い。
近赤外線凹凸パターン描出法では、感光発熱物質を配合した感光発熱性捺染糊と染料や顔料等の着色成分を配合した着色捺染糊によって色分けされた絵柄の印捺された毛羽層に近赤外線を照射して捺染パターンと凹凸パターンが同調した複合パターンを描出することが出来るが、感光発熱物質として使用される黒鉛やカーボンブラックが、浮出繊維の溶融物と一体になって凹部に固着して有毛布帛の風合いを損ない、又、美観をも損なう。
このため、超音波凹凸パターン描出法やレーザー光線凹凸パターン描出法における場合と同様に、その凹部に固着した感光発熱物質を浮出繊維の溶融物と一緒に溶解除去するための後処理が必要となる。
そこで、本発明は、照射箇所選択装置を使用することなく有毛布帛の表面に凹凸パターンをレーザー光線を照射して描出することを第1の目的とする。
本発明の第2の目的は、レーザー光線を照射して生じる浮出繊維の溶融物を微細にし、その溶融物をレーザー光線の照射後に溶解除去せずに済むようにすることにある。
本発明の第3の目的は、有毛布帛の表面にレーザー光線によって描出される凹凸パターンの凹部の深さを変え、立体感に富む有毛布帛を得ることにある。
本発明の第4の目的は、有毛布帛の表面に捺染パターンに同調した凹凸パターンをレーザー光線によって描出することにある。
本発明の第5の目的は、有毛布帛の表面に捺染パターンと凹凸パターンとの複合パターンを描出することにある。
本発明に係る有毛布帛凹凸パターン描出法は、(1) 熱溶融性合成繊維に成る浮出繊維44の構成する毛羽層41に、その浮出繊維44の熱溶融を妨げる第1防融剤を印捺・付与すること、(2) 水と水溶性有機溶剤と界面活性剤の何れかの液体と、水溶性樹脂と水分散性樹脂と粘土質鉱物の何れかの保湿剤とを防融成分として第1防融剤を調製すること、(3) その防融成分の付与されている毛羽層41にレーザー光線を照射すること、(4) そのレーザー光線によって、毛羽層41の表面に介在する浮出繊維44の一部を加熱変形させることを第1の特徴とする。
本発明に係る有毛布帛凹凸パターン描出法の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、第1防融剤の含有する防融成分と、防融成分の含有量と、第1防融剤の印捺量の何れかを部分的に変えて第1防融剤を毛羽層41に印捺する点にある。
本発明に係る有毛布帛凹凸パターン描出法の第3の特徴は、上記第1および第2の何れかの特徴に加えて、第1防融剤の印捺された印捺部分42と第1防融剤の印捺されない未印捺部分43を含む毛羽層の表面の一部にレーザー光線を照射する点にある。
本発明に係る有毛布帛凹凸パターン描出法の第4の特徴は、上記第1、第2および第3の何れかの特徴に加えて、第1防融剤の印捺されない未印捺部分43に、水と水溶性有機溶剤と界面活性剤の何れかを防融成分とする第2防融剤を付与してレーザー光線を照射する点にある。
本発明に係る凹凸パターン有毛布帛は、(1) 捺染パターンの絵柄(凸部50)の表面において浮出繊維44が最大寸法(P)200μm以下の球状溶融塊51を形成しており、(2) その球状溶融塊51が絵柄(凸部50)の表面に分布していることを第1の特徴とする。
本発明に係る凹凸パターン有毛布帛の第2の特徴は、(1) 捺染パターンの絵柄の形際47aが窪んだ凹部46aとなっており、(2) 浮出繊維44が、その凹部46aの谷底面において、表面凹凸のある最大寸法(Q)400μm以下の顆粒状溶融塊52を形成しており、(3) その顆粒状溶融塊52が凹部46aの谷底面に分布している点にある。
本発明に係る凹凸パターン有毛布帛の第3の特徴は、(1) 捺染パターンの絵柄の形際47・47bが窪んだ凹部46となっており、(2) 浮出繊維44が、その凹部46の谷底面において、有毛布帛の基布45に密着した最大寸法(R)1000μm以下の半球状溶融塊53を形成しており、(3) その半球状溶融塊53が、基布45の組織構造に沿った微細な凹凸48・49を形成しており、(4) その微細な凹部49と凹部49、並びに、凸部48と凸部48の間隔Lが1000μm未満であり、(5) その微細な凹部48と凸部49との凹凸差が、その微細な凹部49と凹部49、並びに、凸部48と凸部48の間隔Lよりも少なく、(6) その半球状溶融塊53の表面に更に微細な凹凸が形成されている点にある。
本発明に係る凹凸パターン有毛布帛の第4の特徴は、(1) 毛羽層に凸部50と深さの異なる凹部46・46aによる凹凸パターンが描出されており、(2) その凸部50の表面と異なる各凹部46・46aの谷底面において浮出繊維44が溶融塊51〜53を形成しており、(3) 最も深い凹部46の谷底面における溶融塊53が、最も浅い凹部46aの谷底面における溶融塊52よりも大きく、(4) 最も浅い凹部46aの谷底面における溶融塊52が、凸部50の表面における溶融塊51よりも大きい点にある。
本発明に係る凹凸パターン有毛布帛の第5の特徴は、上記第1、第2、第3および第4の何れかの特徴に加えて、毛羽層の厚み(H)が2mm以下である点にある。
本発明に係る凹凸パターン有毛布帛の第6の特徴は、上記第1、第2、第3、第4および第5の何れかの特徴に加えて、(1) 毛羽層を構成している浮出繊維44の単繊維繊度が3dtex以下であり、(2) 浮出繊維44の構成する毛羽層41(凸部40)の嵩密度が0.05〜0.15g/cm3 である点にある。
本発明に係る凹凸パターン有毛布帛の第7の特徴は、上記第1、第2、第3、第4、第5および第6の何れかの特徴に加えて、有毛布帛が、基布45を起毛して毛羽層41を形成した起毛布帛である点にある。
本発明によると、照射箇所選択装置を使用することなく有毛布帛の表面にレーザー光線を照射して凹凸パターンを描出することが出来、そのレーザー光線を照射して生じる浮出繊維の溶融物を微細にすることが出来、その溶融物を溶解除去せずに済み、凹凸パターン有毛布帛を効率的に得ることが出来る。
即ち、本発明では、第1防融剤の印捺された毛羽層にレーザー光線を照射するので、第1防融剤の未印捺部分43では、浮出繊維44がレーザー光線に加熱されて熱収縮し、嵩を縮めて毛羽層に凹部46が形成されるが、第1防融剤の印捺された印捺部分42では、レーザー光線が防融剤に遮られて浮出繊維44が熱収縮せず、浮出繊維44が熱収縮している凹部46に相対する凸部50が形成される。
このため、本発明では、レーザー光線を凹部46を形成すべき部分に選択的に照射するための照射箇所選択装置を必要とせず、照射箇所選択装置なしに毛羽層に凹凸パターンを描出することが出来る。
第1防融剤の保湿剤には、レーザー光線を遮る乾燥塗膜を形成することの出来るアラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースソーダー塩(CMC)、ポリアクリル酸ナトリウム、多糖類、澱粉等の水溶性樹脂、天然ラテックス、エマルジョン樹脂等の水分散性樹脂、ベントナイト、カオリン、クレー等の水分散性を有する粘土質鉱物が使用される。
第1防融剤の保湿剤以外の防融成分である液体と第2防融剤の防融成分には、レーザー光線を受けて気化・蒸発し、レーザー光線に加熱される浮出繊維から気化熱を奪って冷却作用をなす水、脂肪酸ナトリウム塩、アルキル硫酸エステルナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の界面活性剤、メタノール、エタノール、イソブチレンアルコール、イソプロピルアルコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、チオグリコール、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ロート油等の水溶性有機溶剤が使用される。
防融成分としての水やアルコール等の液体を主体とする第1防融剤の印捺部分では、その付着量に応じて浮出繊維に冷却作用する度合いが異なり、又、その液体が気化・蒸発・揮発するにつれて冷却作用の度合いが変化する。
これに対し、水溶性樹脂等の乾燥塗膜を形成し得る造膜性物質を主体とする第1防融剤の印捺部分では、その第1防融剤が副資材として含有する水や溶剤等の液体の気化・蒸発・揮発と共に防融効果が変化するとしても、その印捺塗膜が完全に消失することはなく、その印捺塗膜に遮られ、又、その主体である造膜性物質が浮出繊維の形状を保つ保形作用を成すので、レーザー光線による浮出繊維の熱変形が抑えられる。
そのように第1防融剤の防融成分と含有量と印捺量によって防融効果が異なることになるので、第1防融剤の含有する防融成分(造膜性物質と液体)と、その防融成分の含有量と、防融剤の印捺量(塗膜の厚み)の何れかを部分的に変えて第1防融剤を毛羽層41に印捺すると、深さの異なる凹部46a・46が形成されることになる。
そして、造膜性物質を主体とする第1防融剤の多量印捺された部分42aでは、浮出繊維が殆ど熱変形せず、凸部50を形成し、その表面に浮出繊維の溶融物による微細な球状溶融塊51が分布することになる。
このように、本発明によると、表面が僅かに熱変形した凸部50と深さの異なる凹部46a、46とによって起伏変化に富んだ凹凸パターン有毛布帛が得られる。
第1防融剤に染料や顔料等の着色成分を配合するときは、防融剤に保護されて浮出繊維が僅かに溶融した凸部50(42a)と浮出繊維が熱収縮して溶融塊を形成した凹部(46a、46)が色分けされ、又、第1防融剤の印捺形際(47a、47b、47)に凹凸段差が生じるので、多彩な凹凸パターンが描出される。
その場合、在来の捺染布帛と異なり、その絵柄と地柄とは、色彩だけではなく、凹凸差によっても識別されるので、仮令毛羽層が変退色しても捺染パターンが消失することはなく、絵柄の堅牢な凹凸パターン捺染有毛布帛が得られる。
第1防融剤の印捺された印捺部分と第1防融剤の印捺されない未印捺部分を含む毛羽層の表面の一部にレーザー光線を照射すると、未印捺部分には、照射箇所の凹部46と非照射箇所の凸部40とによる凹凸パターンが描出され、一方、印捺部分には、レーザー光線が印捺塗膜に遮られて加熱変形することなく残る凸部50とレーザー光線に加熱されて形成される凹部46とによる凹凸パターンが第1防融剤の印捺パターンに沿って描出される。その場合、第1防融剤に着色成分が配合されているときは、凹凸パターンとは別に、レーザー光線が照射されずに残る凸部40の表面に色分けされた捺染パターン(42a、42b、43)が描出される。
このようにレーザー光線照射箇所選択装置を使用する場合には、凹凸パターンと捺染パターンが複合した複合パターンが描出される。
液体が付着して湿潤状態にある毛羽層では、その液体が浮出繊維の表面に薄い皮膜を形成しており、レーザー光線を受けて熱溶融する浮出繊維の溶融物に触れて揮発(蒸発)するとき、その気化熱を奪って溶融物の肥大化を妨げる。
そして、液体は、繊維ポリマーとは異質の物質なので隣合う浮出繊維の溶融物と溶融物の間に剥離剤の如く介在し、それらの溶融物同士が触れ合って肥大化するのを妨げる。
このため、レーザー光線の照射箇所では浮出繊維が熱溶融しても細かく分かれた溶融塊を形成し、肌身を刺激する程度に大きい溶融塊にはならない。
従って、水やアルコール等の液体を主体とする第1防融剤の印捺部分42bでは、水溶性樹脂等の造膜性物質を主体とする第1防融剤の印捺部分42aに比して浮出繊維が大きい溶融塊52を形成するが、その溶融塊52は、最大寸法(Q)が400μmを超えて大きくなることはなく、それが細かい顆粒状として介在するので、浮出繊維の溶融塊52によって毛羽層41の感触が損なわれない。
従って、第1防融剤の未印捺部分43にレーザー光線を照射して深い凹部46を形成する場合、捺染スクリーンや捺染ロールを用いることなく、第1防融剤の印捺部分42a・42bを含む毛羽層全体に、水やアルコール等の液体に成り、水溶性樹脂等の造膜性物質を含まない第2防融剤を付与するとよい。
そのためには、第1防融剤の印捺に先立って、有毛布帛を第2防融剤に浸漬し、第1防融剤の印捺部分42a・42bを含む毛羽層全体に第2防融剤を付与してもよいし、又、第1防融剤を印捺した後に、第1防融剤の印捺部分42a・42bを含む毛羽層全体に第2防融剤を付与してもよい。
第1防融剤を印捺した後に、毛羽層全体に第2防融剤を付与するためには、第2防融剤を毛羽層の全面にスプレー等によって付与してもよいし、又、有毛布帛の裏面(基布45)に第2防融剤を付与し、裏面(基布45)から毛羽層全体(41)に第2防融剤を滲み出させることも出来る。
第1防融剤を印捺した後に毛羽層全体に第2防融剤を付与する場合、第1防融剤の印捺形際からの滲み出しを回避するために、造膜性物質を主体として第1防融剤を調製し、第1防融剤の印捺塗膜を乾燥または半乾きにして流動性を抑えてから第2防融剤を付与し、乾燥または半乾きにした第1防融剤の印捺塗膜を再び湿潤させてからレーザー光線を照射する。又、第1防融剤の第2防融剤による印捺形際からの滲み出しを回避するためには、ワックス系撥水剤、シリコーン樹脂系撥水剤、弗素樹脂系撥水剤等の撥水剤を第1防融剤に配合しておくとよい。
尚、未印捺部分43を残すことなく数種類の第1防融剤を印捺し、第1防融剤の印捺塗膜によって毛羽層41の全面を被覆することも出来、その場合には第2防融剤は適用されない。
第1防融剤の未印捺部分43にレーザー光線を部分的に照射して凹部46を形成する場合でも、毛羽層の厚み(H)を2mm以下にするときは、浮出繊維が熱溶融し始めるや否や、その隣合う多数の浮出繊維の溶融物が触れ合って大きな溶融塊を形成する暇もなく、浮出繊維が熱収縮して引き寄せられるように基布45に密着し、凹部46の谷底に細かく盛り上がった微細な凸部48を形成することになる。
その場合、毛羽層に着色成分の印捺された絵柄の形際47・47bが窪んだ凹部46となり、浮出繊維の溶融物は、その凹部46の谷底面において基布45に密着した最大寸法(R)1000μm以下の半球状溶融塊53を形成する。その半球状溶融塊53は、基布45の組織構造に沿った微細な凹凸48・49を形成する。その微細な凹部49と凹部49、並びに、凸部48と凸部48の間隔Lは、1000μm未満になる。
その微細な凸部48と凹部49との凹凸差は、微細な凹部49と凹部49、並びに、凸部48と凸部48の間隔Lよりも少なく、その半球状溶融塊53の表面に更に微細な凹凸が形成される。
ところで、モケットやカーペット等の内装材として汎用されている通常の有毛布帛の毛羽層の繊維嵩密度は概して0.1g/cm3 前後である。例えば、ウイルトンカーペットやタフテッドカーペット等の敷物に使用されるパイル層(毛羽層)厚み(パイル長)10mmのパイル布帛の毛羽層の目付けは1000g/m2 前後であり、椅子張地に使用されるパイル層厚みが4mmのモケットの毛羽層の目付けは400g/m2 前後である。
その在来のパイル布帛のパイル繊維(浮出繊維)の比量を1と仮定し、又、パイル層の繊維嵩密度を0.1g/cm3 と仮定し、そのパイル層を形成しているパイル繊維を熱溶融させてフイルムを形成することが出来ると仮定するとき、計算上では、目付け1000g/m2 のパイル層のパイル繊維が形成するフイルムの厚みは1000μm(1mm)になり、目付け400g/m2 のパイル層のパイル繊維が形成するフイルムの厚みは400μm(0.4mm)になることになる。
このことからして明らかなように、本発明において「毛羽層41の厚みが2mm以下」とは、その毛羽層41を熱溶融させて形成し得る計算上のフイルムの厚みが200μm以下になることを意味する。
しかし、実際に毛羽層41を熱溶融させても、その浮出繊維の溶融物が厚みの揃ったフイルムを形成することはなく、その流動性を帯びた熱溶融物に作用する表面張力によって、浮出繊維の溶融物が溶融塊となり、その形成過程における浮出繊維の熱収縮作用によって基布45へと引き付けられるようにして移動する。
浮出繊維の溶融物が、触れ合って肥大化する暇もなく、瞬時にして基布45へと引き付けられるように移動し、最大寸法(R)1000μm以下の半球状溶融塊53となって基布45に融着し、基布45の組織構造に沿った微細な凹凸48・49を凹部46の谷底面に形成するようにするために、毛羽層の厚み(H)を出来るだけ薄くしておくとよい。
又、浮出繊維の溶融物が、基布45に融着して微細な凸部48を凹部46の谷底面に形成すると共に、その微細な凸部48の表面に更に微細な凹凸が形成されるようにするためには、浮出繊維44の単繊維繊度を5dtex以下に、更に好ましくは3dtex以下にしておくとよい。
浮出繊維が熱溶融して基布45に融着した凹部46には、半球状溶融塊53が基布の組織構造に沿って途切れ途切れになった溶融樹脂層、即ち、微細な凹部49と凹部49、並びに、凸部48と凸部48が1000μm未満で概して300μm乃至700μm前後の間隔Lで続き、その微細な凸部48と凹部49との凹凸差が極僅かな溶融樹脂層が形成される。
その凹部46の谷底面の溶融樹脂層には、その微細な凹凸(48・49)に象られて浮き出るように、基布45の組織構造の輪郭に沿った地模様が描出される。
厚みが200μm以下のフイルムの樹脂量に相当する毛羽層41の形成する半球状溶融塊53は、加熱されて厚み200μm以下のフイルムに出来る溶融孔や溶融物を見ても分るように格別大きいものではなく、それが丸味を帯びた微細な半球状曲面の凸部48を形成するので、凹部46の谷底面に描出される地模様は梨地調になる。
微細な凸部48は、なだらかな半球状曲面を成しているので摩擦抵抗が少なく、而も、それが基布内部に続く繊維の一部であり、基布内部に深く根を下しているので、凹部46の谷底面が擦られても脱落することはない。
又、凹部46の谷底面では、途切れ途切れに続く半球状曲面の凸部48に覆われているので、基布45が直接擦られることがない。
そして、毛羽層41に深い凹部46が形成されるとしても、その凹部46は、基布45が変形して形成されたものではなく、毛羽層だけが熱溶融して形成されるものであり、基布自体45は原形を止めている。
従って、毛羽層に凹凸パターンを描出することによって、基布45の形状安定性や引張強度等の物性強度が損なわれることはなく、却って、途切れ途切れに続く半球状曲面の凸部48によって基布が被覆保護されるので、凹部46の谷底面における有毛布帛の耐摩耗性が向上する。
又、本発明によると、浮出繊維の溶融物が、微細な半球状溶融塊53となって基布に融着した梨地調地模様を形成するので、その溶融物を溶解除去するための後仕上処理を必要としない。
有毛布帛としては、フエルト、起毛布帛、シェニール織物、モケット、別珍、コール天等の織パイル布帛、トリコットやダブルラッシェル等の編パイル布帛が適用される。
シェニール織物と織パイル布帛と編パイル布帛は、パイル糸(シェニール織物ではパイルの突き出たシェニール糸)と地糸で構成され、毛羽層はパイル糸によって構成され、パイル糸の一部は地糸と一緒になって基布を構成するが、地糸は毛羽層を構成せず、パイルの根元は地糸に囲まれて基布に係止されている。
このため、シェニール織物と織パイル布帛と編パイル布帛では、毛羽層を構成しているパイル(浮出繊維)が溶融塊を形成するとき、浮出繊維の溶融物は、各パイル毎に纏まった溶融塊を形成し、地糸に囲まれて点在し易く、その結果、その点在する溶融塊と溶融塊の間に基布を構成している地糸が露出し易くなる。
しかし、基布を起毛して毛羽層を形成した起毛布帛では、基布の表面に露出している糸条の一部の繊維が掻き出されて浮出繊維となるので、溶融する浮出繊維がパイルのように纏まった溶融塊を形成し難く、その形成する溶融塊は、パイル布帛のパイルの形成する溶融塊に比して微細なものとなり、又、基布の表面に露出している全ての糸条が固着し、凹部の谷底の表面に緻密な細かく分かれた凹凸皮膜を形成する。
このため、有毛布帛として起毛布帛を使用するときは、凹部46の谷底において凸部48を構成している溶融塊53が微細で掻き取られ難い。
そして、その微細な凸部48と凸部48の間隔Lが500μm未満になり、凹部46の谷底面での肌触りがよくなる。
この点で、本発明を適用する有毛布帛としては起毛布帛を使用することが望ましい。
前記の通り、水やアルコール等の液体を主体とする第1防融剤の印捺部分や第2防融剤の付与された未印捺部分では、浮出繊維の熱溶融は妨げられるが、熱溶融に伴う浮出繊維の熱収縮は然程妨げられず、凹部46aが形成される。
しかし、水溶性樹脂等の造膜性物質を主体とする第1防融剤の印捺部分では、浮出繊維の熱溶融だけではなく、熱収縮も妨げられ、その印捺部分42aでは第1防融剤の印捺塗膜の表面に突き出た浮出繊維の先端部分だけが熱溶融して最大寸法(P)200μm以下の球状溶融塊51を形成し、浮出繊維が熱収縮することなく凸部50を形成するか、又は、極浅い凹部(46a)を形成する。
その結果、僅かに変形した球状溶融塊51の有無による未印捺部分43との外観上の差異によるパターンが描出される。
従って、造膜性物質の含有率の多い第1防融剤と、造膜性物質の含有率の少ない第1防融剤との2種類の第1防融剤を印捺する場合、レーザー光線の非照射箇所(凸部40)には、造膜性物質の含有率の多い第1防融剤の印捺部分42aの色彩と、造膜性物質の含有率の少ない第1防融剤の印捺部分42bの色彩と、第1防融剤の印捺されない未印捺部分43の色彩との3色に色分けされた捺染パターンが描出される。
一方、レーザー光線の照射箇所には、造膜性物質の含有率の多い第1防融剤の印捺塗膜(42a)から突き出た浮出繊維の先端部分が最大寸法(P)200μm以下の球状溶融塊51を形成した凸部50と、造膜性物質の含有率の少ない第1防融剤の印捺塗膜(42b)に妨げられて浮出繊維の溶融物が肥大化することなく400μm以下の顆粒状溶融塊52を形成して窪んだ凹部46aと、レーザー光線を直接浴びる未印捺部分43の浮出繊維が半球状溶融塊53を形成して大きく窪んだ凹部46との3段階に分かれた凹凸パターンが描出される。
そして、浮出繊維の加熱変形の度合いによって変色の程度が異なるとしても、レーザー光線の照射箇所(凸部50と凹部46a・46)とレーザー光線の非照射箇所(凸部40・42a・42b・43)との間には少なからず色差が生じる。
このため、本発明によると、捺染パターンと凹凸パターンが複合し、起伏と色彩が部分的に細かく変化した多彩な有毛布帛が得られる。
織パイル布帛と編パイル布帛の表面層は「毛羽層」とは称されず「パイル層」と称され、その表面層を形成している繊維は「浮出繊維」とは称されず「パイル繊維」或いは「パイル」と称されている。
本発明において、織パイル布帛や編パイル布帛のパイル層を「毛羽層」と称し、又、「パイル繊維」を「浮出繊維」と称するのは、本発明の有毛布帛に含まれるフエルトや起毛布帛、シェニール織物の表面を構成している繊維糸条がパイルとは称されず、フエルトや起毛布帛では「毛羽」或いは「立毛」と称され、シェニール織物では「花糸」と称されているので、織パイル布帛や編パイル布帛の表面層であるパイル層と、フエルトや起毛布帛、シェニール織物の表面層である毛羽や立毛を総称するためである。
しかし、起毛布帛やシェニール織物が外観上モケットやコール天等のパイル布帛に近似しており、それらが時として「パイル布帛」と称されることもあり、又、それらの表面を構成している繊維糸条も「パイル」と称されることもあるので、本発明に言う「毛羽層」を「パイル層」と言い換えることが出来、又、本発明に言う「浮出繊維」を「パイル」と言い換えることも出来る。
本発明において「基布の組織構造」とは、フエルトでは毛羽層の浮出繊維から続くフエルト内部の繊維の絡み合った不織布様の絡合構造、編物を基布として起毛して成る有毛布帛では基布である編物を構成している編糸のニードルループやシンカーループおよび挿入糸の構成する編目、織物を基布として起毛して成る有毛布帛では基布である織物を構成している経糸や緯糸が交絡している織目、パイル織物やパイル編物ではパイルを係止している基布を構成している地糸やパイル糸が交絡している織目や編目を意味する。
浮出繊維には、ナイロン、ビニロン、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維等の熱溶融性合成繊維が使用される。
凹凸パターン有毛布帛の毛羽層41(凸部40・50)の繊維密度(嵩密度)が高(緻密)過ぎると、隣合う浮出繊維の溶融物が触れ合って大きい溶融塊を形成し、その溶融物によって鏝塗りしたかの如く、凹部46の谷底が塗り潰されて基布45の組織構造が露顕せず、谷底に溶融物が固まって有毛布帛の風合いが損なわれる。
そのような不都合を回避するためには、毛羽層(H)を薄くし、又、毛羽層の繊維密度は、0.15g/cm3 以下にするとよい。毛羽層41の繊維密度の下限は、凹部46において浮出繊維44の間から基布45が露顕しない程度に適宜設定されるが、毛羽層41の耐摩耗性の点では0.05g/cm3 以上にするとよい。
これらの点を考慮し、浮出繊維の構成する毛羽層41(凸部40・50)の嵩密度を0.05〜0.15g/cm3 に、好ましくは0.08〜0.12g/cm3 と0.1g/cm3 前後にする。
第1防融剤と第2防融剤には、ポリリン酸アンモニウム、スルフアミン酸アンモニウム、スルフアミン酸グアニジン等の難燃剤を防融成分として配合するとよい。
水溶性樹脂を主材とする捺染糊は、第1防融剤として使用される。
毛羽層への第1防融剤の印捺は、グラビアロール、ロータリー捺染スクリーン、フラット捺染スクリーン、インクジェットノズル等の捺染装置によるほか、手描きによることも出来る。
第1防融剤の印捺された印捺部分42と第1防融剤の印捺されない未印捺部分43を含む毛羽層の表面の一部にレーザー光線を局部的に照射するためには、レーザー光線発振装置から発射されて直進するレーザー光線11を第一鏡面13において反射し、その反射されたレーザー光線19を第二鏡面14において再び反射して毛羽層41の表面に照射することとし、それら第一鏡面13と第二鏡面14を揺動して鏡面(13・14)でのレーザー光線の反射角度(α・β)を変えて布帛表面の所要箇所へのレーザー光線の照射位置21を合わせるとよい。
有毛布帛を経緯何れか一方向に間欠的に移動しつつ、その静止状態において第一鏡面13を揺動して反射角度αを変え、又は、第二鏡面14を揺動して反射角度βを変えて、レーザー光線(20)を有毛布帛の経緯何れか一方に一直線状に走査させて、第1防融剤を印捺した毛羽層41の全面にレーザー光線11を照射することも出来るし、又、第1防融剤を印捺しない未印捺部分43にも凹部46を形成するために局部的にレーザー光線11を照射することも出来る。
第一鏡面13の反射角度αと第二鏡面14の反射角度βの双方を変えるときは、移動させずに固定された状態にある有毛布帛の毛羽層41の全面に、或いは、局部的に毛羽層41にレーザー光線を照射することも出来るし、又、有毛布帛が連続移動中であっても、その有毛布帛の移動速度に第一鏡面13と第二鏡面14の何れか一方の回転速度(α・β)を合わせることによって、有毛布帛を間欠的に移動させる場合と同様に、有毛布帛の全面或いは部分的にレーザー光線11を照射することが出来る。
このため、本発明によると、第1防融剤の印捺された毛羽層41の表面に局部的にレーザー光線11を照射することによって、第1防融剤による捺染パターンとレーザー光線による凹凸が複合した複合パターンを描出することが出来る。
その場合、レーザー光線の照射位置21を合わせるために発振装置や鏡面の位置を移動させないので、毛羽層の表面の所要箇所に所要熱量のレーザー光線を正確に照射し、柄ズレを起こすことなく、所要の位置にレーザー光線によって凹凸パターンを正確に描出することが出来る。
第一鏡面13や第二鏡面14を揺動して毛羽層41に一直線状にレーザー光線を照射するときは、そのレーザー光線20の走査線に沿って浮出繊維の溶融塊51(52・53)が点線のように一直線状に並んで発生し、基布45が織編組織構造を成すものでは、溶融塊53が、織目や編目に沿って並び、その織目や編目の一部を成すが如き観を呈し、基布45が不織布であっても溶融塊53が織目や編目の如き観を呈し、浮出繊維の溶融物との印象を与えず、柄出装置付きパイル織編機によって織編成されたかの如く美しい凹凸パターン有毛布帛が得られる。
凹凸パターンは、模様や図形に限らず、記号や文字であってもよい。
図2は、レーザー光線発振装置を図示し、レーザー光線11は、レーザー発振装置から発射され、焦点補正レンズ12を通って第一鏡面13へと直進し、第一鏡面13と第二鏡面14で反射して布帛表面15に照射される。第一鏡面13の回転中心16は、第一鏡面13の表面に設定され、その第一鏡面の回転中心線上(16)にレーザー光線11が照射される。従って、第一鏡面13が揺動回転しても、第一鏡面上での照射位置17が変わることはない。第二鏡面の回転中心18は、第二鏡面14の表面であり、且つ、第一鏡面13でのレーザー光線の反射光19が照射される位置に設定されている。
第一鏡面の回転中心軸16と第二鏡面の回転中心軸18とは、90度方向を異にするので、レーザー光線の第一鏡面での反射角度が、第一鏡面の揺動回転角度αに応じて変化しても、その第一鏡面でのレーザー光線の反射光19a・19b・19c・19dは常に、第二鏡面の回転中心軸線上18において再反射され、その再反射光20a・20b・20c・20dの布帛表面15での照射位置21a・21b・21cは、第一鏡面の揺動回転角度αの変化に伴って第二鏡面の回転中心軸18に平行する直線Xの上で移動する。
一方、第二鏡面14が揺動回転するとき、第二鏡面での再反射光20a・20a’・20b’は、その回転角度βに応じて方向を変え、布帛表面15での照射位置21a・21a’・21b’は、第一鏡面の回転中心軸16に平行な直線Yの上で移動する。
このため、第一鏡面13と第二鏡面14を揺動回転駆動すると、それらの回転角度(α・β)に応じて、布帛表面15でのレーザー光線の照射位置21を自由に移動することが出来る。このように布帛表面での照射位置21が移動すると、焦点補正レンズ12から照射位置21に到るレーザー光線11の経路の全長が変化する。22は、第一鏡面13の回転角度αの変位量Δαと第二鏡面14の回転角度βの変位量Δβによって、その変化する焦点補正レンズ12から照射位置21(21a・21a’・21b’・21b・21c………)に到るレーザー光線11の経路の全長を算出する距離演算素子であり、その距離演算素子22からの算出情報を受けて焦点補正レンズ12が作動し、レーザー光線の焦点が布帛表面の所要の照射位置21に合わされる。
レーザー光線発振装置から発射されるレーザー光線の光量をレーザー光線発振装置において加減することによって、毛羽層の表面にレーザー光線を局部的に照射することも出来る。
又、第1防融剤の防融成分の相違、防融成分の含有量、および、第1防融剤の印捺量を変えることなく第1防融剤を毛羽層41に印捺し、レーザー光線発振装置から発射されるレーザー光線の光量をレーザー光線発振装置において加減し、レーザー光線の光量を部分的に変えることによって、凹部46a、46の深さを変え、外観変化に富んだ凹凸パターン有毛布帛を得ることも出来る。
4枚筬のトリコット経編機において、84dtex/72Fのポリエステルマルチフィラメント加工糸を第1パイル糸としてフロント筬Lfに通し、56dtex/24Fのポリエステルマルチフィラメント糸を第2パイル糸として第1ミドル筬Lm1に通し、56dtex/24Fのポリエステルマルチフィラメント糸を第1地糸として第2ミドル筬Lm2に通し、56dtex/24Fのポリエステルマルチフィラメント糸を第2地糸としてバック筬Lbに通し、フロント筬Lfを1−0/4−5/1−0/4−5………と操作し、第1ミドル筬Lm1を1−0/4−5/1−0/4−5………と操作し、第2ミドル筬Lm2を1−0/1−2/1−0/1−2………と操作し、バック筬Lbを2−3/1−0/2−3/1−0と操作し、ウェール方向の編密度28目/25.4mm(inch)、コース方向の編密度74目/25.4mm(inch)のトリコット経編パイル布帛を編成し、起毛工程に通して第1パイル糸Pfと第2パイル糸Pmで構成されたシンカーループを起毛し、起毛面にシャリングを施して厚み1.745mmの毛羽層を形成し、染色工程に通して目付け484g/m2 、毛羽層の繊維密度0.11g/cm3 のトリコット経編パイル布帛に仕上げた。
次いで、水溶性樹脂(日華化学株式会社製ニッカガムC−60)65重量部と、分散染料(共進産業株式会社製Disperse Blue SSL−5)1重量部と、水道水34重量部とから成る色素配合第1防融剤を調製し、100メッシュのフラット捺染スクリーンと8φのステンレススキージを用い、色素配合第1防融剤をトリコット経編パイル布帛の毛羽層表面に捺染パターンを印捺する。
次いで、捺染スクリーンの捺染パターンとは別にデジタル画像によって0.5mm間隔で平行に並ぶ直線で描出される凹凸パターンを用意し、CO2レーザー照射装置(coherent社製G−100、出力条件5〜80W、ビーム径0.5mm、ビームスポット移動速度80〜500mm/秒、発振周波数1kHz、焦点距離760mm)から発射されて直進するレーザー光線を第一鏡面において反射し、その反射されたレーザー光線を第二鏡面において再び反射し、第一鏡面と第二鏡面を揺動して布帛表面にレーザー光線を、色素配合糊剤の印捺されたトリコット経編パイル布帛の毛羽層表面に照射し、捺染パターンに従って浮出繊維が熱溶融した凹部を毛羽層表面に形成し、還元洗浄後、ピンテンターに通して乾燥させ、捺染スクリーンの捺染パターンに同期して凸部と凹部が色分けられ、捺染パターンと凹凸パターンが重なり合った凹凸パターン捺染トリコット経編パイル布帛を得た。
この凹凸パターン捺染トリコット経編パイル布帛では、その凹部の谷底の表面において、溶融塊が地糸やパイル糸の構成する組織構造に沿って微細な凹凸を形成し、微細な凹部と凹部並びに凸部と凸部の間隔Lが500μm未満で概して100〜300μmで細かく、凹部と凸部との凹凸差も300μm前後で手触りがよく、恰も溶融塊によって梨地調地模様をプリントしたかの如く、捺染パターンの形際が先鋭な凹凸パターンが描出された。
本発明に係る凹凸パターン有毛布帛の一部分を示す斜視図であり、要部を円で囲んで拡大して図示している。 本発明の実施に使用のレーザー光線発振装置の要部拡大斜視図である。
符号の説明
11:レーザー光線
12:焦点補正レンズ
13:第一鏡面
14:第二鏡面
15:布帛表面
16:回転中心(軸)
17:照射位置
18:回転中心(軸)
19:反射光
20:再反射光
21:照射位置
22:距離演算素子
40:凸部
41:毛羽層
42:印捺部分
43:未印捺部分
44:浮出繊維
45:基布
46:凹部
47:形際
48:微細な凸部
49:微細な凹部
50:凸部
51:球状溶融塊
52:顆粒状溶融塊
53:半球状溶融塊
X・Y:直線
α・β:回転角度

Claims (8)

  1. (1) 熱溶融性合成繊維に成る浮出繊維(44)の構成する毛羽層(41)に、その浮出繊維(44)の熱溶融を妨げる第1防融剤を印捺・付与すること、
    (2) その第1防融剤を、水と水溶性有機溶剤と界面活性剤の何れかの液体と、水溶性樹脂と水分散性樹脂と粘土質鉱物の何れかの保湿剤とを防融成分として調製すること、
    (3) その防融成分の付与されている毛羽層(41)にレーザー光線を照射すること、
    (4) そのレーザー光線によって、毛羽層(41)の表面に介在する浮出繊維(44)の一部を加熱変形させること、を特徴とする有毛布帛凹凸パターン描出法。
  2. 第1防融剤の含有する防融成分と、防融成分の含有量と、第1防融剤の印捺量の何れかを部分的に変えて第1防融剤を毛羽層(41)に印捺する前掲請求項1に記載の有毛布帛凹凸パターン描出法。
  3. 第1防融剤の印捺された印捺部分(42)と第1防融剤の印捺されない未印捺部分(43)を含む毛羽層の表面の一部にレーザー光線を照射する前掲請求項1と2の何れかに記載の有毛布帛凹凸パターン描出法。
  4. 第1防融剤の印捺されない未印捺部分(43)に、水と水溶性有機溶剤と界面活性剤の何れかを防融成分とする第2防融剤を付与してレーザー光線を照射する前掲請求項1と2と3の何れかに記載の有毛布帛凹凸パターン描出法。
  5. (1) 捺染パターンの絵柄(凸部50)の表面において、浮出繊維(44)が最大寸法(P)200μm以下の球状溶融塊(51)を形成しており、
    (2) その球状溶融塊(51が、絵柄(凸部50)の表面に分布していることを特徴とする凹凸パターン有毛布帛。
  6. (1) 捺染パターンの絵柄の形際(47a)が窪んだ凹部(46a)となっており、
    (2) 浮出繊維(44)が、その凹部(46a)の谷底面において、表面凹凸のある最大寸法(Q)400μm以下の顆粒状溶融塊(52)を形成しており、
    (3) その顆粒状溶融塊(52)が凹部(46a)の谷底面に分布していることを特徴とする凹凸パターン有毛布帛。
  7. (1) 捺染パターンの絵柄の形際(47・47b)が窪んだ凹部(46)となっており、
    (2) 浮出繊維(44)が、その凹部(46)の谷底面において、有毛布帛の基布(45)に密着した最大寸法(R)1000μm以下の半球状溶融塊(53)を形成しており、
    (3) その半球状溶融塊(53)が、基布(45)の組織構造に沿った微細な凹凸(48・49)を形成しており、
    (4) その微細な凹部(49)と凹部(49)、並びに、凸部(48)と凸部(48)の間隔(L)が1000μm未満であり、
    (5) その微細な凹部(48)と凸部(49)との凹凸差が、その微細な凹部(49)と凹部(49)、並びに、凸部(48)と凸部(48)の間隔(L)よりも少なく、
    (6) その半球状溶融塊(53)の表面に更に微細な凹凸が形成されていることを特徴とする凹凸パターン有毛布帛。
  8. (1) 毛羽層に凸部(50)と深さの異なる凹部(46・46a)による凹凸パターンが描出されており、
    (2) その凸部(50)の表面と異なる各凹部(46・46a)の谷底面において浮出繊維(44)が溶融塊(51〜53)を形成しており、
    (3) 最も深い凹部(46)の谷底面における溶融塊(53)が、最も浅い凹部(46a)の谷底面における溶融塊(52)よりも大きく、
    (4) 最も浅い凹部(46a)の谷底面における溶融塊(52)が、凸部(50)の表面における溶融塊(51)よりも大きいことを特徴とする凹凸パターン有毛布帛。
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