JP2007223196A - ライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法及び位置決め装置及びラインヘッド - Google Patents

ライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法及び位置決め装置及びラインヘッド Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、ヘッド位置ずれ量の検出及びヘッド位置の調整を容易になし得るように構成し、これにより従来に比べて著しく調整時間及びこれに要する記録媒体およびインクの消費量を削減するこが可能なライン型のインクジェット記録装置のヘッド位置調整方法及び位置決め装置及びラインヘッドを提供すること。
【解決手段】ヘッドのノズルをカメラで撮像する工程と、前記撮像されたノズルをモニターに表示する工程と、前記撮像されたノズルの目標位置をモニターに表示する工程と、前記モニターに表示されたノズルの位置を前記目標位置に近づけるように前記ヘッド位置を調整する工程とを備えることを特徴とするライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法。
【選択図】図6

Description

本発明は、ライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法及び位置決め装置及びラインヘッドに関する。
インクジェット記録装置における画像形成は、ヘッドのインクの吐出口(ノズル)から液滴を、記録紙に吐出しながらヘッドを記録紙搬送方向と直行する方向に走査(主走査)し、記録紙上に画像を1ライン分記録すると記録紙を副走査方向に所定量搬送し、再び前述と同様にして記録紙上に画像を1ライン分記録し、以下これを繰り返すことにより画像を形成している。
また、他の構成として、ヘッドの吐出口を等間隔ピッチで記録紙のほぼ最大記録幅の長さに配置し、固定のラインヘッドを使用するラインヘッド方式がある。この構成によれば前記ヘッドの走査(主走査)は不要であり、前記走査方向と直交する方向の記録紙の搬送(副走査)のみで画像形成は可能となる。従って、ヘッドの主走査移動が不要な分、高速の記録が行える。
しかしながら、ラインヘッド方式では、長尺(例えば、A3幅。)のものを作ろうとすると、吐出口の加工上のバラツキで、安定した吐出間隔を全吐出口で確保するのは極めて難しい。従って、製造上の歩留まりの都合で、複数のヘッドに分割して繋ぎ合わせるという方法がとられる。この場合、一直線に複数のヘッドを繋ぐ方法、あるいはヘッドの繋ぎ部分では互いに重複させる方法等がある。
このような繋ぎ部分を有する構造のラインヘッドを用いるプリンタでは、スジ状の濃度ムラや白抜き等のない、高画質な画像を記録するためには、ヘッド部材の間の継ぎ目の位置決め精度が重要である。
このため、ヘッドの吐出口の継ぎ目近傍の間隔のズレ量を記録媒体に記録されたテストパターン画像を読み取り素子で読み取り補正するという方法(例えば、特許文献1参照。)がとられている。
特開2002−96462号公報
このように、複数のヘッドを繋いだラインヘッドで印字を行う画像形成装置において、複数のヘッドの理想位置(目標位置)からの位置ずれを補正することは、高品位な画像を得るために必要なことである。ここで、副走査方向の位置ずれの補正は、各ヘッドの印字開始タイミングを電気的に調整することで高精度な調整ができる。
しかしながら、主走査方向(ヘッド配列方向)のヘッドの継ぎ目部分の位置ずれは、各ヘッドを記録装置へ取り付ける際の取り付け具合で決定されるものであり、位置ずれ調整時には、調整用テストパターンを印字し、その結果をもとにして各ヘッドの主走査方向の位置を手で調整し、この作業を位置ずれが一定範囲内になるまで繰り返す、といった手間が必要となる。
このような手動による位置ずれ調整は熟練を要するのみならず、多くの作業時間を要するという欠点がある。そして、このような主走査方向のヘッド位置調整が不十分な場合には、印字画像の品位を低下させるという不都合が生じる。
特に、複数のヘッドを繋いだラインヘッドでは、多数のヘッドの位置調整を行う必要があり、多大な時間を要していた。
また、上記のような従来技術では、マニュアルであれ自動であれ、いずれの場合においても、記録媒体にテストパターンをプリントするため、記録媒体、インク共に無駄にしなければならないといった解決すべき点があった。
本発明の目的は、ヘッド位置ずれ量の検出及びヘッド位置の調整を容易になし得るように構成し、これにより従来に比べて著しく調整時間及びこれに要する記録媒体およびインクの消費量を削減することが可能なライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法及び位置決め装置及びラインヘッドを提供することにある。
本発明の目的は、以下のような構成により達成される。
1.
記録媒体の幅相当の長さに複数のノズルを配置したラインヘッドを有し、前記ノズルから前記記録媒体へ向けてインクを吐出すると共に、前記記録媒体と前記ラインヘッドを副走査方向へ相対的に移動させることにより前記記録媒体上に画像を形成するライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法であって、前記ラインヘッドは、各々複数のノズルが配列された複数のヘッドに分割され、前記複数のヘッドがノズルの配列方向に沿って配列されてなり、
前記ヘッドのノズルをカメラで撮像する工程と、
前記撮像されたノズルをモニターに表示する工程と、
前記撮像されたノズルの目標位置をモニターに表示する工程と、
前記モニターに表示されたノズルの位置を前記目標位置に近づけるように前記ヘッドの位置を調整する工程と、
を備えることを特徴とするライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法。
2.
前記複数のヘッドは、ノズルの配列方向に沿って千鳥状に配列されてなることを特徴とする1に記載のライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法。
3.
前記カメラで撮像するノズルは、前記インクを吐出するノズルであって、ヘッドのノズルの配列方向の両端に位置するノズルであることを特徴とする1又は2に記載のライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法。
4.
前記複数のヘッドは、ヘッド毎にヘッド位置調整機構を有し、該ヘッド位置調整機構により前記ヘッドの位置の調整を行うことを特徴とする1乃至3の何れか1つに記載のライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法。
5.
前記ヘッド位置調整機構は、前記ヘッドを取り付けるヘッド搭載部と、前記ヘッド搭載部の搭載面に対して立てた状態で回転可能に支持され、外周に前記ヘッドに接触する傾斜面を有するネジ支軸を備えることを特徴とする4に記載のライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法。
6.
前記複数のヘッドは、隣接するヘッド間で複数のノズルの一部が重なるように配置されていることを特徴とする1乃至5の何れか1つに記載のライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法。
7.
前記複数のヘッドは、共通の支持基板に取り付けられていることを特徴とする1乃至6の何れか1つに記載のライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法。
8.
前記ノズルの配列方向に関して、前記ヘッドの位置の調整を行うことを特徴とする1乃至7の何れか1つに記載のライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法。
9.
前記副走査方向に対する角度に関して、前記ヘッドの位置の調整を行うことを特徴とする1乃至8の何れか1つに記載のライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法。
10.
記録媒体の幅相当の長さに複数のノズルを配置したラインヘッドを有し、前記ノズルから前記記録媒体へ向けてインクを吐出すると共に、前記記録媒体と前記ラインヘッドを副走査方向へ相対的に移動させることにより前記記録媒体上に画像を形成するライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め装置であって、前記ラインヘッドは、各々複数のノズルが配列された複数のヘッドに分割され、前記複数のヘッドがノズルの配列方向に沿って配列されてなり、
前記ヘッドのノズルを撮像するためのカメラと、
前記カメラにより撮像されたノズルと前記撮像されたノズルの目標位置を表示するためのモニターとを備え、
前記モニターに表示されたノズルの位置を前記目標位置に近づけるように前記ヘッドの位置を調整することを特徴とするライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め装置。
11.
1乃至9のいずれか1つに記載のライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法により位置決めされた複数のヘッドを備えることを特徴とするラインヘッド。
本発明によれば、ヘッド位置ずれ量の検出及びヘッド位置の調整を容易になし得るように構成し、これにより従来に比べて著しく調整時間及びこれに要する記録媒体およびインクの消費量を削減することが可能なライン型のインクジェット記録装置のヘッド位置決め方法及び位置決め装置及びラインヘッドを提供することができる。
以下に本発明に関する実施の形態の例を示すが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明に係るインクジェット記録装置の主要部を示す斜視図である。なお、ライン型のインクジェット記録装置は、ラインヘッドと記録媒体を副走査方向(移動方向)へ相対的に移動させることにより画像記録を行うことができる。ここでは、このラインヘッドと記録媒体の副走査方向の相対移動について、ラインヘッドを固定状とし、記録媒体を副走査方向へ移動させる形態を例に挙げて説明するが、その逆にラインヘッドを副走査方向に移動させてもよい。
なお、本願明細書において、インクとは、記録を行う一般的なインクに限らず、いわゆるインクジェット方式で吐出される液体全般を意味する。また、本願明細書において、記録とは所定の情報を媒体上に記すという意味に限らず、対象物の所定位置にインク(液体)を塗布、吐出することを含む意味である。
例えば、本発明に係るライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法及び位置決め装置及びラインヘッドは、例えば、半導体基板の製造工程において、対象物としての半導体基板の所定位置に導電性ペースト(例えば銀ペースト)を電極パターン形成用液体として吐出するインクジェット記録装置に用いることができる。
また、本発明に係るライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法及び位置決め装置及びラインヘッドは、液晶装置などに用いるカラーフィルタ基板の製造工程において、対象物としての基板上にカラーフィルタを形成するための樹脂を前記液体として吐出するインクジェット記録装置に用いることができる。
さらに、本発明に係るライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法及び位置決め装置及びラインヘッドは、液晶装置用や光通信用のマイクロレンズ基板の製造工程において、対象物としての基板上にマイクロレンズを形成するための樹脂を前記液体として吐出するインクジェット記録装置に用いることができる。
さらにまた、本発明に係るライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法及び位置決め装置及びラインヘッドは、電気光学装置の製造工程において、対象物としての基板上に液晶やエレクトロルミネッセンス発光体などといった電気光学物質を前記液体として吐出するインクジェット記録装置に用いることができる。
ここで、図中、2は、インクジェット記録装置1に設置されたラインヘッドであり、後で詳述するようにフレキシブルケーブル3によって装置本体の制御基板4と接続されている。なお、ラインヘッド2は、記録媒体Pに対向した面を除いて、カバー200により覆われている。その構成の詳細は後述する。また、フルカラーの画像記録を行う場合、例えばYMCKの各色のインクを吐出するためのラインヘッドが各色毎に配置されるが、ここでは、一つのラインヘッド2を備えたものについて説明する。
また、ラインヘッド2は、後述するように複数のヘッド10、10、10、・・・10からなるラインヘッドで、インクジェット記録装置の不図示の枠体にねじ等の固定手段により取り付けられている共通の支持基板20(図2参照)に装着されている。
記録媒体Pは、記録媒体Pを搬送する記録媒体搬送機構5の搬送ローラ対5b、5cに挟持され、また、搬送モータ5aは搬送ローラ対5bの軸に直結されていて、この搬送ローラ対5bを回転駆動することにより、記録媒体Pは図中矢印Xで示す方向に一定速度で搬送される。
ラインヘッド2は、搬送ローラ対5b、5cの間で記録媒体Pの面PSと図示のように対向して設置され、そのノズルの配列方向は、矢印Y方向で示す記録媒体Pの搬送方向と直交する図中矢印Y方向に延びている。
このラインヘッド2には、記録媒体Pの面PSと対向している本図では隠れている面に、Y方向に沿って記録媒体Pの幅相当の長さに多数のノズルが等間隔で配列されている。この多数のノズルより制御基板4からの画像信号に従って記録媒体Pにインクが吐出されることにより、記録媒体Pの矢印X方向の搬送と相俟って記録媒体Pの面PSに画像が形成される。即ち、1回の搬送で所定の画像形成領域の記録処理が完了することにより高速で画像形成がなされる。
なお、ラインヘッド2には不図示の中間タンク306からインク供給管6を通じてインクが供給されるようになっている。
図2は、ラインヘッド2のカバー200をはずした状態での斜視図である。本図では隠れている下側の面に、多数のノズルが配列されている。
カバー200は、開口部200aを有する箱形の形状をしており、ラインヘッド2のノズルを有する面(図2の下面)の反対側からラインヘッド2の全体を覆うようにしてかぶせて、支持基板20に不図示のねじ等の固定手段により固定されている。カバー200の材質としては、アルミニウム等の金属が好ましい。
ラインヘッド2は、複数個のヘッドモジュール100が2段の千鳥状に配置されて、共通の支持基板20に取り付けられている。図示例では6つのヘッドモジュール100が共通の支持基板20に取り付けられて一つのラインヘッド2を構成するものが示されているが、一つのラインヘッド2を構成するヘッドモジュール100の数は特に限定されない。
一つのラインヘッド2を構成する各ヘッドモジュール100を、1枚の共通の支持基板20に対して取り付けるようにすると、各ヘッドモジュール100の取付け面を共通とすることができるため、各ヘッドモジュール100のノズル列の位置精度を容易に確保することができ、好ましい態様である。
また、各ヘッドモジュール100は、ヘッド10がn個(nは1以上の整数)組み合わされて構成されている。特にnを2以上の整数とすることが好ましい。この構成により、より高精細な印字が可能になるとともに、ヘッドモジュール100中に、回復処理だけでは回復不可能なノズル142が発生しても、当該ノズルを有するヘッド10のみを取り外し、これを新しいヘッド10と交換することで正常状態に復帰させることができるため、ヘッドモジュール100全体を取り外して交換することが不要となり、交換のためのコストを大幅に低減できるようになり、安価に信頼性の向上を図ることができる。
図示例では2つ(n=2)のヘッド10が組み合わされて一つのヘッドモジュール100を構成するものが示されているが、一つのヘッドモジュール100を構成するヘッド10の数をnとするとき、nは1以上の整数であれば、特に限定されない。ラインヘッドのコンパクト化を考えると、より好ましくは、nは、6以下の整数である。
さらに、千鳥状に配置させることにより、各段において隣接する各ヘッドモジュール100同士の間隔が大きくとれるため、個々のヘッド10の着脱作業を隣接するヘッドモジュール100に邪魔されずに行うことができ、作業が容易に行えるようになる。また、隣接するヘッドモジュール100間のノズルピッチ調整が容易になる。
ヘッドモジュール100を構成する各ヘッド10は、ノズル側の先端部が共通の支持基板20の取付孔22(図10)に挿入された状態で該支持基板20に取り付けられている。
各ヘッド10は後述するヘッド(ノズル)位置調整機構を有するため、前記取付孔22とヘッド10の間には隙間が生じる。この隙間を設けることにより、ヘッド10をXY平面に沿って移動させることが可能となり、ヘッド位置の調整を行うことができる。この隙間を埋めるため、取付孔22の内側(内周面)には、弾性部材としてのスポンジ状シート321が貼り付けられている。スポンジ状シートとしてはウレタンフォームが好ましい。
微細なノズルからインクを記録媒体に吐出して記録を行うインクジェット記録装置では、記録の際にインクの細かい粒が記録部周辺を浮遊するといういわゆるインクミストが発生し、これが電装基板に付着して電装基板の故障を招くことがある。本実施形態におけるラインヘッド2は、カバー200、共通の支持基板20及びスポンジ状シート321により、ラインへッド2のノズル面以外のほぼ全体が覆われているため、内部の電装基板をインクミストから保護することができ、好ましい態様である。また、スポンジ状シート321により、後述する各ヘッド10のヘッド位置調整のための隙間を設けつつ、インクミストから保護することができ、好ましい態様である。
ICB基板500は、駆動信号発生回路が搭載されており、制御基板4で発生したヘッド10を駆動する各種信号をヘッド10の構成に合わせて信号や電源電圧に変換する基板である。本実施形態において、このような機能を有する基板をICB基板500として以下説明する。
中継基板600はフレキシブルケーブル3により、装置本体の制御基板4と接続されており、制御基板4からの各種制御信号や画像データを受け取り、フレキシブルケーブル(不図示)を介して接続されヘッド10毎に設けられたICB基板500に送る。
各ヘッド10は、後述する2つのヘッド駆動基板146を備えており、2つのヘッド駆動基板146とICB基板500が接続されており、ICB基板500は、中継基板600からの各種制御信号や画像データを受けて、ヘッド10を駆動するための各種信号を生成し、2つのヘッド駆動基板146に分配して転送する。
共通の支持基板20には、千鳥配置された2段のヘッドモジュール100の間の位置に、共通インク流路形成部材301が一体的に設けられており、共通インク流路形成部材301の内部には、共通インク流路が形成されている。共通インク流路の一端にインク供給口304、他端に気泡排出口303がある。
また、共通インク流路において、インク供給口304と気泡排出口303の間には、各ヘッドモジュール100にインクを分岐供給する分岐供給口305が、各ヘッドモジュール100に対応した位置に、その数分だけ(本例では6個)設けられている。
各ヘッドモジュール100を構成する2つのヘッド10には、ヘッド10毎にフレームインク流路155が設けられており、分岐供給口305と2つのフレームインク流路155がインク供給管6で接続されている。
次に、図3、図4を参照しつつ、ヘッド10について説明する。ここで、図3はヘッド10の概略構成を示すノズル位置での側断面図であり、図4はヘッド10の分解斜視図である。
図3に示すように、ヘッド10には、矢印方向Y(図3の紙面表裏方向)に2列に千鳥配列された複数のノズル142からインクを吐出するヘッドチップ141が設けられている。なお、矢印方向Yは、前記記録媒体搬送方向Xと直交している。
ヘッドチップ141は、1枚の基板170の両面に、インクチャネル144となる溝が設けられた圧電材料基板141aとカバー基板141bで構成された第1のインク滴吐出基板と、インクチャネル144となる溝が設けられた圧電材料基板141dとカバー基板141cで構成された第2のインク滴吐出基板をP/2(但し、インク滴吐出基板のノズルピッチをPとする)だけずらして接着され、2つのインク滴吐出基板及び基板170の前端面に亘って、これらを全て覆うように各インクチャネルに対応した位置にノズル142が設けられた1枚のノズルプレート11が接着されている。基板170は必ずしも必要ではなく、2つのインク滴吐出基板を直接、接合しても良い。
本実施形態に係るヘッドチップ141は、複数個の圧力発生手段を並べた2つのインク滴吐出基板同士が互いに貼り付けられ、その前端面に共通のノズルプレート11を接着して構成されているので、小型化を図ることができる。
インク滴吐出基板は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等からなる圧電材料基板141a,141dに多数のインクチャネル144となる溝をY方向に平行に形成した後、溝をカバー基板141b、141cで閉鎖することにより、圧電素子からなる側壁(図3においてインクチャネル144に対して紙面奥側と手前側に存在する)と筒状のインクチャネル144とが交互に並設される。側壁を構成する圧電素子は、側壁の表面に形成された駆動電極に電界を印加することにより、せん断変形するせん断モード型の圧電素子であり、本実施形態における圧力発生手段に相当する。
なお、圧力発生手段としては、せん断モード型以外の圧電素子やサーマルタイプとしても構成されうる。特に圧電素子が好ましく、せん断モード型圧電素子が特に好ましい。
圧電素子の場合、インクチャネルのピッチ、即ち、ノズルピッチを小さくすることが難しいが、本実施形態のようなヘッドチップ141を用いることにより容易にノズルピッチを小さくするとが可能になる。
また、せん断モード型圧電素子の場合、PZT等の圧電材料により形成された隔壁と溝状に凹設されたインクチャネルとを交互に並設したチャネル基板を用いてインクジェットヘッドが構成されるが、入手できる圧電材料基板の大きさに限界があるため、並設可能なインクチャネルの数も自ずと限界があり、ノズル数の多い長尺状に形成することが困難である。本実施形態のように、それぞれ独立したヘッドモジュールを複数個形成し、それらを千鳥状に交互にずらして取り付けることにより、インクチャネルの並設数を増加させて長尺状のインクジェットヘッドを構成することにより容易にラインヘッドを形成できる。
個々のインクチャンネル144は、インク滴吐出基板の前端(図3における左端)から後端(図3における右端)に向けて延びる直線状の細長い溝形状に切削されて、削り残した圧電材料が各インクチャンネル144の間の側壁となっている。また、各インクチャネル144は、インク滴吐出基板の前端から後端側の中途部まで凹設されており、後端側にいくにつれて徐々に浅くなって浅溝部を形成し、ついには消滅する。
本実施形態のヘッド10は、図3に示すように、ヘッドチップ141の両側面にはカバー基板141b、141cに設けられたインク供給口143を有し、ヘッドチップ141の内部に形成されたインクチャネル144を介して、インク供給口143とノズル142とが連続するようになっている。
ヘッドチップ141の両側部には、外部からのインクをヘッドチップ141に導くマニホールド148が接着固定されている。
マニホールド148は、インク供給口143に連通するインク流路148e,148fを内部に有している。
マニホールド148の一端部には、図3に示すように、インク流路148e,148fにインクを導入するためのインク導入口481,…が形成されている。このインク導入口481は、製作工程における内部洗浄の際に洗浄液を注入するための注入口ともなるものである。
インク導入口481には、インク受け部488が連続して設けられている。このインク受け部488は、インクを溜めつつインク導入口481,…に案内するものである。
ヘッドチップ141の下部には、マニホールド148及びヘッドチップ141を保持する保持板151が取り付けられている。
保持板151には開口151aが設けられており、吐出面が露出するようになっている。
また、ヘッドチップ141の上部には、ICB基板500からの制御信号に基づいて、圧電素子からなる隔壁の表面に形成された駆動電極に駆動電圧を印加するヘッド駆動基板146,146が、フレキシブル配線板(図示せず)を介して接続されている。
各ヘッド駆動基板146にはコネクタ461が設けられており、これらコネクタ461には前述のICB基板500が電気的に接続されていて、制御信号及び電力がヘッド駆動基板146に供給されるようになっている。
これらヘッドチップ141、マニホールド148、ヘッド駆動基板146及び保持板151等は、筐体フレーム153に固定されている。
筐体フレーム153には、インク受け部488にインクを供給するフレームインク流路(インク流路)155が設けられていて、このフレームインク流路155には、共通インク流路からのインク供給管6が連結されるようになっている。筐体フレーム153の内部には、ヘッド駆動基板146,146を支持する支持梁156が設けられている。
筐体フレーム153の上部には開口157が設けられていて、ヘッド10の組立後においては、この開口157を介してICB基板500とヘッド駆動基板146とが接続されている。
続いて、ヘッド10の製造方法について説明する。
前述の方法によりヘッドチップ141を作製する。
ヘッドチップ141の両側部にマニホールド148を接着する。
次に、ヘッドチップ141の上部に前記フレキシブル配線基板を介してヘッド駆動基板146,146を接続する。
次に、ヘッドチップ141及びマニホールド148の下端部に保持板51を取り付ける。
次に、一体化されたヘッドチップ141、マニホールド148、保持板51、前記フレキシブル配線基板及びヘッド駆動基板146,146を筐体フレーム153に取り付け、ヘッド10の製造を完了する。
そして、ヘッド駆動基板146,146に設けられたコネクタ461,461に、前記ICB基板500を電気的に接続する。
図5(a)は、ラインヘッド2をノズル42側から見た図である。図5(b)、(c)は、(a)の円内A部を拡大した概略図である。
ラインヘッド2は、前述のように複数個のヘッドモジュール100が千鳥状に配置されている。これら複数のヘッドモジュール100の各々に複数のノズル142が配列されている。
ヘッドモジュール100を構成する2つのヘッド10の各々は、前述のようにP/2ずらした千鳥配置の2列のノズル列を有している。図5(b)、(c)に示すように2つのヘッド10の4列のノズル(各列は、インク滴吐出基板のノズル列に対応する)が、各ノズル列をY方向に、インク滴吐出基板のノズルピッチPの1/4ずれるように配置し、ヘッドモジュール100のノズルピッチ(ノズル間の位相)をP/4として高精細とすることができる。なお、このP/4は極めて小さいため、図5(a)では、ノズル142が見かけ上ずれないで配置されている。
また、千鳥状に配置される各ヘッドモジュール100は、図5(b)に示すように、図示上側のヘッドモジュール100の最右端のノズル142の中心線が、図示下側のヘッドモジュールの最左端のノズル142からノズルピッチP/4だけ離れて図示のように位置するようになっており、以下同様にして共通インク流路を挟んで図示上下の各ヘッドモジュール100のノズル列が配列されている。
これにより、ラインヘッド2全体のノズル列は、該ラインヘッド2のノズルの配列方向に沿って同一のノズルピッチP/4で配列されるようになる。また、図5(c)に示すように共通インク流路を挟んで図示上下の各ヘッドモジュール100における端部の1又は複数のノズル142(本図では、4個のノズル142が重複)同士を互いに重複するように配置させるようにしてもよく、この場合は、各ヘッドモジュール100間でのノズル142の位相を揃えることが容易となる。重複した部分において、片方のノズルを通常の吐出に用い、吐出不良が発生した場合、他方のノズルを吐出不良ノズルの補間のために用いることもでき、好ましい態様である。さらに、重複した部分において、それらのノズル142からは、インク滴を1または数ライン毎に交互に吐出することにより、ヘッドモジュール100間で端部のノズル142から吐出されるインク滴の大きさに差があっても、大小のインク滴が記録媒体の搬送方向に交互に着弾されるため、ヘッドモジュール100間の繋ぎ目での白筋の発生を防止することができ、好ましい態様である。
この処理は、前述の中継基板600が行うようにすることが好ましい。
次に、製品の出荷時やヘッド交換時などに行うヘッド10の位置決め方法について説明する、図6は、本発明に係るラインヘッド2を構成するヘッド10の位置決め装置の構成を示す図である。
複数のヘッド10を有するヘッドモジュール100を千鳥状に並設したラインヘッド2の場合、各ヘッド10は、Y方向(そのノズルの並び方向に沿う位置)位置及びX方向(記録媒体搬送方向)に対する角度θが独立して調整可能であることが好ましい。なお、X方向の位置については、本発明のヘッド位置の調整方法により各ヘッド10の位置の情報を取得し、各ヘッド間の間隔に対応した時間ズレの情報からインクの吐出タイミングなどを調整する電気的手段により所望の位置にインクを着弾させればよい。
図6に示すヘッドの位置決め装置700は、枠体711、ヘッド10が取り付けられた共通の支持基板20を枠体711に固定する固定部材710、ヘッド10の一端のノズルを撮像する顕微鏡が内蔵されたCCDカメラ703、ヘッド10の他端のノズルを撮像する顕微鏡が内蔵されたCCDカメラ704、各CCDカメラからの読み取り情報のデータ処理及びモニター707へのデータ転送を行う画像処理装置706、CCDカメラ703,704をX、Y方向に移動させるXY軸ステージ702、XY軸ステージ702を駆動する駆動モータ709、CCDカメラ704のみをX、Y方向に移動させるマイクロメータ705、各構成を制御する制御手段708、操作入力手段712を有している。
制御手段708は、CPU(中央演算回路)、CPUを動作させるための制御プログラムを記憶しているROM、各種情報等を記憶するRAM、演算ユニット、入出力インターフェイスなどから構成されるコンピューターシステムである。RAMには、ヘッド位置ズレのほとんどない良好な印字が可能な理想状態に各ヘッドが位置決めされたときのXY軸ステージ702の位置がX,Y座標として記憶されている。本例のラインヘッド2では、12個のヘッド10を備えているので、計12個のX,Y座標が記憶されている。
まず、目標位置の設定方法を説明する。目標位置は予め設定しておく。
インクジェット記録装置において、記録媒体の正確な位置にプリントするためには、記録媒体とヘッドの相対位置を調整する必要がある。
まず、基準とする1つのヘッド10について、X方向、Y方向においてヘッド10の基準面を共通の支持基板20の基準面に当接させて固定する。各基準面を高精度に加工することにより、高精度に位置決めを行い、基準とする1つのヘッド10と記録媒体との相対位置を位置決めする。θは、ノズル列の方向である+Y方向が記録媒体の搬送方向+X方向に対して90°になるように設定される。
なお、この基準とするヘッドは、ヘッド10が複数個並んでいる場合は、中央に近いヘッドを選ぶことが好ましい(例えば、本例では、Y方向に6個のヘッドが並んでいるので、端から3番目か4番目のヘッド10を基準ヘッドとする)。このことにより、他のヘッドは、上記基準ヘッドに対して位置決めできるため、位置決め精度が向上する。
そして、このようにして位置決めされた基準とする1つのヘッド10を取り付けた共通の支持基板20をヘッドの位置決め装置700に装着する。そして、CCDカメラ703,704をXY軸ステージ702で移動させて、モニター707の所定位置に表示された十字線をヘッド10の両端のノズルに一致させ(XY軸ステージ702のみでは、一致不可能な場合は、CCDカメラ703について一端のノズル142−1の中心を十字線713の中心に一致させた後、マイクロメータ705によりCCDカメラ704を移動させて他端のノズル142−nの中心を十字線714の中心に一致させる)、この時のXY軸ステージ702のX,Y座標を読み取り、この基準ヘッドの目標位置として、RAMに記憶させる。
なお、ヘッド10の両端のノズルとは、印字に使用するノズル列の両端に位置するノズルを意味し、印字に使用しないダミーノズルは含まれない。
このヘッドを基準として、他の11個のヘッドについて、例えば、図5(b)あるいは(c)に示すようなノズル配列になるように計算によりそれぞれのヘッドについて目標位置におけるXY軸ステージ702のX,Y座標を算出し、RAMに記憶させ、目標位置の設定を終了する。ノズルの配列を変更した場合は、再度、目標位置を設定入力する。
次に、ヘッドの位置決め方法を説明する。
ヘッド10の位置決めを行なうときには、図6に示すように、各ヘッド10をネジ23、ネジ24(図10参照)によって共通の支持基板20に仮留めし、共通の支持基板20を固定部材710によって枠体711に固定する。
ここで、操作入力手段712上で、12個あるヘッド10のうちの調整したいヘッド10を選択して入力すると、制御手段708は、入力されたヘッドに対応するヘッドの目標位置であるXY軸ステージ702のX,Y座標をRAMから読み出し、CCDカメラ703、CCDカメラ704を設置したXY軸ステージ702を駆動モータ709により目標位置に移動させる。この際、X方向においてノズル位置と十字線との位置ズレが生じた場合は、操作入力手段712によりマニュアルで指示し、一致させるようにXY軸ステージ702でCCDカメラ703、CCDカメラ704を移動させる。
そして、ヘッド10の両端のノズル142−1、142−nを、拡大レンズを内蔵したCCDカメラ703、704で拡大し撮像して画像処理装置706を介してモニター707に表示させ、ノズルの位置を観察しながら各ノズルの中心を十字線713、714の中心に一致させるようにヘッド10の位置をヘッド位置調整機構を利用して調整して位置決め作業を行ない、ヘッド10を本固定する。なおヘッド10の位置調整機構についての詳細は後述する。
製品の出荷時は、すべてのヘッドについて同様の作業を繰り返し行う。このとき各ヘッド10は、ヘッド位置ずれがほとんどない理想状態に位置決めされているので、作業終了後、共通支持基板20を位置決め装置700からはずして、インクジェット記録装置1の枠体に取り付ければ良好な印字が可能になる。なお、その後、記録媒体にテストパターンを印字して、ヘッド位置を微調整してもよい。
このように、本実施形態においてヘッド10の位置決めは、ヘッド10のノズルを、顕微鏡で拡大し、カメラで撮像して画像処理装置を介してモニターに表示させ、モニターにてモニター画面上に映し出された調整前のノズルの位置と目標位置とを観察しながらヘッド位置調整機構によって容易かつ正確に行うことができる。また、ヘッド10の両端のノズルをカメラで撮像して調整することにより、特に、θ方向の位置ずれに関してより容易に且つ正確に位置決めを行うことができる。
また、ヘッド10の組立時に高い精度で位置決めを行っているため、インクジェット記録装置1に装着後、テストパターンの印字による調整を行う場合においても、従来に比べて著しく調整時間及びこれに要する記録媒体およびインクの消費量を削減することが可能になるという利点がある。
ここで、本実施形態に係るラインヘッド2を構成する複数のヘッド10は、ヘッド10毎にヘッド位置調整機構を有している。
図7〜図11に基づいて、各ヘッド10に設けられたヘッド(ノズル)位置調整機構を説明する。
ヘッド位置調整機構は、各ヘッド共通であるので、12個のヘッドのうちの1つの調整機構を代表して説明する。
図7は、ヘッド10及びその周辺の平面図であり、図8は、図7の面II−IIに沿った断面の拡大図であり、図9は、図7の面III−IIIに沿った断面の拡大図であり、図10は、ヘッド10及び共通の支持基板20の一部の斜視図である。図11は、図7の面IV−IVに沿った断面の拡大図である。
前述のように、ラインヘッド2には、複数のヘッド10を搭載するヘッド搭載部として共通の支持基板20が設けられており、共通の支持基板20の片面21がヘッド10が搭載される搭載面となる。共通の支持基板20の搭載面21には、矩形状(長方形)に形成された複数の取付孔22(ヘッド数分で、本例では12個)が設けられ、取付孔22には、ヘッド10が隙間(遊び)を持って取り付けられている。この隙間を埋めるため、取付孔22の内側(内周面)には、弾性部材としてのスポンジ状シート321が貼り付けられている。本図では、1つの取付孔22及び1つのヘッド10について示してある。なお、共通の支持基板20は、前述のように位置決め装置700に固定されているものとする。
ここで、共通の支持基板20の搭載面21の法線の向き(共通の支持基板20の搭載面21が指向した向き)を−Z方向と定義し、−Z方向の反対方向を+Z方向と定義し、取付孔22の長手方向の一方を+Y方向と定義し、+Y方向の反対方向を−Y方向と定義し、+Y方向及び+Z方向に直交する一方向を+X方向と定義し、+Y方向及び+Z方向に直交する他方向を−X方向と定義する。以上のように、XYZ方向を定義した場合、記録媒体が搬送される方向が+X方向となり、記録媒体の搬送方向の反対方向が−X方向であり、ノズル142の配列方向がY方向である。
ヘッド10は、+Y方向に沿った長さ及び+Z方向に沿った高さが+X方向に沿った幅よりも長く設けられている。ヘッド10の下面のノズルプレート11には、複数のノズル142が+Y方向に沿って2列に配列されている。ヘッド10は、これらノズル142からインクを吐出するように設けられている。ヘッド10の−X方向に指向した側面12は、ヘッド10の外面としてヘッド10に設けられている。ヘッド10が取付孔22に取り付けられた場合、ヘッド10の側面12は、共通の支持基板20の搭載面21に対して垂直に設けられており、±Z方向及び±Y方向に対して平行に設けられており、更に、±X方向に対して直交する。
次に、ヘッド10を共通の支持基板20に固定する固定構造について説明する。
ヘッド10の側面12において+Z方向及び−Y方向の角部には、共通の支持基板20の搭載面21に平行な板状の固定部13がヘッド10と一体に設けられている。+Z方向に固定部13を見た場合、固定部13の−Y方向側端部には、V字状の切欠き14が形成され、切欠き14の両側面14a,14bもヘッド10の外面としてヘッド10に設けられたものである。切欠き14の両側面14a,14bも共通の支持基板20の搭載面21に対して直交する。
また、固定部13には、±Z方向に貫通した穴15が形成され、この穴15にネジ23が挿入されている。このネジ23は、共通の支持基板20の搭載面21に形成されたネジ穴25に螺合している。穴15の直径は、ネジ23の頭部の直径よりも小さく、ネジ23の軸部(ネジ切られた部分)の直径よりも大きい。そのため、ネジ23を緩めれば、ネジ23が共通の支持基板20のネジ穴25に螺合した状態でも、ネジ23の軸部と穴15との間の遊びの分だけヘッド10をXY平面に沿って移動させることができる。一方、ネジ23を締めれば、ネジ23の頭と共通の支持基板20の搭載面21との間に固定部13が挟持され、ヘッド10を共通の支持基板20に対して固定することができる。
側面12とは反対側の側面16において+Z方向及び+Y方向の角部には、共通の支持基板20の搭載面21に平行な板状の固定部17がヘッド10と一体に設けられている。この固定部17にも、±Z方向に貫通した穴18が形成され、穴18にネジ24が挿入され、そのネジ24は共通の支持基板20の搭載面21に形成されたネジ穴26に螺合している。ネジ24の頭部の直径は穴18の直径よりも大きく、ネジ24の軸部の直径は穴18の直径よりも小さく、ネジ24の軸部と穴18との間に遊びが設けられている。また固定部17は、バネ受け部17Wを備え、バネ受け部17Wが共通の支持基板20に固定された板バネ38に当接することにより、ヘッド10のXY方向の位置が決まる。この当接は、板バネ38が、バネ受け部17Wを押圧する荷重F1の分力F2(−X方向分力),F3(−Y方向分力)によってヘッド10を後述するネジ支軸41、51の各傾斜面45a、45bに対し付勢することによって行われる。
次に、本実施形態のヘッド位置調整機構を適用した実施形態におけるθ方向位置調整機構40について説明する。このθ方向位置調整機構40は、±θ方向に沿ってヘッド10を回動させることによって±θ方向に沿ったヘッド10の角度を調整し、ノズル列の角度を調整するものである。
θ方向位置調整機構40は、ヘッド10の側面12に平行な状態で且つ共通の支持基板20の搭載面21に対して立てた状態でその搭載面21に設けられたネジ支軸41から構成されている。
ネジ支軸41は、雄ネジとしてのネジ山41aを有し、ヘッド10の取付位置よりも−X方向側において共通の支持基板20に設けられた雌ネジ20aと螺合して回転可能に支持されている。このネジ支軸41が共通の支持基板20の搭載面21に対して垂直に設けられており、ネジ支軸41の中心線が±Z方向に平行となっている。ネジ支軸41の外周には、傾斜面45aが形成されている。
この傾斜面45aは、ヘッド10の側面12の角部12aに点接触している。
傾斜面45aの法線がヘッド10の側面12の法線に対して斜交いに交わり、傾斜面45aがヘッド10の側面12に対して傾斜している。更に、傾斜面45aは、共通の支持基板20の搭載面21に対して傾斜した状態に形成されており、±Z方向(ネジ支軸41の中心線方向)に対して斜交いに交わる。このように傾斜した傾斜面45aは、共通の支持基板20の搭載面21に向かうにつれてネジ支軸41の中心線までの距離が短くなり、共通の支持基板20の搭載面21から離れるにつれてネジ支軸41の中心線までの距離が長くなるように傾斜している。
なお、本実施形態においては固定部13とネジ支軸41をヘッド10の側面12に、固定部17を反対側の側面16にそれぞれ設けているが、本実施形態において固定部やネジ支軸41を設ける位置は特に制限しない。例えば、図12に示すように、Y軸方向に対向するヘッドの端面400、401の何れか一方に固定部13を、他方に固定部17を設け、固定部17におけるY方向に平行な面の角部にネジ支軸41の傾斜面45aを接触させるようにしてもよい。このような配置にすることにより、X方向におけるヘッド10の実質的な厚みを薄くできるため、ヘッドモジュール内における複数のヘッド10間の間隔を狭めることができ、好ましい態様である。このような配置において、更に、固定部13と固定部17をX方向において少なくとも一部が重なるようにすることがより好ましい。図12におけるヘッド位置調整の機構は、図7と同様なので詳細な説明は省略する。
次に、本実施形態のヘッド位置調整機構を適用した実施形態におけるY方向位置調整機構50について説明する。このY方向位置調整機構50は、±Y方向に沿ってヘッド10を移動させることによって±Y方向に沿ったヘッド10の位置を調整し、ノズル列の位置を調整するものである。
Y方向位置調整機構40は、ヘッド10の側面12に平行な状態で且つ共通の支持基板20の搭載面21に対して立てた状態でその搭載面21に設けられたネジ支軸51から構成されている。
Y方向位置調整機構50は、ヘッド10の面14a,14bに平行な状態で且つ共通の支持基板20の搭載面21に対して立てた状態でその搭載面21に設けられたネジ支軸51から構成されている。
ネジ支軸51は、雄ネジとしてのネジ山51aを有し、ヘッド10の面14a,14bよりも−Y方向側において共通の支持基板20に設けられた雌ネジ20bと螺合して回転可能に支持されている。このネジ支軸51が共通の支持基板20の搭載面21に対して垂直に設けられており、ネジ支軸51の中心線が±Z方向に平行となっている。ネジ支軸51の外周には、傾斜面45bが形成されている。
この傾斜面45bは、ヘッド10の面14a,14bの−Z側の角部に点接触している。
傾斜面45bは、共通の支持基板20の搭載面21に対して傾斜した状態に形成されており、±Z方向(ネジ支軸51の中心線方向)に対して斜交いに交わる。傾斜面45bは、共通の支持基板20の搭載面21に向かうにつれてネジ支軸51の中心線までの距離が短くなり、共通の支持基板20の搭載面21から離れるにつれてネジ支軸51の中心線までの距離が長くなるように傾斜している。傾斜面45bの面も法線がヘッド10の面14aの法線及び面14bの法線に斜交いに交わり、傾斜面45bがヘッド10の面14a,14bに対して傾斜している。
次に、θ方向位置調整機構40及びY方向位置調整機構50を用いて、ヘッド10の位置を調整する方法について説明する。
まず、ユーザがネジ23,24を緩めると、ヘッド10が共通の支持基板20に対して移動可能な仮留め状態になる。
前述のように、モニター707にヘッド両端のノズル142−1、142−nと各々の目標位置の十字線713、714が表示される。
次に、ヘッド両端のノズルの現在の位置と目標位置にずれがある場合は、ユーザがネジ支軸41を回転させてネジ支軸41を共通の支持基板20の搭載面21に近づけると、ヘッド10が傾斜面45aに押されてネジ支軸51を軸とした+θ方向に移動する。
一方、ユーザがネジ支軸41を逆に回転させてネジ支軸41を共通の支持基板20の搭載面21から離すと、ヘッド10を板バネ38の付勢力F2により押されてネジ支軸51を軸とした−θ方向に移動させることができるようになる。そして、ヘッド10を−θ方向に移動させる。
以上のように、ユーザがモニター707を眺めながら、ヘッド両端のノズルの中心を目標位置の十字線の中心に近づけて一致させるべくネジ支軸41を回転させてネジ支軸41を共通の支持ネジ支軸41を回転させることで、ヘッド10の±θ方向に沿った位置を決める。
次に、ユーザがネジ支軸51を一方に回転させてネジ支軸51を共通の支持基板20の搭載面21に近づけると、ヘッド10が傾斜面45bに押されて+Y方向に移動する。
ユーザがネジ支軸51を逆に回転させてネジ支軸51を共通の支持基板20の搭載面21から離すと、ヘッド10を板バネ38の付勢力F3により−Y方向に移動させることができるようになる。そして、ヘッド10を−Y方向に移動させる。
以上のように、ユーザがモニター707を眺めながら、ヘッド両端のノズルの中心を目標位置の十字線の中心に近づけて一致させるべくネジ支軸51を回転させることで、ヘッド10の±Y方向に沿った位置を決める。
ヘッド10の両端のノズルの中心を各々の目標位置の十字線の中心に一致させた状態で±θ方向及び±Y方向の位置を決めたら、ユーザがネジ23,24を締め、ヘッド10を共通の支持基板20に対して固定させる。
ネジ支軸41を更に外径の大きいネジ支軸に交換すれば、ネジ支軸41を用いたヘッド10の位置よりも更に+θ方向側にヘッド10を位置させることができ、ネジ支軸41を更に外径の小さいネジ支軸に交換すれば、ネジ支軸41を用いたヘッド10の位置よりも更に−θ方向側にヘッド10を位置させることができる。同様に、ネジ支軸51も外径の異なるネジ支軸に交換することによって、ネジ支軸51を用いたヘッド10の位置よりも更に±Y方向側にヘッド10を位置させることができる。
以上のように、本実施の形態によれば、千鳥配置された個別のヘッド10は、各々にヘッド位置(ノズル位置)調整機構を有するため、ヘッド10の位置調整が容易になる。ヘッドがヘッド位置(ノズル位置)調整機構を有しない場合は、例えばマイクロメータ付きの調整台等の専用治具を用意する必要がある。
また、傾斜面45a、45bがヘッド10に設けられているのではなく、ネジ支軸に設けられているので、ヘッド10を精度良く設計する必要がなくなる。また、交換部品でないネジ支軸41、51に傾斜面45a、45bが設けられているから、傾斜面45a、45bの寸法誤差を一回確認すれば、ヘッド10の交換の度に寸法誤差を確認する必要がなく、好ましい態様である。
ネジ支軸41,51が円筒状に設けられているため、ネジ支軸41が中心線周りに回転しても、傾斜面45aがヘッド10における側面12の角部12aに接した状態を維持し、ネジ支軸51が中心線周りに回転しても、傾斜面45bがヘッド10の面14a,14bの+Z側の角部の何れにも接触した状態を維持する。
なお、ヘッド位置調整機構は、本実施の形態に限定されることなく、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
本発明に係るインクジェット記録装置の主要部を示す斜視図である。 本発明に係るラインヘッド2のカバーをはずした状態での斜視図である。 本発明に係るラインヘッド2を構成するヘッド10の概略構成を示すノズル位置での側断面図である。 本発明に係るラインヘッド2を構成するヘッド10の分解斜視図である。 本発明に係るラインヘッド2の構成を説明する図であり、(a)はラインヘッド2をノズル側から見た図、(b)、(c)は(a)の円内A部を拡大した図である。 本発明に係るラインヘッド2を構成するヘッド10の位置を調整する装置の構成を示す図である。 本発明に係るラインヘッド2を構成するヘッド10の位置調整機構を説明するためのヘッド10及びその周辺の平面図である。 図7の面II−IIに沿った断面図である。 図7の面III−IIIに沿った断面図である。 ヘッド10及び共通の支持基板20の斜視図である。 図7の面IV−IVに沿った断面図である。 本発明に係るラインヘッド2を構成するヘッド10の位置調整機構の他の実施形態を説明するためのヘッド10及びその周辺の平面図である。
符号の説明
1 インクジェット記録装置
2 ラインヘッド
3 フレキシブルケーブル
4 制御基板
5 記録媒体搬送機構
10 ヘッド
11 共通のノズルプレート
20 共通の支持基板
22 取付孔
100 ヘッドモジュール
141 ヘッドチップ
142 ノズル
700 ヘッド位置調整装置
703、704 CCDカメラ
706 画像処理装置
707 モニター

Claims (11)

  1. 記録媒体の幅相当の長さに複数のノズルを配置したラインヘッドを有し、前記ノズルから前記記録媒体へ向けてインクを吐出すると共に、前記記録媒体と前記ラインヘッドを副走査方向へ相対的に移動させることにより前記記録媒体上に画像を形成するライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法であって、前記ラインヘッドは、各々複数のノズルが配列された複数のヘッドに分割され、前記複数のヘッドがノズルの配列方向に沿って配列されてなり、
    前記ヘッドのノズルをカメラで撮像する工程と、
    前記撮像されたノズルをモニターに表示する工程と、
    前記撮像されたノズルの目標位置をモニターに表示する工程と、
    前記モニターに表示されたノズルの位置を前記目標位置に近づけるように前記ヘッドの位置を調整する工程と、
    を備えることを特徴とするライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法。
  2. 前記複数のヘッドは、ノズルの配列方向に沿って千鳥状に配列されてなることを特徴とする請求項1に記載のライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法。
  3. 前記カメラで撮像するノズルは、前記インクを吐出するノズルであって、ヘッドのノズルの配列方向の両端に位置するノズルであることを特徴とする請求項1又は2に記載のライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法。
  4. 前記複数のヘッドは、ヘッド毎にヘッド位置調整機構を有し、該ヘッド位置調整機構により前記ヘッドの位置の調整を行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法。
  5. 前記ヘッド位置調整機構は、前記ヘッドを取り付けるヘッド搭載部と、前記ヘッド搭載部の搭載面に対して立てた状態で回転可能に支持され、外周に前記ヘッドに接触する傾斜面を有するネジ支軸を備えることを特徴とする請求項4に記載のライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法。
  6. 前記複数のヘッドは、隣接するヘッド間で複数のノズルの一部が重なるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法。
  7. 前記複数のヘッドは、共通の支持基板に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法。
  8. 前記ノズルの配列方向に関して、前記ヘッドの位置の調整を行うことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法。
  9. 前記副走査方向に対する角度に関して、前記ヘッドの位置の調整を行うことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法。
  10. 記録媒体の幅相当の長さに複数のノズルを配置したラインヘッドを有し、前記ノズルから前記記録媒体へ向けてインクを吐出すると共に、前記記録媒体と前記ラインヘッドを副走査方向へ相対的に移動させることにより前記記録媒体上に画像を形成するライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め装置であって、前記ラインヘッドは、各々複数のノズルが配列された複数のヘッドに分割され、前記複数のヘッドがノズルの配列方向に沿って配列されてなり、
    前記ヘッドのノズルを撮像するためのカメラと、
    前記カメラにより撮像されたノズルと前記撮像されたノズルの目標位置を表示するためのモニターとを備え、
    前記モニターに表示されたノズルの位置を前記目標位置に近づけるように前記ヘッドの位置を調整することを特徴とするライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め装置。
  11. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載のライン型のインクジェット記録装置のヘッドの位置決め方法により位置決めされた複数のヘッドを備えることを特徴とするラインヘッド。
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