JP2007222958A - 回転式工作装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】第2工具を軸方向に駆動するための圧縮エアの主軸側への供給を、主軸の回転精度を悪化させることなく、また主軸等への簡単な加工により実現可能な回転式工作装置を提供する。
【解決手段】静圧エア軸受3で支持される主軸4に固定された第1砥石5と、主軸4に軸方向移動可能に装着された第2砥石6と、第2砥石6を突出位置と退避位置との間で移動させる進退駆動機構8とを備え、この進退駆動機構8は、第2砥石6を退避位置側に付勢する退避側付勢機構8aと突出位置側に移動させる突出側駆動機構8bとを備え、突出側駆動機構8bは、主軸4の外周面側に設けられたエア供給口47aと、第2砥石6が突出位置のときに最大となる空間Sbと、エア供給口47aと空間Sbとを連通させるエア供給通路とを備え、エア供給口47aに非接触で圧縮エアを供給することにより第2砥石6を突出位置側に移動させるように構成したものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、主軸の先端側に装着された2種類の工具の一方を他方に対して軸方向に相対移動可能とすることにより、それら2種類の工具を選択的に使用できるように構成された回転式工作装置に関するものである。
例えば、砥石(工具)を回転させてワーク表面を研削加工する平面研削盤(回転式工作装置)を用いた研削工程では、目の粗い粗研用砥石を用いる前研削工程と、目の細かい精研用砥石を用いる仕上げ研削工程など、異なる種類の砥石を用いて複数段階の処理を行う場合がある。このような場合、例えば各工程毎に砥石の交換を行うこととすると、作業効率が低下するばかりでなく、砥石の位置決め精度の影響により加工精度が低下する問題もある。
そこで、そのような問題点を解消すべく、例えば特許文献1に記載された研削盤では、径の異なる2個のカップ型砥石を主軸先端側に同軸となるように装着し、例えば内側の第2砥石(第2工具)を外側の第1砥石(第1工具)に対して軸方向に相対移動可能とすることにより、それら2個の砥石を選択的に用いて研削処理を行うことが可能となっている。
なお、特許文献1に記載された研削盤では、第2砥石を退避側(主軸後端側)に弾性付勢すると共に、第2砥石を使用する際には、第2砥石の主軸後端側の空間に通じる通路に圧縮エアを供給することにより、第2砥石を第1砥石よりも主軸先端側に突出させるようになっている。
特開2001−150307号公報
特許文献1に記載された発明のように、第2砥石の軸方向駆動を圧縮エアにより行う場合には、回転する主軸側の通路に圧縮エアをどのように供給するかが問題となるが、この点については特許文献1に明確な記載はない。
ここで、例えばロータリージョイントを使用してエア供給源側と主軸側とを連結することが考えられるが、一般的なロータリージョイントではメカニカルシールや玉軸受が用いられているため、振動が生じやすく、主軸の回転精度を悪化させる恐れがある。
また、ロータリージョイントは、その構造上主軸の後端側に設けることとなるため、主軸内部にその略全長にわたる通路を形成する必要があり、特に第2砥石の突出側/退避側両方向への駆動に対応して2系統の通路を形成する場合にはその加工が困難であるという問題点もある。
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、可動側の第2工具を軸方向に駆動するための圧縮エアの主軸側への供給を、主軸の回転精度を悪化させることなく行うことができ、またそのようなエア供給機構を主軸等への簡単な加工により実現可能な回転式工作装置を提供することを目的とする。
本発明は、主軸の先端側に固定的に装着された第1工具と、前記主軸の先端側に軸方向移動可能に装着された第2工具と、前記主軸を回転させる回転駆動手段と、前記第2工具を、前記第1工具よりも主軸先端側に突出する突出位置と主軸後端側に退避する退避位置との間で移動させる進退駆動機構とを備えた回転式工作装置において、前記主軸は静圧エア軸受により非接触で回転自在に支持され、前記進退駆動機構は、前記第2工具を前記退避位置側に付勢する退避側付勢機構と、前記第2工具を前記突出位置側に移動させる突出側駆動機構とを備え、該突出側駆動機構は、前記主軸の外周面側に設けられたエア供給口と、前記第2工具又はこれを保持するホルダに対する主軸後端側に形成され且つ前記第2工具が前記突出位置にあるときに最大となる容量可変の突出用シリンダ空間と、前記主軸内に配設され且つ前記エア供給口と前記突出用シリンダ空間とを気密状に連通させるエア供給通路とを備え、前記エア供給口に対して非接触で圧縮エアを供給することにより前記第2工具を前記突出位置側に移動させるように構成されている。
本発明によれば、例えばロータリージョイントを使用する場合のような振動が生じることがなく、主軸4の回転精度を悪化させることなく圧縮エアの主軸4側への供給を行うことができる。
更に、主軸4の中途部分から圧縮エアを供給することが可能であるため、ロータリージョイントを用いる場合に比べてエア供給通路の配置に対する自由度が高く、加工も容易である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1〜図6は本発明を縦軸型の平面研削盤及びその製造方法として具現化した一実施形態を例示している。
図1に示すように、平面研削盤(回転式工作装置)1は、例えば軸を上下方向に向けた状態で図示しない所定の支持手段により支持される略円筒状の本体ケース2と、この本体ケース2に装着された静圧エア軸受3と、本体ケース2内に上下方向に配置され且つ静圧エア軸受3により非接触で回転自在に支持される主軸4と、この主軸4の先端側(本実施形態では下端側)に固定的に装着された第1砥石(第1工具)5と、主軸4の先端側に軸方向移動可能に装着された第2砥石(第2工具)6と、主軸4を回転させるビルトインモータ(回転駆動手段)7と、第2砥石6を、その研削面6aが第1砥石5の研削面5aよりも主軸先端側に突出する「突出位置」と主軸後端側に退避する「退避位置」との間で移動させる進退駆動機構8とを備えている。
主軸4は、その中心軸に沿って断面円形の中心孔9aが全長にわたって設けられた略円筒状で、その軸方向の所定位置、例えば軸方向中央よりも先端側の位置に、その他の部分よりも大径の被支持フランジ部10が例えば一体に形成されている。
主軸4の先端側には、略円盤状の砥石フランジ11が同軸で装着され、ボルト12により着脱自在に固定されている。なお、主軸4と砥石フランジ11との接合部は、Oリング13により気密状にシールされている。
また、砥石フランジ11には、主軸4側の中心孔9aと略同径の中心孔9bが形成されている。これら中心孔9a,9b内には、外径が中心孔9aの内径よりも若干小さく形成された円筒状の先端側通水管14が挿入され、セットボルト14a等の固定手段により主軸4及び砥石フランジ11に着脱自在に固定されている。
この先端側通水管14の外周面と主軸4及び砥石フランジ11の内周面とで挟まれた円筒状の空間は、先端側通水管14の先端側及び後端側に装着されるOリング15a,15bによりその軸方向両端側において気密状にシールされ、軸方向通路16を形成している。
砥石フランジ11は、第1砥石ホルダ17を介して第1砥石5を、第2砥石ホルダ18を介して第2砥石6を夫々支持するもので、その軸方向後端側が主軸4の外周側に大きく張り出すフランジ本体部19、軸方向先端側がそのフランジ本体部19よりも小径の突設部20となっている。
図2,図4等に示すように、第1砥石ホルダ17は、その外径がフランジ本体部19の外径と略等しく、内径が突設部20の外径よりも大きな円環状に形成されており、フランジ本体部19の軸方向先端面19a側にボルト21により着脱自在に装着されている。第1砥石ホルダ17と砥石フランジ11との接合部は、Oリング22により気密状にシールされている。
第1砥石ホルダ17の先端面側には、外周側から所定幅の範囲に第1砥石装着用凹部23が形成されており、この第1砥石装着用凹部23に、リング状に形成されたカップ型砥石よりなる第1砥石5が、研削面5aを軸方向先端側に向けた状態で装着され、ボルト24により着脱自在に固定されている。
また、第1砥石ホルダ17には、その先端面側から軸方向所定幅の範囲に、内周面17aよりも内側に張り出す内鍔部25が一体に設けられている。
第2砥石ホルダ18は、その外径が第1砥石ホルダ17側の内鍔部25の内径と略等しく、内径が突設部20の外径と略等しい円環状に形成されており、第1砥石ホルダ17と突設部20との間に軸方向摺動自在に装着されている。
なお、第2砥石ホルダ18は、回り止め手段26により砥石フランジ11に対する中心軸回りの回転が規制されている。この回り止め手段26は、砥石フランジ11のフランジ本体部19側に1個又は周方向に等ピッチで複数個(例えば2個)設けられ且つ軸方向先端側に向けて突出するガイド部材26aと、第2砥石ホルダ18側にガイド部材26aに対応して設けられ且つガイド部材26aが後側から軸方向摺動自在に嵌合するガイド孔26bとで構成されている。
第2砥石ホルダ18の先端面側には、外周側から所定幅の範囲に第2砥石装着用凹部27が形成されており、この第2砥石装着用凹部27に、第1砥石5よりも小径のリング状に形成されたカップ型砥石よりなる第2砥石6が、研削面6aを先端側に向けた状態で装着され、ボルト28により着脱自在に固定されている。
また、第2砥石ホルダ18には、その後端面側から軸方向所定幅の範囲に、外周面18aよりも外側に張り出す外鍔部29が一体に設けられており、この第2砥石ホルダ18の外鍔部29が第1砥石ホルダ17の内周面17aに、第1砥石ホルダ17の内鍔部25が第2砥石ホルダ18の外周面18aに、夫々摺接している。
そして、第2砥石ホルダ18側の外鍔部29と第1砥石ホルダ17側の内鍔部25との間に形成される退避用シリンダ空間Saは、第2砥石6が退避位置にあるときにその容量が最大となり、第2砥石ホルダ18の後端面18bと砥石フランジ11との間に形成される突出用シリンダ空間Sbは、逆に第2砥石6が突出位置にあるときにその容量が最大となるように構成されている。
なお、第2砥石ホルダ18と砥石フランジ11の突設部20との摺接部、第2砥石ホルダ18側の外鍔部29と第1砥石ホルダ17との摺接部、第1砥石ホルダ17側の内鍔部25と第2砥石ホルダ18との摺接部は、夫々Oリング30a,30b,30cによりシールされており、退避用シリンダ空間Saと突出用シリンダ空間Sbとは個別の気密状空間となっている。
また、第2砥石ホルダ18には、後端部内周側の角部から内周面18c側と後端面18b側との夫々所定幅の範囲に、例えば全周にわたって所定深さの溝部31a,31bが互いに連通状に設けられている。この溝部31a,31bは、砥石フランジ11内に設けられた半径方向通路11aを介して軸方向通路16に接続されており、軸方向通路16側から供給される圧縮エアを突出用シリンダ空間Sb内に誘導するようになっている。
静圧エア軸受3は、主軸4をその軸方向先端側及び後端側において夫々半径方向に支持するラジアル軸受3a,3bと、主軸4を被支持フランジ部10を介して軸方向に支持するアキシャル軸受3c,3dとを備えている。
主軸先端側のラジアル軸受3aとアキシャル軸受3c,3dとは共通の軸受ケース32を介して本体ケース2に固定され(図4)、主軸後端側のラジアル軸受3bは軸受ケース33(図5)を介して本体ケース2に固定されている。
図4に示すように、軸受ケース32は、被支持フランジ部10の軸方向先端側に配置される略円筒状の先端側ケース32aと、被支持フランジ部10の軸方向後端側に配置される後端側ケース32bとを備えており、それら先端側ケース32aと後端側ケース32bとは、互いに連結した状態で、又は夫々別個に本体ケース2の先端側に装着されている。
ラジアル軸受3aは、多孔質グラファイトにより内周面側を軸受面とする円筒状に形成されており、例えば主軸4における被支持フランジ部10よりも軸方向先端側で且つ砥石フランジ11よりも後端側に、所定距離(例えば5〜30μm程度)の軸受ギャップGaが生じるように遊嵌され、先端側ケース32aの内周面側に固定されている。
また、主軸4、砥石フランジ11及び第1砥石ホルダ17内には、このラジアル軸受3aの軸受ギャップGaと、退避用シリンダ空間Saとを気密状に連通させる連通通路34が配設されている。なお、連通通路34は、退避用シリンダ空間Saの主軸先端側に接続されている。
アキシャル軸受3c,3dは、多孔質グラファイトにより夫々軸方向後端側、先端側を軸受面とする円環状に形成されており、被支持フランジ部10の軸方向先端側及び後端側に夫々の軸受面が所定距離(例えば5〜30μm程度)の軸受ギャップGc,Gdを介して対向するように主軸4に遊嵌され、夫々先端側ケース32aの軸方向後端側、後端側ケース32bの軸方向先端側に固定されている。
なお、先端側ケース32aと後端側ケース32bとの間には、軸方向所定幅のスペーサ32cが装着されており、このスペーサ32cの軸方向寸法に応じて軸受ギャップGc,Gdの大きさが決まるようになっている。
また、各軸受3a,3c,3dの軸受面に対する反対面に沿って、当該軸受3a,3c,3d側と軸受ケース32側との少なくとも一方側に、給気溝35a,35c,35dが全周にわたって設けられており、更に軸受ケース32には、それら各給気溝35a,35c,35dに気密状に連通する給気通路36が形成されている。この給気通路36は、例えば本体ケース2の外面側に設けられた配管用アダプタ37を介して図示しないエア供給源に接続されている。
図2,図5等に示すように、軸受ケース33は略円筒状で、その中心孔33aに主軸4の後端側を挿通させるように本体ケース2内に後端側から嵌入され、本体ケース2の内面側に突設された固定基部38に着脱自在に固定されている。
ラジアル軸受3bは、多孔質グラファイトにより内周面側を軸受面とする円筒状に形成されており、例えば主軸4の後端部近傍に、所定距離(例えば5〜30μm程度)の軸受ギャップGbが生じるように遊嵌され、軸受ケース33の内周面側に固定されている。
また、ラジアル軸受3bの軸受面に対する反対面に沿って、当該ラジアル軸受3b側と軸受ケース33側との少なくとも一方側に、給気溝35bが全周にわたって設けられており、更に軸受ケース33には、一端側がその給気溝35bに気密状に連通し、他端側が軸受ケース33の軸方向後端側に開口する給気通路40が形成されている。
また、軸受ケース33には、円筒状のエア供給部品41が、ラジアル軸受3bの軸方向一方側、例えば先端側に、所定幅の隙間42を挟んで装着、固定されている。このエア供給部品41は、ラジアル軸受3bと同じ多孔質グラファイトにより、ラジアル軸受3bと同径の円筒状に形成されており、これによって主軸4との間にラジアル軸受3bの軸受ギャップと略同じギャップが生じるようになっている。なお、隙間42は、軸受ケース33に設けられた排気通路43を介して外気と連通している。
また、エア供給部品41及び軸受ケース33には、一端側の吸排気口44がエア供給部品41の内周面側に開口し、他端側が軸受ケース33の軸方向後端側に開口する吸排気通路45が形成されている。吸排気口44は、エア供給部品41の外周面上に例えばひとつ設けられている。更に、エア供給部品41の内周面側には、吸排気口44に対応する位置に、周方向の吸排気溝46が全周にわたって設けられている。
なお、主軸4側には、その外周面側に吸排気溝46に対応して設けられたエア供給口47aと、このエア供給口47aと軸方向通路16とを気密状に連通させる半径方向通路47とが、周方向に1個又は等ピッチで複数個(例えば2個)設けられている。
ここで、当該平面研削盤1の製造工程においては、ラジアル軸受3bとエア供給部品41とを、本体ケース2に装着する前の軸受ケース33に装着し、その状態でそれらラジアル軸受3bとエア供給部品41の内周面側を同時に動寸法となるように最終加工した後、軸受ケース33を本体ケース2に装着するようになっている。
これにより、ラジアル軸受3bとエア供給部品41とを同じ内径となるように高精度に加工でき、しかも両者間に中心軸のズレも生じないため、エア供給部品41と主軸4との間のギャップをラジアル軸受3b側の軸受ギャップと一致させることができ、主軸4とエア供給部品41との接触を回避できる。
また、エア供給部品41をラジアル軸受3bと同じ多孔質グラファイトで形成しているため、同時加工が容易で、しかも運転中に主軸4と接触した場合でも焼き付きが生じないという利点もある。
軸受ケース33の軸方向後端側には、主軸4の後端側に配置されたロータリーエンコーダ48を覆うようにカバー部材51が固定されている。このカバー部材51には、軸50が挿通される中心孔51a、軸受ケース33側の給気通路40及び吸排気通路45に夫々接続される軸方向の給気通路52及び吸排気通路53等が設けられている。
また、本体ケース2の軸方向後端部は、蓋部材55により略閉鎖されている。この蓋部材55には、その略中心に、研削部冷却用の冷却水を供給するための後端側通水管56を保持する通水アダプタ57が装着され、またその通水アダプタ57の周辺部に、給気通路52及び吸排気通路53に夫々接続される通気アダプタ59等が装着されている。
なお、後端側通水管56は、その軸方向後端側において通水アダプタ57により保持されると共に、軸方向先端側が、軸50内を経て先端側通水管14の軸方向後端側近傍に臨んでいる。
ビルトインモータ7は、図1に示すように、ロータ支持部材61を介して主軸4の外周側に固定されるロータ62と、ステータ支持部材63を介して本体ケース2の内周側に固定されるステータ64とを備え、例えば軸受ケース32と軸受ケース33との間に配置されている。
進退駆動機構8は、第2砥石6を退避位置側に付勢する退避側付勢機構8aと、第2砥石6を突出位置側に移動させる突出側駆動機構8bとを備えている。退避側付勢機構8aは、第2砥石ホルダ18に対する主軸先端側に形成され且つ第2砥石6が退避位置にあるときに最大となる容量可変の退避用シリンダ空間Sa、ラジアル軸受3aの軸受ギャップGaと退避用シリンダ空間Saとを主軸4、砥石フランジ11及び第1砥石ホルダ17内を介して連通させる連通通路34等により構成されており、連通通路34を介して退避用シリンダ空間Sa内を常時軸受ギャップGaと略同じエア圧に保持することで、第2砥石6を退避位置側に付勢するようになっている。
また、突出側駆動機構8bは、主軸4の外周面側に設けられたエア供給口47a、第2砥石ホルダ18に対する主軸後端側に形成され且つ第2砥石6が突出位置にあるときに最大となる容量可変の突出用シリンダ空間Sb、主軸4内に配設され且つエア供給口47aと突出用シリンダ空間Sbとを気密状に連通させる半径方向通路47,軸方向通路16,半径方向通路11a等よりなるエア供給通路、エア供給口47aに対して非接触で圧縮エアを供給するためのエア供給部品41等を備え、エア供給口47aへの圧縮エアの供給のON/OFFを切り替えることにより、第2砥石6の位置を突出位置と退避位置とに切り替えるようになっている。
即ち、本実施形態では、退避側付勢機構8aにより第2砥石6に常時作用する退避方向の力Faと、突出側駆動機構8b側の圧縮エアの供給をONすることにより第2砥石6に作用する突出方向の力Fbとが、Fa<Fbの関係となるように設定されている。
ここで、Fa=Aa×Pa(但し、Aaは退避用シリンダ空間Sa内における第2砥石ホルダ18の主軸直交面への投影面積、Paは退避用シリンダ空間Sa内のエア圧)、Fb=Ab×Pb(但し、Abは突出用シリンダ空間Sb内における第2砥石ホルダ18の主軸直交面への投影面積、Pbは突出側駆動機構8bによる圧縮エアの供給ON時における突出用シリンダ空間Sb内のエア圧)である。
続いて、平面研削盤1による研削工程における砥石切り替え動作について、図6を参照しつつ簡単に説明する。なお、ここでは第1砥石5が目の粗い粗研用砥石、第2砥石6が目の細かい精研用砥石であるとする。
前研削工程を行う際には、まず静圧エア軸受3により主軸4が非接触支持される。即ち、図示しないエア供給源から、給気通路36及び給気溝35a,35c,35dを介して軸受3a,3c,3dに、給気通路40及び給気溝35bを介して軸受3bに、夫々圧縮エアが供給される。各軸受3a〜3dに供給された圧縮エアは、各軸受3a〜3d内に無数に形成されている多孔質部分を介して主軸4の外周面に供給され、その空気圧によって所定の軸受ギャップGa〜Gdを介して主軸4が非接触支持される。
その状態でビルトインモータ7を作動させることにより主軸4が回転し、その先端側に装着された第1砥石5及び第2砥石6も回転する。
なお、この前研削工程では、突出側駆動機構8bによる圧縮エアの供給をOFFにする。この場合、突出用シリンダ空間Sb内に圧縮エアが供給されないため、図6(a)に示すように、第2砥石ホルダ18が、軸受ギャップGa側から退避用シリンダ空間Sa内に供給される圧縮エアのエア圧によって主軸後端側に押され、第2砥石6は退避位置に保持される。
この状態では、第2砥石6の研削面6aよりも第1砥石5の研削面5aの方が主軸先端側に突出しているため、この第1砥石5によってワーク表面が研削される。
第1砥石5による前研削工程が終了し、次の仕上げ研削工程を行う際には、例えばビルトインモータ7を作動させたままで、突出側駆動機構8bによる圧縮エアの供給をOFFからONに切り替える。これにより、図6(b)に示すように、吸排気通路53,45を介して吸排気口44から吐出された圧縮エアは、吸排気溝46を介して非接触で主軸4側のエア供給口47a側に供給される。このとき、エア供給部品41とラジアル軸受3bとの間には、外気に連通する隙間42が存在するため、吸排気口44から主軸方向に漏れた圧縮エアがラジアル軸受3b側に悪影響を及ぼすことはない。
エア供給口47a側に供給された圧縮エアは、半径方向通路47、軸方向通路16、半径方向通路11a、溝部31a,31bを介して突出用シリンダ空間Sb内に供給される。このとき、退避側付勢機構8aにより第2砥石6に常時作用する退避方向の力Faと、突出側駆動機構8b側の圧縮エアの供給をONすることにより第2砥石6に作用する突出方向の力Fbとの関係はFa<Fbとなり、第2砥石ホルダ18は主軸先端側に移動して、第2砥石6は突出位置に保持される。
この状態では、第2砥石6の研削面6aの方が第1砥石5の研削面5aよりも主軸先端側に突出するため、この第2砥石6によってワーク表面が研削される。
なお、砥石5,6による研削時には、研削部冷却用の冷却水が、通水アダプタ57から後端側通水管56、先端側通水管14を介して砥石フランジ11の軸方向先端側に送られ、更に遠心力により砥石5,6による研削部に供給される。
以上説明したように、本実施形態の平面研削盤1では、主軸4は静圧エア軸受3により非接触で回転自在に支持され、進退駆動機構8は、第2砥石6を退避位置側に付勢する退避側付勢機構8aと、第2砥石6を突出位置側に移動させる突出側駆動機構8bとを備え、突出側駆動機構8bは、主軸4の外周面側に設けられたエア供給口47aと、第2砥石ホルダ18に対する主軸後端側に形成され且つ第2砥石6が突出位置にあるときに最大となる容量可変の突出用シリンダ空間Sbと、主軸4内に配設され且つエア供給口47aと突出用シリンダ空間Sbとを気密状に連通させる半径方向通路47,軸方向通路16,半径方向通路11a等よりなるエア供給通路とを備え、エア供給口47aに対して非接触で圧縮エアを供給することにより第2砥石6を突出位置側に移動させるように構成されているため、例えばロータリージョイントを使用する場合のような振動が生じることがなく、主軸4の回転精度を悪化させることなく圧縮エアの主軸4側への供給を行うことができる。
更に、主軸4の中途部分から圧縮エアを供給することが可能であるため、ロータリージョイントを用いる場合に比べてエア供給通路の配置に対する自由度が高く、加工も容易である。
また、静圧エア軸受3はラジアル軸受3a,3bとアキシャル軸受3c,3dとを備え、突出側駆動機構8bは、ラジアル軸受3bと同じ内径に形成され且つラジアル軸受3bに隣接して同軸に配置されたエア供給部品41を介してエア供給口47aに圧縮エアを供給するように構成されているため、非接触で主軸4側に圧縮空気を供給できると共に、主軸4とエア供給部品41との間のギャップをラジアル軸受3bの軸受ギャップと同等に狭くできるため、エア漏れが少なく効率よく圧縮空気を供給できる利点がある。
ラジアル軸受3bとエア供給部品41とは外部に連通する隙間42を挟んで軸方向に隣接して配置されているため、エア供給部品41側から漏れるエアによるラジアル軸受3bの軸支持力への悪影響を排除できる。
ラジアル軸受3bとエア供給部品41とは同一の軸受ケース33に装着されるようになっており、しかもラジアル軸受3bとエア供給部品41とをその軸受ケース33に装着し、その状態でそれらラジアル軸受3bとエア供給部品41の内周面側を同時に同寸法となるように加工した後、その軸受ケース33を本体ケース2に装着するため、ラジアル軸受3bとエア供給部品41の軸のズレや内径の加工誤差の発生を確実に防止できる。
退避側付勢機構8aは、第2砥石ホルダ18に対する主軸先端側に形成され且つ第2砥石6が退避位置にあるときに最大となる容量可変の退避用シリンダ空間Saと、主軸4内に配設され且つ静圧エア軸受3aの軸受ギャップGaと退避用シリンダ空間Saとを気密状に連通させる連通通路34とを備えているため、部品点数を増加させることなく、最小限の通路を新たに主軸4内に形成するだけで、第2砥石6を退避側に常時付勢することができる。
主軸4の中心軸に沿って中心孔9aが形成され、この中心孔9a内に、研削部冷却用の冷却水を通すための通水管14が挿入され、その通水管14の外周面と中心孔9aの内周面とで挟まれた円筒状の空間をエア供給通路の一部としているため、通路形成のための加工を最小限に抑えることができ、また省スペース化できる利点がある。
以上、本発明の実施形態について例示したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、退避側付勢機構8aを、軸受ギャップGaからの加圧による常時付勢ではなく、突出側駆動機構8bと同様、主軸4の外周面側に設けられたエア供給口と、第2砥石6又はこれを保持する第2砥石ホルダ18に対する主軸先端側に形成され且つ第2砥石6が退避位置にあるときに最大となる容量可変の退避用シリンダ空間Saと、主軸4内に設けられ且つエア供給口と退避用シリンダ空間Saとを気密状に連通させるエア供給通路とを備え、エア供給口に対して非接触で圧縮エアを供給することにより第2砥石6を退避位置側に移動させるように構成し、突出側駆動機構8b側のON/OFF切り替えと退避側付勢機構8a側のOFF/ON切り替えとを対応させるようにしてもよい。
退避側付勢機構8aを実施形態のように構成する場合、他のラジアル軸受3bの軸受ギャップGbやアキシャル軸受3c,3dの軸受ギャップGc,Gdから退避用シリンダ空間Saに圧縮エアを供給するように構成してもよいが、退避用シリンダ空間Saに最も近い軸受3aの軸受ギャップGaを用いることが最も望ましい。
第2砥石6と第1砥石5との配置関係は任意である。例えば、可動側の第2砥石6を固定側の第1砥石5の外側に配置してもよい。
実施形態では多孔質グラファイトよりなる静圧エア軸受3を用いた例を示したが、他種類の静圧エア軸受を用いてもよい。
また、本発明は、第1砥石と第2砥石とを備えた平面研削盤の他、2種類の工具を選択的に使用できるように構成された種々の回転式工作装置にも同様に適用可能であることは言うまでもない。
本発明の一実施形態を示す平面研削盤の中心軸に沿った断面図である。 図1におけるA−A断面図である。 図1におけるB−B断面図である。 図1における下部側の要部拡大図である。 図1における上部側の要部拡大図である。 砥石切り替え動作の説明図である。
符号の説明
1 平面研削盤(回転式工作装置)
3 静圧エア軸受
3a ラジアル軸受
3b ラジアル軸受
3c アキシャル軸受
3d アキシャル軸受
4 主軸
5 第1砥石(第1工具)
6 第2砥石(第2工具)
7 ビルトインモータ(回転駆動手段)
8 進退駆動機構
8a 退避側付勢機構
8b 突出側駆動機構
9a 中心孔
11a 半径方向通路(エア供給通路)
14 先端側通水管(通水管)
16 軸方向通路(エア供給通路)
18 第2砥石ホルダ
33 軸受ケース
34 連通通路
41 エア供給部品
42 隙間
47 半径方向通路(エア供給通路)
47a エア供給口
Sa 退避用シリンダ空間
Sb 突出用シリンダ空間

Claims (7)

  1. 主軸の先端側に固定的に装着された第1工具と、前記主軸の先端側に軸方向移動可能に装着された第2工具と、前記主軸を回転させる回転駆動手段と、前記第2工具を、前記第1工具よりも主軸先端側に突出する突出位置と主軸後端側に退避する退避位置との間で移動させる進退駆動機構とを備えた回転式工作装置において、前記主軸は静圧エア軸受により非接触で回転自在に支持され、前記進退駆動機構は、前記第2工具を前記退避位置側に付勢する退避側付勢機構と、前記第2工具を前記突出位置側に移動させる突出側駆動機構とを備え、該突出側駆動機構は、前記主軸の外周面側に設けられたエア供給口と、前記第2工具又はこれを保持するホルダに対する主軸後端側に形成され且つ前記第2工具が前記突出位置にあるときに最大となる容量可変の突出用シリンダ空間と、前記主軸内に配設され且つ前記エア供給口と前記突出用シリンダ空間とを気密状に連通させるエア供給通路とを備え、前記エア供給口に対して非接触で圧縮エアを供給することにより前記第2工具を前記突出位置側に移動させるように構成されていることを特徴とする回転式工作装置。
  2. 前記静圧エア軸受はラジアル軸受とアキシャル軸受とを備え、前記突出側駆動機構は、前記ラジアル軸受と同じ内径に形成され且つ前記ラジアル軸受に隣接して同軸に配置されたエア供給部品を介して前記エア供給口に圧縮エアを供給するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転式工作装置。
  3. 前記ラジアル軸受と前記エア供給部品とは外部に連通する隙間を挟んで軸方向に隣接して配置されていることを特徴とする請求項2に記載の回転式工作装置。
  4. 前記ラジアル軸受と前記エア供給部品とは同一の軸受ケースに装着されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の回転式工作装置。
  5. 前記退避側付勢機構は、前記第2工具又はこれを保持するホルダに対する主軸先端側に形成され且つ前記第2工具が前記退避位置にあるときに最大となる容量可変の退避用シリンダ空間と、前記主軸内に配設され且つ前記静圧エア軸受の軸受ギャップと前記退避用シリンダ空間とを気密状に連通させる連通通路とを備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の回転式工作装置。
  6. 前記退避側付勢機構は、前記主軸の外周面側に設けられたエア供給口と、前記第2工具又はこれを保持するホルダに対する主軸先端側に形成され且つ前記第2工具が前記退避位置にあるときに最大となる容量可変の退避用シリンダ空間と、前記主軸内に設けられ且つ前記エア供給口と前記退避用シリンダ空間とを気密状に連通させるエア供給通路とを備え、前記エア供給口に対して非接触で圧縮エアを供給することにより前記第2工具を前記退避位置側に移動させるように構成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の回転式工作装置。
  7. 前記主軸の中心軸に沿って中心孔が形成され、該中心孔内に、研削部冷却用の冷却水を通すための通水管が挿入され、その通水管の外周面と前記中心孔の内周面とで挟まれた円筒状の空間が、前記エア供給通路の一部を構成していることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の回転式工作装置。
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