JP2007221845A - 球面超音波モータ - Google Patents

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Abstract

【課題】球体であるロータを複数のステータで保持する球面超音波モータにおいて、複数の自由度を確保しながら小型化、軽量化を実現した球面超音波モータを提供することである。
【解決手段】球状回転子と、圧電体により円環上に進行波を励起するリング状振動子とを備え、前記球状回転子の周りに第1のリング状振動子、第2のリング状振動子と、第3のリング状振動子および第4のリング状振動子を配置して加圧接触させてなる球面超音波モータにおいて、一端に前記第1のリング状振動子を設け且つ他端に前記第2のリング状振動子を設けた第1の枠部材と、一端に前記第3のリング状振動子を設け且つ他端に前記第4のリング状振動子を設けた第2の枠部材とを備え、前記第1の枠部材と前記第2の枠部材とを前記ロータを挟んで交差する向きで設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は球面超音波モータに関し、詳しくはロータとして球体を用いて、複数のステータによってロータを任意の方向に回転させる球面超音波モータに関する。
従来から、磁力を使わずにステータ側の圧電素子の振動により、そのステータに接するロータを動かすことができる超音波モータの開発が進んでいる。
超音波モータではステータの数やロータの形状を工夫することによって様々な用途に用いることができ、たとえばディスク型やリング型のロータがすでによく知られている。また最近では、ロータを球体にした球面超音波モータの開発も進んできている。
この球面超音波モータによれば、複数のステータによって球体であるロータを任意の方向に回転させることができる。
たとえば特許文献1に記載の発明では、3個のステータのそれぞれの円環状表面の全周がロータに接するようにして、この3個のステータによって球体であるロータを3方向から保持し、この3個のステータの回転方向を制御することによってロータを任意の方向に回転させるようにしている。
特開平11−84526号公報
ところが、上述の従来技術には以下のような問題があった。
すなわち特許文献1に記載の発明では、3個のステータの回転方向を様々に変えることによって、ロータの回転方向を制御するようにしているが、ロータの回転方向によっては、複数のステータのうちその回転に寄与しないステータの存在は、ロータの回転に対する摩擦抵抗となってしまい、駆動トルクを減少させてしまうことになるという問題があった。
そこで、ロータの回転に寄与しないステータにおいては、ステータの表面に定在波や任意波形の振動を発生させ、そのステータとロータとの接触面積、接触時間を小さくしてロータの回転に対する摩擦抵抗を小さくすることが考えられる。
しかしながら、このようにした場合であっても、そのステータの表面におけるロータ表面への微細な食い込みが発生し、ロータの回転速度やトルクの減少、ロータ回転の不安定化などの悪影響を招き、根本的な解決に至っていなかった。このため、このような悪影響を除きながらモータの自由度を高めるためには、ステータを多数設ける必要があり、モータが大型化してしまっていた。
本発明は上記の点にかんがみてなされたもので、球体であるロータを複数のステータで保持する球面超音波モータにおいて、複数の自由度を確保しながら小型化、軽量化を実現した球面超音波モータを提供することを目的とする。
本発明は、球状回転子と、圧電体により円環上に進行波を励起するリング状振動子とを備え、前記球状回転子の周りに第1のリング状振動子、第2のリング状振動子、第3のリング状振動子および第4のリング状振動子を配置して加圧接触させてなる球面超音波モータにおいて、一端に前記第1のリング状振動子を設け且つ他端に前記第2のリング状振動子を設けた第1の枠部材と、一端に前記第3のリング状振動子を設け且つ他端に前記第4のリング状振動子を設けた第2の枠部材とを備え、前記第1の枠部材と前記第2の枠部材とを前記ロータを挟んで交差する向きで設けたことを特徴とする。
また本発明は請求項1に記載の発明において、前記球状回転子と前記第1ないし第4リング状振動子との接触圧力分布が一方向に偏るように接触させていることを特徴とする。
また本発明は請求項1に記載の発明において、前記球状回転子と前記第1ないし第4リング状振動子との接触面の摩擦係数を中心より非対称に変化させたことを特徴とする。
また本発明は請求項1、2または3に記載の発明において、前記第1の枠部材および前記第2の枠部材がコの字型であることを特徴とする。
本発明によれば、球体であるロータを複数のステータで保持する球面超音波モータにおいて、複数の自由度を確保しながら小型化、軽量化を実現した球面超音波モータを提供することができる。
また本発明によれば、円環状のステータ表面の一部分のみがロータに接するようにしたので、回転方向に応じた推進力を得られる。
また本発明によれば、両端に第1のステータと第2のステータとを設けた第1の枠部材と、両端に第3のステータと第2のステータとを設けた第2の枠部材とを備え、第1のステータと第2のステータとでロータを挟み込むようにして第1の枠部材をロータに取り付け、第3のステータと第4のステータとでロータを挟み込むようにして第2の枠部材をロータに取り付け、円環状のステータ表面の一部分のみがロータに接する、またはロータとステータとの接触面の摩擦係数を中心より非対称に変化させたので、第1の枠部材と第2の枠部材とで回転中心を同一とした4自由度を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による球面超音波モータの概略を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施の形態による球面超音波モータ1は、球体であるロータ2を、2個のステータ3aおよび3bによって保持して回転させ、さらに2個のステータ6aおよび6bによって保持して回転させる。
ステータ3aのロータ2と接する面には多数の振動片13aが設けられ、ステータ3bのロータ2と接する面には多数の振動片13bが設けられており、この振動片13aおよび13bが振動して進行波を発生し、これによってロータ2が回転させられる。
また、ステータ6aのロータ2と接する面には多数の振動片16aが設けられ、ステータ36bのロータ2と接する面には多数の振動片16bが設けられており、この振動片16aおよび16bが振動して進行波を発生し、これによってロータ2が回転させられる。
ステータ3aはネジなどの止め具4aによってコの字形の枠部材4の一端に固定され、またステータ3bはネジなどの止め具4bによって枠部材4の他端に固定され、ロータ2を適切な強さで押し付けるようにして保持する。
また、ステータ6aはネジなどの止め具7aによってコの字形の枠部材7の一端に固定され、またステータ6bはネジなどの止め具7bによって枠部材7の他端に固定され、ロータ2を適切な強さで押し付けるようにして保持する。
なお、図1に示すように、枠部材4と枠部材7とは、ロータ2を挟んで交差する向きで設けられている。
また、本実施の形態の球面超音波モータ1では、枠部材4側においては枠部材4に固定されてロータ2を押し上げる微少変位発生機構5を備え、枠部材7側においては枠部材7に固定されてロータ2を押し上げる微少変位発生機構8を備えて構成される。
微少変位発生機構5は、本実施の形態においては、シャフト5aと、シャフト5aに設けられたローラ5bと、シャフト5aの一端を固定する支点部5cと、シャフト5aの他端を持ち上げ固定する止めネジ5dとを有して構成される。
微少変位発生機構5と同様に、微少変位発生機構8は、本実施の形態においては、シャフト8aと、シャフト8aに設けられたローラ8bと、シャフト8aの一端を固定する支点部8cと、シャフト8aの他端を持ち上げ固定する止めネジ8dとを有して構成される。
本実施の形態では、この微少変位発生機構5および微少変位発生機構8が、リング状振動子の軸心に対し球状回転子を偏心する方向に押し付ける加圧手段である。
微少変位発生機構は、このような構成のほかにも、ステータの周の部分的にロータに接する強さを偏らせることができるものであればどのようなものでもよく、たとえば圧電素子の伸長する力でロータに接する力を偏らせるものであってもよい。
また、微少変位発生機構を設ける位置も、本実施の形態の微少変位発生機構5のようにステータ3aとステータ3bとの中間の位置や、微少変位発生機構8のようにステータ6aとステータ6bとの中間の位置に限られるものではなく、ロータに接する位置であればどのような位置であってもよい。
図2は、図1に示した球面超音波モータ1を図1の方向IIから見た側面図である。
微少変位発生機構5のシャフト5aはバネ性を有するたとえばアルミ製(樹脂製であっても良い)の棒であり、そのシャフト5aの中ほどにはベアリングを有して摩擦抵抗を低減させたローラ5bが設けられている。
シャフト5aの一端はたとえばピンによって構成される支点部5cにて枠部材4に固定され、この支点部5cを中心にシャフト5aが回転可能に構成されている。止めネジ5dは、シャフト5aの支点部5cとは別の端に設けられ、その端をロータ2側または反対側に移動させることが可能なように設けられている。
止めネジ5dによってシャフト5aの支点部5cとは別の端をロータ2側に移動させると、それにつれてシャフト5aの中ほどのローラ5bがロータ2の当接部分を押しつける。これによって、ロータ2には微少変位が発生し、ロータ2は、図2に示すステータ3aおよび3bの部分Yからは離れ、部分Xにて強く接触するようになる。止めネジ5dは、ローラ5bがロータ2を適切に押しつける位置で固定される。
なお、本実施の形態では、ロータ2がステータ3aおよび3bの部分Yから離れるようにしたが、本発明はこれに限られるものではなく、ステータ3aおよび3bの周の部分的にロータ2に接する強さを偏らせることによって構成することもできる。
図3は、図1に示した球面超音波モータ1を図2の方向IIIから見た側面図である。
微少変位発生機構8は微少変位発生機構5と同様の構造であり、微少変位発生機構8のシャフト8aはバネ性を有するたとえばアルミ製の棒であり、そのシャフト8aの中ほどにはベアリングを有して摩擦抵抗を低減させたローラ8bが設けられている。
シャフト8aの一端はたとえばピンによって構成される支点部8cにて枠部材4に固定され、この支点部8cを中心にシャフト8aが回転可能に構成されている。止めネジ8dは、シャフト8aの支点部8cとは別の端に設けられ、その端をロータ2側または反対側に移動させることが可能なように設けられている。
止めネジ8dによってシャフト8aの支点部8cとは別の端をロータ2側に移動させると、それにつれてシャフト8aの中ほどのローラ8bがロータ2の当接部分を押しつける。止めネジ8dは、ローラ8bがロータ2を適切に押しつける位置で固定される。
図4は、図1に示した球面超音波モータ1を図2の方向IVから見た平面図である。
また図5は、図1に示した球面超音波モータ1を図2の方向Vから見た底面図である。
本実施の形態の超音波モータ1では、微少変位発生機構5を備えてステータのロータ2への接触部分を偏らせるようにしており、これによって、ステータ3aおよび3bを用いて、ステータ3aとステータ3bとに同じ方向の進行波を生じさせることによって、図3に示す矢印Mの方向へロータ2を回転させることもできるし、ステータ3aとステータ3bとに逆方向の進行波を生じさせることによって、図5に示す矢印Pの方向へロータ2を回転させることもできる。
また本実施の形態の超音波モータ1では、微少変位発生機構8を備えてステータのロータ2への接触部分を偏らせるようにしており、これによって、ステータ6aおよび6bを用いて、ステータ6aとステータ6bとに同じ方向の進行波を生じさせることによって、図3に示す矢印Lの方向へロータ2を回転させることもできるし、ステータ6aとステータ6bとに逆方向の進行波を生じさせることによって、図5に示す矢印Qの方向へロータ2を回転させることもできる。
本実施の形態によれば、枠部材4とロータとで2自由度を実現し、また、枠部材7とロータ2とで2自由度を実現したので、ロータ2を仲介して枠部材4と枠部材7とで4自由度を実現することができる。
なお、本実施の形態では、微少変位発生機構5、微少変位発生機構8によってロータ2を押しつけたまま固定するようにし、常時、ロータ2とステータ3aおよび3bとの接触、ロータ2とステータ6aおよび6bとの接触を偏らせるようにしたが、本発明はこれに限らず、必要に応じてロータ2とステータ3aおよび3bとの接触、ロータ2とステータ6aおよび6bとの接触を偏らせるような制御を行ってもよい。
また、ロータ2とステータ3aおよび3bとの接触面、ロータ2とステータ3aおよび3bとの接触面の摩擦係数を中心より非対称に変化させることによって、ロータ2とステータ3aおよび3bとの接触、ロータ2とステータ6aおよび6bとの接触を偏らせるのと同様の効果を発生させるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、1つの枠部材に1つの微少変位発生機構を設けたが、本発明はこれに限らず、1つの枠部材に複数の微少変位発生機構を設けてもよいし、また、微少変位発生機構を設けないで2つの枠部材を交差させて設けるだけでも自由度を高める効果があるし、微少変位発生機構5、8のいずれか一方だけを設けるようにしてもよい。
本発明の一実施の形態による球面超音波モータの概略を示す斜視図である。 図1に示した球面超音波モータ1を図1の方向IIから見た側面図である。 図1に示した球面超音波モータ1を図2の方向IIIから見た側面図である。 図1に示した球面超音波モータ1を図2の方向IVから見た平面図である。 図1に示した球面超音波モータ1を図2の方向Vから見た底面図である。
符号の説明
1 球面超音波モータ
2 ロータ
3a、3b、6a、6b ステータ
13a、13b、16a、16b、 振動片
4、7 枠部材
5、8 微少変位発生機構
5a、8a シャフト
5b、8b ローラ
5c、8c 支点部
5d、8d 止めネジ

Claims (4)

  1. 球状回転子と、圧電体により円環上に進行波を励起するリング状振動子とを備え、前記球状回転子の周りに第1のリング状振動子、第2のリング状振動子、第3のリング状振動子および第4のリング状振動子を配置して加圧接触させてなる球面超音波モータにおいて、
    一端に前記第1のリング状振動子を設け且つ他端に前記第2のリング状振動子を設けた第1の枠部材と、
    一端に前記第3のリング状振動子を設け且つ他端に前記第4のリング状振動子を設けた第2の枠部材と
    を備え、
    前記第1の枠部材と前記第2の枠部材とを前記ロータを挟んで交差する向きで設けたことを特徴とする球面超音波モータ。
  2. 前記球状回転子と前記第1ないし第4リング状振動子との接触圧力分布が一方向に偏るように接触させていることを特徴とする請求項1に記載の球面超音波モータ。
  3. 前記球状回転子と前記第1ないし第4リング状振動子との接触面の摩擦係数を中心より非対称に変化させたことを特徴とする請求項1に記載の球面超音波モータ。
  4. 前記第1の枠部材および前記第2の枠部材がコの字型であることを特徴とする請求項12または3に記載の球面超音波モータ。
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