以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
先ず、本発明を適用した第1の実施の形態として、利用者に対して所定の疾病の罹患可能性を提供する情報処理システムであって、本システムの不正利用、特に塩基配列関連情報の不正使用・収集や意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報の不正提供を検証する第3者チェック機関を有する情報処理システムについて説明する。すなわち、利用者が「物品及び/又はサービスの要求」として、例えば、所定の疾病に関する自分の罹患可能性を教えて欲しいと要求する場合を例示して説明する。特に、本実施の形態においては、塩基配列関連情報の不正使用・収集や意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報の不正提供を認知できる情報処理システムについて説明するが、説明の都合上、簡略化したモデルとして説明する。なお、「物品及び/又はサービス」としては、これに限定されず、例えば、個人(個体)の体質に適合した医薬品、食品及び嗜好品等の物品や、個人(個体)の体質・性質に適合した情報等のサービスを含む意味である。
情報処理システムは、図1に示すように、インターネット等の通信回線網1と、通信回線網1に接続された共用コンピュータ2と、通信回線網1に接続された複数の個人用コンピュータ3と、通信回線網1に接続された第3者チェック機関Cとを備え、通信回線網1を介して共用コンピュータ2と個人用コンピュータ3と第3者チェック機関Cとの間のデータ通信を可能としている。
共用コンピュータ2は、図2に示すように、当該共用コンピュータ2の動作を全て制御するCPU4と、情報及びプログラムの実行指示等を入力できるキーボード及びマウス等の入力装置5と、ディスプレイ装置等の表示装置6と、一時的な情報及び書き換え不可能な情報等が記録されるメモリー7と、各種データを格納しているデータベース8と、これらメモリー7及びデータベース8に対して所定の情報を書き込む記録装置9と、通信回線網1を介して個人用コンピュータ3及び第3者チェック機関Cとの間で情報の送受信を行う送受信装置17とから構成されている。
共用コンピュータ2におけるメモリー7は、それぞれ異なる種類の情報を記録するメモリー部A10及びメモリー部B11と、例えば個人用コンピュータ3や表示装置6に表示させる画像データを記録した画面メモリー12と、本システムを動作させるための処理プログラム13とから構成されている。なお、共用コンピュータ2においては、画面メモリー12及び処理プログラム13等を内部のメモリー7に有さず、通信回線網1を介して共用コンピュータ2と接続された外部記録装置(図示せず)に有するものであってもよい。
共用コンピュータ2におけるデータベース8(記憶装置)は、多型番地、多型パターン及び意味情報が記録されたメインDB14と、メモリー部A10に記録された情報を保存する保管用DB-A15と、メモリー部B11に記録された情報を保存する保管用DB-B16とから構成されている。メインDB14は、図3に示すように、多型番地と、当該多型番地で取りうる複数の多型パターンと、当該複数の多型パターンそれぞれを意味づける意味情報とが関連付けられて記録されている。
また、メインDB14には、複数の多型番地における多型パターンの組合せ(例えば、ハプロタイプ)を意味づける意味情報が記録されていても良い。
ここで、「多型番地(位置情報)」とは、少なくとも、塩基配列における多型が存在する位置を意味する。なお、一般的に多型とは、例えば、いわゆるSNP(single nucleotide polymorphism)、RFLP(restriction fragment length of polymorphism)、VNTR(variable number of tandem repeat)、マイクロサテライト等を含んでいる。しかし、本明細書において使用する「多型」は、これらに限定されず、個体種中1%未満の頻度でしか存在しない塩基及び塩基配列の変化(バリエーション)も含む意味とする。したがって、「多型番地」は、個体種中1%未満の頻度でしか存在しない塩基及び塩基配列の変化を示す、塩基配列における位置も含む意味である。すなわち、「多型番地」とは、数値、文字及び記号等を組み合わせて、多型等を示す位置を表すものである。多型番地は、特に限定されないが、例えば、染色体番号と多型が存在する遺伝子を表す記号と当該遺伝子における多型の存在位置を示す数値との組み合わせにより表記することもできるし、多型が存在する遺伝子を示す記号と当該遺伝子における多型の存在位置を示す数値との組み合わせであってもよい。
また、多型番地は、多型毎に付与される多型固有の表記であっても良い。多型番地として多型固有の表記を使用する場合、多型番地は塩基配列中の位置を直接的には示さないが、多型固有の表記に基づいて間接的に位置を知ることができる。したがって、「多型番地」は、多型固有の表記も含む意味である。
「多型パターン(塩基配列関連情報)」とは、個体間において相違する塩基配列の情報であり、少なくとも、多型における塩基又は塩基配列のパターンを含む意味である。さらに「多型パターン」は、多型に限らず、個体種中1%未満の頻度でしか存在しない塩基及び塩基配列のパターンも含む意味である。例えば、A又はGを取ることが知られている多型番地において、「多型パターン」は、「A」及び「G」のいずれかで表される。
また、「多型パターン」は、相同染色体におけるヘテロ接合体又はホモ接合体を示すものであってもよい。この場合、例えば、A又はGを取ることが知られている多型番地において、「多型パターン」は、「AA」、「GG」及び「AG」のいずれかで表現できる。
さらに、「多型パターン」は、所定の多型番地で取りうるパターンを直接的に表記するものではなく、間接的に表記するものであっても良い。すなわち、「多型パターン」は、例えば、A又はGを取ることが知られている多型番地において「A」を取る場合に「アレル1」とし、「G」を取る場合に「アレル2」と表記してもよい。また、「多型パターン」が上述したように「AA」、「GG」及び「AG」のいずれかで表現できる場合、例えば、「AA」で表現できるときに「α」、「GG」で表現できるときに「β」、「AG」で表現できるときに「γ」と表記してもよい。ところで、本システムにおいては、多型パターンは、暗号化されていても暗号化されていなくても差し支えない。
その他「多型パターン」の表記例としては、多型がマイクロサテライトの場合には「繰り返し数」を表す数値で、多型が挿入、欠失型の場合には「有/無」を表す記号で表記してもよい。また更に、各多型番地における「多型パターン」は、所定の規則や取り決めに従って、例えば、「多型1」、「多型2」、「多型3」と表記されても良い。例えば、各多型番地において、「多型パターン」がとり得る頻度の高い順に、「多型1」、「多型2」、「多型3」と表記できる。この場合、例えば、各多型番地におけるそれぞれの「多型1」は必ずしも同じ内容を表すものではない。すなわち、例えば、ある多型番地の「多型1」は最もとり得る頻度が高い「AA」を表し、別の多型番地「多型1」は最もとり得る頻度が高い「GG」を表すことになる。
ここで、「意味情報」とは、「多型パターン」に関連づけられた情報であり、例えば、薬剤に対する応答性、薬剤に対する副作用、疾患及び障害に対するリスク、体質・性質、体質・性質等に基づく生活習慣アドバイス、タンパク質相互作用など、「多型パターン」の相違に起因する様々な情報を意味する。なお、「意味情報」としては、「多型パターン」の相違に起因する様々な情報を直接表しても良く、また、当該情報を意味する記号などを用いて間接的に表しても良い。「意味情報」は、ゲノム・遺伝子に関する研究が進むことにより種類が増加するとともに訂正が行われる種類の情報であり、常にバージョンアップすることが好ましい。すなわち、「意味情報」は、ゲノム・遺伝子の研究成果を用いてデータベースを更新することによって、蓄積量が増加・減少してより精度の高いものとなる。
なお、直接「多型パターン」には関連づけられていないが「意味情報」から更に導き出される情報は、「意味情報に関連する情報」である。「意味情報」が「疾患に対するリスク」である場合、当該リスクがある一定の水準を超えたときに、例えば特定の「健康診断検査項目」が導き出される。この特定の「健康診断検査項目」が「意味情報に関連する情報」である。
本実施の形態において意味情報は、図3に示すように、少なくとも、所定の「多型番地」及び「多型パターン」に関連づけられた「多型パターンに対する注釈情報」としてメインDB14に記録されている。また、意味情報には、所定の「多型番地」に対応する「多型分類」及び「分類(疾患名)」等が関連づけられている。すなわち、所定の「多型番地」が所定の「多型パターン」である場合、疾患名の種類と当該疾患に対する罹患可能性を示す注釈情報(意味情報)を得ることができる。したがって、例えば、意味情報は、複数の多型番地に対応するそれぞれの多型パターンの組み合わせ(例えば、ハプロタイプ)に対して関連付けることもできる。すなわち、複数の多型番地における多型パターンの組み合わせ毎に、所定の疾患に対する異なる罹患可能性を示す注釈情報(意味情報)を関連付けることができる。この場合、複数の多型番地が所定の多型パターンの組み合わせである場合、所定の疾患に対する罹患可能性を示す注釈情報(意味情報)を得ることができる。
また、意味情報には、所定の基準で決定した「公開レベル」を関連づけることもできる。例えば、「公開レベル」を決定する際の基準としては、意味情報、すなわちここでは「分類(疾患名)」の罹患可能性を公開することによる個人に対する不測の不利益等を考慮して定めることができる。詳細には、共用コンピュータ2において、法律、規則又は自らの行動基準若しくは利用者との契約等に鑑みて、公開することが相応しくない意味情報については、公開しないような「公開レベル」を決定することができる。この場合、本システムでは、公開不可を意味する「公開レベル」に関連付けられた罹患可能性を示す注釈情報については、利用者に対して開示することはない。これにより、利用者に対して不測の不利益となりうる意味情報を与えることや、契約者以外に意味情報が開示されることを防止できる。
また、意味情報には、図3に示すように、意味情報の情報源に関する情報が「情報ソース」として関連付けられている。この「情報ソース」は、意味情報を作成した機関や意味情報を共用コンピュータ2に対して提供した機関といった、意味情報の出所を示している。意味情報に「情報ソース」を関連付けることにより、意味情報の信憑性等を判断することができる。
なお、データベース8において、保管用DB-B16には、例えば、本システムを利用する要求者個人の遺伝情報である塩基配列関連情報といったデータを記録することができる。また、保管用DB-A15には、例えば、本システムを利用する要求者を特定する情報といったデータを記録することができる。このように、保管用DB-A15及び保管用DB-B16に、個人の遺伝情報と個人を特定する情報とを分けて記録することによって、要求者の遺伝情報と、要求者を特定するデータとを関連付け難くなる。
なお、共用コンピュータ2は、データベース8を内部に有するものに限定されず、通信回線網1を介して共用コンピュータ2に接続された外部データベース(図示せず)を有するものであってもよい。また、共用コンピュータ2は、内部に複数のデータベース8を有するものであってもよいし、内部のデータベース8と通信回線網1を介して共用コンピュータ2に接続された外部データベースとを有するものであっても良い。
個人用コンピュータ3は、図4に示すように、当該個人用コンピュータ3の動作を全て制御するCPU20と、情報及びプログラムの実行指示等を入力できるキーボード及びマウス等の入力装置21と、ディスプレイ装置等の表示装置22と、一時的な情報及び書き換え可能な情報等が記録されるメモリー23と、ゲノム関連情報記録媒体24からデータを読み取る読取り装置25と、通信回線網1を介して共用コンピュータ2及び第3者チェック機関Cとの間で情報の送受信を行う送受信装置29とから構成されている。なお、個人用コンピュータ3は、通常のコンピュータに限定されず、例えば、携帯電話、個人携帯端末及びその他の移動体通信機器等、いかなる形態であってもよい。
個人用コンピュータ3におけるメモリー23は、ゲノム関連情報記録媒体24からの情報等を記録するメモリー部26を有し、本情報処理システムを動作させる処理プログラム27が記録されている。
ゲノム関連情報記録媒体24には、個人のゲノム関連情報28が記録されている。ゲノム関連情報記録媒体24としては、例えば、磁気ディスクや磁気カード等の磁気記録媒体、光磁気記録方式や相変化記録方式等を適用した光学式記録媒体、半導体メモリー等を挙げることができる。また、このゲノム関連情報記録媒体24は、カード状、ディスク状、スティック状、テープ状又はドラム状等いかなる形態であってもよい。さらに、このゲノム関連情報記録媒体24は、単一の個人(個体)のゲノム関連情報28を記録したものであってもよいが、複数の個人(個体)に関する複数のゲノム関連情報28を記録したものであってもよい。
ゲノム関連情報記録媒体24に含まれるゲノム関連情報28とは、少なくとも、「多型番地」及び個人(個体)の塩基配列を解析した結果として得られる所定の多型番地における「多型パターン」を意味する。また、ゲノム関連情報28には、既往症、特徴、カルテ情報、健康診断結果といった各種情報を含んでいてもよい。
ゲノム関連情報記録媒体24には、ゲノム関連情報28として、例えば、図5に示すように、データIとしてゲノム関連情報28に固有の個別番号「Gno.」(ジーナンバー)及び生年月日等の個人情報を記録し、データIIとして多型番地及び多型パターンを記録し、データIIIとして既往症を記録し、データIVとして特徴を記録し、データVとしてカルテ情報等を記録する。すなわち、ゲノム関連情報28は、データI、データII、データIII、データIV及びデータVから構成されている。データI及びデータIIには必須の情報が含まれており、データIII、データIV及びデータVには付加的な情報から構成されている。
ゲノム関連情報28においては、塩基配列上の位置に対応する「多型番地」と、当該多型番地における「多型パターン」とをリンクさせて記録している。また、データIIには、所定の多型番地における付加的な情報を「コメント」として、「多型番地」にリンクさせて記録していてもよい。なお、データIIには、所定の個体に関する全塩基配列を記録しても良い。データIIに全塩基配列を記録した場合であっても、データII内に「多型番地」及び「多型パターン」が含まれることとなる。
なお、本発明において、個人用コンピュータ3及びゲノム関連情報記録媒体24は、それぞれ図4及び図5に示したような構成に限定されず、例えば、ゲノム関連情報記録媒体が処理プログラムを有するメモリー部を備え、個人用コンピュータが当該ゲノム関連情報記録媒体を装着して処理プログラムを動作させるような構成であってもよい。この場合、個人用コンピュータは、ゲノム関連情報記録媒体のメモリー部に記録された処理プログラムに従って動作できる。
一方、第3者チェック機関Cは、図6に示すように、メインDB14に格納されている多型番地、多型パターン及び意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を、共用コンピュータ2毎の固有の識別子とともに格納した管理用データベース30(管理用記憶装置)を有している。なお、本システムにおいて複数の共用コンピュータ2が存在する場合、管理用データベース30には、各共用コンピュータ2について識別子、多型番地、多型パターン及び意味情報を格納する。なお、第3者チェック機関Cは、管理用データベース30を内部に有するものに限定されず、通信回線網1を介して接続可能な外部に管理用データベース30を有するものであっても良い。
なお、本システムにおいては、共用コンピュータ2を有する機関に対して、事業を行う前に予め第3者チェック機関CにメインDB14を開示するように義務づけることが好ましい。言い換えると、第3者チェック機関Cは、メインDB14を開示した共用コンピュータ2のなかで、メインDB14を検査した結果、健全な事業を行うに相応しいと判断した共用コンピュータ2についてのみ本システムへの参加権限を与えることが好ましい。なお、メインDB14の検査を第3者チェック機関で行うやり方の他に、検査そのものを、例えば行政機関で行い、検査の結果、事業を行うに相応しいと判断した場合は、メインDB14が第3者チェック機関Cに開示されるやり方であっても良い。
また、共用コンピュータ2が「意味情報に関連する情報」を格納したデータベースを、メインDB14とは別に有する場合には、第3者チェック機関Cに対して当該データベースも開示させるように義務づけることが好ましい。
以上のように構成された情報処理システムにおいては、共用コンピュータ2のメモリー7に記録された処理プログラム13、個人用コンピュータ3のメモリー23に記録された処理プログラム27が例えば、図7及び図8に示すようなフローチャートに従って情報処理動作する。なお、図7及び図8に示すフローチャートにおいて、「(共)」と記載したステップは共用コンピュータ2における処理を意味し、「(個)」と記載したステップは個人用コンピュータ3における処理を意味している。また、本情報処理システムにおいては、第3者チェック機関Cのメモリーに記録された処理プログラムが図9に示すようなフローチャートに従って情報処理動作する。
本情報処理システムは、ゲノム関連情報記録媒体24を所持する各個人が個人用コンピュータ3を用いて通信回線網1を介して共用コンピュータ2にアクセスし、共用コンピュータ2のメインDB14に記録されている意味情報を利用するシステムである。なお、本情報処理システムは、複数人のゲノム関連情報28がそれぞれ記録されたゲノム関連情報記録媒体24を用い、各個人がゲノム関連情報記録媒体24にアクセスするようなシステムであってもよい。
本システムを利用する個人は、例えばゲノム関連情報記録媒体24を保有する者である。本システムを利用する個人(以下、要求者と称する)は、先ず、ステップA1(SA1)で、メモリー23に記録されている処理プログラム27を起動し、個人用コンピュータ3の読取り装置25を駆動してゲノム関連情報記録媒体24にアクセスし、ゲノム関連情報記録媒体24においてデータIとして記録されている「Gno.」を読み出す。読み出した「Gno.」は、メモリー部26に格納する。
次に、ステップA2(SA2)では、処理プログラム27によって表示手段22に表示された画面イメージに基づいて、要求者が提供を受けたい情報、例えば、「大腸がんの罹患可能性」(要求情報)を個人用コンピュータ3に入力するとともに、個人用コンピュータ3から通信回線網1を経由して共用コンピュータ2に「大腸がんの罹患可能性」及び「Gno.」を送信する。或いは、個人用コンピュータ3から通信回線網1を経由して共用コンピュータ2に対して、「大腸がんの罹患可能性」及び「Gno.」を書き込む。
次に、ステップA3(SA3)では、共用コンピュータ2が「大腸がんの罹患可能性」及び「Gno.」を受信する。受信した「大腸がんの罹患可能性」及び「Gno.」は、メモリー部A10に要求情報として格納する。
次に、ステップA4(SA4)では、要求情報を受信すると、メモリー7に記録されている処理プログラム13を起動してメインDB14にアクセスする。なお、この処理プログラム13は、共用コンピュータ2における処理を行うものである。
次に、ステップA5(SA5)では、処理プログラム13に従って、メインDB14に記録されている「分類(疾患名)」を検索し、要求された「大腸がんの罹患可能性」(大腸がん)と一致するものを抽出する。
ステップA6(SA6)では、メインDB14に記録されているデータのなかから「大腸がんの罹患可能性」と一致した「分類(疾患名)」(大腸がん)に関連づけられた「多型番地」を読み出す。読み出した「多型番地」は、メモリー部A10に要求情報に関連づけた位置情報として格納する。すなわち、メモリー部A10には、所定の「Gno.」に対して「大腸がんの罹患可能性」及び「多型番地」が記録されることとなる。
次に、ステップA7(SA7)では、メモリー部A10に記録されている「Gno.」及び「多型番地」と共用コンピュータ2を識別する「識別子」を個人用コンピュータ3に送信するとともに、送信する「多型番地」に対応する「多型パターン」を提出する命令情報を個人用コンピュータ3に送信する。また、このとき、要求情報の種類によっては、必要に応じて既往症や特徴等の付加的な情報の提出を命令してもよい。
次に、ステップA8(SA8)では、共用コンピュータ2から送信された「Gno.」、「多型番地」、「識別子」及び命令情報を受信する。受信した「Gno.」、「多型番地」及び「識別子」は、メモリー部26に記録される。
次に、ステップA9(SA9)では、受信した命令情報に従って、ゲノム関連情報記録媒体24に記録されているデータIIにアクセスする。ステップA10(SA10)では、処理プログラム27に従ってゲノム関連情報記録媒体24に記録されているデータIIを検索し、命令された多型番地の多型パターンを読み出し、多型番地と多型パターンとを関連づけてメモリー部26に記録する。このとき、データIに対してアクセスし、ステップA8で受信した「Gno.」が正しいか否かを確認することが好ましい。また、ステップA10では、多型パターンのほかにデータIII、データIV及びデータVに記録されている付加的な情報も同時に読み出し、必要に応じてメモリー部26に記録してもよい。
次に、ステップA11(SA11)では、メモリー部26に一時的に記録した多型番地に関連付けられた多型パターン及び必要に応じて記録された付加的な情報を、「Gno.」とともに通信回線網1を介して共用コンピュータ2に対して出力する。ステップA12(SA12)では、多型番地に関連付けられた多型パターン及び必要に応じて記録された付加的な情報を共用コンピュータ2で受信し、受信した多型パターンを多型番地と関連付けてメモリー部A10に記録する。
また、本例では、ステップA7において、共用コンピュータ2が「多型パターン」の提出を命令する命令情報を送出し、ステップA10において、個人用コンピュータ3は命令情報に従って多型パターンをゲノム関連情報記録媒体24から読み出している。しかしながら、本システムは、ステップA7において当該命令情報を送出しないシステムであってもよい。この場合、ステップA10において、個人用コンピュータ3は、処理プログラム27に従って、ステップA8で受信した多型番地に基づいてデータIIを検索し、受信した多型番地の多型パターンを読み出す。そして、個人用コンピュータ3は、ステップA11で多型パターン等を共用コンピュータ2に対して出力する。この場合でも、共用コンピュータ2は、ステップA12において、「大腸がんの罹患可能性」と一致した「分類(疾患名)」に関連づけられた「多型番地」の多型パターンを得ることができる。
次に、ステップA13(SA13)では、メインDB14にアクセスし、受信した多型番地及び多型パターンと一致するものを検索する。具体的には、メインDB14において、一つの多型番地に対して複数の多型パターンが記録されており、受信した多型番地及びその多型パターンがメインDB14においてどの多型パターンに一致しているのかを検索する。
次に、ステップA14(SA14)では、処理プログラム13に従って、受信した多型パターンと一致した多型パターンに関連づけられている大腸がんに対する罹患可能性(意味情報)を読み出す。すなわち、ステップA14では、要求者が提出した多型番地及び多型パターンに従って、要求者の大腸がんに対する罹患可能性を読み出すことができる。読み出した罹患可能性は、要求者の「Gno.」と「多型番地」及び「多型パターン」とに関連づけてメモリー部A10に格納する。このとき、大腸がんに対する罹患可能性を、付加的な情報により補正したかたちで格納してもよいし、付加的な情報から得られるその他の情報を要求者の「Gno.」に関連づけて格納しても良い。
次に、ステップA15(SA15)では、メモリー部A10に格納した、罹患可能性と当該罹患可能性をメインDB14から読み出す際に利用した多型番地とをそれぞれ関連付けて、通信回線網1を介して個人用コンピュータ3に対して要求者の「Gno.」とともに送信する。すなわち、ステップA15では、ステップA14において読み出した罹患可能性と、その罹患可能性に対応する多型番地とをリンクさせてセットで送信する。なお、ステップA15では、「Gno.」と、罹患可能性及び当該罹患可能性に対応する多型番地のセットとに加えて、メインDB14に記録されている「情報ソース」を罹患可能性及び当該罹患可能性に対応する多型番地のセットに関連付けて送信してもよい。情報ソースを送信することによって、要求者側は、罹患可能性の信憑性を、情報ソースと罹患可能性に対応する多型番地と当該多型番地に対応する多型パターンとに基づいて評価することができる。すなわち、要求者側では、受信した情報ソースと罹患可能性及び当該罹患可能性に対応する多型番地のセットとに加え、ステップA11で自ら送信した多型パターンを、それぞれ関連付けて個人用コンピュータ3の表示手段22上や紙にて出力すること等により、要求者は当該情報ソースに記載された機関が当該多型番地に関連付けられた多型パターンを使って当該罹患可能性に関する情報を用意したことを知るため、当該罹患可能性に関する情報の信頼性を評価できる。また、情報を提供する側では、要求者側が信頼性を評価するため、責任を持ったサービスを提供することになる。
次に、ステップA16(SA16)では、個人用コンピュータ3が要求者の「Gno.」と、罹患可能性及び当該罹患可能性に対応する多型番地のセットとを受信する。受信した罹患可能性及び当該罹患可能性に対応する多型番地のセットは、メモリー部26に記録される。
次に、ステップA17(SA17)では、処理プログラム27に従って、メモリー部26に記録された意味情報から大腸がんに対する罹患可能性を表示手段22に表示する。これにより、要求者は、ゲノム関連情報記録媒体24に記録したゲノム関連情報28を用いて大腸がんに対する罹患可能性を得ることができる。
なお、ステップA14で読み出された「意味情報」から、更に、当該「意味情報に関連する情報」が導き出され、ステップA15で「意味情報」とともに当該「意味情報に関連する情報」を多型番地と関連付けて送信し、ステップA16でそれらを受信した場合においても、ステップA17で「意味情報」と当該「意味情報に関連する情報」が表示される。
また、本システムにおいては、ステップA3において、要求者が所望する「大腸がんの罹患可能性」の他に、例えば、罹患可能性が所定の水準を超えた場合に「大腸がんを予防する機能性食品」の提供を更なる要求情報として受信し、要求者の大腸がんの罹患可能性に関する情報とともに、罹患可能性が所定の水準を超えていた場合に、要求された機能性食品を提供することも可能である。
なお、共用コンピュータ2におけるステップA3〜A7及びステップA12までと、ステップA12〜A15までとを異なる機関で行ってもよい。この場合には、共用コンピュータ2におけるステップが2分割されていることになる。
一方、本システムにおいては、第3者チェック機関Cにおいて、図9に示すフローチャートに従って、共用コンピュータ2による多型パターンの不正使用・収集及び当初認可された事業内容の範囲内で事業を行っているかを検証することができる。
先ず、ステップ1(S1)で、個人用コンピュータ3から、共用コンピュータ2を識別する識別子、共用コンピュータ2に対して送信した多型番地並びに多型パターン及び共用コンピュータ2から提供された罹患可能性(意味情報)をセット(情報セット)として受信する。
次に、ステップ2(S2)で、ステップ1で受信した識別子、多型番地、多型パターン及び罹患可能性に基づいて管理用データベース30を検索し、ステップ1で受信した多型番地、多型パターン及び罹患可能性と、予め管理用データベース30に格納されている情報との一致性を判断する。ここで、一致性の判断とは、ステップ1で受信した多型番地、多型パターン及び罹患可能性と、予め管理用データベース30に格納されている情報とが表記上一致している場合、及び実質的に一致している場合を含む意味である。表記上の一致とは、例えば、多型番地については塩基配列上の所定の位置に関する表記が同一である場合を意味する。また、実質的な一致とは、例えば、多型番地については、表記上は一致していなくても、塩基配列における同じ位置を直接又は間接に示している場合を意味する。
ステップ2において、ステップ1で受信した多型番地、多型パターン及び罹患可能性と、予め管理用データベース30に格納されている情報とに一致性があると判断した場合には、共用コンピュータ2による多型パターンの不正使用・収集及び当初認可された事業内容の範囲からの逸脱が無かったことを意味する。したがって、この場合にはステップ2から「Yes」に進み、処理を中止する。
一方ステップ2において、ステップ1で受信した多型番地、多型パターン及び罹患可能性と、予め管理用データベース30に格納されている情報とに一致性がないと判断した場合には、共用コンピュータ2による多型パターンの不正使用・収集及び当初認可された事業内容の範囲からの逸脱の虞があることを意味する、従って、この場合には、ステップ2から「No」に進み、ステップ3の処理を実行する。なお、ステップ1で受信した多型番地、多型パターン及び罹患可能性と、予め管理用データベース30に格納されている情報とに一致性がない場合とは、例えば、ステップ1で受信した多型番地、多型パターン及び罹患可能性のセットが複数あるときに、少なくとも1以上のセットが一致しない場合も含む意味である。
次に、ステップ3(S3)では、ステップ2において、共用コンピュータ2による多型パターンの不正使用・収集及び当初認可された事業内容の範囲からの逸脱の虞が判明したため、その旨の警告を共用コンピュータ2に対して送信する。なお、ステップ3では、共用コンピュータ2による多型パターンの不正使用・収集及び当初認可された事業内容の範囲からの逸脱の虞があったことを、個人用コンピュータ3に対して通知しても良い。
以上のように、本システムにおいては、個人用コンピュータ3から第3者チェック機関Cに対して、共用コンピュータ2の識別子、多型番地、多型パターン及び意味情報を送信することによって、第3者チェック機関Cにおける多型パターンの不正使用・収集及び当初認可された事業内容の範囲からの逸脱の虞を検証することができる。
すなわち、本システムによれば、第3者チェック機関Cは、ステップA11で個人用コンピュータ3から送信した多型番地に関連付けられた多型パターンの全てを共用コンピュータ2が意味情報を取得するために使用したのか或いは使用していないのか、及び、意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報の内容が当初検査にパスした内容の通りであるか否かを確認することができる。例えば、共用コンピュータ2において、ステップA11で送信した多型番地に関連付けられた多型パターンを要求者の要求以外の目的に使用した場合及び単に収集した場合等その本来の目的以外の使用を、第3者チェック機関Cが見出すことができる。また、第3者チェック機関Cは、当初検査にパスした意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報とは異なり、例えば意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を誇張した内容に改竄してサービスを提供しているような共用コンピュータ2を見いだすことができる。共用コンピュータ2は、要求された罹患可能性を提示するという本来の目的以外の目的で多型番地に関連付けられた多型パターンを使用、収集した場合や、当初検査にパスした意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報とは異なる内容で事業を行う場合、第3者チェック機関Cに対して隠蔽することができない。
したがって、本システムは、共用コンピュータ2におけるゲノム関連情報記録媒体24に記録された多型番地及び多型パターンの不正使用・収集及び当初認可された事業の内容の範囲からの逸脱に対する抑止力となりうる。
なお、本情報処理システムにおいては、ゲノム関連情報記録媒体からデータIIに含まれる情報を除いたもの、すなわちデータI及び付加的にデータIII〜Vのみを有する記憶媒体を用いても良い。この場合、データIIに含まれる情報は、通信回線網1を介して個人用コンピュータ3と接続された外部のデータベース(ゲノム関連情報記録媒体)に記録しておく。このようなシステムの場合、例えば、上述したステップA10において、通信回線網1を介して外部のデータベースにアクセスし、命令された多型番地の多型パターンを読み出し、多型番地と多型パターンとを関連づけてメモリー部26に記録することができる。したがって、このようなシステムであっても、図7及び図8に示したフローチャートと同様に、要求者は意味情報を得ることができる。
さらに、本情報処理システムにおいては、要求者がゲノム関連情報記録媒体24及び前記ゲノム関連情報記録媒体からデータIIに含まれる情報を除いた記録媒体のいずれも有さず、通信回線網1を介して個人用コンピュータ3と接続したゲノム関連情報記録媒体24を備えるものであっても良い。このようなシステムの場合、要求者は、通信回線網1を介してゲノム関連情報記録媒体24にアクセスし、ゲノム関連情報記録媒体24に記録された「多型番地」及び「多型パターン」等の情報を個人用コンピュータ3にダウンロードできる。なお、この場合、ゲノム関連情報記録媒体24は、複数の個人に関するゲノム関連情報を個人毎(「Gno.」毎)に記録したものであっても良い。
さらにまた、本発明は、上述したような共用コンピュータ2がメインDB14を有するような構成に限定されず、例えば、共用コンピュータ2と通信回線網1を介して接続されたメインDB14を備える情報処理システムにも適用される。この場合、共用コンピュータ2は、図7及び図8に示したフローチャートにおいて、メインDB14に対して通信回線網1を介してアクセスする。この場合でも、本情報処理システムによれば、図7及び図8に示したフローチャートに従って要求者が所望の意味情報を得ることができる。
特に、この場合、共用コンピュータ2は、異なる機関又は団体が有する複数のメインDB14に対して通信回線網1を介してアクセスし、これら複数のメインDB14に含まれる意味情報を使用して、要求者に対する情報提供を行うことが可能となる。すなわち、本情報処理システムにおいては、図7及び図8に示したフローチャートにおけるステップA4で共用コンピュータ2が大腸がんの罹患可能性に関する情報を意味情報として有する様々なメインDB14にアクセスする。これにより、本情報処理システムによれば、要求者は、様々なメインDB14に含まれる情報に基づいて、大腸がんの罹患可能性に関する情報を得ることができる。
また、本システムは、図7及び図8に示したフローチャートにおいて、共用コンピュータ2が、いわゆるエージェントに対して、少なくとも個人用コンピュータ3から受け取った要求情報を送信し、意味情報(本例においては、「大腸がんに関する罹患可能性」)を、当該エージェントを介して得るものであってもよい。
なお、本システムにおいて、多型パターンは、暗号化されていても暗号化されていなくても差し支えない。
例えば、多型番地に関連付けられた暗号化された多型パターンのなかから暗号化された多型パターンを受け取っても良いし、暗号化された多型パターンのなかから復号化されたうえで多型パターンを受け取っても良いし、暗号化されていない多型パターンのなかから暗号化されたうえで多型パターンを受け取っても良い。
また例えば、暗号化された多型パターンを取得し暗号化された状態で多型パターンを送出しても良いし、暗号化された多型パターンを取得し復号化したうえで多型パターンを送出しても良いし、暗号化されていない多型パターンを取得し暗号化したうえで多型パターンを送出しても良い。
<第2の実施の形態>
次に、本発明を適用した第2の実施の形態として、利用者に対して薬品に対する応答性、物質に対する免疫性等の体質に応じた薬剤を提供するための情報処理システムであって、本システムの不正利用の意図、特に塩基配列関連情報の不正使用・収集の意図を利用者の側でチェックできる情報処理システムについて説明する。すなわち、利用者が「物品及び/又はサービスの要求」として、例えば、薬剤を要求する場合を例示して説明する。特に、本実施の形態においては、塩基配列関連情報の不正使用・収集の意図を認知できる情報処理システムについて説明するが、説明の都合上、簡略化したモデルとして説明する。本実施の形態として説明する情報処理システムは、上述した第1の実施の形態における情報処理システムと同様な構成及び用語については同じ名称、符号及び定義を使用することによって、その構成、動作及び用語の説明を省略する。
本実施の形態では、特に、メインDB14に図10に示すような意味情報(薬品タイプ)等が記録されている。
薬剤を提供するための情報処理システムは、例えば、図11及び図12に示すようなフローチャートに従って利用者に対して最適な薬剤を提供することができる。なお、図11及び図12に示すフローチャートにおいて、「(共)」と記載したステップは共用コンピュータ2における処理を意味し、「(個)」と記載したステップは個人用コンピュータ3における処理を意味している。
先ず、ステップII-1(SII-1)では、要求者(利用者)が個人用コンピュータ3から通信回線網1を介して、例えば製薬会社の共用コンピュータ2にアクセスする。製薬会社の共用コンピュータ2としては、例えば、専用のコンピュータであっても良いし、薬剤の注文、発注及び発送情報を管理するコンピュータであっても良いし、製薬プラントを制御して所望の薬剤に関する製造を管理するコンピュータであっても良い。なお、共用コンピュータ2としては、製薬会社に属するものに限らず、製薬会社等の薬剤を提供する側に対して、提供すべき薬剤の薬品タイプや薬剤の個数等の情報を提供する業者或いは団体に属するものであっても良い。
また、本例において要求者としては、ゲノム関連情報記録媒体24を保有する個人や、ゲノム関連情報記録媒体24を保有する医療機関、或いは、個人が保有するゲノム関連情報記録媒体24を利用する医療機関等を例示することができる。
次に、ステップII-2(SII-2)では、共用コンピュータ2において、要求者のアクセスに応じて処理プログラム13を起動させ、画面メモリー12から「テーラーメード大衆医薬品ポータル画面」を読み出し、個人用コンピュータ3の表示手段22に表示する。「テーラーメード大衆医薬品ポータル画面」としては、例えば、図13に示すような画面イメージを例示することができる。
次に、ステップII-3(SII-3)では、要求者が「テーラーメード大衆医薬品ポータル画面」の指示に従ってゲノム関連情報記録媒体24を読取り装置25に装着し、個人用コンピュータ3を用いてゲノム関連情報記録媒体24にアクセスできるようにする。このとき、要求者がゲノム関連情報記録媒体24の正規の利用者であることの認証を行うことが好ましい。その後、ステップII-4(SII-4)において、要求者は、「テーラーメード大衆医薬品ポータル画面」に表示されている「OK」ボタンをクリックすることによって、本システムを利用する意志を共用コンピュータ2に対して送信する。
次に、ステップII-5(SII-5)では、共用コンピュータ2において処理プログラム13に従って、画面メモリー12から「薬種メニュー」画面を読み出し、個人用コンピュータ3の表示手段22に表示する。「薬種メニュー」画面としては、例えば、図14に示すような画面イメージを例示することができる。
次に、ステップII-6(SII-6)では、要求者が個人用コンピュータ3でアクセスした「薬種メニュー」画面に従って、所望の薬種(薬剤)を選択する。
次に、ステップII-7(SII-7)では、個人用コンピュータ3の読取り装置25がゲノム関連情報記録媒体24にアクセスし、データIから「Gno.」を読み出す。そして、ステップII-8(SII-8)では、ステップII-7で読み出した「Gno.」と、ステップII-6で選択した「薬種」(要求情報)とを、通信回線網1を介して共用コンピュータ2に対して送信する。
次に、ステップII-9(SII-9)では、共用コンピュータ2で「Gno.」及び「薬種」を受信するとともに、「Gno.」及び「薬種」をメモリー部A10に保存する。ところで、本例では、メインDB14に記録されている意味情報に「公開レベル」が関連付けられている。本例における「公開レベル」は、意味情報及び当該意味情報に関連する情報を、それらを利用する側に開示すべきか否かを示している。具体的には、要求者が認証を受けたものである場合に限り公開しても良いレベルを表す「公開レベルA」と、要求者が認証を受けているか否かに拘わらず、いかなる要求者に対しても公開して良いレベルを表す「公開レベルB」と、いかなる要求者に対しても公開してはならないレベルを表す「公開禁止」とが、意味情報に関連付けられて記録されている。
また、共用コンピュータ2は、例えばデータベース8の中に、「認証を有する要求者に関する情報(例えば「要求者No.」)」を予め記録したデータベース(図示せず。以下、「要求者情報データベース」)を有している。
要求者は、共用コンピュータ2に対して、「Gno.」及び要求情報とともに、「要求者No.」を送信する。要求者に対して、「公開レベルA」が関連付けられた意味情報及び当該意味情報に関連する情報を用いたサービスを提供しようとする場合には、共用コンピュータ2は、前記「要求者情報データベース」にアクセスし、受信した「要求者No.」に基づいて、要求者が、認証を有するか否かを判定する。
判定の結果、要求者が認証を有する場合には、個人用コンピュータ3より受信した「Gno.」に「公開レベルA」を関連付けてメモリー7に登録し、その後のステップで、登録した「公開レベルA」に基づいてメインDB14の「公開レベル」を検索することによって、要求者に「公開レベルA」が関連付けられた意味情報及び当該意味情報に関連する情報を用いたサービスを提供する。一方、判定の結果、要求者が認証を有さない場合には、直ちにステップを中止するか、もしくは受信した「Gno.」に「公開レベルB」を関連付けてメモリー7に登録し、その後のステップで、登録した「公開レベルB」に基づいてメインDB14の「公開レベル」を検索することによって、要求者に「公開レベルB」が関連付けられた意味情報及び当該意味情報に関連する情報を用いたサービスを提供する。以上のように、「公開レベル」を使用することにより、意味情報及び当該意味情報に関連する情報の開示が許容されているか否かを判別することができる。
なお本例は、大衆薬を提供するシステムであり、要求者が予め認証を受ける必要のない不特定多数の者であるため、本システムにおいては要求者が認証を有するか否かの判定を行う必要がない。そのため、ステップII-9では、要求情報(薬種)を受信するとともに、「公開レベルB」が自動的に選択され、「Gno.」に関連付けられてメモリー7に登録される。
次に、ステップII-10(SII-10)では、処理プログラム13に従ってメインDB14にアクセスする。そして、ステップII-11(SII-11)において、処理プログラム13は、メインDB14に含まれる多型番地のうち、受信した「薬種」と一致し、且つ「公開レベル」により公開が許容されているもの、すなわち「公開レベルB」が設定されているものを選択する。このとき、メインDB14には、図10に示したように、所定の多型番地に対して、「大分類」、「中分類」及び「小分類」が関連づけられて記録されている。特に、これらのうち中分類では薬種を分類している。このため、受信した「薬種」に基づいて「中分類」を検索することによって、受信した「薬種」と一致する多型番地を選択することができる。ところで、ステップII-5における「薬種メニュー」の中に例えば、大衆薬に加えて「公開レベルA」の認証を受けた者のみに提供される処方薬も選択肢としてある場合、もし仮に、「公開レベルA」の認証を受けていない要求者が大衆薬と処方薬の両方について要求した場合には、メインDB14の公開レベルに基づき、処方薬の要求は拒絶され、ステップII-11において、大衆薬に関わる多型番地のみ選択される。
次に、ステップII-12(SII-12)では、選択した「多型番地」、「薬種」及び「Gno.」をメモリー部B11に記録する。このとき、本システムでは、ステップII-13(SII-13)において、メモリー部B11に記録された「多型番地」(位置情報)に対して、所定の規則等に従って「匿名多型番地」(二次位置情報)を設定し、メモリー部B11中の「多型番地」にリンクさせて「匿名多型番地」をメモリー部B11に記録する。この「匿名多型番地」とは、「多型番地」が塩基配列における多型パターンの位置を直接表しているのに対して、ステップII-11で選択した「多型番地」のみにリンクされており、塩基配列における多型パターンの位置を直接表すものではない。言い換えると、「匿名多型番地」は、ステップII-11で選択された「多型番地」に対して、例えば、通し番号やアルファベット
記号、乱数等を割り振ることによって設定されるものである。
次に、ステップII-14(SII-14)では、処理プログラム13に従って、要求者に対して多型パターンの提出に関する同意の確認(インフォームド・コンセント、以下「IC」と略称する)を要求する。具体的にステップII-14(SII-14)では、処理プログラム13に従って、画面メモリー12から「個別IC確認入力画面」を読み出し、受信した「薬種」に関する情報及びステップII-11で選択した「多型番地」を組み込んで個人用コンピュータ3の表示手段22に表示する。「個別IC確認入力画面」としては、例えば、図15に示すような画面イメージを例示することができる。すなわち、「個別IC確認入力画面」には、要求者に対して提出を要求する多型番地が表示されることとなる。なお、ステップII-11で選択した「多型番地」は、「個別IC確認入力画面」に組み込んだかたちで要求者に対して送信しなくてもよく、ステップII-14以前に要求者に対して送信しておいても良い。
次に、ステップII-15(SII-15)では、要求者が個人用コンピュータ3の表示手段22に表示した「個別IC確認入力画面」に従って、多型パターンの提出に関する同意を入力する。これにより、要求者は、多型パターンの提出について同意したこととなる。また、個人用コンピュータ3は、ステップII-15において、「個別IC確認入力画面」に表示された「多型番地」をメモリー部26に記録しておく。
次に、ステップII-16(SII-16)では、ゲノム関連情報記録媒体24のデータIにアクセスして「Gno.」を読み出す。そして、ステップII-17(SII-17)では、読み出した「Gno.」及びステップII-15で入力した「個別IC確認」を共用コンピュータ2に対して送信する。
次に、ステップII-18(SII-18)では、個人用コンピュータ3から送信された「Gno.」及び「個別IC確認」を共用コンピュータ2で受信するとともに、受信した「個別IC確認」をメモリー部A10に保存する。「個別IC確認」を保存する際には、メモリー部A10に保存されたデータのなかで、受信した「Gno.」と一致する「Gno.」に「個別IC確認」を関連づける。
次に、ステップII-19(SII-19)では、ステップII-12及びII-13で保存した「多型番地」及び「匿名多型番地」をメモリー部B11から読み出す。そして、ステップII-20(SII-20)では、読み出した「多型番地」と「匿名多型番地」とを関連付けて個人用コンピュータ3に対して送信するとともに、当該「多型番地」に対応する多型パターン及び当該多型パターンに関連付けた「匿名多型番地」の提出を命令する命令情報を個人用コンピュータ3に対して出力する。
次に、ステップII-21(SII-21)では、共用コンピュータ2から送信された「多型番地」及び「匿名多型番地」並びに命令情報を受信する。次に、ステップII-22(SII-22)では、ステップII-15でメモリー部26に記録した「多型番地」と、ステップII-21で受信した「多型番地」との一致性を判断する。ここで、一致性の判断とは、メモリー部26に記録した多型番地とステップII-21で受信した多型番地とが表記上一致している場合、及び実質的に一致している場合を含む意味である。表記上の一致とは、塩基配列上の所定の位置に関する表記が同一である場合を意味する。また、実質的な一致とは、例えば、表記上は一致していなくても、塩基配列における同じ位置を直接又は間接に示している場合を意味する。
ステップII-22において、メモリー部26に記録した「多型番地」と、ステップII-21で受信した「多型番地」とに一致性があると判断した場合には、共用コンピュータ2による多型パターンの不正使用・収集の意図が無かったことを意味する。したがって、この場合にはステップII-22から「Yes」に進み、ステップII-23を実行する。
ステップII-22において、メモリー部26に記録した「多型番地」と、ステップII-21で受信した「多型番地」とに一致性がないと判断した場合には、共用コンピュータ2による多型パターンの不正使用・収集の意図の虞があることを意味する、従って、この場合には、ステップII-22から「No」に進み、ステップII-24の処理を実行する。なお、メモリー部26に記録した「多型番地」と、ステップII-21で受信した「多型番地」とに一致性がない場合とは、例えば、メモリー部26に記録した「多型番地」が複数あるときに、少なくとも1以上の多型番地が一致しない場合も含む意味である。
ステップII-24に進んだ場合には、ステップII-22において共用コンピュータ2による多型パターンの不正使用・収集の意図の虞が判明したため、多型パターンの提出拒否を共用コンピュータ2に対して通知する。なお、共用コンピュータ2による多型パターンの不正使用・収集の意図の虞を、公的機関或いは私的機関である第3者機関に対して通知しても良い。
一方、ステップII-22において、メモリー部26に記録した「多型番地」と、ステップII-21で受信した「多型番地」とに一致性があると判断し、ステップII-23に進んだ場合には、処理プログラム27に従ってゲノム関連情報記録媒体24にアクセスする。そして、ステップII-25(SII-25)では、処理プログラム27がゲノム関連情報28のデータIIの中から、命令情報で要求している多型番地及び当該多型番地に対応する多型パターンを抽出して読み出すとともに、データIから「Gno.」を読み出す。
次に、ステップII-26(SII-26)では、読み出した多型パターンと、当該多型パターンの多型番地に対して設定された匿名多型番地とを関連付け、「Gno.」とともに個人用コンピュータ3から共用コンピュータ2に対して送信する。すなわち、ステップII-26では、個人用コンピュータ3から、匿名多型番地と多型パターンとGno.とを共用コンピュータ2に対して通信回線網1を介して送信する。このとき、個人用コンピュータ3からは、多型番地と多型パターンとを関連づけて送信していない。また、匿名多型番地は、多型パターンの塩基配列における位置を直接表していない。したがって、ステップII-26で送信した内容が不測の事態で外部に漏洩したとしても、多型パターンの塩基配列における位置を判別することができない。
次に、ステップII-27(SII-27)では、個人用コンピュータ3から送信された匿名多型番地及び当該匿名多型番地と関連づけられた多型パターン並びに「Gno.」を受信し、受信した多型パターンをメモリー部B11に保存する。「多型パターン」を保存する際には、メモリー部B11に保存されたデータのなかで、受信した「Gno.」及び「匿名多型番地」と一致する「Gno.」及び「匿名多型番地」に「多型パターン」を関連づける。ステップII-27により、メモリー部B11には、「Gno.」、「多型番地」、多型番地毎に設定された「匿名多型番地」及び「多型パターン」が関連付けられた状態で記録されることとなる。
次に、ステップII-28(SII-28)では、処理プログラム13に従ってメインDB14にアクセスする。そして、ステップII-29(SII-29)では、メモリー部B11に保存された「中分類(薬種)」、「多型番地」及びその「多型パターン」に基づいてメインDB14を検索し、一致した多型パターンに関連づけられた「薬品タイプ」(図10参照)を読み出す。ここで「薬品タイプ」とは、図10に示したように「中分類」で分類された薬種において、所定の多型パターンを有する個人にとって好適な成分や用量等の情報を意味する意味情報である。なお、一つの多型パターンに対して複数の意味情報が関連づけられている場合、それぞれの意味情報を読み出す。
次に、ステップII-30(SII-30)では、処理プログラム13に従って、得られた「薬品タイプ」をメモリー部B11に保存する。次に、ステップII-31(SII-31)では、処理プログラム13に従って、メモリー部B11から「薬種」及び「薬品タイプ」を読み出す。そして、ステップII-32(SII-32)では、処理プログラム13に従って、読み出した「薬種」及び「薬品タイプ」に対応した「確認画面」を画面メモリー12より読み出し、個人用コンピュータ3の表示手段22に表示する。「確認画面」としては、例えば、図16に示すような画面イメージを例示することができる。
次に、ステップII-33(SII-33)では、要求者が「確認画面」における「薬名」及び「薬品タイプ」等を確認した上で個人用コンピュータ3の「確認画面」における「注文画面」ボタンをクリックすることによって、画面メモリー12より「注文画面」(図示せず)を読み出し注文情報を入力する。ここで、注文情報としては、要求者個人を特定する情報や、注文画面に表示された薬品タイプの薬名についての数量、受取方法及び支払い方法等が含まれる。
次に、ステップII-34(SII-34)では、処理プログラム27に従って、ゲノム関連情報記録媒体24にアクセスし、ゲノム関連情報28のデータIから「Gno.」を読み出す。そして、ステップII-35(SII-35)では、処理プログラム27に従って、読み出した「Gno.」及びステップII-33で入力した注文情報を共用コンピュータ2に対して送信する。
次に、ステップII-36(SII-36)では、個人用コンピュータ3から送信された「Gno.」及び「注文情報」を共用コンピュータ2で受信し、当該注文情報をメモリー部A10に保存する。注文情報を保存する際には、メモリー部A10に保存されたデータのなかで、受信した「Gno.」と一致する「Gno.」に「注文情報」を関連づける。
次に、ステップII-37(SII-37)では、処理プログラム13に従って、画面メモリー12から「注文請け確認画面」(図示せず)を読み出し、「注文請け確認画面」を個人用コンピュータ3の表示手段22に表示する。その後、ステップII-38(SII-38)では、要求者が「注文請け確認画面」の指示に従って注文内容を確認する。以上の工程によって、要求者は、ゲノム関連情報記録媒体24を保有する個人に好適な薬剤の注文を完了する。
一方、ステップII-39(SII-39)では、メモリー部A10に保存された注文情報から「薬名(意味情報に関連する情報)」、「薬品タイプ(意味情報)」及び「数量」等の必須の情報を抽出し、製薬プラントや物流センター等の薬剤を提供する側(意味情報及び当該意味情報に関連する情報を利用する側)に送信する。
必須の情報とは、要求者が要求した薬剤を製造又は配送するに際して必要な情報である。また、薬剤を提供する側とは、「薬名」及び「薬品タイプ」から薬品成分及び成分比等を調節して要求者に適した薬剤を製造するもの、或いは、様々な薬品成分及び成分比等で予め製造された複数種類の薬剤から「薬名」及び「薬品タイプ」に基づいて選択して提供するものを含む意味である。以上の工程によって、薬剤を提供する側は、ゲノム関連情報記録媒体24を保有する個人に好適な薬剤の製造又は配送を行う。
なお、共用コンピュータ2においては、最終的にステップII-40(SII-40)に進む。ステップII-40では、メモリー部A10及びメモリー部B11に保存された内容をそれぞれ保管用DB−A15及び保管用DB−B16に保管した後、これらメモリー部A10及びメモリー部B11に保存された内容を消去する。なお、このとき、メモリー部B11に保存された内容のうち「匿名多型番地」を削除しておくことが好ましい。
また、ステップII-37及びステップII-38は、要求者の注文を最終的に確認する工程であるため、本システムにおいて必須な工程ではない。すなわち、本システムは、ステップII-36の後にステップII-39に進むようなフローであっても良い。
この場合、要求者は、ステップII-35にてゲノム関連情報記録媒体24を保有する個人に好適な薬剤の注文を完了する。
以上、図11及び図12に示したフローチャートによれば、ステップII-21において提出が求められた多型番地が、「個別IC確認入力画面」で提出が予定されていた多型番地以外の多型番地である場合、共用コンピュータ2における不正とみなし、多型パターンを提出する処理を中止している。これにより、本システムによれば、共用コンピュータ2による多型パターンの不正使用・収集を未然に防止することができる。
特に、共用コンピュータ2を有する事業者が要求者に対して「多型パターン」の提出を要求する「多型番地」について、予めインフォームド・コンセントを行い、要求者の同意を得た上でないと、事業者が要求者から多型番地に対応する多型パターンを入手してはならないといった法令が義務づけられることが望ましい。このような法令による義務づけによれば、ステップII-14において確実に共用コンピュータ2から個人用コンピュータ3に対してステップII-11で選択した「多型番地」が送出されることとなる。
<第3の実施の形態>
次に、本発明を適用した第3の実施の形態として、利用者(利用者側個体)に対して、他人(他の個体)との適合性判定情報を提供するための情報処理システムについて説明する。すなわち、利用者が「物品及び/又はサービスの要求」として、例えば、特定の他人との適合性判定情報を要求する場合を例示して説明する。特に、本実施の形態においては、一組の利用者間における適合性判定情報をそれぞれの利用者に提供する情報提供システムについて説明するが、説明の都合上、簡略化したモデルとして説明する。本実施の形態として説明する情報処理システムは、上述した第1の実施の形態及び第2の実施の形態における情報処理システムと同様な構成及び用語については同じ名称、符号及び定義を使用することによって、その構成、動作及び用語の説明を省略する。
本実施の形態において、メインDB14には、図17に示すように、所定の性質を分類する「分類」に対して、「多型番地」及びその多型番地における「多型パターン」が関連づけて記録されるとともに、所定の「多型パターン」を意味づける「意味情報」が記録されている。さらに、メインDB14には、所定の多型番地についての意味情報の公開可否を示す「公開レベル」が関連づけて記録されてもよい。さらに、本実施の形態において、共用コンピュータ2は、図18に示すような適合性判定データベース31(適合性判定用記憶装置)を備えている。適合性判定データベース31は、所定の区分と、所定の区分に対して意味情報の組み合わせ毎の適合性判定情報とを関連付けて記録している。すなわち、意味情報の組み合わせと適合性判定情報とが関連付けられている。
具体的に、メインDB14には、「ある性質」について多型番地「1000」及び「2000」が関連づけられており、これらの多型番地における多型パターンが取りうる組み合わせを意味づける意味情報が「a」又は「b」として記録されている。
また、適合性判定データベース31には、これら意味情報「a」及び「b」の組み合わせ、すなわち、意味情報「a」を持つ個体と意味情報「b」を持つ個体を適宜組み合わせた時に、それぞれの組み合わせにおける適合性を意味する適合性判定情報が記録されている。
図17では、例えば、多型番地「1000」及び「2000」における多型パターンがそれぞれ「A」及び「C」、或いは「G」及び「T」である場合、「ある性質」に関して意味情報が「a」であり、それぞれ「G」及び「C」、或いは「A」及び「T」である場合、「ある性質」に関して意味情報が「b」であることを示している。また、図18では、意味情報が「a」である個体と意味情報が「a」である個体とは、「ある性質」に関して適合性判定情報が「○○○○」であり、意味情報が「a」である個体と意味情報が「b」である個体とは、「ある性質」に関して適合性判定情報が「△△△△」であり、意味情報が「b」である個体と意味情報が「b」である個体とは、「ある性質」に関して適合性判定情報が「××××」であることを示している。
また、本例では、図19に示すような多型番地及び多型パターンが記録されているゲノム関連情報記録媒体24を例示して説明する。図19においては、図17のメインDB14にて例示している多型番地(「1000」及び「2000」)に対応した多型番地及びその多型パターンを含んだゲノム関連情報記録媒体24を例示している。
利用者に対して、他人との相性を提供するための情報処理システムは、例えば、図20及び図21に示すようなフローチャートに従って利用者に対して他人との適合性判定情報を提供することができる。なお、図20及び図21に示すフローチャートにおいて、「(共)」と記載したステップは共用コンピュータ2における処理を意味し、「(個)」と記載したステップは個人用コンピュータ3における処理を意味している。
本システムでは、先ず、ステップR-1(SR-1)では、利用者が他人との適合性判定情報を得る目的で、個人用コンピュータ3のメモリー23に記録されている処理プログラム27を起動する。ステップR-1では、処理プログラム27によって、個人用コンピュータ3の読取り装置25を駆動してゲノム関連情報記録媒体24にアクセスし、ゲノム関連情報記録媒体24においてデータIとして記録されている「Gno.」を読み出す。なお、以下の説明において、ゲノム関連情報記録媒体24においてデータIとして記録されている「Gno.」を「自己Gno.」と称し、他の個体に属するゲノム関連情報記録媒体24においてデータIとして記録されている「Gno.」を「相手Gno.」(他の個体に関する情報)と称する。読み出した「自己Gno.」は、メモリー部26に格納する。
次に、ステップR-2(SR-2)では、読み出した「自己Gno.」及び要求情報である「ある性質」を「相手Gno.」とともに共用コンピュータ2に対して通信回線網1を介して送信する。これにより、本システムを利用して、「ある性質」において他の個体との適合性判定情報の提供を求める旨の意思表示を行うことができる。なお、このとき、多型パターン及び他人との適合性判定情報に関するICを厳格に行うことが望ましい。また、複数の「相手Gno.」を送信して、複数の他の個体との適合性判定情報を要求しても良い。
次に、ステップR-3(SR-3)では、個人用コンピュータ3から送信された「自己Gno.」、「ある性質」及び「相手Gno.」を共用コンピュータ2で受信する。共用コンピュータ2では、「自己Gno.」、「ある性質」及び「相手Gno.」を受信することによって処理プログラム13を起動する。
次に、ステップR-4(SR-4)では、処理プログラム13に従って、ステップR-3で受信した「自己Gno.」、「ある性質」及び「相手Gno.」をメモリー部A10に保存し、メインDB14にアクセスする。そして、ステップR-5(SR-5)では、処理プログラム13に従って「ある性質」に基づいてメインDB14を検索し、当該「ある性質」と一致する分類を抽出する。
次に、ステップR-6(SR-6)では、処理プログラム13に従って、抽出した分類「ある性質」に関連づけられた「多型番地」をメインDB14から読み出す。また、読み出した「多型番地」は、メモリー部A10に保存する。具体的に、図17に示したメインDB14の場合、「ある性質」に関連づけられた多型番地として「1000」及び「2000」を抽出して保存する。
次に、ステップR-7(SR-7)では、処理プログラム13に従ってメモリー部A10に保存した「自己Gno.」及び「多型番地」を読み出し、個人用コンピュータ3に対して「自己Gno.」及び「多型番地」を送信するとともに、送信する「多型番地」に対応する「多型パターン」の提出を命令する命令情報を個人用コンピュータ3に送信する。また、このとき、ICにて規定された範囲内で必要に応じて既往症や特徴等の付加的な情報の提出を命令してもよい。
次に、ステップR-8(SR-8)では、共用コンピュータ2から送信された「自己Gno.」及び「多型番地」を個人用コンピュータ3で受信する。受信した「自己Gno.」及び「多型番地」は、メモリー部26に記録される。そして、ステップR-9(SR-9)では、受信した命令情報(「自己Gno.」及び「多型番地」)に従って、ゲノム関連情報記録媒体24に記録されているデータIIにアクセスする。
ステップR-10(SR-10)では、ゲノム関連情報記録媒体24のデータIIを検索し、命令された多型番地を抽出する。ステップR-11(SR-11)では、抽出した多型番地に基づいてゲノム関連情報記録媒体24のデータIIを検索し、対応する多型パターンを読み出す。読み出した多型パターンは、多型番地と関連づけてメモリー部26に記録する。このとき、データIに対してアクセスし、命令情報に含まれる「自己Gno.」が正しいか否かを確認することが好ましい。また、ステップR-10では、多型パターンのほかにデータIII、データIV及びデータVに記録されている付加的な情報も同時に読み出し、必要に応じてメモリー部26に記録してもよい。具体的に、図19に示したゲノム関連情報記録媒体24の場合、命令された多型番地に対応して多型パターン「A(多型番地1000)」及び「C(多型番地2000)」を読み出す。
次に、ステップR-12(SR-12)では、メモリー部26に一時的に記録した多型番地に関連付けられた多型パターン及び必要に応じて記録された付加的な情報を、「自己Gno.」とともに通信回線網1を介して共用コンピュータ2に対して出力する。ステップR-13(SR-13)では、多型番地に関連付けられた多型パターン、自己Gno.及び必要に応じて記録された付加的な情報を共用コンピュータ2で受信し、受信した多型パターンを多型番地と関連付けてメモリー部A10に記録する。具体的に、多型番地「1000」に対して多型パターン「A」を、多型番地「2000」に対して多型パターン「C」をメモリー部A10に記録する。
次に、ステップR-14(SR-14)では、処理プログラム13に従ってメインDB14にアクセスする。そして、ステップR-15(SR-15)では、受信した多型番地とその多型パターンとに基づいてメインDB14を検索し、一致した多型パターンに関連づけられた「意味情報」を抽出する。抽出した「意味情報」は、ステップR-4で保存した「自己Gno.」、「ある性質」及び「相手Gno.」に関連付けて保存する。具体的に、図17の場合、多型番地「1000」及び「2000」の多型パターンがそれぞれ「A」及び「C」である組み合わせに対して、意味情報「a」を抽出し保存する。
このステップR-15により、図22に示すように、メモリー部A10内に「自己Gno.」、「相手Gno.」、「分類(ある性質)」及び意味情報を関連付けたテーブルを作成することができる。ここで、ステップR-1〜R-15は、複数の利用者が逐次或いは同時に処理することができる。例えば、図22に示したテーブルを作成するには、自己Gno.が「0001」、「0002」、「1234」、「5678」及び「3333」である5つの個体について、ステップR-1〜R-15を実行することによって作成することができる。
自己Gno.「0001」である利用者が相手Gno.「0002」である個体との適合性判定情報を得るためには、自己Gno.「0002」である利用者について相手Gno.を「0001」としてステップR-1〜R-15を実行した後に以下のステップが実行される。
次に、ステップR-16(SR-16)では、図22に示したテーブルを検索し、一方における「自己Gno.」と「相手Gno.」との組み合わせが、他方において「相手Gno.」及び「自己Gno.」との組み合わせとなっているものを抽出し、それぞれの組み合わせに関連付けられた「意味情報」を読み出す。具体的に、相手Gno.を「0002」と指定した自己Gno.「0001」の利用者については意味情報「a」を抽出し、相手Gno.を「0001」と指定した自己Gno.「0002」の利用者については意味情報「b」を抽出する。すなわち、ステップR-16では、意味情報「a」及び「b」の組み合わせを読み出す。
次に、ステップR-17(SR-17)では、適合性判定データベース31にアクセスし、「ある性質」に関して、ステップR-16で読み出した「意味情報」の組み合わせと一致する意味情報の組み合わせに関連付けられた「適合性判定情報」を読み出す。具体的に、ステップR-16で意味情報の組み合わせ「a」及び「b」を読み出した場合、適合性判定データベース31からは適合性判定情報として「△△△△」を読み出すことができる。
次に、ステップR-18(SR-18)では、ステップR-17で読み出した「適合性判定情報」を「自己Gno.」とともに個人用コンピュータ3に対して送信する。なお、ステップR-18では、他の個体に対して、ある性質に関して利用者との適合性判定情報を送信してもよい。
次に、ステップR-19(SR-19)では、個人用コンピュータ3が「自己Gno.」と、「適合性判定情報」とを受信する。受信した「適合性判定情報」は、「ある性質」と関連付けてメモリー部26に記録される。なお、メモリー部26には、図23に示すようなテーブルを作成することができる。次に、ステップR-20(SR-20)では、処理プログラム27に従って、メモリー部26に記録された「適合性判定情報」と「相手Gno.」とを表示装置22に表示する。これにより、利用者は、ゲノム関連情報記録媒体24に記録したゲノム関連情報28を用いて、ある性質に関して特定の個体との適合性判定情報を得ることができる。
以上、図20及び図21に示すフローチャートによれば、利用者に対して、特定の他の個体との適合性判定情報を提供することができる。本システムは、例えば、互いに初めて出会った者同士が、自分と相手との相性を相互に判断するような場合に利用することができる。この場合、初めて出会った者同志が先ず、互いの「Gno.」を交換して、それぞれが利用者となって図20及び図21に示すフローチャートを実行する。この場合、個人用コンピュータ3としては、例えば、半導体メモリーが着脱可能な携帯電話等を使用することができる。これにより、初対面の者同志が早い段階でお互いの相性を判断できるので、相手に対する接し方等を決めるうえで参考となる。
また、本システムは、通常の人付き合いにおいても利用することができる。人間社会においては、好むと好まざるとに関わらず、他人と適度に付き合う必要がある。そういった場合、本システムを利用して、付き合う必要のある他人との相性を予め知ることは、適切な人間関係を構築するうえで参考となる。
さらに、本システムは、利用者と特定の他人との間の相性、すなわち1対1の関係における相性を知るためだけでなく、利用者と特定の集団との相性を確認する際にも利用することができる。この場合、利用者は、集団に含まれる各構成員との相性をそれぞれ知ることができる。これによって、利用者は、集団に含まれる各構成員の能力を最大に引き出したり、集団としての活性化を図ることができる。また、反対に利用者自身が集団に対して最大の貢献を図るための方策を探ることもできる。