JP2007218928A - 蛋白質もしくはペプチドのKinetics解析方法および解析用基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 蛋白質もしくはペプチドを活性・機能を保ったまま表面に固定化し、サンプルに含まれる生体分子もしくは生物分子集合体との相互作用Kineticsを評価する方法、評価するための基板を提供する。
【解決手段】 複数の蛋白質もしくはペプチドを同一平面基板上に固定化し、該同一平面基板上に固定化された蛋白質もしくはペプチドと生体分子もしくは生物分子集合体を含有するサンプルとを同時にもしくは逐次的に接触させることにより、該サンプルに含まれる生体分子もしくは生物分子集合体と該蛋白質もしくは該ペプチドとの相互作用Kineticsを測定することを特徴とする相互作用Kineticsの測定方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、物質間の相互作用を評価できるKinetics解析方法および解析用基板に関する。
近年、蛋白質もしくはペプチドの生体分子の機能を調べるあるいは、発現蛋白質を明らかにする手段として、蛋白質と生体分子間の相互作用を評価する試みがなされている。その一つとして蛋白質を基板表面に固定化し、固定化した部位にサンプルが結合するかどうかを評価する方法が知られている。結合の検出方法として蛍光やラジオアイソトープなどをラベルする方法が一般的であるが、リアルタイムでの測定は非常に煩雑になるため結合速度と解離速度、もしくは反応速度を求めるKineticsの測定には適さない。
例えば、固体表面にペプチドを固定化して蛋白相互作用を評価するアッセイ法が示されているが、主にラベル分子を用いるために、結合したかどうかを検出するのが目的となっている(例えば、特許文献1参照)。しかし、相互作用評価においては平衡状態における平衡定数だけでは十分ではなく、速度を評価するKinetics測定が近年ますます重要となってきている。
リアルタイムでKineticsを測定する方法として表面プラズモン共鳴(SPR)を用いる方法が知られている。SPRは金属薄膜上の屈折率変化を検出する方法であり、物質が結合するとSPR共鳴角が変化する。しかし、通常のSPRは一点のみを検出し、同時に複数点の検出をすることができない。従って、DNAチップのようにスクリーニングするのにはほとんど用いられていない。
米国特許では金属表面に生体分子アレイを作製し、SPRイメージング法によって複数点の相互作用解析を行う方法を開示しているが、結合の有無を確認するのを目的としており、結合速度と解離速度を求めるKineticsを求めるのが目的ではない(例えば、特許文献2参照)。
蛋白質やペプチドを表面に固定化する古典的な方法は、蛋白質やペプチドが有している官能基を用いる。代表的な手法として、表面にアシルアジド基、スクシンイミド基、エポキシ基、アルデヒド基を導入して蛋白質やペプチドのアミノ基と反応させる方法などが挙げられる。しかし、官能基は蛋白質やペプチドに多く存在し、蛋白質やペプチドの活性、機能を司る部位に存在する官能基を通して表面に固定化される場合もある。その場合、表面に固定化した段階で、蛋白・ペプチドとしての活性、機能を失い、相互作用解析を評価することはできない。
蛋白質やペプチドを活性・機能を保ったまま固定化する方法としてヒスチジンタグを有する蛋白質・ペプチドをニッケルキレートによって固定化する方法が提案されている。この方法は蛋白・ペプチドの活性、機能を保ったまま表面に固定化できる場合が多い。金属キレートによって(ポリ)ペプチドを表面に固定化しSPRで相互作用を研究する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、ここでは(ポリ)ペプチドは一検体ずつ、チップを再生して使用する方法が用いられており、複数の蛋白質・ペプチドを同一表面上に固定化してKineticsを測定する概念は示されていない。
国際公開第00/54046号パンフレット 米国特許第6127129号明細書 特表平10−505910号公報
本発明はヒスチジンタグを有する蛋白質もしくはペプチドを活性・機能を保ったまま表面に固定化し、サンプルに含まれる生体分子もしくは生物分子集合体との相互作用Kineticsの評価を可能にする。
本発明の課題は、蛋白質もしくはペプチドを活性・機能を保ったまま表面に固定化し、サンプルに含まれる生体分子もしくは生物分子集合体との相互作用Kineticsを評価する方法、評価するための基板を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出した。
1.複数の蛋白質もしくはペプチドを同一平面基板上に固定化し、該同一平面基板上に固定化された蛋白質もしくはペプチドと生体分子もしくは生物分子集合体を含有するサンプルとを同時にもしくは逐次的に接触させることにより、該サンプルに含まれる生体分子もしくは生物分子集合体と該蛋白質もしくは該ペプチドとの相互作用Kineticsを測定することを特徴とする相互作用Kineticsの測定方法。
2.平面基板に固定化する複数の蛋白質もしくはペプチドがヒスチジンタグを有することを特徴とする上記記載の相互作用Kineticsの測定方法。
3.該基板が金薄膜を有する透明基板であることを特徴とする上記1もしくは2記載の相互作用Kineticsの測定方法。
4.固定化した複数の蛋白質もしくはペプチドとサンプルに含まれる生体分子もしくは生物分子集合体の相互作用Kineticsを表面プラズモン共鳴で測定することを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の相互作用Kineticsの測定方法。
5.表面プラズモン共鳴イメージング法によって相互作用Kineticsを測定することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の相互作用Kineticsの測定方法。
6.ヒスチジンタグを有する複数の蛋白質もしくはペプチドが固定可能なように、ニトリロ三酢酸(NTA)基を有するチオール化合物もしくはジスルフィド化合物が透明基板上の金薄膜に固定化されていることを特徴とする基板。
7.NTA基を有するチオール化合物もしくはジスルフィド化合物と、NTA基を有さないチオール化合物もしくはジスルフィド化合物が混合して固定化されていることを特徴とする上記6記載の基板。
8.NTA基を多く有する領域が、NTA基をほとんど含まない領域に囲まれており、NTA基を多く有する領域を、不連続に9つ以上有することを特徴とする上記6もしくは7記載の基板。
9.上記6〜8のいずれかに記載の基板上に、ヒスチジンタグを有する複数の蛋白質もしくはペプチドがNTA−Niキレートによって固定されていることを特徴とするアレイ。
10.基板として上記9記載のアレイを使用することを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の相互作用Kineticsの測定方法
本発明により、蛋白質もしくはペプチドを活性・機能を保ったまま表面に固定化し、サンプルに含まれる生体分子もしくは生物分子集合体との相互作用Kineticsの評価を可能にすることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。本発明は複数の蛋白質もしくはペプチドの相互作用Kineticsを同時にもしくは逐次的に測定する方法と、測定に用いられる基板について開示している。
蛋白質もしくはペプチドの活性・機能を測定する方法として、蛋白質もしくはペプチドを基板上に固定化して、測定対象物質を含むサンプルとの相互作用を解析する方法が考えられている。特に結合や解離、反応などの速度を求めるKinetics測定の重要性が最近ますます上がっている。
表面に固定化する方法として活性・機能が失われ難い方法であれば、特に限定するものではない。古典的にはアミンカップリング法などが挙げられるが、表面固定化により活性・機能が失われる場合がある。最近注目されている方法は蛋白質やペプチドにタグとなるアミノ酸配列あるいはペプチド・蛋白を導入し、タグを介して表面に固定化するものである。タグは発現した蛋白質を精製する手段として最近よく使われている。本発明では、タグを介して基板表面に固定することが好ましい。
タグとしてはヒスチジンタグや、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、TAPなどが挙げられるが、中でもヒスチジンタグは容易に蛋白質やペプチドに導入できるだけでなく、活性を保ったまま強固に固定化できる利点があり本発明の目的には好ましい。
ヒスチジンタグは蛋白質もしくはペプチド配列のN末端もしくはC末端に導入され、他のタグと合わせて導入されることもある。通常のヒスチジンタグはヒスチジンが6つ並んだ配列であり、ニトリロ三酢酸(NTA)基−ニッケルとキレート結合する。
結合や解離などの速度を求めるKinetics測定を行う手段としては、基板に固定化された蛋白質もしくはペプチドとサンプル中の生体分子もしくは生物分子集合体との結合・解離がリアルタイムで測定できうるものならば特に限定されるものではないが、表面プラズモン共鳴(SPR)がリアルタイムかつラベルフリーで測定できるため好ましく、平面の反射像を撮影できるSPRイメージング法がアレイ状に複数の蛋白もしくはペプチド固定化したチップを解析できるため、特に好ましい。
以下、SPRイメージング法による測定方法を例として挙げる。
SPRは光学的な検出方法であるため、測定に用いる基板は透明である必要がある。
また、表面プラズモン共鳴を励起するために、透明基板の片面には金属薄膜が形成されている。この金属薄膜は金であることが好ましい。金薄膜はSPR測定に適しているだけでなく、チオール化合物もしくはジスルフィド化合物が金−硫黄結合を利用して金(1,1,1)面に固定化可能である。金薄膜は蒸着によってクロムを1nm、金を45nm積層させたものが表面厚みのムラがなく、金薄膜が剥がれ落ちにくいため好ましい。
NTA基を導入する方法はNTA基を有するチオール化合物もしくはジスルフィド化合物をエタノールに溶解し、金表面を浸漬し、チオール化合物もしくはジスルフィド化合物の自己組織化表面を形成させる方法が好ましい。NTA基は立体的に大きく、立体障害があるため、NTA基を有するチオール化合物もしくはジスルフィド化合物とNTA基を有さないチオール化合物もしくはジスルフィド化合物を混合してエタノールに溶解し、金表面に結合させる方法が特に好ましい。NTA基を有さないチオール化合物もしくはジスルフィド化合物としては、サンプル中に含まれる物質の非特異的吸着を抑制するため、非イオン性物質が好ましい。例えば、OH基を有するアルカンチオールやポリエチレングリコールを有するアルカンチオールなどが挙げられる。ただし、非イオン性アルカンチオールもしくは非イオン性ジスルフィドはNTA基を有するチオール化合物もしくはジスルフィド化合物とアルカン鎖の長さが同等にすることが好ましい。どちらかが長いと、長い方の化合物の疎水性van der Waals力が強く、両者が混じった自己組織化表面が得られない場合があるためである。
こうして得られた表面はNTA基以外のイオン性官能基を実質的に有さないため、正しいKineticsを得ることができる。もし、NTA基以外のイオン性官能基を実質的に有するならば、サンプル中の測定対象のイオン的結合力あるいは反発力がKineticsに影響を与え、正しいデータが得られないことがある。なお、ここで言う実質的に有さない、有するとは、Kinetics測定に深刻な影響を与える程度に有さないか有するか(目安として有効数字2桁)であり、絶対量として有するか有さないかで決定されるものではない。
また、NTA基を有するチオール化合物もしくはジスルフィド化合物と非イオン性チオール化合物もしくはジスルフィド化合物を混合して表面に固定化することで、NTA基を有するチオール化合物もしくはジスルフィド化合物が形成する自己組織化表面の欠陥部分を非イオン性物質が吸着してブロックするため、非特異的吸着を抑制することができる。
複数の蛋白質もしくはペプチドの相互作用Kineticsを測定するために基板はアレイ状にするのが好ましい。全面にNTA基を導入し、複数の蛋白質もしくはペプチドをスポッティングする方法も可能であるが、蛋白が固定化されていないバックグラウンド部のNTA基へのイオン性非特異的吸着があるため好ましくない。そこで、NTA基が導入されている領域が、NTA基をほとんど含まない領域に囲まれているアレイが特に好ましい。アレイを作製する方法は特に限定されるものではないが、フォトリソグラフィー法やスタンプ法によって可能である。
本発明では複数の蛋白質もしくはペプチドの相互作用Kineticsを測定するため、基板にはNTA基が導入された領域を、不連続に9つ以上有するのが好ましい。多くの蛋白質もしくはペプチドを同時にもしくは逐次的にKinetics測定できるからである。不連続な領域の数の上限は特に定めるものではないが、実用面からは2500以下である。
こうして得られた基板に蛋白質もしくはペプチドを固定化し、この基板上に生体分子もしくは生物分子集合体を含有するサンプルとを同時にもしくは逐次的に接触させながら、SPRイメージング法よる観察を行う。この方法により、蛋白質もしくはペプチドが固定化された部位の反射光強度をリアルタイムで解析することにより、正確なKineticsを評価することができる。
基板上に生体分子もしくは生物分子集合体を含有するサンプルとを同時にもしくは逐次的に接触させる方法としては、基板にサンプル液が接触できる状態であればその接触方法を特に限定するものではないが、SPRイメージング法よる観察の容易さから考慮すると、基板上にサンプル液が流れ込む流路を備えたフローセルを用い、洗浄用緩衝液、各種サンプルなどの接触液を切り替え、その変化をリアルタイムで観察できるようにしたものが好ましい。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[実施例]
厚さ1mm、18mm×18mmのSF10製透明ガラス基板上にクロム1nmを蒸着した後、金を45nm蒸着した。蒸着の厚みは水晶発振子にてモニターした。金が表面に蒸着された基板を8−Amino−1−Octanethiol, Hydrochrolide(8−AOT,同仁化学研究所製)の1mMエタノール溶液に16時間浸漬し、8−AOTの自己組織化表面を形成させた。分子量2000のスクシンイミド基末端ポリエチレングリコール(mPEG−SPA,Sheawater Polymers社製)をリン酸緩衝液に10mg/mlで溶解し、金表面の8−AOTに2時間反応させ、PEGを表面に固定化した。水晶上にクロムでパターンを描いたフォトマスクを基板上に置き、Oriel社製1000Wキセノンアークランプにて一時間照射してパターン化を行った。フォトマスクのパターンは500μm×500μmの四角形が100個並んだものである。照射後、ミリQ水とエタノールで洗浄したのち、475μM Dithiobis(同仁化学研究所製)、25μM メルカプトエタノール(ナカライテスク社製)のエタノール溶液に5時間浸漬し、光を照射した部分にDithiobisとメルカプトエタノールを混合して固定化した。Dithiobisは両末端にNTA基を有するジスルフィドであり、構造式を図1に示す。こうして得られたバイオチップは固定化部位にNTA基を有し、バックグラウンドは親水性高分子であるポリエチレングリコールが固定化されている。
このバイオチップを2.5mM塩化ニッケル(II)のリン酸緩衝液溶液に一時間浸漬し、NTA−Niキレートを形成させたのち、Mycペプチドを導入したヒスチジン付き蛋白(HisTAPMyc)とFlagペプチドを導入したヒスチジン付き蛋白(HisTAPFlag)を発現させた大腸菌細胞破砕液を100倍に希釈して固定化部位に0.1μLずつスポッティングした。ここで用いた蛋白はNature Biotech,1999,17,1030−1032に記載されたTAPであり、TAPにヒスチジンタグとMycもしくはFlagペプチドを導入した。HisTAPMycとHisTAPFlagを図2に示すパターンでスポッティングし、30分後SPRイメージング機器(SPRImager:GWC instruments社製)にセットした。観察は図9に概略を示したフローセルにセットし、10mM Hepes、150mM NaCl、pH7.2の緩衝液中で実施した。0.1μg/mlの抗Flag抗体(Sigma社製)を先にフローセル内に流し、緩衝液を流したあと、0.1μg/mlの抗Myc抗体(Santa Cruz社製)を流した。緩衝液、サンプルの流速は100μl/minで観察を実施した。図3にHisTAPMycを固定化した部位のシグナル変化を示す。抗Flag抗体によるシグナルの増加はみられず、抗Myc抗体によってのみシグナルが増加している。すなわち、非特異的吸着がないことを示しており、非常に良好である。この場合におけるHisTAPMycに対する抗Myc抗体、HisTAPFlagに対する抗Flag抗体のアフィニティカーブを重ね合わせた図を図4に示す。このカーブから得られるKineticsデータを表1に示す。この結果からFlagの方が5倍速く吸着し、2倍速く脱離するKinetics挙動が明らかにできた。
Figure 2007218928
また、抗Flag抗体を流す前後の写真を撮影し、前後の画像の差をとった結果を図5に示す。抗Flag抗体がFlagペプチドに選択的に結合しているのを観察することができた。
[比較例1]
実施例と同様に、金蒸着透明基板上に8−AOTの自己組織化表面を形成させPEGを固定化し、フォトマスクを用いて紫外線照射によるパターン化を行った。パターン化基板を500μM Dithiobisのエタノール溶液に5時間浸漬し、光を照射した部分にDithiobisを固定化した。このチップを2.5mM塩化ニッケル(II)のリン酸緩衝液溶液に一時間浸漬したのち、HisTAPMycとHisTAPFlagを発現させた大腸菌細胞破砕液を100倍に希釈して固定化部位に0.1μLずつスポッティングし、SPRイメージング機器にセットした。0.1μg/mlの抗Flag抗体を先にフローセル内に流し、緩衝液を流したあと、0.1μg/mlの抗Myc抗体を流した。その場合のHisTAPMycを固定化した部分のシグナル変化を図6に示す。Mycの固定化部位に対して抗Flag抗体が非特異的に吸着する傾向がみられた。この表面では正しいKineticsデータは観察できない。
この理由としてDithiobis単独では自己組織化表面に欠陥があり、金が露出している部分に抗Flag抗体が吸着していることが考えられる。実施例ではメルカプトエタノールと混合して固定化しており、Dithiobisの欠陥部分をメルカプトエタノールが埋め、非特異的吸着を抑制していると推察される。
[比較例2]
実施例と同様に、金蒸着透明基板上に8−AOTの自己組織化表面を形成させPEGを固定化し、フォトマスクを用いて紫外線照射によるパターン化を行った。パターン化基板を7−Carboxy−1−Heptanethiol(7−CHT、同仁化学研究所製)の1mMエタノール溶液に5時間浸漬し、光を照射した部分に7−CHTの自己組織化表面を形成させた。次に0.2M水溶性カルボジイミド(ナカライテスク社製)、0.05M N−ヒドロキシスクシンイミド(ナカライテスク社製)をリン酸緩衝液に溶解させ、15分間反応させ、7−CHTのカルボキシル基を活性化させた。すぐに1mMのAB−NTA(同仁化学研究所製)を30分反応させ、NTA基を固定化部位に導入した。未反応のスクシンイミド基は1Mエタノールアミン溶液(pH8.5)を10分間反応させブロッキングした。
このチップを2.5mM塩化ニッケル(II)のリン酸緩衝液溶液に一時間浸漬したのち、HisTAPMycとHisTAPFlagを発現させた大腸菌細胞破砕液を100倍に希釈して固定化部位に0.1μLずつスポッティングし、SPRイメージング機器にセットした。0.1μg/mlの抗Flag抗体を先にフローセル内に流し、緩衝液を流したあと、0.1μg/mlの抗Myc抗体を流した。その場合のHisTAPMycを固定化した部分のシグナル変化を図7に示す。Mycの固定化部位に対して抗Flag抗体が少しだけ非特異的に吸着する傾向がみられた。比較例1よりは良好であるものの、実施例に比べると劣る。この場合におけるHisTAPMycに対する抗Myc抗体、HisTAPFlagに対する抗Flag抗体のアフィニティカーブを重ね合わせた図を図8に示す。この結果ではKinetics挙動の差を明確にすることができなかった。
この理由として、AB−NTAを固定化する土台となる7−CHTが陰性荷電を有していることが挙げられる。7−CHTが有するカルボキシル基はすべてAB−NTAと反応するわけではなく、高密度にカルボキシル基が残っていると考えられる。残ったカルボキシル基とサンプル中の物質がイオン的な相互作用をもつために、Kineticsデータに影響を与えていると推察できる。実施例の場合、NTA基は直接金表面に固定化されるため、イオン的作用がKineticsに与える影響は小さい。
本発明により、蛋白質もしくはペプチドを活性・機能を保ったまま表面に固定化し、サンプルに含まれる生体分子もしくは生物分子集合体との相互作用Kineticsの評価を可能にすることができる。
Dithiobisの構造式 HisTAPMycとHisTAPFlagを固定化したパターン HisTAPMycを固定化した部位のシグナル変化(実施例) 抗Myc抗体、抗Flag抗体のアフィニティカーブ(実施例) 抗Flag抗体を流す前後の像の差 HisTAPMycを固定化した部位のシグナル変化(比較例1) HisTAPMycを固定化した部位のシグナル変化(比較例2) 抗Myc抗体、抗Flag抗体のアフィニティカーブ(比較例2) 実施例で用いたフローセルの概略図(断面)

Claims (5)

  1. ヒスチジンタグを有する複数の蛋白質もしくはペプチドが固定可能なように、ニトリロ三酢酸(NTA)基を有するチオール化合物もしくはジスルフィド化合物が透明基板上の金薄膜に固定化されていることを特徴とする基板。
  2. NTA基を有するチオール化合物もしくはジスルフィド化合物と、NTA基を有さないチオール化合物もしくはジスルフィド化合物が混合して固定化されていることを特徴とする請求項1記載の基板。
  3. NTA基を多く有する領域が、NTA基をほとんど含まない領域に囲まれており、NTA基を多く有する領域を、不連続に9つ以上有することを特徴とする請求項1もしくは2記載の基板。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の基板上に、ヒスチジンタグを有する複数の蛋白質もしくはペプチドがNTA−Niキレートによって固定されていることを特徴とするアレイ。
  5. 基板として請求項4記載のアレイを使用することを特徴とする相互作用Kineticsの測定方法。
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