JP2007218781A - 等電点電気泳動装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】試料溶液を収容するサンプルチャンバを有する連結ブロックと、その連結ブロックを介して端面同士をサンプルチャンバ内の試料溶液に接するように配置された異なるpHを有する一対のゲル充填カラムと、からなる少なくとも1個の電気泳動モジュールと、各電気泳動モジュールの両端となる上記一対のゲル充填カラムの端部にそれぞれ接続され、電解液を収容するアノード槽とカソード槽と、そのアノード槽とカソード槽にそれぞれ配置されたアノードとカソードとを有する等電点電気泳動装置である。そのアノードとカソードとに通電することにより、一方のゲル充填カラムのpHと他方のゲル充填カラムのpHとの間に等電点を有する試料溶液中の目標タンパク質をサンプルチャンバ内に集束させる。
【選択図】図1
Description
試料溶液をゲルカラムに添加し、カソードとアノードとの間に電源(不図示)から所定電圧を印加する。これにより、試料溶液中の蛋白質は泳動ゲル内をカソード方向に移動する。そして、蛋白質はその固有の等電点と同じpHを有するゲル部分で移動を停止し濃縮され、蛋白質は単一のバンドとして分離される。所定時間、電圧を印加した後、ゲルカラムを泳動装置から取り外し、さらにカラムからゲルを取り出した後、染色処理を行う。次に、分離対象となる目標蛋白質を含む所定pH範囲のバンドをゲルから切り出す。そして切り出したバンドを緩衝液中に浸し、一晩放置することにより溶液中に目標蛋白質を抽出している(例えば、非特許文献1)。この際、抽出前にプロテアーゼを含む消化溶液でバンドを予め処理し、ペプチド断片として抽出、回収することもよく行われている。また、目標蛋白質を抽出する方法としては、切り出したゲルから目標蛋白質を電気泳動溶出させイオン交換体からなる吸着体に吸着させ、その後、吸着体からイオン交換により目標蛋白質を溶液状態で回収する方法も提案されている(特許文献1)。
「生化学実験講座(1)タンパク質の化学I−分離精製」,東京化学同人,1976年,p.253
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る等電点電気泳動装置の構成の一例を示す模式斜視図である。本実施の形態に係る等電点電気泳動装置1は、長さ方向に並列配置された4個の電気泳動モジュール2と、各電気泳動モジュール2の両端のそれぞれが着脱可能に接続されたカソード槽6とアノード槽7と、カソード槽6とアノード槽7の中にそれぞれ配置されたカソード8とアノード9と、カソード8とアノード9に通電する電源16とから構成されている。電気泳動モジュール2は、連結ブロック3を介して着脱可能に連結された一対のゲル充填カラム、すなわち第1のゲル充填カラム4と第2のゲル充填カラム5とから構成されており、ゲル充填カラムの自由端がそれぞれアノード槽7とカソード槽6の嵌合孔(不図示)に着脱可能に嵌合されて接続されている。カソード槽8とアノード槽9は、上面が開放された溶液槽である。それぞれ、複数の電気泳動モジュール2の配列方向に沿って延在し対向する一対の主壁61,61及び71,71と、各電気泳動モジュールの長さ方向に沿って延在し対向する一対の側壁62,62及び72,72と、底壁63と73とから構成されている。カソード槽8とアノード槽9の両側壁62,72には係合穴を有する係合部材11が配設されており、対向する係合部材11,11の係合穴に固定バー10を通し嵌合固定させることにより、カソード槽8とアノード槽9とが対向状態で離間固定されている。
異なるpHを有するゲルを充填した第1のゲル充填カラム4(第1のpHを有する)と第2のゲル充填カラム5(第2のpHを有する)を作製する。次いで、図2に示すように第1のゲル充填カラム4と第2のゲル充填カラム5の端部を嵌合孔302,303にそれぞれ嵌合して固定し、電気泳動モジュール2とする。次いで、図1に示すように電気泳動モジュール2の両端をそれぞれアノード槽7とカソード槽6の嵌合孔に嵌合固定して接続する。使用しないアノード槽7とカソード槽6の嵌合孔は閉鎖する。ここで、より小さいpHのゲルを有するゲル充填カラムはアノード槽に接続する。例えば、第1のpHが第2のpHより小さい場合には、第1のゲル充填カラム4の自由端をアノード槽7に接続し、第2のゲル充填カラム5の自由端をカソード槽6に接続する。次いで、連結ブロック3のサンプルチャンバ301に試料導入孔304から試料溶液を注入する。次いで、アノード槽7とカソード槽6にアノード電解液(酸性電解液)とカソード電解液(塩基性電解液)を満たし、電源16を用いてアノード9とカソード8に通電する。通電により、等電点が低く全体として負の電荷を有する蛋白質はアノード側に移動し、等電点が高く全体として正の電荷を有する蛋白質はカソード側に移動するため、その等電点に応じて第1のゲル充填カラム側あるいは第2のゲル充填カラム側に移動する。一方、第1のpHと第2のpHとの間に等電点を持つ目標蛋白質は、サンプルチャンバ内に集束される。所定時間経過後、通電を中止し、サンプルチャンバから試料溶液を回収する。
本実施の形態は、電気泳動モジュールを構成するゲル充填カラムに、L字型カラムを用いた以外は、実施の形態1と同様の構成を有する。
図4は、本実施の形態に係る等電点電気泳動装置の構成の一例を示す模式正面図である。本実施の形態に係る等電点電気泳動装置20は、一対のL字型のゲル充填カラム23,24を連結ブロック22に嵌合固定した電気泳動モジュール21を有しており、その電気泳動モジュール21の両端は、それぞれアノード槽7とカソード槽6の中に固定部材26,25により電解液に接触可能に保持されている。
2,21 電気泳動モジュール
3 連結ブロック
4,23 第1のゲル充填カラム
5,24 第2のゲル充填カラム
6 カソード槽
7 アノード槽
8 カソード
9 アノード
10 固定バー
11 係合部材
12,13 カラム
14,15 ゲル
16 電源
25,26 固定部材
61,71 主壁
62,72 側壁
63,73 底壁
301 サンプルチャンバ
302,303 嵌合孔
304 試料導入孔
Claims (5)
- 試料溶液を収容するサンプルチャンバを有する連結ブロックと、該連結ブロックを介して端面同士をサンプルチャンバ内の試料溶液に接するように配置された異なるpHを有する一対のゲル充填カラムと、からなる少なくとも1個の電気泳動モジュールと、
各電気泳動モジュールの両端となる上記一対のゲル充填カラムの端部にそれぞれ接続され、電解液を収容するアノード槽とカソード槽と、
該アノード槽と該カソード槽にそれぞれ配置されたアノードとカソードとを有し、
該アノードと該カソードとに通電することにより、一方のゲル充填カラムのpHと他方のゲル充填カラムのpHとの間に等電点を有する試料溶液中の目標タンパク質をサンプルチャンバ内に集束させるようにした等電点電気泳動装置。 - 上記連結ブロックが、上記一対のゲル充填カラムの長さ方向に形成され、上記一対のゲル充填カラムの端部をそれぞれ嵌合固定する一対の嵌合孔を有する請求項1記載の等電点電気泳動装置。
- 上記サンプルチャンバが、上記一対の嵌合孔を接続する連結孔であって、上記一対の嵌合孔と同心配置されている請求項2記載の等電点電気泳動装置。
- 上記サンプルチャンバが、試料導入孔を有する請求項1から3のいずれか一つに記載の等電点電気泳動装置。
- 複数の上記電気泳動モジュールが長さ方向に配置され、かつ各電気泳動モジュールの両端がそれぞれ上記アノード槽と上記カソード槽に接続されている請求項1から4のいずれか一つに記載の等電点電気泳動装置。
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