JP2007218509A - 冷凍冷蔵庫 - Google Patents

Abstract

【課題】放熱パイプを備えた断熱箱体の前面開口部から庫内に入る熱量を減らすことができる冷凍冷蔵庫を提供する。
【解決手段】前面側が開口した外箱３および内箱４からなりこれらの間に断熱材５が充填された断熱箱体２を備え、外箱３は前面側端面を折り曲げて形成され開口部側に開口されたほぼコ字状の挿着部ａが設けられ、内箱４は前面側端面を外箱３側に折り曲げて形成され外箱３の挿着部ａに挿入される挿入部４ａが設けられ、外箱３の挿着部ａ内において内箱４の挿入部４ａに沿って配設された放熱パイプ２を備え、内箱４の挿入部４ａが放熱パイプ１２に沿う形状に形成されて挿入部４ａにシート状の断熱手段１１を設けた。
【選択図】図３

Description

本発明は、冷凍冷蔵庫に係り、より詳しくは、冷凍冷蔵庫の断熱箱体の前面開口部における断熱構造に関するものである。

従来の冷蔵庫の冷媒管固定装置に、冷凍冷蔵庫の外箱と内箱の間の断熱材注入空間と、外箱の前縁に形成した係合溝内とを小孔で連通し、この小孔から係合溝内に発泡液を注入して硬化させ、冷媒管支持部材としたものがある（例えば、特許文献１参照）。

また、開口部内周面に形成した環状溝内に凹溝を有する断熱帯を嵌挿した外箱を有し、開口部外周に形成したフランジ部を断熱帯の凹部内に挿入した内箱を備えた冷蔵庫の断熱箱がある（例えば、特許文献２参照）。

実開昭５８−０２０８８６号公報（第１頁、図３） 実開昭５４−００８１６３号公報（第１頁、図２）

冷凍冷蔵庫では冷却器が庫内の熱量を吸収して冷却しているため、庫外から庫内に熱量が入ると庫内の温度が上昇し、その分、冷却器は余計に吸熱しなければならなくなる。このように、庫外から庫内へと入る熱量を熱ロスといい、熱ロスを少なくすれば、冷却器が吸熱する熱量も減り、圧縮機の運転負荷も減って、省エネルギーになる。

特許文献１にかかる従来の冷蔵庫の冷媒管固定装置は、外箱は扉パッキン内部に設けられたマグネットが吸着可能な金属板によって形成されているため熱の伝導がよく、また、前面開口部は庫内に臨む形状となるため、内箱の端縁を支持部材で支持しているものの、これのみでは熱ロスを防ぐのには充分ではなく、外箱と内箱の結合部等を伝わって庫外から庫内に進入する熱ロスが発生していた。また、外箱の挿着部に設けられた露付き防止用の放熱パイプと内箱挿入部が近接していると、放熱パイプからの熱が内箱を伝わって庫内に入り、熱ロスとなる場合があった。
また、特許文献２にかかる従来の断熱箱は、内箱と外箱とを断熱するものの、電熱ヒータを構成要件としていない。

本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、放熱パイプを備えた断熱箱体の前面開口部から庫内に入る熱量を減らすことができる冷凍冷蔵庫を提供することを目的とする。

本発明に係る冷凍冷蔵庫は、前面側が開口した外箱および内箱からなりこれらの間に断熱材が充填された断熱箱体を備え、前記外箱は前面側端面を折り曲げて形成され開口部側に開口されたほぼコ字状の挿着部が設けられ、前記内箱は前面側端面を外箱側に折り曲げて形成され外箱の挿着部に挿入される挿入部が設けられ、外箱の挿着部内において内箱の挿入部に沿って配設された放熱パイプを備え、内箱の挿入部が放熱パイプに沿う形状に形成されて挿入部にシート状の断熱手段を設けたものである。

冷凍冷蔵庫の断熱箱体の前面開口部において、外箱の挿着部に挿入される内箱の挿入部にシート状の断熱手段を設けたので、外箱の挿着部から内箱の挿入部を伝わって庫外から庫内に進入する熱ロスを防ぐことができるとともに、放熱パイプから内箱の挿入部を伝わって庫内に進入する熱ロスも防ぐことができる。

実施の形態１．
図１は本発明の実施の形態１に係る冷凍冷蔵庫の斜視図、図２は図１のＡ−Ａ断面図、図３は図１のＢ−Ｂ断面図である。
図において、冷凍冷蔵庫は、冷蔵庫本体１とこの冷蔵庫本体１に開閉自在に取り付けられた扉２０及び引出し式の扉２０ａ，２０ｂを備えている。冷蔵庫本体１には断熱箱体２が設けられ、この断熱箱体２は、鋼板よりなる外箱３と、合成樹脂製の内箱４と、これら両者間に充填された断熱材５等によって構成され、断熱箱体２の前面には前面開口部１０が設けられている。そして、外箱３の前面開口縁３１には、前面開口部１０側に向かって狭まり開口した断面ほぼコ字状の挿着部ａが形成されており、この挿着部ａに内箱４の挿入部（後述する）が嵌め込まれている。

外箱３の前面開口縁３１に設けた挿着部ａは、外箱３の端部を複数回折り曲げて形成したものである。すなわち、外箱３の端面を、第１の曲げ部イにおいて前面開口部１０側（図３の右側）に向けてほぼ直角に折り曲げて吸着面３ａを形成し、ついで第２の曲げ部ロにおいて吸着面３ａに沿うようにほぼ１８０度内側に折り返して第１の挿入面３ｂを形成し、次に第３の曲げ部ハ（第１の曲げ部イの内側に位置する）において外箱３の側壁３０に沿って冷蔵庫の奥行側（図３の上部側）に折り曲げて第２の挿入面３ｃを形成し、さらに第４の曲げ部ニ（例えば第３の曲げ部ハより約５〜１０ｍｍの距離に位置する第４の曲げ部ニ）において、前面開口部１０側に鋭角に折り曲げて第３の挿入面３ｄを形成し、これらの第１、第２、第３の挿入面３ｂ，３ｃ，３ｄによって囲まれた部分により挿着部ａを形成する。

内箱４の前面開口部１０側は全周にわたって外箱３の側壁３０側（図３の左側）にほぼ直角に折り曲げられ、その折り曲げ部が外箱３の挿着部ａによって挟まれて、挿着部ａへの挿入部４ａを構成している。そして、内箱４の挿入部４ａには、断面ほぼ逆Ｕ字状に曲げられて冷蔵庫の奥行側に突起したＵ字状曲げ部４ｂが形成されており、Ｕ字状曲げ部４ｂの高さを外箱３の挿着部ａの開口幅よりも大きくすることで、内箱４の挿入部４ａが外箱３の挿着部ａを押し広げて嵌入され、固定されるようにしてある。

内箱４の挿入部４ａの表裏のほぼ全周は断熱手段である断熱シート１１によって覆われている。内箱４の挿入部４ａの幅は例えば約２ｃｍなので、幅約２ｃｍの断熱シート１１を内箱４の挿入部４ａの表と裏に一枚ずつ貼り付けるか、幅約４ｃｍの１枚の断熱シート１１を内箱４の挿入部４ａの表から裏にかけて張り合わせるようにする。
断熱シート１１は、グラス繊維等によって厚さが１．５ｍｍ〜３．０ｍｍ程度のフェルト状に形成され、熱伝導率約０．０３（Ｗ／ｍ Ｋ）の物性を有する。鋼板の熱伝導率は約２０（Ｗ／ｍ Ｋ）、合成樹脂の熱伝導率は約０．２（Ｗ／ｍ Ｋ）であるため、断熱シート１１は鋼板の外箱３や合成樹脂製の内箱４よりも断熱性に優れており、断熱シート１１の片面に粘着加工を施すことで内箱４の挿入部４ａに貼り付けられる構造になっている。

図５は断熱シート１１の１ｍ² あたりの熱抵抗（Ｋ／Ｗ）と省エネルギー率（％）との関係を示す線図である。省エネルギー率１％を達成するには、熱抵抗０．０２（Ｋ／Ｗ）の断熱シートを用いる必要がある。断熱シートの熱抵抗が、０．００〜０．１０（Ｋ／Ｗ）の間は、熱抵抗が大きいほど省エネルギーを達成することができ、最大約２（％）の効果が出るが、図には熱抵抗が約０．０５（Ｋ／Ｗ）で２（％）に漸近する傾向を示しており、熱抵抗を０．１０（Ｋ／Ｗ）以上大きくしても効果は上がらず、適切な断熱シートの熱抵抗は、０．０５〜０．１０（Ｋ／Ｗ）となる。

図６は内箱４の熱ロス分布を示す線図であり、横軸ｘは扉パッキン２１（後述）から内箱４に沿った奥行方向の距離を表しており、内箱４と扉パッキン２１の接点１００を原点とし、ｘが大きくなるほど内箱４に沿って庫内の奥へと進むようになっている。図では、外箱３と内箱４の結合部に近いほど熱ロスが大きくなっているが、断熱シート１１の熱抵抗を０．０５（Ｋ／Ｗ）、０．１０（Ｋ／Ｗ）と増すことで熱ロスの曲線が下がることがわかる。

内箱４の挿入部４ａに設けたＵ字状曲げ部４ｂの凹部側（図３の下部側）と外箱３の第１の挿入面３ｂとの間には、冷蔵庫の上下方向（図３の前後方向）に露付き防止用の放熱パイプ１２が配設され、挿入部４ａと放熱パイプ１２との間には断熱シート１１が介装されている。この放熱パイプ１２は、外箱３の前面開口縁３１（第１の挿入面３ｂ、吸着面３ａ）に熱を逃がし温度を上昇させて露付きを防止する。

また、冷凍冷蔵庫の扉２０には、外箱３の前面開口縁３１の吸着面３ａと当接しあう中空の扉パッキン２１が設けられており、この扉パッキン２１の中空内部には外箱３の吸着面３ａと吸着するマグネット２２が設けられている。

上記のように構成した冷凍冷蔵庫では、図２に示すように、冷媒を圧縮する圧縮機４０と、冷媒が凝縮する凝縮器４１と、凝縮器４１の一部を冷蔵庫本体１の前面開口部１０に通した露付き防止用の放熱パイプ１２と、冷媒を減圧する絞り装置４２と、冷媒が蒸発する冷却器４３とを、この順序において直列に接続して、冷凍サイクルを構成している。

上記のように構成した冷凍冷蔵庫は、図４に示すように、背面が閉じられ前面が開口したほぼ直方体形状をなし開口側縁部がほぼ直角に折り曲げられた挿入部４ａを有する内箱４を準備し、挿入部４ａの両面に断熱シート１１を貼り付け、ついで断熱シート１１のＵ字状曲げ部４ｂの凹部側に放熱パイプ１２を埋め込んで、その挿入部４ａを、ほぼコ字状をなす外箱３の下方から前面開口縁３１に設けた挿着部ａに嵌入し、内箱４と外箱３とを結合する。

次に、冷凍冷蔵庫の動作について説明する。外箱３側より内箱４側に、すなわち庫外より庫内に向かう熱は、外箱３の挿着部ａと内箱４の挿入部４ａの間に介在する断熱シート１１によって遮られる。
また、外箱３の挿着部ａに設けた放熱パイプ１２は、外箱３の前面開口縁３１（第１の挿入面３ｂ、吸着面３ａ）に熱を逃がし温度を上昇させて露付きを防止する。放熱パイプ１２から挿入部４ａへ向かう熱は、外箱３の挿着部ａ内に配置された放熱パイプ１２と内箱４の挿入部４ａとの間に介装された断熱シート１１によって遮られて、挿入部４ａに伝わらない。

本実施の形態１によれば、外箱３の挿着部ａと内箱４の挿入部４ａとの間に断熱シート１１が介在するため、外箱３と内箱４の結合部を伝わって庫外から庫内に進入する熱ロスを少なくすることができる。また、放熱パイプ１２と挿入部４ａの間には断熱シート１１が介装されているため、放熱パイプ１２から挿入部４ａへと伝わる熱ロスも少なくなる。

実施の形態２．
図７は本発明の実施の形態２に係る冷凍冷蔵庫の断面図である。なお、実施の形態１と同一部分には同じ符号を付し、説明を省略する。
実施の形態１では、内箱４の挿入部４ａの表と裏のほぼ全周が断熱シート１１によって覆われている場合を示したが、本実施の形態２では、内箱４の挿入部４ａの放熱パイプ１２が位置する側の面だけを断熱シート１１で覆うようにしたものである。すなわち、図７に示すように、内箱４の挿入部４ａに設けられたＵ字状曲げ部４ｂの凹部側にだけ、例えば厚さ３ｍｍの断熱シート１１を貼り付けるようにしたものである。

外箱３の挿着部ａよりも放熱パイプ１２の方が温度が高いため、内箱４の挿入部４ａに伝わる熱ロスは、外箱３の挿着部ａ（第３の挿入面３ｄ）からよりも放熱パイプ１２からの方が大きい。
本実施の形態２によれば、内箱４の挿入部４ａの放熱パイプ１２が位置する側の面だけに断熱シート１１を貼り付けるようにしたので、断熱シート１１の厚みを増すことができ、放熱パイプ１２からの熱ロスを効率よく減少させることができる。また、挿入部４ａに断熱シート１１を貼り付ける作業が、挿入部４ａの放熱パイプ１２が位置する側の面だけで済むため、作業の効率性が良い。

以上のように、内箱４の挿入部４ａに設けられたＵ字状曲げ部４ｂの凹部側を覆っている断熱シート１１が、外箱３の挿着部ａから内箱４の挿入部４ａに伝わる熱や、放熱パイプ１２から内箱４の挿入部４ａに伝わる熱を妨げるので、庫内に入る熱ロスを減らすことができ、省エネルギーを達成することができる。

上記の説明では、図示の冷凍冷蔵庫に本発明を実施した場合を示したが、これに限定するものではなく、他の構造の冷凍冷蔵庫にも本発明を実施することができる。

本発明の実施の形態１に係る冷凍冷蔵庫の斜視図である。 図１のＡ−Ａ断面図である。 図１のＢ−Ｂ断面図である。 実施の形態１に係る冷凍冷蔵庫の組立方法を示す説明図である。 実施の形態１に係る断熱シートの熱抵抗と省エネルギー率の関係を示した線図である。 実施の形態１に係る熱ロス分布を表す線図である。 本発明の実施の形態２に係る冷凍冷蔵庫の断面図である。

符号の説明

１ 冷蔵庫本体、３ 外箱、３ａ 吸着面、３ｂ 第１の挿入面、３ｃ 第２の挿入面、３ｄ 第３の挿入面、４ 内箱、４ａ 挿入部、４ｂ Ｕ字状曲げ部、５ 断熱材、１１ 断熱シート（断熱手段）、１２ 放熱パイプ、ａ 挿着部。

Claims (6)

1. 前面側が開口した外箱および内箱からなりこれらの間に断熱材が充填された断熱箱体を備え、
   前記外箱は前面側端面を折り曲げて形成され前記開口部側に開口されたほぼコ字状の挿着部が設けられ、前記内箱は前面側端面を前記外箱側に折り曲げて形成され前記外箱の挿着部に挿入される挿入部が設けられ、前記外箱の挿着部内において前記内箱の挿入部に沿って配設された放熱パイプを備え、前記内箱の挿入部が前記放熱パイプに沿う形状に形成されて該挿入部にシート状の断熱手段を設けたことを特徴とする冷凍冷蔵庫。
2. 前記挿入部の表と裏のほぼ全面に前記シート状の断熱手段を設けたことを特徴とする請求項１記載の冷凍冷蔵庫。
3. 前記挿入部の放熱パイプ側の面に前記シート状の断熱手段を設けたことを特徴とする請求項１記載の冷凍冷蔵庫。
4. 前記外箱の挿着部は、該外箱の前面側端面が前記開口部側に折り曲げられ、さらに前記外箱の奥側において１往復するように折り曲げられて形成されたことを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載の冷凍冷蔵庫。
5. 前記断熱手段はフェルト状の断熱シートによって形成されたことを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載の冷凍冷蔵庫。
6. 前記フェルト状の断熱シートはグラス繊維によって形成されたことを特徴とする請求項５記載の冷凍冷蔵庫。

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