JP2007218318A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動変速機の変速歯車機構の入力軸回転速度のバウンド現象が発生する条件下でも、トルク相の油圧制御(スイープ制御)により油圧を十分に上昇させた状態でイナーシャ相制御を開始できるようにする。
【解決手段】アップシフト時に、変速歯車機構11の出力軸回転速度と変速前のギア比との乗算値をエンジン駆動状態判定しきい値と比較して、その比較結果に基づいてエンジンの駆動状態(パワーオン)/非駆動状態(パワーオフ)を判定する。その結果、駆動状態(パワーオン)と判定したときには、ギア比に基づいてイナーシャ相を判定する。一方、非駆動状態(パワーオフ)と判定したときには、エンジン回転速度(又は力軸回転速度)がエンジン駆動状態判定しきい値よりも低く設定された所定回転速度以下に低下した時点をイナーシャ相の開始点と判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動変速機の変速歯車機構の摩擦係合要素の係合動作に伴って該変速歯車機構の入力軸回転速度が変化するイナーシャ相を判定する機能を備えた自動変速機の制御装置に関する発明である。
自動車用の自動変速機は、エンジンの駆動力をトルクコンバータを介して変速歯車機構の入力軸に伝達し、この変速歯車機構で変速して出力軸に伝達し、駆動輪を回転駆動するようにしている。一般に、変速歯車機構は、入力軸と出力軸との間に複数の歯車を配列して、入力軸と出力軸との間に変速比の異なる複数の動力伝達経路を構成し、各動力伝達経路中にクラッチやブレーキ等の摩擦係合要素を設けて、変速段切り換え要求に応じて各摩擦係合要素に作用させる油圧を個別に制御することで、各摩擦係合要素の係合と解放を選択的に切り換えて、入出力軸間の動力伝達経路を切り換えて変速比を切り換えるようにしている。
このような自動変速機の変速制御では、所定の摩擦係合要素に対して油圧制御を開始した後、各摩擦係合要素のトルク分担が変化する段階であるトルク相を経て、入出力軸間の回転速度の比(つまり変速比)が変化する段階であるイナーシャ相に移行する。トルク相では、油圧をフィードフォワード的に上昇させるスイープ制御を実行し、その後のイナーシャ相では、入力軸回転速度に基づいて油圧をフィードバック制御するイナーシャ相制御を実行する。
このイナーシャ相では、変速歯車機構内の回転系の慣性力の変化によるトルク(イナーシャトルク)が発生し、このイナーシャトルクによる出力軸トルク変化によって変速ショックが発生することがある。このイナーシャ相で発生する変速ショックは入力軸回転速度の変化率に依存することが分かっているため、イナーシャ相では、入力軸回転速度の変化率が目標値に追従するように(又は入力軸回転速度が目標入力軸回転速度に追従するように)、油圧をフィードバック制御するイナーシャ相制御を行うことで、イナーシャ相における変速ショックを低減するようにしている。
従来のイナーシャ相の開始点の判定方法は、特許文献1(特開平11−118032号公報)に記載されているように、車両の加速分を考慮するために、変速歯車機構の入力軸回転速度Nt、出力軸回転速度No、変速前のギア比grを用いて、下記の(1)式により変速進行度合評価値Fを算出し、F≧0の場合に、イナーシャ相の開始と判定するようにしている。
No×gr−Nt=F ……(1)
実際には、入力軸回転速度Ntや出力軸回転速度Noを検出する回転センサ信号のふらつきやノイズの影響を考慮するために、F≧Δn(△nは0よりも大きい判定しきい値)の場合、即ち、下記の(2)式が成立した場合に、イナーシャ相の開始と判定するようにしている。
No・gr−Nt≧△n ……(2)
しかし、実際にイナーシャ相が開始される前であっても、上記(2)式が成立することがある。この原因は、イナーシャ相開始前において、入力軸回転速度Ntがバウンドする現象が発生するためである。この現象は、次の2つの原因によって発生する。
1つ目の原因は、摩擦係合要素である変速クラッチの摩擦係数の特性によるものである。つまり、変速クラッチは一般的に係合する初期に一時的に摩擦係数が大きい値となる性質を持つ。このため、変速初期に一時的に摩擦力が大きな値となり、それによって変速が進行しようとする結果、入力軸回転速度Ntは一旦低下し始める(トルク相における回転低下)。しかし、このトルク相では、まだクラッチ油圧が十分に上昇していため、その後に、本来の摩擦係数にまで低下した時点では、変速を進行させるのに十分な係合力(摩擦力)が得られず、エンジンから加えられるトルクによって入力軸回転速度Ntが再び上昇する。そして、その後、クラッチ油圧の上昇に伴って実際の変速が開始し、それに伴って、入力軸回転速度Ntが低下していく。これにより、入力軸回転速度Ntのバウンド現象が発生する。
2つ目の原因は、ワンウェイクラッチを持つ変速段からの変速で、踏み込んでいたアクセルを戻して変速線を過ぎた時の変速(特にパワーオフアップシフト)で発生する。このとき、まず、アクセルを戻すことによるエンジンブレーキ効果により、入力軸回転速度Ntが一旦低下する。その後、ワンウェイクラッチが車両側から負荷トルク(出力軸トルク)を伝達しなくなるため、入力軸につながるイナーシャが低下して、入力軸回転速度Ntの低下が止まったり、若干上昇したりする。その後、実際に変速が進行するに従って入力軸回転速度Ntが低下していく。これにより、入力軸回転速度Ntのバウンド現象が発生する。
従って、入力軸回転速度Ntのバウンド現象が発生する条件下で、前記(2)式によってイナーシャ相の開始点を判定すると、入力軸回転速度Ntのバウンド現象によって最初に入力軸回転速度Ntが低下した時点で、イナーシャ相の開始であると誤判定してしまう結果となる。このイナーシャ相の開始点の誤判定により、変速クラッチの状態がまだトルク相(必要な油圧に上昇する前の状態)であるにも拘らず、イナーシャ相制御(フィードバック制御)を開始してしまうことになり、油圧が不足して入力軸回転速度Ntの動きを適切に調整できず、変速が遅れる等の不具合が発生する。
この対策として、イナーシャ相の開始点を検出するための前記式(2)の判定しきい値Δnを十分に大きい値とすることが考えられるが、この方法では、イナーシャ相開始の検出が遅れてしまい、変速ショックを十分に低減できないという問題がある。
この問題を解決するために、特許文献1の技術では、最初にイナーシャ相の開始を検出した時点で、直ちにイナーシャ相制御を開始し、このイナーシャ相制御の開始から所定時間経過後に、イナーシャ相が進行しているか否かを判定し、イナーシャ相が進行していなければ、イナーシャ相制御を中止するようにしている。
特開平11−118032号公報
しかし、上記特許文献1の技術では、最初にイナーシャ相の開始を検出した時点で、直ちにイナーシャ相制御を開始するため、入力軸回転速度Ntのバウンド現象によってトルク相中に誤ってイナーシャ相制御が開始されてしまう可能性がある。上述したように、トルク相の油圧制御(スイープ制御)では、油圧をフィードフォワード的に上昇させる制御が行われるため、このトルク相中に誤ってイナーシャ相制御(フィードバック制御)が開始されてしまうと、必要な油圧に上昇しないうちにイナーシャ相制御(フィードバック制御)が開始されてしまい、油圧が不足して入力軸回転速度Ntの動きを適切に調整できず、変速が遅れる等の不具合が発生する。
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、入力軸回転速度のバウンド現象が発生する条件下でも、トルク相の油圧制御(スイープ制御)により油圧を十分に上昇させた状態でイナーシャ相制御を開始することができる自動変速機の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、エンジンの駆動力を変速歯車機構で変速して車輪側に伝達する自動変速機の制御装置において、前記変速歯車機構の摩擦係合要素の係合動作に伴って該変速歯車機構の入力軸回転速度が変化するイナーシャ相を判定するイナーシャ相判定手段と、前記イナーシャ相判定手段の判定結果に基づいて前記イナーシャ相にて前記摩擦係合要素に作用させる油圧をフィードバック制御するイナーシャ相制御を行うイナーシャ相制御手段と、前記エンジンの駆動状態/非駆動状態を判定するエンジン駆動状態判定手段とを備え、前記イナーシャ相判定手段は、異なる方法で前記イナーシャ相を判定する複数の判定手段を有し、前記エンジン駆動状態判定手段の判定結果に応じて前記判定手段を切り換えるようにしたものである。
要するに、入力軸回転速度のバウンド現象によるイナーシャ相の誤判定は、パワーオフアップシフト時(エンジンが非駆動状態のアップシフト時)に発生しやすいため、本発明では、エンジンの駆動状態と非駆動状態とでイナーシャ相を判定する判定手段を切り換えるようにしたものである。これにより、エンジンの駆動状態/非駆動状態に合った適切な判定手段でイナーシャ相の開始点を精度良く判定することができ、入力軸回転速度のバウンド現象が発生する条件下でも、トルク相の油圧制御(スイープ制御)により油圧を十分に上昇させた状態でイナーシャ相制御を開始することができる。
この場合、請求項2のように、エンジン駆動状態判定手段は、変速歯車機構の出力軸回転速度と変速前のギア比との乗算値を予め設定されたエンジン駆動状態判定しきい値と比較して、その比較結果に基づいてエンジンの駆動状態/非駆動状態を判定するようにしても良い。ここで、出力軸回転速度と変速前のギア比との乗算値は、変速前の入力軸回転速度に相当するため、これをエンジン駆動状態判定しきい値と比較することで、エンジンの駆動状態/非駆動状態を精度良く判定することができる。
また、請求項3のように、エンジン駆動状態判定しきい値を変速歯車機構の入力トルク毎に設定し、前記エンジン駆動状態判定手段は、判定時の前記変速歯車機構の入力トルクに応じたエンジン駆動状態判定しきい値を用いてエンジンの駆動状態/非駆動状態を判定するようにしても良い。変速歯車機構の入力トルクは、エンジンの駆動状態に応じて変化するため、変速歯車機構の入力トルクに応じたエンジン駆動状態判定しきい値を用いてエンジンの駆動状態/非駆動状態を判定すれば、エンジンの駆動状態/非駆動状態を精度良く判定することができる。
或は、請求項4〜7のように、変速歯車機構の入力トルクの代わりに、スロットル開度、吸入空気量、吸気管圧力、エンジントルクのいずれかに応じてエンジン駆動状態判定しきい値を設定するようにしても良く、この場合でも、エンジンの駆動状態/非駆動状態を精度良く判定することができる。
また、請求項8のように、エンジン駆動状態判定手段は、判定時のエンジントルクの大小によってエンジンの駆動状態/非駆動状態を判定するようにしても良い。この場合でも、エンジンの駆動状態/非駆動状態を精度良く判定することができる。
また、請求項9のように、イナーシャ相判定手段は、エンジン駆動状態判定手段により非駆動状態と判定された場合に、エンジン回転速度(又は変速歯車機構の入力軸回転速度)と前記エンジン駆動状態判定しきい値との差分が所定値以下に低下した時点をイナーシャ相の開始点と判定する判定手段に切り換えるようにしても良い。このようにすれば、パワーオフアップシフト時でも、イナーシャ相の開始点を精度良く判定することができる。
或は、請求項10のように、イナーシャ相判定手段は、エンジン駆動状態判定手段により非駆動状態と判定された場合に、エンジン回転速度(又は前記変速歯車機構の入力軸回転速度)と目標アイドル回転速度との差分が所定値以下に低下した時点をイナーシャ相の開始点と判定する判定手段に切り換えるようにしても良い。このようにすれば、パワーオフアップシフト時でも、イナーシャ相の開始点を精度良く判定することができる。
以上説明した請求項1〜10に係る発明は、エンジン駆動状態判定手段の判定結果に応じてイナーシャ相を判定する判定手段を切り換えることを要旨とする発明であるが、この判定手段の切り換えを行わず、請求項11のように、変速歯車機構の摩擦係合要素の係合動作に伴って該変速歯車機構の入力軸回転速度が変化するイナーシャ相を判定するイナーシャ相判定手段と、前記イナーシャ相判定手段の判定結果に基づいて前記イナーシャ相にて前記摩擦係合要素に作用させる油圧をフィードバック制御するイナーシャ相制御を行うイナーシャ相制御手段とを備え、前記イナーシャ相判定手段は、最初に前記イナーシャ相の判定条件を満たしてから所定期間経過後に再び前記イナーシャ相の判定条件を満たしているときに前記イナーシャ相の判定を確定し、前記イナーシャ相制御手段は、前記イナーシャ相の判定の確定後に前記イナーシャ相制御を開始するようにしても良い。
前述した特許文献1では、最初にイナーシャ相の判定条件を満たした時点で、直ちにイナーシャ相制御を開始するようにしているが、請求項11に係る発明では、最初にイナーシャ相の判定条件を満たした時点では、イナーシャ相制御を開始せず、その後、所定期間経過後に再びイナーシャ相の判定条件を満たしているときのみイナーシャ相の判定を確定してイナーシャ相制御を開始するようにしている。このため、請求項11に係る発明では、イナーシャ相の判定条件を2回満たすまで、トルク相の油圧制御(スイープ制御)を継続して油圧を十分に上昇させてイナーシャ相の進行を確認してからイナーシャ相制御を開始することができる。これにより、トルク相中に誤ってイナーシャ相制御(フィードバック制御)が開始されてしまう事態を回避することができ、変速が遅れる等の不具合を防止できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した幾つかの実施例を説明する。
本発明の実施例1を図1乃至図11に基づいて説明する。
まず、図1に基づいて本実施例1のシステム構成について説明する。
自動車の動力源となるエンジン1の駆動力は、自動変速機2とデファレンシャルギア3を介して駆動輪4に伝達される。エンジン1を制御するエンジン制御用コンピュータ5には、エンジン回転速度を検出するエンジン回転速度センサ6、自動変速機2の出力軸回転速度No(車速)を検出する出力軸回転速度センサ7、エンジン1のスロットル開度を検出するスロットル開度センサ8、吸入空気量を検出する吸入空気量センサ9等の各種センサ信号が入力される。
エンジン制御用コンピュータ5は、これら各種センサ信号に基づいて燃料噴射量や点火時期等を演算してエンジン1に噴射パルスや点火信号を出力して、燃料噴射量や点火時期等を制御する。
一方、前記自動変速機2は、トルクコンバータ10及び変速歯車機構11を備えており、エンジン1から供給される駆動力は、エンジン出力軸1a(図2参照)やトルクコンバータ10を経て変速歯車機構11の入力軸12に伝達される。この入力軸12の回転は、変速歯車機構11の選択変速段に応じて増減速されて出力軸13に伝達され、この出力軸13からデファレンシャルギア3を経て駆動輪4に伝達されることで、駆動輪4が回転駆動されて自動車が走行する。
図2に示すように、自動変速機2の変速歯車機構11は、入力軸12と出力軸13との間に複数の歯車を配列して、入力軸12と出力軸13との間に変速比の異なる複数の動力伝達経路を構成し、各動力伝達経路中にクラッチ(R/C,H/C,LO/C,OR/C,F/C,FO/C)やブレーキ(B/B,LR/B)等の摩擦係合要素を設けて、変速段切り換え要求に応じて各摩擦係合要素に作用させる油圧を個別に制御することで、各摩擦係合要素の係合と解放を選択的に切り換えて、入力軸12と出力軸13との間の動力伝達経路を切り換えて変速比を切り換えるようにしている。
各摩擦係合要素に作用させる油圧を制御する油圧制御回路には、図1に示すように、変速制御用コンピュータ14からの指令に基づき駆動される油圧制御弁15が設けられている。この油圧制御弁15には、変速制御用コンピュータ14の指令で変速段毎に油圧を供給する経路を切り換える2本の変速制御用ソレノイド15a,15bと、油圧の大きさを制御するライン圧制御用ソレノイド16が配置されている。
尚、本実施例1では、2本の変速制御用ソレノイド15a,15bを用いる構成としたが、変速段数や油圧制御弁15内部の構成に応じて、変速制御用ソレノイドの本数を増やしても良い。また、変速過渡時の作動油の急速な充填、排出のためのタイミングを調節するソレノイドを追加しても良い。更に、ライン圧制御用ソレノイド16としては、本実施例1ではデューティソレノイドとして説明するが、油圧を可変にできる機構であればリニアソレノイドなど他の手段を用いても良い。
変速制御用コンピュータ14は、CPU,ROM,RAM,I/O装置からなるマイクロコンピュータで構成されており、前記車速センサ7、スロットル開度センサ8の他に、入力軸12の回転速度Nt(タービン回転速度)を計測する入力軸回転速度センサ17の各信号が入力される。
また、エンジン制御用コンピュータ5と変速制御用コンピュータ14は、通信ライン18で接続され、制御情報や指令を双方向に通信できるように構成されている。この通信ライン18は、LAN(Local Area Network)の様な多重通信機構を用いても良いし、必要な通信毎に制御用コンピュータの入出力ポートを接続する配線でも良い。
次に、本実施例1において変速制御用コンピュータ14が実行する変速制御について説明する。変速制御では、所定の摩擦係合要素に対して油圧制御を開始した後、各摩擦係合要素のトルク分担が変化する段階であるトルク相を経て、入力軸12と出力軸13との間の回転速度の比(つまり変速比)が変化する段階であるイナーシャ相に移行する。トルク相では、油圧をフィードフォワード的に上昇させるスイープ制御を実行し、その後のイナーシャ相では、入力軸回転速度Ntに基づいて油圧をフィードバック制御するイナーシャ相制御を実行する。
このイナーシャ相では、変速歯車機構11内の回転系の慣性力の変化によるトルク(イナーシャトルク)が発生し、このイナーシャトルクによる出力軸13のトルク変化によって変速ショックが発生するおそれがある。このイナーシャ相で発生する変速ショックは入力軸回転速度Ntの変化率に依存することが分かっているため、イナーシャ相では、入力軸回転速度Ntの変化率が目標値に追従するように(又は入力軸回転速度Ntが目標入力軸回転速度Ntrに追従するように)、油圧をフィードバック制御するイナーシャ相制御を行うことで、イナーシャ相における変速ショックを低減するようにしている。
更に、変速制御用コンピュータ14は、後述する図3乃至図6の各ルーチンを実行することで、アップシフト時にエンジン1の駆動状態(パワーオン)/非駆動状態(パワーオフ)を判定し、その判定結果に応じて異なる方法でイナーシャ相を判定する。
具体的には、後述する図4のエンジン駆動状態判定ルーチンを実行することで、変速歯車機構11の出力軸13の回転速度Noと変速前のギア比との乗算値を予め設定されたエンジン駆動状態判定しきい値Neth と比較して、その比較結果に基づいてエンジン1の駆動状態(パワーオン)/非駆動状態(パワーオフ)を判定する。その結果、駆動状態(パワーオン)と判定したときには、後述する図5の駆動時用イナーシャ相判定ルーチンを実行して、ギア比に基づいてイナーシャ相を判定する。一方、非駆動状態(パワーオフ)と判定したときには、後述する図6の非駆動時用イナーシャ相判定ルーチンを実行して、エンジン回転速度Ne(又は変速歯車機構11の入力軸回転速度Nt)とエンジン駆動状態判定しきい値Neth との差分が所定値以下に低下した時点をイナーシャ相の開始点と判定するようにしている。
以下、これら各ルーチンの処理内容を説明する。
[変速制御ルーチン]
図3の変速制御ルーチンは、エンジン運転中に変速制御用コンピュータ14によって所定周期で実行される。本ルーチンが起動されると、まずステップ101で、アップシフト時であるか否かを判定し、アップシフト時でなければ、ステップ109に進み、アップシフト時以外の油圧制御を実行する。
一方、アップシフト時であれば、ステップ102に進み、後述する図4のエンジン駆動状態判定ルーチンを実行して、エンジン1の駆動状態(パワーオン)/非駆動状態(パワーオフ)を判定する。そして、次のステップ103で、図4のエンジン駆動状態判定ルーチンの判定結果がエンジン駆動状態(パワーオン)であるか否かを判定し、エンジン駆動状態(パワーオン)と判定されれば、ステップ104に進み、後述する図5の駆動時用イナーシャ相判定ルーチンを実行して、エンジン駆動状態(パワーオン)におけるイナーシャ相であるか否かを判定する。そして、次のステップ105で、駆動時用イナーシャ相判定ルーチンの判定結果がイナーシャ相であるか否かを判定し、イナーシャ相であれば、ステップ108に進み、イナーシャ相制御を実行して、入力軸回転速度Ntの変化率が目標値に追従するように(又は入力軸回転速度Ntが目標入力軸回転速度Ntrに追従するように)、油圧をフィードバック制御する。尚、上記ステップ105で、イナーシャ相でないと判定されれば、そのまま本ルーチンを終了する。
また、上記ステップ103で、非駆動状態(パワーオフ)と判定されれば、ステップ106に進み、後述する図6の非駆動時用イナーシャ相判定ルーチンを実行して、エンジン非駆動状態(パワーオフ)におけるイナーシャ相であるか否かを判定する。そして、次のステップ107で、非駆動時用イナーシャ相判定ルーチンの判定結果がイナーシャ相であるか否かを判定し、イナーシャ相であれば、ステップ108に進み、イナーシャ相制御を実行して、入力軸回転速度Ntの変化率が目標値に追従するように(又は入力軸回転速度Ntが目標入力軸回転速度Ntrに追従するように)、油圧をフィードバック制御する。このステップ108の処理が特許請求の範囲でいうイナーシャ相制御手段としての役割を果たす。
尚、上記ステップ107で、イナーシャ相でないと判定されれば、そのまま本ルーチンを終了する。
[エンジン駆動状態判定ルーチン]
図4のエンジン駆動状態判定ルーチンは、図3の変速制御ルーチンのステップ102で実行されるサブルーチンであり、特許請求の範囲でいうエンジン駆動状態判定手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ201で、出力軸回転速度センサ7で検出した出力軸回転速度Noを読み込み、次のステップ202で、図7乃至図11のマップの中からいずれか1つのマップを用いてエンジン駆動状態判定しきい値Neth を算出する。ここで、図7のマップは変速歯車機構11の入力トルク毎にエンジン駆動状態判定しきい値Neth を設定したマップであり、図8のマップはスロットル開度毎にエンジン駆動状態判定しきい値Neth を設定したマップであり、図9のマップは吸入空気量毎にエンジン駆動状態判定しきい値Neth を設定したマップであり、図10のマップは吸気管圧力毎にエンジン駆動状態判定しきい値Neth を設定したマップであり、図11のマップはエンジントルク毎にエンジン駆動状態判定しきい値Neth を設定したマップである。エンジントルク等の情報は、エンジン制御用コンピュータ5から変速制御用コンピュータ14に送信される。
図7乃至図11のエンジン駆動状態判定しきい値Neth を算出するマップの特性は、パラメータ(入力トルク、スロットル開度、吸入空気量、吸気管圧力、エンジントルク)が大きくなるほど、エンジン駆動状態判定しきい値Neth が大きくなるように設定されている。
この後、ステップ203に進み、変速歯車機構11の出力軸回転速度Noと変速前のギア比との乗算値とエンジン駆動状態判定しきい値Neth との差分が所定値よりも小さいか否か、つまり下記の(3)式が成立するか否かで、エンジン1の駆動状態(パワーオン)/非駆動状態(パワーオフ)を判定する。
No×変速前ギア比−Neth <所定値 ……(3)
上記(3)式が成立すれば、ステップ204に進み、非駆動状態(パワーオフ)と判定し、上記(3)式が成立しなければ、ステップ205に進み、駆動状態(パワーオン)と判定する。
[駆動時用イナーシャ相判定ルーチン]
図5の駆動時用イナーシャ相判定ルーチンは、図3の変速制御ルーチンのステップ104で実行されるサブルーチンであり、特許請求の範囲でいうイナーシャ相判定手段(判定手段)としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ301で、現在のギア比を読み込み、次のステップ302で、現在のギア比が所定値よりも低くなったか否かを判定し、現在のギア比が所定値以上であれば、まだトルク相と判断して、そのまま本ルーチンを終了する。その後、ギア比が所定値よりも低くなれば、ステップ303に進み、イナーシャ相と判定する。これにより、駆動状態(パワーオン)の時には、ギア比が所定値よりも低くなった時点をイナーシャ相の開始点と判定する。
[非駆動時用イナーシャ相判定ルーチン]
図6の非駆動時用イナーシャ相判定ルーチンは、図3の変速制御ルーチンのステップ106で実行されるサブルーチンであり、特許請求の範囲でいうイナーシャ相判定手段(判定手段)としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ401で、エンジン回転速度Neを読み込み、次のステップ402で、前述した図7乃至図11のマップの中からいずれか1つのマップを用いてエンジン駆動状態判定しきい値Neth を算出する。この後、ステップ403に進み、エンジン回転速度Neとエンジン駆動状態判定しきい値Neth との差分(Ne−Neth )が所定値よりも低くなったか否かを判定し、当該差分(Ne−Neth )が所定値以上であれば、まだトルク相と判断して、そのまま本ルーチンを終了する。
その後、差分(Ne−Neth )が所定値よりも低くなれば、ステップ404に進み、イナーシャ相と判定する。これにより、非駆動状態(パワーオフ)の時には、差分(Ne−Neth )が所定値よりも低くなった時点をイナーシャ相の開始点と判定する。
尚、エンジン回転速度Neに代えて入力軸回転速度Ntを用いて、入力軸回転速度Ntとエンジン駆動状態判定しきい値Neth との差分(Nt−Neth )が所定値よりも低くなった時点をイナーシャ相の開始点と判定するようにしても良い。
以上説明した本実施例1によれば、変速歯車機構11の入力軸回転速度Ntのバウンド現象によるイナーシャ相の開始点の誤判定は、パワーオフアップシフト時(エンジン1が非駆動状態のアップシフト時)に発生しやすいという事情を考慮して、エンジン1の駆動状態(パワーオン)と非駆動状態(パワーオフ)とでイナーシャ相の開始点を判定する判定手段(図5と図6のルーチン)を切り換えるようにしたので、エンジン1の駆動状態(パワーオン)/非駆動状態(パワーオフ)に合った適切な判定手段でイナーシャ相の開始点を精度良く判定することができ、入力軸回転速度Ntのバウンド現象が発生する条件下でも、トルク相の油圧制御(スイープ制御)により油圧を十分に上昇させた状態でイナーシャ相制御を開始することができる。
本発明の実施例2では、図12のエンジン駆動状態判定ルーチン(エンジン駆動状態判定手段)を実行することで、エンジン1の駆動状態(パワーオン)/非駆動状態(パワーオフ)を次のようにして判定する。まず、ステップ501で、エンジン制御用コンピュータ5から変速制御用コンピュータ14に送信されてくるエンジントルクの情報を読み込み、次のステップ502で、エンジントルクが0以下であるか否かを判定する。その結果、エンジントルクが0以下と判定されれば、ステップ503に進み、非駆動状態(パワーオフ)と判定し、エンジントルクが0よりも大きいと判定されれば、ステップ504に進み、駆動状態(パワーオン)と判定する。その他の処理は、前記実施例1と同じである。
本発明の実施例3では、図13の非駆動時用イナーシャ相判定ルーチン(イナーシャ相判定手段)を実行することで、イナーシャ相の開始点を次のようにして判定する。まず、ステップ601で、エンジン回転速度Neを読み込み、次のステップ602で、目標アイドル回転速度Neiを読み込む。この後、ステップ603に進み、エンジン回転速度Neと目標アイドル回転速度Neiとの差分(Ne−Nei)が所定値よりも低くなったか否かを判定し、当該差分(Ne−Nei)が所定値以上であれば、まだトルク相と判断して、そのまま本ルーチンを終了する。その後、差分(Ne−Nei)が所定値よりも低くなれば、ステップ604に進み、イナーシャ相と判定する。これにより、非駆動状態(パワーオフ)の時には、差分(Ne−Nei)が所定値よりも低くなった時点をイナーシャ相の開始点と判定する。その他の処理は、前記実施例1と同じである。
尚、エンジン回転速度Neに代えて入力軸回転速度Ntを用いて、入力軸回転速度Ntと目標アイドル回転速度Neiとの差分(Nt−Nei)が所定値よりも低くなった時点をイナーシャ相の開始点と判定するようにしても良い。
上記実施例1〜3では、エンジン駆動状態/非駆動状態の判定結果に応じてイナーシャ相を判定する判定手段(図5と図6のルーチン)を切り換えるようにしたが、図14乃至図16に示す本発明の実施例4では、イナーシャ相開始の判定条件を満たしてから所定期間経過後にイナーシャ相進行の判定条件を満たしているときにイナーシャ相の判定を確定し、このイナーシャ相の判定の確定後にイナーシャ相制御を開始するようにしている。
本実施例4では、変速制御用コンピュータ14によって図14の変速制御ルーチンを所定周期で実行する。本ルーチンが起動されると、まずステップ701で、アップシフト時であるか否かを判定し、アップシフト時でなければ、ステップ702に進み、アップシフト時以外の油圧制御を実行する。
一方、アップシフト時であれば、ステップ703に進み、出力軸回転速度No、変速前のギア比、入力軸回転速度Nt、目標入力軸回転速度Ntrを読み込む。この後、ステップ704に進み、イナーシャ相進行フラグFlag2がイナーシャ相進行中を意味する「1」にセットされているか否かを判定し、このイナーシャ相進行フラグFlag2が「1」であれば、ステップ714に進み、イナーシャ相制御を実行して、入力軸回転速度Ntの変化率が目標値に追従するように(又は入力軸回転速度Ntが目標入力軸回転速度Ntrに追従するように)、油圧をフィードバック制御する。
上記ステップ704で、イナーシャ相進行フラグFlag2が「0」と判定されれば、ステップ705に進み、イナーシャ相開始フラグFlag1がイナーシャ相開始を意味する「1」にセットされているか否かを判定する。その結果、このイナーシャ相開始フラグFlag1が「0」と判定されれば、ステップ706に進み、出力軸回転速度Noと変速前のギア比grとの乗算値と入力軸回転速度Ntとの差分(No・gr−Nt)が判定しきい値Δn以上であるか否か、つまり下記の(4)式が成立するか否かでイナーシャ相開始か否かを判定する。
No・gr−Nt≧△n ……(4)
ここで、入力軸回転速度Ntと出力軸回転速度Noを検出する回転速度センサ17,7の信号のふらつきやノイズの影響を考慮するために、判定しきい値Δnは0よりも大きい値に設定されている。
このステップ706で、上記(4)式が成立して、イナーシャ相開始と判定されれば、ステップ708に進み、イナーシャ相開始フラグFlag1をイナーシャ相開始を意味する「1」にセットして、ステップ709に進み、トルク相制御を実行して、油圧をフィードフォワード的に上昇させるスイープ制御を実行する。つまり、上記(4)式で定義されるイナーシャ相開始の判定条件を満たしても、イナーシャ相制御を開始せず、トルク相制御(スイープ制御)を継続する。
また、上記ステップ706で、上記(4)式が成立せず、イナーシャ相開始ではないと判定されれば、ステップ707に進み、イナーシャ相開始フラグFlag1を「0」に維持(又はリセット)して、ステップ709に進み、トルク相制御(スイープ制御)を継続する。
一方、上記ステップ705で、イナーシャ相開始フラグFlag1がイナーシャ相開始を意味する「1」にセットされていると判定されれば、ステップ710に進み、イナーシャ相開始フラグFlag1が「1」にセットされてから所定時間Δt0 が経過したか否かを判定する。まだ、所定時間Δt0 が経過していなければ、ステップ709に進み、トルク相制御(スイープ制御)を継続する。
その後、所定時間Δt0 が経過した時点で、ステップ711に進み、入力軸回転速度Ntと目標入力軸回転速度Ntrとの差分(Nt−Ntr)が判定しきい値ΔN以上であるか否か、つまり下記の(5)式が成立するか否かでイナーシャ相が進行しているか否かを判定する。
Nt−Ntr≧△N ……(5)
ここで、入力軸回転速度センサ17の信号のふらつきやノイズの影響を考慮するために、判定しきい値ΔNは0よりも大きい値に設定されている。
上記ステップ711で、上記(5)式が成立せず、まだイナーシャ相が進行していないと判定されれば、ステップ712に進み、イナーシャ相進行フラグFlag2を「0」に維持(又はリセット)して、ステップ709に進み、トルク相制御(スイープ制御)を継続する。
これに対して、上記ステップ711で、上記(5)式が成立して、イナーシャ相が進行していると判定されれば、ステップ713に進み、イナーシャ相進行フラグFlag2を「1」にセットする。これにより、イナーシャ相の判定が確定して、ステップ714に進み、イナーシャ相制御を開始する。
尚、上記ステップ703〜713の処理が特許請求の範囲でいうイナーシャ相判定手段としての役割を果たし、上記ステップ714の処理が特許請求の範囲でいうイナーシャ相制御手段としての役割を果たす。
以上説明した本実施例4の変速制御について図15と図16のタイムチャートを用いて説明する。図15は入力軸回転速度Ntのバウンド現象が発生した場合の制御例を示し、図16は入力軸回転速度Ntのバウンド現象が発生しない場合の制御例を示している。
図15の例では、イナーシャ相開始の判定条件(No・gr−Nt≧△n)が成立した時点T0 で、イナーシャ相開始フラグFlag1が「1」にセットされるが、その後、入力軸回転速度Ntのバウンド現象が発生したため、所定時間Δt0 が経過した時点T1 で、イナーシャ相進行の判定条件(Nt−Ntr≧△N)が成立せず、イナーシャ相進行フラグFlag2が「0」に維持される。
その後、所定時間Δt0 が経過した時点T2 、更に、それから所定時間Δt0 が経過した時点T3 でも、イナーシャ相進行の判定条件(Nt−Ntr≧△N)が成立せず、イナーシャ相進行フラグFlag2が「0」に維持される。このように、イナーシャ相進行フラグFlag2が「0」に維持されている間は、トルク相制御(スイープ制御)が継続される。
その後、所定時間Δt0 が経過した時点T4 で、イナーシャ相進行の判定条件(Nt−Ntr≧△N)が成立して、イナーシャ相進行フラグFlag2が「1」にセットされる。これにより、イナーシャ相の判定が確定してイナーシャ相制御が開始される。
一方、図16の例では、イナーシャ相開始の判定条件(No・gr−Nt≧△n)が成立した時点T0 で、イナーシャ相開始フラグFlag1が「1」にセットされた後、入力軸回転速度Ntのバウンド現象が発生しないため、所定時間Δt0 が経過した時点T2 で、イナーシャ相進行の判定条件(Nt−Ntr≧△N)が成立して、イナーシャ相進行フラグFlag2が「1」にセットされる。これにより、イナーシャ相の判定が確定してイナーシャ相制御が開始される。
以上説明した本実施例4によれば、イナーシャ相開始の判定条件を満たしてから所定期間経過後にイナーシャ相進行の判定条件を満たしているときにイナーシャ相の判定を確定し、このイナーシャ相の判定の確定後にイナーシャ相制御を開始するようにしているため、イナーシャ相の進行を確認するまで、トルク相制御を継続して油圧を十分に上昇させてからイナーシャ相の進行中にイナーシャ相制御を開始することができる。これにより、トルク相中に誤ってイナーシャ相制御が開始されてしまう事態を回避することができ、変速が遅れる等の不具合を防止できる。
本発明の実施例1の制御システム全体の構成を概略的に示す図である。 自動変速機の構成を概略的に示す図である。 実施例1の変速制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1のエンジン駆動状態判定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の駆動時用イナーシャ相判定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の非駆動時用イナーシャ相判定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 変速歯車機構の入力トルク毎にエンジン駆動状態判定しきい値Neth を設定したマップの一例を示す図である。 スロットル開度毎にエンジン駆動状態判定しきい値Neth を設定したマップの一例を示す図である。 吸入空気量毎にエンジン駆動状態判定しきい値Neth を設定したマップの一例を示す図である。 吸気管圧力毎にエンジン駆動状態判定しきい値Neth を設定したマップの一例を示す図である。 エンジントルク毎にエンジン駆動状態判定しきい値Neth を設定したマップの一例を示す図である。 実施例2のエンジン駆動状態判定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例3の非駆動時用イナーシャ相判定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例4の変速制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 入力軸回転速度Ntのバウンド現象が発生した場合の制御例を示すタイムチャートである。 入力軸回転速度Ntのバウンド現象が発生しない場合の制御例を示すタイムチャートである。
符号の説明
1…エンジン、2…自動変速機、5…エンジン制御用コンピュータ、6…エンジン回転速度センサ、7…出力軸回転速度センサ、8…スロットル開度センサ、10…トルクコンバータ、11…変速歯車機構、12…入力軸、13…出力軸、14…変速制御用コンピュータ(イナーシャ相判定手段,イナーシャ相制御手段,エンジン駆動状態判定手段,判定手段)、17…入力軸回転速度センサ

Claims (11)

  1. エンジンの駆動力を変速歯車機構で変速して車輪側に伝達する自動変速機の制御装置において、
    前記変速歯車機構の摩擦係合要素の係合動作に伴って該変速歯車機構の入力軸回転速度が変化するイナーシャ相を判定するイナーシャ相判定手段と、
    前記イナーシャ相判定手段の判定結果に基づいて前記イナーシャ相にて前記摩擦係合要素に作用させる油圧をフィードバック制御するイナーシャ相制御を行うイナーシャ相制御手段と、
    前記エンジンの駆動状態/非駆動状態を判定するエンジン駆動状態判定手段とを備え、 前記イナーシャ相判定手段は、異なる方法で前記イナーシャ相を判定する複数の判定手段を有し、前記エンジン駆動状態判定手段の判定結果に応じて前記判定手段を切り換えることを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 前記エンジン駆動状態判定手段は、前記変速歯車機構の出力軸回転速度と変速前のギア比との乗算値を予め設定されたエンジン駆動状態判定しきい値と比較して、その比較結果に基づいて前記エンジンの駆動状態/非駆動状態を判定することを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
  3. 前記エンジン駆動状態判定しきい値は、前記変速歯車機構の入力トルク毎に設定され、 前記エンジン駆動状態判定手段は、判定時の前記変速歯車機構の入力トルクに応じたエンジン駆動状態判定しきい値を用いて前記エンジンの駆動状態/非駆動状態を判定することを特徴とする請求項2に記載の自動変速機の制御装置。
  4. 前記エンジン駆動状態判定しきい値は、スロットル開度毎に設定され、
    前記エンジン駆動状態判定手段は、判定時のスロットル開度に応じたエンジン駆動状態判定しきい値を用いて前記エンジンの駆動状態/非駆動状態を判定することを特徴とする請求項2に記載の自動変速機の制御装置。
  5. 前記エンジン駆動状態判定しきい値は、吸入空気量毎に設定され、
    前記エンジン駆動状態判定手段は、判定時の吸入空気量に応じたエンジン駆動状態判定しきい値を用いて前記エンジンの駆動状態/非駆動状態を判定することを特徴とする請求項2に記載の自動変速機の制御装置。
  6. 前記エンジン駆動状態判定しきい値は、吸気管圧力毎に設定され、
    前記エンジン駆動状態判定手段は、判定時の吸気管圧力に応じたエンジン駆動状態判定しきい値を用いて前記エンジンの駆動状態/非駆動状態を判定することを特徴とする請求項2に記載の自動変速機の制御装置。
  7. 前記エンジン駆動状態判定しきい値は、エンジントルク毎に設定され、
    前記エンジン駆動状態判定手段は、判定時のエンジントルクに応じたエンジン駆動状態判定しきい値を用いて前記エンジンの駆動状態/非駆動状態を判定することを特徴とする請求項2に記載の自動変速機の制御装置。
  8. 前記エンジン駆動状態判定手段は、判定時のエンジントルクに基づいて前記エンジンの駆動状態/非駆動状態を判定することを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
  9. 前記イナーシャ相判定手段は、前記エンジン駆動状態判定手段により非駆動状態と判定された場合に、エンジン回転速度又は前記変速歯車機構の入力軸回転速度と前記エンジン駆動状態判定しきい値との差分が所定値以下に低下した時点を前記イナーシャ相の開始点と判定する判定手段に切り換えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
  10. 前記イナーシャ相判定手段は、前記エンジン駆動状態判定手段により非駆動状態と判定された場合に、エンジン回転速度又は前記変速歯車機構の入力軸回転速度と目標アイドル回転速度との差分が所定値以下に低下した時点を前記イナーシャ相の開始点と判定する判定手段に切り換えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
  11. エンジンの駆動力を変速歯車機構で変速して車輪側に伝達する自動変速機の制御装置において、
    前記変速歯車機構の摩擦係合要素の係合動作に伴って該変速歯車機構の入力軸回転速度が変化するイナーシャ相を判定するイナーシャ相判定手段と、
    前記イナーシャ相判定手段の判定結果に基づいて前記イナーシャ相にて前記摩擦係合要素に作用させる油圧をフィードバック制御するイナーシャ相制御を行うイナーシャ相制御手段とを備え、
    前記イナーシャ相判定手段は、最初に前記イナーシャ相の判定条件を満たしてから所定期間経過後に再び前記イナーシャ相の判定条件を満たしているときに前記イナーシャ相の判定を確定し、
    前記イナーシャ相制御手段は、前記イナーシャ相の判定の確定後に前記イナーシャ相制御を開始することを特徴とする自動変速機の制御装置。
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