JP2007217385A - 不凍糖タンパク質誘導体を含有する細胞氷冷温保存用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温ストレスから保存細胞を保護することのできる、細胞の氷冷温保存用組成物を提供する。
【解決手段】式(I):
(式中、R1は
であり、Acはアセチルを表し、nは2以上の整数である)
で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を含有することを特徴とする、細胞氷冷温保存用組成物。本発明の組成物は、哺乳動物の細胞、組織または臓器のバイアビリティを低下させることなく長期に氷冷温保存するための組成物として有用である。
【選択図】なし
【解決手段】式(I):
(式中、R1は
であり、Acはアセチルを表し、nは2以上の整数である)
で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を含有することを特徴とする、細胞氷冷温保存用組成物。本発明の組成物は、哺乳動物の細胞、組織または臓器のバイアビリティを低下させることなく長期に氷冷温保存するための組成物として有用である。
【選択図】なし
Description
本発明は哺乳動物の細胞を氷冷温保存するための組成物、それを含有する溶液および保存方法に関する。
生細胞を生きたまま半永久的に保存する凍結保存技術は、現在、輸血のための血球の保存、骨髄移植や臓器移植のための骨髄細胞や生体組織の保存、人工授精や遺伝資源の保存のための精子や受精卵の保存等に幅広く利用されつつある。しかし、解凍後の生体組織の機能回復率は高いとは言えず、より望ましい保存技術の開発が求められている。
細胞、組織または臓器を低温保存した場合の致死的な要因は、氷点以下に冷却することによって細胞内外に発生した氷が物理的に核やミトコンドリア等の細胞内小器官などを破壊してしまうことであると考えられている。
非特許文献1において血液中における巨大分子不凍化化合物が報告され、この巨大分子不凍化化合物は現在では「不凍糖タンパク質」(AFGP)と呼ばれている。AFGPは以下のような機能を有している。
(a)氷結晶の形態を変化させる。
(b)形状を保ったまま、氷結晶の成長を抑制する。
(c)熱ヒステリシス活性を有する。すなわち、融点は純水と氷の平衡温度とほとんど変化させず、AFGPの濃度・分子量に依存して凝固点を数度下げる。
(d)氷結晶の再結晶化を抑制する。
(e)細胞膜などの脂質を低温下で安定化させる。
好ましいAFGPの例としては、非特許文献1、特許文献1に開示されたAFGP誘導体を挙げることができる。また特許文献2には該AFGP誘導体を用いた細胞、組織または臓器等の凍結保存効果について記載されている。
しかしながら、哺乳動物の細胞、組織または臓器の凍結保存は、上記の通り必然的に生じる氷の結晶がもたらす物理的なダメージを完全に避けることはできず、細胞等の保存において絶対的な手法であるとは言えない。
この氷の結晶がもたらす物理的なダメージを避けるためには、氷点以上であって微生物等の増殖や細胞内の各種成分の代謝、分解が事実上抑制される温度(以下、氷冷温ということとする)、好ましくは氷点以上〜10℃で細胞等を保存することが考えられる。
しかし、かかる氷冷温での細胞等の保存には、氷の結晶がもたらす物理的なダメージとは全く別の問題による細胞等のバイアビリティの低下という問題が指摘されている。例えば、氷冷温に長時間置かれた細胞において、低温ストレス時の細胞膜リン脂質二重層の相転移反応による不可逆的な変化が細胞膜機能の障害をもたらすことが報告されている(非特許文献2)。
アンジュヴァンテ ケミー インターナショナル エディション(Angewandte Chemie / International edition)、第43巻、p.856−862、2004年
ルビンスキー(Boris Rubinsky)、ハート フェイルアー レビュー(Heart Failure Reviews)、第8巻、p.277−284、2003年
国際公開WO00/09546号パンフレット
国際公開WO05/95586号パンフレット
以上のように、細胞等を長期に氷冷温で保存するためには、氷冷温保存に特有の細胞等のバイアビリティの低下を防止する技術が必要とされている。本発明は、かかるバイオアビリティの低下を防止した細胞等の新たな氷冷温保存方法を提供することを課題とするものである。
本発明は、
(1)式(I):
(1)式(I):
(式中、R1は
であり、Acはアセチルであり、nは2以上の整数である)
で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物(以下、化合物(I)とする)を含有することを特徴とする、細胞氷冷温保存用組成物に関する。
で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物(以下、化合物(I)とする)を含有することを特徴とする、細胞氷冷温保存用組成物に関する。
詳しくは、以下の(2)〜(8)に関する。
(2)nが2〜10から選択される1種である式(I)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物のみまたはnが2〜10から選択される2種以上である式(I)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物の混合物のみを含有する(1)記載の組成物。
ここで、nが2〜10から選択される1種である式(I)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物のみを含有する組成物とは、実質的に不純物を含まないことを意味する。ここで、不純物とは、魚類等からAFGPを抽出する際に混入するAFGP以外の成分を包含する。
nが2〜10から選択される2種以上である式(I)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物の混合物のみを含有する組成物とは、nが2〜10から選択される式(I)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物、および前記のnとは異なる2〜10から選択される1または2以上の式(I)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物の混合物を含み、実質的に不純物を含まない組成物を意味する。ここで、不純物とは、魚類等からAFGPを抽出する際に混入するAFGP以外の成分を包含する。
(3)R1が
(式中、Acはアセチルを表す)
である、(1)記載の組成物。
である、(1)記載の組成物。
(4)細胞が、哺乳動物の細胞、または組織もしくは臓器の形態である、(1)記載の組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物を含有する細胞氷冷温保存用溶液。
(6)式(I):
(式中、R1は
であり、Acはアセチルであり、nは2以上の整数である)
で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物と細胞を接触させることを特徴とする、細胞の氷冷温保存方法。
で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物と細胞を接触させることを特徴とする、細胞の氷冷温保存方法。
(7)i)(5)記載の溶液と細胞とを接触させる工程、および
ii)該細胞を氷点以上10℃以下で保存する工程
を含むことを特徴とする、細胞の氷冷温保存方法、および
(8)i)(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物を、10μg/ml〜100mg/mlの濃度で含有する細胞氷冷温保存用溶液と細胞とを接触させる工程、および
ii)該細胞を氷点以上10℃以下で保存する工程
を含むことを特徴とする、細胞の氷冷温保存方法。
ii)該細胞を氷点以上10℃以下で保存する工程
を含むことを特徴とする、細胞の氷冷温保存方法、および
(8)i)(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物を、10μg/ml〜100mg/mlの濃度で含有する細胞氷冷温保存用溶液と細胞とを接触させる工程、および
ii)該細胞を氷点以上10℃以下で保存する工程
を含むことを特徴とする、細胞の氷冷温保存方法。
本発明組成物の使用により、細胞を長期に氷冷温保存することが可能となる。保存された細胞は、氷冷温保存時に生じ得る細胞障害等が最小限に抑えられ、その機能を高度に維持している。従って、本発明組成物を用いて保存された細胞、組織または臓器は長期保存後においても移植等に好適に用いることができ、移植後の組織障害、臓器障害等を予防または改善することが可能である。
本明細書中において、「細胞」とは動物細胞および植物細胞を包含し、好ましくは哺乳動物の細胞である。ここで「哺乳動物」とはヒト、ブタおよびウシ等を含む温血哺乳動物を意味する。
本明細書中における「細胞」は複数個が集合することにより、組織または臓器の形態をとっていてもよい。哺乳動物の「細胞」としては、例えば膵島、肝細胞、白血球、赤血球、血小板、卵母細胞および胚等の細胞、皮膚組織、骨髄組織および角膜組織等の組織、並びに膵臓、肝臓、脳、肺、心臓、胃、腎臓、脾臓、卵巣および精巣等の臓器を包含するものである。
「氷冷温保存」とは、細胞、臓器または組織を凍結することなく、氷冷温下で保存することを包含する。氷冷温とは氷点以上であって微生物の増殖や細胞内の各種成分の代謝、分解が事実上抑制される温度を意味し、具体的には氷点以上10℃以下、より狭義には氷点以上5℃以下である。
化合物(I)はその製薬上許容される塩を包含し、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、臭化水素酸等の鉱酸の塩;ギ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、フマール酸、マレイン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、カンファースルホン酸等の有機酸の塩;アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム等の有機塩基の塩;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の塩またはカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩等を挙げることができる
化合物(I)はその溶媒和物も包含し、化合物(I)1分子に対し、任意の数の溶媒分子と配位していてもよい。
化合物(I)はその溶媒和物も包含し、化合物(I)1分子に対し、任意の数の溶媒分子と配位していてもよい。
化合物(I)中のnは2以上の整数であれば本発明に好適に用いることができるが、好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは50以下、さらに好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下、最も好ましくは8以下である。
重量平均分子量は好ましくは1.2kDa以上、より好ましくは2kDa以上、さらに好ましくは3kDa以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは40kDa以下、さらに好ましくは15kDa以下、より好ましくは7kDa以下、最も好ましくは5kDa以下である。
数平均分子量の下限は好ましくは1.5kDa以上、より好ましくは2.8kDa以上であり、上限は好ましくは5kDa以下、より好ましくは4kDa、さらに好ましくは3.5kDaである。
化合物(I)の好ましい具体例として、下記化合物a〜cが挙げられる。
(式中、Acはアセチルを表す)
化合物aは式(I)のR1がNアセチルガラクトサミンである化合物であり、化合物bは式(I)のR1がNアセチルグルコサミンである化合物であり、化合物cは式(I)のR1がガラクトシルNアセチルガラクトサミンである化合物である。
化合物aは式(I)のR1がNアセチルガラクトサミンである化合物であり、化合物bは式(I)のR1がNアセチルグルコサミンである化合物であり、化合物cは式(I)のR1がガラクトシルNアセチルガラクトサミンである化合物である。
本発明組成物は化合物(I)を含むものであれば、特にその組成および形状等は限定されない。化合物(I)はいずれか1種単独で用いてもよく、R1および/またはnが異なる2種以上を混合して用いてもよい。当該組成物の形状は粉末、顆粒、または溶液等のいずれであってもよい。化合物(I)以外に氷冷温保存で通常使用される各種添加剤や溶媒と混合して組成物とすることも可能である。
本発明溶液は本発明組成物を含むものであれば特に限定されないが、好ましくは、組織や臓器の保存に臨床上使用されている保存液または還流液に本発明組成物を添加することにより得られる。
臨床上使用されている保存液または還流液としては、生理食塩水、リンゲル液、コリンズ液、ユーロコリンズ液、UW液、PFC(パーフルオロカーボン)乳剤、ジメチルスルホキシド(以下、DMSO)溶液、グリセリン溶液等が挙げられる。特に好ましくはユーロコリンズ液またはUW液である。
上記保存液または還流液に本発明組成物を添加すれば本発明溶液が得られる。
本発明溶液中の化合物(I)の濃度は細胞、臓器または組織の種類、保存条件、保存液または還流液の種類、並びにその他の添加剤の種類および濃度等により、例えば10μg/ml〜100mg/mlの範囲で適宜変更することができる。好ましくは100μg/ml〜80mg/ml、より好ましくは1mg/ml〜50mg/ml以下である。
さらに必要に応じて、通常使用されている細胞保護剤の1種以上の添加剤が添加されていてもよい。
細胞保護剤としてはDMSO、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、グルコース、スクロース、トレハロース、プロパンジオール、ブタンジオール、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、およびポリビニルピロリドン等が挙げられる。
細胞保護剤の濃度はその種類、細胞、臓器または組織の種類、保存条件および化合物(I)の濃度等により、例えば0.01mmol/ml〜20mmol/mlの範囲で適宜変更が可能である。濃度の下限は、好ましくは0.1mmol/ml以上、さらに好ましくは0.5mmol/ml以上、最も好ましくは1mmol/ml以上である。濃度の上限は、好ましくは10mmol/ml以下、さらに好ましくは5mmol/ml以下、最も好ましくは2mmol/ml以下である。
細胞を保存する場合には、本発明溶液に細胞を懸濁した後、氷冷温にまで冷却すればよい。細胞が組織または臓器の形態である場合には、十分に本発明溶液と組織または臓器を接触させるため、一定時間、氷冷温にて本発明溶液中に浸漬または還流するか、あるいは浸漬または貫流した後に氷冷温にまで冷却することが好ましい。例えば0〜10℃の条件下で数分〜数時間細胞や組織を浸漬または還流させればよい。
氷冷温保存した細胞、組織または臓器はそのまま移植等に用いることができ、良好なバイアビリティを維持するため、氷冷温から常温に戻した際、または移植後に高い生存率あるいは機能回復率を示す。
天然物から抽出されるAFGPはプロリン等の不純物が混入しているため、天然AFGPを含む保存液を使用した場合、保存中に細胞、組織または臓器等に対する細胞障害等の誘因となる。しかし、本発明組成物は純度の高い合成AFGPである化合物(I)を使用することから、不純物による影響は最小限に抑えることができる。
また、化合物(I)は化学合成により大量に製造することが可能であり、安価に大量の本発明組成物を調製することが可能である。
以下に実施例および試験例を示すが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
ヒト肝癌由来細胞株HepG2の氷冷温保存
ATCCより分譲されたヒト肝細胞癌由来細胞株HepG2を、DMEM+10%FCS培地100μlを含む96穴プレートに4x104/wellの細胞密度で接種して、37℃、5%CO2雰囲気下で24時間培養した。臓器保存液Euro-Collins液(小林製薬工業、EC)に溶解した合成不凍糖タンパク質(化合物a)を10、100、500各μg/ml、1、5、10各mg/mlとなるように調整し、培地を該保存液に交換したのちに4℃にて低温インキュベーター(和研薬)にて培養した。
ATCCより分譲されたヒト肝細胞癌由来細胞株HepG2を、DMEM+10%FCS培地100μlを含む96穴プレートに4x104/wellの細胞密度で接種して、37℃、5%CO2雰囲気下で24時間培養した。臓器保存液Euro-Collins液(小林製薬工業、EC)に溶解した合成不凍糖タンパク質(化合物a)を10、100、500各μg/ml、1、5、10各mg/mlとなるように調整し、培地を該保存液に交換したのちに4℃にて低温インキュベーター(和研薬)にて培養した。
24時間低温ストレス後、37℃インキュベーターにて1時間復温し、生存率をWST-8(同仁科学)にて測定した。また、化合物aに代えてコントロールとしてウシ血清アルブミン(BSA)、比較例として魚由来のAFGP(nAFGP)を用いた時の細胞の生存率も同様にして測定した。この結果を図1に示す。
この実験により、nAFGPおよび上記式で表される合成不凍糖タンパク質は、濃度依存性に低温ストレス細胞保護作用があることが確認された。
また、上記で使用した不凍糖タンパク質(化合物a)に代えて、化合物b(式(I)のR1がNアセチルグルコサミンである化合物、GlcNAc Type)ならびに化合物c(式(I)のR1がガラクトシルNアセチルガラクトサミンである化合物、GalGalNAc Type)をそれぞれ10mg/mlの濃度で用いて、上記と同様の方法で肝由来細胞株HepG2の48時間低温ストレス後細胞生存率を測定した。この結果を図2に示す。図中のECは無添加(コントロール)の場合の生存率を、UWはECに代えてUW液を用いた場合の生存率を、E+BSAは10mg/mlとなるようにBSAを添加したときの生存率を、E+nAGFPは10mg/mlとなるように魚由来AFGP(nAFGP)を添加したときの生存率を、それぞれ示す。
糖鎖変化による保護効果の違いをみると、不凍糖タンパク群はいずれも保護効果が認められているが、コントロール群が約20%の生存率に対し、化合物c(GalGalNAc Type)では約80%と、より高い低温ストレス保護効果が認められた。
不凍糖タンパク質を用いた膵島移植実験
C57BL/6Jマウスより、膵島をコラゲナーゼ灌流法によって単離し、UW液(ViaspanR)で4℃、72時間保存した膵島(比較サンプル)と、30mg/mlとなるように化合物c(GalGalNAc Typeの合成不凍糖タンパク質)を加えたUW液で4℃で72時間保存した膵島(実施例モデル)とを用意し、それぞれ膵島移植実験に使用した。膵島移植はSTZ(Sigma)誘導糖尿病モデルC57BL/6Jマウス(同種同系統)に対し、腎皮膜下へ膵島を600個移植し、移植後血糖をモニタリングした。その結果を図3に示す。
C57BL/6Jマウスより、膵島をコラゲナーゼ灌流法によって単離し、UW液(ViaspanR)で4℃、72時間保存した膵島(比較サンプル)と、30mg/mlとなるように化合物c(GalGalNAc Typeの合成不凍糖タンパク質)を加えたUW液で4℃で72時間保存した膵島(実施例モデル)とを用意し、それぞれ膵島移植実験に使用した。膵島移植はSTZ(Sigma)誘導糖尿病モデルC57BL/6Jマウス(同種同系統)に対し、腎皮膜下へ膵島を600個移植し、移植後血糖をモニタリングした。その結果を図3に示す。
その結果、実施例モデルの膵島について、中心部壊死がGalGalNAc型不凍糖タンパク質保存群で低減している傾向が認められた(図3)。
また移植後の血糖推移を図4に示した。図中、▲は比較サンプル群(7例)を、●は実施例モデル(7例)をそれぞれ示す。UW液にて保存した比較サンプルを移植したマウスでは全例が高血糖のままで推移したのに対し、実施例モデルを移植したマウスでは7頭中6頭で血糖改善効果がみられ、一週後の血糖正常化率(血糖<200mg/dl)は50%であった(図4)。
また、移植マウスに対してグルコース応答性血糖反応をIPGTT(Intraperitoneal Glucose Tolerance Test)にて行った。オーバーナイト絶食後の移植マウス腹腔内にグルコース2.0g/kgを投与し、投与前、投与後5, 15, 30, 60, 90, 120,180分で血糖を測定した。この結果を図5に示す。図中、■は比較サンプル群を、▲は実施例モデルをそれぞれ示す。また●は、コラゲナーゼ灌流法によって単離した膵島をそのまま移植に用いた場合を示す。比較サンプルを移植したマウスでは全例が無反応のまま高血糖で推移したのに対し、実施例モデルを移植したマウスでは、単離後直ちに移植を行った場合と同様の血糖反応が認められた。
Claims (8)
- 式(I):
で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を含有することを特徴とする、細胞氷冷温保存用組成物。 - nが2〜10から選択される1種である式(I)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物のみまたはnが2〜10から選択される2種以上である式(I)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物の混合物のみを含有する請求項1記載の組成物。
- R1が
である、請求項1記載の組成物。 - 細胞が、哺乳動物の細胞、または組織もしくは臓器の形態である、請求項1記載の組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物を含有する細胞氷冷温保存用溶液。
- 式(I):
で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物と細胞を接触させることを特徴とする、細胞の氷冷温保存方法。 - i)請求項5記載の溶液と細胞とを接触させる工程、および
ii)該細胞を氷点以上10℃以下で保存する工程
を含むことを特徴とする、細胞の氷冷温保存方法。 - i)請求項1〜4のいずれかに記載の組成物を、10μg/ml〜100mg/mlの濃度で含有する細胞氷冷温保存用溶液と細胞とを接触させる工程、および
ii)該細胞を氷点以上10℃以下で保存する工程
を含むことを特徴とする、細胞の氷冷温保存方法。
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