JP2007215437A - 密封容器包装体の多機能後処理方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】一台の後処理装置で無菌充填以外の密封充填ラインに置ける密封容器包装体のあらゆる後処理に対応できるようにする。
【解決手段】入口部と出口部が開閉可能となっている処理槽2を少なくとも液溜部3−1〜3とシャワーリング装置16を有する複数個の単位槽に区画し、各単位槽毎に独立した温度の処理媒体を被処理物に対して噴出可能且つ圧力調整可能に制御して、1台の装置がレトルト機能、パストライザー機能、ウォーマー機能、及びクーラ機能を奏するように選択的に切替え運転する。
【選択図】図1
【解決手段】入口部と出口部が開閉可能となっている処理槽2を少なくとも液溜部3−1〜3とシャワーリング装置16を有する複数個の単位槽に区画し、各単位槽毎に独立した温度の処理媒体を被処理物に対して噴出可能且つ圧力調整可能に制御して、1台の装置がレトルト機能、パストライザー機能、ウォーマー機能、及びクーラ機能を奏するように選択的に切替え運転する。
【選択図】図1
Description
本発明は、容器詰食品等の密封容器包装体における内容物充填密封後の後処理として、高温殺菌を行なうレトル機能ばかりでなく、パストライザー機能等も備えパストライザー装置等としても兼用できる多機能型の密封容器包装体の多機能後処理方法及び装置に関する。
ボトル、缶、パウチ等の容器に飲食品の内容物を充填密封した後の密封容器包装体の処理方法は、食品衛生法に則り、内容物に応じて、低温殺菌(パストライジング)、高温殺菌(レトルト殺菌)の処理がなされ、さらに内容物や容器の品質保持等からクーリング、ウォームの処理方法が取られている。従来アセプティック充填(無菌充填)の場合を除き、クーリング、ウォーム、低温殺菌処理までは、パストライザー装置で処理され、高温殺菌はレトルト装置で処理される。そのため、充填密封ラインには後処理装置を備える必要があり、従来後処理にレトルト装置を備えた充填ラインと、パストライザー装置を備えた充填ラインがあった。例えば、果汁などを含まない炭酸飲料の場合は、4〜6℃の低温で充填するが、そのまま箱詰めすると結露するので、後工程として常温まで暖める処理が必要であり、ウォーマーとしてのパストライザー装置が必要である。また、果汁入り炭酸飲料や乳性飲料の場合は、低温充填後殺菌が必要であり、パストライザー装置で65℃〜85℃の低温殺菌する。さらに、ホットパック充填の場合、果汁飲料等であると熱によるフレーバーの変化を防ぐために、なるべく早く冷却したほうが望ましいので、転倒殺菌後パストライザー装置で常温近くまで冷却を行なっている。さらに、ミルク入り飲料等高温殺菌を必要とするものは、後処理工程としてレトルト装置で100℃以上の加熱殺菌を行っている。
しかし、近年内容物の多様化により充填・密封ラインによっては、1つのラインで例えば、炭酸飲料あるいは非炭酸飲料から低酸性飲料まで多品種の充填を行なうラインが多くなってきており、上記従来の方法では後処理装置として、パストライザー装置とレトルト装置を備えなければならず、それだけ設備投資額の増大と設置面積の増大をもたらしている。従来、レトルト装置で予熱ゾーン、加熱ゾーン、冷却ゾーンを順次設け、バッチ連続式としてのレトルト殺菌装置は提案されている(特許文献1)が、レトルト殺菌処理装置とパストライザー処理装置を兼用できる装置は従来知られていない。そのため、多品種製造ラインでは、レトルト殺菌処理装置とパストライザー処理装置を平行して備え、レトルト対象内容物を充填する時にはパストライザー装置は停止し、パストライザー製品を充填するときにはレトルト装置が停止しており、必ずどちらかの後処理装置が停止している状態であり、非効率であった。また、従来合成樹脂製ボトル(代表的にはPETボトル)への充填密封の場合は、容器の熱的強度上、内容物を充填密封後レトルト処理することができないため、高温殺菌を必要とする内容物の包装に制限を受け、低酸性飲料の場合における無菌充填を除き、その他はパストライザー装置で後処理可能な内容品に限られている。しかしながら、近年レトルト処理が可能なPETボトルが開発されつつあり、PETボトルに高温殺菌を要する内容物の充填が可能となるが、その場合従来のPETボトルの充填・密封ラインにパストライザー装置と平行して高価なレトルト装置も併設しなければならず、多額な設備投資と設置スペースを必要とする問題点が発生する。
特許第3372643号掲載公報
そこで、本発明は、多品種製造ラインにおける従来の密封容器包装体の後処理装置の上記問題点を解消しようとするもので、一台の後処理装置でレトルトを必要とする被処理物の場合はレトルト機能を、低温殺菌処理を必要とする被処理物の場合はパストライザー機能を、加温処理を必要とする被処理物の場合はウォーマー機能を、冷却処理を必要とする内容物の場合はクーラ機能を奏して被処理物を処理することができる容器詰め食品等の密封容器包装体の多機能後処理方法及びその装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の密封容器包装体の多機能後処理方法は、容器への多品種充填密封ラインにおける充填密封後の密封容器包装体を後処理条件に応じて後処理する多機能後処理方法であって、1台の多機能後処理装置を被処理物の後処理条件に応じてレトルト機能、パストライザー機能、ウォーマー機能、及びクーラ機能を奏するように選択的に切替え運転し、1台の多機能後処理装置のみで、被処理物を100℃以上にする高温殺菌処理、65℃以上100℃未満にする低温殺菌処理、30℃〜65℃未満にする加温処理、30℃未満にする冷却処理を選択的に行なうようにしたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の密封容器包装体の多機能後処理方法において、前記高温殺菌処理を、処理槽密閉状態で100℃以上の熱水シャワー殺菌又は蒸気殺菌をバッチ処理で行なうことを特徴とするものである。請求項3の発明は、請求項2に記載の密封容器包装体の多機能後処理方法において、前記高温殺菌処理を加圧して行なうことを特徴とするものである。請求項4の発明は、請求項1に記載の密封容器包装体の多機能後処理方法において、前記低温殺菌処理を、処理槽密閉状態で100℃以下の温水によるシャワー殺菌を行ない、容器の耐圧強度に対応して選択的に加圧しながらシャワー殺菌を行なうことを特徴とするものである。
また請求項5の発明は、請求項1に記載の密封容器包装体の多機能後処理方法において、前記低温殺菌処理を、処理槽を大気開放状態で100℃以下の温水によるシャワー殺菌を行ない、連続殺菌処理することを特徴とするものである。請求項6の発明は、請求項1に記載の密封容器包装体の多機能後処理方法において、前記加温処理を、処理槽密閉状態で温水によるシャワー加温を行ない、容器の耐圧強度に対応して選択的に加圧しながらシャワー加温を行なうことを特徴とするものである。さらに、請求項7の発明は、請求項1に記載の密封容器包装体の多機能後処理方法において、前記加温処理を、処理槽を大気開放状態で温水によるシャワー加温を行ない、連続殺菌処理するようにしたことを特徴とするものである。さらにまた請求項8の発明は、請求項1に記載の密封容器包装体の多機能後処理方法において、前記冷却処理を、処理槽密閉状態で冷却水によるシャワー冷却をバッチ方式で行なうか、又は処理槽を大気開放状態で行なうか選択できるようにしたことを特徴とするものである。そして、請求項9の発明は、請求項1〜8何れか記載の密封容器包装体の多機能後処理方法において、前記高温殺菌処理、低温殺菌処理、加温処理、及び冷却処理は、それらの前記処理槽の底部が複数個の液溜部に区切られた単位槽内で異なる温度条件で処理されてなることを特徴とするものである。さらに、請求項10の発明は、請求項9に記載の密封容器包装体の多機能後処理方法において、前記高温殺菌処理、低温殺菌処理、加温処理、及び冷却処理は、それらの前記処理槽の底部が複数個の液溜部に区切られた単位槽内で異なる温度条件で処理されるようにしてなることを特徴とするものである。
上記課題を解決する本発明の密封容器包装体の多機能後処理装置は、容器に内容物を充填密封後に密封容器包装体を後処理条件に応じて後処理する多機能後処理装置であって、被処理物を収納して処理する処理槽は入口部と出口部が開口してなり、該処理槽の前記入口部及び前記出口部に開閉可能に設けられた開閉扉、前記処理槽の底部を複数個の液溜部に区画する入口側仕切、出口側仕切、及び複数個の中間仕切とを有し、且つ各液溜部の上方には前記液溜部と液循環経路を有するシャワーリング装置をそれぞれ設けて、前記処理槽を少なくとも液溜部とシャワーリング装置を有する複数個の単位槽に区画し、各単位槽毎に独立した温度の処理媒体を被処理物に対して噴出可能且つ処理槽内を圧力調整可能に制御する制御手段を有し、レトルト機能、パストライザー機能、ウォーマー機能、及びクーラ機能を奏するように選択的に切替え運転できることを特徴とするものである。
請求項12の発明は、請求項11に記載の密封容器包装体の多機能後処理装置において、前記処理槽に、蒸気を噴出する蒸気噴出手段を有し、前記レトルト機能ではシャワー殺菌と蒸気殺菌を兼用できるようにしたことを特徴とするものである。また、請求項13の発明は、請求項11に記載の密封容器包装体の多機能後処理装置において、前記処理槽の上部に位置するシャワーリング装置には、前記中間仕切に対応してシャワーリング仕切が設けられてなることを特徴とするものである。さらに、請求項14の発明は、請求項11〜13に記載の何れかの発明において、中間仕切が、高さ調整可能又は高さの異なるものと交換可能となっていることを特徴とするものである。
本願請求項1〜14の発明によれば、被処理物である密封容器包装体の後処理条件に応じて1台の多機能後処理装置のみで、レトルト機能、パストライザー機能、ウォーマー機能、及びクーラ機能を奏するように選択的に切替え運転ができ、今後益々増大する多品種少量充填ラインに対応して充填後の後処理に対する設備コストの低減化と省スペース化を図ることができる。請求項2及び請求項11の発明では、レトルト機能を熱水シャワー殺菌又は蒸気殺菌又はその複合殺菌を行なうことができ、内容物に応じて最適な高温殺菌方法を選択できる。請求項3の発明によれば、加圧状態で高温殺菌が可能であり、加熱による容器内の圧力上昇に対応して処理槽内を加圧することによって、容器内圧と処理槽内圧を均衡に保って加熱殺菌ができ、容器の薄肉化を図ることができる。請求項4の発明によれば、処理槽密封状態でバッチ式で低温殺菌を行うことによって省エネルギーを図ることができ、請求項5の発明によれば、大気開放状態で低温殺菌を行なうことによって、連続処理が可能となり生産効率の向上を図ることができる。
請求項6の発明によれば、常温付近までの加温処理をバッチ処理で行いかつ容器に対応して処理槽を加圧した状態にできるので、薄肉容器であっても安全に加温ができる。また請求項7の発明によれば、大気開放状態で加温処理を行なうことによって、連続処理が可能となり生産効率の向上と省エネルギーを図ることができる。請求項8の発明によれば、被処理物の冷却処理を処理槽密閉状態で冷却水によるシャワー冷却をバッチ方式で行なうか、又は処理槽を大気開放状態で行なうか選択でき、被処理物または製造ラインの運転状況に応じて最適な冷却処理を行なうことができる。
請求項9の発明によれば、装置の構成が単純で従来のレトルト装置を改良するのみで容易に構成でき、低コストで多様な後処理が可能な多機能後処理装置を実現できる。さらに、請求項10及び請求項14の発明によれば、各単位槽の液溜部に貯留された処理媒体を高温側から低温側にオーバーフローして流れるようにすることによって、処理媒体の加温エネルギーの節約を図ることができる。同様に請求項13の発明によれば、シャワーリング装置として設けられるシャワーパン内で温度の相違する温水が混ざらないようすることができ、シャワー温水の設定温度に誤差が生じないようにして、単独槽の温度管理を厳密に行うことができる。
本発明は、金属缶、金属ボトル、PETボトル等のプラスチックボトル、パウチ、紙製容器、ガラス製容器等の種々の容器に、飲食品等の内容物を充填密封する充填密封ラインにおいて設置して、内容物が充填密封された密封容器包装体(以下、被処理物という)を後処理する後処理方法及びその多機能後処理装置であり、一台の処理装置のみでクーリング、ウォーム、低温殺菌(パストライジング)、高温殺菌(レトルト殺菌)の全ての内容物に対する被処理物の後処理を可能とするものである。具体的には、レトルト機能としては、100℃以上で、(1)シャワー殺菌と蒸気殺菌を兼用できるようにする、(2)シャワー殺菌では加圧(好ましくは400KPa迄)可能とする。また、パストライザー機能としては、100℃未満で(1)シャワー殺菌、(2)シャワー殺菌に加圧(好ましくは400KPa迄)ができるように付与する、(3)大気開放下で連続殺菌も可能とする。さらに、30℃〜65℃未満に加温するウォーマー機能としては、(1)シャワー機能に加圧を付与する、(2)バッチ式と大気開放式を両立し、大気開放下では連続で行なう方式を付与する。さらにまた、クーラ機能としては、30℃未満の冷却を(1)バッチ式及び大気開放式の両方を選択的にできる、(2)大気開放式は連続で行なう方式を付与する。
図1及び図2は、本発明の実施形態に係る多機能レトルト装置の概略図である。本実施形態に係る密封容器包装体の多機能後処理方法1は、処理槽2の両端が開口しており、該両端開口部にシリンダ装置・リンク機構等からなる適宜の開閉機構5により開閉駆動される開閉扉3、4が設けられ、該開閉扉を閉鎖することにより、処理槽内を完全に密閉し、処理槽内の圧力及び温度を制御して従来のレトルト装置と同様に運転できるようにすると共に、処理槽内の処理媒体の温度や圧力を制御することによって、バッチ処理による低温殺菌処理、加温処理、冷却処理ができるようにした。また、両扉を開放状態にして従来のパストライザー装置と同様に連続処理ができるようになっている。処理槽の両端側の底部には所定量の水を貯留できるように低部から所定高さに達する入口側仕切6、出口側仕切7が設けられ、且つ入口側仕切6と出口側仕切7間に図示の実施形態では中間仕切8−1、8−2が設けられ、処理槽内が第1槽、第2槽、第3槽と3槽の単位槽に仕切られ、それぞれの単位槽毎に下方部に前記仕切板によって仕切られて独立した液溜部13−1、13−2、13−3が形成されている。
前記各単位槽の仕切は、後述するように機能に応じて高さを調節できるように高さ調整可能、又は高さの異なる仕切板を、例えばパストライザー機能用、ウォーマー機能用、クーラ機能用として予め複数組用意しておき、被処理物を後処理するのに求められる機能に応じて、異なる高さの仕切板に交換可能にしてもよい。そして、これらの仕切板の上方を跨いで缶詰等の被処理物を処理可能に収納した処理棚10を搬送する搬送コンベヤ11が処理槽の入口側から出口側まで設けられている。搬送コンベヤ11は、本実施形態では回転自由に設けられたローラ12群からなるローラコンベヤで構成されているが、駆動可能のコンベヤ装置等その構成は特に限定されない。また、多機能後処理装置1の上流側には、容器の充填密封ラインに対応して処理槽内に処理棚10を搬入するためのトロッコ装置等の搬送装置14、及び下流側には処理槽内から処理棚10を搬出するための搬送装置15が配置されている。
処理槽2内の下方部が前記中間仕切8−1、8−2によって仕切られた各単位槽には、図2に模式的に示すように、各単位槽毎にはシャワーリング装置16、蒸気導入配管17−1、17−2及び冷却水導入配管18、各単位槽の液溜部に溜まった加熱水又は冷却水を上部のシャワーリング装置16にポンプ20によって循環させてシャワーリング装置からシャワーリングして、被処理物を加熱又は冷却を連続的に行なう循環水配管21、及び排水配管22が設けられ、レトルト機能として高温殺菌のための処理媒体を熱水と蒸気が使用できるようになっている。前記シャワーリング装置のシャワーパンは、前記中間仕切りと対応してシャワーリング仕切12−1、12−2によって仕切られ、シャワーリングの際各槽の温度の相違する温水が混ざらないようにしてシャワー温水の設定温度に誤差が生じないようにしてある。それにより、それぞれ単独槽の温度管理を厳密に行うことが可能となる。さらに、各単位槽には各単位槽の液面を検出する液面計23、液温を検出する温度計24等が配置され、各層毎に液面レベル及び液温をコントロールできるようになっている。また、処理槽内全体の圧力を適宜コントロールできるように、加圧媒体供給配管26と排気配管27が処理槽に連接され、且つ処理槽内の圧力を検出する圧力計28が設けられている。これらの液面計、温度計、圧力計からの出力は制御手段としてのコントローラ30に入力され、予め設定されている処理プログラムによって各単位槽の処理状態を自動的に制御できるようになっている。
本実施形態の密封容器包装体の多機能後処理装置1は、以上のように構成され、充填密封ラインで生産される被処理物が100℃以上の高温殺菌を必要する内容物である場合は、多機能後処理装置1をレトルト機能を奏する装置として使用する。その場合、通常のレトルト装置と同様にバッチ処理で行ない、処理槽全体に被処理物が収納された処理棚を格納し、出口側及び入口側の開閉扉3、4を密閉し、この状態で通常のレトルト装置と同様に、予め設定されている被処理物の昇温開始温度、殺菌温度、取出し温度にしたがって、被処理物を100℃以上の熱水で加熱殺菌し、殺菌終了後に冷却水による冷却を行なって被処理物を加熱殺菌処理する。その場合、加圧状態下で蒸気導入配管17−1を介して各液溜部に溜まった液に蒸気を供給して液温が所定の温度となるように制御して、加熱水を各槽の液溜部とシャワーリング装置を循環させて行なう。また、100℃以上の熱水によるシャワーリング加熱に代えて、処理槽に蒸気導入配管17−2により蒸気を供給して蒸気により加熱殺菌することもできる。さらに、熱水殺菌と蒸気殺菌とを交互に行なって熱水と蒸気の複合殺菌を行なうことも可能であり、処理槽内に蒸気を供給して蒸気による蒸気殺菌とシャワーリング装置による加熱水によるシャワー殺菌の両方を兼用することができる。また、必要に応じて、処理槽内に空気又は不活性ガスからなる加圧媒体を加圧媒体供給管26により供給すると共に排気配管27からの排気量を制御して、処理槽内を加熱による容器内の圧力上昇に見合うように加圧して、容器の内圧上昇による破損や変形を防いで、容器の薄肉化を図るようにすることもできる。シャワー殺菌で加圧する場合の処理槽内の加圧上限値は、処理槽の耐圧強度により決定されるが、一般的には400KPa迄が好ましい。また、圧力値下限は、被殺菌物の内容物として充填後処理に供する容器の耐圧強度による。レトルト機能を奏する装置として使用する場合は、処理槽全体を同一条件で運転し、バッチ処理を行なう。これらのレトルト機能は、従来のレトルト装置と同様な機能を付与することができ、特に限定されるものでないので、詳細な説明は省略する。
図3は、多機能後処理装置1をレトルト機能以外を奏する装置として使用する場合における単位槽の第1槽〜第3槽内でのシャワーリングする液温と被処理物の品温の変化を示している。本実施形態に係る多機能後処理装置1をレトルト機能以外を奏する装置として使用する場合は、入口側及び出口側の開閉扉を開放状態にして、大気開放下で入口側から搬入される被処理物が積載された処理棚を第1槽から第3槽まで間欠的に移動させて、各単位槽毎でそれぞれ異なる処理を行って連続処理を行なう場合と、処理槽内に全体に予め処理棚を収納して入口側扉及び出口側扉を密閉して、各単位槽同一条件で運転してバッチ処理を行なう場合とを選択できる。
図3(a)は本実施形態に係る多機能後処理装置を100℃以下の低温殺菌を連続処理で行なうパストライザー機能を奏する装置として使用する場合の単位槽毎の処理媒体の設定温度と被処理物の品温の変化を示し、この線図ではPETボトルに充填密封した被処理物を70℃に低温殺菌する場合を示している。この実施形態では、図3(a)に示すように、第1槽の液溜部13−1に貯留される処理媒体の温度を75℃に設定して、75℃の温水をシャワーリング装置より処理棚に収納された被処理物の品温が70℃近傍に達するまで第1槽内で処理棚を停止して温水シャワーして被処理物を加熱する(昇温工程)。これにより、殺菌棚内に収納された被処理物の品温は破線a−1に示すように次第に昇温してほぼ70℃近傍に達するまで加熱される。なお、この昇温工程はPETボトルに装着したキャップの殺菌も兼ねる。次いで、処理棚10を第2槽に移動させて、第2槽では70℃の温水をシャワーして品温が破線a−2に示すように略70℃となった状態で一定時間保持して70℃の低温殺菌を行ない(殺菌工程)、その後第3槽に移して常温近くまで冷却する(冷却工程)。第3槽では20℃に制御された処理媒体(冷却水)を所定時間シャワーする。それにより、被処理物の品温は、図3(a)に破線a−3で示すように変化し、被処理物が35〜40℃になるまで冷却し、冷却が終了した被処理物は出口から搬出されて、適宜の搬送装置15によって次工程に搬送される。上記処理槽内の殺菌棚の移動は、処理槽内に配置されたコンベヤ装置を駆動することによって自動的に行なうことができる。上記連続処理でパストライジングを行なう場合、処理槽内に設けた中間仕切8−1を入口側仕切6よりも低く且つ中間仕切8−2よりも高く形成することにより、第1槽の液溜部13−1に貯留された高温の処理媒体が第2槽の液溜部13−2内にオーバーフローして、第2槽液溜部内の低温の処理媒体を加熱することができ、エネルギー効率を高めることができる。
上記実施形態は、パストライザー機能により低温殺菌を大気開放下で連続的に行なう場合であるが、処理槽密閉状態で加圧下で低温殺菌をバッチ処理で行なうことも可能である。たとえば、果汁入り炭酸飲料の場合後処理として低温殺菌が必要であるが、果汁入り炭酸飲料の場合内部で発生する炭酸ガスにより内圧が陽圧化しているため、シャワーリングによって加熱することにより内圧がさらに上昇し、容器が薄肉缶の場合バックリングを起こす恐れがあるため、容器及び当該容器に装着する蓋の薄肉化に制限を受けている。しかしながら、処理槽を密閉した状態で処理槽内部を加熱すると共に、処理槽内圧が容器内圧上昇に対応する圧力となるように加圧することによって、容器の変形を抑えることができ、その分容器の薄肉化を図ることができる。バッチ処理で行なう場合は、処理槽全体に被処理物を収納し、各単位槽とも同一温度条件で運転する。即ち、昇温工程では第1槽〜第3槽とも例えば75℃の温水シャワーを行ない、殺菌工程では70℃の温水シャワーを行ない、冷却工程では20℃の冷却水シャワーを行なう。被処理物が炭酸飲料等内圧発生内容物である場合、又は容器が薄肉で変形し易い場合は、昇温工程及び殺菌工程では、処理槽内に加圧媒体を導入して処理槽内を被処理物が変形しないように所定圧に加圧することによって、パストライジング処理中での容器の変形を防ぐことができる。その場合の処理槽の加圧は、好ましくは400KPa以下が望ましい。
次に、図3(b)は、PETボトルに充填密封した被処理物を30℃〜50℃に冷却するのを連続処理で行なうクーラ機能を奏する装置として使用する場合の単位槽毎の処理媒体の設定温度と被処理物の品温の変化を示している。ホットパックされた被処理物は、密封直後は品温が約80℃近くもあり、内容物の品質劣化を防ぐためになるべく早く冷却する必要があり、後処理として冷却処理が必要である。クーラ機能を奏する装置として使用する場合は、まず第1槽で75℃の温水シャワーを所定時間行なって、品温を同図に破線b−1に示すように75℃程度まで低下させ、第2槽に移動させる。なお、第1槽でのこの処理はPETボトルに装着したキャップ殺菌を兼ねることもある。第2槽では約40℃の処理媒体を一定時間シャワーリングすることにより、品温を破線b−2に示すように50℃近傍まで低下させる。次いで、第3槽に移動させて、第3槽で約20℃の冷却水を所定時間シャワーリングして、品温を破線b−3に示すように35〜40℃となるように、冷却処理する。このように、第1槽〜第3槽で段階的に冷却することにより、急激な冷却の場合と比べて容器が変形することなく、良好に冷却することができる。
クーリング処理をバッチ処理で行なう場合は、パストライザー処理の場合と同様に、ホットパックされた被処理物を処理槽全体に収納し、各単位槽とも同一温度条件で運転する。即ち、第1槽〜第3槽とも例えば75℃の温水シャワーを行ない、次いで約40℃の温水をシャワーして徐々に冷却を行ない、最後に約20℃の冷水をシャワーして常温近くまで冷却する。その場合、75℃の温水シャワー時には処理槽内を加圧下で行なうことも可能である。
図3(c)は、被処理物を30℃〜35℃に暖めるウォーマー機能を連続処理で行なう装置として使用する場合の単位槽毎の処理媒体の設定温度と被処理物の品温の変化を示している。炭酸飲料等は約4℃〜6℃程度の低温で充填密封されるので、そのまま箱詰め等で包装すると結露が生じる恐れがあるので、通常ウォーマーで包装前に30〜35℃まで加温している。本実施形態の装置をウォーマーとして使用する場合は、各単位槽とも一定の温度30〜50℃(例えば40℃)の温水をシャワーリングする。連続処理の場合は、入口側から出口側に向けて一定の時間をかけて処理棚を移動させることによって、被処理物の品温は、同図の破線cで示すように、略直線的に上昇し、出口端に達するまでに30〜35℃に上昇する。また、バッチ処理を行なう場合は、パストライザー処理の場合と同様に、被処理物を処理槽全体に収納し、各単位槽とも一定の温度(例えば40℃)の温水をシャワーリングする。その状態で所定時間保持することによって、品温は同図(c)の破線cに示すように上昇し、品温が30〜35℃に上昇すると処理槽から排出することによって、効果的に被処理物を加温することができる。
以上、本実施形態の密封容器包装体の多機能後処理装置における後処理方法の一例を示したが、本発明は上記実施形態の後処理方法に限るものではなく、種々の態様が可能である。本発明の密封容器包装体の多機能後処理装置及び後処理方法によれば、内容物を充填密封後の各種後処理を全て一つの装置のみで賄うことができ、今後益々要求が高まってくる充填ラインの合理化統合に寄与することができる。例えば、従来のPETボトル飲料の場合は、前述したようにレトルト処理をすることがなく、低酸性飲料はアセプティック充填、その他の飲料はパストライザー処理のみであったが、今後レトルト処理が可能なPETボトルが開発された場合、従来の充填ラインにおいてパストライザー装置に代えて本発明の密封容器包装体の多機能後処理装置を適用することによって、一つの装置のみでアセプティック充填を除き全ての飲料に適用できる。また、本発明の装置は、全ての処理において、任意に処理槽内を高圧にすることが可能であるので、殺菌等の処理ができる機能も備えており、新たな領域の内容物開発にも適用でき、また容器の強度に合わせた処理もできることから、容器の多様化が図れると同時に逆に処理装置の一元化を図ることが可能である。
本発明の密封容器包装体の多機能後処理方法及び装置は金属缶、金属ボトル、PETボトル等のプラスチックボトル、パウチ、紙製容器、ガラス製容器等の種々の容器に、内容物を充填密封する充填密封ラインに適用して、1台の装置で高温殺菌、低温殺菌、加温、冷却の後処理が選択的にできる。
1 密封容器包装体の多機能後処理装置 2 処理槽
3、4 開閉扉 5 開閉機構
6 入口側仕切 7 出口側仕切
8−1、8−2 中間仕切 10 処理棚
11 ローラコンベヤ
12−1、12−2 シャワーリング仕切
13−1〜3 液溜部 14、15 搬送装置
16 シャワーリング装置 17 蒸気導入管
18 冷却水導入管 20 ボンプ
21 循環水配管 23 液面計
24 温度計 26 加圧媒体供給配管
27 排気配管 28 圧力計
30 コントローラ
3、4 開閉扉 5 開閉機構
6 入口側仕切 7 出口側仕切
8−1、8−2 中間仕切 10 処理棚
11 ローラコンベヤ
12−1、12−2 シャワーリング仕切
13−1〜3 液溜部 14、15 搬送装置
16 シャワーリング装置 17 蒸気導入管
18 冷却水導入管 20 ボンプ
21 循環水配管 23 液面計
24 温度計 26 加圧媒体供給配管
27 排気配管 28 圧力計
30 コントローラ
Claims (14)
- 容器への多品種充填密封ラインにおける充填密封後の密封容器包装体を後処理条件に応じて後処理する多機能後処理方法であって、1台の多機能後処理装置を被処理物の後処理条件に応じてレトルト機能、パストライザー機能、ウォーマー機能、及びクーラ機能を奏するように選択的に切替え運転し、1台の多機能後処理装置のみで、被処理物を100℃以上にする高温殺菌処理、65℃以上100℃未満にする低温殺菌処理、30℃〜65℃未満にする加温処理、30℃未満にする冷却処理を選択的に行なうようにしたことを特徴とする密封容器包装体の多機能後処理方法。
- 前記高温殺菌処理は、処理槽密閉状態で100℃以上の熱水シャワー殺菌又は蒸気殺菌をバッチ処理で行なう請求項1に記載の密封容器包装体の多機能後処理方法。
- 前記高温殺菌処理は、加圧して行なう請求項2に記載の密封容器包装体の多機能後処理方法。
- 前記低温殺菌処理は、処理槽密閉状態で100℃以下の温水によるシャワー殺菌を行ない、容器の耐圧強度に対応して選択的に加圧しながらシャワー殺菌を行なう請求項1に記載の密封容器包装体の多機能後処理方法。
- 前記低温殺菌処理は、処理槽を大気開放状態で100℃以下の温水によるシャワー殺菌を行ない、連続殺菌処理する請求項1に記載の密封容器包装体の多機能後処理方法。
- 前記加温処理は、処理槽密閉状態で温水によるシャワー加温を行ない、容器の耐圧強度に対応して選択的に加圧しながらシャワー加温を行なう請求項1に記載の密封容器包装体の多機能後処理方法。
- 前記加温処理は、処理槽を大気開放状態で温水によるシャワー加温を行ない、連続殺菌処理する請求項1に記載の密封容器包装体の多機能後処理方法。
- 前記冷却処理は、処理槽密閉状態で冷却水によるシャワー冷却をバッチ方式で行なうか、又は処理槽を大気開放状態で行なうか選択できる請求項1に記載の密封容器包装体の多機能後処理方法。
- 前記高温殺菌処理、低温殺菌処理、加温処理、及び冷却処理は、それらの前記処理槽の底部が複数個の液溜部に区切られた単位槽内で異なる温度条件で処理されるようにしてなる請求項1〜8何れか記載の密封容器包装体の多機能後処理方法。
- 前記高温殺菌処理、低温殺菌処理、加温処理、及び冷却処理は、処理中前記単位槽内の液溜部に貯留された処理媒体が温度の高い単位槽から隣接する温度の低い単位槽側にオーバーフローするようにしてなる請求項9に記載の密封容器包装体の多機能後処理方法。
- 容器に内容物を充填密封後に密封容器包装体を後処理条件に応じて後処理する多機能後処理装置であって、被処理物を収納して処理する処理槽は入口部と出口部が開口してなり、該処理槽の前記入口部及び前記出口部に開閉可能に設けられた開閉扉、前記処理槽の底部を複数個の液溜部に区画する入口側仕切、出口側仕切、及び複数個の中間仕切とを有し、且つ各液溜部の上方には前記液溜部と液循環経路を有するシャワーリング装置をそれぞれ設けて、前記処理槽を少なくとも液溜部とシャワーリング装置を有する複数個の単位槽に区画し、各単位槽毎に独立した温度の処理媒体を被処理物に対して噴出可能且つ処理槽内を圧力調整可能に制御する制御手段を有し、レトルト機能、パストライザー機能、ウォーマー機能、及びクーラ機能を奏するように選択的に切替え運転できることを特徴とする密封容器包装体の多機能後処理装置。
- 前記処理槽には、蒸気を噴出する蒸気噴出手段を有し、前記レトルト機能ではシャワー殺菌と蒸気殺菌を兼用できる請求項11の密封容器包装体の多機能後処理装置。
- 前記処理槽の上部に位置するシャワーリング装置には、前記中間仕切に対応してシャワーリング仕切が設けられてなる請求項11又は12に記載の密封容器包装体の多機能後処理装置。
- 前記中間仕切は、高さ調整可能又は高さの異なるものと交換可能となっている請求項11〜13何れかに記載の密封容器包装体の多機能後処理装置。
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JP2006037654A JP2007215437A (ja) | 2006-02-15 | 2006-02-15 | 密封容器包装体の多機能後処理方法及びその装置 |
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---|---|---|---|---|
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- 2006-02-15 JP JP2006037654A patent/JP2007215437A/ja active Pending
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