JP2007214048A - 燃料電池システムおよびその運転方法 - Google Patents

燃料電池システムおよびその運転方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007214048A
JP2007214048A JP2006034313A JP2006034313A JP2007214048A JP 2007214048 A JP2007214048 A JP 2007214048A JP 2006034313 A JP2006034313 A JP 2006034313A JP 2006034313 A JP2006034313 A JP 2006034313A JP 2007214048 A JP2007214048 A JP 2007214048A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel
concentration
fuel cell
aqueous
solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006034313A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuyuki Muramatsu
恭行 村松
Shuhei Adachi
修平 安達
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamaha Motor Co Ltd
Original Assignee
Yamaha Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamaha Motor Co Ltd filed Critical Yamaha Motor Co Ltd
Priority to JP2006034313A priority Critical patent/JP2007214048A/ja
Publication of JP2007214048A publication Critical patent/JP2007214048A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】循環型の燃料電池システムにおいて包接化合技術を用いて燃料濃度を安定させることができる、燃料電池システムおよびその運転方法を提供する。
【解決手段】燃料電池システム100は、燃料電池104、燃料電池104に供給されるメタノール水溶液を保持する水溶液タンク130、水溶液タンク130内に配置される燃料保持・放出部材208、燃料電池104の温度を検出する温度センサ170、メタノール水溶液の濃度を検出するための電圧センサ168、およびメタノール水溶液の濃度を調整する濃度調整手段を備える。濃度調整手段は、温度センサ170によって検出された温度が閾値以下であれば燃料保持・放出部材208とメタノール水溶液との接触によってメタノール水溶液の濃度を第1濃度に調整し、温度が閾値を超えれば電圧センサ168を用いて検出された濃度に基づいてメタノール水溶液の濃度を第2濃度に調整する。
【選択図】図12

Description

この発明は燃料電池システムおよびその運転方法に関し、より特定的には、燃料水溶液を燃料電池に直接供給する燃料電池システムおよびその運転方法に関する。
燃料水溶液を燃料電池に直接供給する燃料電池システムでは、燃料濃度(燃料水溶液の濃度)を超音波センサなどで検出し燃料濃度が一定となるように濃度制御しながら運転する。
しかし、超音波センサは、気泡がセンサ表面に付着すると燃料濃度を正確に検出できなくなる。一方、電気化学的なセンサによって濃度検出することも行われているが、このセンサは低温領域では検出精度が高くないため使用できない。
また、特許文献1には、循環型ではなく、カートリッジ等の使い切りの容器内に包接化合物を入れ徐々に燃料を放出するようにして、燃料を補給する技術が開示されている。
特開2005−203335号公報
しかし、このようなシステムを、燃料水溶液を循環させ比較的長時間連続して駆動するタイプの燃料電池システムで実現することは、使い捨てのカートリッジでは十分な補給ができないため困難である。
それゆえに、この発明の主たる目的は、循環型の燃料電池システムにおいて包接化合技術を用いて燃料濃度を安定させることができる、燃料電池システムおよびその運転方法を提供することである。
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の燃料電池システムは、燃料水溶液を循環使用する燃料電池システムであって、電気化学反応によって電気エネルギを生成する燃料電池、燃料電池に供給される燃料水溶液を保持する水溶液保持手段、水溶液保持手段内に配置され、所定値よりも高い濃度の燃料水溶液と接触したとき燃料水溶液に含まれる液体燃料を取り込み所定値よりも低い濃度の燃料水溶液と接触したとき液体燃料を放出する燃料取込・放出部材、燃料電池の温度を検出する温度検出手段、燃料水溶液の濃度を検出する濃度検出手段、および燃料水溶液の濃度を調整する濃度調整手段を備え、濃度調整手段は、燃料取込・放出部材を含み、温度検出手段によって検出された温度が閾値以下であれば燃料取込・放出部材と燃料水溶液との接触によって燃料水溶液の濃度を第1濃度に調整し、温度が閾値を超えれば濃度検出手段によって検出された濃度に基づいて燃料水溶液の濃度を第2濃度に調整することを特徴とする。
請求項2に記載の燃料電池システムは、請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、濃度検出手段は電気化学的センサを含むことを特徴とする。
請求項3に記載の燃料電池システムは、請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、第2濃度は第1濃度よりも高いことを特徴とする。
請求項4に記載の燃料電池システムは、請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、第2濃度は第1濃度よりも低いことを特徴とする。
請求項5に記載の輸送機器は、請求項1から4のいずれかに記載の燃料電池システムを含むことを特徴とする。
請求項6に記載の燃料電池システムの運転方法は、燃料水溶液を循環使用する燃料電池システムの運転方法であって、燃料電池に供給すべき燃料水溶液を水溶液保持手段によって保持し、所定値よりも高い濃度の燃料水溶液と接触したとき燃料水溶液に含まれる液体燃料を取り込み所定値よりも低い濃度の燃料水溶液と接触したとき液体燃料を放出する燃料取込・放出部材を水溶液保持手段内に配置し、燃料電池の温度が閾値以下であれば燃料取込・放出部材と燃料水溶液との接触によって燃料水溶液の濃度を第1濃度に調整し、温度が閾値を超えれば燃料水溶液の検出濃度に基づいて燃料水溶液の濃度を第2濃度に調整することを特徴とする。
請求項7に記載の燃料電池システムの運転方法は、請求項6に記載の燃料電池システムの運転方法において、燃料水溶液の電気化学的特性を利用して燃料水溶液の濃度を検出することを特徴とする。
請求項8に記載の燃料電池システムの運転方法は、請求項6に記載の燃料電池システムの運転方法において、第2濃度は第1濃度よりも高いことを特徴とする。
請求項9に記載の燃料電池システムの運転方法は、請求項6に記載の燃料電池システムの運転方法において、第2濃度は第1濃度よりも低いことを特徴とする。
請求項10に記載の燃料電池システムの運転方法は、請求項6に記載の燃料電池システムの運転方法において、燃料電池の起動指示後に、燃料取込・放出部材に液体燃料を保持させておくことを特徴とする。
請求項11に記載の燃料電池システムの運転方法は、請求項10に記載の燃料電池システムの運転方法において、燃料取込・放出部材に保持可能な量の液体燃料を供給できるように燃料水溶液よりも高い濃度の燃料の投入量を記憶しておき、燃料電池の起動指示後に、記憶された投入量分の燃料を燃料取込・放出部材に投入し、当該燃料に含まれる液体燃料を燃料取込・放出部材に保持させることを特徴とする。
請求項12に記載の燃料電池システムの運転方法は、請求項10に記載の燃料電池システムの運転方法において、燃料電池の起動指示後に、燃料電池の温度に応じて燃料水溶液よりも高い濃度の燃料の投入量を決定し、決定された投入量分の燃料を燃料取込・放出部材に投入し、当該燃料に含まれる液体燃料を燃料取込・放出部材に保持させることを特徴とする。
請求項13に記載の燃料電池システムの運転方法は、請求項6に記載の燃料電池システムの運転方法において、燃料電池の停止指示後に、燃料取込・放出部材に液体燃料を保持させておくことを特徴とする。
請求項14に記載の燃料電池システムの運転方法は、請求項13に記載の燃料電池システムの運転方法において、燃料電池の停止指示後に、燃料取込・放出部材に保持可能な量の液体燃料を供給できるように燃料水溶液よりも高い濃度の燃料の投入量を決定し、決定された投入量分の燃料を燃料取込・放出部材に投入し、当該燃料に含まれる液体燃料を燃料取込・放出部材に保持させることを特徴とする。
包接化合技術を用いれば、ホスト化合物からなる燃料取込・放出部材が燃料水溶液に接触すると燃料水溶液の濃度に応じて液体燃料を保持または放出する。請求項1に記載の燃料電池システムでは、この技術を利用し、燃料電池の温度が閾値以下であれば水溶液保持手段内において燃料取込・放出部材と燃料水溶液とを接触させることによって燃料水溶液の濃度を第1濃度に調整し、燃料電池の温度が上昇して閾値を超えれば濃度検出手段による検出濃度に基づいて燃料水溶液の濃度を第2濃度に調整する。このように濃度検出に適さない比較的低温では別途濃度制御することなく燃料取込・放出部材を用いて濃度調整し、所定温度を超えれば濃度検出手段の検出結果に基づいて濃度調整することによって、燃料電池の温度に拘わらず適切な濃度調整が可能となり、循環型の燃料電池システムにおいて燃料濃度を安定させることができる。特に、燃料電池の温度が閾値以下の比較的低温では精度よく濃度検出できないが、この発明では、そのような比較的低温においては燃料取込・放出部材を用いることによって簡単な構成で良好に濃度調整できる。請求項6に記載の燃料電池システムの運転方法についても同様である。
燃料電池の温度が閾値以下では、燃料水溶液の電気化学的特性を利用して精度よく濃度検出できないが、請求項2に記載する燃料電池システムでは、燃料電池の温度が閾値に達するまでは燃燃料取込・放出部材を用いることによって良好に濃度調整できる。また、燃料電池の温度が閾値を超えれば燃料水溶液の電気化学的特性を利用して精度よく濃度を検出できる。このようにして濃度調整の精度を高めることができる。請求項7に記載の燃料電池システムの運転方法についても同様である。
請求項3に記載の燃料電池システムでは、燃料電池の温度が閾値を超えれば燃料水溶液の濃度を第1濃度よりも高い第2濃度に制御することによって、燃料取込・放出部材に液体燃料が常に満たされた状態を維持できる。これによって、次回の運転開始時に液体燃料を燃料取込・放出部材に供給する必要がなくなる。請求項8に記載の燃料電池システムの運転方法についても同様である。
請求項4に記載の燃料電池システムでは、燃料電池の温度が閾値を超えれば燃料水溶液の濃度を第1濃度よりも低い第2濃度に制御することによって、燃料取込・放出部材に常に液体燃料が保持されていない状態を維持することができる。これによって、次回の液体燃料の保持可能量を簡単に求めることができる。請求項9に記載の燃料電池システムの運転方法についても同様である。
この発明は、請求項5に記載するように燃料電池システムを輸送機器に搭載する場合に好適に用いられる。
請求項10に記載の燃料電池システムの運転方法では、液体燃料を燃料電池に供給する直前に燃料取込・放出部材に保持させることができるので、液体燃料が気化し蒸発してしまうことはなく燃料効率を向上できる。
請求項11に記載の燃料電池システムの運転方法では、液体燃料の保持可能量に基づいて決定された量の燃料を燃料取込・放出部材へ投入できるので、燃料を無駄なく使用できる。また、燃料投入量は予め記憶されているので、新たに算出することなく迅速に燃料を投入できる。
請求項12に記載の燃料電池システムの運転方法では、燃料電池の温度に応じて燃料取込・放出部材への燃料投入量を決定するので、たとえば、検出温度が高くなるにつれて燃料投入量を少なくすることができ、燃料を無駄なく使用できる。
請求項13に記載の燃料電池システムの運転方法では、燃料電池の停止指示後に燃料取込・放出部材に液体燃料を保持させるので、燃料電池の次回の始動を円滑に行うことができる。
請求項14に記載の燃料電池システムの運転方法では、液体燃料の保持可能量に基づいて決定された量の燃料を燃料取込・放出部材へ投入できるので、燃料を無駄なく使用できる。
この発明によれば、循環型の燃料電池システムにおいて包接化合技術を用いて燃料濃度を安定させることができる。
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。ここでは、この発明の燃料電池システム100を、輸送機器の一例である自動二輪車10に搭載した場合について説明する。
まず、自動二輪車10について説明する。この発明の実施の形態における左右、前後、上下とは、二輪車10のシートにドライバがそのハンドル24に向かって着座した状態を基準とした左右、前後、上下を意味する。
図1〜図7を参照して、自動二輪車10は車体11を含み、車体11は車体フレーム12を有する。車体フレーム12は、ヘッドパイプ14と、ヘッドパイプ14から後方へ斜め下方に延びる縦断面I字型のフロントフレーム16と、フロントフレーム16の後端部に連結されかつ後方へ斜め上方に立ち上がるリヤフレーム18と、リヤフレーム18の上端部に取り付けられるシートレール20とを備えている。フロントフレーム16の後端部はリヤフレーム18の中央部よりもやや下端部寄りの位置に接続され、フロントフレーム16およびリヤフレーム18全体で側面視略Y字状を呈している。
フロントフレーム16は、上下方向に幅を有して後方へ斜め下方に延びかつ左右方向に対して直交する板状部材16aと、それぞれ板状部材16aの上端縁および下端縁に形成されかつ後方へ斜め下方に延び左右方向に幅を有するフランジ部16bおよび16cと、板状部材16aの両表面に突設される補強リブ16dと、後端部に設けられたとえばボルト等によってリヤフレーム18が連結される連結部16eとを備えている。補強リブ16dは、フランジ部16bおよび16cと共に板状部材16aの両表面を区画して、後述する燃料電池システム100の構成部材を収納する収納スペースを形成している。
一方、リヤフレーム18は、それぞれ後方へ斜め上方に延び前後方向に幅を有しフロントフレーム16の連結部16eを挟むように配置される板状部材18aおよび18bと、板状部材18aと18bとを連結する板状部材(図示せず)とを備えている。
ヘッドパイプ14内には、図1に示すように、車体方向変更用のステアリング軸22が回動自在に挿通されている。ステアリング軸22の上端には、ハンドル24が固定されたハンドル支持部26が取り付けられており、ハンドル24の両端にはグリップ28が取り付けられている。右側のグリップ28は回動可能なスロットルグリップを構成している。
ハンドル支持部26のハンドル24の前方には表示操作部30が配置されている。表示操作部30は、電動モータ60(後述)の各種データを計測表示するためのメータ30a、走行状態等の各種情報提供用のたとえば液晶ディスプレイ等で構成された表示部30b、および各種情報入力用の入力部30c等が一体化されたものである。ハンドル支持部26における表示操作部30の下方には、ヘッドランプ32が固定されており、ヘッドランプ32の左右両側には、フラッシャランプ34がそれぞれ設けられている。
また、ステアリング軸22の下端には左右一対のフロントフォーク36が取り付けられており、フロントフォーク36それぞれの下端には、前輪38が前車軸40を介して取り付けられている。前輪38は、フロントフォーク36によって緩衝懸架された状態で前車軸40によって回転自在に軸支されている。
一方、リヤフレーム18の後端部には、フレーム状のシートレール20が取り付けられている。シートレール20は、リヤフレーム18の上端部にたとえば溶接によって固設され、略前後方向に配設されている。シートレール20上には図示しないシートが開閉自在に設けられている。シートレール20の後端部には取り付けブラケット42が固設されており、取り付けブラケット42にはテールランプ44および左右一対のフラッシャランプ46がそれぞれ取り付けられている。
また、リヤフレーム18の下端部には、スイングアーム(リヤアーム)48がピボット軸50を介して揺動自在に支持されており、スイングアーム48の後端部48aには電動モータ60(後述)を介して駆動輪である後輪52が回転自在に支持されており、スイングアーム48および後輪52は、図示しないリヤクッションによってリヤフレーム18に対して緩衝懸架されている。
さらに、リヤフレーム18の下端部の前側には、リヤフレーム18から左右方向に突出するようにフットレスト取付用バー54が固定され、フットレスト取付用バー54には図示しないフットレストが取り付けられる。フットレスト取付用バー54の後方には、メインスタンド56が回動可能にスイングアーム48に支持されており、メインスタンド56は、リターンスプリング58によって閉じ側に付勢されている。
この実施形態では、スイングアーム48には、後輪52に連結されかつ後輪52を回転駆動させるためのたとえばアキシャルギャップ型の電動モータ60と、電動モータ60に電気的に接続される駆動ユニット62とが内蔵されている。図11をも参照して、駆動ユニット62は、電動モータ60の回転駆動を制御するためのコントローラ64、および二次電池134(後述)の蓄電量を検出するための蓄電量検出器65を含む。
このような自動二輪車10の車体11には、車体フレーム12に沿って燃料電池システム100が取り付けられている。燃料電池システム100は、電動モータ60やその他の構成部材を駆動するための電気エネルギを生成する。
以下、燃料電池システム100について説明する。
燃料電池システム100は、メタノール(メタノール水溶液)を改質せずにダイレクトに発電に利用する直接メタノール型燃料電池システムである。
燃料電池システム100は、フロントフレーム16の下方に配置される燃料電池セルスタック(以下、単にセルスタックという)102を含む。
図8および図9に示すように、セルスタック102は、メタノールに基づく水素イオンと酸素との電気化学反応によって電気エネルギを生成することができる燃料電池(燃料電池セル)104を、セパレータ106を挟んで複数個積層(スタック)して構成されている。セルスタック102を構成する各燃料電池セル104は、固体高分子膜等から構成される電解質膜104aと、電解質膜104aを挟んで互いに対向するアノード(燃料極)104bおよびカソード(空気極)104cとを含む。アノード104bおよびカソード104cはそれぞれ、電解質膜104a側に設けられる白金触媒層を含む。
図4等に示すように、セルスタック102はスキッド108上に載せられ、スキッド108はフロントフレーム16のフランジ部16cから吊されるステースタック110によって支持されている。
図6に示すように、フロントフレーム16の下方でありかつセルスタック102の上方には、水溶液用のラジエータ112と気液分離用のラジエータ114とが配置されている。ラジエータ112と114とは一体的に構成され、その前面が車両の前方やや下向きに配置され、前面に対して直交するように設けられる複数の板状のフィン(図示せず)を有する。このようなラジエータ112および114は、走行時に風を十分に受けることができる。
図6等に示すように、ラジエータ112は、旋回するように形成されるラジエータパイプ116を含む。ラジエータパイプ116は、ステンレス等からなる直線状パイプとU字状の継手パイプとを溶接することによって、入口118a(図5参照)から出口118b(図3参照)までの1本の連続したパイプに形成されている。ラジエータ112の裏面側にはラジエータパイプ116と対向するようにラジエータ冷却用のファン120が設けられている。
同様に、ラジエータ114は、それぞれ蛇行するように形成される2本のラジエータパイプ122を含む。各ラジエータパイプ122は、ステンレス等からなる直線状パイプとU字状の継手パイプとを溶接することによって、入口124a(図3参照)から出口124b(図3参照)までの1本の連続したパイプに形成されている。ラジエータ114の裏面側にはラジエータパイプ122と対向するようにラジエータ冷却用のファン126が設けられている。
図1〜図7に戻り主に図3を参照して、フロントフレーム16の連結部16eの後側には、上方から順に燃料タンク128、水溶液タンク130および水タンク132が配置されている。燃料タンク128、水溶液タンク130および水タンク132は、たとえばPE(ポリエチレン)ブロー成型によって得られる。
燃料タンク128は、シートレール20の下側に配置され、シートレール20の後端部に取り付けられている。燃料タンク128は、セルスタック102の電気化学反応の燃料となる高濃度(たとえば、メタノールを約56wt%含む)のメタノール燃料(高濃度メタノール水溶液)を収容している。燃料タンク128はその上面に蓋128aを備え、蓋128aを取り外してメタノール燃料が供給される。
また、水溶液タンク130は、燃料タンク128の下側に設けられ、リヤフレーム18に取り付けられている。水溶液タンク130は、燃料タンク128からのメタノール燃料をセルスタック102の電気化学反応に適した濃度(たとえば、メタノールを約3wt%含む)に希釈したメタノール水溶液を収容している。つまり、水溶液タンク130は、水溶液ポンプ146(後述)によってセルスタック102に向けて送り出すべきメタノール水溶液を収容している。メタノール水溶液が燃料水溶液に相当する。
燃料タンク128にはレベルセンサ129が装着され、燃料タンク128内のメタノール燃料の液面の高さが検出される。水溶液タンク130にはレベルセンサ131が装着され、水溶液タンク130内のメタノール水溶液の液面の高さが検出される。レベルセンサ129,131で液面高さを検出することによって、タンク内の液量を検出できる。水溶液タンク130内の液面は、レベルセンサ131の出力に基づいてたとえば図4においてAで示す範囲内にコントロールされる。
水タンク132は、リヤフレーム18の板状部材18aおよび18b間でありかつセルスタック102の後側に配置されている。水タンク132にはレベルセンサ133が装着され、水タンク132内の水面の高さが検出される。
また、燃料タンク128の前側でありかつフロントフレーム16のフランジ部16bの上側には、二次電池134が設けられている。二次電池134はリヤフレーム18の板状部材(図示せず)の上面に配置される。二次電池134は、セルスタック102で生成された電気エネルギを蓄え、コントローラ156(後述)の指令に応じて電気エネルギを対応する電気構成部材に供給する。たとえば、二次電池134は、補機類や駆動ユニット62に電気エネルギを供給する。
二次電池134の上側かつシートレール20の下側には、燃料ポンプ136が配置されている。また、水溶液タンク130の上側にはキャッチタンク140が配置されている。
キャッチタンク140はその上面に蓋140aを備え、たとえば燃料電池システム100を一度も起動したことがない状態(水溶液タンク130が空の状態)において、蓋140aを取り外してメタノール水溶液が供給される。キャッチタンク140は、たとえばPE(ポリエチレン)ブロー成型によって得られる。
また、フロントフレーム16とセルスタック102とラジエータ112,114とによって囲まれた空間には、気体に含まれる塵等の異物を除去するためのエアフィルタ142が配置され、エアフィルタ142の後方斜め下側には水溶液フィルタ144が配置されている。
また、図4に示すように、フロントフレーム16の左側の収納スペースには、水溶液ポンプ146およびエアポンプ148が収納されている。エアポンプ148の左側にはエアチャンバ150が配置されている。水溶液ポンプ146の駆動によってセルスタック102に向けてメタノール水溶液が送り出される。
さらに、図5に示すように、フロントフレーム16の右側の収納スペースには、前方から順にメインスイッチ152、DC−DCコンバータ154、コントローラ156、防錆用バルブ158および水ポンプ160が配置される。なお、メインスイッチ152はフロントフレーム16の収納スペースを右側から左側に貫通するように設けられている。セルスタック102の前面にはホーン162が設けられている。また、DC−DCコンバータ154は電圧を24Vから12Vに変換し、変換された12Vの電圧によってファン120,126が駆動される。
このように配置される燃料電池システム100の配管について、図4〜図7および図10を参照して説明する。
燃料タンク128と燃料ポンプ136とはパイプP1によって連通され、燃料ポンプ136と水溶液タンク130とはパイプP2によって連通されている。パイプP1は、燃料タンク128の左側面下端部と燃料ポンプ136の左側面下端部とを結び、パイプP2は、燃料ポンプ136の左側面下端部と水溶液タンク130の右側面上部とを結ぶ。燃料ポンプ136を駆動させることによって、燃料タンク128内のメタノール燃料がパイプP1,P2を介して水溶液タンク130に与えられる。
水溶液タンク130と水溶液ポンプ146とはパイプP3によって連通され、水溶液ポンプ146と水溶液フィルタ144とはパイプP4によって連通され、水溶液フィルタ144とセルスタック102とはパイプP5によって連通されている。パイプP3は、水溶液タンク130の左側面下隅部と水溶液ポンプ146の後部とを結び、パイプP4は、水溶液ポンプ146の後部と水溶液フィルタ144の左側面とを結び、パイプP5は、水溶液フィルタ144の右側面とセルスタック102の前面右下隅部に位置するアノード入口I1とを結ぶ。水溶液ポンプ146を駆動させることによって、水溶液タンク130からのメタノール水溶液が、パイプP3側からパイプP4側へと送り出され、水溶液フィルタ144で不純物が除去された後、パイプP5を介してセルスタック102に与えられる。この実施形態ではパイプP4およびP5によって水溶液ポンプ146が送り出すメタノール水溶液をセルスタック102の各燃料電池104に案内するパイプが構成される。
セルスタック102と水溶液用のラジエータ112とはパイプP6によって連通され、ラジエータ112と水溶液タンク130とはパイプP7によって連通されている。パイプP6は、セルスタック102の後面左上隅部に位置するアノード出口I2とラジエータ112の下面右側端部から引き出されるラジエータパイプ116の入口118a(図5参照)とを結び、パイプP7は、ラジエータ112の下面左側端部からやや中央寄りの位置から引き出されるラジエータパイプ116の出口118b(図3参照)と水溶液タンク130の左側面上隅部とを結ぶ。セルスタック102から排出される未反応メタノール水溶液および二酸化炭素はパイプP6を介してラジエータ112に与えられ温度が下げられて、パイプP7を介して水溶液タンク130に戻される。これによって水溶液タンク130内のメタノール水溶液の温度を下げることができる。
上述したパイプP1〜P7は主として燃料の流路となる。
また、エアフィルタ142とエアチャンバ150とはパイプP8によって連通され、エアチャンバ150とエアポンプ148とはパイプP9によって連通され、エアポンプ148と防錆用バルブ158とはパイプP10によって接続され、防錆用バルブ158とセルスタック102とはパイプP11によって接続されている。パイプP8は、エアフィルタ142の後部とエアチャンバ150の中央部よりもやや前方寄りの位置とを結び、パイプP9は、エアチャンバ150の中央部の下側とエアポンプ148の後部とを結び、パイプP10は、フロントフレーム16の板状部材16aの左側に位置するエアポンプ148と板状部材16aの右側に位置する防錆用バルブ158とを結び、パイプP11は、防錆用バルブ158とセルスタック102の後面右上端部に位置するカソード入口I3とを結ぶ。燃料電池システム100の運転時には防錆用バルブ158を開いておき、その状態でエアポンプ148を駆動させることによって、酸素を含む空気が外部から吸入される。吸入された空気は、エアフィルタ142で浄化された後、パイプP8、エアチャンバ150およびパイプP9を介してエアポンプ148に流入し、さらに、パイプP10、防錆用バルブ158およびパイプP11を介してセルスタック102に与えられる。防錆用バルブ158は、燃料電池システム100の停止時には閉じられており、エアポンプ148への水蒸気の逆流を防ぎエアポンプ148の錆を防止する。
セルスタック102と気液分離用のラジエータ114とは2本のパイプP12によって連通され、ラジエータ114と水タンク132とは2本のパイプP13によって連通され、水タンク132にはパイプ(排気管)P14が設けられている。各パイプP12は、セルスタック102の前面左下隅部に位置するカソード出口I4とラジエータ114の下面左側端部から引き出される各ラジエータパイプ122の入口124a(図3参照)とを結び、各パイプP13は、ラジエータ114の下面左側端部からやや中央寄りの位置から引き出される各ラジエータパイプ122の出口124b(図3参照)と水タンク132の前面上部とを結び、パイプP14は、水タンク132の後面上部に接続され、一旦上昇しその後下降するようにくの字状に形成されている。セルスタック102のカソード出口I4から排出される水分(水および水蒸気)や二酸化炭素を含む排気は、パイプP12を介してラジエータ114に与えられ、水蒸気が液化される。ラジエータ114からの排気は、パイプP13を介して水と共に水タンク132に与えられ、パイプP14を介して外部に排出される。
上述したパイプP8〜P14は、主として排気の流路となる。
さらに、水タンク132と水ポンプ160とはパイプP15によって連通され、水ポンプ160と水溶液タンク130とはパイプP16によって連通されている。パイプP15は、水タンク132の右側面下部と水ポンプ160の中央部とを結び、パイプP16は、水ポンプ160の中央部と水溶液タンク130の左側面上隅部とを結ぶ。水ポンプ160を駆動させることによって、水タンク132内の水がパイプP15,16を介して水溶液タンク130に戻される。
上述したパイプP15,P16は水の流路となる。
また、水溶液タンク130とキャッチタンク140とはパイプP20によって連通され、キャッチタンク140と水溶液タンク130とはパイプP21によって連通され、キャッチタンク140とエアチャンバ150とはパイプP22によって連通されている。パイプP20は、水溶液タンク130の左側面上隅部とキャッチタンク140の左側面上隅部とを結び、パイプP21は、キャッチタンク140の下端部と水溶液タンク130の左側面下隅部とを結び、パイプP22は、キャッチタンク140の左側面上部寄りの位置とエアチャンバ150の上端面とを結ぶ。水溶液タンク130内にある気体(主に、二酸化炭素、気化したメタノールおよび水蒸気)は、パイプP20を介してキャッチタンク140に与えられる。気化したメタノールと水蒸気とはキャッチタンク140で冷却、液化された後、パイプP21を介して水溶液タンク130に戻される。キャッチタンク140内の気体(二酸化炭素、液化されなかったメタノールおよび水蒸気)は、パイプP22を介してエアチャンバ150に与えられる。
上述したパイプP20〜P22は主として燃料処理用の流路となる。
なお、図10に示すように、セルスタック102のアノード入口I1付近には、セルスタック102に供給されたメタノール水溶液の濃度に対応する濃度情報をメタノール水溶液の電気化学的特性を利用して検出するための電圧センサ168とセルスタック102に供給されたメタノール水溶液の温度を検出するための温度センサ170とが設けられている。この実施形態では、温度センサ170による検出温度を燃料電池104の温度とみなしている。温度センサは、燃料電池104の温度とみなすことができる温度を検出できる任意の箇所に設置されればよく、たとえばアノード出口I2、カソード出口I4または燃料電池104等に設けられてもよい。さらに、エアフィルタ142付近には、外気温度を検出するための外気温度センサ171が設けられている。電圧センサ168は、燃料電池(燃料電池セル)104の開回路電圧(Open Circuit Voltage)を検出し、その電圧値を電気化学的な濃度情報とする。
このような燃料電池システム100の電気的構成について、図11を参照して説明する。
燃料電池システム100のコントローラ156は、必要な演算を行い燃料電池システム100の動作を制御するための制御手段となるCPU172、CPU172にクロックを与えるクロック回路174、燃料電池システム100の動作を制御するためのプログラムやデータおよび演算データ等を格納するための、たとえばEEPROMからなるメモリ176、燃料電池システム100の誤動作を防ぐためのリセットIC178、外部機器と接続するためのインターフェイス回路180、自動二輪車10を駆動する電動モータ60にセルスタック102を接続するための電気回路182における電圧を検出するための電圧検出回路184、燃料電池104ひいてはセルスタック102を流れる電流を検出するための電流検出回路186、電気回路182を開閉するためのON/OFF回路188、電気回路182の過電圧を防止するための電圧保護回路190、電気回路182に設けられるダイオード192、および電気回路182に所定の電圧を供給するための電源回路194を含む。
このようなコントローラ156のCPU172には、電圧センサ168、温度センサ170および外気温度センサ171からの検出信号、電圧検出回路184からの電圧検出値、ならびに電流検出回路186からの電流検出値が入力される。また、CPU172には、転倒の有無を検知する転倒スイッチ196からの検知信号や、電源をオンオフするためのメインスイッチ152からの入力信号や、各種設定や情報入力のための入力部30cからの信号が与えられる。さらに、CPU172には、レベルセンサ129,131および133からの検出信号も与えられる。
記憶手段であるメモリ176には、図15〜図18に示す動作を実行するためのプログラムや演算データ等の他、電圧センサ168によって得られたメタノール水溶液の電気化学的な濃度情報(燃料電池104の開回路電圧)を濃度に変換するための変換情報が格納される。この変換情報は、たとえば、電圧センサの出力情報とそれに対応する濃度との対応関係を示すテーブルデータである。
さらに、メモリ176には、図14に示すような燃料電池初期温度とメタノール燃料投入量との関係を示すテーブルデータが格納される。また、メモリ176には、燃料電池温度と比較される閾値となる所定値(この実施形態では45℃)等が格納される。
また、CPU172によって、燃料ポンプ136、水溶液ポンプ146、エアポンプ148、水ポンプ160、冷却用ファン120,126、検出用バルブ138および防錆用バルブ158等の補機類が制御される。さらに、CPU172によって、各種情報を表示し自動二輪車の搭乗者に各種情報を報知するための表示部30bが制御される。
また、セルスタック102には二次電池134および駆動ユニット62が接続される。二次電池134および駆動ユニット62は電動モータ60に接続される。二次電池134は、セルスタック102からの出力を補完するものであり、セルスタック102からの電気エネルギによって充電され、その放電によって電動モータ60や補機類に電気エネルギを与える。
電動モータ60には、電動モータ60の各種データを計測するためのメータ30aが接続され、メータ30aによって計測されたデータや電動モータ60の状況は、インターフェイス回路198を介してCPU172に与えられる。
また、インターフェイス回路198には充電器200が接続可能であり、充電器200は外部電源(商用電源)202に接続できる。充電器200が接続されている場合にはインターフェイス回路198を介してCPU172に充電器接続信号が与えられる。充電器200のスイッチ200aはCPU172によってオン/オフできる。
このような燃料電池システム100において注目すべきは、水溶液タンク130である。
図12を参照して、水溶液タンク130内には保持部204が設けられている。保持部204は、水溶液タンク130の内面に取り付けられた支持部206によって支持されている。保持部204は燃料取込・放出部材208を保持する。
図13を参照して、燃料取込・放出部材208はホスト化合物からなり、燃料取込・放出部材208は、ゲスト化合物となる液体燃料である液体メタノール210を取り込み固定化する。燃料取込・放出部材208と液体メタノール210とによって包接化合物212が構成される。
包接化合技術によって、ホスト化合物である燃料取込・放出部材208は、所定値よりも高い濃度のメタノール水溶液と接触したときメタノール水溶液に含まれる液体メタノール210を取り込み、所定値よりも低い濃度のメタノール水溶液(濃度がゼロの水をも含む)と接触したとき液体メタノール210を放出する。この実施形態では、閾値となる所定値が5%である包接化合物が用いられるが、それに限定されない。このようにして包接化合物212から液体メタノール210を放出した後のホスト化合物は、その液体メタノール210に対する選択的包接能を有し、液体メタノール210の包接化に有効に再利用できる。
保持部204は、燃料取込・放出部材208を保持するがメタノール水溶液を保持しない(メタノール水溶液はすり抜ける)ものであってもよい。燃料取込・放出部材208の形状は粉状であっても粒状であってもよい。
また、図12に示すように、水溶液タンク130内の液位はレベルセンサ131からの出力に基づいてAの範囲内に保持できる。Aの範囲のうち最も低い高さX1は、ホスト化合物208ひいては包接化合物がメタノール水溶液に浸かる位置であることが望ましい。
この実施形態では、水溶液タンク130が水溶液保持手段に相当する。温度センサ170が温度検出手段に相当する。電圧センサ168、CPU172およびメモリ176が濃度検出手段に相当する。濃度調整手段は、燃料取込・放出部材208、燃料タンク128、パイプP1,P2、燃料ポンプ136、水タンク132、パイプP15,P16、水ポンプ160およびCPU172を含む。燃料タンク128、パイプP1,P2および燃料ポンプ136を含んで燃料補給手段が構成される。水タンク132、パイプP15,P16および水ポンプ160を含んで水補給手段が構成される。パイプP15,P16および水ポンプ160を含んで水供給手段が構成される。
ついで、燃料電池システム100の運転時の主要動作について説明する。
燃料電池システム100は、メインスイッチ152がオンされた後、水溶液ポンプ146やエアポンプ148等の補機類を駆動し、運転を開始する。
水溶液ポンプ146の駆動によって、水溶液タンク130に収容されるメタノール水溶液が、パイプP3側からパイプP4側へと送り出され、水溶液フィルタ144に供給される。そして、水溶液フィルタ144で不純物等が除去されたメタノール水溶液は、パイプP5、アノード入口I1を介してセルスタック102を構成する各燃料電池セル104のアノード104bにダイレクトに供給される。
一方、エアポンプ148の駆動によってエアフィルタ142から吸入された空気(エア)は、パイプP8を介してエアチャンバ150に流入することによって消音される。そして、吸入された空気およびエアチャンバ150に与えられたキャッチタンク140からの気体が、パイプP9〜P11、カソード入口I3を介してセルスタック102を構成する各燃料電池セル104のカソード104cに供給される。
各燃料電池セル104のアノード104bでは、供給されたメタノール水溶液におけるメタノールと水とが化学反応し、二酸化炭素および水素イオンが生成される。生成された水素イオンは、電解質膜104aを介してカソード104cに流入し、そのカソード104c側に供給された空気中の酸素と電気化学反応して水(水蒸気)および電気エネルギが生成される。つまり、セルスタック102において発電が行われる。生成された電気エネルギは、二次電池134に送られて蓄えられると共に、自動二輪車10の走行駆動等に利用される。
一方、各燃料電池セル104のアノード104bで生成された二酸化炭素および未反応メタノール水溶液は、上記電気化学反応によって発生する熱によって温度上昇し(たとえば約65℃〜70℃となる)、未反応メタノール水溶液の一部は気化される。二酸化炭素および未反応メタノール水溶液は、セルスタック102のアノード出口I2を介して水溶液用のラジエータ112内に流入し、ラジエータパイプ116を流れる間にファン120によって冷却される(たとえば約40℃となる)。冷却された二酸化炭素および未反応メタノール水溶液は、パイプP7を介して水溶液タンク130に戻される。
一方、各燃料電池セル104のカソード104cで生成された水蒸気の大部分は液化して水となってセルスタック102のカソード出口I4から排出されるが、飽和水蒸気分はガス状態で排出される。カソード出口I4から排出された水蒸気の一部は、ラジエータ114で冷却され露点を下げることによって液化される。ラジエータ114による水蒸気の液化動作は、ファン126を動作させることによって行われる。カソード出口I4からの水分(水および水蒸気)は未反応の空気と共にパイプP12,ラジエータ114およびパイプP13を介して水タンク132に与えられる。
また、各燃料電池セル104のカソード104cでは、キャッチタンク140からの気化したメタノールおよびクロスオーバーによってカソードに移動したメタノールが白金触媒層で酸素と反応して無害な水分と二酸化炭素とに分解される。メタノールから分解された水分と二酸化炭素とは、カソード出口I4から排出されラジエータ114を介して水タンク132に与えられる。さらに、水のクロスオーバーによって各燃料電池セル104のカソード104cに移動した水分が、カソード出口I4から排出されラジエータ114を介して水タンク132に与えられる。
水タンク132に回収された水は、水ポンプ160の駆動によってパイプP15,P16を介して水溶液タンク130に適宜還流され、メタノール水溶液の水として利用される。
運転中の燃料電池システム100では、各燃料電池セル104の劣化を防ぎつつ各燃料電池セル104に効率よく発電させるために、メタノール水溶液の濃度検出処理が定期的に実行される。そして、その検出結果に基づいてセルスタック102に供給すべき水溶液タンク130内のメタノール水溶液のメタノール濃度がたとえば3wt%程度に調整される。具体的には、コントローラ156によって燃料ポンプ136および水ポンプ160が制御され、メタノール濃度の検出結果に基づいて、燃料タンク128内のメタノール燃料が水溶液タンク130へ供給され、水タンク132内の水が水溶液タンク130へ還流される。
図15および図16を参照して、燃料電池システム100の燃料濃度の調整に関する動作について説明する。なお、初期的に燃料取込・放出部材208とメタノール水溶液とを隔離しておく。
図15および図16に示すフロー図には、燃料取り込み処理(1)(ステップS3〜S9)と燃料取り込み処理(2)(ステップS35〜S39)とが含まれているが、いずれか一方を実行すればよい。ここでは燃料取り込み処理(1)を実行するモードについて説明する。
まず、メインスイッチ152がオンされて燃料電池起動信号が入力されたか否かがCPU172によって確認される(ステップS1)。燃料電池起動信号が入力されるまで待機し、燃料電池起動信号が入力されると、メモリ176に記憶されている燃料投入量が呼び出される(ステップS3)。そして、燃料ポンプ136が駆動され(ステップS5)、記憶された投入量分の高濃度のメタノール燃料が投入される(ステップS7)。燃料投入量のデータがなければデフォルト値が用いられる。これにより、燃料取込・放出部材208に液体メタノール210が取り込まれ、保持される(ステップS9)。そして、水ポンプ160または燃料ポンプ136と水ポンプ160とが駆動されて、水溶液タンク130内の液位が図12に示すAの範囲内に収まるように調整される(ステップS11)。
その後、水溶液ポンプ146およびエアポンプ148等が駆動され発電が開始される(ステップS13)。このとき、水溶液タンク130内の液位の調整は継続される。そして、燃料取込・放出部材208による液体メタノール210の取り込み・放出を行うことによって、水溶液タンク130内のメタノール水溶液の濃度が第1濃度に自動的に調整され(ステップS15)、温度センサ170によって燃料電池104の温度が検出され(ステップS17)、その温度が45℃以上であるか否か判断される(ステップS19)。燃料電池温度が45℃以上になるまで燃料取込・放出部材208による濃度調整が継続される。この間燃料は補給されない。したがって、ステップS13の発電開始までに、燃料電池温度が45℃に達するまで運転を継続するのに十分な量の燃料を水溶液タンク130内に保持しておく。しかし、発電開始後の燃料補給は禁止されるものではない。また、第1濃度と通常運転時の濃度(第2濃度)とはほぼ同じであってもよいが、始動時の昇温時間を短くするためには第1濃度を通常運転時の濃度よりも大きくすることが望ましく、この実施形態では5%に設定される。
ステップS19において燃料電池温度が45℃以上になると、電気化学的センサである電圧センサ168によってメタノール水溶液の濃度情報が得られ、CPU172によってその濃度情報がメモリ176内の変換情報に基づいて濃度に変換され、メタノール濃度が得られる(ステップS21)。その検出濃度に基づいてCPU172が燃料ポンプ136および水ポンプ160の動作を制御することによってメタノール水溶液の濃度が第2濃度に制御され(ステップS23)、燃料電池停止信号が入力されたか否かがCPU172によって判断される(ステップS25)。燃料電池停止信号が入力されるまで電圧センサ168に基づく濃度制御が継続される。この実施形態では、第2濃度はたとえば3%に設定される。このように第2濃度を第1濃度より低くすることによって、燃料取込・放出部材208には燃料である液体メタノール210が保持されていない状態を維持することができる。これによって、次回の液体メタノール210の保持可能量を簡単に求めることができる。
ステップS25において燃料電池停止信号が入力されると、電圧センサ168を用いて水溶液濃度が検出され(ステップS27)、燃料取込・放出部材208に保持可能な量の液体メタノール210を供給できるように燃料投入量が算出され(ステップS29)、算出された燃料投入量がメモリ176に記憶される(ステップS31)。
ここで、第1濃度より水溶液タンク130内のメタノール水溶液の濃度の方が低ければ、供給すべき液体メタノール210の量を算出できる。
たとえば、燃料取込・放出部材208が水溶液タンク130内のメタノール水溶液を5%に調整するものであり、燃料取込・放出部材208に保持できる液体メタノール210の量が200ml、燃料取込・放出部材208の体積が300ml、後述の液位低下後の保持部204(ここでは保持部204は水溶液をも保持可能とする)に残るメタノール水溶液が50mlとすれば、メタノール水溶液のその時点の濃度に応じて以下の量の液体メタノール210が供給される。
メタノール水溶液の濃度が3%、2%、1%のとき、燃料取込・放出部材208は液体メタノール210を保持していないので、200mlの液体メタノール210を取り込むことができる。さらに保持部204に残っているメタノール水溶液を5%にするためにはそれぞれ約1ml、1.5ml、2mlの液体メタノール210が必要となる。したがって、供給すべき液体メタノール210の量はそれぞれ約201ml、201.5ml、202mlとなる。これに基づいてメタノール燃料の投入量が決定される。なお、濃度によらず液体メタノール210の供給量が200mlとなるようにメタノール燃料の投入量を決定してもよい。
そして、燃料取込・放出部材208とメタノール水溶液とが接触しなくなるようにたとえば高さX2(図12参照)まで水溶液タンク130内の液位が下げられ(ステップS33)、燃料取り込み処理(2)(ステップS35〜S39)を行なうことなく発電停止処理が行われ(ステップS41)、終了する。この液位を下げる動作は、メタノール燃料、水の補給量を減少させた状態で発電を継続させることによって行われる。
このような燃料電池システム100によれば、包接化合技術を利用し、燃料電池104の温度が閾値以下であれば水溶液タンク130内において燃料取込・放出部材208とメタノール水溶液とを接触させることによってメタノール水溶液の濃度を第1濃度に調整し、燃料電池104の温度が上昇して閾値を超えれば電圧センサ168を用いて検出されたメタノール水溶液の濃度に基づいてメタノール水溶液の濃度を第2濃度に調整する。このように濃度検出に適さない比較的低温では別途濃度制御することなく燃料取込・放出部材208を用いて濃度調整し、所定温度を超えれば電圧センサ168の検出結果に基づいて濃度調整することによって、燃料電池104の温度に拘わらず適切な濃度調整が可能となり、循環型の燃料電池システム100において燃料濃度を安定させることができる。
特に、燃料電池104の温度が閾値以下の比較的低温においては電圧センサ168では精度よく濃度検出できないが、燃料電池システム100では、そのような比較的低温においては燃料取込・放出部材208を用いることによって簡単な構成で良好に濃度調整できる。また、燃料電池104の温度が閾値を超えれば電圧センサ168を用いて精度よく濃度を検出できる。このようにして濃度調整の精度を高めることができる。
また、水溶液タンク130へのメタノール燃料および水の補給量を制御することによって、水溶液タンク130内でのメタノール水溶液の量を容易に調整し、水溶液タンク130に保持されたメタノール水溶液への燃料取込・放出部材208の出入を簡単に制御することができる。
さらに、保持部204内に燃料取込・放出部材208を配置することによって、高濃度のメタノール水溶液を燃料取込・放出部材208に簡単に供給することができ、燃料取込・放出部材208によって液体メタノール210を素早く保持させることができる。
また、液体メタノール210を燃料電池104に供給する直前に燃料取込・放出部材208に保持させることによって、液体メタノール210が気化し蒸発してしまうことはなく燃料効率を向上できる。
さらに、液体メタノール210の保持可能量に基づいて決定された量のメタノール燃料を燃料取込・放出部材208へ投入できるので、メタノール燃料を無駄なく使用できる。
また、燃料投入量はメモリ176に予め記憶されているので、新たに算出することなく迅速にメタノール燃料を投入できる。
ついで、燃料取り込み処理(2)を実行するモードについて説明する。
このモードでは、初期的に燃料取込・放出部材208に液体メタノール210が保持されていなければ、所定量の液体メタノール210を供給し保持させておく。
そして、図15および図16を参照して、ステップS1において燃料電池起動信号が入力されると、燃料取り込み処理(1)(ステップS3〜S9)を実行することなくステップS11に進み、メタノール水溶液の液位が調整される。その後、上述と同様にステップS13〜S33が実行される。ステップS33において燃料取込・放出部材208とメタノール水溶液とが接触しなくなるように水溶液タンク130内の液位が下げられた後、燃料ポンプ136が駆動され(ステップS35)、ステップS31において記憶された投入量分の高濃度のメタノール燃料が投入される(ステップS37)。これにより、燃料取込・放出部材208に液体メタノール210が取り込まれ、保持される(ステップS39)。そして、発電停止処理が行われ(ステップS41)、終了する。
このモードによれば、燃料電池104の停止指示後に燃料取込・放出部材208に液体メタノール210を保持させておくことによって、燃料電池104の次回の始動を円滑に行うことができる。
なお、図15および図16に示す動作において、第2濃度を第1濃度より高くしてもよい。この場合、燃料取込・放出部材208に液体メタノール210が常に満たされた状態を維持できるので、燃料電池104の停止指示後や次回の起動直後に液体メタノール210を燃料取込・放出部材208に供給する必要がなくなる。
つぎに、図17および図18を参照して、燃料電池システム100の他の動作モードについて説明する。なお、初期的に燃料取込・放出部材208とメタノール水溶液とを隔離しておく。また、この動作モードの実行は、燃料取込・放出部材208に液体メタノール210が取り込まれていない状態で開始されることが前提条件となる。
このモードでは、ステップS1において燃料電池起動信号が入力されると、温度センサ170によって燃料電池104の温度が検出され(ステップS2a)、その温度が45℃以上か否かが判断される(ステップS2b)。燃料電池温度が45℃未満であれば、メモリ176に記憶された図14に対応するテーブルデータを参照して燃料電池温度に応じて燃料投入量が算出され(ステップS2c)、燃料ポンプ136が駆動され(ステップS5)、算出された投入量分の高濃度のメタノール燃料が投入される(ステップS7)。その後は、上述と同様にステップS9〜S25の処理が実行される。一方、ステップS2bにおいて、燃料電池104の温度が45℃以上であれば、水ポンプ160または燃料ポンプ136と水ポンプ160とが駆動されて、水溶液タンク130内の液位が図12に示すAの範囲内に収まるように調整され(ステップS11a)、その後、水溶液ポンプ146およびエアポンプ148等が駆動され発電が開始され(ステップS13a)、ステップS21に進む。
ステップS25において燃料電池停止信号が入力されると、水溶液タンク130内の液位が調整され、燃料取込・放出部材208とメタノール水溶液とが接触しなくなるように液位が下げられる(ステップS33a)。そして、発電停止処理が行われ(ステップS41a)、終了する。
このモードによれば、始動時の燃料電池104の温度に応じて燃料取込・放出部材208へのメタノール燃料の投入量を適切に決定でき、メタノール燃料を無駄なく使用できる。
なお、このモードにおいて、次のように動作させてもよい。ステップS19で燃料電池温度が45℃に達する前に燃料電池104の発電が停止されたときには、そのときの燃料電池温度を記憶しておき、次回起動時のステップS2cにおいて、記憶しておいた温度における投入量(図14参照)を差し引いてメタノール燃料を投入する。
また、燃料電池システム100において、図10および図11に示すように、メタノール水溶液の退避または返還を可能とするための水溶液タンク130aを別途設け、CPU172で水溶液ポンプ146a,146bの動作を制御することによってメタノール水溶液の退避や返還を実行するようにしてもよい。この場合、水溶液タンク130内の液量を素早く変化させることができ、水溶液タンク130に保持されたメタノール水溶液への燃料取込・放出部材208の出入を迅速に制御することができる。なお、水溶液ポンプとして逆回転可能なポンプを用いるならば1つのポンプでよい。また、メタノール水溶液の退避、返還のいずれか一方は重力や毛管作用により行うようにしてもよい。この場合、水溶液ポンプ146a,146bのいずれか一方は不要であり、CPU172によって開閉を制御する弁機構に置換することができる。
また、水タンク132を水溶液タンク130aに兼用し、水ポンプ160を水溶液ポンプ146aに兼用し、CPU172によって水ポンプ160の動作を制御し、水溶液タンク130に保持されたメタノール水溶液への燃料取込・放出部材208の出入を制御するようにしてもよい。
さらに、水タンク132を水溶液タンク130aに兼用し、水ポンプ160を水溶液ポンプ146bに兼用し、水溶液タンク130と水タンク132とをバルブ161(図10および図11参照)を介して結び、CPU172によって水ポンプ160およびバルブ161の動作を制御し、水溶液タンク130に保持されたメタノール水溶液への燃料取込・放出部材208の出入を制御するようにしてもよい。
これらの場合、水溶液タンク130aを別途設けることなく簡単な構成で水溶液タンク130内の液量を変化させることができる。
なお、水溶液タンク130におけるメタノール水溶液の液位を変化させる態様としては、上述の態様に限定されず、任意の方法によって水溶液タンク130におけるメタノール水溶液の液位を変化させ燃料取込・放出部材208とメタノール水溶液との接触を制御することができる。
さらに、図19に示すように、水溶液タンク130の上面に巻き上げ機214を設け、巻き上げ機214のワイヤ216に保持部204を接続し、保持部204を上下方向に移動可能に支持してもよい。
この場合も、図15および図16に示す動作、図17および図18に示す動作を実行できる。但し、ステップS11,S11aの液位調整処理が、燃料取込・放出部材208を降下させメタノール水溶液に入れる処理に替えられ、ステップS33およびS33aの液位調整処理が、燃料取込・放出部材208を上昇させメタノール水溶液から出す処理に替えられることが望ましい。
この実施形態では、巻き上げ機214の動作をCPU172によって制御することによって、保持部204ひいては燃料取込・放出部材208の上下方向の位置を変化させることができ、水溶液タンク130に保持されたメタノール水溶液への燃料取込・放出部材208の出し入れを簡単に制御できる。また、水溶液タンク130の水溶液出口付近まで燃料取込・放出部材208を移動させることによって、目標濃度に近いメタノール水溶液を燃料電池104のアノード104bに確実に供給することができる。
また、水溶液タンク130の内側面に上下方向に延びるレールを形成しておき、そのレールを保持部204が摺動することによって保持部204ひいては燃料取込・放出部材208を上下方向に移動させてもよい。
この発明は、燃料電池システム100を含む自動二輪車10ひいては自動車、船舶等の輸送機器に好適に用いられる。
なお、メタノール水溶液の濃度を求めるための変換情報は、濃度情報を濃度に変換するための演算式であってもよい。
上述の実施形態では、ゲスト化合物となる液体燃料が液体メタノール210である場合について説明したがこれに限定されない。液体燃料は、燃料電池104の燃料として用いることができるものであればよく、たとえば、その他のアルコール類、エーテル類、炭化水素類、アセタール類などが挙げられる。当該液体燃料は、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、プロパン、ブタン等の炭化水素類、ジメトキシメタン、トリメトキシメタン等のアセタール類などが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、ホスト化合物としては、有機化合物、無機化合物及び有機・無機複合化合物よりなるものが知られており、また、有機化合物においては、単分子系、多分子系、高分子系ホストなどが知られている。
単分子系ホスト化合物としては、シクロデキストリン類、クラウンエーテル類、クリプタンド類、シクロファン類、アザシクロファン類、カリックスアレン類、シクロトリベラトリレン類、スフェランド類、環状オリゴペプチド類などが挙げられる。また多分子系ホスト化合物としては、尿素類、チオ尿素類、デオキシコール酸類、ペルヒドロトリフェニレン類、トリ−o−チモチド類、ビアンスリル類、スピロビフルオレン類、シクロフォスファゼン類、モノアルコール類、ジオール類、アセチレンアルコール類、ヒドロキシベンゾフェノン類、フェノール類、ビスフェノール類、トリスフェノール類、テトラキスフェノール類、ポリフェノール類、ナフトール類、ビスナフトール類、ジフェニルメタノール類、カルボン酸アミド類、チオアミド類、ビキサンテン類、カルボン酸類、イミダゾール類、ヒドロキノン類などが挙げられる。また、高分子系ホスト化合物としては、セルロース類、デンプン類、キチン類、キトサン類、ポリビニルアルコール類、1,1,2,2−テトラキスフェニルエタンをコアとするポリエチレングリコールアーム型ポリマー類、α,α,α',α'−テトラキスフェニルキシレンをコアとするポリエチレングリコールアーム型ポリマー類などが挙げられる。
また、その他に有機リン化合物、有機ケイ素化合物なども挙げられる。
無機系ホスト化合物としては、酸化チタン、グラファイト、アルミナ、遷移金属ジカルゴゲナイト、フッ化ランタン、粘土鉱物(モンモリロナイトなど)、銀塩、ケイ酸塩、リン酸塩、ゼオライト、シリカ、多孔質ガラスなどが挙げられる。
さらに、有機金属化合物にもホスト化合物としての性質を示すものがあり、たとえば有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物、有機ホウ素化合物、有機亜鉛化合物、有機インジウム化合物、有機ガリウム化合物、有機テルル化合物、有機スズ化合物、有機ジルコニウム化合物、有機マグネシウム化合物などが挙げられる。また、有機カルボン酸の金属塩や有機金属錯体などを用いることも可能であるが、有機金属化合物であれば、特にこれらに限定されるものではない。
これらのホスト化合物のうち、包接能力がゲスト化合物の分子の大きさに左右されにくい多分子系ホスト化合物が好適である。
多分子系ホスト化合物としては、具体的には、尿素、1,1,6,6−テトラフェニルヘキサ−2,4−ジイン−1,6−ジオール、1,1−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−2−プロピン−1−オール、1,1,4,4−テトラフェニル−2−ブチン−1,4−ジオール、1,1,6,6−テトラキス(2,4−ジメチルフェニル)−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール、9,10−ジフェニル−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール、9,10−ビス(4−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール、1,1,2,2−テトラフェニルエタン−1,2−ジオール、4−メトキシフェノール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4'−スルホニルビスフェノール、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−エチリデンビスフェノール、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α,α',α'−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、テトラキス(p−メトキシフェニル)エチレン、3,6,3',6'−テトラメトキシ−9,9'−ビ−9H−キサンテン、3,6,3',6'−テトラアセトキシ−9,9'−ビ−9H−キサンテン、3,6,3',6'−テトラヒドロキシ−9,9'−ビ−9H−キサンテン、没食子酸、没食子酸メチル、カテキン、ビス−β−ナフトール、α,α,α',α'−テトラフェニル−1,1'−ビフェニル−2,2'−ジメタノール、ジフェン酸ビスジシクロヘキシルアミド、フマル酸ビスジシクロヘキシルアミド、コール酸、デオキシコール酸、1,1,2,2−テトラフェニルエタン、テトラキス(p−ヨードフェニル)エチレン、9,9'−ビアンスリル、1,1,2,2−テトラキス(4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−カルボキシフェニル)エタン、アセチレンジカルボン酸、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、1,2,4,5−テトラフェニルイミダゾール、2−フェニルフェナントロ[9,10−d]イミダゾール、2−(o−シアノフェニル)フェナントロ[9,10−d]イミダゾール、2−(m−シアノフェニル)フェナントロ[9,10−d]イミダゾール、2−(p−シアノフェニル)フェナントロ[9,10−d]イミダゾール、ヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ビス(2,4−ジメチルフェニル)ヒドロキノン、などが挙げられる。
ホスト化合物としては、上記したものの中でも1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エチレンのようなフェノール系ホスト化合物、ジフェン酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)、フマル酸ビスジシクロヘキシルアミドのようなアミド系ホスト化合物、2−(m−シアノフェニル)フェナントロ[9,10−d]イミダゾールのようなイミダゾール系ホスト化合物が包接能力の面で有利であり、特に、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなフェノール系ホスト化合物が工業的に使用しやすい点で有利である。
これらのホスト化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのホスト化合物は、固体状の包接化合物を形成できるものであれば、どのような形状の化合物でもかまわない。
また、上述のホスト化合物のうち、有機系ホスト化合物は、多孔質物質に担持させた有機・無機複合素材として使用することもできる。この場合、有機系ホスト化合物を担持する多孔質物質としては、シリカ類、ゼオライト類、活性炭類の他に、粘土鉱物類、モンモリロナイト類などの層間化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。このような有機・無機複合素材は、前述の有機系ホスト化合物を、これを溶解することのできる溶媒に溶解させ、その溶液を多孔質物質中に含浸させ、溶媒を乾燥、減圧乾燥するなどの方法で製造することができる。多孔質物質に対する有機系ホスト化合物の担持量としては特に制限はないが、通常の場合、多孔質物質に対して10〜80重量%程度である。
前述の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのホスト化合物を用いて包接化合物を合成する方法としては、燃料とホスト化合物とを直接接触、混合する方法が挙げられ、これにより、液体燃料を包接した包接化合物を容易に合成することができる。
包接化合物の合成に際して、燃料とホスト化合物とを接触させる温度は、特に制限はないが、常温〜100℃程度が好ましい。このときの圧力条件についても特に制限はないが、常圧環境で行うことが好ましい。また、燃料とホスト化合物とを接触させる時間についても特に制限はないが、作業効率等の面から0.01〜24時間程度とするのが好ましい。
このようにして得られる包接化合物は、用いたホスト化合物の種類、燃料との接触条件等によっても異なるが、通常ホスト化合物1モルに対して燃料分子0.1〜10モルを包接した包接化合物である。
この発明の一実施形態の自動二輪車を示す左側面図である。 自動二輪車の車体フレームに対する燃料電池システムの配置状態を左斜め前方からみた斜視図である。 自動二輪車の車体フレームに対する燃料電池システムの配置状態を左斜め後方からみた斜視図である。 燃料電池システムの配管状態を示す左側面図である。 燃料電池システムの配管状態を示す右側面図である。 燃料電池システムの配管状態を左斜め前方からみた斜視図である。 燃料電池システムの配管状態を右斜め前方からみた斜視図である。 燃料電池セルスタックを示す図解図である。 燃料電池セルを示す図解図である。 燃料電池システムの配管を示すシステム図である。 燃料電池システムの電気的構成を示すブロック図である。 水溶液タンク内の構造を示す図解図である。 包接化合物を説明するための図解図である。 燃料電池初期温度に対するメタノール燃料(高濃度のメタノール水溶液)投入量を示すグラフである。 この発明の動作の一例を示すフロー図である。 図15に示す動作の続きを示すフロー図である。 この発明の動作の他の例を示すフロー図である。 図17に示す動作の続きを示すフロー図である。 支持部の他の例を示す図解図である。
符号の説明
10 自動二輪車
100 燃料電池システム
102 燃料電池セルスタック
104 燃料電池(燃料電池セル)
128 燃料タンク
130,130a 水溶液タンク
132 水タンク
136 燃料ポンプ
146,146a,146b 水溶液ポンプ
156 コントローラ
160 水ポンプ
161 バルブ
168 電圧センサ
170 温度センサ
172 CPU
176 メモリ
204 保持部
206 支持部
208 燃料取込・放出部材
210 液体メタノール
212 包接化合物
214 巻き上げ機
P1〜P16,P20〜P22 パイプ

Claims (14)

  1. 燃料水溶液を循環使用する燃料電池システムであって、
    電気化学反応によって電気エネルギを生成する燃料電池、
    前記燃料電池に供給される前記燃料水溶液を保持する水溶液保持手段、
    前記水溶液保持手段内に配置され、所定値よりも高い濃度の前記燃料水溶液と接触したとき前記燃料水溶液に含まれる液体燃料を取り込み前記所定値よりも低い濃度の前記燃料水溶液と接触したとき液体燃料を放出する燃料取込・放出部材、
    前記燃料電池の温度を検出する温度検出手段、
    前記燃料水溶液の濃度を検出する濃度検出手段、および
    前記燃料水溶液の濃度を調整する濃度調整手段を備え、
    前記濃度調整手段は、前記燃料取込・放出部材を含み、前記温度検出手段によって検出された温度が閾値以下であれば前記燃料取込・放出部材と前記燃料水溶液との接触によって前記燃料水溶液の濃度を第1濃度に調整し、前記温度が前記閾値を超えれば前記濃度検出手段によって検出された濃度に基づいて前記燃料水溶液の濃度を第2濃度に調整する、燃料電池システム。
  2. 前記濃度検出手段は電気化学的センサを含む、請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記第2濃度は前記第1濃度よりも高い、請求項1に記載の燃料電池システム。
  4. 前記第2濃度は前記第1濃度よりも低い、請求項1に記載の燃料電池システム。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の燃料電池システムを含む、輸送機器。
  6. 燃料水溶液を循環使用する燃料電池システムの運転方法であって、
    燃料電池に供給すべき前記燃料水溶液を水溶液保持手段によって保持し、
    所定値よりも高い濃度の前記燃料水溶液と接触したとき前記燃料水溶液に含まれる液体燃料を取り込み前記所定値よりも低い濃度の前記燃料水溶液と接触したとき液体燃料を放出する燃料取込・放出部材を前記水溶液保持手段内に配置し、
    前記燃料電池の温度が閾値以下であれば前記燃料取込・放出部材と前記燃料水溶液との接触によって前記燃料水溶液の濃度を第1濃度に調整し、
    前記温度が前記閾値を超えれば前記燃料水溶液の検出濃度に基づいて前記燃料水溶液の濃度を第2濃度に調整する、燃料電池システムの運転方法。
  7. 前記燃料水溶液の電気化学的特性を利用して前記燃料水溶液の濃度を検出する、請求項6に記載の燃料電池システムの運転方法。
  8. 前記第2濃度は前記第1濃度よりも高い、請求項6に記載の燃料電池システムの運転方法。
  9. 前記第2濃度は前記第1濃度よりも低い、請求項6に記載の燃料電池システムの運転方法。
  10. 前記燃料電池の起動指示後に、前記燃料取込・放出部材に液体燃料を保持させておく、請求項6に記載の燃料電池システムの運転方法。
  11. 前記燃料取込・放出部材に保持可能な量の液体燃料を供給できるように前記燃料水溶液よりも高い濃度の燃料の投入量を記憶しておき、前記燃料電池の起動指示後に、記憶された投入量分の前記燃料を前記燃料取込・放出部材に投入し、当該燃料に含まれる液体燃料を前記燃料取込・放出部材に保持させる、請求項10に記載の燃料電池システムの運転方法。
  12. 前記燃料電池の起動指示後に、前記燃料電池の温度に応じて前記燃料水溶液よりも高い濃度の燃料の投入量を決定し、決定された投入量分の前記燃料を前記燃料取込・放出部材に投入し、当該燃料に含まれる液体燃料を前記燃料取込・放出部材に保持させる、請求項10に記載の燃料電池システムの運転方法。
  13. 前記燃料電池の停止指示後に、前記燃料取込・放出部材に液体燃料を保持させておく、請求項6に記載の燃料電池システムの運転方法。
  14. 前記燃料電池の停止指示後に、前記燃料取込・放出部材に保持可能な量の液体燃料を供給できるように前記燃料水溶液よりも高い濃度の燃料の投入量を決定し、決定された投入量分の前記燃料を前記燃料取込・放出部材に投入し、当該燃料に含まれる液体燃料を前記燃料取込・放出部材に保持させる、請求項13に記載の燃料電池システムの運転方法。

JP2006034313A 2006-02-10 2006-02-10 燃料電池システムおよびその運転方法 Pending JP2007214048A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006034313A JP2007214048A (ja) 2006-02-10 2006-02-10 燃料電池システムおよびその運転方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006034313A JP2007214048A (ja) 2006-02-10 2006-02-10 燃料電池システムおよびその運転方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007214048A true JP2007214048A (ja) 2007-08-23

Family

ID=38492274

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006034313A Pending JP2007214048A (ja) 2006-02-10 2006-02-10 燃料電池システムおよびその運転方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007214048A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009070693A (ja) * 2007-09-13 2009-04-02 Daihatsu Motor Co Ltd 燃料電池システム
JP2009123383A (ja) * 2007-11-12 2009-06-04 Hitachi Ltd 燃料電池電源システム及びその運転方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005203335A (ja) * 2003-12-18 2005-07-28 Kurita Water Ind Ltd 燃料電池用燃料及びその供給方法
JP2005327626A (ja) * 2004-05-14 2005-11-24 Kurita Water Ind Ltd 燃料電池発電システム

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005203335A (ja) * 2003-12-18 2005-07-28 Kurita Water Ind Ltd 燃料電池用燃料及びその供給方法
JP2005327626A (ja) * 2004-05-14 2005-11-24 Kurita Water Ind Ltd 燃料電池発電システム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009070693A (ja) * 2007-09-13 2009-04-02 Daihatsu Motor Co Ltd 燃料電池システム
JP2009123383A (ja) * 2007-11-12 2009-06-04 Hitachi Ltd 燃料電池電源システム及びその運転方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7883812B2 (en) Fuel cell system and transportation equipment including the same
US8329349B2 (en) Fuel cell system and operating method thereof
JP5456359B2 (ja) 燃料電池システム
US20080166607A1 (en) Fuel Cell System and Transporting Equipment Including the Same
US20080124595A1 (en) Fuel cell system and operation method therefor
US8697266B2 (en) Fuel cell system and control method therefor
JP2007214048A (ja) 燃料電池システムおよびその運転方法
EP1770815A1 (en) Fuel cell system and method therefor of measuring fuel concentration of aqueous fuel solution
JP2007200874A (ja) 燃料電池システムおよびその運転方法
TWI420731B (zh) 燃料電池系統
JP2007214046A (ja) 燃料電池システムおよびその運転方法
US20080113238A1 (en) Fuel cell system and transportation equipment including the same
EP1804324A1 (en) Direct Methanol Fuel cell system and operating method for shutdown
JP5201902B2 (ja) 燃料電池システムおよびその制御方法
JP4646117B2 (ja) 燃料電池システムおよびそれを用いた輸送機器
EP1722433A1 (en) Fuel cell system and method therefor of measuring fuel concentration in fuel aqueous solution
JP2008004538A (ja) 燃料電池システムおよびその運転方法
EP1724862A2 (en) Fuel cell system and controlling method therefor
JP2006351518A (ja) 燃料電池システムおよびその制御方法
JP2006324236A (ja) 燃料電池システムおよびそれにおける燃料水溶液の燃料濃度の測定方法
JP2005150106A (ja) 燃料電池システムおよびそれを用いた輸送機器
JP2006343268A (ja) 濃度検出装置および濃度検出方法
JP4863689B2 (ja) 燃料電池システムおよびその濃度調整方法
JP2007123258A (ja) 燃料電池システムおよびそれを含む輸送機器
JP4911946B2 (ja) 燃料電池システムおよびその燃料濃度検出方法。

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090205

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120403