JP2007211701A - 容量可変型圧縮機における流量検出装置 - Google Patents

容量可変型圧縮機における流量検出装置 Download PDF

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太田  雅樹
Masanori Sonobe
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Atsuhiro Suzuki
敦博 鈴木
Tomoji Taruya
知二 樽谷
Satoshi Umemura
聡 梅村
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Abstract

【課題】本願発明は圧縮機において安定した流量検出が行える信頼性のある流量検出装置を提供することにある。
【解決手段】容量制御装置21から吐出容量を増加する指令が出されると、吐出室14の冷媒ガスの流量が増加し、スプール39にかかる差圧が増加する。スプール39は図2の下方に移動するため鉄心53との距離が開き、鉄心53に生じる磁束密度が減少する。磁気センサー52は減少した磁束密度に応じた検出信号、即ち流量増加の検出信号をアンプ32に送信する。ケース34は圧縮された高温状態にある冷媒ガスが供給されているため、圧縮機と同様に高い温度状態にある。しかし、磁気センサー52は、鉄心53を介在することによりケース34から離れた位置に配設され、しかも鉄心53とケース34との間に隙間を設けて直接接触させない構成であるため、熱による影響を可及的に減少し、信頼性のおける流量検出を行うことができる。
【選択図】図2

Description

本願発明は、容量可変型圧縮機において冷媒ガスの吐出流量の変化に対応して移動する可動体を磁気的に検出する流量検出装置に関するものである。
容量可変型圧縮機(以下、単に圧縮機という)は、例えば特許文献1に開示されているように、制御弁CVに流量指令を出し、制御弁CVの開度を調整することによって斜板15の傾斜角を変更し、吐出容量(本願明細書では、圧縮機の1回転毎の吐出流量をいう)を変更するように構成されている。
しかし、特許文献1のような吐出容量変更制御は制御弁CVに一方的に流量指令を出すのみで、制御弁CVによって制御された結果である実際の吐出容量を知ることができないという問題がある。
また、吐出容量が変更されると圧縮機の動力も変化することになるが、その必要な動力は流量指令値に基づく計算値で推測しているのが現状である。
このため、例えば流量指令後の立ち上がり時間中等では、実際の圧縮機の動力と前記計算値との間で誤差が生じ、必要な車室内温度に達する時間が長くなったり、車両側のエンジンへの負担が増加するなど、適切な制御を行いにくい状態がある。
圧縮機において、冷媒ガスの吐出流量を知ることができれば、実際の吐出容量や動力を計算によって正確に知ることができる。
そこで、例えば特許文献2の図2に開示されるような電子式流量計を利用し、圧縮機の吐出流量を検出する方法が考えられる。
特許文献2の電子式流量計は、流量と2点間の流体の差圧が比例関係にあることを利用したもので、以下の構造を有する。オリフィス8を設けた流路7から高圧導圧路9及び低圧導圧路10を介してベロフラム12及びマグネット13を装填した差圧検出部11へ流体を供給する。高圧導圧路9の流体は、図においてベロフラム12の左側の部屋へ流入し、低圧導圧路10の流体はベロフラム12の右側の部屋へ流入する。このため、ベロフラム12は差圧によってマグネット13とともに左方又は右方へ移動する。差圧検出部11の外部にはマグネット13と対向する近接位置にホール素子15が設置されている。
従って、差圧検出部11へ導入される流体の差圧によりマグネット13が左右に移動し、ホール素子15との距離が変化するため、ホール素子15は差圧変化に基づくマグネット13の磁束密度の変化を感知し、流量を検出することができる。
特開2002−332962号公報 実願昭62−68457号全文明細書(実開昭63−177715号)
しかし、圧縮機では、圧縮された冷媒ガスは高温になり、圧縮機及びその周辺機器の温度を上昇する。このような圧縮機に特許文献2のような電子式流量計を設置した場合、差圧検出部11へ供給される流体、即ち冷媒ガスが高温であるため、差圧検出部11の温度上昇が生じる。その結果、差圧検出部11に近接したホール素子15は高温にさらされ、磁束密度の検出機能を阻害する恐れが生じるため、前記電子式流量計を圧縮機に利用することは困難であった。
本願発明の目的は、圧縮機において安定した流量検出を行うことができる信頼性のある流量検出装置を提供することにある。
請求項1に記載の本願発明は、容量可変型圧縮機において、ハウジング内もしくは密封されたケース内に形成された密封室に配置され、冷媒ガスの流量変化に応じて移動する可動体に磁石を設け、前記ハウジングもしくはケースの外方に磁気センサーを配設し、前記磁気センサー又は前記磁石の少なくとも一方に鉄心を取り付け、前記磁石に対して前記磁気センサーを鉄心を介して対向させたことを特徴とする。
請求項1記載の本願発明によれば、磁気センサーが圧縮機の温度に影響されず、冷媒ガスの吐出流量を的確に検出することができ、信頼性のある圧縮機の流量検出装置を提供することができる。また、検出した吐出流量には信頼性があるため、圧縮機やその他の機器のより適切な制御に利用することが可能となる。
請求項2に記載の本願発明は、前記鉄心が前記磁気センサーに取り付けられていることを特徴とするため、磁気センサー及び鉄心の取り付け構成が簡単になる。また、ケースから鉄心に伝達した熱も磁気センサー側に伝達する途中で外部空間へ発散されやすく、磁気センサーに達する熱量は大幅に減少される。
請求項3に記載の本願発明は、前記鉄心と前記ハウジングもしくはケースの間に隙間を設けたことを特徴とするため、ケース側から磁気センサーへの熱伝達が遮断され、磁気センサーの熱による影響をさらに減少することができる。
請求項4に記載の本願発明は、前記鉄心の周囲には放熱フィンが形成されていることを特徴とするため、鉄心に伝達した熱が放熱フィンを通して外部空間へ放出されやすくなり、磁気センサーへ達する熱量をより減少することができる。
請求項5に記載の本願発明は、鉄心側とマグネットを収容したケース側の対向部分にそれぞれテーパ面からなる凹状部又は凸状部に形成し、両者を嵌合させたことを特徴するため、マグネットが移動しても鉄心との距離の変化を少なくすることができ、磁気センサーによる磁束密度の検出機能を高めることができる。
請求項6に記載の本願発明は、前記密封室には、前記圧縮機の吐出室から吸入室に至る冷媒ガスからなる流体の一部が供給されることを特徴とするため、流量検出装置を圧縮機外部へ設置することができ、圧縮機からの熱影響を減少できるとともに流量検出装置の設置が容易になる。
請求項7に記載の本願発明は、前記密封室に供給される流体は、前記可動体の一方を押圧する高圧流体と前記可動体の他方を押圧する低圧流体であり、両流体の差圧により前記可動体が移動されることを特徴とするため、流量検出装置を簡単な構成とすることができる。
請求項8に記載の本願発明は、前記高圧流体は車両用空調装置の冷媒回路に設けた絞り部の上流側冷媒通路と前記ケースを接続することにより供給され、前記低圧流体は前記絞り部の下流側冷媒通路と前記ケースを接続することにより供給されることにより供給されることを特徴とするため、流量検出装置を簡単な構成とすることができる。
本願発明は、圧縮機において安定した流量検出を行うことができる信頼性のある流量検出装置を提供することができる。
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。
図1は圧縮機の概要を示す。ハウジング1内には、制御室としてのクランク室2が区画されている。クランク室2内には、駆動軸3が回転可能に配設されている。駆動軸3は、車両に積載されたエンジン4に作動連結され、エンジン4からの動力供給によって回転駆動される。
クランク室2において、駆動軸3上にはラグプレート5が一体回転可能に固定されている。また、クランク室2内には斜板6が収容されている。斜板6は駆動軸3に設定された傾斜角で嵌合し、駆動軸3の軸線方向に傾動可能に支持されるとともに駆動軸3上をスライド移動可能に設けられている。ヒンジ機構7はラグプレート5と斜板6との間に介在されている。従って、斜板6はヒンジ機構7を介してラグプレート5及び駆動軸3と同期回転するとともに、駆動軸3の軸線方向に対して傾動する。また、斜板6の傾斜角は後述する容量制御装置21によって制御される。
ハウジング1内には複数(図面には一つのみ示す)のシリンダボア8が形成されており、各シリンダボア8内には片頭型のピストン9が往復動可能に収容されている。各ピストン9はシュー10を介して斜板6の外周部に係留されている。従って、駆動軸3の回転にともなう斜板6の回転運動がシュー10を介してピストン9の往復運動に変換される。
シリンダボア8内の後方(図面右方)側には、ピストン9とハウジング1に内装された弁・ポート形成体11とで囲まれた圧縮室12が区画されている。ハウジング1の後方側の内部には、吸入圧力領域としての吸入室13及び吐出圧力領域としての吐出室14がそれぞれ区画形成されている。
そして、吸入室13の冷媒ガスは、各ピストン9が上死点位置から下死点位置へ移動することにより、弁・ポート形成体11に形成された吸入ポート15及び吸入弁16を介して圧縮室12に吸入される。圧縮室12に吸入された冷媒ガスは、ピストン9が下死点位置から上死点位置へ移動することにより所定の圧力にまで圧縮され、弁・ポート形成体11に形成された吐出ポート17及び吐出弁18を介して吐出室14に吐出される。
ハウジング1内には抽気通路19及び給気通路20が設けられている。抽気通路19はクランク室2と吸入室13とを連通する。給気通路20は吐出室14とクランク室2とを連通する。ハウジング1において、給気通路20の途中には制御弁22を備えた容量制御装置21が配設されている。
なお、制御弁22は、第1検圧回路23を介して吐出室14に連通し、また、後述する外部冷媒回路24に図示しない第2検圧回路を介して連通し、制御信号及び両検圧回路の2点間差圧に基づいて制御弁22の開度が調整される。
そして、容量制御装置21の制御弁22の開度を調節することで、給気通路20を介してクランク室2へ導入される高圧冷媒ガスの導入量と抽気通路19を介してクランク室2から導出される冷媒ガス導出量とのバランスが制御され、クランク室2の内圧が決定される。クランク室2の内圧に応じて、ピストン9を介した圧縮室12の内圧との差が変更され、斜板6は駆動軸3に対する傾斜角が変更される。この結果、圧縮機はピストン9のストローク、即ち冷媒ガスの吐出容量を変更することができる。
例えば、クランク室2の内圧が低下すると斜板6の傾斜角度が増大し、圧縮機の吐出容量が増大される。図1の二点鎖線は斜板6がラグプレート5に当接した最大傾斜角度の状態を示している。逆に、クランク室2の内圧が上昇すると斜板6の傾斜角度が減少し、圧縮機の吐出容量が減少される。図1の実線は斜板6が最小傾斜角度の状態を示している。
車両用空調装置の冷媒回路(冷凍サイクル)は、前記圧縮機と吐出室14及び吸入室13を繋ぐ外部冷媒回路24とから構成されている。なお、冷媒としては、例えば二酸化炭素やフロンが用いられている。外部冷媒回路24は、吐出室14側から順に、絞り部25、凝縮器26、レシーバタンク27、膨張弁28及び蒸発器29を備えている。また、凝縮器26とレシーバタンク27を繋ぐ冷媒通路には、冷媒の圧力を検出する圧力センサー30が配設される。圧力センサー30の検出信号は電気的な接続線31及びデータ入力手段54を介して圧縮機の容量制御装置21を制御するアンプ32に送信される。
一方、ハウジング1の背面には、図2に詳細を示した圧縮機の流量検出装置33が設置されている。即ち、中央部に貫通孔で形成した密封室35を備えた本体36、本体36の一方(図2の上側)を閉鎖するカバー37及び本体36の他方(図2の下側)を閉鎖するカバー38によってケース34が形成される。
密封室35には、可動体として有底筒型形状のスプール39が摺動可能に装填されている。スプール39の筒状部40は密封室35の内径とほぼ同径に形成され、有底部41は筒状部40よりも小径に形成されるとともにその端面側に磁石42が埋設されている。また、スプール39の有底部41とカバー37の間及び筒状部40とカバー38との間にはそれぞれスプリング43、44が介在され、スプール39のバランスする位置を定めている。本体36には、スプール39の有底部41側の密封室35に、ほぼ直角に接続した流体供給孔45が形成されている。
カバー37は密封室35と対応する外面に他よりも厚みを薄くした窪み部46を有する。また、カバー37は複数のボルト47(図2では1個のみを示す)によって本体36に固定されている。
カバー38はスプール39の筒状部40と対向する位置で密封室35に接続する流体供給孔48を有するとともに複数のボルト49によって本体36に固定されている。
なお、密封室35は、本体36とカバー37及びカバー38との間に介在した2本のリング状のシール67により密封状態に構成されている。
本体36の流体供給孔45は吐出室14と凝縮器26を繋ぐ冷媒通路に設けられた絞り部25の上流側冷媒通路に管路50で接続され、スプール39の有底部41側密封室35に冷媒ガスの高圧流体を供給する。また、カバー38の流体供給孔48は絞り部25の下流側冷媒通路に管路51で接続され、スプール39の筒状部40側密封室35に冷媒ガスの低圧流体を供給する。
従って、密封室35内のスプール39は有底部41側にかかる高圧流体と筒状部40側にかかる低圧流体との差圧によって図2の上方又は下方に移動する。容量制御装置21の制御により吐出容量が変更されると、吐出室14の吐出流量が変化するため、スプール39にかかる差圧が変化し、スプール39は差圧に応じて図2の上方又は下方に移動する。
一方、ケース34から比較的離れた位置にホール素子あるいはMIセンサー等の磁気センサー52を配設する。磁気センサー52には長尺の鉄心53が一体的に取り付けられている。鉄心53は磁気センサー52と反対側の端面がカバー37の窪み部46内に臨み、ケース34との間にわずかな隙間を空けて配置され、スプール39の有底部41に埋設した磁石42と対向する。また、磁気センサー52は接続線63によってアンプ32に電気的に接続されている。
従って、磁気センサー53は磁石42によって鉄心53に発生する磁束密度に応じた電気的な検出信号を発生し、アンプ32に送信する。
以上のように構成された第1の実施形態の作用を以下に説明する。
公知のように、圧縮機はエンジン4から動力を得て駆動軸3が回転され、斜板6を回転するため、ピストン9の往復運動によりシリンダボア8内に吸入された冷媒ガスが圧縮され、吐出室14に送り出される。吐出室14の冷媒ガスは圧縮により温度上昇するため、圧縮機全体が高温状態に置かれている。また、例えばデータ入力手段54からの車室内温度情報に基づきアンプ32から接続線64を介して容量制御装置21に吐出容量の変更指令が出されると、斜板6の傾斜角が図1の実線位置から仮想線位置までの間で適宜変更され、ピストン9のストロークを変更するため、吐出容量が種々変更される。
例えば、斜板6が図1の実線位置にあるとき最小の吐出容量で運転されており、吐出室14から送り出される冷媒ガスの流量は最小となる。このため、流量検出装置33の密封室35に供給される流体の差圧も最小となり、スプール39の磁石42は鉄心53に最も近い図2の位置に存在する。従って、磁気センサー52は鉄心に生じている高い磁束密度の検出信号をアンプ32に送信する。この検出信号は流量が最小であることを示す信号となる。
容量制御装置21によって斜板6の傾斜角が図1の仮想線方向に制御されると、吐出容量が増加して冷媒ガスの流量が増加し、スプール39にかかる差圧が増加する。このため、スプール39は図2の下方に移動し、鉄心53との距離が開き、鉄心53に生じる磁束密度が減少する。従って、磁気センサー52は減少した磁束密度に応じた検出信号をアンプ32に送信する。この検出信号は流量が増加した状態を示す信号となる。
以下同様にして、冷媒ガスの流量をリアルタイムで検出することができる。
前記した流量検出装置33の検出操作において、ケース34は圧縮された高温状態にある冷媒ガスが常時供給されているため、圧縮機と同様に高い温度状態にある。しかし、磁気センサー52は、ケース34から所定距離空けた位置に配設され、磁石42とは鉄心53によって対向させ、しかも鉄心53とケース34との間に隙間を設けて直接接触させない構成である。このため、ケース34から鉄心53への熱伝達が実質的に遮断され、磁気センサー52に対する熱影響が可及的に減少され、信頼性のおける流量検出を行うことができる。
アンプ32には、データ入力手段54から接続線65を介して前記車室内温度情報のほか圧縮機のプーリ比及び圧力センサー30からの冷媒ガスの圧力データ等が入力されている。また、車両のエンジン制御手段55からは接続線66を介してエンジン回転数がアンプ32に入力されている。
従って、アンプ32は磁気センサー52によって得られる冷媒ガスの流量データを基にリアルタイムで吐出容量を算出することができるため、容量制御装置21へのフィードバック制御を行うことが可能となり、最適な吐出容量制御を行うことができる。
また、磁気センサー52によって得られる冷媒ガスの流量データを基に圧縮機のトルクを算出することが可能となるため、車両のエンジン回転数に対応した吐出容量制御が行えるとともにエンジン制御手段55へのフィードバックにより最適なエンジン回転数制御へも利用可能となる。
前記した本願発明の第1の実施形態は、以下の作用効果が得られる。
(1)磁気センサー52は圧縮機等からの熱伝達が無いので熱による損傷を受けにくくなり、信頼性の高い磁束密度の検出作用を行える。
(2)冷媒ガスの流量をリアルタイムで正確に検出することができるので、吐出容量やエンジン回転数へのフィードバック制御が可能となる。
(3)外部冷媒回路24の冷媒通路に絞り部25を設け、その上流及び下流の冷媒ガスを利用するのみで2点間差圧による流量検出を行うことができ、構成を簡単にすることができる。
(第2の実施形態)
図3に示す第2の実施形態は、第1の実施形態における鉄心53を改良したもので、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
第2の実施形態は、鉄心53を熱伝導の良い材料、例えば鉄心53と同一材料で形成した保持体56に取り付け、保持体56の周囲に多数の放熱フィン57を放射状に形成したものである。このように構成することによって、ケース34から鉄心53に伝わる熱を外部空間に効率よく放出することができる。
(第3の実施形態)
図4に示す第3の実施形態は、第1の実施形態における磁束密度の検出機能をより高めるように改良したもので、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
第3の実施形態における鉄心53には、ケース34と対向する端面にテーパ面58を有する凹状部59が形成されている。一方、鉄心53に対向するカバー37の一部には内周面及び外周面ともにテーパ面60で形成した筒状の凸状部61が設けてある。そして、鉄心53はその凹状部59が凸状部61にわずかな隙間を空けて嵌合するように配設されている。
密封室35内に装填されるスプール39は有底部41を小径に形成し、その端部に磁石42を一体的に取り付けてある。また、磁石42はその外周を凸状部61のテーパ面60と同一又は近似した小径のテーパ面62で形成されている。そして、磁石42は凸状部61のテーパ面60内で移動するように配置されている。
従って、差圧の変化に伴いスプール39とともに磁石42は図の左右方向に移動するが、鉄心53の凹状部59及びカバー37の凸状部61が共にテーパ面に形成されていることにより、磁石42の移動に伴う凹状部59と凸状部61との端面間の最短距離の変化が少なくなるため、距離変化に対する磁束密度の変化をより直線的にすることができ、磁気センサー52による検出機能を高めることができる。
(第4の実施形態)
図5及び図6に示した第4の実施形態は、第1の実施形態の流量検出装置33を圧縮機のハウジング1内に設置した構成である。なお、第1の実施形態と同一構成部品については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態における流量検出装置68は、図5に示すように、ハウジング1の一部である吐出フランジ71内に設置されている。吐出フランジ71はハウジング1のシリンダブロック69にガスケット70を介在して固定されている。図6に示されるように、吐出フランジ71の内部には、密封室35が形成され、密封室35内に磁石42を埋設したスプール39が装填されている。また、密封室35を挟んで高圧流体室72及び低圧流体室73が区画形成され、両流体室72、73は区画壁に形成した絞り部74で連通されている。
高圧流体室72は、図5に示したように、吐出通路75a、75b、75cを介して吐出室14に連通するとともに連通路76を介してスプール39の有底部側密封室35に連通している。低圧流体室71は、連通路77を介してスプール39の筒状部側密封室35に連通するとともに吐出ポート78を介して外部冷媒回路に連通している。なお、図6の符号79は固定ボルトの挿通孔である。
また、吐出フランジ71の外部には、スプール39の磁石42と対向して磁気センサー52と一体の鉄心53が設置される。磁石42と対向する鉄心53の端面は吐出フランジ71との間に所定の隙間が空けられている。磁気センサー52が接続線63を介してアンプ32に接続される点は第1の実施形態と同一である。
第4の実施形態は前記した構成により、吐出室14から吐出された冷媒は吐出通路75a、75b、75cを通り、高圧流体室72に供給される。高圧流体室72内の冷媒は、一部が連通路76を介して密封室35内に高圧流体として供給される。
一方、高圧流体室72内の冷媒は、絞り部74を通り低圧流体室71内に低圧力となって流入し、その一部が連通路77を介して密封室35内に低圧流体として流入する。
なお、低圧流体室71内の冷媒は吐出ポート78を介して外部冷媒回路に供給されている。
従って、スプール39は密封室35内に流入した高圧流体と低圧流体の差圧により図6の上下方向に移動される。この移動により、鉄心53と磁石42との距離が変動し、磁気センサー52から所定の検出値が出力される点は第1の実施形態と同一あり、同一の作用効果を得ることができる。
本願発明は、前記した各実施形態の構成に限定されるものではなく本願発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、次のように実施することができる。
(1)第1の実施形態及び第4の実施形態では、ケース34又は吐出フランジ71(ハウジング1)と鉄心53との間に隙間を空ける構成を説明したが、ケース34又は吐出フランジ71(ハウジング1)と鉄心53とは接触させた状態で実施することができる。この実施例の場合でも鉄心53の存在により磁気センサー52が受ける熱影響を大幅に減少し、圧縮機の熱による検出機能の阻害を防止できる。
(2)前記各実施例では、鉄心53を磁気センサー52に一体的に取り付けた構成を示したが、鉄心53を磁石42とともにスプール39に一体化する構成としても同様の効果を有する。
(3)第2の実施形態における放熱フィン57は、保持体56を使用すること無く鉄心53に直接形成するように構成しても良い。
(4)第3の実施形態では、磁石42の外周をテーパ面62に形成したものを示したが、磁石42はテーパ面を形成しない通常の形態とし、その端部に外周をテーパ面に形成した鉄心を取り付け、このテーパ形状の鉄心をカバー37の凸状部61内で移動させるように構成しても良い。
(5)前記各実施例では可動体としてスプール39を使用する例を示したが、差圧によって移動可能なものならば、例えばベローズを使用するなど可動体の構造、形態を問わない。
(6)第1の実施形態及び第4の実施形態において説明した絞り部25、74は、可変絞り弁で実施してもよい。
(7)前記各実施例は高圧流体と低圧流体を取り込む2点間差圧により移動するスプール39等の可動体に設けた磁石42の磁束密度を磁気センサー52により検出するという間接的な流量検出方法であるが、磁気センサーを用いる流量検出方式であれば、2点間差圧を利用するものに限らず、流量を直接検出する方式やフロート弁を利用して流量を検出する方式においても実施することが可能である。
(8)前記第1の実施形態に示した容量制御装置21の制御弁22は、2点間差圧を用いた流量の制御弁として説明しているが、本願発明では磁気センサー52により検出した流量に基づき圧縮機のトルクを検出することができるので、第1検圧回路23を吸入室13に接続したPs制御弁に変更して実施することが可能である。
第1の実施形態における容量可変型圧縮機を一部断面した概略図である。 第1の実施形態の流量検出装置を示す一部断面図である。 第2の実施形態における流量検出装置の一部を示す断面図である。 第3の実施形態における流量検出装置の一部を示す一部断面図である。 第4の実施形態を示す圧縮機の一部拡大図である。 図5のA−A線断面図である。
符号の説明
1 ハウジング
3 駆動軸
6 斜板
8 シリンダボア
9 ピストン
21 容量制御装置
24 外部冷媒回路
25、74 絞り部
30 圧力センサー
32 アンプ
33、68 流量検出装置
34 ケース
35 密封室
39 可動体としてのスプール
42 磁石
45、47 流体供給孔
52 磁気センサー
53 鉄心
54 データ入力手段
55 エンジン制御手段
57 放熱フィン
58、60、62 テーパ面
59 凹状部
61 凸状部
69 シリンダブロック
70 ガスケット
71 吐出フランジ
72 高圧流体室
73 低圧流体室
75a、75b、75c 吐出通路
76、77 連通路
78 吐出ポート

Claims (8)

  1. ハウジング内に駆動軸と複数のシリンダボア及びピストンが設置され、前記駆動軸の回転に伴い駆動軸の軸線方向に往復運動する斜板によって前記ピストンが駆動されるとともに容量制御装置によって前記斜板の傾斜角が制御され、前記ピストンのストロークを変化するように構成した容量可変型圧縮機において、
    前記ハウジング内もしくは密封されたケース内に形成された密封室に配置され、冷媒ガスの流量変化に応じて移動する可動体に磁石を設け、前記ハウジングもしくはケースの外方に磁気センサーを配設し、前記磁気センサー又は前記磁石の少なくとも一方に鉄心を取り付け、前記磁石に対して前記磁気センサーを鉄心を介して対向させたことを特徴とする容量可変型圧縮機における流量検出装置。
  2. 前記鉄心は前記磁気センサーに取り付けられていることを特徴とした請求項1に記載の容量可変型圧縮機における流量検出装置。
  3. 前記鉄心と前記ハウジングもしくはケースの間に隙間を設けたことを特徴とする請求項2に記載の容量可変型圧縮機における流量検出装置。
  4. 前記鉄心の周囲には放熱フィンが形成されていることを特徴とした請求項2又は請求項3に記載の容量可変型圧縮機における流量検出装置。
  5. 前記磁石に対向する前記鉄心の端部にテーパ面からなる凹状部を形成し、前記磁石が移動する位置の前記ケースの一部外周をテーパ面からなる凸状部に形成し、前記凹状部と凸状部とを嵌合させたことを特徴する請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の容量可変型圧縮機における流量検出装置。
  6. 前記密封室には、前記圧縮機の吐出室から吸入室に至る冷媒ガスからなる流体の一部が供給されることを特徴とした請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の容量可変型圧縮機における流量検出装置。
  7. 前記密封室に供給される流体は、前記可動体の一方を押圧する高圧流体と前記可動体の他方を押圧する低圧流体であり、両流体の差圧により前記可動体が移動されることを特徴とした請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の容量可変型圧縮機における流量検出装置。
  8. 前記高圧流体は車両用空調装置の冷媒回路に設けた絞り部の上流側冷媒通路と前記ケースを接続することにより供給され、前記低圧流体は前記絞り部の下流側冷媒通路と前記ケースを接続することにより供給されることを特徴とした請求項7に記載の容量可変型圧縮機における流量検出装置。
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