JP2007208955A - ネットワークシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】
トポロジが動的に変化するアドホックネットワークにおいて、送信元端末から宛先端末までデータを転送し、データを確実に送り届けることができたか否かを確認できるシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】
第一及び第二の端末が、無線通信を行うネットワークシステムにおいて、第一の端末は、当該第一の端末が保持する期待度に基づいて、第二の端末に送信すべきデータを中継する中継端末を選択し、データを、第一の端末のアドレスを示す第一の情報、及び第二の端末のアドレスを示す第二の情報と共に、中継端末に送信し、中継端末は、受信した第一、第二の情報、及びデータを第二の端末に送信し、第二の端末は、第一、第二の情報、及びデータを受信すると、第一の端末に対し、当該第二の端末が保持する期待度に基づいて、完了通知を送信する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、無線通信を行う技術に関する。
昨今、無線基地局等の通信インフラに依存することなく、無線端末間のみで通信を行う技術(アドホックネットワーク)が研究されている。アドホックネットワークについては、IETF(Internet Engineering Task Force)のMANET(Mobile Ad-hoc Networks)ワーキンググループを中心に仕様検討及び標準化が行われており、無線端末間の直接通信(シングルホップ)のみならず、一つ以上の他の端末を経由して行われる通信(マルチホップ)もある。
しかし、無線端末が移動等によりアドホックネットワーク全体の範囲から外れた場合、通信不可能となる期間が存在する。これに対し、データを送信する元の端末(以下、送信元端末と称する)から、データを送り届ける先の端末(以下、宛先端末と称する)にデータを転送する際、送信元端末からデータを配布された、データを中継する端末(以下、中継端末と称する)Aが次にデータを配布すべき中継端末Bを探索して、データを配布し、端末間でデータをリレーしながら、宛先端末までデータを送り届ける技術がある(特許文献1参照)。
又、特定の端末にデータ転送を行う電子メールシステムがある。電子メールシステムでは、送信元端末が、宛先端末を特定する。次に、予め所有するネットワークのトポロジ情報等に基づき、他の端末を中継端末としてデータ転送を行い、当該中継端末にその後のデータ転送を依頼する。データ転送が失敗した場合には、送信元端末やデータを転送した中継端末にエラー通知を行うこともある。又、データを受信した宛先端末がデータを受信したことの確認を送信元端末に通知することもある。
特開2005−148956号公報
特許文献1によれば、アドホックネットワークにおいて、マルチホップ通信に加え、送信元端末から、中継端末としての条件を満たす複数の端末に対しデータを配布することはできるが、特定の宛先端末に確実にデータを送り届けることができたか否かを確認することができない、という課題がある。
電子メールシステムによれば、送信元端末から宛先端末まで確実にデータを送り届けることができたか否かを確認することはできるが、アドホックネットワークのように、トポロジが動的に変化するネットワークを考慮したものではない。
そこで、本発明の目的は、トポロジが動的に変化するアドホックネットワークにおいて、送信元端末から宛先端末までデータを転送し、データを確実に送り届けることができたか否かを確認できるシステムを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の望ましい態様の一つは次の通りである。
第一及び第二の端末が、無線通信を行うネットワークシステムにおいて、第一の端末は、当該第一の端末が保持する期待度に基づいて、第二の端末に送信すべきデータを中継する中継端末を選択し、データを、第一の端末のアドレスを示す第一の情報、及び第二の端末のアドレスを示す第二の情報と共に、中継端末に送信し、中継端末は、受信した第一、第二の情報、及びデータを第二の端末に送信し、第二の端末は、第一、第二の情報、及びデータを受信すると、第一の端末に対し、当該第二の端末が保持する期待度に基づいて、完了通知を送信する。
本発明によれば、トポロジが動的に変化するアドホックネットワークにおいて、送信元端末から宛先端末までデータを転送し、データを確実に送り届けることができたか否かを確認できるシステムを提供することができる。
以下、実施例を、図面を用いて、説明する。
図1は、端末のハードウェア構成図である。
該端末は、CPU1、メインメモリ2、不揮発性の記憶装置3、無線通信により他端末とデータの送受信を行う無線通信インタフェース4、視聴者やオペレータ等との入出力を司る入出力装置5(ディスプレイ、スピーカ、タッチパネル等)、及びセンサ情報受信装置6(速度センサ、移動距離センサ、GPS等)とからなり、これらはバス等の通信線7により接続される。
CPU1は、記憶装置3に格納されるプログラムをメインメモリ2に読み込み、実行することにより、種々の処理を行う。これらのプログラムやデータは、予め記憶装置3に格納しておいてもよいし、CD−ROM等の記憶媒体から入力してもよいし、ネットワーク経由で他の装置からダウンロードしてもよい。又、該プログラムにより実現される機能を、専用のハードウェアにより実現してもよい。
図2は、データ転送を行う状況の一例を示す図である。ここでは、アドホックネットワーク22内にある端末21が、アドホックネットワーク24内にある端末23にデータを送信する状況について説明する。
(A)では、端末21は、近くに存在する端末(ここでは自動車)25に、データ26を無線で送信する。自動車25は、アドホックネットワーク24の方向に移動している。
(B)では、自動車25は、アドホックネットワーク24内に入っている。この段階で、自動車25は、端末23と無線通信ができるようになっているので、端末21から預かったデータ26を端末23に送信する。データ26を受信した端末23は、データ26を受信したことを確認する完了通知27を自動車25に送信する。そして、自動車25は、アドホックネットワーク22の方向へUターンする。
(C)では、アドホックネットワーク22に戻ってきた自動車25が、完了通知27を端末21に送信する。尚、完了通知を転送する端末は自動車25以外の端末でもよい。又、携帯電話通信網を使った通信を、送信元端末21、宛先端末23が共に行えることが予め分かっていれば、携帯電話通信網を使って完了通知をしてもよい。
以上により、端末21は端末23から完了通知を受信するので、完了通知を受信できないときは、データを再送することにより、データを確実に転送することができる。
図3は、メインメモリ2又は記憶装置3に格納されるデータを示す図である。図2の状況に従い、図3のテーブルの内容を記載してある。
(A)は、端末25が現れる前の、端末21が保持するデータ転送テーブルを示す。この場合、宛先31は端末23を示すが、端末21と端末23はそれぞれ別のアドホックネットワークに属しているため、直接通信はできない。従って、端末23に対する期待度33は0となる。尚、送信先32は、端末21と端末23の間のデータ転送を中継する端末を示すが、この場合は、空欄になっている。
(B)は、端末25が現れた後の、端末21が保持するデータ転送テーブルを示す。この場合、中継端末である端末25が現れたため、端末23にデータが到達する可能性が高まり、期待度33は更新される(ここでは、40)。又、送信先32である端末25に対してデータを送信できる可能性は高いため、端末25に対する期待度は高い値となる(ここでは、80)。
(C)は、端末25が保持するデータ転送テーブルを示す。端末25は、端末21と端末23のいずれにもデータを転送できる可能性は高いため、いずれに対する期待度も高い値となる(ここでは、80)。
(D)は、データテーブルの一例を示す図である。データの識別子34、送信元35、データの全体長36、先頭位置37、データの部分長38、及び宛先39とから構成される。
送信先31は、送信元端末と通信可能な端末(中継端末又は宛先端末)のアドレスを示す。期待度32は、該宛先に対応する端末が宛先端末にデータを送信することの確かさの度合いを示す。
期待度は、どのように設定してもよい。例えば、他の端末との通信履歴(アドホックネットワークにおける通信経路表に基づいてもよい)とその頻度(例えば、過去24時間中に占める、通信可能であった時間の割合等)に基づいて設定してもよい。又、宛先端末のGPS座標が既知であり、各端末が自端末の過去のGPS座標変動履歴情報、カーナビ等と連動した今後の移動先GPS座標情報等を持っている場合は、それらを利用して設定してもよい。又、新たに通信可能となった端末が現れ、該端末が宛先端末の存在するアドホックネットワーク方向に移動している場合、期待度を高く設定してもよい。
又、新たに通信可能となった端末は、以前から変わらず通信可能で送信元端末周辺に相対的に留まっている端末と比べて、送信元端末と異なるネットワークに接続する可能性が高いと考えることもできる。このような考えに基づき、新たに通信可能となった端末に対して、以前から通信可能であった端末より高い期待度を設定してもよい。尚、期待度の高い端末が複数存在する場合には、宛先端末への到達可能性を上げるため、複数の端末に対してデータ転送を行ってもよい。
識別子34は、ファイル名等データを識別するための値であり、実際のファイル識別は、例えば送信元35(送信元端末のみならず、そのデータを送信する中継装置も含む)と組み合わせることで行ってもよい。又、送信元端末では、識別子34を自端末内で一意に設定することで行ってもよい。
全体長36は、送信元端末が宛先端末に対して送信すべきデータの全体のサイズを示す。
先頭位置37は、データが分割されて部分データとなっている場合の、部分データの先頭位置(部分データの先頭が全体データの先頭を基準としてどの位置に当たるかを示すオフセット値)を示す。
部分長38は、部分データのサイズを示す。データが分割されない場合、先頭位置37はオフセット0となり、部分長38は全体長36に等しくなる。
宛先39は、データの最終的な送信先(宛先端末)を示す。尚、送受信するデータ自体は記憶装置3又はメインメモリ2の、識別子34(又は識別子34と送信元35の組)と対応させて格納する。
図4は、データ転送のフロー図である。以下、図2と比較しながら説明する。尚、処理の主体は端末であるとして説明するが、該処理をソフトウェアで実現する場合の主体は、プログラムを実行するCPU1であることはいうまでもない。
まず、端末21は、宛先端末が送信元端末の通信範囲22内にあるか否かをチェックする(ステップ401)。通信範囲内にある場合(図2では、それぞれの端末の通信範囲22及び24に重なりがないため、直接の通信はできない)、転送先は宛先端末とし、宛先端末に対してデータを送信、及び自身の有するデータテーブルを更新(又は新規登録)する(ステップ408)。宛先端末はこれを受信し、必要に応じて(1回の受信でデータ全体を受信した場合はデータ受信状況を記憶しなくてもよい)データテーブルを更新(又は新規登録)する(ステップ402)。そして、完了通知を送信元端末に送信し(ステップ403)、送信元端末は該通知を受信してデータテーブルを更新(データ全体を送信完了なら削除)し(ステップ404)、処理を終了する。
ステップ401において、宛先端末が通信範囲22内にない場合、宛先端末23と将来通信可能になる見込みのある1つ以上の中継端末候補と通信できるか否かをチェックする(ステップ405)。尚、中継端末側では随時データ転送テーブルの更新を、通信経路表やGPS位置の変化に伴って行っており(ステップ410)、送信元端末のチェック時にはこれに応答して自端末の宛先端末への期待度を返信する(ステップ411)。送信元端末は1つ以上の中継端末候補と通信可能な場合、チェック時に取得した各中継端末の宛先端末までの期待度等に基づいてデータ転送テーブルを更新し(ステップ406)、中継端末候補から中継端末(図2では端末25)を選択する(ステップ407)。通信不可能の場合、送信元端末はタイマを設定する等して次の送信タイミングを待ち(ステップ409)、送信のタイミングとなった場合、ステップ401からの処理を繰り返す。
送信元端末は、選択した中継端末に対しデータ転送を行い、データテーブルにこのデータを更新(又は新規登録)して(ステップ408)、後の完了通知到着まで保持する。又、選択された中継端末も、転送されたデータを受信すると、該データの更新(又は新規登録)を行う(ステップ412)。
こうしてデータ転送の中継を行うこととなった中継端末は、以後送信元端末と同様の処理を行い(ステップ413)、宛先端末23又は別の中継端末と通信可能になった時点でデータを転送する。宛先端末23は送信元端末21から直接受信した場合と同様の処理を行う。中継端末は、宛先端末と通信可能になる前に自端末以外の中継端末候補を探索してもよく、そのような中継端末候補でかつ自端末よりも宛先端末と通信可能になる期待度が大きいと判断できる端末に対して送信元端末と同様の処理を行ってデータ中継の役割を引き継いでもよい。又、データ到達可能性を上げるため、自端末も中継端末であり続けたまま他の中継端末候補も追加で中継端末として選択し、データ転送を行ってもよい。
尚、無線LANホットスポットのような限られた通信エリア内に存在する宛先端末に対し、該通信範囲を走り抜ける送信元端末からデータ転送を行う場合、予めデータを1回走り抜ける間に転送可能なサイズに分割し、送信元端末は最初の部分データを宛先端末に対して転送し、残りの部分データは後続車両や対向車両に搭載した端末を中継端末として選択し、これら中継端末に転送しておく。データ転送された中継端末は、残りの部分データの先頭を宛先端末に転送し、更に残りの部分データを前記同様に他の中継端末に転送する。この繰り返しにより、宛先端末に対してデータ全体の転送を行うことができる。
ここで、送信元端末又は中継端末は、同じ識別子を持つ複数の異なる部分データを受信した場合、それら部分データの先頭位置、及びそれら部分データのサイズから複数の異なる部分データ同士の結合が可能か否かを判断し、宛先端末が当該判断に基づいて、それら部分データ同士の結合を行った場合、当該結合した部分データと、データの全体サイズとから、データの全体を受信完了したか否かを判断し、全体を受信完了した場合には、送信元端末へ完了通知を送信する、としてもよい。
又、データ転送にあたって、データと共に前記データに対する証明書を送信することもできる。証明書付きデータを受信した中継端末は証明書の正当性を調べることにより、送信元端末を偽ったり、データを改竄したりといった不正な処理が行われていないか否かを判断することができる。更に、送信元端末を正しく特定できることに基づき、例えば予め定めた端末から受信したデータについては中継をしない、といった判断を行うこともできる。証明書及びその正当性を調べる方法については、どのようなものであってもよい。例えば、各端末の記憶装置3に予め1つ以上の認証局の公開鍵を設定しておき、これらの内の1つを用いて正しく復号できる証明書を正当な証明書であると判断する、といった方法であってもよい。又、例えば、前記公開鍵を第一の公開鍵としたとき、第一の公開鍵を用いて正しく復号できる第二の公開鍵もデータに添付し、第二の公開鍵で正しく復号できる証明書を正当な証明書であると判断する、といった方法であってもよい。
図5は、実施例2における端末のハードウェア構成図である。
端末は、図1に示したハードウェアの他、インターネットに接続して他の計算機等とデータの送受信を行う有線通信インタフェース50を有してもよい。
記憶装置3は、データ送受信部501、移動状況送受信部502、中継端末選択部503、データ送達確認部504、電波強度取得部505、移動方向推定部506、通信時間算出部507、及び、ヘッダ情報記述部508等のプログラム、並びに、送信成否履歴509、通信経路表510、データ転送テーブル511(図3(A))、及び、データテーブル512(図3(B))等のデータを格納する。
以下、プログラムが行為主体であるかのように記載するが、実際の行為主体は、それらのプログラムを実行するCPU1であることはいうまでもない。
データ送受信部501は、送信元端末から宛先端末へ送り届けるべきデータ(図6(A))を送受信する。
移動状況送受信部502は、自端末の移動状況を示す情報(図6(B))を他端末に送信し、他端末の移動状況を示す情報を当該他端末から受信する。
中継端末選択部503は、近隣に存在する端末の中から、期待度の高い端末を中継端末として、選択する。
データ送達確認部504は、中継端末又は宛先端末に対するデータの送達確認を行う。
電波強度取得部505は、他端末が発する電波の強度を取得する。
移動方向推定部506は、他端末の移動方向を推定する。
通信時間算出部507は、他端末との通信可能時間を算出する。
ヘッダ情報記述部508は、送信成否履歴509に基づいて、送信するデータのヘッダ領域(図6(A))に、情報を記述する。
送信成否履歴509は、送信時状況、通信パラメータ、送信成否記録等の情報を示す。
通信経路表510は、データがどの中継端末を経由して宛先端末に届くか、のルートを示す情報である。
データ転送テーブル511及びデータテーブル512は、先述の通りである(図3)。
図6は、データのフォーマットを示す図である。
(A)は、送信元端末から宛先端末へ送り届けるべきデータの一例であり、ヘッダ領域とデータ領域から構成され、ヘッダ領域は、ID61(シーケンス番号、ファイル名称、データ範囲等)、宛先端末のアドレス(DST)を示す宛先アドレス62、送信元端末のアドレス(SRC)を示す送信元アドレス63、宛先端末の位置情報を示す宛先位置64、送信元端末の位置情報を示す送信元位置65、現時刻からデータが送信された時刻の差分を示す経過時間66、データの有効期限を示す有効期限67、誤りチェック用(CRC)68、及びHash値69とからなる。
(B)は、端末の移動状況を示す情報の一例であり、位置情報(GIS、GPS等)601、移動方向602、基地局との接続履歴603、移動経路履歴604、移動性(移動端末、固定端末等)を判定する指標605、及び属性情報(巡回車両であるバス、一定方向へ進行する列車等の属性)606とからなる。
図7は、データ転送の処理手順を示す図である。
以下、他端末からデータを受信した端末が、データを受信したことを当該他端末に知らせるために送信する情報をACKと称する。又、中継端末が送信するACKをACK1、宛先端末が送信するACKをACK2と称する。ACKには、データを受信した端末の位置情報や移動方向といった情報を含めてもよい。
ここでは、宛先端末の位置情報は分かっているものとして記載する(宛先位置64)。
送信元端末の中継端末選択部503は、宛先端末と直接通信できない場合(通信経路表510に宛先端末の情報が無い場合)、移動方向推定部506、通信時間算出部507等を用いて、近隣の通信可能な端末から期待度の高い端末(例えば、宛先端末との近さを期待度として重視する場合は宛先端末に最も近い端末)を中継端末として選択し(ステップ701)、当該中継端末にデータを送信する(ステップ702)。中継端末は、送信元端末からデータを受信すると(ステップ703)、ACK1を送信元端末に送信し(ステップ704)、送信元端末はACK1を当該中継端末から受信する(ステップ705)。尚、宛先端末と直接通信できる場合(通信経路表510に宛先端末の情報がある場合)には、宛先端末に直接データを送信する。
次に、中継端末が宛先端末と通信可能な場合、中継端末は、送信元端末から受信したデータを、宛先端末に送信する(ステップ706)。宛先端末は、当該データを受信すると(ステップ707)、ACK2を当該中継端末に送信し(ステップ708)、中継端末はACK2を宛先端末から受信すると(ステップ709)、ACK2を送信元端末に対して送信し(ステップ710)、送信元端末は、ACK2を中継端末から受信する(ステップ711)。
データ送達確認部504は、ACKを受信することにより、中継端末(又は宛先端末)にデータが届いた、と判定する。
尚、送信元端末(又は中継端末)は、データを送信してから一定時間(タイムアウト時間)経過してもACKを受信しない場合、中継端末(又は宛先端末)に対してデータを再送し、タイムアウト時間経過前にACKを受信した場合、タイムアウト時間を再設定する。この再設定は、ACK2が送信元端末に届くまでの時間、又は、それらの統計処理結果に基づき、動的に行うことができる。これにより不要なデータの送信処理を抑制し、効率的なデータ転送が可能となる。又、中継端末は、設定した期間内にデータを送信できなかった場合、送信元端末にエラーを通知してもよい。更に、携帯電話通信網を介して、エラーを通知してもよい。
データを受信した中継端末が、宛先端末に到達するために不適切な方向へ移動している場合やACKを返さなかった場合、送信元端末(あるいはデータを送信した中継端末)は、現在中継端末として選択済みの端末の期待度を下げ、その結果としてデータを委託すべき別の端末を中継端末として再選択し、データの再送を行う。
送信元端末と宛先端末の間に複数の中継端末が存在する場合は、複数の中継端末がそれぞれ上記で説明した中継端末の処理を行い、データは複数の中継端末を経由して、宛先端末まで転送されることとなる。
宛先端末は、完了通知を行う際、上記同様、期待度が高い端末に対して、ACKを送信する。宛先端末は、先述のように、自端末でカーナビ等を用いて期待度を設定、更新してもよいし、周辺の端末から受信したデータに基づいて設定、更新してもよい。
尚、送信元端末、宛先端末共に、携帯電話網を使用することが分かっている場合には、携帯電話網を介して、宛先端末から送信元端末に対して、ACKを送信してもよい。ACKは、図6(A)のようなデータと比較して、データサイズは非常に小さいため、一般に通信コストがかかる携帯電話網を用いたとしても、それほどコストはかからない。従って、周辺に期待度の高い端末が存在しない場合でも、確実に完了通知を行うことができる。
図8は、端末移動方向を推定する一手法を説明するための図である。
(A)は、送信元端末、中継端末の候補となる端末(以下、中継端末候補と称する)、及び宛先端末の位置関係を示す図、(B)は、移動方向推定部506のフロー図である。
送信元端末の移動方向推定部506は、移動状況送受信部502が受信した中継端末候補の位置情報に基づいて、時間Tにおける中継端末候補から宛先端末までの距離D、時間T+Δにおける中継端末候補から宛先端末までの距離D´、及び、時間Tにおける中継端末候補と宛先端末を結ぶ直線と中継端末候補の進行方向を示す直線との間の角度θを算出する(ステップ81)。尚、中継端末を選択するための関数P=α×θ+β×D(α、β:重み付けのためのパラメータ)を、記憶装置3等に予め保持しておく。
中継端末選択部503は、D(又はD´)が閾値Dthより大きいか否かを判定し(ステップ82)、D(又はD´)>Dthの場合、Dよりもθを優先するように、αやβを増減させてPを算出し(ステップ83)、D(又はD´)≦Dthの場合、θよりもDを優先するように、αやβを増減させてPを算出する(ステップ84)。そして、このPの値が高い端末を優先して、中継端末として選択する(ステップ85)。ここで、Dthはどのように設定してもよい。例えば、様々な環境でシミュレーションした結果に基づいて設定してもよいし、端末が移動しているエリアに応じて動的に設定してもよい。又、上記アルゴリズムも、この方法に限られるものではない。
尚、走行道路や車線情報といった地理情報(GIS情報)、端末の属性情報、位置情報変化、端末の移動履歴、目的地履歴情報、基地局との接続履歴情報、GPSなどのセンサ情報等に基づいて、端末の移動方向を推定してもよい。又、電波強度取得部505が取得した、他端末から発せられる電波の強度変化に基づいて推定してもよい。例えば、端末間距離と受信電波強度との関係(端末間距離がどの程度の時に、どの程度の受信電波強度を示すのか)について、予め既知のデータとして各端末で保持しておく。そして、単位時間あたりの受信電波強度変化と距離変化の2つの値により、現在端末間の距離が近づいているのか否かを判断できる。
そして、これらの手法により推定した結果を期待度に反映させることができる。端末は、当該期待度を参照することによって、例えば、期待度がある一定値より高い端末が周辺に存在する場合には、当該端末にデータを送信し、存在しない場合には、データの送信を控え、期待度がある一定値より高い端末が出現するのを待つ、としてもよい。
中継端末のデータ送受信部501は、自身の端末が宛先端末から遠ざかっている場合、自身の端末から他端末に対してデータを送信する。又、宛先端末から遠ざかっていない場合、自身の端末から他端末に対してのデータ送信を控える。
図9は、通信時間算出部507のフロー図である。
データ送信を試みる端末は、中継端末を選択する際、受信した電波の強度R、その変化率ΔR、位置情報、移動速度等に基づいて、中継端末候補との通信可能時間(接続可能時間:Tcon)を算出する(ステップ91)。これも、先述と同様、端末間距離と受信電波強度との関係について予め保持していた既知のデータと、単位時間あたりの受信電波強度変化と距離変化の2つの値に基づいて、算出できる。
算出したTcon時間内に送信しようとするデータの単位を中継端末に対して送信完了することが可能か否かを判定し(ステップ92)、可能と判定した場合、データ送信を試み、その成否を通信時の状況や通信条件と共に、記憶装置3に送信成否履歴509として格納する(ステップ93)。不可能と判定した場合、送信停止、あるいは、他のデータの送信を試みる(ステップ94)。
端末は、データ送信時に、自端末や他端末の状況に応じて、データ送信方法(ユニキャストあるいはブロードキャスト等)を変更する。宛先端末の詳細な現在位置が不明な場合や、宛先端末が高速に移動する場合、送信元端末(又は中継端末)と、当初宛先端末が存在していた位置(宛先位置64)との間の距離がある値よりも近くなるなどの条件を満たした場合、送信元端末は近隣の通信可能な端末に対してブロードキャストを行う。
図10は、フローコントロールの実施を説明するための図である。
各端末間のデータ転送において累積する転送遅延時間をデータに付加して送信し、ACK2に含めることで、送信元端末は宛先端末にデータが届くまでの時間を知ることができる。この累積転送遅延時間に応じて、パケットサイズ、送信レート、パケット送信周期などの値を調整することで、バッファやCPUなどのリソースを効率的に使用できるとともに、輻輳を回避するなどの効果も得られる。
端末のハードウェア構成図。 データ転送を行う状況の一例を示す図。 データ転送テーブル及びデータテーブルの一例を示す図。 データ転送のフロー図。 端末のハードウェア構成図。 データのフォーマットを示す図。 各端末のデータ送信動作を示す図。 端末の移動方向を推定する一手法の説明図。 通信時間算出部の説明図。 フローコントロールの説明図。
符号の説明
1:CPU、2:メインメモリ、3:記憶装置、4:無線送受信装置、5:入出力装置、6:センサ情報受信装置、7:通信線。

Claims (30)

  1. 第一及び第二の端末が、無線通信を行うネットワークシステムにおいて、
    前記第一の端末は、当該第一の端末が保持する期待度に基づいて、前記第二の端末に送信すべきデータを中継する中継端末を選択し、前記データを、前記第一の端末のアドレスを示す第一の情報、及び前記第二の端末のアドレスを示す第二の情報と共に、前記中継端末に送信し、
    前記中継端末は、受信した前記第一、第二の情報、及び前記データを前記第二の端末に送信し、
    前記第二の端末は、前記第一、第二の情報、及び前記データを受信すると、前記第一の端末に対し、当該第二の端末が保持する期待度に基づいて、完了通知を送信する、ネットワークシステム。
  2. 前記中継端末は、受信した前記第一、第二の情報、及び前記データを、他の中継端末を経由して、前記第二の端末に送信する、請求項1記載のネットワークシステム。
  3. 前記第一の端末は、当該第一の端末が保持する期待度を、前記中継端末のアドレスと対応付けて格納する、請求項1記載のネットワークシステム。
  4. 前記中継端末は、当該中継端末の期待度を設定し、当該期待度を前記第一の端末に送信する、請求項1記載のネットワークシステム。
  5. 前記中継端末は、GPS情報に基づいて、当該中継端末の期待度を設定する、請求項4記載のネットワークシステム。
  6. 前記中継端末は、前記第二の端末から前記完了通知を受信すると、当該完了通知を、当該中継端末が保持する期待度に基づいて、前記第一の端末に送信する、請求項1記載のネットワークシステム。
  7. 前記中継端末は、前記完了通知を、他の中継端末を経由して、前記第一の端末に送信する、請求項6記載のネットワークシステム。
  8. 前記第二の端末は、携帯電話通信網を経由して、前記第一の端末に対して、完了通知を送信する、請求項1記載のネットワークシステム。
  9. 前記中継端末は、前記データに対して設定した期間内に前記データの送信ができなかった場合、前記第一の端末に、エラーを通知する、請求項1記載のネットワークシステム。
  10. 前記中継端末は、携帯電話通信網を介して、エラーを通知する、請求項9記載のネットワークシステム。
  11. 前記データは、前記データの識別子、全体サイズ、転送する部分データの前記データの先頭からのオフセット値、及び前記部分データのサイズを含み、
    前記第一端末又は前記中継端末は、同じ前記識別子を持つ複数の異なる前記部分データを受信し、前記部分データの先頭位置、及び前記部分データのサイズから複数の異なる部分データ同士の結合が可能か否かを判断し、
    前記第二の端末が前記判断に基づいて前記部分データ同士の結合を行った場合、該結合した部分データと前記データの全体サイズとから、前記データの全体を受信完了したか否かを判断し、全体を受信完了した場合には前記第一の端末へ完了通知を送信する、請求項1記載のネットワークシステム。
  12. 前記第一及び第二の端末が、それぞれ前記第一及び第二の端末であることを、前記中継端末に通知し、
    前記中継端末は、当該通知に基づいて前記第一及び第二の端末に対して、前記期待度を設定する、請求項1記載のネットワークシステム。
  13. 前記第一の端末又は前記中継端末は、通信可能な周辺通信装置の履歴を記録し、
    前記第一の端末が、前記中継装置を選択する際、前記履歴に基づいて、新たに通信可能となった周辺通信装置を優先的に選択する、請求項1記載のネットワークシステム。
  14. 前記中継端末は、前記履歴に前記第二の端末が現れる頻度に基づいて、当該中継端末の期待度を設定する、請求項13記載のネットワークシステム。
  15. 前記第一の端末は、前記データと共に前記データに対する証明書を送信し、
    前記中継端末が、前記証明書の正当性及び前記第一の端末を判断し、当該判断に基づいて、前記データの中継を行うか否かを判断する、請求項1記載のネットワークシステム。
  16. 前記第一の端末は、前記中継端末の移動方向に基づいて、当該中継装置の期待度を設定する、請求項1記載のネットワークシステム。
  17. 前記第一の端末は、前記中継端末から、当該中継端末の移動状況を示す情報を受信し、当該情報に基づいて、前記中継端末が前記第二の端末の方向へ移動しているか否かを判定する、請求項16記載のネットワークシステム。
  18. 前記第一の端末は、前記中継端末から発せられる電波強度に基づいて、前記中継端末が前記第二の端末の方向へ移動しているか否かを判定する、請求項16記載のネットワークシステム。
  19. 前記第一の端末は、前記第二の端末の位置情報を保持し、
    前記中継端末の位置情報を当該中継端末から受信し、
    前記中継端末及び前記第二の端末の位置情報に基づいて、前記中継端末の移動方向を示す直線、及び、前記中継端末の移動方向と前記第二の端末の位置とを結ぶ直線との間の角度、並びに、前記中継装置及び第二との端末の間の距離を求め、
    前記角度及び距離に基づいて、前記中継端末が前記第二の端末の方向へ移動しているか否かを判定する、請求項16記載のネットワークシステム。
  20. 前記第一の端末は、前記距離が閾値より大きい場合、前記角度を優先して、前記中継端末を選択するための値を算出し、前記距離が閾値以下の場合、前記距離を優先して、前記中継端末を選択するための値を算出する、請求項19記載のネットワークシステム。
  21. 前記中継端末は、前記第一の端末から前記データを受信すると、前記第一の端末から前記データを受信したことを示す情報を、前記第一の端末へ送信する、請求項16記載のネットワークシステム。
  22. 前記第一の端末は、前記中継端末から、前記第一の端末から前記データを受信したことを示す情報を一定時間内に受信しない場合、前記データの再送を行い、前記中継端末から前記第二の情報を一定時間内に受信した場合、再送タイムアウト値を設定する、請求項21記載のネットワークシステム。
  23. 前記中継端末は、前記データを前記第二の端末へ送信し、
    前記第二の端末は、前記中継端末から前記データを受信すると、前記中継端末から前記データを受信したことを示す情報を、前記中継端末へ送信し、
    前記中継端末は、当該情報を受信すると、当該情報を前記第一の端末へ送信する、請求項22記載のネットワークシステム。
  24. 前記第一の端末は、前記データフォーマットにおける有効期限、及び、データ送信処理におけるタイムアウト値を、前記中継端末から前記データを受信したことを示す情報が届くまでの間に設定する、請求項23記載のネットワークシステム。
  25. 前記第一の端末は、前記中継端末と通信できる時間を算出し、
    前記算出した時間内に前記データの単位を前記中継端末に対して送信完了できると判定した場合、データ送信を試み、送信完了できないと判定した場合、送信停止、又は、他のデータの送信を試みる、請求項16記載のネットワークシステム。
  26. 送信時状況、通信パラメータ、送信成否記録情報の少なくとも一つに基づいて、前記中継端末と通信できる時間を算出する、請求項25記載のネットワークシステム。
  27. 前記中継端末は、当該中継端末が前記第二の端末から遠ざかっていると判定した場合、他の端末に前記データを送信し、当該中継端末が前記第二の端末から遠ざかっていないと判定した場合には、当該中継端末で前記データを保持する、請求項16記載のネットワークシステム。
  28. 前記第一の情報は、センサ情報、位置情報、端末の移動履歴、目的地履歴、通信基地局との接続履歴のうち、少なくとも一つを含む、請求項17記載のネットワークシステム。
  29. 前記第一の端末は、データ送信時、自端末や他端末の位置などの前記状況情報に基づいて、前記第一の端末と前記第二の端末との間の距離が閾値以下の場合、データ送信方法を変更する、請求項16記載のネットワークシステム。
  30. 無線通信を行う第一及び第二の端末が、携帯電話網を介して接続されるネットワークシステムにおいて、
    前記第一の端末は、期待度を示す第一の情報に基づいて、前記第二の端末に送信すべきデータを中継する中継端末を選択し、前記データを、前記第一の端末のアドレスを示す第一の情報、及び前記第二の端末のアドレスを示す第二の情報と共に、前記中継端末に送信し、
    前記中継端末は、受信した前記第一、第二の情報、及び前記データを前記第二の端末に送信し、
    前記第二の端末は、前記第一、第二の情報、及び前記データを受信すると、前記第一の端末に対し、前記携帯電話網を介して、完了通知を送信する、ネットワークシステム。
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