JP2007208147A - 結晶性を有する半導体基板の形成方法およびその形成装置、並びに、当該形成方法を用いた半導体装置の製造方法 - Google Patents

結晶性を有する半導体基板の形成方法およびその形成装置、並びに、当該形成方法を用いた半導体装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】非晶質半導体膜の結晶化に際し、当該半導体膜表面の平坦性および結晶性の双方を良好に実現させ、高性能な結晶性半導体を形成する形成方法および形成装置、並びに当該形成方法を用いた半導体装置の製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】チャンバー2と、ステージ2aと、レーザー照射手段3と、酸素供給手段4とを備えた形成装置1を用いて、雰囲気中の酸素濃度が4×10ppmから1×10ppmまでの範囲となるように、雰囲気中に露出した非晶質ケイ素膜12表面に直接酸素を供給するか、非晶質ケイ素膜12上に酸化膜14が形成されている場合は、雰囲気中の酸素濃度を、0を超えて、1×10ppmまでの範囲となるように、非晶質ケイ素膜表面に直接酸素を供給する。
【選択図】図1

Description

本発明は、結晶性を有する半導体基板の形成方法およびその形成装置、並びに、当該形成方法を用いた半導体装置の製造方法と、当該形成装置を用いた半導体装置の製造装置に関し、さらに詳しく言えば、非晶質半導体膜を結晶化する際、雰囲気中に酸素を供給することによって結晶性を有する半導体基板を形成する形成方法およびその形成装置と、当該非晶質半導体を結晶化した結晶性半導体を活性領域とする半導体装置の製造方法および当該製造方法を用いた製造装置に関する。
近年、大型で高解像度の液晶表示装置、高速で高解像度の密着型イメージセンサー、三次元ICなどの実現へ向けて、ガラス等の絶縁基板上や絶縁膜上に高性能な半導体素子を形成する試みがなされている。これらの装置に用いられる半導体素子には、薄膜状のケイ素半導体を用いるのが一般的である。薄膜状のケイ素半導体としては、非晶質ケイ素半導体(a−Si)からなるものと結晶性を有するケイ素半導体からなるものとの2つに大別される。
非晶質ケイ素半導体は作製温度が低く、気相法で比較的容易に作製することが可能で量産性に富むため、最も一般的に用いられているが、導電性等の物性が結晶性を有する半導体(以下、結晶性半導体と呼ぶ)に比べて劣るため、今後より高速特性を得るためには、結晶性半導体からなる半導体装置の作製方法の確立が強く求められていた。
結晶性半導体を得る方法としては、非晶質の半導体膜を成膜しておき、これを大気中もしくは不活性ガス中でレーザー光のエネルギーにより結晶性を有せしめる方法が一般的に知られており(特許文献1参照)、比較的品質の良い結晶性半導体膜が得られる。
特開2002−252181号公報(2002年9月6日公開)
しかしながら、上記した方法では、基板等に対するトランジスタの占有率をより小さくするために必要となる、より高性能な結晶性半導体を得ることは困難である。
具体的には、レーザー光のエネルギーを照射することによって、非晶質の半導体膜を結晶化する方法においては、結晶化の状態が半導体の性能の良し悪しに大きく影響する。上記の方法では、結晶粒界にできる突起部(リッジ)が大きくなる為、半導体素子を作製する際に大きなリッジが微細化、薄膜による高性能化の障害になるという問題があった。
そこで、本願発明者は、より高性能な結晶性半導体を得る方法について鋭意検討した結果、雰囲気中に酸素を供給しつつ、雰囲気中の酸素濃度を制御することによって、非晶質半導体の結晶化においてその結晶性を良くし、さらに平坦性に優れた結晶性半導体を得ることができることが判った。また、レーザー光を照射されて高温になった半導体基板の冷却速度を抑えることで、平坦性をより一層改善できることが判った。
すなわち、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、平坦性に優れ、電気特性の優れた半導体基板の形成方法およびその形成装置、並びに、当該形成方法を用いた半導体装置の製造方法と、当該形成装置を用いた半導体装置の製造装置を提供することにある。
本発明に係る結晶性を有する半導体基板の形成方法は、上記課題を解決するために、絶縁表面を有する基板上に非晶質半導体を成膜する成膜工程と、上記非晶質半導体にレーザー光を照射することによって、当該非晶質半導体を溶融固化させて結晶化するレーザー照射工程とを含む、結晶性を有する半導体基板の形成方法であって、上記レーザー照射工程では、上記非晶質半導体膜の雰囲気中の酸素濃度が所定濃度となるように、当該雰囲気中に酸素ガスを供給することを特徴としている。具体的には、上記レーザー照射工程において、上記非晶質半導体の結晶化に伴って当該結晶の粒界に形成される突起部が所定の大きさ以上にならないように、かつ当該非晶質半導体が所定の結晶性を示すように、上記酸素ガスを供給することが好ましい。
ここで、上記雰囲気中とは、非晶質半導体膜の周辺部分をいい、具体的には、非晶質半導体(膜)の結晶化を行う際に、当該非晶質半導体膜を収容する収容室内のことをいう。また上記酸素ガスとは、酸素(O)からなるガスのことである。
上記の方法によれば、従来と比較してより一層高品質な結晶性を有する半導体基板(以下、結晶性半導体と呼ぶ)を提供することができる。
具体的には、本願発明者の鋭意検討の結果、レーザー光のエネルギーによる非晶質半導体膜の結晶化法においては、レーザー光を照射する際、雰囲気中に酸素ガスを供給するという簡便な方法を用いることによって高品質な結晶性半導体膜を得ることができるが、雰囲気中の酸素濃度が所定値以下であれば半導体膜の結晶性が悪くなり、反対に過剰に酸素ガスを供給すると結晶性の優れた半導体膜を得ることはできるが、結晶粒界の平坦性が悪くなることがわかった。結晶性半導体膜表面の平坦性の劣化は、結晶性半導体膜の微細化、薄膜による高性能化の障害になり、高品質な結晶性半導体膜を形成するには不適である。そこで、具体的には、本発明に係る結晶性を有する半導体基板の形成方法は、上記レーザー照射工程では、レーザー光の照射による上記非晶質半導体膜の結晶化に伴って、当該結晶の粒界に形成される突起部が所定の大きさ以上にならないように、かつ所定の結晶性を示すように、上記酸素ガスを供給することが好ましい。
レーザー光のエネルギーによる非晶質半導体膜の結晶化法においては、非晶質半導体膜を一旦溶融し再結晶化することにより結晶性半導体膜を形成する。このとき、非晶質半導体膜と結晶性半導体膜の体積膨張率の違いにより結晶性半導体膜の結晶粒界に突起部(リッジ)が形成される。このリッジは、レーザー光エネルギーによる結晶化特有のもので、レーザー光照射時の酸素供給が多いとより大きくなり、結晶粒界の平坦性を劣化させる。そこで、本発明によれば、レーザー光エネルギーによる結晶化時に、雰囲気中に酸素を供給する構成とし、かつ雰囲気中の酸素濃度を所定の範囲内で制御することにより、結晶性半導体膜表面の平坦性と結晶性を両立させ、高性能な結晶性半導体膜を形成することが可能となる。
なお、上記所定の結晶性とは、半導体素子の電界効果移動度が100cm/Vs以上、好ましくは130cm/Vs以上の特性を示すことができる結晶性や、しきい値電圧が1.5〜2.5Vの特性を示すことができる結晶性を示す。
また、ここで「平坦性が劣化した」とは、結晶性半導体膜の上に絶縁膜を介してのリークが発生したり、凸部に電界が集中し絶縁膜の破壊によって素子の欠陥を引き起こしてしまう程度に結晶性半導体膜表面の平坦性が悪い状態のことを定義している。したがって、「所定の大きさ以上の突起部」とは、結晶性半導体膜の上に絶縁膜を介してのリークが発生したり、凸部に電界が集中し絶縁膜の破壊によって素子の欠陥を引き起こしてしまう程度に結晶性半導体膜表面の平坦性に影響を与えてしまう大きさの突起部のことを示す。具体的には、最大粗さ80〜100nm(平均粗さ8〜10nm)以上の大きさの突起部のことである。
具体的には、本発明に係る結晶性を有する半導体基板の形成方法は、上記雰囲気中の酸素濃度が4×10〜1×10ppmの範囲となるように上記酸素ガスを供給することが好ましい。
これにより、所定の大きさ以上のリッジが形成されることなく、結晶性半導体膜表面の平坦性と結晶性を両立させ、高性能な結晶性半導体膜を形成することが可能となる。
すなわち、雰囲気中の酸素濃度が4×10ppm未満であれば、半導体膜の結晶性が悪く、1×10ppm以上であれば所定の大きさ以上のリッジが形成され易くなり、結晶性半導体膜表面の平坦性が劣化する。そこで、上記雰囲気中の酸素濃度が4×10ppmから1×10ppmまでの範囲となるように酸素ガスを供給すれば、高性能な結晶性半導体膜を形成することができる。
なおまた、本発明に係る結晶性を有する半導体基板の形成方法では、上記成膜工程とレーザー照射工程との間に、上記非晶質半導体膜上に酸化膜を形成する酸化膜形成工程を含む場合は、上記レーザー照射工程では、上記雰囲気中の酸素濃度を、0を超えて、1×10ppmまでの範囲となるように、酸素ガスを供給することが好ましい。
非晶質半導体膜表面に酸化膜を形成することにより、上記雰囲気中への酸素濃度制御範囲を広くすることができ、より生産性の高いプロセスを提供できる。
すなわち、非晶質半導体膜表面に直接酸素を供給しながらレーザーを照射する場合は、上記したように、上記雰囲気中の酸素濃度が4×10ppmから1×10ppmまでの範囲となるように酸素ガスを供給する。これに対し、非晶質半導体膜表面に酸化膜を形成した場合は、0.01ppmから1×10ppmまでの範囲に濃度範囲を広げることができる。これにより、より生産性の高いプロセスを提供できる。
また、本発明に係る結晶性を有する半導体基板の形成方法では、上記レーザー照射工程において、レーザー光の照射によって溶融した上記非晶質半導体の結晶化速度を遅延させることが好ましい。具体的には、上記結晶化速度の遅延は、レーザー光の照射によって昇温した上記非晶質半導体の温度の低下速度を遅延させることによって行うことが好ましく、上記非晶質半導体の温度を100〜400℃で維持することが好ましい。
これにより、非晶質半導体が結晶化する際に形成されるリッジの大きさを抑制することができ、平坦性を向上させることができる。
また、本発明に係る結晶性を有する半導体基板の形成方法では、上記成膜工程では、上記非晶質半導体の結晶化を促進するための触媒元素を当該非晶質半導体膜に導入する導入工程を含むことが好ましい。
触媒元素を非晶質半導体膜に導入することにより、当該触媒元素が非晶質半導体膜に導入して非晶質半導体膜の結晶化初期の核生成速度と、その後の核成長速度が飛躍的に向上され、従来考えられなかったような短い時間の熱処理で十分な結晶性を得ることができる。
具体的には、本発明に係る結晶性を有する半導体基板の形成方法では、上記触媒元素が、Ni、Co、Fe、Pd、Pt、Cu、Auからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素を用いることができる。
このメカニズムは現状では明らかではないが、不純物金属元素を核とした結晶核発生が早期に起こり、その後、その不純物金属元素が触媒となって結晶成長が急激に進行するものと推測できる。
なお、基板の一部に選択的に触媒元素を導入することにより、レーザー結晶化のように同一基板内に選択的に結晶性半導体と非晶質半導体とを形成することも可能となる。
さらに、その後、熱処理を継続させると、選択的に触媒元素が導入され結晶化している部分から、その周辺部の非晶質部分へと横方向(基板面に平行な方向)に結晶成長部分(以下、ラテラル成長部という)が延びる現象が起きる。このラテラル成長部では基板と平行に針状または柱状の結晶が成長方向に沿って延びており、その成長方向において結晶粒界が存在しない。したがって、このラテラル成長部を利用してTFTのチャネル部を形成することにより、高性能なTFTが実現可能となる。
また、本発明に係る半導体装置の製造方法では、上記課題を解決するために、上記した結晶性を有する半導体基板の形成方法を用いることを特徴としている。
上記の方法によれば、従来と比較してより一層高品質な結晶性半導体を形成することができるため、従来と比較してより一層高性能な半導体装置を提供することが可能となる。
また、本発明に係る形成装置は、上記課題を解決するために、絶縁表面を有する基板上に、結晶性を有するケイ素半導体を形成するための形成装置であって、非晶質半導体膜が成膜された上記基板を載置するための載置台が設けられた、上記基板を収容するための収容室と、上記収容室に収容された上記基板にレーザー光を照射するための照射手段と、上記収容室に収容された上記基板の非晶質半導体膜の雰囲気中に、当該雰囲気中の酸素濃度が所定濃度となるように酸素ガスを供給するための第一供給手段とを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、従来と比較してより一層高品質な結晶性を有する半導体基板を提供することができる。
具体的には、レーザー光のエネルギーによる非晶質半導体膜の結晶化法においては、レーザー光を照射する際、第一供給手段から収容室内に酸素ガスを供給するという簡便な手法によって高品質な結晶性半導体を得ることができる。
ところで、収容室内(すなわち、非晶質半導体膜の雰囲気中)に酸素ガスを供給する場合、雰囲気中の酸素濃度が所定値以下であれば非晶質半導体膜の結晶性が悪くなる。しかし、その反面、過剰に酸素ガスを供給すると、結晶性の優れた半導体膜を得ることはできるが、レーザー光のエネルギーによる非晶質半導体膜の結晶化法において、非晶質半導体と結晶性半導体の体積膨張率の違いが原因となって形成される結晶粒界に突起部(リッジ)を所定の大きさ以上に形成してしまい、半導体表面の平坦性が悪くなることが本願発明者によって明らかになった。結晶性半導体の平坦性の劣化は、半導体素子の微細化、薄膜による高性能化の障害になり、高品質な結晶性半導体を形成するには不適である。そこで、本発明の形成装置によれば、レーザー光エネルギーによる結晶化時に、雰囲気中に酸素を供給する構成として、かつ雰囲気中の酸素濃度を所定の範囲内で制御することにより、ケイ素膜半導体表面の平坦性と結晶性を両立させることができる。
したがって、本発明の形成装置によれば、第一供給手段を備えていることによって、高性能な結晶性半導体を形成することが可能となる。
具体的には、本発明に係る形成装置は、上記第一供給手段は、酸素供給部と、上記雰囲気中の酸素濃度が所定濃度になるように、上記酸素供給部からの酸素ガスの質量流量を制御する制御部とを有していることが好ましい。
また、本発明に係る形成装置は、上記第一供給手段が、上記雰囲気中の酸素濃度が4×10ppmから1×10ppmまでの範囲内になるように酸素ガスを供給する構成であることが好ましい。
これにより、所定の大きさ以上のリッジが形成されることなく、半導体表面の平坦性と結晶性を両立させ、高品質な結晶性半導体を形成することが可能となる。
すなわち、雰囲気中の酸素濃度が4×10ppm未満であれば、非晶質半導体の結晶性が悪く、1×10ppm以上であれば所定の大きさ以上のリッジが形成され易くなり、半導体表面の平坦性が劣化する。そこで、上記雰囲気中の酸素濃度が4×10ppmから1×10ppmまでの範囲となるように酸素ガスを供給すれば、高性能な結晶性半導体を形成することができる。
また、本発明に係る形成装置は、上記載置台に載置された基板上の非晶質半導体膜上に酸化膜が積層されている場合、上記第一供給手段が、上記雰囲気中の酸素濃度を、0を超えて、1×10ppmまでの範囲となるように、酸素ガスを供給する構成であることが好ましい。
非晶質半導体膜の表面に酸化膜を形成することにより、上記雰囲気中への酸素濃度制御範囲を広くすることができ、より生産性の高いプロセスを提供できる。
すなわち、非晶質半導体膜の表面に直接酸素を供給しながらレーザーを照射する場合は、上記したように、上記雰囲気中の酸素濃度が4×10ppmから1×10ppmまでの範囲となるように酸素ガスを供給する。これに対し、非晶質半導体膜の表面に酸化膜を形成した場合は、0.01ppmから1×10ppmまでの範囲に濃度範囲を広げることができる。これにより、より生産性の高いプロセスを提供できる。
また、本発明に係る形成装置は、上記載置台に載置された上記基板の非晶質半導体の結晶化速度を遅延させるための遅延手段を備えていることが好ましい。具体的には、上記遅延手段は、上記レーザー光の照射によって昇温した上記非晶質半導体の温度の低下速度を遅延させるように構成されていることが好ましく、上記レーザー光の照射によって昇温した上記非晶質半導体の温度を、100〜400℃で維持するように構成されていることが好ましい。
これにより、非晶質半導体が結晶化する際に形成されるリッジの大きさを抑制することができ、平坦性を向上させることができる。
また、本発明に係る形成装置は、上記収容室に窒素ガスまたは大気を供給するための第二供給手段を備えていてもよい。
なお、上記照射手段には、例えば、レーザー光をパルス的に発振するレーザー発振機とレーザー光を長尺短形状に形成するレンズ群とを有した構成を用いることができる。
また、本発明に係る半導体装置の製造装置は、上記課題を解決するために、上記した形成装置を備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、従来と比較してより一層高品質な結晶性半導体基板を形成することができるため、より一層高性能な半導体装置を提供することが可能となる。
本発明に係る結晶性を有する半導体基板の形成方法は、以上のように、絶縁表面を有する基板上に非晶質半導体膜を成膜する成膜工程と、上記非晶質半導体膜にレーザー光を照射するレーザー照射工程とを含む、結晶性を有する半導体基板の形成方法であって、上記レーザー照射工程では、上記非晶質半導体膜の雰囲気中の酸素濃度が所定濃度となるように、当該雰囲気中に酸素ガスを供給することを特徴としている。また、本発明に係る形成装置は、以上のように、絶縁表面を有する基板上に、結晶性を有するケイ素半導体を形成するための形成装置であって、非晶質半導体膜が成膜された上記基板を載置するための載置台が設けられた、上記基板を収容するための収容室と、上記収容室に収容された上記基板にレーザー光を照射するための照射手段と、上記収容室に収容された上記基板の非晶質半導体膜の雰囲気中に、当該雰囲気中の酸素濃度が所定濃度となるように酸素ガスを供給するための第一供給手段とを備えていることを特徴としている。
以上のように、レーザー光のエネルギーによる結晶化時に、雰囲気中に酸素を供給し、かつ雰囲気中の酸素濃度を所定の範囲内で制御することにより、結晶化する半導体膜表面の平坦性と結晶性を両立させ、高品質な結晶性半導体基板を形成することが可能となる。
また、本発明に係る半導体装置の製造方法では、上記した形成方法を用いることを特徴としており、さらに、本発明に係る半導体装置の製造装置は、上記した形成装置を用いることを特徴としている。
上記の構成によれば、従来と比較してより一層高品質な結晶性半導体基板を形成することができるため、より一層高性能な半導体装置を提供することが可能となる。
〔実施の形態1〕
本発明に係る結晶性を有する半導体基板を形成するための形成方法およびその形成装置についての一実施形態を説明する。なお、以下の説明では、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲が、以下の実施形態および図面に限定されるものではない。また、以下で説明する形成装置は、半導体装置を製造するための製造装置の一部と用いることができるものである。具体的には、アクティブマトリクス型の液晶表示装置、密着型イメージセンサー、三次元ICなどの製造装置の一部として本実施形態の形成装置を構成することが可能である。
なお、以下の説明では、非晶質半導体として非晶質シリコンを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、半導体であればシリコン以外のケイ素含有化合物であってもよく、さらには、ケイ素含有化合物の代わりにゲルマニウムを用いることも可能である。
まず、図1から図3(a)〜(c)に基づいて本発明に係る形成装置について以下に説明する。
図1は、本発明の一実施形態である形成装置の構成を示した断面図である。図1に示す形成装置1は、上述したように、例えば、半導体装置を製造するための製造装置の一部として用いることができ、集合チャンバー(収容室)20と、ステージ(載置台)2aと、温度制御手段(遅延手段)2cと、レーザー照射手段(照射手段)3と、酸素供給手段(第一供給手段)4と、窒素ガス供給手段(第二供給手段)5とを備えている。
上記集合チャンバー20は、ロードロックチャンバー21と、トランスファーチャンバー22と、処理チャンバー(収容室)23とが集合した構成となっている。
ロードロックチャンバー21は、図示しない真空手段を用いて、集合チャンバー20内のガスを排気して、集合チャンバー20内の雰囲気ガスに置換することができるように構成されている。
トランスファーチャンバー22には、ベースコート膜11および非晶質シリコン膜12が成膜された基板10を、ロードロックチャンバー21と処理チャンバー23との間を搬送するためのロボット22aが設置された構成となっている。
上記処理チャンバー23には、非晶質シリコン膜が成膜された基板10を載置するためのステージ2aが設けられている。上記ステージ2aには、レーザー照射手段3から出射したレーザー光を走査するためのX−Yステージを用いることができる。
さらに、処理チャンバー23には、例えば、石英ガラスから構成することができる窓部2bが設けられており、レーザー照射手段3から出射したレーザー光が窓部2bを透過して、ステージ2aに載置された基板10の非晶質シリコン膜に照射されるように構成されている。
また、処理チャンバー23には、非晶質シリコン膜が成膜された基板10の温度制を行うための温度制御手段2cを備えている。温度制御手段2cとしては、ヒーターを用いることができる。温度制御手段2cの役割については後述する。
上記レーザー照射手段3には、レーザー光をパルス的に発振するレーザー発振機、およびレーザー光を長尺短形状に形成するレンズ群(不図示)から構成されたものを用いることができる。特に、これらの構成を用いることによって、長尺短形状にして基板上を走査することで均一性向上と処理時間短縮が期待できる。
上記酸素供給手段4は、集合チャンバー20の内部に酸素ガスを供給するために設けられており、図1に示すように、酸素ガス供給部4aと、集合チャンバー20への酸素ガスの質量流量を制御する酸素ガス用MFC(質量流量コントローラ、Mass Flow Controller)(制御部)4bとを有している。詳細については後述する。
上記窒素ガス供給手段5は、集合チャンバー20内部へ窒素ガスを供給するために設けられており、図1に示すように、窒素ガス供給部5aと、集合チャンバー20への窒素ガスの質量流量を制御する窒素ガス用MFC5bとを有している。
次に、図1に示した構成を備えた形成装置1を用いた結晶性シリコン半導体(結晶性を有する半導体基板、結晶性半導体基板)の形成方法を説明する。
本願発明者は、非晶質シリコン半導体にレーザー光のエネルギーを照射する際、非晶質シリコン半導体の雰囲気中に酸素を酸素濃度を制御した状態で供給することによって、結晶性シリコン半導体膜表面の平坦性と結晶性を両立させ、高性能な半導体装置に用いることができる結晶性シリコン半導体を形成できることを解明した。レーザー光のエネルギーによる非晶質シリコン半導体の結晶化法においては、非晶質シリコン半導体膜を一旦溶融し再結晶化して結晶性シリコン半導体膜を形成する際、非晶質シリコン半導体と結晶性シリコン半導体の体積膨張率の違いにより結晶性半導体の結晶粒界に突起部(リッジ)が形成される場合がある。そこで、本願発明者は、リッジと、集合チャンバー20(特に処理チャンバー23)内部に供給される酸素ガスの供給量との関係について検討したところ、過度の酸素供給によりリッジが大きくなり、結晶粒界の平坦性を劣化させることが判った。そこで、本実施形態では、酸素濃度を制御した状態で雰囲気中に酸素を供給する方法を説明する。この方法によれば、非晶質シリコン半導体膜表面の平坦性および結晶性の双方を良好に実現させた、高性能な結晶性シリコン半導体の形成を可能にした。さらに、本願発明者は、レーザー照射後の半導体膜冷却を緩やかにすることでリッジの大きさが抑制されることを解明した。そこで、本実施形態では、上記レーザー光のエネルギーを受けて高温になった非晶質シリコン半導体に対して、その冷却速度を抑えるために、非晶質シリコン半導体を温度制御する方法を説明する。冷却速度を抑えることによって、非晶質シリコン半導体膜表面の平坦性をより一層向上させることが可能となる。
まず、結晶性シリコン半導体の形成方法を説明する前に、基板10への非晶質シリコン膜の成膜方法を説明する。
図2(a)・(b)は、非晶質シリコン半導体膜の成膜方法を説明した基板10の断面図である。
図2(a)に示すように、例えばガラス基板などの絶縁性表面を有する基板10の表面を洗浄後、この基板10上に絶縁膜であるベースコート膜11として二酸化シリコンを、スパッタリング装置を用いて、例えば、厚さ100nm程度堆積させる。この基板10の大きさは、例えば、127mm×127mmとすることができる。
なお、このベースコート膜11の必要膜厚は、絶縁基板10の表面状態によって異なり、十分に平坦でかつナトリウムイオンなどの半導体特性に悪影響を与えるイオンの濃度が十分に低い基板であれば、ベースコート膜11を省略することも可能であり、逆に、表面の状態が傷や凹凸の激しいものであれば、上記の膜厚よりも厚くベースコート膜11を堆積させる必要がある。
次に、図2(b)に示すように、ベースコート膜11上に化学的気相成長法(CVD法)やスパッタリング法を用いて実質的な非晶質半導体としての非晶質シリコン膜12を、例えば、100nm程度の厚さに堆積させ、非晶質シリコン膜を成膜する。なお、以下の説明において、ベースコート膜11および非晶質シリコン膜12が成膜された基板を単に基板10と称することがある。
このように表面に非晶質シリコン膜12が成膜された基板10を、図1に示した形成装置1の処理チャンバー23内に配設されたステージ2aに載置して、非晶質シリコン膜12の結晶化を行う。
ロードロックチャンバー21内の基板10は、図示しない真空手段により排気し、集合チャンバー20内を真空状態にした後、酸素供給手段4及び窒素ガス供給手段5を用いて酸素ガス/窒素ガスを供給し、置換を行う。その後、トランスファーチャンバー22のロボット22aにより基板10を処理チャンバー23に搬送する。
ステージ2a上の温度制御手段2cに基板10を載置して基板10の温度を上げる。この際、100〜400℃に加熱することが好ましい。その理由としては、100℃未満となると基板加熱によるリッジ低減効果が小さく、400℃以上になると基板のダメージが大きくなる。このとき各チャンバーとも酸素ガス供給部4aから、酸素ガス用MFC4bによって質量流量を制御された酸素ガスと窒素ガス供給部5aから窒素ガス用MFC5bによって質量流量を制御された窒素ガスとが、集合チャンバー20内に供給される。窒素ガス供給部5aから窒素ガス流量は、5(SLM:Standard l/分)とした場合、酸素ガス供給部4aから酸素ガス流量は、2〜50sccm(sccm:Standard cc/分=cm/分、以下同様))であることが好ましく、2〜10sccmであることがより好ましく、2〜5sccmであることがさらに好ましい。
このような条件下において、集合チャンバー20(特に処理チャンバー23)の雰囲気中の酸素濃度を所定の範囲になるように酸素ガスを供給する。具体的には、集合チャンバー20(処理チャンバー23)2内の容積や温度に基づいて予め酸素ガス用MFC4bを設定しておき、基板10がステージ2aに載置されると、酸素ガス用MFC4bがその設定に基づいて酸素ガス供給部4aから酸素ガスを供給する構成となっている。上記酸素濃度の所定の範囲としては、4×10〜6×10ppmであることが好ましく、上限値が1×10ppm以下であることが好ましく、2×10ppm以下であることがより好ましく、6×10ppm以下であることが最も好ましい。下限値4×10ppm未満となると、シリコン膜の結晶性が悪くなり、半導体素子の電界効果移動度が100cm/Vs以上、好ましくは130cm/Vs以上の特性を示すことができなかったり、しきい値電圧が1.5〜2.5Vの特性を示すことができないため好ましくない。また、上限値1×10ppmを超えるとシリコン膜の結晶性は優れているものの、最大粗さ80〜100nm以上の大きさのリッジが形成され易くなり、シリコン膜表面の平坦性が劣化するため好ましくない。ここで「平坦性が劣化した」とは、結晶性半導体膜の上に絶縁膜を介してのリークが発生したり、凸部に電界が集中し絶縁膜の破壊によって素子の欠陥を引き起こしてしまう程度に結晶性シリコン膜表面の平坦性が悪い状態のことを定義している。
次に、100〜400℃の基板10に対して、図1に示した形成装置1のレーザー照射手段3から、レーザー光3aを非晶質シリコン膜12表面に照射する。
これにより、非晶質シリコン膜12が約1000℃以上の高温になって溶融し、その後、レーザー光3aの照射がなくなると、溶融した非晶質シリコン膜12が固化して結晶化し、結晶性を有するシリコン膜12’が形成される。
ここで、本実施形態では、温度制御手段2cによって基板10を加熱しているため、溶融した非晶質シリコン膜12の冷却速度を比較的遅くすることができる。これにより、溶融した非晶質シリコンが冷却により固化して結晶化する際、リッジの大きさを抑制することができる。これは、レーザー光により加熱された半導体膜をゆっくりと冷却することで、結晶性半導体と非晶質半導体との体積差のひずみが小さくできるためと考えられる。温度制御手段2cは、溶融した非晶質シリコンが冷却し始めた基板10を、100℃〜400℃に加熱することが好ましく、300℃〜400℃であることがより好ましい。
なお、レーザー照射手段3のレーザー発振機としては、波長λ=308nmのエキシマレーザー(Xecl)を用いることができる。エキシマレーザーの場合、照射強度としては400mJ/cmとすることができ、1箇所当たりの照射パルス回数を、例えば5ショットとすることができる。
以上のように、本実施形態の方法によれば、レーザー光エネルギーによる結晶化時に、雰囲気中に酸素を供給し、かつその雰囲気中における濃度を4×10ppm〜1×10ppmとなるように制御することにより、非晶質シリコン半導体膜12内の酸素濃度を制御できる。
すなわち、本発明に係る形成方法は、上述のように、雰囲気中に酸素を供給するという簡易な構成によって、非晶質シリコン膜12表面の平坦性と結晶性を両立させ、高性能な結晶性シリコン膜(結晶性を有する半導体基板)12’を形成することが可能となる。さらに、本発明に係る形成方法では、上述のように、雰囲気中に酸素を供給するとともに、基板10の温度、具体的には非晶質シリコン膜12の温度を、所定の温度以上に制御するという簡易な構成によって、非晶質シリコン膜12表面の平坦性をさらに向上させることができる。本実施形態の形成方法によって形成された結晶性シリコン膜を用いてプレーナ型nチャネル薄膜トランジスタを形成すると、移動度100〜130cm/Vs、しきい値電圧1.5〜2.5Vという良好な薄膜トランジスタを得ることができる。
薄膜トランジスタの製造方法は、特開2003−297752(2003年10月17日公開)に詳述している方法を用いることができるため、ここでは説明を省略する。
また、本発明に係る形成方法によれば、非晶質シリコン膜12の結晶化を向上させるべく、触媒元素を導入してもよい。以下に、この触媒元素の導入について説明する。
図3(a)〜(c)は、非晶質シリコン膜12表面に触媒元素を塗布する方法を説明するための基板の断面図である。
まず、図3(a)に示すように、非晶質シリコン膜12が形成された基板10に、触媒元素を導入するための準備層13を形成する。準備層13は、過酸化水素水を用いて約2nmの膜厚で形成することができる。その表面にNiイオンを100ppm含んだ溶液20をスピンコート法により2回処理して、非晶質シリコン膜12の多結晶化を助長する触媒元素であるNiイオンのみを準備層13上に微量添加する。
ここで、触媒元素としてNiを用いたが、Ni以外にもCo、Pd、Feなどのうちいずれか一つまたはこれらの元素を複数組み合わせたものでもよい。さらに、この準備層13は触媒元素を含んだ溶液をスピンコートする際、溶液の濡れ性を向上させ、均一に触媒元素を添加させる。この準備層13は、イソプロピルアルコールなどアモルファスシリコン(a−Si)との濡れ性の良い溶媒を用いる場合は不要である。また、溶媒は1種類に限らず、1回目のスピンコートと2回目のスピンコートで異なる溶媒を用いることも可能である。さらに、スピンコート法はNiイオンを含んだ溶液を適量塗布した後、まず、50〜100rpmの低速回転で10秒程度回転させ、そのままの状態で1〜2分間保持する。その後、2000rpmの高速回転で120秒程度回転させ乾燥させる。
このような方法によって、触媒元素を非晶質シリコン膜12表面に塗布した後に550℃の加熱処理により触媒元素21が非晶質シリコン膜12に導入されると同時に、非晶質シリコン膜12の結晶化が進行し、さらに上述したように、レーザー光3aをこのシリコン膜12表面(具体的には、触媒元素塗布面)に照射することによって、完全に結晶化が進行する(図3(c))。
上述したように、準備層13を用いて触媒元素を非晶質シリコン膜12に導入した場合は、非晶質シリコン膜12の結晶化後、準備層13を取り除く。これにより、図2(b)に示したように、図1の形成装置1を用いてシリコン膜表面の平坦性と結晶性を両立させることができるとともに、触媒元素を非晶質シリコン膜12に導入しない構成と比較して、結晶性を向上させることができるため、より一層高性能な結晶性シリコン基板を形成することが可能となる。
なお、本実施形態では、集合チャンバー20(特に処理チャンバー23)内の容積や温度に基づいて予め酸素ガス用MFC4bを設定することによって、酸素ガス供給部4aからの酸素ガスの供給を制御する構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、集合チャンバー20(特に処理チャンバー23)内部の酸素濃度を計測する濃度計測部を設け、集合チャンバー20(特に処理チャンバー23)内部の酸素濃度を経時的に測定することによって、計測結果に基づいてその都度酸素ガス用MFC4bが酸素ガス供給部4aからの酸素ガスの供給を制御する構成とすることも可能である。
また、本実施形態では、窒素ガスを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、不活性ガスであればよい。なお、大気であってもよい。
さらに、本実施形態では、酸素ガス供給部4aからの酸素ガスと、窒素ガス供給部5aからの窒素ガスとが、互いに独立した配管から集合チャンバー20(特に処理チャンバー23)内に供給される構成となっているが、例えば、それぞれの供給部から供給された酸素ガスと窒素ガスとが、混合ガスとして集合チャンバー20(特に処理チャンバー23)内に供給される構成であってもよい。
また、上記レーザー照射手段3では、レーザー光をパルス的に発振するレーザー発振機とレーザー光を長尺短形状に形成するレンズ群(不図示)とから構成されたものを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、CWレーザーを用いてもよい。
また、本実施形態では、温度制御手段2cによる基板10の加熱を、トランスファーチャンバー22のロボット22aによって基板10が処理チャンバー23のステージに載置された時点から開始しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくともレーザー光のエネルギーを受けて高温になった非晶質シリコン膜の冷却速度を遅くすることができれば良い。すなわち、この条件のもとであれば、加熱開始時期は上記した形態に限らない。
また、温度制御手段2cは、一定温度で加熱する構成であってもよいが、温度制御手段2cの温度が高温の状態から徐々に低くなることによって、基板10の温度が誘導されて徐々に低下する構成となっていてもよい。
〔実施の形態2〕
本発明に係る他の実施の形態について、図4(a)〜(c)および図7に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、本実施の形態では、上記実施の形態1との相違点について説明するため、説明の便宜上、実施の形態1で説明した部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付し、その説明を省略する。
上記した実施形態1では、レーザー光による非晶質シリコン膜12の結晶化の際、レーザー光が非晶質シリコン膜12に直接照射されるように構成された基板10を用いている。これに対して、本実施形態では、図4(d)に示すように、非晶質シリコン膜12の上に酸化膜14を設けた構成の基板を用いて非晶質シリコン膜12の結晶化を行っている。
以下に、非晶質シリコン膜12への酸化膜の成膜方法を図4(a)〜(d)に基づいて説明する。
実施形態1において説明したようにベースコート膜11上に化学的気相成長法(CVD法)やスパッタリング法を用いて非晶質シリコン膜12を堆積させた後、図示しないスピン洗浄装置によって、図4(a)に示すように、約150rpmで回転させながら、高周波ノズル6から高周波6aを非晶質シリコン膜12表面にあてることによって、非晶質シリコン膜12表面を高周波(HF)洗浄する。次に、高周波(HF)洗浄後の基板10を、図4(b)に示すように、約150rpmで回転させながら、スピン洗浄装置のオゾン水ノズル7からオゾン水7aをあてて、オゾン水洗浄を行う。これにより、非晶質シリコン膜12表面に酸化膜14が成膜される。続いて、酸化膜14が成膜された基板10を、図4(c)に示すように、約150rpmで回転させながら、スピン洗浄装置の純水ノズル8から純水8aを非晶質シリコン膜12表面にあてて純水洗浄する。最後に、約1000rpmの高速回転で120秒程度回転させ、乾燥させる。このような方法によって、図4(d)に示すように、非晶質シリコン膜12表面に酸化膜14を成膜することができる。酸化膜14は、例えば、厚さ2〜5nmとすることが好ましい。
なお、酸化膜の成膜は、次のような手法によって行うこともできる。
図5(a)・(b)は、酸化膜の他の成膜方法に用いる紫外線照射装置(以下、UV照射装置と呼ぶ)の断面図である。UV照射装置9には、図5(a)・(b)に示すように紫外線ランプ9a(以下、UVランプと呼ぶ)が設けられている。図5(a)に示すように、非晶質シリコン膜12が成膜された基板10をUV照射装置9の内部に載置して、UVランプ9aから紫外線を非晶質シリコン膜12表面に照射することによって、図4(d)と同様、非晶質シリコン膜12表面に酸化膜14が成膜される(図5(b))。UVランプ9aによる紫外線の照射は、30mW/cm以上、30秒とすればよい。
以上のような方法によって酸化膜14が形成された基板を、上記実施形態1と同様に、図6に示した形成装置1のステージ2aに載置して非晶質シリコン膜12の結晶化を行う。
本実施形態の場合は、非晶質シリコン膜12表面に酸化膜14を設けているため、集合チャンバー20(特に処理チャンバー23)の雰囲気中の酸素濃度を、0を超えて、1×10ppmまでの範囲となるように、集合チャンバー20(特に処理チャンバー23)内の容積や温度に基づいて予め設定された酸素ガス用MFC4bが酸素ガス供給部4aを制御すればよい。
次に、図6に示した形成装置1のレーザー照射手段3から、レーザー光3aを非晶質シリコン膜12表面に照射し、溶融固化によって非晶質シリコン膜12を結晶化し、結晶性を有するシリコン膜12’を形成する。
以上のように、本実施形態においても上記実施形態1と同様、本実施形態の構成によれば、レーザー光エネルギーによる結晶化時に、雰囲気中に酸素を供給する構成とし、かつ雰囲気中の酸素濃度を、0を超えて、1×10ppmまでの範囲となるように制御することにより、シリコン膜表面の平坦性と結晶性を両立させ、高品質な結晶性シリコン膜を形成することが可能となる。特に、本実施形態は、非晶質シリコン膜12表面に酸化膜14を設けているため、上記実施形態1と比較して、雰囲気中の酸素濃度範囲を広く設定することができる。図7(a)・(b)を用いて、酸化膜を設けた本実施形態と、上記実施形態1との雰囲気中の酸素濃度範囲を比較する。
図7(a)・(b)は、本実施形態(図7(a))と上記実施形態1(図7(b))とにおける各酸素濃度での非晶質シリコン半導体膜の結晶性と平坦性との関係を示したグラフである。図7(b)に示すように、上記実施形態1では、酸素濃度が4×10ppm未満となると、シリコン膜の結晶性が悪く、反対に1×10ppmを超えるとシリコン膜表面の平坦性が劣化する。一方、本実施形態では、図7(a)に示すように、酸素濃度が1×10ppmを超えるとシリコン膜表面の平坦性が劣化するが、非晶質シリコン膜12表面に酸化膜14が設けられているため、上記実施形態1のように酸素濃度が4×10ppm未満となっても、良好な結晶性を示す。すなわち、本実施形態のように、非晶質シリコン膜12表面に酸化膜14が設けることによって雰囲気中の酸素濃度範囲を広く設定することができ、よって、生産性の高いプロセスを提供できる。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。すなわち、上記実施形態1と同様に、本実施形態においても非晶質シリコン膜12の結晶化を向上させるべく、触媒元素を導入してもよい。また、本実施形態では、上記実施形態1において説明した準備層13として、酸化膜14を代用することができる。
本発明の形成方法および形成装置、並びに、当該形成方法を用いた半導体製造方法および当該形成装置を用いた半導体装置の製造装置によれば、半導体膜表面の平坦性と結晶性を両立させた、高性能な半導体半導体を形成することが可能となる。
したがって、本発明は、絶縁表面を有する基板上に設けられた薄膜トランジスタ(TFT)を用いた半導体素子に有効であり、アクティブマトリクス型の液晶表示装置、密着型イメージセンサー、三次元ICなどに適用することができる。
本発明の一実施形態である形成装置の構成を示すとともに、非晶質シリコン半導体が成膜された基板を示した断面図である。 (a)・(b)は、非晶質ケイ素膜の成膜方法を説明した基板の断面図である。 (a)・(b)は、非晶質シリコン膜表面に触媒元素を塗布する方法を説明するための基板の断面図である。 (a)〜(d)は、非晶質シリコン膜への酸化膜の成膜方法を示す基板の断面図である。 非晶質シリコン膜表面に酸化膜を成膜するための他の方法に用いられる紫外線照射装置の断面図である。 本発明の他の実施形態である形成装置の構成の一部を示すとともに、非晶質シリコン半導体上に酸化膜が成膜された基板を示した断面図である。 本発明の形成方法における雰囲気中の各酸素濃度での非晶質シリコン半導体の結晶性および平坦性について計測した結果を示すグラフである。
符号の説明
1 形成装置(半導体装置の製造装置)
2a ステージ(載置台)
2b 窓部
2c 温度制御手段(遅延手段)
3 レーザー照射手段
3a レーザー光
4 酸素供給手段
4a 酸素ガス供給部
4b 酸素ガス用MFC
5 窒素ガス供給手段
5a 窒素ガス供給部
5b 窒素ガス用MFC
6 高周波ノズル
6a 高周波
7 オゾン水ノズル
7a オゾン水
8 純水ノズル
8a 純水
9 紫外線照射装置(UV照射装置)
9a 紫外線ランプ(UVランプ)
9b 紫外線
10 基板
11 ベースコート膜
12 非晶質シリコン膜(非晶質半導体膜)
12’ 結晶性を有するシリコン膜(結晶性を有する半導体基板、結晶性半導体基板)
13 準備層
14 酸化膜
20 集合チャンバー(収容室)
21 ロードロックチャンバー
22 トランスファーチャンバー
23 処理チャンバー(収容室)

Claims (19)

  1. 絶縁表面を有する基板上に非晶質半導体を成膜する成膜工程と、
    上記非晶質半導体にレーザー光を照射することによって、当該非晶質半導体を溶融固化させて結晶化するレーザー照射工程とを含む、結晶性を有する半導体基板の形成方法であって、
    上記レーザー照射工程では、上記非晶質半導体膜の雰囲気中の酸素濃度が所定濃度となるように、当該雰囲気中に酸素ガスを供給することを特徴とする結晶性を有する半導体基板の形成方法。
  2. 上記レーザー照射工程では、上記非晶質半導体の結晶化に伴って当該結晶の粒界に形成される突起部が所定の大きさ以上にならないように、かつ当該非晶質半導体が所定の結晶性を示すように、上記酸素ガスを供給することを特徴とする請求項1に記載の結晶性を有する半導体基板の形成方法。
  3. 上記レーザー照射工程では、上記レーザー光の照射によって溶融した上記非晶質半導体の結晶化速度を遅延させることを特徴とする請求項1または2に記載の結晶性を有する半導体基板の形成方法。
  4. 上記結晶化速度の遅延は、上記レーザー光の照射によって昇温した上記非晶質半導体の温度の低下速度を遅延させることによって行うことを特徴とする請求項3に記載の半導体基板の形成方法。
  5. 上記レーザー光の照射によって昇温した上記非晶質半導体の温度を、100〜400℃で維持することを特徴とする請求項4に記載の半導体基板の形成方法。
  6. 上記レーザー照射工程では、上記雰囲気中の酸素濃度が4×10〜1×10ppmの範囲となるように上記酸素ガスを供給することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の結晶性を有する半導体基板の形成方法。
  7. 上記成膜工程とレーザー照射工程との間に、上記非晶質半導体膜上に酸化膜を形成する酸化膜形成工程を含み、
    上記レーザー照射工程では、上記雰囲気中の酸素濃度を、0を超えて、1×10ppmまでの範囲となるように、酸素ガスを供給することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の結晶性を有する半導体基板の形成方法。
  8. 上記成膜工程では、上記非晶質半導体の結晶化を促進するための触媒元素を当該非晶質半導体膜に導入する導入工程を含むことを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の結晶性を有する半導体基板の形成方法。
  9. 上記触媒元素が、Ni、Co、Fe、Pd、Pt、Cu、Auからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素であることを特徴とする請求項8に記載の結晶性を有する半導体基板の形成方法。
  10. 請求項1から9の何れか1項に記載の結晶性を有する半導体基板の形成方法を用いることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  11. 結晶性を有する半導体基板を形成するための形成装置であって、
    絶縁表面上に非晶質半導体が成膜された基板を載置するための載置台が設けられた、当該基板を収容するための収容室と、
    上記載置台に載置された上記基板の非晶質半導体にレーザー光を照射して、当該非晶質半導体を溶融固化させて結晶化するための照射手段と、
    上記載置台に載置された上記基板の非晶質半導体の雰囲気中に、当該雰囲気中の酸素濃度が所定濃度となるように酸素ガスを供給するための第一供給手段とを備えていることを特徴とする形成装置。
  12. 上記載置台に載置された上記基板の非晶質半導体の結晶化速度を遅延させるための遅延手段を備えていることを特徴とする請求項11に記載の形成装置。
  13. 上記遅延手段は、上記レーザー光の照射によって昇温した上記非晶質半導体の温度の低下速度を遅延させるように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の形成装置。
  14. 上記遅延手段は、上記レーザー光の照射によって昇温した上記非晶質半導体の温度を、100〜400℃で維持するように構成されていることを特徴とする請求項12または13に記載の形成装置。
  15. 上記第一供給手段は、酸素供給部と、上記雰囲気中の酸素濃度が所定濃度になるように、上記酸素供給部からの酸素ガスの質量流量を制御する酸素ガス制御部とを有していることを特徴とする請求項11から14の何れか1項に記載の形成装置。
  16. 上記第一供給手段は、上記雰囲気中の酸素濃度が4×10ppmから1×10ppmまでの範囲内になるように酸素ガスを供給する構成であることを特徴とする請求項11から15の何れか1項に記載の形成装置。
  17. 上記載置台に載置された上記基板の非晶質半導体膜上に酸化膜が積層されている場合、上記第一供給手段は、上記雰囲気中の酸素濃度を、0を超えて、1×10ppmまでの範囲となるように、酸素ガスを供給する構成であることを特徴とする請求項11から15の何れか1項に記載の形成装置。
  18. 上記収容室に窒素ガスまたは大気を供給するための第二供給手段を備えていることを特徴とする請求項11から17の何れか1項に記載の形成装置。
  19. 請求項11から18の何れか1項に記載の形成装置を備えていることを特徴とする半導体装置の製造装置。
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