JP2007205254A - スクロール型圧縮機及びスクロール型圧縮機における軸支承部の製造方法 - Google Patents

スクロール型圧縮機及びスクロール型圧縮機における軸支承部の製造方法 Download PDF

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政文 久郷
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敏彦 関根
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Abstract

【課題】金属接触による焼付きや異常摩耗を生じることのないスクロール型圧縮機及びスクロール型圧縮機における軸支承部の製造方法を提供すること。
【解決手段】スクロール型圧縮機1は、密閉容器2を備えており、密閉容器2内において、その上部にはスクロール型圧縮機構部3が、下部には電動機4が配設されており、スクロール型圧縮機構部3は、互いに噛合する固定スクロール6と旋回スクロール7とを備えており、固定スクロール6は、うず巻き状のラップ6bを備えており、旋回スクロール7は、うず巻き状のラップ7bとを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、空調冷凍機等に搭載されるスクロール型圧縮機及びスクロール型圧縮機における軸支承部の製造方法に関する。
特開昭62−200018号公報 特開平11−107942号公報 特開昭59−194128号公報 特開2004−251226号公報
近年、冷凍空調圧縮機においては、回転速度、圧力等の運転範囲の拡大及びマルチエアコンの出現により高信頼性が強く要求されてきている。とくにマルチエアコンでは、空調機への冷媒ガス封入量が増大するため多量の冷媒ガスが回転軸と軸支承部との摺動面を潤滑する潤滑油に溶け込み、潤滑油の粘度が極端に低下したり、給油経路、軸受での冷媒ガスの発泡に起因する瞬時の潤滑不良等の問題を生じ、回転軸を円滑に支承する軸受の損傷に繋がる虞がある。
従来、冷凍空調圧縮機の回転軸を支承する軸受としては、裏金に黒鉛を含浸させた多孔質青銅系合金を焼結し、回転軸との摺動面に多孔質青銅系合金と黒鉛との両方をまばらに露出させた軸受(特許文献1参照)、回転軸との摺動面に潤滑性及び耐摩耗性を有する表面層を備えた金属板を表面層を内側にして巻き成形して作った巻きブッシュであって、表面層を有する金属板が、四ふっ化エチレン樹脂(以下、PTFEと略称する)及び鉛を含浸させた青銅粉末製多孔質焼結層を有する鋼板である軸受(特許文献2参照)、裏金に合成樹脂と潤滑材とからなる複合物質を含浸させた多孔質青銅系合金を焼結し、軸との接触面に多孔質青銅系合金と複合物質との両方がまばらに露出する軸受(特許文献3参照)、金属基部に設けられた多孔質層とその多孔質層に含浸させたふっ素樹脂層とを備え、そのふっ素樹脂層から焼結層が露出した砥粒加工面を軸受摺動面とした軸受(特許文献4参照)が用いられている。
密閉容器内に電動機とこの電動機の出力回転軸によって駆動されるスクロール型圧縮機構部とを備えた従来のスクロール型圧縮機において、密閉容器内の圧力や温度により相当量の冷媒ガスが潤滑油中に溶解するため、潤滑油の粘度が極度に低下する場合がある。このため、油膜厚さが薄くなり流体潤滑域から混合潤滑域ないし境界潤滑域に移行し、局部的な金属同士の接触により焼付きや異常摩耗を生ずることがある。
このように潤滑状態が不安定になる条件下での使用では、例えば上記特許文献2ないし4に開示された複層軸受は優れた軸受特性を備えている。とくに上記特許文献3及び4に開示された複層軸受は、使用中における軸受の内周面と回転軸の外周面との軸受隙間(所謂クリアランス)の変動が少ないという観点から賞用されているが、使用中の温度上昇により焼結層の孔隙に配された合成樹脂に熱膨張をきたし、やはり使用中における軸受の内周面と回転軸の外周面との軸受隙間に変動を生じ、結果として局部的な金属同士の接触による焼付きや異常摩耗を生ずるという問題は依然解決されていない。
本発明は、上記諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、流体潤滑域から混合潤滑域ないし境界潤滑域に移行した際においても低摩擦性や耐摩耗性等の軸受特性を維持させることができ、使用中の温度上昇に起因する軸受隙間の変動を防止し得、寸法精度よく形成した内周面の真円度が高められた状態が維持されるので、金属接触による焼付きや異常摩耗を生じることのないスクロール型圧縮機及びスクロール型圧縮機における軸支承部の製造方法を提供することにある。
本発明によるスクロール型圧縮機は、密閉容器内に、出力回転軸を有する電動機と、この電動機の出力回転軸の回転によって駆動されるスクロール型圧縮機構部と、電動機の出力回転軸を回転自在に支持する軸支承部と、この軸支承部に供給される潤滑油を溜める潤滑油溜めとを備えており、ここで、スクロール型圧縮機構部は、密閉容器に固定されていると共にうず巻き状のラップを有する固定スクロールと、密閉容器に対して回転自在に配されていると共に固定スクロールのラップに対して該電動機の出力回転軸の回転により公転するうず巻き状のラップを有する旋回スクロールと、固定スクロール及び旋回スクロールのラップ同士を互いに噛合させて形成された圧縮室とを備えており、駆動により密閉容器外から吸入した冷媒ガスを圧縮室で圧縮して密閉容器内に吐出すると共に密閉容器内に吐出した冷媒ガスを密閉容器外に吐出するようになっており、固定スクロールは、そのうず巻き状のラップが一体的に設けられていると共に密閉容器に固定されている固定スクロール基部を有しており、旋回スクロールは、そのうず巻き状のラップが一体的に設けられていると共に密閉容器に対して回転自在に配されている旋回スクロール基部を有しており、電動機の出力回転軸は、電動機のロータに固定された回転軸本体と、回転軸本体の一端に連結されていると共に当該回転軸本体の軸心に対して偏心している偏心軸とを有しており、軸支承部は、固定スクロール基部に設けられていると共に回転軸本体の一端側が挿通されている貫通孔と、この貫通孔に嵌合固定されていると共に内周面で回転軸本体の一端側を回転摺動自在に支持するすべり軸受と、密閉容器に固定されている支持フレームと、この支持フレームに設けられていると共に回転軸本体の他端側が配されている貫通孔又は凹所と、この貫通孔又は凹所に嵌合固定されていると共に内周面で回転軸本体の他端側を回転摺動自在に支持するすべり軸受と、旋回スクロール基部に設けられていると共に偏心軸が配されている貫通孔又は凹所と、この貫通孔又は凹所に嵌合固定されていると共に内周面で偏心軸を回転摺動自在に支持するすべり軸受とを具備しており、これらすべり軸受の夫々は、金属製の裏金と該裏金の表面に一体に形成された多孔質青銅焼結層と該多孔質青銅焼結層の孔隙及び表面に充填被覆された合成樹脂組成物の被覆層とを備えた複層材を、該被覆層を内側にして円筒状に捲回したのちアプセット加工が施され、かつアニーリング処理が施された円筒軸受ブッシュからなり、該回転軸本体及び偏心軸を回転自在に支承する該円筒軸受ブッシュの内周面は、該多孔質青銅焼結層と該多孔質青銅焼結層の孔隙及び表面に充填被覆された合成樹脂組成物とが混在して露出した平滑な面となっており、該円筒軸受ブッシュの内周面の真円度は5〜10μmであり、該円筒軸受ブッシュの内周面には、該多孔質青銅焼結層の青銅が20〜60%の割合で露出していることを特徴とする。
本発明のスクロール型圧縮機によれば、各すべり軸受は金属製の裏金と該裏金の表面に一体に形成された多孔質青銅焼結層と該多孔質青銅焼結層の孔隙及び表面に充填被覆された合成樹脂組成物の被覆層とを備えた複層材を該被覆層を内側にして円筒状に捲回したのちアプセット加工が施され、かつアニーリング処理が施された円筒軸受ブッシュであり、かつ回転軸本体及び偏心軸を支承する該円筒軸受ブッシュの内周面は、該多孔質青銅焼結層と該多孔質青銅焼結層の孔隙及び表面に充填被覆された該合成樹脂組成物とが混在して露出した平滑な面となっており、円筒軸受ブッシュの内周面の真円度は5〜10μmであり、円筒軸受ブッシュの内周面には多孔質青銅焼結層の青銅が20〜60%の割合で露出していることから、スクロール型圧縮機の使用中の温度上昇に起因する円筒軸受ブッシュの内径寸法の変動は防止され、結果としてすべり軸受の内周面と回転軸の外周面との間の軸受隙間の変動は防止されるので、金属同士の接触による焼付きや異常摩耗を生じることはない。円筒軸受ブッシュの内周面の被覆層に多孔質青銅焼結層の青銅が露出する割合が20%未満では、相手材(回転軸)との摺動において低摩擦性を発揮し、焼付き荷重が高い反面、被覆層の摩耗に起因する摺動隙間の変化を生じる虞があり、また青銅が露出する割合が60%を超えると低摩擦性が損なわれるばかりでなく、焼付き荷重が極端に低下し、容易に焼付きを生じる虞がある。
本発明による上記のスクロール型圧縮機における軸支承部の製造方法は、金属製の裏金と該裏金の表面に一体に形成された多孔質青銅焼結層と該多孔質青銅焼結層の孔隙及び表面に充填被覆された合成樹脂組成物の被覆層とを具備した複層材を準備し、該複層材を該被覆層を内側にして曲げ加工により円筒状に捲回して突き合わせ端面間に隙間を有する略円筒軸受ブッシュを形成する工程と、略円筒軸受ブッシュにアプセット加工を施して突き合せ端面を互いに接触させた円筒軸受ブッシュとしたのち、該円筒軸受ブッシュを少なくとも100℃の温度に加熱した乾燥炉に保持して該円筒軸受ブッシュにアニーリング処理を施す工程と、該アプセット加工及びアニーリング処理を施した円筒軸受ブッシュを、固定スクロール基部に設けられた貫通孔と旋回スクロール基部に設けられた貫通孔又は凹所と支持フレームに固定スクロール基部に設けられた貫通孔又は凹所とに夫々圧入固定する工程と、各円筒軸受ブッシュの内周面に機械加工を施し、該内周面の被覆層に多孔質青銅焼結層の青銅を20〜60%の割合で露出させ、該内周面を被覆層の合成樹脂組成物と多孔質青銅焼結層の青銅とが混在した平滑な面とすると共に該円筒軸受ブッシュの内周面の真円度を5〜10μmにする工程とを具備している。
アプセット加工は、一つの好ましい例では、大径筒状内壁面によって規定される大径円孔とこの大径円孔に軸方向に隣接して配されていると共に該大径円孔よりも小径の小径円孔とを具備しており、該大径筒状内壁面と小径円孔を規定する小径筒状内壁面との間に大径筒状内壁面から径方向であって内方に延びて小径筒状内壁面で終端する環状面が介在してなる金型を準備する工程と、略円筒軸受ブッシュの最終の内径寸法を規定する外径をもった小径筒状外面とこの小径筒状外面に軸方向に隣接して配されていると共に該小径筒状外面よりも大径の大径筒状外面とを具備しており、小径筒状外面と大径筒状外面との間に小径筒状外面から径方向であって外方に延びて大径筒状外面で終端する環状面が介在してなる芯金を準備する工程と、芯金の小径筒状外面に略円筒軸受ブッシュを嵌着する工程と、該略円筒軸受ブッシュを嵌着した芯金の小径筒状外面の一部を金型の小径の小径円孔に、芯金の大径筒状外面を金型の大径円孔に夫々配し、該芯金に所定の圧力を掛けて小径筒状外面の残部並びに金型及び芯金の夫々の環状面によって略円筒軸受ブッシュにアプセット加工を施す工程とを具備している。
本発明のスクロール型圧縮機における軸支承部の製造方法によれば、例えば、略円筒軸受ブッシュの内周面及び外周面を芯金の小径筒状外面及び金型の大径筒状内壁面に倣って塑性流動させて、突き合わせ端面を互いに接触させた円筒軸受ブッシュとなるように、略円筒軸受ブッシュにアプセット加工を施すために、円筒軸受ブッシュを金型から取り出した後においても、内周面の真円度が高められ、寸法精度のよい円筒軸受ブッシュとなり、しかも、このアプセット加工が施された円筒軸受ブッシュを100℃以上、好ましくは100℃以上200℃以下の温度に加熱された乾燥炉に所定時間、例えば12時間ないし24時間保持するために、円筒軸受ブッシュの被覆層を形成する合成樹脂組成物に曲げ加工及びアプセット加工により残留した応力を消失させることができるので、高温状況下での使用においても円筒軸受ブッシュの内周面の寸法変動を抑制することができる。
さらに、アプセット加工及びアニーリング加工が施された円筒軸受ブッシュを固定スクロール基部に設けられた貫通孔と旋回スクロール基部に設けられた貫通孔又は凹所と支持フレームに設けられた貫通孔又は凹所とに夫々圧入固定した後、各円筒軸受ブッシュの内周面に切削又は研削等の機械加工を施して各円筒軸受ブッシュの内周面の真円度を5〜10μmにすると共に被覆層の表面に多孔質青銅焼結層の青銅を20〜60%の割合で露出せしめることにより、流体潤滑域から混合潤滑域ないし境界潤滑域に移行した際においても低摩擦性や耐摩耗性等の軸受特性を維持させることができる。上記製造方法によって製造されたスクロール型圧縮機における軸支承部を形成する円筒軸受ブッシュにおいては、該スクロール型圧縮機の使用中の温度上昇に起因するその内径寸法の変動は防止され、結果として円筒軸受ブッシュの内周面と回転軸の外周面との間の軸受隙間(クリアランス)の変動は防止されるので金属同士の接触による焼付きや異常摩耗を生じることはない。
本発明においては、大径筒状内壁面及び芯金の小径筒状外面の残部並びに金型及び芯金の夫々の環状面によって形成される環状空間の容積を当該容積が略円筒軸受ブッシュの体積の近傍になるまで減少させてアプセット加工を行うとよい。
円筒軸受ブッシュの内周面の被覆層の合成樹脂組成物としては、四ふっ化エチレン樹脂を主成分とし、これに硫酸バリウムやカーボンブラック等の無機物質、ポリイミド樹脂や低分子量四ふっ化エチレン樹脂等の樹脂、リン酸塩を夫々所定量配合した合成樹脂組成物或いはこの合成樹脂組成物に追加成分として黒鉛や二硫化モリブデン等の固体潤滑剤を所定量配合した合成樹脂組成物が使用される。
本発明によれば、流体潤滑域から混合潤滑域ないし境界潤滑域に移行した際においても低摩擦性や耐摩耗性等の軸受特性を維持させることができ、使用中の温度上昇に起因する軸受隙間の変動を防止し得、内周面の真円度が高められた状態が維持されるので、金属接触による焼付きや異常摩耗を生じることのないスクロール型圧縮機及びスクロール型圧縮機における軸支承部の製造方法を提供することができる。
次に本発明の実施の形態を、図に示す好ましい例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例に何等限定されないのである。
図1において、スクロール型圧縮機1は、両端が閉塞された筒状の密閉容器2を備えており、密閉容器2内において、その上部にはスクロール型圧縮機構部3が、下部には電動機4が配設されており、これらは出力回転軸5を介して互いに連動連結されている。電動機4はロータ4aとステータ4bとからなり、ロータ4aは出力回転軸5に固定され、ステータ4bは密閉容器2に固定されている。スクロール型圧縮機構部3は、互いに噛合する固定スクロール6と旋回スクロール7とを備えている。固定スクロール6は、端板6aとその下面に立設されたうず巻き状のラップ6bとを備えている。端板6aの中央部には吐出ポート6cが設けられていると共に吐出ポート6cを開閉する吐出弁8が設けられており、固定スクロール6は、密閉容器2内の上方位置に設けられた支持部9を介して密閉容器2に固定されている。旋回スクロール7は、端板7aとその上面に立設されたうず巻き状のラップ7bとを備えており、端板7aの下面に筒状ボス部7cが形成されている。固定スクロール6と旋回スクロール7とを相互に所定距離だけ偏心させ、かつ180°だけ角度をずらせてラップ6b及び7bを噛合させることによって、複数個の密閉空間からなる圧縮室27が形成される。
出力回転軸5は、回転軸本体5aと、回転軸本体5aの上端に出力回転軸本体5aの軸心に対して偏心した軸心を有する偏心軸5bとを一体に有している。回転軸本体5aは、その下方部位で密閉容器2内の下方位置に設けられた支持部10に固定されたハウジング11にすべり軸受12を介して回転自在に支承され、その上方部位で支持部9の筒状ボス部9aの内面9cに嵌合固定されたすべり軸受13に回転自在に支承されており、回転軸本体5aと一体の偏心軸5bは、旋回スクロール7の端板7aの下面に立設された筒状ボス部7cの内面に嵌合固定されたすべり軸受14に回転自在に支承されている。
出力回転軸5の内部には、一方の端部が回転軸本体5aの端面で開口し、他方の端部が偏心軸5bの上端で開口すると共にすべり軸受12及び13の摺動面である内周面に潤滑油を供給する導油孔15が形成されており、出力回転軸5には、導油孔15に連通すると共に導油孔15からの潤滑油が供給される通油孔15aが形成されている。出力回転軸5に形成された導油孔15の開口部には差圧式給油部16が設けられており、差圧式給油部16は密閉容器2の底部に設けられた潤滑油の潤滑油溜め17に通じている。
旋回スクロール7の端板7aの背面には、端板7aと支持部9とで囲まれた空間(背圧室)18が形成されている。背圧室18には旋回スクロール7の端板7aに穿設された細孔19を通して吸入圧力と吐出圧力の中間の圧力が導入されるようになっている。出力回転軸5の回転により旋回スクロール7の筒状ボス部7cが背圧室18内を旋回することにより旋回スクロール7は旋回運動を行い、旋回スクロール7のうず巻き状のラップ7bと固定スクロール6のうず巻き状のラップ6bの互いの接点の移動により、吸入管20より吸入された冷媒ガスはうず巻き状の外側室から内側にかけて圧縮され、固定スクロール6の中央部に設けた吐出ポート6cより密閉容器2内に吐出され、固定スクロール6の外周部に設けた通路21、支持部9の外周通路22を通り吐出管23を介して機外に送出される。
固定スクロール6と旋回スクロール7との両ラップ6b及び7b、端板6a及び7aにより形成される圧縮室27の容積は、外側から内側に向うにつれて減少している結果、圧縮室27の空気は外側から内側に移動と共にその圧力が上昇する。而して、旋回スクロール7と支持部9とで形成される背圧室18は細孔19により吸入圧力と吐出圧力との中間の圧力に保持されている。そこで、この中間圧力と圧縮部内圧力との差圧により、旋回スクロール7を固定スクロール6に押し付け、ラップ6b及び7bの先端と端板6a及び7aとの隙間のシール部の密着を保持する。
密閉容器2内の底部の潤滑油溜め17に溜められた潤滑油は、密閉容器2内の高圧圧力と背圧室18の中間圧力との差圧により出力回転軸5の導油孔15を上昇し、導油孔15の上端開口から偏心軸5bを回転自在に支承するすべり軸受14に供給されると共に導油孔15に連通する通油孔15aを介して出力回転軸5の下方部位を回転自在に支承するすべり軸受12及び出力回転軸5の上方部位を回転自在に支承するすべり軸受13に供給される。
このようにスクロール型圧縮機1は、密閉容器2内に、出力回転軸5を有する電動機4と、電動機4の出力回転軸5の回転によって駆動されるスクロール型圧縮機構部3と、電動機4の出力回転軸5を回転自在に支持する軸支承部25と、軸支承部25に供給される潤滑油を溜める潤滑油溜め17とを備えており、スクロール型圧縮機構部3は、密閉容器2に固定されていると共にうず巻き状のラップ6bを有する固定スクロール6と、密閉容器2に対して回転自在に配されていると共に固定スクロール6のラップ6bに対して電動機4の出力回転軸5の回転により公転するうず巻き状のラップ7bを有する旋回スクロール7と、固定スクロール6及び旋回スクロール7のラップ6b及び7b同士を互いに噛合させて形成された圧縮室27とを備えており、駆動により密閉容器2外から吸入した冷媒ガスを圧縮室27で圧縮して密閉容器2内に吐出すると共に密閉容器2内に吐出した冷媒ガスを密閉容器2外に吐出するようになっており、固定スクロール6は、端板6aと支持部9とからなっており、端板6aにおいてうず巻き状のラップ6bが一体的に設けられていると共に密閉容器2に固定されている固定スクロール基部6dを有しており、旋回スクロール7は、端板7aと筒状ボス部7cとからなっており、端板7aにおいてうず巻き状のラップ7bが一体的に設けられていると共に密閉容器2に対して回転自在に配されている旋回スクロール基部7eを有しており、電動機4の出力回転軸5は、電動機4のロータ4aに固定された回転軸本体5aと、回転軸本体5aの一端に連結されていると共に当該回転軸本体5aの軸心に対して偏心している偏心軸5bとを有しており、軸支承部25は、固定スクロール基部6dに設けられていると共に回転軸本体5aの一端側が挿通されている貫通孔としての筒状ボス部9aの内面9cで規定される円孔と、筒状ボス部9aの内面9cで規定される円孔に嵌合固定されていると共に内周面で回転軸本体5aの一端側を回転摺動自在に支持するすべり軸受13と、密閉容器2に固定されていると共に支持部10及びハウジング11からなる支持フレーム26と、支持フレーム26のハウジング11に設けられていると共に回転軸本体5aの他端側が配されている貫通孔又は凹所としての円孔11aと、円孔11aに嵌合固定されていると共に内周面で回転軸本体5aの他端側を回転摺動自在に支持するすべり軸受12と、旋回スクロール基部7eに設けられていると共に偏心軸5bが配されている貫通孔又は凹所としての筒状ボス部7cの内面7dで規定される円形凹所と、筒状ボス部7cの内面7dで規定される円孔に嵌合固定されていると共に内周面で偏心軸5bを回転摺動自在に支持するすべり軸受14とを具備している。
すべり軸受12、13及び14は、図2及び図3に示すように、金属製の裏金31と該裏金31の表面に一体に形成された多孔質青銅焼結層32と多孔質青銅焼結層32の孔隙33及び表面34に充填被覆された合成樹脂組成物の被覆層35とを備えた複層材30を被覆層35を内側にして曲げ加工により円筒状に捲回して略円筒軸受ブッシュ38にしたのちに、略円筒軸受ブッシュ38にアプセット加工を施し、かつアニーリング処理を施した円筒軸受ブッシュ38a(図5参照)からなり、円筒軸受ブッシュ38aを夫々支持部10に固定されたハウジング11の円孔11aを規定する内面11c、支持部9の筒状ボス部9aの内面9c及び旋回スクロール7の端板7a下面の筒状ボス部7cの内面7dに嵌合固定したのち、円筒軸受ブッシュ38aの内周面を、多孔質青銅焼結層32と多孔質青銅焼結層32の孔隙33に充填された合成樹脂組成物とが混在して露出していると共に多孔質青銅焼結層の青銅が20〜60%の割合で露出した平滑な面とすると共に5〜10μmの真円度となるように、当該円筒軸受ブッシュ38aの内周面に切削或いは研削等の機械加工を施す。
次に、すべり軸受12、13及び14としての円筒軸受ブッシュ及びその製造方法ならびにスクロール型圧縮機における軸支承部の製造方法について説明する。
金属製の裏金31としては、厚さが0.5〜2.5mmの冷間圧延鋼板(SPCC)、無酸素銅(JIS−H−2123で規定されている無酸素形銅の1種又は2種)或いはタフピッチ銅(JIS−H−2123で規定されているタフピッチ形銅)等の純銅板が夫々適宜選択されて使用される。金属製の裏金31は、コイル状に巻いてフープ材として提供される連続条片を使用することが好ましいが、必ずしも連続条片に限られず、適当な長さに切断した条片を使用することもできる。これらの条片、とくに鋼板を使用する場合は、必要に応じて銅メッキ或いは錫メッキ等を施して耐蝕性を向上させたものであってもよい。
多孔質青銅焼結層32を形成する青銅粉末の粒子形態は、不規則形状のものを使用し得る。その粒度は、80メッシュの篩を通過するが、350メッシュの篩を通過しない程度が好ましい。多孔質青銅焼結層32は、青銅粉末同士及び裏金31の条片と強固に結合されていて、一定の厚さと必要とする多孔度を備えていなければならない。多孔質青銅焼結層32の厚さは、概ね0.15〜0.40mm、就中0.2〜0.3mmであることが好ましく、多孔度は、概ね10容積%以上、就中15〜40容積%であることが推奨される。
多孔質青銅焼結層32の孔隙33及び表面34に充填被覆されて被覆層35を形成する合成樹脂組成物は、硫酸バリウム、リン酸塩、ポリイミド樹脂及び低分子量四ふっ化エチレン樹脂からなる充填材と残部が四ふっ化エチレン樹脂とからなるものが好ましい。
次に、上述した構成材料からなる円筒軸受ブッシュの製造方法について、工程順に説明する。
(a)工程 前述した四ふっ化エチレン樹脂と各充填材とを混合したのち、得られた混合物に石油系溶剤を加えて撹拌混合する方法により湿潤性が付与された合成樹脂組成物を得る。
(b)工程 金属製の裏金31の表面に一体に形成された多孔質青銅焼結層32上に湿潤性が付与された合成樹脂組成物を散布供給し、ローラで圧延して多孔質青銅焼結層32の孔隙33に合成樹脂組成物を充填すると共に該多孔質青銅焼結層32の表面34に一様な厚さの合成樹脂組成物からなる被覆層35を形成する。
(c)工程 上記(b)工程で処理された多孔質青銅焼結層32及び被覆層35付裏金31を乾燥炉内で数分間保持して石油系溶剤を除去し、その後、乾燥した合成樹脂組成物の被覆層35をローラによって所定の厚さになるように加圧ローラ処理する。
(d)工程 上記(c)工程で処理された多孔質青銅焼結層32及び被覆層35付裏金31を加熱炉に導入して焼成を行なった後、加熱炉から取出し、再度ローラ処理を施して寸法のバラツキを調整する。
(e)工程 上記(d)工程で寸法調整された多孔質青銅焼結層32及び被覆層35付裏金31を冷却(空冷ないし自然冷却)し、その後、必要に応じて多孔質青銅焼結層32及び被覆層35付裏金31のうねり等を矯正するため、矯正ローラ処理を行い、所望の複層材30(図2参照)とする。
(f)工程 上記(a)〜(e)工程を経て得られた複層材30において、多孔質青銅焼結層32の厚さは0.1〜0.4mm、合成樹脂組成物から形成された被覆層35の厚さは、0.1〜0.5mmとされる(図2参照)。このようにして得られた複層材30を、被覆層35を内側にして曲げ加工により円筒状に捲回して一対の突き合わせ端面37間に隙間δを有する略円筒軸受ブッシュ38を形成する(図3参照)。
(g)工程 上記(f)工程で作製した略円筒軸受ブッシュ38にアプセット加工を施す。このアプセット加工は、つぎのようにして行われる。
図4に示すように、大径筒状内壁面41によって規定される大径円孔42を具備した金型本体43と、大径円孔42に軸方向に隣接して配されていると共に大径円孔42の径44よりも小径であって、最終の円筒軸受ブッシュ38aの内径d(図5参照)と実質的に等しい径45をもった小径円孔46とを具備した金型台座47とからなり、金型本体43の大径筒状内壁面41と小径円孔46を規定する小径筒状内壁面48との間には、大径筒状内壁面41から径方向であって内方に延びて小径筒状内壁面48で終端する環状面49が介在している金型40を準備する。
図4に示すように、最終の円筒軸受ブッシュの内径dを規定する径51をもった小径筒状外面52と、小径筒状外面52に軸方向の上方に隣接して配されていると共に小径筒状外面52の径よりも大きく、大径円孔42の径44に実質的に等しい径53をもった大径筒状外面54とを具備しており、小径筒状外面52と大径筒状外面54との間には、小径筒状外面52から径方向であって外方に延びて大径筒状外面54で終端する環状面55が介在してなる芯金50を準備する。
斯かる準備した金型40と芯金50とにおいて、芯金50の小径筒状外面52に略円筒軸受ブッシュ38を嵌着し、次に、芯金50を金型40に対して位置決めし、更に、芯金50にA方向の荷重を加えて、芯金50を金型の金型台座47に向かって移動させる。
更に、芯金50の小径筒状外面52の一部を金型40の小径円孔46に、芯金50の大径筒状外面54を金型40の大径円孔42に夫々配して、小径筒状外面52の残部及び金型40並びに芯金50の夫々の環状面49及び55によって略円筒軸受ブッシュ38をアプセット加工する(図5参照)。
このアプセット加工においては、大径筒状内壁面41及び小径筒状外面52の残部並びに環状面49及び55によって形成される環状空間Sを、その容積が最終の円筒軸受ブッシュ38aの体積の近傍になるまで減少させて行うのであるが、環状空間Sの容積減少により、略円筒軸受ブッシュ38に軸方向の圧縮力を加えて、略円筒軸受ブッシュ38の軸方向の長さを減少させる一方、この軸方向の長さの減少に基づいて略円筒軸受ブッシュ38を径方向に塑性変形させて、大径筒状内壁面41に圧接させ、突き合わせ端面37が互いに接触した円筒軸受ブッシュ38aとする。このアプセット加工が施された円筒軸受ブッシュ38aの内周面の真円度は、おおよそ20μmである。
(h)工程 上記(g)工程において、アプセット加工が施された円筒軸受ブッシュ38aを、少なくとも100℃以上の温度、好ましくは100℃以上200℃以下の温度に加熱した乾燥炉に12時間ないし24時間保持し、該円筒軸受ブッシュ38aにアニーリング処理を施す。円筒軸受ブッシュ38aにアニーリング処理を施すことにより、円筒軸受ブッシュ38aの被覆層35を形成する合成樹脂組成物に曲げ加工及びアプセット加工を施したさいに残留した応力を開放することができるので、高温状況下での使用においても円筒軸受ブッシュ38aの内周面の寸法変動を抑制することができる。
以上(a)〜(h)工程を経て円筒軸受ブッシュが製造される。
次に、上記(a)工程〜(h)工程を経て作製された円筒軸受ブッシュ38aを使用したスクロール型圧縮機1における軸支承部25の製造方法について説明する。
上記(a)〜(h)工程を経て作製された円筒軸受ブッシュ38aを、筒状ボス部9aの内面9cで規定される貫通孔と、筒状ボス部7cの内面7dで規定される円形凹所と、ハウジング11の円孔11aとに夫々圧入固定する。
ついで、筒状ボス部9aの内面9cで規定される貫通孔と、筒状ボス部7cの内面7dで規定される円形凹所と、ハウジング11の円孔11aとに夫々圧入固定された円筒軸受ブッシュ38aの内周面に切削或いは研削等の機械加工を施す。この機械加工によって円筒軸受ブッシュ38aの内周面を、当該内周面に対して多孔質青銅焼結層32の青銅を20〜60%の割合で露出させ、当該内周面に被覆層35の合成樹脂組成物と多孔質青銅焼結層32の青銅とが混在した平滑な面にする(図6参照)。
筒状ボス部9aの内面9cで規定される貫通孔と、筒状ボス部7cの内面7dで規定される円形凹所と、ハウジング11の円孔11aとに夫々圧入固定された状態で内周面に機械加工が施された円筒軸受ブッシュ38aはその内周面の寸法精度が精度よく形成されており、内周面の真円度が5〜10μmとなるように形成される。このようにして、スクロール型圧縮機1における軸支承部25は製造される。
つぎに、上述した製造方法によって得られた円筒軸受ブッシュについて、スクロール型圧縮機における軸支承部における円筒軸受ブッシュの内周面の真円度及び円筒軸受ブッシュの内径寸法の変化量について試験した結果及び摺動特性について試験した結果を説明する。
裏金として厚さ1.5mmの冷間圧延鋼板を準備し、該冷間圧延鋼板の表面に粒度が80メッシュを通過するが350メッシュを通過しない青銅粉末を散布し、これを水素ガス雰囲気に調整された焼結炉において焼結した後、ロール成形して裏金の表面に多孔質青銅焼結層を一体に形成した複層板を作製した。
PTFEを主成分とし、これに硫酸バリウムとリン酸塩とポリイミド樹脂と低分子量PTFEを夫々所定量配合したのち、ヘンシェルミキサー内に供給して混合撹拌し、得られた混合物(合成樹脂組成物)に対し石油系溶剤として脂肪族溶剤とナフテン系溶剤との混合溶剤を配合し、PTFEの室温転移点以下の温度(15℃)で混合して湿潤性を有する合成樹脂組成物を得た。
複層板の多孔質青銅焼結層の表面に前記湿潤性が付与された合成樹脂組成物を散布供給し、ローラで圧延して該多孔質青銅焼結層の孔隙及び表面に樹脂組成物を充填被覆した複層素材を作製したのち、該複層素材を乾燥炉内に保持して溶剤を除去し、乾燥した合成樹脂組成物をローラによって圧延処理を施し、該多孔質青銅焼結層上に該合成樹脂組成物の被覆層を形成した。
合成樹脂組成物の被覆層を具備した複層素材を加熱炉で焼成した後、加熱炉から取り出し、再度、ローラで加圧して寸法調整及びうねり等の矯正を行って複層材を作製したのち、該複層材を、被覆層を内側にして曲げ加工により円筒状に捲回し、突き合わせ端面間に隙間を有する略円筒軸受ブッシュを夫々作製した。
合成樹脂組成物の被覆層を有する略円筒軸受ブッシュ(I)は、内径30.20mm、外径34.10mm、長さ22.3mm、突き合わせ端面間の隙間0.7mmであり、略円筒軸受ブッシュ(II)は、内径30.18mm、外径34.12mm、長さ22.2mm、突き合わせ端面間の隙間0.8mmであり、略円筒軸受ブッシュ(III)は、内径30.21mm、外径34.16mm、長さ22.4mmであった。これらの略円筒軸受ブッシュ(I)及び(II)について、アプセット加工方法における金型の大径円孔の径を34mm、芯金の小径筒状外面の径を30mmとし、芯金の小径筒状外面に各略円筒軸受ブッシュを嵌着し、芯金を金型に対して位置決めし、芯金に荷重1KN/mmを加え各略円筒軸受ブッシュにアプセット加工を施したのち、金型から取り出し、突き合わせ端面間の隙間が縮小した円筒軸受ブッシュ(I)及び(II)を作製した。略円筒軸受ブッシュ(III)については、アプセッ加工を施さなかった。
金型から取り出した状態での円筒軸受ブッシュ(I)及び(II)について、円筒軸受ブッシュの一方の端部から5mmの位置の内周面の真円度を測定したところ、円筒軸受ブッシュ(I)の真円度は20μmであり、円筒軸受ブッシュ(II)の真円度は22μmであった。アプセット加工を施さない状態での円筒軸受ブッシュ(III)の真円度は40μmであった。
ついで、円筒軸受ブッシュ(I)及び(II)を、200℃の温度に加熱した乾燥炉内に12時間保持し、該円筒軸受ブッシュ(I)及び(II)に夫々アニーリング処理を施した。
アニーリング処理が施された円筒軸受ブッシュ(I)及び(II)、アニーリング処理を施さなかった円筒軸受ブッシュ(III)を夫々試験治具のハウジングの円孔に圧入したのち、該円筒軸受ブッシュ(I)、(II)及び(III)の内周面に研削加工を施し、該内周面を多孔質青銅焼結層と該多孔質青銅焼結層の孔隙に充填された合成樹脂組成物とが混在して露出した平滑な面に形成した。円筒軸受ブッシュ(I)の内周面に露出した青銅の露出割合は34.3%で、円筒軸受ブッシュ(I)の一方の端部から5mmの位置の内周面の真円度は7μmであり、円筒軸受ブッシュ(II)の内周面に露出した青銅の露出割合は39.3%で、円筒軸受ブッシュ(II)の一方の端部から5mmの位置の内周面の真円度は8μmであり、円筒軸受ブッシュ(III)の内周面に露出した青銅の露出割合は36.5%で、円筒軸受ブッシュ(III)の一方の端部から5mmの位置の内周面の真円度は20μmであった。
円筒軸受ブッシュ(I)、(II)及び(III)を夫々保持したハウジングを、雰囲気温度を200℃に調整した乾燥炉内に(1)4時間、(2)8時間、(3)12時間、(4)16時間、(5)20時間、(6)24時間保持し、各々の時間で円筒軸受ブッシュ(I)、(II)及び(III)の内径寸法を測定した。なお、内径寸法の測定は、ハウジングに圧入保持した円筒軸受ブッシュ(I)、(II)及び(III)が夫々常温(25℃)の温度になるまで空冷したのちに行った。
図7は上記の試験結果を示すグラフである。図中、記号◆は円筒軸受ブッシュ(I)の試験結果を示し、■は円筒軸受ブッシュ(II)の試験結果を示し、▲はアニーリング処理を施さなかった円筒軸受ブッシュ(III)の試験結果を示す。試験結果からわかるように、アニーリング処理を施さない円筒軸受ブッシュ(III)の内径収縮量は10μmであるのに対し、アニーリング処理を施した円筒軸受ブッシュ(I)の内径収縮量は2μm、円筒軸受ブッシュ(II)の内径収縮量は3μmと極めて少ない。この試験結果から、高温条件下での使用においても、アニーリング処理を施した円筒軸受ブッシュ(I)及び(II)の内径寸法はほとんど変化することはないので、円筒軸受ブッシュ(I)及び(II)の内周面と回転軸の外周面との間の摺動隙間を小さく設定しても長期間にわたってほぼ一定に維持される結果、金属同士の接触による焼付きや異常摩耗を生じることがない。これに対し、アニーリング処理を施さない円筒軸受ブッシュ(III)においては、回転軸の外周面との間の摺動隙間を大きく設定する必要があり、内径寸法の変化に起因する金属同士の接触による焼付きや異常摩耗を生じる虞がある。
以上のように、略円筒軸受ブッシュにアプセット加工及びアニーリング処理を施して形成した円筒軸受ブッシュをハウジングの円孔に圧入固定した後、該円筒軸受ブッシュの内周面に研削加工を施すことにより、円筒軸受ブッシュはその内周面に寸法変化を来たすことなく内周面の真円度が極めて高い状態で維持されるので、円筒軸受ブッシュの内周面と回転軸との間の摺動隙間を小さく設定しても金属同士の接触による焼付きや異常摩耗を生じることがない。以上の試験結果から、略円筒軸受ブッシュにアプセット加工及びアニーリング処理を施して形成した円筒軸受ブッシュを、スクロール型圧縮機1における支持部9の筒状ボス部9aの内面9cと、旋回スクロール7の端板7aの下面に立設された筒状ボス部7cの内面7dと、支持部10に固定されたハウジング11の内面11cとに夫々圧入固定しその内周面に機械加工を施すことにより、円筒軸受ブッシュはその内周面に寸法変化を来たすことなく内周面の真円度が極めて高い状態で維持されるので、円筒軸受ブッシュの内周面と回転軸との間の摺動隙間を小さく設定しても金属同士の接触による焼付きや異常摩耗を生じることがないスクロール型圧縮機とすることができる。
本発明によれば、流体潤滑域から混合潤滑域ないし境界潤滑域に移行した際においても低摩擦性や耐摩耗性等の軸受特性を維持させることができ、寸法精度よく形成した円筒軸受ブッシュの使用中の温度上昇に起因する軸受隙間の変動を防止し得、内周面の真円度が高められた状態が維持されるので、金属接触による焼付きや異常摩耗を生じることのないスクロール型圧縮機及びスクロール型圧縮機における軸支承部の製造方法を提供することができる。
本発明のスクロール型圧縮機の断面図である。 本発明における複層材の断面図である。 本発明における略円筒軸受ブッシュの斜視図である。 本発明における金型と芯金とからなるアプセット加工装置の断面図である。 本発明におけるアプセット加工の最終工程の説明図である。 本発明における円筒軸受ブッシュの内周面の機械加工後の断面図である。 本発明における円筒軸受ブッシュの内径寸法の変化量を示すグラフである。
符号の説明
1 スクロール型圧縮機
2 密閉容器
3 スクロール型圧縮機構部
4 電動機
5 出力回転軸
5b 偏心軸
6 固定スクロール
6b ラップ
7 旋回スクロール
7b ラップ
12、13、14 すべり軸受
31 裏金
32 多孔質青銅焼結層
35 被覆層
40 金型
50 芯金

Claims (6)

  1. 密閉容器内に、出力回転軸を有する電動機と、この電動機の出力回転軸の回転によって駆動されるスクロール型圧縮機構部と、電動機の出力回転軸を回転自在に支持する軸支承部と、この軸支承部に供給される潤滑油を溜める潤滑油溜めとを備えており、スクロール型圧縮機構部は、密閉容器に固定されていると共にうず巻き状のラップを有する固定スクロールと、密閉容器に対して回転自在に配されていると共に固定スクロールのラップに対して該電動機の出力回転軸の回転により公転するうず巻き状のラップを有する旋回スクロールと、固定スクロール及び旋回スクロールのラップ同士を互いに噛合させて形成された圧縮室とを備えており、駆動により密閉容器外から吸入した冷媒ガスを圧縮室で圧縮して密閉容器内に吐出すると共に密閉容器内に吐出した冷媒ガスを密閉容器外に吐出するようになっており、固定スクロールは、そのうず巻き状のラップが一体的に設けられていると共に密閉容器に固定されている固定スクロール基部を有しており、旋回スクロールは、そのうず巻き状のラップが一体的に設けられていると共に密閉容器に対して回転自在に配されている旋回スクロール基部を有しており、電動機の出力回転軸は、電動機のロータに固定された回転軸本体と、回転軸本体の一端に連結されていると共に当該回転軸本体の軸心に対して偏心している偏心軸とを有しており、軸支承部は、固定スクロール基部に設けられていると共に回転軸本体の一端側が挿通されている貫通孔と、この貫通孔に嵌合固定されていると共に内周面で回転軸本体の一端側を回転摺動自在に支持するすべり軸受と、密閉容器に固定されている支持フレームと、この支持フレームに設けられていると共に回転軸本体の他端側が配されている貫通孔又は凹所と、この貫通孔又は凹所に嵌合固定されていると共に内周面で回転軸本体の他端側を回転摺動自在に支持するすべり軸受と、旋回スクロール基部に設けられていると共に偏心軸が配されている貫通孔又は凹所と、この貫通孔又は凹所に嵌合固定されていると共に内周面で偏心軸を回転摺動自在に支持するすべり軸受とを具備しており、これらすべり軸受の夫々は、金属製の裏金と該裏金の表面に一体に形成された多孔質青銅焼結層と該多孔質青銅焼結層の孔隙及び表面に充填被覆された合成樹脂組成物の被覆層とを備えた複層材を、該被覆層を内側にして円筒状に捲回したのちアプセット加工が施され、かつアニーリング処理が施された円筒軸受ブッシュからなり、該回転軸本体及び偏心軸を回転自在に支承する該円筒軸受ブッシュの内周面は、該多孔質青銅焼結層と該多孔質青銅焼結層の孔隙及び表面に充填被覆された合成樹脂組成物とが混在して露出した平滑な面となっており、該円筒軸受ブッシュの内周面の真円度は5〜10μmであり、該円筒軸受ブッシュの内周面には、該多孔質青銅焼結層の青銅が20〜60%の割合で露出していることを特徴とするスクロール型圧縮機。
  2. 請求項1に記載のスクロール型圧縮機における軸支承部の製造方法であって、
    金属製の裏金と該裏金の表面に一体に形成された多孔質青銅焼結層と該多孔質青銅焼結層の孔隙及び表面に充填被覆された合成樹脂組成物の被覆層とを具備した複層材を準備し、該複層材を該被覆層を内側にして曲げ加工により円筒状に捲回して突き合わせ端面間に隙間を有する略円筒軸受ブッシュを形成する工程と、
    略円筒軸受ブッシュにアプセット加工を施して突き合せ端面を互いに接触させた円筒軸受ブッシュとしたのち、該円筒軸受ブッシュを少なくとも100℃の温度に加熱した乾燥炉に保持して該円筒軸受ブッシュにアニーリング処理を施す工程と、
    該アプセット加工及びアニーリング処理を施した円筒軸受ブッシュを、固定スクロール基部に設けられた貫通孔と旋回スクロール基部に設けられた貫通孔又は凹所と支持フレームに設けられた貫通孔又は凹所とに夫々圧入固定する工程と、
    各円筒軸受ブッシュの内周面に機械加工を施し、該内周面の被覆層に多孔質青銅焼結層の青銅を20〜60%の割合で露出させ、該内周面を被覆層の合成樹脂組成物と多孔質青銅焼結層の青銅とが混在した平滑な面とすると共に該円筒軸受ブッシュの内周面の真円度を5〜10μmにする工程と、
    を具備したスクロール型圧縮機における軸支承部の製造方法。
  3. アプセット加工は、大径筒状内壁面によって規定される大径円孔とこの大径円孔に軸方向に隣接して配されていると共に該大径円孔よりも小径の小径円孔とを具備しており、該大径筒状内壁面と小径円孔を規定する小径筒状内壁面との間に大径筒状内壁面から径方向であって内方に延びて小径筒状内壁面で終端する環状面が介在してなる金型を準備する工程と、略円筒軸受ブッシュの最終の内径寸法を規定する外径をもった小径筒状外面とこの小径筒状外面に軸方向に隣接して配されていると共に該小径筒状外面よりも大径の大径筒状外面とを具備しており、小径筒状外面と大径筒状外面との間に小径筒状外面から径方向であって外方に延びて大径筒状外面で終端する環状面が介在してなる芯金を準備する工程と、芯金の小径筒状外面に略円筒軸受ブッシュを嵌着する工程と、該略円筒軸受ブッシュを嵌着した芯金の小径筒状外面の一部を金型の小径の小径円孔に、芯金の大径筒状外面を金型の大径円孔に夫々配し、該芯金に所定の圧力を掛けて小径筒状外面の残部並びに金型及び芯金の夫々の環状面によって略円筒軸受ブッシュにアプセット加工を施す工程とを具備する請求項2に記載のスクロール型圧縮機における軸支承部の製造方法。
  4. 大径筒状内壁面及び芯金の小径筒状外面の残部並びに金型及び芯金の夫々の環状面によって形成される環状空間の容積を当該容積が略円筒軸受ブッシュの体積の近傍になるまで減少させてアプセット加工を行う請求項3に記載のスクロール型圧縮機における軸支承部の製造方法。
  5. アニーリング処理を100℃以上200℃以下の温度で行う請求項2から4のいずれか一項に記載のスクロール型圧縮機における軸支承部の製造方法。
  6. 機械加工を切削加工及び研削加工のうちのいずれかで行う請求項2から5のいずれか一項に記載のスクロール型圧縮機における軸支承部の製造方法。
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