JP2007204742A - ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂組成物およびそれからなるポリエステル成形体並びにポリエステル成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形時のアルデヒド類や環状オリゴマーの生成および成形体の透明性の悪化などの問題点を解決するために使用することがでるポリエステル樹脂組成物並びにその用途およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 ナフタレンジカルボン酸20モル%〜100モル%と、その他のカルボン酸80〜0モル%からなる酸成分とグリコール成分とから構成され、リン化合物をリン原子として100〜10000ppmの量含有するポリエステル樹脂であって、Zn原子、Fe原子、Ni原子、Cr原子からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属原子を下記の式(A)〜(D)を満足する量含有することを特徴とするポリエステル樹脂。 Cr ≦ 10ppm (A) Fe ≦ 30ppm (B) Ni ≦ 5ppm (C) Zn ≦ 5ppm (D)
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステルの製造時に用いられる重縮合触媒の作用を失活させ、成形時のアセトアルデヒドなどのアルデヒド類や環状オリゴマーの生成を抑制するために使用することができるポリエステル樹脂およびそれからなるポリエステル樹脂組成物並びにその用途に関するものである。
主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであるポリエステル(以下、PET、あるいはPET樹脂と略称することがある)は、その優れた透明性、機械的強度、耐熱性、ガスバリヤー性等の特性により、炭酸飲料、ジュース、ミネラルウォータ等の容器の素材として採用されており、その普及はめざましく連続重合方式による大量生産が工場で行われている。これらの用途において、ポリエステル製ボトルに高温で殺菌した飲料を熱充填したり、また飲料を充填後高温で殺菌したりするが、通常のポリエステル製ボトルでは、このような熱充填処理時等に収縮、変形が起こり問題となる。ポリエステル製ボトルの耐熱性を向上させる方法として、ボトル口栓部を熱処理して結晶化度を高めたり、また延伸したボトルを熱固定させたりする方法が提案されている。特に口栓部の結晶化が不十分であったり、また結晶化度のばらつきが大きい場合にはキャップとの密封性が悪くなり、内容物の漏れが生ずることがある。
具体的には、果汁飲料、ウーロン茶およびミネラルウオータなどのように熱充填を必要とする飲料の場合には、プリフォームまたは成形されたボトルの口栓部を熱処理して結晶化する方法(例えば、特許文献1、2参照)が一般的である。このような方法、すなわち口栓部、肩部を熱処理して耐熱性を向上させる方法は、結晶化処理をする時間・温度が生産性に大きく影響し、低温でかつ短時間で処理できる、結晶化速度が速いPETであることが好ましい。一方、胴部についてはボトル内容物の色調を悪化させないように、成形時の熱処理を施しても透明であることが要求されており、口栓部と胴部では相反する特性が必要である。
また、ボトル胴部の耐熱性を向上させるため、例えば、延伸ブロー金型の温度を高温にして熱処理する方法が採られる(例えば、特許文献3参照)。しかし、このような方法によって同一金型を用いて多数のボトル成形を続けると、長時間の運転に伴って得られるボトルが白化して透明性が低下し、商品価値のないボトルしか得られなくなる。これは金型表面にPETに起因する付着物が付き、その結果金型汚れとなり、この金型汚れがボトルの表面に転写するためであることが分かった。特に、近年では、ボトルの小型化とともに成形速度が高速化されてきており、生産性の面から射出成形時の溶融時間の短縮、口栓部の結晶化のための加熱時間の短縮あるいは金型汚れはより大きな問題となってきており、従来のPETでは満足できる状態ではなく、解決が望まれている。
また、ポリエステルは、副生物であるアセトアルデヒド(以下、AAと略称することがある)を含有する。ポリエステル中のアセトアルデヒド含有量が多い場合には、これから成形された容器やその他包装等の材質中のアセトアルデヒド含有量も多くなり、前記容器等に充填された飲料等の風味や臭いに影響を及ぼす。近年、ポリエチレンテレフタレ−トを中心とするポリエステル製容器は、ミネラルウオータやウーロン茶等の低フレーバー飲料用の容器として使用されるようになってきた。このような飲料の場合は、一般にこれらの飲料を熱充填したりまたは充填後加熱して殺菌されるが、飲料容器のアセトアルデヒド含有量の低減がますます重要になって来ている。また、飲料用金属缶については、工程簡略化、衛生性、公害防止等の目的から、その内面にエチレンテレフタレ−トを主たる繰り返し単位とするポリエステルフィルムを被覆した金属板を利用して製缶する方法が採られるようになってきた。この場合にも、内容物を充填後高温で加熱殺菌されるが、この際、十分にアセトアルデヒド含有量の少ないフィルムを使用することが内容物の風味や臭いの改善に必須要件であることが分かってきた。
このような理由から、従来よりポリエステル中のアセトアルデヒド含有量を低減させるために種々の方策が採られてきた。これらの方策として、例えば、溶融重合によって得られたポリエステルプレポリマーを減圧下または不活性気体の流通下で固相重合に付することにより、オリゴマーおよびアルデヒドを低下させる方法(例えば、特許文献4、5参照)、ポリエステルプレポリマーを水分率が2000ppm以上となるように調湿した後、結晶化および固相重合する方法(例えば、特許文献6参照)、ポリエステル粒子を50〜200℃の熱水で処理した後、減圧下または不活性気体流通下、加熱処理する方法(例えば、特許文献7参照)、固相重合の前後に水または有機溶媒で抽出、洗浄処理する方法(例えば、特許文献8参照)などが提案されている。しかしながら、これらの方法で得られるポリエステルを用いた成形体であっても、オリゴマーおよびアセトアルデヒドを問題ない水準に低減できているとは言えず、問題は未解決であった。
このような問題点をさらに解決する方法として、ポリエチレンテレフタレ−トを水と接触処理することによって触媒を失活さす方法(例えば、特許文献9、10、11,12参照)および水処理することによって触媒を失活させたPET(例えば、特許文献13,14参照)が開示されている。しかしながら、このような水との接触処理による触媒失活方法は、重縮合触媒としてゲルマニウム化合物を用いて製造したポリエステルにしか効果が無く、アンチモン化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物などを触媒として用いて製造したポリエステル中のこれらの触媒の失活にはほとんど効果が無いために成形時のAA含有量の増加を抑制さすことはできず、成形体の内容物の風味や臭いなどの特性がほとんど改良されないこと、さらには、前記処理のための装置と乾燥装置が必要となるために設備投資費用と処理費用が余分にかかるために原価上昇を招き採算性が悪くなるという問題がある。
また、リン化合物を含有する熱可塑性樹脂をPETに混練りすることによって重縮合触媒を失活させる方法(例えば、特許文献15参照)が開示されている。しかし、リン化合物含有熱可塑性樹脂を汎用のSUS304製重合缶を使用して製造する場合には、重合缶の金属原子がリン化合物含有熱可塑性樹脂に溶出すると言う問題があり、前記溶出金属原子はPETの結晶核材となり、この樹脂をPETに混合使用して得た成形体の透明性を低下させるだけではなく、香味性にも影響を与えることがあることが判かってきた。このように、透明性および香味保持性に優れた成形体を常時得るのが難しいという問題があり解決が望まれている。
また、リン化合物を含有する熱可塑性樹脂をPETに混練りすることによって重縮合触媒を失活させる方法(例えば、特許文献15参照)や含水してアセトアルデヒドを低減させる方法(例えば、特許文献16、17参照)が開示されている。しかし、成形体の透明性を低下させるだけではなく、オリゴマーおよびアセトアルデヒドを問題ない水準に低減できているとは言えず、香味保持性にも影響を与えることがあることが判かってきた。このように、透明性および香味保持性に優れた成形体を常時得るのが難しいという問題があり解決が望まれている。
また、ジュースなどの飲料、油、アルコール飲料などを充填する容器としてPETが用いられる場合、紫外線 遮断性が不十分なために容器内容物の品質劣化を起こしたり、小型ボトル ではガスバリヤー性が不足するために同様に内容物の品質劣化が生じ問題が発生しており解決が望まれている。
特開昭55−79237号公報 特開昭58−110221号公報 特公昭59−6216号公報 特開昭55−89330号公報 特開昭55−89331号公報 特開昭59−219328号公報 特開昭56−55426号公報 特開昭55−13715号公報 特開平3−47830号公報 特開平3−174441号公報 特開平6−234834号公報 特開平8−231689号公報 特開平3−72524号公報 特開平4−211424号公報 特開平10−251393号公報 特開平7−205257号公報 特開2004−32358号公報
本発明は、ポリエステルの製造時に用いられる重縮合触媒の作用を失活させることにより、上記従来の技術が有する、成形時のアセトアルデヒドなどのアルデヒド類や環状オリゴマーの生成および成形体の透明性の悪化などの問題点を解決するために使用することができ、優れた紫外線遮断性を持ち、かつ重合釜より溶出する金属原子の含有量を減少させた、リン含有ポリエステル樹脂を提供することを目的とする。また、これを用いた、透明性、紫外線遮断性、香味保持性に優れ、連続成形時に金型汚れによる透明性の悪化などの問題がなく、また耐熱寸法安定性にも優れた中空成形体などを効率よく生産することができる、前記リン含有ポリエステル樹脂を含むポリエステル樹脂組成物並びにその用途およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のポリエステル樹脂は、ナフタレンジカルボン酸20モル%〜100モル%と、その他のカルボン酸80〜0モル%からなる酸成分とグリコール成分とから構成され、リン化合物をリン原子として100〜10000ppmの量含有するポリエステル樹脂であって、Zn原子、Fe原子、Ni原子、Cr原子からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属原子を下記の式(A)〜(D)を満足する量含有することを特徴とするポリエステル樹脂である。
Cr ≦ 10ppm (A)
Fe ≦ 30ppm (B)
Ni ≦ 5ppm (C)
Zn ≦ 5ppm (D)
本発明のポリエステル樹脂(1)は、リン化合物をリン原子として、好ましくは200〜8000ppm、更に好ましくは300〜6000ppm含有するポリエステル樹脂であって、重縮合触媒としてAl、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Nb、Mo、Cd、In、Sn、Ta及びPbからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含む化合物を含有する、主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなるポリエステル樹脂(2)と混合して溶融処理することによって前記ポリエステル樹脂(2)の触媒を失活さすことができる触媒失活用ポリエステル樹脂として用いることができる。特に、ナフタレンジカルボン酸を酸成分の50モル%〜100モル%含むポリエステル樹脂(1)は、PETとのポリエステル樹脂組成物として用いる場合に相溶性が改良されるため透明性が良好な成形体を与えることができる。
ポリエステル樹脂(1)中のリン原子含有量が100ppm未満ではポリエステル樹脂(2)が含有する触媒に対する失活作用が小さくなり、成形時の環状エステルオリゴマーやアルデヒド類の生成が抑制出来ず、得られた成形体中のアルデヒド類含有量や環状3量体などの環状オリゴマーの含有量が非常に多くなり問題である。また、ポリエステル樹脂(2)との相溶性も低下するために得られた成形体のヘイズが高くなる。また、10000ppmを超えると重合速度が速くなりゲル化する場合があり、正常な生産が不可能となる場合が有り問題である。
また、ポリエステル樹脂(1)中のCr原子含有量は、Cr原子として、好ましくは8ppm以下、より好ましくは6ppm以下、さらに好ましくは4ppm以下、最も好ましくは1ppm以下である。Fe原子含有量は、Fe原子として、25ppm以下、より好ましくは20ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下、最も好ましくは5ppm以下である。Ni原子含有量は、Ni原子として、好ましくは3ppm以下、さらに好ましくは2ppm以下、最も好ましくは1ppm以下である。Zn原子含有量は、好ましくは4ppm以下、より好ましくは3ppm以下、さらに好ましくは2ppm以下、最も好ましくは1ppm以下である。さらには、前記の式(5)〜(8)のすべてを満足することが最も好ましい。また、前記金属原子含有量の下限値は経済性の点より0.01ppmである。
前記の金属原子含有量の少なくとも1つが、前記の上限値を超える場合には、ポリエステル樹脂(1)の色調が悪くなり、アルデヒド類含有量も多くなり、ポリエステル樹脂(2)とからなるポリエステル樹脂組成物から得られた成形体などの透明性が悪化し、成形体などの着色が激しくなり、また香味保持性も悪くなり問題である。
この場合において、末端カルボキシル基濃度が40当量/トン以下、好ましくは35当量/トン以下、最も好ましくは30当量/トン以下である。末端カルボキシル基濃度が40当量/トンを超えると、ポリエステル樹脂(1)の色調及びポリエステル樹脂組成物からなる成形品の外観が悪くなり、また成形品のアルデヒド類含有量も多くなり問題である。末端カルボキシル基濃度の下限値は好ましくは3当量/トン、更に好ましくは5当量/トン、最も好ましくは7当量/トンで、3当量/トン未満の値に低減させるには経済的な生産が難しく問題が生じ、また、ポリエステル樹脂(2)との相溶性が低下する傾向にありポリエステル樹脂組成物からなる成形品の外観が低下する傾向にある。
この場合において、重縮合触媒が、Sb化合物、Ge化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
この場合において、共重合されたジアルキレングリコール含有量およびトリアルキレングリコール含有量が、構成するグリコ−ル成分の、それぞれ、10モル%以下および2モル%以下であることができる。
この場合において、水分率が500〜10000ppmであることができる。
この場合において、重縮合触媒が、Sb化合物、Ge化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種であることができる。
この場合において、請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂(1)と、Al、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Nb、Mo、Cd、In、Sn、Ta及びPbからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含む化合物と必要に応じてSb化合物および/またはGe化合物を含有するポリエステル樹脂(2)と、からなるポリエステル樹脂組成物を構成することができる。
また、前記ポリエステル樹脂組成物は、紫外線遮断性を有し、成形時のアセトアルデヒドなどのアルデヒド類や環状オリゴマーの生成を抑制する性能を有するので、香味保持性に優れ、また、環状エステルオリゴマー含有量が少なく、連続成形時に金型汚れの発生がほとんど無く、したがって、透明性および紫外線遮断性に優れた成形体、例えば、中空成形体、シート状物、延伸フィルムなど、あるいは前記ポリエステル樹脂組成物を基材上に溶融押出してなる被覆物や繊維などを与えることができる。
本発明のポリエステル樹脂は、ポリエステルの製造時に用いられる重縮合触媒の作用を失活させ、成形時のアセトアルデヒドなどのアルデヒド類や環状オリゴマーの生成を抑制するために使用することができる、紫外線遮断性を持つポリエステル樹脂であり、それからなるポリエステル樹脂組成物は、溶融重合時の金属溶出量が非常に少なく、紫外線遮断性、透明性、香味保持性に優れ、連続成形時に金型汚れによる透明性の悪化などの問題がなく、また耐熱寸法安定性にも優れた中空成形体などの成形体や基材への被覆物や繊維などを与える。
以下、本発明のポリエステル樹脂およびポリエステル樹脂組成物並びにその用途の実施の形態を具体的に説明する。
(ポリエステル樹脂(1))
本発明のポリエステル樹脂(1)は、主としてナフタレンジカルボン酸20モル%〜100モル%と、その他のカルボン酸80〜0モル%と、からなる酸成分とグリコール成分とから構成され、リン化合物をリン原子として100〜10000ppmの量含有するポリエステル樹脂である。特に、前記の量のリン化合物を含む、芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の50モル%以上であるポリエステル、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上、最も好ましくは芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の95モル%以上であるポリエステルであって、かつナフタレンジカルボン酸の共重合比率が全酸成分の20モル%〜100モル%であるポリエステル樹脂であることが好ましい。
ポリエステル樹脂(1)のナフタレンジカルボン酸の共重合比率は、好ましくは30モル%〜100モル%、更に好ましくは40モル%〜100モル%であり、ナフタレンジカルボン酸が20モル%未満では、紫外線遮断性が低下する傾向にあり好ましくない。
ここで、ナフタレンジカルボン酸とは、2、6−ナフタレンジカルボン酸、2、5−ナフタレンジカルボン酸、2、3−ナフタレンジカルボン酸が挙げられ、好ましくは2、6−ナフタレンジカルボン酸、2、5−ナフタレンジカルボン酸、最も好ましくは2、6−ナフタレンジカルボン酸である。
前記の本発明のポリエステル樹脂(1)は、主に、ポリエステル樹脂(2)の製造時に用いられる重縮合触媒の作用を失活させると同時に、耐熱性、酸素バリヤー性、紫外線遮断性を付与するために使用することが出来るポリエステル樹脂である。
本発明のポリエステル樹脂(1)を構成する、その他のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニール−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体等、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体等が挙げられる。
が挙げられる。
また、本発明にのポリエステル樹脂(1)を構成するグリコール成分としては、エチレングリコール、1,3−トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール等が挙げられる。
前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としてのジカルボン酸としては、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが挙げられる。
前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としてのグリコールとしては、ジエチレングリコール、1,3−トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ダイマーグリコール等の脂肪族グリコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,5−ノルボルナンジメチロール等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコール、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコールなどが挙げられる。
さらに、前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としての多官能化合物としては、酸成分として、トリメリット酸、ピロメリット酸等を挙げることができ、グリコール成分としてグリセリン、ペンタエリスリトールを挙げることができる。以上の共重合成分の使用量は、ポリエステルが実質的に線状を維持する程度でなければならない。また、単官能化合物、例えば安息香酸、ナフトエ酸等を共重合させてもよい。
本発明のポリエステル樹脂(1)の好ましい一例は、主たる構成単位がエチレンテレフタレート単位50モル%以上であり、ナフタレンジカルボン酸の共重合比率が全酸成分の20モル%以上、50モル%未満のポリエステルであり、共重合成分としてイソフタル酸、1,4―シクロヘキサンジメタノール、コハク酸などを含む共重合ポリエステルであり、前記のリン化合物を共重合または配合したものである。
また、本発明のポリエステル樹脂(1)の好ましいその他の一例は、主たる構成単位がエチレン−2、6−ナフタレート単位を50モル%以上含むポリエステルであり、前記のリン化合物を共重合または配合したものである。
また、本発明のポリエステルの好ましいその他の例としては、主たる構成単位が1,3−プロピレンテレフタレート単位50モル%以上であり、ナフタレンジカルボン酸の共重合比率が全酸成分の20モル%以上、50モル%未満のポリエステルであり、前記のリン化合物を共重合または配合したものである。
また、本発明のポリエステルの好ましいその他の例としては、主たる構成単位がブチレンテレフタレート単位50モル%以上であり、ナフタレンジカルボン酸の共重合比率が全酸成分の20モル%以上、50モル%未満のポリエステルであり、前記のリン化合物を共重合または配合したものである。
また本発明のポリエステルの好ましいその他の例としては、主たる構成単位が1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート単位50モル%以上であり、ナフタレンジカルボン酸の共重合比率が全酸成分の20モル%以上、50モル%未満のポリエステルであり、前記のリン化合物を共重合または配合したものである。
また、本発明のポリエステル樹脂(1)の好ましいその他の一例は、主たる構成単位が乳酸単位50モル%以上であり、ナフタレンジカルボン酸の共重合比率が全酸成分の20モル%以上、50モル%未満のポリエステルであり、前記のリン化合物を共重合または配合したものである。
また、本発明のポリエステル樹脂(1)の好ましいその他の一例は、主たる構成単位がグリコール酸単位50モル%以上であり、ナフタレンジカルボン酸の共重合比率が全酸成分の20モル%以上、50モル%未満のポリエステルであり、前記のリン化合物を共重合または配合したものである。
さらにまた、本発明のポリエステル樹脂(1)の好ましいその他の一例は、主たる構成単位がコハク酸単位50モル%以上であり、ナフタレンジカルボン酸の共重合比率が全酸成分の20モル%以上、50モル%未満のポリエステルであり、前記のリン化合物を共重合または配合したものである。
本発明のポリエステル樹脂(1)に共重合または配合されるリン化合物としては、リン酸系化合物、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、亜リン酸系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物が挙げられる。
リン酸系化合物の具体例としては、例えば、リン酸、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジプロピルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジアミルホスフェート、ジヘキシルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリアミルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、リン酸とアルキレングリコールとのエステルなどが挙げられる。
ホスホン酸系化合物の具体例としては、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベンジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチル、トリエチルホスホノアセテート、トリブチルホスホノアセテート、トリ(ヒドロキシエチル)ホスホノアセテート、トリ(ヒドロキシプロピル)ホスホノアセテート、トリ(ヒドロキシブチル)ホスホノアセテートなどがあげられる。
ホスフィン酸系化合物の具体例としては、例えば、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、フェニルホスフィン酸フェニル、2−カルボキシエチル−メチルホスフィン酸、2−カルボキシエチル−エチルホスフィン酸、2−カルボキシエチル−プロピルホスフィン酸、2−カルボキシエチル−フェニルホスフィン酸、2−カルボキシエチル−m−トルイルホスフィン酸、2−カルボキシエチル−p−トルイルホスフィン酸、2−カルボキシエチル−キシリルホスフィン酸、2−カルボキシエチル−ベンジルホスフィン酸、2−カルボキシエチル−m−エチルベンジルホスフィン酸、2−カルボキシメチル−メチルホスフィン酸、2−カルボキシメチル−エチルホスフィン酸、2−カルボキシエチル-プロピルホスフィン酸、2−カルボキシメチル−フェニルホスフィン酸、2−カルボキシメチル−m−トルイルホスフィン酸、2−カルボキシメチル−p−トルイルホスフィン酸、2−カルボキシメチル-キシリルホスフィン酸、2−カルボキシメチル-ベンジルホスフィン酸、2−カルボキシメチル−m−エチルベンジルホスフィン酸、及びこれらの環状酸無水物、或いはこれらのメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、エチレングリコールエステル、プロピオングリコールエステル、ブタンジオールとのエステルなどが挙げられる。
亜リン酸系化合物の具体例としては、例えば、亜リン酸ならびにジメチルホスファイト、ジエチルホスファイト、ジプロピルホスファイト、ジブチルホスファイト、ジアミルホスファイト、ジヘキシルホスファイト、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4‘−ビフェニレンジホスファイト、亜リン酸とアルキレングリコールとのエステルなどが挙げられる。
亜ホスホン酸系化合物の具体例としては、例えば、メチル亜ホスホン酸、メチル亜ホスホン酸ジメチル、メチル亜ホスホン酸ジフェニル、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ジメチル、フェニル亜ホスホン酸ジフェニルなどがあげられる。
その他のリン化合物としては、下記のポリエステル樹脂(2)で用いる上記以外のリン化合物も用いることができる。
本発明のリン化合物を共重合または配合したポリエステル樹脂(1)は、重縮合時に前記リン化合物を添加して共重合する方法あるいはポリエステル樹脂と前記リン化合物から選ばれた少なくとも一種を押出機、例えば二軸押出機で混練する方法によって製造することが可能であるが、これらに限定されるものではない。
共重合方法による場合は、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールおよびリン化合物からの共重合ポリエステルの場合には、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び/またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールとのエステル化反応生成物あるいはエステル交換反応生成物を重縮合して、ポリエステルにする際に採用される任意の方法で合成することができる。この際、エステル交換反応、エステル化反応や溶融重縮合反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。また、これらは回分式反応装置で実施してもよいし、また連続式反応装置で実施してもよい。
エステル交換反応あるいはエステル化反応や重縮合反応を行う反応器としては、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS317L、ハステロイ製以上の高温耐蝕性が必要で、好ましくはSUS316L、SUS317、SUS317L、ハステロイ製、最も好ましくはSUS317、SUS317L、ハステロイ製の反応器、攪拌機などを用いることが好ましいが、これらに限定されるものではない。特に、未反応のリン化合物が高濃度で存在する反応器や230℃以上でリン化合物を反応させる反応器としては、前記の高耐蝕性反応器を用いることが好ましい。PENやPETの重縮合に一般的に用いられる金属材質製反応器では、Fe金属が多量に溶出するので好ましくない。
前記リン化合物はポリエステルの製造時に添加されるが、その添加時期は、エステル交換工程あるいはエステル化工程の初期から、初期縮合後期までの任意の段階で添加できるが、アセトアルデヒド生成などの副反応の抑制、反応機台の腐食の問題などから、エステル交換工程あるいはエステル化工程の後期から初期縮合初期に添加するのが好ましい。
エステル化反応により製造する場合には、2,6−ナフタレンジカルボン酸1モルに対して1.02〜2.0モル、好ましくは1.03〜1.4モルのエチレングリコールが含まれたスラリーを調整し、これをエステル化反応工程に供給する。
エステル化反応の場合の好ましい製造条件は、次のようである。すなわち、エステル化反応は、230〜250℃で常圧〜加圧下に0.5〜5時間実施してエステル化反応率を少なくとも90%、好ましくは95%以上にする。次いで、リン化合物を添加し、240〜285℃、好ましくは240〜275℃、さらに好ましくは240〜255℃で300〜0.1Torrで0.5〜2時間第一段の重縮合を実施し、さらに、250〜300℃、好ましくは250〜290℃、さらに好ましくは250〜285℃で10〜0.1Torr、好ましくは5〜0.1Torrで目的の重合度まで重縮合を行う。特に、第一段目の重縮合反応を285℃以下で実施することが本発明の目的を達成するために重要である。
また、エステル交換反応によって製造する場合は、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル1モルに対して1.1〜2.0モル、好ましくは1.2〜1.5モルのエチレングリコールが含まれた溶液を調整し、これをエステル交換反応工程に供給する。エステル交換反応の温度は180〜285℃、好ましくは200〜275℃である。エステル交換触媒として、Zn,Cd,Mg,Mn,Co,Ca,Baなどの脂肪酸塩、炭酸塩やPb,Zn,Sb,Ge酸化物等を用いる。これらのエステル交換反応により分子量約200〜500程度の低次縮合物が得られる。次いで前記と同様にして重縮合反応を行う。
前記の出発原料である2,6−ナフタレンジカルボン酸やテレフタル酸またはエチレングリコールとしては、パラキシレンやナフタレンから誘導されるバージンの2,6−ナフタレンジカルボン酸やテレフタル酸あるいはエチレンから誘導されるエチレングリコールは勿論のこと、使用済みPENボトルやPETボトルからメタノール分解やエチレングリコール分解などのケミカルリサイクル法により回収した2,6−ナフタレンジカルボン酸やテレフタル酸、ビスヒドロキシエチル−2,6−ナフタレートやビスヒドロキシエチルテレフタレートあるいはエチレングリコールなどの回収原料も、出発原料の少なくとも一部として利用することが出来る。前記回収原料の品質は、使用目的に応じた純度、品質に精製されていなければならないことは言うまでもない。
重縮合触媒としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、錫、鉛、ビスマス、スカンジウム、イットリウム、ニオブ、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、テルル、タンタル、タングステン、ガリウム、アルミニウム、アンチモン、ゲルマニウム、チタン、ケイ素、銀などからなる群より選ばれる1種以上の金属化合物が用いられ、特に、前記のリン化合物によって触媒作用が失活されないアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、タングステン化合物が最適である。
Sb化合物としては、具体的には、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモンカリ、オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレート、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙げられる。Sb化合物は、生成ポリマー中のSb残存量として50〜300ppm、好ましくは55〜200ppm、さらに好ましくは60〜150ppmの範囲になるように添加する。
Ge化合物としては、具体的には、無定形二酸化ゲルマニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウム、塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド、亜リン酸ゲルマニウム等の化合物が挙げられる。Ge化合物を使用する場合、生成ポリマー中のGe残存量として10〜300ppm、好ましくは11〜50ppm、更に好ましくは11〜15ppmである。
W化合物としては、タングステン酸、タングステン酸リチウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カルシウム、タングステン酸バリウム、タングステン酸コバルト、タングステン酸銅、タングステン酸マンガン、タングステンエトキシド、タングステン酸アンモニウム等の化合物が挙げられる。W化合物を使用する場合、その使用量はポリエステル樹脂(1)中のW残存量として10〜300ppm、好ましくは20〜200ppm、更に好ましくは30〜150ppmである。
前記のようにして重縮合されたポリエステル樹脂は最終溶融重縮合反応器から溶融状態でノズルへと輸送され、例えば、ダイス細孔より溶融ポリエステルを水中に押出して水中でカットする方式、あるいは、ダイス細孔より空気中にストランド状に押出した後、冷却水で冷却しながらチップ化する方式によって柱状、球状、角状や板状の形態にチップ化される。この際、ノズルまでの溶融状態での温度を可能な限り低くし、また、滞留時間が出来るだけ短時間になるようにすることも本発明のポリエステル樹脂(1)を得るために必要な事項である。
また、前記の溶融重縮合ポリエステルのチップ化時の冷却水としては、下記の(1)〜(4)の少なくとも一つを満足する冷却水を用いることが好ましく、さらには(1)〜(4)のすべてを満足する水を用いることが最も好ましい。
Na ≦ 1.0(ppm) (1)
Mg ≦ 1.0(ppm) (2)
Si ≦ 2.0(ppm) (3)
Ca ≦ 1.0(ppm) (4)
冷却水中のナトリウム含有量(Na)は、好ましくはNa≦0.5ppmであり、さらに好ましくはNa≦0.1ppmである。冷却水中のマグネシウム含有量(Mg)は、好ましくはMg≦0.5ppmであり、さらに好ましくはMg≦0.1ppmである。また、冷却水中の珪素の含有量(Si)は、好ましくはSi≦0.5ppmであり、さらに好ましくはSi≦0.3ppmである。さらに、冷却水中のカルシウム含有量(Ca)は、好ましくはCa≦0.5ppmであり、さらに好ましくはCa≦0.1ppmである。
前記冷却水のナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を低減させるために、チップ冷却工程に工業用水が送られるまでの工程で少なくとも1ヶ所以上にナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を除去する装置を設置する。また、粒子状になった二酸化珪素やアルミノ珪酸塩等の粘土鉱物を除去するためにはフィルターを設置する。ナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を除去する装置としては、イオン交換装置、限外濾過装置や逆浸透膜装置などが挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂(1)は前記のようにして製造されるが、これらに加えて下記に示す方法を適宜採用することができる。すなわち、IVが0.40デシリットル/グラム以上の溶融重縮合ポリマーをチップ化後直ちに減圧下または不活性気体流通下に150℃までの温度で加熱結晶化する方法、IVが0.40〜0.60デシリットル/グラムの溶液重縮合プレポリマーを固相重合する手法を用いることができる。また、ポリエステルをベント式押出機で減圧下、あるいは不活性気体流通下に溶融押出しする方法を用いることができる。また、リン含有ポリエステル樹脂を水やクロロフォルムなどの有機溶媒で熱処理する方法を用いることもできる。またこれらの方法を適当に組み合せることも出来る。
また、ポリエステル樹脂(1)の末端カルボキシル基濃度を40当量/トン以下、好ましくは40〜3当量/トンにするためには、2,6−ナフタレンジカルボン酸1モルに対するエチレングリコールのモル比を1.8〜2.0とし、かつエステル化反応率を85%〜99%進行させた後にリン化合物を添加しエステル化反応物を重縮合すること、重縮合触媒としてはSb化合物またはGe化合物を用いること、重縮合温度を280℃以下に維持することなどの方法を適宜組み合わせて実施することが出来る。
また、ポリエステル樹脂にリン化合物を配合する方法による場合は、乾燥したポリエステル樹脂と前記リン化合物を二軸押出機で溶融混練してチップ化する方法、ポリエステル樹脂粒状体をリン化合物の水溶液や有機溶媒の溶液に浸漬させる方法、あるいはこれらの溶液を表面に付着させる方法などにより可能である。
この際にも、SUS316以上の耐蝕性、好ましくはSUS316L、SUS317、SUS317L、ハステロイ製スクリューやバレルで構成された二軸押出機を使用することが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂(1)の極限粘度は、0.40〜1.00デシリットル/グラム、好ましくは0.45〜0.90デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.50〜0.85デシリットル/グラム、最も好ましくは0.55〜0.80デシリットル/グラムの範囲であるであることが望ましい。
極限粘度が0.60デシリットル/グラム以上の場合は、溶融重縮合したポリマーを固相状態で重合する方法によるのが好ましい。
極限粘度が0.40デシリットル/グラム未満の場合は、得られた成形体の透明性が悪くなり、また機械的強度が実用的な範囲を満たさず問題となる。また1.00デシリットル/グラムを越える場合はポリエステル樹脂(2)との組成物を成形する際に混練が不完全となり均一な品質の成形体が得られない。
また、本発明のポリエステル樹脂(1)に共重合されたジアルキレングリコール含有量およびトリアルキレングリコール含有量は、前記ポリエステルを構成するグリコ−ル成分に対して、それぞれ、10.0モル%以下および2.0モル%以下、好ましくは、それぞれ、8.0モル%以下および1.5モル%以下、より好ましくは、それぞれ、6.0モル%以下および1.0モル%以下、さらに好ましくは、それぞれ、5.0モル%以下および0.5モル%以下であることが望ましい。ジアルキレングリコ−ル量が10モル%を越える場合は、熱安定性、熱酸化安定性および色調が悪くなり、加熱乾燥時やポリエステル樹脂(2)とのポリエステル樹脂組成物の成形時に分子量の低下が大きくなり、また、アルデヒド類の含有量の増加や着色が大となり好ましくない。
また、トリアルキレングリコ−ル量が2モル%を越える場合も、熱安定性、熱酸化安定性および色調が悪くなり、加熱乾燥時やポリエステル樹脂(2)とのポリエステル樹脂組成物の成形時に分子量低下が大きくなり、また、アルデヒド類の含有量の増加や着色が大となり好ましくない。
また、ジアルキレングリコール含有量およびトリアルキレングリコール含有量の下限値は、それぞれ、0.5モル%および0.1モル%であり、これらの下限値未満に低減してもその効果は発揮されないばかりでなく、これを達成するためにはエステル化反応温度をかなり低くし、長時間反応させるなど経済性の点で問題が生じる。
ここで、ポリエステル中に共重合されたジアルキレングリコールとは、例えば、主たる構成単位がエチレンー2,6−ナフタレ−トであるポリエステルの場合には、グリコールであるエチレングリコールから製造時に副生したジエチレングリコ−ルのうちで、前記ポリエステルに共重合したジエチレングリコ−ル(以下、DEGと略称する)のことであり、1,3−プロピレンー2,6−ナフタレ−トを主たる構成単位とするポリエステルの場合には、グリコールである1,3−プロピレングリコールから製造時に副生したジ(1,3−プロピレングリコ−ル)(またはビス(3−ヒドロキシプロピル)エ−テル)のうちで、前記ポリエステルに共重合したジ(1,3−プロピレングリコ−ル)のことである。また、ポリエステル中に共重合されたトリアルキレングリコールとは、例えば、主たる構成単位がエチレンー2,6−ナフタレ−トであるポリエステルの場合には、同様にして製造時に副生したトリエチレングリコ−ルのうちで、前記ポリエステルに共重合したトリエチレングリコ−ル(以下、TEGと略称する)のことであり、1,3−プロピレンー2,6−ナフタレ−トを主たる構成単位とするポリエステルの場合には、同様にして製造時に副生したトリ(1,3−プロピレングリコ−ル)(またはトリス(3−ヒドロキシプロピル)エ−テル)のうちで、前記ポリエステルに共重合したトリ(1,3−プロピレングリコ−ル)のことである。
本発明のポリエステル樹脂(1)の製造において、ジアルキレングリコール含有量およびトリアルキレングリコール含有量を本発明の範囲に抑制する方法として、例えば、塩基性窒素化合物を用いることができる。塩基性窒素化合物としては、脂肪族、脂環式、芳香族および複素環式窒素化合物のいずれでもかまわない。具体例としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアニリン、ピリジン、キノリン、ジメチルベンジルアミン、ピペリジン、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリエチルベンジルアンモニウムハイドロオキサイド、イミダゾール、イミダゾリン等が挙げられる。これらの化合物は遊離形で用いてもよいし、低級脂肪酸やTPAの塩として用いてもよい。また、これらの塩基性窒素化合物の反応系への添加は、初期重縮合反応が終了するまでの任意の段階で適宜選ぶことが出来、単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。これらの塩基性窒素化合物の配合量は、ポリエステル当り0.01〜1モル%、好ましくは0.05〜0.7モル%、更に好ましくは0.1〜0.5モル%である。また、エステル化反応の初期においてエステル化率が60%以上になるまでは反応温度を230℃近辺に保持する方法も有効である。
また、本発明のポリエステル樹脂(1)が含むアルデヒド類の含有量は200ppm以下、好ましくは150ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下、最も好ましくは50ppm以下であることが望ましい。アルデヒド類の含有量が200ppmを越える場合には、本発明のポリエステル樹脂組成物から得られる成形体の内容物の香味保持性は非常に悪くなり、問題が生じる。また、アルデヒド類の含有量の下限値は、経済的な生産の面から1ppm、好ましくは2ppm、さらに好ましくは3ppmである。ここで、アルデヒド類とは、ポリエステル樹脂(1)がエチレンテレフタレ−トを主たる構成単位とするポリエステルやエチレン−2,6−ナフタレートを主たる構成単位とするポリエステルなどのようにエチレングリコ−ルをグリコール成分の主要成分とするポリエステルの場合はアセトアルデヒドやホルムアルデヒドであり、1,3−プロピレンテレフタレ−トを主たる構成単位とするポリエステルの場合はアリルアルデヒドであり、さらにブチレンテレフタレートを主たる構成単位とするポリエステルの場合はブタナールである。ただし、ブチレンテレフタレートを主たる構成単位とするポリエステルの場合、前記アルデヒドは大部分がテトラヒドロフランとして検出される。
なお、本発明のポリエステル樹脂(1)のアルデヒド類の含有量を200ppm以下とする方法としては、IVが0.30〜0.60の溶液重合ポリエステルプレポリマーを固相重合する手法、所定のIVのポリエステルを不活性気体雰囲気下または減圧下にIVが実質的に変化しない条件で加熱処理する方法、ポリエステルを不活性気流中で50〜180℃の温度で熱処理する方法、または、ポリエステルをベント式押出機で減圧下、あるいは不活性気体流通下に溶融押出しする方法などの方法を単独あるいは適当に組み合わせて用いることが出来る。
また、本発明のポリエステル樹脂(1)は、前記ポリエステルに由来する遊離のジカルボン酸含有量が20ppm以下、遊離のグリコ−ル含有量が1500ppm以下、遊離のジカルボン酸モノグリコ−ルエステル含有量が100ppm以下、遊離のジカルボン酸ジグリコ−ルエステル含有量が200ppm以下であることを特徴とするポリエステル樹脂である。
遊離のジカルボン酸含有量は好ましくは18ppm以下、さらに好ましくは15ppm以下であり、遊離のグリコ−ル含有量は好ましくは1000ppm以下、さらに好ましくは800ppm以下であり、遊離のジカルボン酸モノグリコ−ルエステル含有量は好ましくは80ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下であり、遊離のジカルボン酸ジグリコ−ルエステル含有量は好ましくは150ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下である。前記のポリエステル樹脂(1)の遊離のジカルボン酸含有量が20ppmを越え、遊離のグリコ−ル含有量が1500ppmを越え、遊離のジカルボン酸モノグリコ−ルエステル含有量が100ppmを越え、かつ遊離のジカルボン酸ジグリコ−ルエステル含有量が200ppmを越える場合には、ポリエステル樹脂(2)とのポリエステル樹脂組成物を成形して得られる成形体内容物の香味保持性は非常に悪くなり、問題が生じる。これらの遊離の低分子量化合物は、下記のポリエステル樹脂組成物から成形されたポリエステル製容器等の材質より内容物中に極微量ではあるが溶出し、その結果内容物の風味等に影響を及ぼすと推定される。
ここで、ポリエステル樹脂(1)がエチレンテレフタレートを主繰返し単位とするポリエステル樹脂の場合は、前記の芳香族ジカルボン酸はテレフタル酸(以下、TPAと略称することがある)、前記のグリコ−ルはエチレングリコ−ル(以下、EGと略称することがある)およびジエチレングリコ−ル(以下、DEGと略称することがある)であり、芳香族ジカルボン酸モノグリコ−ルエステルはモノヒドロキシエチルテレフタレ−ト(以下、MHETと略称することがある)、そして芳香族ジカルボン酸ジグリコ−ルエステルはビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト(以下、BHETと略称することがある)である。遊離のエチレングリコール含有量と遊離のジエチレングリコール含有量を合計した値を遊離のグリコール含有量とする。前記の遊離の、TPA含有量、EG含有量、MHET含有量およびBHET含有量の下限値は、それぞれ、1ppm、2ppm、5ppmおよび5ppmであり、これらの値以下に低減させても内容物の風味の向上は期待できない。
また、ポリエステル樹脂(1)がエチレンナフタレートを主繰返し単位とするポリエステル樹脂の場合は、前記の芳香族ジカルボン酸はナフタレンジカルボン酸、前記のグリコ−ルはエチレングリコ−ルおよびジエチレングリコ−ルであり、芳香族ジカルボン酸モノグリコ−ルエステルは2、6−モノヒドロキシエチルナフタレ−ト、芳香族ジカルボン酸ジグリコ−ルエステルは2、6−ビスヒドロキシエチルナフタレ−トである。
本発明のポリエステル樹脂(1)中の前記した遊離のモノマーや線状オリゴマーの含有量を上記の含有量以下にする方法としては、前記のようにして溶融重縮合されたポリエステル樹脂を最終溶融重縮合反応器からチップ化用ノズルへと輸送されるまでの溶融状態での温度を可能な限り低くし、また、滞留時間を出来るだけ短時間になるようにする方法、IVが0.40デシリットル/グラム以上の溶融重縮合ポリマーをチップ化後直ちに減圧下または不活性気体流通下に150℃までの温度で加熱結晶化する方法、IVが0.40〜0.60デシリットル/グラムの溶液重縮合プレポリマーを固相重合する方法、ポリエステルをベント式押出機で減圧下あるいは不活性気体流通下に溶融押出しする方法、リン含有ポリエステル樹脂を水やクロロフォルムなどの有機溶媒で熱処理する方法などがあり、また、これらの方法を適宜組み合せて用いることが出来る。
また、本発明のポリエステル樹脂(1)が高耐熱性中空成形体用のポリエステル樹脂(2)の触媒失活用に用いられる場合には、ポリエステル樹脂(1)の環状3量体含有量は8000ppm以下、好ましくは7500ppm以下、さらに好ましくは7000ppm以下であることが好ましい。環状3量体含有量が8000ppmを越える場合は、成形金型の汚れが酷くなり、長時間成形時には透明性の優れた中空成形体が得られない。環状3量体含有量の下限値は、経済的な生産の面から3000ppm、好ましくは3500ppm、さらに好ましくは4000ppmである。なお、環状3量体含有量を8000ppm以下に低減さす方法としては、前記に記載したアルデヒド類を低減させる方法を用いることが出来る。
本発明のポリエステル樹脂(1)のチップの形状は、シリンダー型、角型、球状または扁平な板状等の何れでもよい。その平均粒径は、通常1.0〜4mm、好ましくは1.0〜3.5mm、さらに好ましくは1.0〜3.0mmの範囲である。例えば、シリンダー型の場合は、長さは1.0〜4mm、径は1.0〜4mm程度であるのが実用的である。球状粒子の場合は、最大粒子径が平均粒子径の1.1〜2.0倍、最小粒子径が平均粒子径の0.7倍以上であるのが実用的である。また、チップの重量は2〜40mg/個の範囲が実用的である。また、チップの平均重量は2〜40mg/個の範囲が実用的である。また、固相重合速度を向上させたり、アルデヒド類の含有量をより効果的に低減させたりすることが必要な場合は、チップの平均重量は1〜5mg/個にすることも好ましい。
また、ポリエステル樹脂(1)の製造工程を構成する、溶融重縮合ポリマーをチップ化する工程、固相重合工程、溶融重縮合ポリマーチップや固相重合ポリマーチップを輸送する工程等において、本来造粒時に設定した大きさのチップよりかなり小さな粒状体や粉等が発生する。ここでは、このような微細な粒状体や粉等をファインと称する。
このようなファインは、ポリエステル樹脂組成物からの成形体の結晶化を促進させる性質を持っており、ポリエステル樹脂(1)のファイン含有量を1重量%以下に管理することが重要である。ファイン含有量が1重量%を越える場合には、ポリエステル樹脂(2)との組成物から成形される成形体の透明性が悪くなり、また結晶化速度が早くかつその変動が非常に大きくなるなどの諸問題が発生し、本発明の目的を達成するポリエステル樹脂組成物およびポリエステル成形体が得られない。ポリエステル樹脂(1)のファイン含有量の下限値は約10ppm以下であり、これ以下にすることは経済性の点で問題である。
ポリエステル樹脂(1)のファイン含有量を1重量%以下にする方法としては、リン化合物を共重合した溶融ポリマーやリン化合物を混練した溶融ポリマーを約5〜約60℃の水中に吐出すると同時に水中で切断する水中カッターでチップ化し、チップに付着した水分を除去後、チップにせん断応力や衝撃力が掛からない搭型結晶化装置などで結晶化、乾燥する方法、また、これに篩分工程や空気流によるファイン除去工程を追加する方法、約10〜60℃の水中に溶融ポリマーを吐出後ストランドカッターでチップ化し、前途と同様の方法でファイン除去後は高密度輸送する方法などを採用することができる。
ここで、ファインとは、JIS−Z8801による呼び寸法1.7mmの金網をはった篩いを通過したポリエステルの微粉末を意味し、これらの含有量は下記の測定法によって測定する。
また、本発明のポリエステル樹脂(1)は、水分率が500〜10000ppmであることを特徴とするポリエステル樹脂であり、水分率は、好ましくは800〜9000ppm、さらに好ましくは1000〜8000ppmである。ポリエステル樹脂(1)中のリン化合物によりポリエステル樹脂(2)の重縮合触媒の触媒作用を失活させると同時に、ポリエステル樹脂(1)中に存在する500〜10000ppmの水分の効果により溶融時の流動性が改良されることにより、溶融成形時にアルデヒド類や環状エステルオリゴマーの生成が抑制されるのである。
水分率が10000ppmを超える場合は、得られた成形体の極限粘度が低下しすぎ、透明性や機械的強度などが悪くなり問題である。また、500ppm未満では、連続成形によって中空成形体を成形する場合、金型の汚れが酷くなり、また、得られた中空成形体の透明性や外観が悪くなり問題である。
なお、ポリエステル樹脂(1)の水分率は、例えば、チップを水に浸漬し表面付着水を脱水除去する方法、高湿度の雰囲気や大気下に長時間放置する方法、前記水分率に相当する水分を成形前のポリエステルに供給する方法、所定の含水率となった時点において乾燥を終了させ、溶融成形に供する方法、あるいはポリマー中の含水率を一旦、500ppm末満にまで乾燥により低下させた後に、調湿させ、含水率を500〜10000ppmに調整させる方法など種々の方法によって前記水分率の範囲内に調整することが出来る。乾燥条件は、共重合されている構成成分および量によって条件が異なるが、通常70〜170℃の温度条件が用いられる。
本発明の範囲内の含水率は、通常の成形前の樹脂中の水分に比べて多いので、加水分解と熱分解等のバランスを考慮して、成形条件に注意する必要がある。そこで、本発明のポリエステル樹脂の溶融成形法としては、成形前のポリエステル樹脂組成物の極限粘度X(dl/g)と、成形品の極限粘度(実測値)Y(dl/g)の比(Y/X)×100(%)(以下、IV保持率という)が、90%以上であることを満足するような条件下で、溶融成形を行うことが好ましい。IV保持率を90%以上、好ましくは92%以上を保持する含水率と溶融成形条件を選択することによって、機械的強度や透明性などを実質的に低下させることなく、成形品のアセトアルデヒドなどのアルデヒド含有量を少なくすることができ、本発明の目的をより好ましく達成することができる。IV保持率が90%未満では、成形時にシルバーが発生する傾向にあり、熱分解反応が優先して成形品中のアセトアルデヒド量が増加し、あるいは、過剰の加水分解反応で溶融成形に適さない程度まで分子量低下が起き、満足な成形品が得られない場合がある。実際の成形条件は、成形機あるいは押出機によって異なるため一概に規定することはできず、個別に調整する必要がある。例えば、成形品の極限粘度Yが低い場合などは、成形機あるいは押出機のシリンダー内のポリエステル樹脂の滞留時間を短縮したり、透明性や機械的特性を考慮した上での溶融温度を低下させたりして、各成形温度での樹脂の溶融粘度と射出あるいは押出の圧力・速度のバランスのとれた設定、充分な溶融状態を確保するほか、高剪断を避けるためのスクリュウ回転数の抑制やスクリュウ形状を変更するなどが考えられる。
また、ポリマーカラー、加水分解性など物性を損なわない程度に従来公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤、酸素捕獲剤、外部より添加する滑剤や反応中に内部析出させた滑剤、離型剤、核剤、安定剤、帯電防止剤、青み付け剤、染料、顔料などの各種の添加剤を併用することも可能である。
(ポリエステル樹脂(2))
ポリエステル樹脂(2)は、ポリエステルの酸成分の50モル%以上およびグリコール成分の50モル%以上、好ましくは、酸成分の70モル%以上およびグリコール成分の70モル%以上、さらに好ましくは、酸成分の80モル%以上およびグリコール成分の80モル%以上、特に好ましくは、酸成分の90モル%以上およびグリコール成分の90モル%以上、最も好ましくはポリエステルの酸成分の95モル%以上およびグリコール成分の95モル%以上が、それぞれ、同一の酸成分および同一のグリコール成分であるポリエステル樹脂である。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物が延伸成形体の用途に用いられる場合には、本発明のポリエステル樹脂(1)は、主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とから得られる熱可塑性ポリエステルであり、好ましくは芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の85モル%以上含むポリエステルであり、より好ましくは芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の90モル%以上含むポリエステルであり、さらに好ましくは芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の93モル%以上含むポリエステルであり、特に好ましくは芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の95モル%以上含むポリエステルである。
本発明に係るポリエステル樹脂(2)を構成するジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニール−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体等が挙げられる。
また本発明に係るポリエステル樹脂(2)を構成するグリコール成分としては、エチレングリコール、1,3−トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール等が挙げられる。
前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としてのジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニール−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが挙げられる。
前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としてのグリコールとしては、ジエチレングリコール、1,3−トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ダイマーグリコール等の脂肪族グリコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,5−ノルボルナンジメチロール等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコール、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコールなどが挙げられる。
さらに、前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としての多官能化合物としては、酸成分として、トリメリット酸、ピロメリット酸等を挙げることができ、グリコール成分としてグリセリン、ペンタエリスリトールを挙げることができる。以上の共重合成分の使用量は、ポリエステルが実質的に線状を維持する程度でなければならない。また、単官能化合物、例えば安息香酸、ナフトエ酸等を共重合させてもよい。
本発明に係るポリエステル樹脂(2)の好ましい一例は、主たる構成単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステルであり、好ましくはエチレンテレフタレート単位を50モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上含み、共重合成分としてイソフタル酸、1,4―シクロヘキサンジメタノール、コハク酸などを含む共重合ポリエステルであり、特に好ましくはエチレンテレフタレート単位を95モル%以上含むポリエステルである。
これらポリエステルの例としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称)、ポリ(エチレンテレフタレート−エチレンイソフタレート)共重合体、ポリ(エチレンテレフタレート−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)共重合体、ポリ(エチレンテレフタレート−ジオキシエチレンテレフタレート)共重合体、ポリ(エチレンテレフタレート−1,3−プロピレンテレフタレート)共重合体、ポリ(エチレンテレフタレート−エチレンシクロヘキシレンジカルボキシレート)共重合体などが挙げられる。
また本発明に係るポリエステル樹脂(2)の好ましいその他の一例は、主たる構成単位がエチレン−2、6−ナフタレートから構成されるポリエステルであり、好ましくはエチレン−2、6−ナフタレート単位を50モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上含むポリエステルであり、特に好ましくは、エチレン−2、6−ナフタレート単位を95モル%以上含むポリエステルである。
これら熱可塑性ポリエステルの例としては、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレート−エチレンテレフタレート)共重合体、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレート−エチレンイソフタレート)共重合体、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレート−ジオキシエチレン−2,6−ナフタレート)共重合体などが挙げられる。
また本発明に係るポリエステル樹脂(2)の好ましいその他の例としては、主たる構成単位が1,3−プロピレンテレフタレートから構成されるポリエステルであり、好ましくは1,3−プロピレンテレフタレート単位を50モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上含むポリエステルであり、特に好ましくは1,3−プロピレンテレフタレート単位を95モル%以上含むポリエステルである。
これらポリエステルの例としては、ポリプロピレンテレフタレート(PTT)、ポリ(1,3−プロピレンテレフタレート−1,3−プロピレンイソフタレート)共重合体、ポリ(1,3−プロピレンテレフタレート−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)共重合体などが挙げられる。
さらにまた本発明に係るポリエステル樹脂(2)の好ましいその他の例としては、主たる構成単位がブチレンテレフタレートから構成されるポリエステルであり、好ましくはブチレンテレフタレート単位を50モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上含むポリエステルであり、特に好ましくはブチレンテレフタレート単位を95モル%以上含むポリエステルである。
これらポリエステルの例としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ(ブチレンテレフタレート−ブチレンイソフタレート)共重合体、ポリ(ブレンテレフタレート−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)共重合体、ポリ(ブチレンテレフタレート−1,3−プロピレンテレフタレート)共重合体、ポリ(ブチレンテレフタレート−ブチレンシクロヘキシレンジカルボキシレート)共重合体などが挙げられる。
また本発明に係るポリエステル樹脂(1)の好ましいその他の例としては、主たる構成単位が1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートから構成されるポリエステルであり、好ましくは1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート単位を50モル%以上、さらに好ましくは1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート単位を80モル%以上、特に好ましいくは1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート単位を90モル%以上含むポリエステルであり、特に好ましくは1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート単位を95モル%以上含むポリエステルである。
これらポリエステルの例としては、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート−エチレンテレフタレート)共重合体などが挙げられる。
また、本発明に係るポリエステル樹脂(1)の好ましいその他の一例は、主たる構成単位が乳酸単位から構成されるポリエステルであり、好ましくは乳酸単位を50モル%以上、さらに好ましくは乳酸単位を80モル%以上、さらに好ましくは乳酸単位を90モル%以上、特に好ましくは乳酸単位を95モル%以上含むポリエステルである。
また、本発明に係るポリエステル樹脂(1)の好ましいその他の一例は、主たる構成単位がグリコール酸単位から構成されるポリエステルであり、好ましくはグリコール酸単位を55モル%以上、さらに好ましくはグリコール酸単位を80モル%以上、さらに好ましくはグリコール酸単位を90モル%以上、特に好ましくはグリコール酸単位を95モル%以上含むポリエステルである。
さらにまた、本発明に係るポリエステル樹脂(1)の好ましいその他の一例は、主たる構成単位がコハク酸単位から構成されるポリエステルであり、好ましくはコハク酸単位を50モル%以上、さらに好ましくはコハク酸単位を80モル%以上、さらに好ましくはコハク酸単位を90モル%以上、特に好ましくはコハク酸単位を95モル%以上含むポリエステルである。特に共重合ポリエステルのグリコール成分の60モル%以上が1,4−ブタンジオールであるポリエステルが好ましい。
代表的な例としてはポリブチレンサクシネートやポリブチレンサクシネート・アジペート共重合ポリエステルが挙げられる。
本発明に係るポリエステル樹脂(2)は、基本的には従来公知の溶融重縮合法、あるいは、この方法で製造されたプレポリマーの固相重合法によって製造することが出来る。溶融重縮合反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。これらは回分式反応装置から構成されていてもよいし、また連続式反応装置から構成されていてもよい。また溶融重縮合工程と固相重合工程は連続的に運転してもよいし、分割して運転してもよい。
以下に、ポリエチレンテレフタレート(PET)を例にして、本発明に係るポリエステル樹脂(2)の好ましい連続式製造方法の一例について説明するが、これに限定されるものではない。即ち、テレフタル酸とエチレングリコール及び必要により他の共重合成分を直接反応させて水を留去してエステル化した後、重縮合触媒の存在下に減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコール及び必要により他の共重合成分を反応させてメチルアルコールを留去してエステル交換させた後、重縮合触媒の存在下に減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造される。また、極限粘度を上げ、また低フレーバー飲料用耐熱容器や飲料用金属缶の内面用フィルム等のように低アセトアルデヒド含有量や低環状3量体含有量とするために、このようにして得られた溶融重縮合されたポリエステルは、引き続き、固相重合される。
前記の出発原料であるテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸またはエチレングリコールとしては、パラキシレンから誘導されるバージンのジメチルテレフタレート、テレフタル酸あるいはエチレンから誘導されるエチレングリコールは勿論のこと、使用済みPETボトルからメタノール分解やエチレングリコール分解などのケミカルリサイクル法により回収したジメチルテレフタレート、テレフタル酸、ビスヒドロキシエチルテレフタレートあるいはエチレングリコールなどの回収原料も、出発原料の少なくとも一部として利用することが出来る。前記回収原料の品質は、使用目的に応じた純度、品質に精製されていなければならないことは言うまでもない。
重縮合反応は、重縮合触媒を用いて行う。重縮合触媒としては、主としてAl、Ti、V、Mn、Fe、Co,Ni、Zn、Nb、Mo、Cd、In、Sn、Ta、Pbからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含む化合物と、必要に応じてGe化合物、Sb化合物などの第2金属化合物から選ばれる少なくとも1種が用いられることが好ましい。これらの化合物は、粉体、水溶液、エチレングリコール溶液、エチレングリコールのスラリー等として反応系に添加される。
Ti化合物としては、具体的には、例えば、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート等のテトラアルキルチタネートおよびそれらの部分加水分解物、酢酸チタン、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウム等の蓚酸チタニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩化チタン、チタンハロゲン化物の加水分解物、シュウ化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸アンモニウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、チタンアセチルアセトナート、チタンおよびケイ素あるいはジルコニウムからなる複合酸化物、チタンアルコキサイドとリン化合物の反応物、チタンアルコキサイドと芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応物にリン化合物を反応させて得た反応生成物等が挙げられる。Ti化合物は、生成ポリマー中のTi残存量として0.1〜50ppmの範囲になるように添加する。
Al化合物としては、具体的には、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アクリル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、トリクロロ酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウムなどのカルボン酸塩、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムn-プロポキサイド、アルミニウムiso-プロポキサイド、アルミニウムn-ブトキサイド、アルミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートジiso-プロポキサイドなどのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらのうちカルボン酸塩、無機酸塩およびキレート化合物が好ましく、これらの中でもさらに塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートがとくに好ましい。
これらのアルミニウム化合物の中でも、アルミニウム含有量が多い酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムが好ましく、さらに溶解度の観点から酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムが好ましい。さらに、装置を腐食しない観点から、酢酸アルミニウムの使用がとくに好ましい。
ここで、水酸化塩化アルミニウムは一般にポリ塩化アルミニウムや塩基性塩化アルミニウムなどとも呼ばれるものの総称であり、水道用に使われるものなどが使用できる。これらは、例えば一般構造式[Al(OH)Cl6−n(ただし1≦n≦5)で表される。これらの中でも、装置を腐食しない観点から塩素含有量の少ないものが好ましい。
上記の酢酸アルミニウムは、塩基性酢酸アルミニウム、トリ酢酸アルミニウム、酢酸アルミニウム溶液などに代表される酢酸のアルミニウム塩の構造を有するものの総称であり、これらの中でも、溶解性および溶液の安定性の観点から、塩基性酢酸アルミニウムの使用が好ましい。塩基性酢酸アルミニウムの中でも、モノ酢酸アルミニウム、ジ酢酸アルミニウム、あるいはこれらがホウ酸で安定化されたものが好ましい。塩基性酢酸アルミニウムの安定剤としては、ホウ酸以外に尿素、チオ尿素などが挙げられる。
上記のアルミニウム化合物は水やグリコールなどの溶剤に可溶化したものが好ましい。本発明で使用できる溶媒とは、水およびアルキレングリコール類である。アルキレングリコール類には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジテトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。好ましくは、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、さらに好ましくはエチレングリコールである。水および/またはエチレングリコールに可溶化したものを用いることが本発明の効果を顕著に発現することができるので好ましい。
Al化合物は、生成ポリマー中のAl残存量として5〜200ppmの範囲になるように添加する。
重縮合触媒としてAl化合物を用いる場合は、リン化合物と併用することが好ましく、このようなP化合物としては、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種のリン化合物であることが好ましい。これらのリン化合物を用いることで触媒活性の向上効果が見られるとともに、ポリエステルの熱安定性等の物性が改善する効果が見られる。これらの中でも、ホスホン酸系化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
本発明で言うホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物とは、それぞれ下記化学式(化1)〜(化6)で表される構造を有する化合物のことを言う。
Figure 2007204742
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本発明で用いられるホスホン酸系化合物としては、例えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベンジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチルなどが挙げられる。本発明で用いられるホスフィン酸系化合物としては、例えば、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、フェニルホスフィン酸フェニルなどが挙げられる。本発明で用いられるホスフィンオキサイド系化合物としては、例えば、ジフェニルホスフィンオキサイド、メチルジフェニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物の中では、本発明で用いられるリン化合物としては、下記化学式(化7)〜(化12)で表される化合物が好ましい。
Figure 2007204742
Figure 2007204742
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Figure 2007204742
Figure 2007204742
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上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
また、本発明で用いられるリン化合物としては、下記化学式(化13)〜(化15)で表される化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が特に大きく好ましい。
Figure 2007204742
Figure 2007204742
Figure 2007204742
(化学式(化13)〜(化15)中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
本発明で用いられるリン化合物としては、上記化学式(化13)〜(化15)中、R、R、R、Rが芳香環構造を有する基である化合物がとくに好ましい。
本発明で用いられるリン化合物としては、例えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベンジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチル、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、フェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィンオキサイド、メチルジフェニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。これらのうちで、フェニルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチルがとくに好ましい。
上述したリン化合物の中でも、本発明では、リン化合物としてリンの金属塩化合物がとくに好ましい。リンの金属塩化合物とは、リン化合物の金属塩であれば特に限定はされないが、ホスホン酸系化合物の金属塩を用いるとポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。リン化合物の金属塩としては、モノ金属塩、ジ金属塩、トリ金属塩などが含まれる。
また、上記したリン化合物の中でも、金属塩の金属部分が、Li、Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、Na、Mgがとくに好ましい。
本発明で用いられるリンの金属塩化合物としては、下記化学式(化16)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
Figure 2007204742
(化学式(化16)中、Rは水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。Rは、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。Rは、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記のRとしては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のRとしては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CHCHOHで表される基などが挙げられる。Rとしては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。
上記化学式(化16)で表される化合物の中でも、下記化学式(化17)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
Figure 2007204742
(化学式(化17)中、Rは水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。Rは、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記のRとしては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。Rとしては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。
上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
上記化学式(化17)の中でも、Mが、Li,Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、Na、Mgがとくに好ましい。
本発明で用いられるリンの金属塩化合物としては、リチウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、カリウム[(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、リチウム[ベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[ベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベリリウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ストロンチウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、マンガンビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベンジルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸]、ナトリウム[(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−クロロベンジルホスホン酸フェニル]、マグネシウムビス[4−クロロベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−アミノベンジルホスホン酸メチル]、マグネシウムビス[4−アミノベンジルホスホン酸メチル]、フェニルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[フェニルホスホン酸エチル]、亜鉛ビス[フェニルホスホン酸エチル]などが挙げられる。これらの中で、リチウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、リチウム[ベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[ベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベンジルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸]がとくに好ましい。
上述したリン化合物の中でも、本発明では、リン化合物としてP−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物がとくに好ましい。これらのリン化合物を含有することでポリエステルの物性改善効果がとくに高まることに加えて、ポリエステルの重合時に、これらのリン化合物を本発明で用いられるアルミニウム化合物と共存して用いることで触媒活性の向上効果が大きく見られる。
P−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物とは、分子内にP−OHを少なくとも一つ有するリン化合物であれば特に限定はされない。これらのリン化合物の中でも、P−OH結合を少なくとも一つ有するホスホン酸系化合物を用いるとアルミニウム化合物との錯体形成が容易になり、ポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
本発明で用いられるP−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物としては、下記一般式(化18)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
Figure 2007204742
(化学式(化18)中、Rは水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。Rは、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記のRとしては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のRとしては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CHCHOHで表される基などが挙げられる。
上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
本発明で用いられるP−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物としては、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、(1−ナフチル)メチルホスホン酸、(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸、(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチル、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、2−メチルベンジルホスホン酸エチル、4−クロロベンジルホスホン酸フェニル、4−アミノベンジルホスホン酸メチル、4−メトキシベンジルホスホン酸エチルなどが挙げられる。これらの中で、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸エチルがとくに好ましい。
本発明で用いられる好ましいリン化合物としては、化学式(化19)であらわされるリン化合物が挙げられる。
Figure 2007204742
(化学式(化19)中、Rは炭素数1〜49の炭化水素基、または水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜49の炭化水素基を表し、R,Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。)
また、更に好ましくは、化学式(化19)中のR,R,Rの少なくとも一つが芳香環構造を含む化合物である。
これらのリン化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2007204742
Figure 2007204742
Figure 2007204742
Figure 2007204742
Figure 2007204742
Figure 2007204742
また、本発明で用いられるリン化合物は、分子量が大きいものの方が重合時に留去されにくいため効果が大きく好ましい。
本発明で用いられるリン化合物は、フェノール部を同一分子内に有するリン化合物であることが好ましい。フェノール部を同一分子内に有するリン化合物を含有することでポリエステルの物性改善効果が高まることに加えて、ポリエステルの重合時にフェノール部を同一分子内に有するリン化合物を用いることで触媒活性を高める効果がより大きく、従ってポリエステルの生産性に優れる。
フェノール部を同一分子内に有するリン化合物としては、フェノール構造を有するリン化合物であれば特に限定はされないが、フェノール部を同一分子内に有する、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上の化合物を用いるとポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらの中でも、一種または二種以上のフェノール部を同一分子内に有するホスホン酸系化合物を用いるとポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果がとくに大きく好ましい。
本発明で用いられるフェノール部を同一分子内に有するリン化合物としては、下記化学式(化26)〜(化28)で表される化合物が好ましい。
Figure 2007204742
Figure 2007204742
Figure 2007204742
(化学式(化26)〜(化28)中、Rはフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基などの置換基およびフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R,R,Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基などの置換基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R,Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基などの置換基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基は分岐構造やシクロヘキシル等の脂環構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。RとRの末端どうしは結合していてもよい。)
本発明で用いられるフェノール部を同一分子内に有するリン化合物としては、例えば、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジメチル、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジエチル、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸メチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸メチル、p−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸メチル、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸フェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキサイド、トリス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキサイド、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メチルホスフィンオキサイド、および下記化学式(化29)〜(化32)で表される化合物などが挙げられる。これらのうちで、下記化学式(化31)で表される化合物およびp−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジメチルが特に好ましい。
Figure 2007204742
Figure 2007204742
Figure 2007204742
Figure 2007204742
上記の化学式(化31)にて示される化合物としては、SANKO−220(三光株式会社製)があり、使用可能である。
本発明で用いられるフェノール部を同一分子内に有するリン化合物の中でも、下記化学式(化33)で表される特定のリンの金属塩化合物から選択される少なくとも一種がとくに好ましい。
Figure 2007204742
(化学式(化33)中、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。Rは、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。Rは、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。Rとしては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
これらの中でも、下記化学式(化34)で表される化合物から選択される少なくとも一種が好ましい。
Figure 2007204742
(化学式(化34)中、Mn+はn価の金属カチオンを表す。nは1,2,3または4を表す。)
上記化学式(化33)または(化34)の中でも、Mが、Li,Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、Na、Mgがとくに好ましい。
本発明で用いられる特定のリンの金属塩化合物としては、リチウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸]、カリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸]、ベリリウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチル]、ストロンチウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、バリウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニル]、マンガンビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ニッケルビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、銅ビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、亜鉛ビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]などが挙げられる。これらの中で、リチウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]がとくに好ましい。
本発明で用いられるフェノール部を同一分子内に有するリン化合物の中でも、下記化学式(化35)で表されるP−OH結合を少なくとも一つ有する特定のリン化合物から選択される少なくとも一種がとくに好ましい。
Figure 2007204742
(化学式(化35)中、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。Rは、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
これらの中でも、下記化学式(化36)で表される化合物から選択される少なくとも一種が好ましい。
Figure 2007204742
(化学式(化36)中、Rは、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記のRとしては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CHCHOHで表される基などが挙げられる。
本発明で用いられるP−OH結合を少なくとも一つ有する特定のリン化合物としては、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸イソプロピル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸オクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸などが挙げられる。これらの中で、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチルがとくに好ましい。
本発明で用いられるフェノール部を同一分子内に有するリン化合物の中でも、下記化学式(化37)で表される特定のリン化合物から選ばれる少なくとも一種のリン化合物が好ましい。
Figure 2007204742
(上記化学式(化37)中、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記化学式(化37)の中でも、下記化学式(化38)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いるとポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果が高く好ましい。
Figure 2007204742
(上記化学式(化38)中、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記化学式のR、Rとしては例えば、水素、メチル基、ブチル基等の短鎖の脂肪族基、オクタデシル等の長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基等の芳香族基、−CHCHOHで表される基などが挙げられる。
本発明で用いられる特定のリン化合物としては、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジイソプロピル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジ−n−ブチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジフェニルなどが挙げられる。これらの中で、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジフェニルがとくに好ましい。
本発明で用いられるフェノール部を同一分子内に有するリン化合物の中でも、本発明でとくに望ましい化合物は、化学式(化39)、(化40)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種のリン化合物である。
Figure 2007204742
Figure 2007204742
上記の化学式(化39)にて示される化合物としては、Irganox1222(チバ・スペシャルティーケミカルズ社製)が市販されており、また化学式(化40)にて示される化合物としてはIrganox1425(チバ・スペシャルティーケミカルズ社製)が市販されており、使用可能である。
本発明で使用できるその他のリン化合物としては、下記する化学式(化41)、(化42)で表される連結基(X)を有するホスホン酸系あるいは(化43)で表される連結基(X)を有さないホスホン酸系などが挙げられる。
本発明で使用できる広範な連結基(X)を有するリン化合物である式(化41)で表されるリン化合物は次のようなものである。
[化41] R−X−(P=O)(OR)(OR
[連結基を有する前記化学式(化41)中、Rは炭素数6〜50の芳香環構造あるいは炭素数4〜50の複素環構造を表し、前記芳香環構造あるいは複素環構造は置換基を有していてもよい。Xは連結基であり、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素(直鎖状あるいは分岐構造あるいは脂環構造であってもかまわない)、あるいは置換基を含有する炭素数1〜10の脂肪族炭化水素(直鎖状あるいは分岐構造あるいは脂環構造であってもかまわない)、−O−、−OCH−、−SO−、−CO−、−COCH−、−CHOCO−、−NHCO−、−NH−、−NHCONH−、−NHSO−、−NHCOCHCHO−から選ばれる。また、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜20の炭化水素基を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を有していてもよい。]
化学式(化41)で表されるリン化合物の芳香環構造および複素環構造の置換基が、炭素数1〜50の炭化水素基(直鎖状であっても脂環構造、分岐構造、芳香環構造であってもよく、これらがハロゲン置換されたものであってもよい)または水酸基またはハロゲン基または炭素数1〜10のアルコキシル基またはアミノ基(炭素数1〜10のアルキルあるいはアルカノール置換されていてもかまわない)あるいはニトロ基あるいはカルボキシル基あるいは炭素数1〜10の脂肪族カルボン酸エステル基あるいはホルミル基あるいはアシル基あるいはスルホン酸基、スルホン酸アミド基(炭素数1〜10のアルキルあるいはアルカノール置換されていてもかまわない)、ホスホリル含有基、ニトリル基、シアノアルキル基、から選ばれる1種もしくは2種以上である。
化学式(化41)で表されるリン化合物には次のようなものが挙げられる。具体的には、ベンジルホスホン酸、ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、1−ナフチルメチルホスホン酸、1−ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−ナフチルメチルホスホン酸、2−ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、4−フェニル,ベンジルホスホン酸、4−フェニル,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2−フェニル,ベンジルホスホン酸、2−フェニル,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−クロル,ベンジルホスホン酸、4−クロル,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−クロル,ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−メトキシ,ベンジルホスホン酸、4−メトキシ,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−メトキシ,ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−メチル,ベンジルホスホン酸、4−メチル,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−メチル,ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−ニトロ,ベンジルホスホン酸、4−ニトロ,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−ニトロ,ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−アミノ,ベンジルホスホン酸、4−アミノ,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−アミノ,ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2−メチル,ベンジルホスホン酸、2−メチル,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2−メチル,ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、10−アンスラニルメチルホスホン酸、10−アンスラニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、10−アンスラニルメチルホスホン酸ジエチルエステル、(4−メトキシフェニル−,エトキシ−)メチルホスホン酸、(4−メトキシフェニル−,エトキシ−)メチルホスホン酸モノメチルエステル、(4−メトキシフェニル−,エトキシ−)メチルホスホン酸ジメチルエステル、(フェニル−,ヒドロキシ−)メチルホスホン酸、(フェニル−,ヒドロキシ−)メチルホスホン酸モノエチルエステル、(フェニル−,ヒドロキシ−)メチルホスホン酸ジエチルエステル、(フェニル−,クロル−)メチルホスホン酸、(フェニル−,クロル−)メチルホスホン酸モノエチルエステル、(フェニル−,クロル−)メチルホスホン酸ジエチルエステル、(4−クロルフェニル)−イミノホスホン酸、(4−クロルフェニル)−イミノホスホン酸モノエチルエステル、(4−クロルフェニル)−イミノホスホン酸ジエチルエステル、(4−ヒドロキシフェニル−,ジフェニル−)メチルホスホン酸、(4−ヒドロキシフェニル−,ジフェニル−)メチルホスホン酸モノエチルエステル、(4−ヒドロキシフェニル−,ジフェニル−)メチルホスホン酸ジエチルエステル、(4−クロルフェニル−,ヒドロキシ−)メチルホスホン酸、(4−クロルフェニル−,ヒドロキシ−)メチルホスホン酸モノメチルエステル、(4−クロルフェニル−,ヒドロキシ−)メチルホスホン酸ジメチルエステル、その他、複素環を含有するリン化合物としては、2−ベンゾフラニルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−ベンゾフラニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−ベンゾフラニルメチルホスホン酸、2−(5−メチル)ベンゾフラニルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(5−メチル)ベンゾフラニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−(5−メチル)ベンゾフラニルメチルホスホン酸などが挙げられる。上記の連結基を有するリン化合物は、重合活性の点で好ましい態様である。
本発明で使用できる連結基(X=−(CH−)を有する化学式(化41)で表されるリン化合物は次のようなものである。
[化42] (R−R1−(CH−(P=O)(OR)(OR
[化学式(化42)中、Rは、水酸基、C1〜C10のアルキル基、−COOH基あるいは−COOR(Rは、C1〜C4のアルキル基を表す)、アルキレングリコール基あるいはモノアルコキシアルキレングリコール基を表す(モノアルコキシはC1〜C4を、アルキレングリコールはC1〜C4のグリコールを表す)。Rはベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ジフェニルスルホン、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ジフェニルケトン、アントラセン、フェナントレンおよびピレンなどの芳香環構造を表す。RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、C1〜C4の炭化水素基を表す。mは1〜5の整数を表し、Rが複数個の場合、同一置換基あるいは異なる置換基の組合せであってもかまわない。nは0あるいは1〜5の整数を表す。]
本発明で用いられる化学式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がベンゼンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、2−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2−ヒドロキシベンジルホスホン酸、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸、6−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、6−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、6−ヒドロキシベンジルホスホン酸などのベンゼン環に水酸基を導入したベンジルホスホン酸類が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
2−n−ブチルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2−n−ブチルベンジルホスホン酸モノメチルエステル、2−n−ブチルベンジルホスホン酸、3−n−ブチルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3−n−ブチルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3−n−ブチルベンジルホスホン酸、4−n−ブチルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−n−ブチルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−n−ブチルベンジルホスホン酸、2,5−n−ジブチルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2,5−n−ジブチルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2,5−n−ジブチルベンジルホスホン酸、3,5−n−ジブチルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3,5−n−ジブチルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3,5−n−ジブチルベンジルホスホン酸などのベンゼン環にアルキルを導入したベンジルホスホン酸類が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
さらに、2−カルボキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2−カルボキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2−カルボキシベンジルホスホン酸、3−カルボキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3−カルボキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3−カルボキシベンジルホスホン酸、4−カルボキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−カルボキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−カルボキシベンジルホスホン酸、2,5−ジカルボキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2,5−ジカルボキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2,5−ジカルボキシベンジルホスホン酸、3,5−ジカルボキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3,5−ジカルボキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3,5−ジカルボキシベンジルホスホン酸、2−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸、3−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸、4−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸、2,5−ジメトキシカルボニルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2,5−ジメトキシカルボニルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2,5−ジメトキシカルボニルベンジルホスホン酸、3,5−ジメトキシカルボニルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3,5−ジメトキシカルボニルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3,5−ジメトキシカルボニルベンジルホスホン酸などのベンゼン環にカルボキル基あるいはカルボン酸エステル基を導入したベンジルホスホン酸類が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
さらに、2−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、3−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、2,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、3,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、2−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、1−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、3−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノメチルエステル、3−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、4−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、2,5−ジ(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2,5−ジ(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2,5−ジ(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、3,5−ジ(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3,5−ジ(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3,5−ジ(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸などのベンゼン環にアルキレングリコール基あるいはモノアルコキシ化アルキレングリコール基を導入したベンジルホスホン酸類が挙げられる。
本発明でのベンジル系リン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明で用いられる化学式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がナフタレンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、1−(5−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸、1−(5−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸、1−(5−n−ブチル)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−n−ブチル)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−n−ブチル)ナフチルメチルホスホン酸、1−(4−カルボキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(4−カルボキシ)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(4−カルボキシ)ナフチルメチルホスホン酸、1−(4−メトキシカルボニル)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(4−メトキシカルボニル)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(4−メトキシカルボニル)ナフチルメチルホスホン酸、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)]ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)]ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)]ナフチルメチルホスホン酸、1−(4−メトキシエトキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(4−メトキシエトキシ)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(4−メトキシエトキシ)ナフチルメチルホスホン酸、1−(5−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(6−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(6−ヒドロキシ)ナフチルモノエチルホスホン酸、2−(6−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸、2−(6−n−ブチル)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(6−n−ブチル)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−(6−n−ブチル)ナフチルメチルホスホン酸、2−(6−カルボキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(6−カルボキシ)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−(6−カルボキシ)ナフチルメチルホスホン酸、2−(6−メトキシカルボニル)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(6−メトキシカルボニル)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−(6−メトキシカルボニル)ナフチルメチルホスホン酸、2−[6−(2−ヒドロキシエトキシ)]ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−[6−(2−ヒドロキシエトキシ)]ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−[6−(2−ヒドロキシエトキシ)]ナフチルメチルホスホン酸、2−(6−メトキシエトキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(6−メトキシエトキシ)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−(6−メトキシエトキシ)ナフチルメチルホスホン酸などのナフタレン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノアルコキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明でのナフタレン系リン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明で用いられる化学式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がビフェニルであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、4−(4−ヒドロキシフェニル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−n−ブチルフェニル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−n−ブチルフェニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−n−ブチルフェニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−カルボキシフェニル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシカルボニルフェニル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシエトキシフェニル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニル)ベンジルホスホン酸などのビフェニル環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明でのビフェニル系リン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明で用いられる化学式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルエーテルであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、4−(4−ヒドロキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸、4−(4−n−ブチルフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−n−ブチルフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ブチルフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸、4−(4−カルボキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシカルボニルフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸、4−(4−ヒドロキシエトキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシエトキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸などのジフェニルエーテル環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明でのジフェニルエーテル系リン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明で用いられる化学式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニチオエーテルであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、4−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸、4−(4−n−ブチルフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−n−ブチルフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ブチルフェニルチオ)ベンジルホスホン酸、4−(4−カルボキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシカルボニルフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルチオ)ベンジルホスホン酸、4−(4−ヒドロキシエトキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシエトキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸などのジフェニルチオエーテル環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明でのジフェニルチオエーテル系リン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明で用いられる化学式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルスルホンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−n−ブチルフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−n−ブチルフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ブチルフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−カルボキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシカルボニルフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−ヒドロキシエトキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシエトキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸などのジフェニルスルホン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明でのジフェニルスルホン系リン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明で用いられる化学式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルメタンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、4−(4−ヒドロキシベンジル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシベンジル)ベンジルホスホン酸、4−(4−n−ブチルベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−n−ブチルベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ブチルベンジル)ベンジルホスホン酸、4−(4−カルボキシベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシベンジル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシカルボニルベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルベンジル)ベンジルホスホン酸、4−(4−ヒドロキシエトキシベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシベンジル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシエトキシベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシベンジル)ベンジルホスホン酸などのジフェニルメタン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明でのジフェニルメタン系リン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明で用いられる化学式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルジメチルメタンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、4−(4−ヒドロキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸、4−(4−n−ブチルフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−n−ブチルフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ブチルフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸、4−(4−カルボキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシカルボニルフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸、4−(4−ヒドロキシエトキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシエトキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸などのジフェニルメタン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明でのジフェニルジメチルメタン系リン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明で用いられる化学式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルケトンであるリン化合物としては、次のようなものが挙げられる。すなわち、4−(4−ヒドロキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸、4−(4−n−ブチルベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−n−ブチルベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ブチルベンゾイル)ベンジルホスホン酸、4−(4−カルボキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシカルボニルベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルベンゾイル)ベンジルホスホン酸、4−(4−ヒドロキシエトキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシエトキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸などのジフェニルケトン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明でのジフェニルケトン系リン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明で用いられる化学式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がアンスラセンであるリン化合物としては、次のようなものが挙げられる。すなわち、9−(10−ヒドロキシ)アンスリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、9−(10−ヒドロキシ)アンスリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、9−(10−ヒドロキシ)アンスリルメチルホスホン酸、9−(10−n−ブチル)アンスリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、9−(10−n−ブチル)アンスリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、9−(10−n−ブチル)アンスリルイルメチルホスホン酸、9−(10−カルボキシ)アンスリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、9−(10−カルボキシ)アンスリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、9−(10−カルボキシ)アンスリルメチルホスホン酸、9−(10−カルボキシ)9−(2−ヒドロキシエトキシ)アンスリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、9−(2−ヒドロキシエトキシ)アンスリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、9−(2−ヒドロキシエトキシ)アンスリルメチルホスホン酸、9−(2−メトキシエトキシ)アンスリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、9−(2−メトキシエトキシ)アンスリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、9−(2−メトキシエトキシ)アンスリルメチルホスホン酸、9−(2−メトキシカルボニル)アンスリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、9−(2−メトキシカルボニル)アンスリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、9−(2−メトキシカルボニル)アンスリルメチルホスホン酸などのアンスラセン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明でのアンスラセン系リン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明で用いられる化学式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がフェナントレンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、1−(7−n−ブチル)フェナントリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(7−n−ブチル)フェナントリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(7−n−ブチル)フェナントリルメチルホスホン酸、1−(7−カルボキシ)フェナントリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(7−カルボキシ)フェナントリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(7−カルボキシ)フェナントリルメチルホスホン酸、1−(7−ヒドロキシエトキシ)フェナントリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(7−ヒドロキシエトキシ)フェナントリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(7−ヒドロキシエトキシ)フェナントリルメチルホスホン酸、1−(7−メトキシエトキシ)フェナントリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(7−メトキシエトキシ)フェナントリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(7−メトキシエトキシ)フェナントリルメチルホスホン酸、1−(7−メトキシカルボニル)フェナントリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(7−メトキシカルボニル)フェナントリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(7−メトキシカルボニル)フェナントリルメチルホスホン酸などのフェナントレン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明でのフェナントレン系リン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明で用いられる化学式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がピレンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、1−(5−ヒドロキシ)ピレニルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−ヒドロキシ)ピレニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−ヒドロキシ)ピレニルメチルホスホン酸、1−(5−n−ブチル)ピレニリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−n−ブチル)ピレニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−n−ブチル)ピレニルメチルホスホン酸、1−(5−カルボキシ)ピレニルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−カルボキシ)ピレニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−カルボキシ)ピレニルメチルホスホン酸、1−(5−ヒドロキシエトキシ)ピレニルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−ヒドロキシエトキシ)ピレニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−ヒドロキシエトキシ)ピレニルメチルホスホン酸、1−(5−メトキシエトキシ)ピレニルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−メトキシエトキシ)ピレニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−メトキシエトキシ)ピレニルメチルホスホン酸、1−(5−メトキシカルボニル)ピレニルルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−メトキシカルボニル)ピレニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−メトキシカルボニル)ピレニルメチルホスホン酸などのピレン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明でのピレン系リン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
上記一連の芳香環に導入されるヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基などの置換基は、ポリエステルの重合時のアルミニウム原子との錯体形成に深く関わるものと推定される。また、ポリエステル形成時の官能基であるカルボキシル基あるいは水酸基と類似のものも含まれており、ポリエステルマトリックス中に溶解または取り込まれやすいため、重合活性、異物低減などに特に有効であると考えられる。
芳香環構造(R)に結合したRが水素原子である未置換基に比べ、本発明で用いられるC1〜C10のアルキル基、−COOH基あるいは−COOR(Rは、C1〜C4のアルキル基を表す)、アルキレングリコール基あるいはモノアルコキシアルキレングリコール基(モノアルコキシはC1〜C4を、アルキレングリコールはC1〜C4のグリコールを表す)で置換されたリン化合物は、触媒活性を改善するだけでなく、異物低減効果の点で好ましい。
芳香環構造に結合した置換基は、C1〜C10のアルキル基、カルボキシルおよびカルボキシルエステル基、アルキレングリコールおよびモノアルコキシアルキレングリコールなどが挙げられる。異物低減効果の点でより好ましくは、カルボキシルおよびカルボキシルエステル基、アルキレングリコールおよびモノアルコキシアルキレングリコールである。その理由は不明であるが、ポリエステルおよび触媒の媒体であるアルキレングリコールとの相溶性が改善されることによると推測している。
本発明で使用できる連結基(X)を持たないリン化合物である化学式(化43)で表されるリン化合物は次のようなものである。
[化43] R−(P=O)(OR)(OR
[一方、連結基(X)のない上記化学式(化43)で表されるリン化合物中、Rは炭素数6〜50の芳香環構造あるいは炭素数4〜50の複素環構造を表し、前記芳香環構造あるいは複素環構造は置換基を有していてもよい。RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜20の炭化水素基を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を有していてもよい。
化学式(化43)で表されるリン化合物の芳香環構造および複素環構造の置換基が、炭素数1〜50の炭化水素基(直鎖状であっても脂環構造、分岐構造、芳香環構造であってもよく、これらがハロゲン置換されたものであってもよい)または水酸基またはハロゲン基または炭素数1〜10のアルコキシル基またはアミノ基(炭素数1〜10のアルキルあるいはアルカノール置換されていてもかまわない)あるいはニトロ基あるいはカルボキシル基あるいは炭素数1〜10の脂肪族カルボン酸エステル基あるいはホルミル基あるいはアシル基あるいはスルホン酸基、スルホン酸アミド基(炭素数1〜10のアルキルあるいはアルカノール置換されていてもかまわない)、ホスホリル含有基、ニトリル基、シアノアルキル基から選ばれる1種もしくは2種以上である。また、前記化学式(化43)の芳香環構造がベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ジフェニルスルホン、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、アントラセン、フェナントレンおよびピレンから選ばれる。および前記複素環構造がフラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、ナフタランおよびフタリドから選ばれる。また、上記式(化43)中のRおよびRの少なくとも一方が水素原子であることが好ましい。]
本発明で使用できる化学式(化43)で表されるリン化合物としては、下記のリン化合物などが挙げられる。すなわち、(3−ニトロ,5−メチル)−フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(3−ニトロ,5−メチル)−フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(3−ニトロ,5−メチル)−フェニルホスホン酸、(3−ニトロ,5−メトキシ)−フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(3−ニトロ,5−メトキシ)−フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(3−ニトロ,5−メトキシ)−フェニルホスホン酸、(4−クロル)−フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(4−クロル,)−フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(4−クロル)−フェニルホスホン酸、(5−クロル,)−フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(5−クロル,)−フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(5−クロル,)−フェニルホスホン酸、(3−ニトロ,5−メチル)−フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(3−ニトロ,5−メチル)−フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(3−ニトロ,5−メチル)−フェニルホスホン酸、(4−ニトロ)−フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(4−ニトロ)−フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(4−ニトロ)−フェニルホスホン酸、(5−ニトロ)−フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(5−ニトロ)−フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(5−ニトロ)−フェニルホスホン酸、(6−ニトロ)−フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(6−ニトロ)−フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(6−ニトロ)−フェニルホスホン酸、(4−ニトロ,6−メチル)−フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(4−ニトロ,6−メチル)−フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(4−ニトロ,6−メチル)−フェニルホスホン酸、その他、式(化42)で表されるリン化合物において、上述のベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ジフェニルスルホン、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ジフェニルケトン、アントラセン、フェナントレンおよびピレンなどの芳香環構造を有するそれぞれの構造式から連結基であるメチレン鎖すなわち、−CH−を取り除いたリン化合物群、さらに複素環含有リン化合物として、5−ベンゾフラニルホスホン酸ジエチルエステル、5−ベンゾフラニルホスホン酸モノエチルエステル、5−ベンゾフラニルホスホン酸、5−(2−メチル)ベンゾフラニルホスホン酸ジエチルエステル、5−(2−メチル)ベンゾフラニルホスホン酸モノエチルエステル、5−(2−メチル)ベンゾフラニルホスホン酸などが挙げられる。上述の連結基を有しないリン化合物は、前述の連結基を有するリン化合物に比べ重合活性は若干劣るが、本発明で説明する触媒調製法を使用した場合、ポリエステル重合触媒として使用することは可能である。
本発明においては、上記リン化合物が、予め水およびアルキレングリコールからなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒中で加熱処理されたものを用いることが好ましい実施態様である。前記処理により前記のアルミニウムやアルミニウム化合物に上記のリン化合物を併用することによる重縮合触媒活性が向上すると共に、前記重縮合触媒起因の異物形成性が低下する。
リン化合物を予め加熱処理する時に使用する溶媒としては、水およびアルキレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種であれば限定されず任意であるが、リン化合物を溶解する溶媒を用いることが好ましい。アルキレングリコールとしては、エチレングリコール等の目的とするポリエステルの構成成分であるグリコールを用いることが好ましい。溶媒中での加熱処理は、リン化合物を溶解してから行うのが好ましいが、完全に溶解していなくてもよい。また、加熱処理の後に、化合物がもとの構造を保持している必要はなく、加熱処理による変性で溶媒に対する溶解性が向上するものであっても構わない。
加熱処理の温度は特に限定はされないが、20〜250℃の範囲であることが好ましい。より好ましくは、100〜200℃の範囲である。温度の上限は、用いる溶媒の沸点付近とすることが好ましい。加熱時間は、温度等の条件によっても異なるが、溶媒の沸点付近の温度だと1分〜50時間の範囲であることが好ましく、より好ましくは30分〜10時間、さらに好ましくは1〜5時間の範囲である。加熱処理の系の圧力は常圧、もしくはそれ以上あるいは以下であってもよく特に限定されない。溶液の濃度は、リン化合物として1〜500g/lであることが好ましく、より好ましくは5〜300g/l、さらに好ましくは10〜100g/lである。加熱処理は窒素等の不活性気体の雰囲気下で行うことが好ましい。加熱後の溶液もしくはスラリーの保管温度は特に限定はされないが、0℃〜100℃の範囲であることが好ましく、20℃〜60℃の範囲であることがより好ましい。溶液の保管は窒素等の不活性気体の雰囲気下で行うことが好ましい。
リン化合物を予め溶媒中で加熱処理する際に、本発明で用いられるアルミニウムまたはその化合物を共存してもよい。また、リン化合物を予め溶媒中で加熱処理したものに、本発明で用いられるアルミニウムまたはその化合物を粉状、溶液状、あるいはスラリー状として添加してもよい。さらに、添加後の溶液またはスラリーを加熱処理してもよい。これらの操作で得られた溶液もしくはスラリーを本発明に係る重縮合触媒として用いることが可能である。95質量%以上がグリコール成分よりなる溶媒に溶解あるいは分散して添加するのが好ましい。
本発明におけるリン化合物の使用量としては、得られるポリエステルのカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対して0.0001〜0.1モル%が好ましく、0.005〜0.05モル%であることがさらに好ましい。
Mn化合物としては、酢酸マンガン、安息香酸マンガン等の有機酸塩、塩化マンガン等の塩化物、マンガンメトキサイド等のアルコキサイド、マンガンアセチルアセトナ−ト等が挙げられる。
Fe化合物としては、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酢酸第一鉄、酢酸第二鉄などが挙げられる。
Co化合物としては、酢酸コバルトのような低級脂肪酸塩、ナフテン酸コバルト、安息香酸コバルト等の有機酸塩、塩化コバルト等の塩化物、コバルトアセチルアセトネ−ト等が挙げられる。
Zn化合物としては、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛等の有機酸塩、塩化亜鉛等の塩化物、亜鉛メトキサイド等のアルコキサイド、亜鉛アセチルアセトナ−ト等が挙げられる。
Sn化合物としては、塩化第一錫、塩化第二錫、硫酸第一錫、酸化第一錫、酸化第二錫、テトラフェニル錫、オクタン酸第一錫、酢酸第一錫、酢酸第二錫、ジブチルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、トリエチルスズハイドロオキサイド、モノブチルヒドロキシスズオキサイド、トリイソブチルスズアセテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズサルファイド、ジブチルヒドロキシスズオキサイド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸などが挙げられる。
また、本発明に係るポリエステル樹脂(2)の製造方法においては、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を併用してもよい。アルカリ金属、アルカリ土類金属としては、Li,Na,K,Rb,Cs,Be,Mg,Ca,Sr,Baから選択される少なくとも1種であることが好ましく、アルカリ金属ないしその化合物の使用がより好ましい。アルカリ金属ないしその化合物を使用する場合、特にLi,Na,Kの使用が好ましい。アルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物としては、例えば、これら金属のギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蓚酸などの飽和脂肪族カルボン酸塩、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和脂肪族カルボン酸塩、安息香酸などの芳香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸などのハロゲン含有カルボン酸塩、乳酸、クエン酸、サリチル酸などのヒドロキシカルボン酸塩、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、炭酸水素、リン酸水素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水素酸、塩素酸、臭素酸などの無機酸塩、1−プロパンスルホン酸、1−ペンタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸塩、ラウリル硫酸などの有機硫酸塩、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシなどのアルコキサイド、アセチルアセトネートなどとのキレート化合物、水素化物、酸化物、水酸化物などが挙げられる。
前記のアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物は、粉体、水溶液、エチレングリコール溶液等として反応系に添加される。アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物は、生成ポリマー中のこれらの元素の残存量として1〜100ppmの範囲になるように添加する。
本発明に係るポリエステル樹脂(2)を製造する際に使用できる第2金属化合物には、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、アンチモン、ゲルマニウム、タンタル、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、珪素、鉄、ニッケル、ガリウムおよびそれらの化合物などがある。
アンチモン化合物は、重合して得られるポリエステルに対してアンチモン原子として50ppm以下の量で添加することが好ましい。より好ましい添加量は、30ppm以下である。アンチモンの添加量を50ppm超にすると、金属アンチモンの析出が起こり、ポリエステルに黒ずみや異物が発生するため好ましくない。
ゲルマニウム化合物は、重合して得られるポリエステルに対してゲルマニウム原子として20ppm以下の量で添加することが好ましい。より好ましい添加量は10ppm以下である。ゲルマニウムの添加量を20ppm超にすると、コスト的に不利になるため好ましくない。
本発明において使用可能なアンチモン化合物としては、特に限定はされないが、好適な化合物として三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリコキサイドなどが挙げられ、特に三酸化アンチモンの使用が好ましい。また、ゲルマニウム化合物としては、特に限定はされないが、二酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウムなどが挙げられ、特に二酸化ゲルマニウムが好ましい。二酸化ゲルマニウムとしては結晶性のものと非晶性のものの両方が使用できる。
これらの化合物の添加が前述のようなポリエステル樹脂(2)の特性、加工性、色調など製品に問題を生じない添加量の範囲内において共存させて用いることは、重縮合時間の短縮による生産性を向上させる際に有効であり、好ましい。
前記のようにして得られた溶融重縮合ポリエステルは、例えば、溶融重縮合終了後にダイス細孔より溶融ポリエステルを水中に押出して水中でカットする方式、あるいは溶融重縮合終了後にダイス細孔より空気中にストランド状に押出した後、冷却水で冷却しながらチップ化する方式によって柱状、球状、角状や板状の形態にチップ化される。
また、前記の溶融重縮合ポリエステルのチップ化時の冷却水としては、前記の(1)〜(4)の少なくとも一つを満足する冷却水を用いることが好ましく、さらには(1)〜(4)のすべてを満足する水を用いることが最も好ましい。
本発明に係るポリエステル樹脂(2)、特に、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステル樹脂(2)の極限粘度は、0.55〜1.50デシリットル/グラム、好ましくは0.60〜1.30デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.65〜1.00デシリットル/グラム、最も好ましくは0.70〜0.85デシリットル/グラムの範囲である。ポリエステル樹脂の極限粘度が0.55デシリットル/グラム未満では、得られた成形体等の機械的特性が悪い。また、ポリエステル樹脂の極限粘度が1.50デシリットル/グラムを越える場合は、成形機等による溶融時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加し、成形体が黄色に着色する等の問題が起こる。
また本発明に係るポリエステル樹脂(2)、特に、主たる繰り返し単位が1,3−プロピレンテレフタレ−トから構成されるポリエステル樹脂(2)の極限粘度は、0.50〜1.30デシリットル/グラム、好ましくは0.55〜1.20デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.60〜1.00デシリットル/グラムの範囲である。極限粘度が0.50デシリットル/グラム未満では、得られた成形体の弾性回復および耐久性が悪くなり問題である。また極限粘度の上限値は、1.30デシリットル/グラムであり、これを越える場合は、成形体成形時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなり、分子量の低下が激しく、また黄色に着色する等の問題が起こる。
また、本発明に係るポリエステル樹脂(2)、特に、主たる繰り返し単位がエチレン−2,6−ナフタレートから構成されるポリエステル樹脂(2)の極限粘度は、0.40〜1.00 デシリットル/グラム、好ましくは0.42〜0.90デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.45〜0.80デシリットル/グラムの範囲である。IVが0.40デシリットル/グラム未満では、得られた成形体などの機械的特性が悪い。また、1.00 デシリットル/グラムを超える場合は、成形機などによる溶融時の樹脂温度を高くする必要が生じるため熱分解を伴うようになり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子化合物の増加、成形体が黄色に着色するなどの問題点が起こる。
また、本発明に係るポリエステル樹脂(2)、特に、主たる繰り返し単位がブチレンテレフタレートから構成されるポリエステル樹脂(2)の極限粘度は、0.50〜1.50 デシリットル/グラム、好ましくは0.55〜1.00デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.60〜0.80デシリットル/グラムの範囲である。IVが0.50デシリットル/グラム未満では、得られた成形体などの機械的特性が悪い。また、1.50 デシリットル/グラムを超える場合は、成形機などによる溶融時の樹脂温度を高くする必要が生じるため熱分解を伴うようになり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子化合物の増加、成形体が黄色に着色するなどの問題点が起こる。
また、ポリ乳酸などの生分解性ポリエステルの数平均分子量は10000〜200000、好ましくは12000〜180000、さらに好ましくは15000〜150000範囲である。10000未満では、得られた成形体などの機械的特性が悪く実用に耐えない。また、200000を超える場合は、成形機などによる溶融時の樹脂温度を高くする必要が生じるため熱分解を伴うようになり、成形時の分子量の低下が激しく、成形体が黄色に着色するなどの問題点が起こる。
また、本発明に係るポリエステル樹脂(2)に共重合されたジアルキレングリコール含有量は、前記ポリエステルを構成するグリコ−ル成分の好ましくは0.5〜7.0モル%、より好ましくは1.0〜6.0モル%、さらに好ましくは1.0〜5.0モル%であることが望ましい。ジアルキレングリコ−ル量が7.0モル%を越える場合は、熱安定性が悪くなり、成形時に分子量低下が大きくなったり、また、アルデヒド類の含有量の増加量が大となり好ましくない。またジアルキレングリコ−ル含有量が0.5モル%未満のポリエステルを製造するには、エステル交換条件、エステル化条件あるいは重合条件として非経済的な製造条件を選択することが必要となり、コストが合わない。ここで、ポリエステル中に共重合されたジアルキレングリコールとは、例えば、主たる構成単位がエチレンテレフタレ−トであるポリエステルの場合には、グリコールであるエチレングリコールから製造時に副生したジエチレングリコ−ルのうちで、前記ポリエステルに共重合したジエチレングリコ−ル(以下、DEGと略称する)のことであり、1,3−プロピレンテレフタレ−トを主たる構成単位とするポリエステルの場合には、グリコールである1,3−プロピレングリコールから製造時に副生したジ(1,3−プロピレングリコ−ル)(またはビス(3−ヒドロキシプロピル)エーテル)のうちで、前記ポリエステルに共重合したジ(1,3−プロピレングリコ−ル(以下、DPGと称する))のことである。
そして本発明に係るポリエステル樹脂(2)、特に、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレ−トから構成されるポリエステルに共重合されたジエチレングリコール含有量は、前記のポリエステル樹脂を構成するグリコール成分の1.0〜5.0モル%、好ましくは1.3〜4.5モル%、更に好ましくは1.5〜4.0モル%であることが望ましい。ジエチレングリコール含有量が5.0モル%を越える場合は、熱安定性が悪くなり、成形時に分子量低下が大きくなったり、またアセトアルデヒド含有量の増加量が大となり好ましくない。またジエチレングリコール含有量が1.0モル%未満の場合は、得られた成形体の透明性が悪くなる。
また、本発明に係るポリエステル樹脂(2)のアセトアルデヒドなどのアルデヒド類の含有量は、50ppm以下、好ましくは30ppm以下、より好ましくは10ppm以下であることが望ましい。アルデヒド類含有量が50ppmを超える場合は、このポリエステル樹脂組成物から成形された成形体等の内容物の香味保持性の効果が悪くなる。また、これらの下限は製造上の問題から、0.1ppbであることが好ましい。
ここで、アルデヒド類とは、ポリエステルがエチレンテレフタレ−トを主たる構成単位とするポリエステルやエチレン−2,6−ナフタレートを主たる構成単位とするポリエステルなどのようにエチレングリコ−ルをグリコール成分の主要成分とするポリエステルの場合はアセトアルデヒドやホルムアルデヒドであり、1,3−プロピレンテレフタレ−トを主たる構成単位とするポリエステルの場合はアリルアルデヒドであり、さらにブチレンテレフタレートを主たる構成単位とするポリエステルの場合はブタナールである。ただし、ブチレンテレフタレートを主たる構成単位とするポリエステルの場合は、前記アルデヒドは大部分がテトラヒドロフランとして検出される。
また、本発明に係るポリエステル樹脂(2)がエチレンテレフタレートを主繰返し単位とするポリエステル樹脂であり、これからなる前記ポリエステル樹脂組成物がミネラルウオータ等の低フレーバー飲料用の容器の材料として用いられる場合には、アセトアルデヒド含有量が10ppm以下、好ましくは6ppm以下、さらに好ましくは4ppm以下であることが望ましい。
また、本名発明のポリエステル樹脂組成物からなる成形体の香味保持性に対しては、本発明に係るポリエステル樹脂(2)が、前記ポリエステルに由来する遊離の芳香族ジカルボン酸含有量が20ppm以下、遊離のグリコ−ル含有量が70ppm以下、遊離の芳香族ジカルボン酸モノグリコ−ルエステル含有量が100ppm以下、遊離の芳香族ジカルボン酸ジグリコ−ルエステル含有量が150ppm以下であるポリエステル樹脂であることが好ましい。
このようなポリエステル樹脂(2)を製造する方法としては、例えば下記に示す方法を採用することができる。すなわち、IVが0.40〜0.60の溶液重合ポリエステルプレポリマーを固相重合する手法を用いることができる。また、所定のIVのポリエステルを不活性気体雰囲気下または減圧下にIVが実質的に変化しない条件で加熱処理する方法を用いることができる。また、ポリエステルを減圧下または不活性気流中で70〜180℃の温度で乾燥させる方法を用いることができる。また、ポリエステル樹脂をクロロフォルムなどの有機溶媒で熱処理する方法を用いることもできる。
本発明に係るポリエステル樹脂(2)の環状エステルオリゴマーの含有量は、前記ポリエステルの溶融重縮合体が含有する環状エステルオリゴマーの含有量の70%以下、好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下、特に好ましくは35%以下であることが好ましい。環状エステルオリゴマー含有量の下限値は、経済的な生産の面から溶融重縮合体が含有する環状エステルオリゴマー含有量の20%以上、好ましくは22%以上、さらに好ましくは25%以上である。なお、ポリエステル樹脂(2)の溶融重縮合体が含有する環状エステルオリゴマーの含有量とは、溶融重縮合した数平均分子量が約5000以上のポリエステル樹脂(2)中に存在している、遊離の数種の環状エステルオリゴマーのうちで最も含有量が多い環状n量体の含有量のことである。本発明に係るポリエステル樹脂(2)がエチレンテレフタレ−トを主たる構成単位とするポリエステルの代表であるPETの場合は、環状n量体は環状3量体のことであり、かつ、溶融重縮合ポリエステルの環状3量体の含有量は約1.0重量%であるから、環状3量体の含有量は、好ましくは0.70重量%以下、より好ましくは0.50重量%以下、さらに好ましくは0.40重量%以下であることが望ましい。本発明のポリエステル樹脂組成物から耐熱性中空成形体等を成形する場合は加熱金型内で熱処理を行うが、環状3量体の含有量が0.70重量%以上含有する場合には、加熱金型表面へのオリゴマ−付着が急激に増加し、得られた中空成形体等の透明性が非常に悪化する。
本発明に係るポリエステル樹脂(2)中のファインの含有量は、0.1〜5000ppm、好ましくは0.1〜3000ppm、より好ましくは0.1〜1000ppm、さらに好ましくは0.1〜500ppm、最も好ましくは0.1〜100ppmであることが望ましい。配合量が0.1ppm未満の場合は、結晶化速度が非常におそくなり、中空成形容器の口栓部の結晶化が不十分となり、このため口栓部の収縮量が規定値の範囲内に収まらず、キャッピング不可能となる。また5000ppmを超える場合は、結晶化速度が必要以上に早くなると共に、その速度の変動も大きくなる。したがって、中空成形体の口栓部の結晶化度が過大、かつ変動大となり、このため口栓部の収縮量が規定値範囲内におさまらないため口栓部のキャッピング不良となり内容物の漏れが生じたり、また中空成形体用予備成形体が白化し、このため正常な延伸が不可能となる。特に、ポリエステル樹脂(2)が中空成形体用のポリエステル樹脂として用いられる場合は、そのファイン含有量は、0.1〜500ppmが好ましい。
また、本発明に係るポリエステル樹脂(2)が、エチレンテレフタレートを主繰返し単位とするポリエステル樹脂である場合は、これを射出成形して得た5mm厚みの成形体のヘイズが30%以下、好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下であり、かつ昇温時の結晶化温度(Tc1)が140℃〜180℃、好ましくは145〜175℃、さらに好ましくは150〜170℃の範囲であることが好ましい。
本発明に係るポリエステル樹脂(2)のチップの形状は、シリンダー型、角型、球状または扁平な板状等の何れでもよい。その平均粒径は、通常1.0〜4mm、好ましくは1.0〜3.5mm、さらに好ましくは1.0〜3.0mmの範囲である。例えば、シリンダー型の場合は、長さは1.0〜4mm、径は1.0〜4mm程度であるのが実用的である。球状粒子の場合は、最大粒子径が平均粒子径の1.1〜2.0倍、最小粒子径が平均粒子径の0.7倍以上であるのが実用的である。また、チップの重量は2〜40mg/個の範囲が実用的である。また、固相重合速度を向上させたり、アルデヒド類の含有量をより効果的に低減させたりすることが必要な場合は、チップの平均重量は1〜5mg/個にすることも好ましい。
(ポリエステル樹脂組成物)
本発明のポリエステル樹脂組成物は、前記ポリエステル樹脂(1)と、前記ポリエステル樹脂(2)とを主成分として含むポリエステル樹脂組成物である。本発明のポリエステル樹脂組成物を構成する前記ポリエステル樹脂(1)と前記ポリエステル樹脂(2)の混合割合は、前記ポリエステル樹脂(2)100重量部に対して前記ポリエステル樹脂(1)0.01重量部〜10重量部であることが好ましい。前記ポリエステル樹脂(1)の配合量が0.01重量部未満の場合は、ポリエステル樹脂(2)に含まれる重縮合触媒を十分に失活させることができず、得られた成形体のアルデヒド類の含有量が非常に多くなって香味保持性に影響し問題となる。また成形体の環状エステルオリゴマー含有量が非常に多くなり、連続成形時の金型汚れが激しくなる。このために透明性の優れた成形体が得られなくなるという問題が生じる。また前記ポリエステル樹脂(1)の配合量が10重量部を越える場合は、得られた成形体の耐熱性が悪くなったり、黄色く着色したりして商品価値が落ちるという問題が生じる。
本発明のポリエステル樹脂組成物での主として用いられる好ましい触媒の組み合わせは、
ポリエステル樹脂(1) ポリエステル樹脂(2)
Ge Al
Ge Ti
Sb Al
Sb Ti
が好ましい。
また、ポリエステル樹脂(1)とポリエステル樹脂(2)はその樹脂組成が実質的に同じであることが好ましい。ここで実質的に同じとは、組成の差が10モル%以下、好ましくは8モル%以下、より好ましくは6モル%以下、さらに好ましくは4モル%以下、特に好ましくは3モル%以下、最も好ましくは2モル%以下である。なお、ポリエステル樹脂(1)とポリエステル樹脂(2)で用いられるアルキレングリコール由来のジアルキレングリコールの場合は組成の差が15モル%以下、好ましくは12モル%以下、より好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは8モル%以下、特に好ましくは6モル%以下、最も好ましくは5モル%以下であっても良い。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(1)が含有するリン原子の含有量、ポリエステル樹脂(2)が含有する重縮合触媒金属原子の種類および重縮合触媒金属原子の残存量、及びポリエステル樹脂(1)とポリエステル樹脂(2)の配合割合などを適宜調節することによって成形時のアルデヒド類や環状エステルオリゴマーの副生を有効に抑制できる。例えば、ポリエステル樹脂組成物中に残存する、Ge金属原子残存量とSb金属原子残存量とを除く重縮合触媒由来の金属原子の残存量(Me)に対するリン原子残存量(P)のモル比(P/Me)が0.3〜20、好ましくは0.5〜15、さらに好ましくは1.0〜10であり、またリン原子残存量が0.5〜200ppm、好ましくは1〜150ppm、さらに好ましくは5〜100ppmになるようにポリエステル樹脂(1)とポリエステル樹脂(2)を配合する方法、あるいは、ポリエステル樹脂(1)の重縮合触媒としてGe化合物を用い、またポリエステル樹脂(2)の重縮合触媒としてアルミニウム化合物またはチタン化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種を用いる方法、または、これらの方法を組み合わせる方法などによって得ることが出来るが、これらに限定するものではない。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物のアルデヒド類の含有量は、50ppm以下、好ましくは30ppm以下、より好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは5ppm以下である。アルデヒド類の含有量が50ppm以上の場合は、このポリエステル樹脂組成物から成形された容器等の内容物の風味や臭い等が悪くなる。特に、本発明に係るポリエステル樹脂(2)が、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステル樹脂であり、これからなる前記ポリエステル樹脂組成物がミネラルウオータ等の低フレーバー飲料用の容器の材料として用いられる場合には、前記ポリエステル樹脂組成物のアルデヒド類の含有量は10ppm以下、好ましくは8ppm以下、より好ましくは6ppm以下、最も好ましくは5ppm以下であることが望ましい。
アルデヒド類の含有量が50ppm以下のポリエステル樹脂組成物を得る方法としては、アルデヒド類の含有量が50ppm以下のポリエステル樹脂(1)とポリエステル樹脂(2)を用いる方法、両者のポリエステル樹脂のアルデヒド類含有量と両者の樹脂の混合割合とから計算して50ppm以下にする方法などが挙げられる。
また、本発明に係るポリエステル樹脂(2)が、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステル樹脂の場合は、本発明のポリエステル樹脂組成物の環状三量体の含有量は、0.70重量%以下、好ましくは0.60重量%以下、より好ましくは0.50重量%以下であることが望ましい。本発明のポリエステル樹脂組成物から耐熱性の成形体等を成形する場合は加熱金型内などで熱処理を行うが、環状三量体の含有量が0.70重量%を越える場合には、加熱金型表面へのオリゴマ−付着が急激に増加し、得られた成形体等の透明性が非常に悪化する。特に、耐熱性中空成形体の場合には、環状三量体の含有量は0.40重量%以下であることが望ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物を射出成形して得られた厚さ5mmの成形体のヘイズが30%以下、好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下であることが望ましい。特に、本発明のポリエステル樹脂組成物が中空成形体に用いられる場合は前記ヘイズは15%以下、また耐熱性中空成形体に用いられる場合は前記ヘイズは10%以下であることが望ましい。成形体のヘイズが30%を超える場合は,得られた成形体の透明性が悪くなって問題となり、商品価値がなくなる。
ただし、本発明のポリエステル樹脂組成物を成形する射出成形機のシリンダー温度は、用いるポリエステル樹脂(2)の融点によって変更することが必要である。具体的には、前記のPET系ポリエステル、PBT系ポリエステル樹脂、PTT系ポリエステル樹脂などのポリエステル樹脂(2)からなるポリエステル樹脂組成物、または、前記のPEN系ポリエステル樹脂であるポリエステル樹脂(2)からなるポリエステル樹脂組成物に対しては、測定法(9)に記した、その他のシリンダー温度の設定値は、それぞれ、290℃または300℃である。
また、前記ポリエステルがエチレンテレフタレートを主たる構成単位とするポリエステルの場合は、本発明のポリエステル樹脂組成物を射出成形して得た厚さ2mmの成形体からの試験片の昇温時の結晶化温度(以下「Tc1」と称する)が、140〜180℃の範囲、好ましくは145〜175℃の範囲、さらに好ましくは150〜170℃の範囲であることが望ましい。Tc1が180℃を越える場合は、加熱結晶化速度が非常に遅くなり中空成形体口栓部の結晶化が不十分となり、内容物の漏れの問題が発生する。また、Tc1が140℃未満の場合は、中空成形体の透明性が低下し問題となる。
なお、ポリエステル樹脂(1)の環状エステルオリゴマー含有量の測定、ポリエステル樹脂(1)からの成形体(段付成形板)の成形方法及び同成形体の環状エステルオリゴマー含有量の測定は下記の測定法の項に説明する。ただし、前記の成形体を成形する射出成形機のシリンダー温度は用いるポリエステル樹脂(2)の融点によって変更することが必要であり、前記のPET系ポリエステル、PBT系ポリエステル樹脂、PTT系ポリエステル樹脂や脂肪族ポリエステル樹脂などのポリエステル樹脂(2)からなるポリエステル樹脂組成物、又は、前記のPEN系ポリエステル樹脂であるポリエステル樹脂(2)からなるポリエステル樹脂組成物に対しては、測定法(11)に記した、その他のシリンダー温度の設定値を、それぞれ、290℃又は300℃に設定する。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、従来公知の方法により前記のポリエステル樹脂(1)と前記のポリエステル樹脂(2)を混合して得ることができる。例えば、前記のポリエステル樹脂(1)と前記のポリエステル樹脂(2)とをタンブラー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等でドライブレンドする方法、さらにドライブレンドした混合物を一軸押出機、二軸押出機、ニーダー等で1回以上溶融混合する方法、さらには必要に応じて溶融混合物を高真空下または不活性ガス雰囲気下で固相重合する方法などが挙げられる。
混合時や成形時に混合比率が変動しないようにするためには、ポリエステル樹脂(1)とポリエステル樹脂(2)のチップ形状や粒重はほぼ同一であることが望ましい。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物にはポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタ−ル樹脂、ポリブチレンテレフタレ−ト樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の樹脂0.1ppb〜1000ppmを配合してもよい。本発明のポリエステル樹脂組成物中での前記のポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂の配合割合は0.1ppb〜1000ppm、好ましくは0.3ppb〜100ppm、より好ましくは0.5ppb〜1ppm、さらに好ましくは0.5ppb〜45pbbである。配合量が0.1ppb未満の場合は、結晶化速度が非常におそくなり、中空成形体の口栓部の結晶化が不十分となるため、サイクルタイムを短くすると口栓部の収縮量が規定値範囲内におさまらないためキャッピング不良となったり、また、耐熱性中空成形体を成形する延伸熱固定金型の汚れが激しく、透明な中空成形体を得ようとすると頻繁に金型掃除をしなければならない。また1000ppmを超える場合は、結晶化速度が早くなり、中空成形体の口栓部の結晶化が過大となり、このため口栓部の収縮量が規定値範囲内におさまらないためキャッピング不良となり内容物の漏れが生じたり、また中空成形体用予備成形体が白化し、このため正常な延伸が不可能となる。また、シ−ト状物の場合、1000ppmを越えると透明性が非常に悪くなり、また延伸性もわるくなって正常な延伸が不可能で、厚み斑の大きな、透明性の悪い延伸フィルムしか得られない。
本発明のポリエステル樹脂組成物に配合されるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、またはα−オレフィン系樹脂が挙げられ、これらの樹脂は結晶性でも非晶性でもかまわない。
本発明のポリエステル樹脂組成物に配合されるポリアミド樹脂としては、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン8、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロンMXD6、ナイロン6/MXD6、ナイロンMXD6/MXDI、ナイロン6/66、ナイロン6/610、ナイロン6/12、ナイロン6/6T、ナイロン6I/6T等が挙げられる。またこれらの樹脂は結晶性でも非晶性でもかまわない。
また、前記のポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂配合ポリエステル樹脂組成物の製造は、前記ポリエステル樹脂(2)に前記熱可塑性樹脂を、その含有量が前記範囲となるように、直接に添加し溶融混練する方法以外に、マスタ−バッチとして添加し溶融混練する方法等の慣用の方法、前記の熱可塑性樹脂を、前記ポリエステル樹脂(2)の製造段階、例えば、溶融重縮合時、溶融重縮合直後、予備結晶化直後、固相重合時、固相重合直後等のいずれかの段階、または、製造段階を終えてから成形段階に到るまでの間など、で粉粒体として直接に添加するか、或いは、ポリエステル樹脂(2)のチップの流動条件下に前記の熱可塑性樹脂製の部材に接触させる等の方法、で混入させた後、溶融混練する方法等によることもできる。
本発明のポリエステル樹脂組成物には、前記の添加量の熱可塑性樹脂やアルデヒド低減剤以外に、その他の熱可塑性樹脂、例えばガスバリヤー性のポリエステル、紫外線吸収性ポリエステル、ガスバリヤー性のポリアミド樹脂等の適当量を、必要に応じて、本発明の作用効果を損なわない範囲で配合することができる。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物には、必要に応じて公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤、酸素捕獲剤、外部より添加する滑剤や反応中に内部析出させた滑剤、離型剤、核剤、安定剤、帯電防止剤、青み付け剤、染料、顔料などの各種の添加剤を配合してもよい。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物をフィルム用途に使用する場合には、滑り性、巻き性、耐ブロッキング性などのハンドリング性を改善するために、ポリエステル中に炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等の無機粒子、蓚酸カルシウムやカルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム等のテレフタル酸塩等の有機塩粒子やジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体等の架橋高分子粒子などの不活性粒子を含有させることが出来る。
(ポリエステル成形体などの用途)
本発明のポリエステル樹脂組成物は、中空成形体、トレー、2軸延伸フィルム等の包装材、金属缶被覆用フィルム、モノフィラメントを含む繊維などとして好ましく用いることが出来る。また、本発明のポリエステル樹脂組成物は、多層成形体や多層フィルム等の1構成層としても用いることが出来る。
本発明に係るポリエステル樹脂(2)が、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステル樹脂の場合は、本発明のポリエステル樹脂組成物からなる成形体の極限粘度は、0.55〜1.50デシリットル/グラムであるのが好ましく、0.58〜1.20デシリットル/グラムであるのがより好ましい。
また、本発明に係るポリエステル樹脂(2)が、主たる繰り返し単位が1,3−プロピレンテレフタレ−トから構成されるポリエステル樹脂(2)の場合は、本発明のポリエステル樹脂組成物からなる成形体の極限粘度は、0.50〜1.30デシリットル/グラム、好ましくは0.55〜1.00デシリットル/グラムの範囲である。
また、本発明に係るポリエステル樹脂(2)が、主たる繰り返し単位がエチレン−2,6−ナフタレートから構成されるポリエステル樹脂(2)の場合は、本発明のポリエステル樹脂組成物からなる成形体の極限粘度は、0.40〜1.00 デシリットル/グラム、好ましくは0.42〜0.80デシリットル/グラムの範囲である。
また、本発明に係るポリエステル樹脂(2)が、主たる繰り返し単位がブチレンテレフタレートから構成されるポリエステル樹脂(2)の場合は、本発明のポリエステル樹脂組成物からなる成形体の極限粘度は、0.50〜1.50 デシリットル/グラム、好ましくは0.55〜1.00デシリットル/グラムの範囲である。
本発明のポリエステル樹脂組成物からなる成形体などの用途(以下、単に成形体という)のアルデヒド含有量は、70ppm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは30ppm以下、さらに好ましくは15ppm以下、もっとも好ましくは10ppm以下である。アルデヒド含有量が70ppmを超える場合は、成形体内容物の香味保持性が悪くなり問題である。
また、本発明に係るポリエステル樹脂(2)が、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステル樹脂の場合は、本発明のポリエステル樹脂組成物からなる成形体のアセトアルデヒド含有量は、30ppm以下、好ましくは25ppm以下、より好ましくは20ppm以下、さらに好ましくは15ppm以下、もっとも好ましくは10ppm以下である。特に、ミネラルウオータなどの低フレーバー飲料用容器の場合は、20ppm以下、好ましくは15ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下であることが望ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物からなる成形体の環状エステルオリゴマー含有量は、ポリエステル樹脂(2)の溶融重縮合ポリエステルプレポリマーの環状エステルオリゴマー含有量の70%以下、好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下、最も好ましくは40%以下である。
また、本発明に係るポリエステル樹脂(2)が、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステル樹脂の場合は、本発明のポリエステル樹脂組成物からなる成形体の環状3量体含有量は、0.5重量%以下、好ましくは0.4重量%以下、好ましくは0.35重量%以下である。0.5重量%を越える場合には、成形時の金型汚れが酷くなり問題である。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物からなる成形体をX℃の温度で60分間溶融した時の環状エステルオリゴマーの増加量は0.40重量%以下、好ましくは0.30重量%以下、さらに好ましくは0.20重量%以下、最も好ましくは0.10重量%以下である。なお、温度X℃は、前記のPET系ポリエステル、PBT系ポリエステル樹脂、PTT系ポリエステル樹脂などのポリエステル樹脂(2)からなるポリエステル樹脂組成物の場合は290℃であり、前記のPEN系ポリエステル樹脂であるポリエステル樹脂(2)からなるポリエステル樹脂組成物の場合は300℃である。
本発明に係るポリエステル樹脂(2)が、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステル樹脂の場合は、本発明のポリエステル樹脂組成物からなる成形体を290℃の温度で60分間溶融した時の環状3量体の増加量は0.40重量%以下、好ましくは0.30重量%以下、さらに好ましくは0.20重量%以下、最も好ましくは0.10重量%以下である。290℃の温度で60分間溶融した時の環状3量体の増加量が0.40重量%を越えると言うことは、ポリエステル樹脂(2)の重縮合触媒の触媒作用を完全に失活出来ていないことを表しており、成形溶融時に環状3量体が再生し、連続成形時には加熱金型表面へのオリゴマー付着が急激に増加し、得られた中空成形体等の成形体の透明性が非常に悪化するという問題や前記金型の清浄化に多大の労力、時間がかかるなどの問題が生じる。また、環状3量体増加量の下限値は0.01重量%程度であり、下限値をこれ未満に減少させても前記問題点に対する経済的効果は非常に少ない。ここで、290℃の温度で60分間溶融した時の環状3量体の増加量は、下記の「測定法」の項で説明する成形方法によって得られた段付成形板の3mm厚みのプレートからの試料について求めた値である。
本発明のポリエステル樹脂組成物からなるシート状物は、それ自体公知の手段にて製造することができる。例えば、押出機とダイを備えた一般的なシート成形機やカレンダー加工によるシート成形機を用いて製造することができる。
また、このシート状物は、圧空成形、真空成形によりカップ状やトレイ状に成形することもできる。また、本発明のポリエステル樹脂組成物からのポリエステル成形体は、電子レンジおよび/またはオ−ブンレンジ等で食品を調理したり、あるいは冷凍食品を加熱するためのトレイ状容器の用途にも用いることができる。この場合は、シ−ト状物をトレイ形状に成形後、熱結晶化させて耐熱性を向上させる。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物は、積層成形体や積層フィルム等の複合成形体においてフィルム状や塗膜状の形態をした一構成層としても用いることが出来る。特に、PETとの積層体の形で容器等の製造に使用される。積層成形体の例としては、本発明のポリエステル樹脂組成物からなる外層とPET内層との二層から構成される二層構造あるいは本発明のポリエステル樹脂組成物からなる内層とPET外層との二層から構成される二層構造の成形体、本発明のポリエステル樹脂組成物を含む中間層とPETの外層および最内層から構成される三層構造あるいは本発明のポリエステル樹脂組成物を含む外層および最内層とPETの中間層から構成される三層構造の成形体、本発明のポリエステル樹脂組成物を含む中間層とPETの最内層、中心層および最内層から構成される五層構造の成形体等が挙げられる。PET層には、他のガスバリヤー性樹脂、紫外線遮断性樹脂、耐熱性樹脂、使用済みポリエチレンテレフタレ−トボトルからの回収品等を適当な割合で混合使用することができる。
また、その他の積層成形体の例としては、ポリオレフィン等のポリエステル以外の樹脂との積層成形体、紙や金属板等の異種の基材との積層成形体が挙げられる。
前記の積層成形体の厚み及び各層の厚みには特に制限は無い。また、前記の積層成形体は、シ−ト状物、フィルム状物、板状物、中空体、容器等、種々の形状で使用可能である。
前記の積層体の製造は、樹脂層の種類に対応した数の押出機と多層多種ダイスを使用して共押出しにより行うこともできるし、また、樹脂層の種類に対応した数の射出機と共射出ランナ−および射出型を使用して共射出により行うこともできる。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物の別の用途は、ラミネート金属板の片面あるいは両面にラミネートするフィルムである。用いられる金属板としては、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム等が挙げられる。
ラミネート法としては、従来公知の方法が適用でき、特に限定されないが、有機溶剤フリーが達成でき、残留溶剤による食料品の味や臭いに対する悪影響が回避できるサーマルラミネート法で行うことが好ましい。なかでも、金属板の通電加工によるサーマルラミネート法が特に推奨される。また、両面ラミネートの場合は、同時にラミネートしてもよいし、逐次でラミネートしてもよい。
なお、接着剤を用いてフィルムを金属板にラミネートできることはいうまでもない。
また、金属容器は、前記ラミネート金属板を用いて成形することによって得られる。前記金属容器の成形方法は特に限定されるものではない。また、金属容器の形状も特に限定されるものではないが、絞り成型、絞りしごき成型、ストレッチドロー成型等の成型加工により製缶されるいわゆる2ピース缶への適用が好ましいが、例えばレトルト食品やコーヒー飲料等の食料品を充填するのに好適な天地蓋を巻締めて内容物を充填する、いわゆる3ピース缶へも適用可能である。
以下には、PETの場合の種々の用途についての具体的な製法を簡単に説明する。
延伸フィルムを製造するに当たっては、延伸温度は通常は80〜130℃である。延伸は一軸でも二軸でもよいが、好ましくはフィルム実用物性の点から二軸延伸である。延伸倍率は一軸の場合であれば通常1.1〜10倍、好ましくは1.5〜8倍の範囲で行い、二軸延伸であれば縦方向および横方向ともそれぞれ通常1.1〜8倍、好ましくは1.5〜5倍の範囲で行えばよい。また、縦方向倍率/横方向倍率は通常0.5〜2、好ましくは0.7〜1.3である。得られた延伸フィルムは、さらに熱固定して、耐熱性、機械的強度を改善することもできる。熱固定は通常緊張下、120℃〜240、好ましくは150〜230℃で、通常数秒〜数時間、好ましくは数十秒〜数分間行われる。
中空成形体を製造するにあたっては、本発明のポリエステル樹脂組成物から成形したブリフォームを延伸ブロー成形してなるもので、従来PETのブロー成形で用いられている装置を用いることができる。具体的には例えば、射出成形または押出成形で一旦プリフォームを成形し、そのままあるいは口栓部、底部を加工後、それを再加熱し、ホットパリソン法あるいはコールドパリソン法などの二軸延伸ブロー成形法が適用される。この場合の成形温度、具体的には成形機のシリンダー各部およびノズルの温度は通常260〜300℃の範囲である。延伸温度は通常70〜120℃、好ましくは90〜110℃で、延伸倍率は通常縦方向に1.5〜3.5倍、円周方向に2〜5倍の範囲で行えばよい。得られた中空成形体は、そのまま使用できるが、特に果汁飲料、ウーロン茶などのように熱充填を必要とする飲料の場合には一般的に、さらにブロー金型内で熱固定処理を行い、耐熱性を付与して使用される。熱固定は通常、圧空などによる緊張下、100〜200℃、好ましくは120〜180℃で、数秒〜数時間、好ましくは数秒〜数分間行われる。
また、口栓部に耐熱性を付与するために、射出成形または押出成形により得られたプリフォームの口栓部を遠赤外線や近赤外線ヒータ設置オーブン内で結晶化させたり、あるいはボトル成形後に口栓部を前記のヒータで結晶化させる。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物は、これを溶融押出し後に切断した溶融塊を圧縮成形して得たプリフォームを延伸ブロー成形する、所謂、圧縮成形法による延伸中空成形体の製造にも用いることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、常法の溶融紡糸法により繊維を製造することが可能であり、紡糸・延伸を2ステップで行う方法及び1ステップで行う方法が採用できる。さらに、捲縮付与、熱セットやカット工程を備えたステープルの製造方法やモノフィラメントなど公知の繊維製造方法がすべて適用できるものである。
また得られた繊維は、異型断面糸、中空断面糸、複合繊維、原着糸等の種々繊維構造となすことができ、糸加工においても例えば混繊、混紡、等の公知の手段を採用することができる。
更に上記ポリエステル繊維は、織編物或いは不織布、等の繊維構造体となすことができる。
そして上記ポリエステル繊維は、衣料用繊維、カーテン、カーペット、ふとん綿、ファイバーフィル等に代表されるインテリア・寝装用繊維、タイヤコード、ロープ等の抗張力線、土木・建築資材、エアバッグ等の車輛用資材、等に代表される産業資材用繊維、各種織物、各種編物、ネット、短繊維不織布、長繊維不織布用、等の各種繊維用途に使用することができる。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが本発明はこの実施例に限定されるものではない。
なお、主な特性値の測定法を以下に説明する。
(1)ポリエステルの極限粘度(以下「IV」という)
1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノール(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求めた。
ポリエステルチップの極限粘度を測定するための試料は、ポリエステルを冷凍粉砕して測定に供する。
(2)ポリエステルのアセトアルデヒド含有量(以下「AA含有量」という)
試料/蒸留水=0.2〜1グラム/2ccを窒素置換したガラスアンプルに入れた上部を溶封し、160℃で2時間抽出処理を行い、冷却後抽出液中のアセトアルデヒドを高感度ガスクロマトグラフィーで測定し、濃度をppmで表示した。前記操作を5回繰返し、その平均値をAA含有量とする。
ポリエステル樹脂組成物の(11)の方法による5枚の段付成形板のAA含有量(平均値)及び射出成形前の前記ポリエステル樹脂組成物のAA含有量を求め、これから成形によるAA増加量を求める。なお、射出成形前のポリエステル樹脂組成物のAA含有量は、構成する各ポリエステル樹脂のAA含有量と構成割合から計算で求める。
(3)ポリエステルのジエチレングリコール含有量(以下「DEG」という)、トリエチレングリコール含有量(以下「TEG」という)
ポリエステルを重水素化トリフルオロ酢酸/重水素下クロロフォルム(容量比1/9)に溶解し、ブルカ・バイオスピン社製AVANCE−500型NMR装置でH−NMRを測定し、得られたチャートの各共重合成分のプロトンのピークの積分強度から求めた。
(4)ポリエステル中のCr、Fe、Ni、Zn金属含有量分析
試料1.2gを白金坩堝にとり、電熱器を用いて炭化させた後、電気炉を用いて550℃で一晩加熱し、灰化させた。次に、灰を1.2M塩酸溶液で溶解させたものを測定液とし、IPC発光分析法を用いてCr、Fe、Ni、Zn元素を測定した。含有量が0.1ppm以下の場合は試料の量を10倍に増加する。
(5)ファインの含有量の測定
樹脂約0.5kgを、JIS−Z8801による呼び寸法5.6mmの金網をはった篩(A)と呼び寸法1.7mmの金網をはった篩(直径20cm)(B)を2段に組合せた篩の上に乗せ、テラオカ社製揺動型篩い振トウ機SNF−7で1800rpmで1分間篩った。この操作を繰り返し、樹脂を合計20kg篩った。ただし、ファイン含有量が少ない場合には、試料の量を適宜変更する。
前記の篩(B)の下にふるい落とされたファインは、0.1%のカチオン系界面活性剤水溶液で洗浄し、次いでイオン交換水で洗浄したあと岩城硝子社製G1ガラスフィルターで濾過して集めた。これらをガラスフィルターごと乾燥器内で100℃で2時間乾燥後、冷却して秤量した。再度、イオン交換水で洗浄、乾燥の同一操作を繰り返し、恒量になったことを確認し、この重量からガラスフィルターの重量を引き、ファイン重量を求めた。ファイン含有量は、ファイン重量/篩いにかけた全樹脂重量、である。
(6)ポリエステルチップおよび成形体のカラーb値
結晶化したポリエステルチップおよび下記(11)の成形体(肉厚4mm)を東京電色製色差計TC−1500MC−88 JIS−Z8722(ハンター系色差)に準じて測定した。
カラーbが高いほど、変色度が大きい。
(7)ポリエステルの水分率
(三菱化学製のカールフィシャー 微量水分測定装置CA−100型と水分気化装置VA−100にて測定)
三菱化学製の水分気化装置VA−100を、予め乾燥筒2本(シリカゲルと五酸化リンを充填)に乾燥した、窒素ガスを流速250ml/分で流しながら、加熱炉を230℃に加熱して、試料ボードを加熱炉に入れ、加熱炉と試料ボードから得られた乾燥窒素が無水になっていることを、微量水分測定装置CA−100で確認した後、試料 3gを乾燥しておいた専用サンプル容器に精秤し、速やかに、サンプルを試料ボードに入れる。サンプルから気化した水分は、乾燥窒素によって、微量水分測定装置CA−100型に運ばれカールフィシャー滴定され、水分率が求められる。
ポリエステル樹脂組成物の水分率は構成する各ポリエステルの配合割合と水分率から計算により求めた。
(8)ヘイズ(霞度%)
下記(11)の成形体(肉厚5mm)より試料を切り取り、日本電色(株)製ヘイズメーター、modelNDH2000で測定。
(9)紫外線遮断性(%)
下記(11)の成形体(肉厚2mm)より試料を切り取り、日立製作所製の吸光度測定器U−2900で380nmの紫外線遮断性を測定した。90%以上で良好な紫外線遮断性を示す。
(10)成形体の昇温時の結晶化温度(Tc1)
セイコー電子工業株式会社製の示差熱分析計(DSC)、RDC−220で測定。下記(11)の成形板の2mm厚みのプレートの中央部からの試料10mgを使用。昇温速度20度C/分で昇温し、その途中において観察される結晶化ピークの頂点温度を測定し、昇温時結晶化温度(Tc1)とする。
(11)ポリエステル樹脂(1)、ポリエステル樹脂(2)およびポリエステル樹脂組成物の段付成形板の成形
1)段付成形板の成形
本特許記載に係る段付成形板の成形においては、下記の2)および3)に記載した試料を用いて名機製作所製射出成形機M−150C―DM型射出成形機により、図1、図2に示すようにゲート部(G)を有する、2mm〜11mm(A部の厚み=2mm、B部の厚み=3mm、C部の厚み=4mm、D部の厚み=5mm、E部の厚み=10mm、F部の厚み=11mm)の厚さの段付成形板を射出成形した。
なお、成形中にチップの吸湿を防止するために、成形材料ホッパー内は乾燥不活性ガス(窒素ガス)パージを行った。
M−150C−DM射出成形機による可塑化条件としては、フィードスクリュウ回転数=70%、スクリュウ回転数=120rpm、背圧0.5MPa、シリンダー温度はホッパー直下から順に45℃、250℃、以降ノズルを含め300℃に設定した。射出条件は射出速度及び保圧速度は20%、また成形品重量が146±0.2gになるように射出圧力及び保圧を調整し、その際保圧は射出圧力に対して0.5MPa低く調整した。
射出時間、保圧時間はそれぞれ上限を10秒、7秒,冷却時間は50秒に設定し、成形品取出時間も含めた全体のサイクルタイムは概ね75秒程度である。金型には常時、水温30℃の冷却水を導入し温調する。
成形品特性評価用のテストプレートは、成形材料を導入し樹脂置換を行った後、成形開始から11〜18ショット目の安定した成形品の中から任意に選ぶものとした。
2mm厚みのプレート(図1のA部)は昇温時の結晶化温度(Tc1)測定およびアセトアルデヒド含有量の測定、3mm厚みのプレート(図1のB部)は環状3量体含有量(CT含有量)の測定、ポリエステル樹脂組成物の5mm厚みのプレート(図1のD部)はヘイズ(霞度%)測定、またポリエステル樹脂組成物の4mm厚みのプレート(図1のC部)はカラー測定、に使用する。
2)ポリエステル樹脂(2)
減圧乾燥機を用いて水分率を約50ppm以下に減圧乾燥したポリエステル樹脂(2)のチップを用いて前記1)の方法で成形する。
3)ポリエステル樹脂組成物
実施例1〜8、比較例1〜4および比較例7では、混合した、または単独の、乾燥済みのポリエステル樹脂組成物を成形に供した。また、実施例9〜11、比較例5〜6は、表3のポリエステル樹脂の水分率が変化しないように素早く混合したポリエステル樹脂組成物をそのままの状態で成形に供した。
(12)中空成形体の成形
実施例9〜11および比較例5〜6を除き、乾燥したポリエステル樹脂およびポリエステル樹脂組成物を用いて名機製作所製M−150C―DM射出成形機により樹脂温度290℃でプリフォームを成形した。このプリフォームの口栓部を自家製の口栓部結晶化装置で加熱結晶化させた。次にこの予備成形体をCORPOPLAST社製のLB−01E成形機で二軸延伸ブローし、引き続き約150℃に設定した金型内で熱固定し、容量が2000ccの容器(胴部肉厚0.45mm)を成形した。延伸温度は100℃にコントロールした。
また、実施例9〜11および比較例5、6においては、表3の水分率が変化しないようにして素早く混合したポリエステル樹脂組成物をそのままの状態で名機製作所製M−150C―DM射出成形機により樹脂温度290℃でプリフォームを成形し、前記と同様にして中空成形容器を得た。
ただし、連続成形加速試験では、前記の成形において、熱固定条件として金型設定温度を約160℃、熱固定時間を約2分間とする以外は前記と同様にして、1000本連続的に成形し、10本目および1000本目のボトルの外観を観察した。また、加速試験を始める前に、ブロー金型は予めヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム混合溶媒を含ませたガーゼにより金型表面の汚れを全て洗浄した。
(ボトル外観評価)
◎ : 透明性非常に良好
○ : 透明性良好
△ : 透明性少し悪い
× : 透明性不良
(13)官能試験
上記(12)で得た中空容器に沸騰した蒸留水を入れ密栓後30分保持し、55℃で1週間放置し、開栓後風味、臭い等の試験を行った。比較用のブランクとして、蒸留水を使用。官能試験は10人のパネラーにより次の基準により実施し、平均値で比較した。
(評価基準)
◎ :異味、臭いを感じない
○ :ブランクとの差をわずかに感じる
△ :ブランクとの差を感じる
× :ブランクとのかなりの差を感じる
××:ブランクとの非常に大きな差を感じる
(14)段付成形板の外観
前記(11)の段付成形板の外観を目視で判断した。
× : シルバーが発生し外観不良
△ : シルバーの発生は無いが、色相や透明性が悪い
○ : 外観が良好
(15)ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基濃度(単に酸価とも言う)
冷凍粉砕し乾燥した試料200mgをベンジルアルコール10mlに加熱溶解し、これにクロロフォルム10mlを加えて希釈後、フェノールレッドを指示薬とし、0.01N―水酸化カリ/ベンジルアルコール溶液により滴定し、定量した。
(16)ポリエステルの環状三量体の含有量(以下「CT」という)
試料300mgをヘキサフルオロイソプロパノ−ル/クロロフォルム混合液(容量比=2/3)3mlに溶解し、さらにクロロフォルム30mlを加えて希釈する。これにメタノ−ル15mlを加えてポリマ−を沈殿させた後、濾過する。濾液を蒸発乾固し、ジメチルフォルムアミド10mlで定容とし、高速液体クロマトグラフ法により環状三量体を定量した。前記操作を5回繰返し、その平均値をCT含有量とする。
ポリエステル樹脂組成物からの、(11)の方法による5枚の段付成形板のCT含有量(平均値)及び射出成形前の前記ポリエステル樹脂組成物のCT含有量を求め、これから成形によるCT増加量を求める。なお、射出成形前の前記ポリエステル樹脂組成物のCT含有量は構成する各ポリエステル樹脂のCT含有量と構成割合から計算で求める。
(ポリエステル樹脂(1)―A)
ハステロイ製攪拌機付き熱媒循環式エステル化反応器にナフタレンジカルボン酸1512kgとその2倍モル量のエチレングリコールを仕込み、トリエチルアミンを酸成分に対して0.3モル%加え、0.25MPaの加圧下255℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を2時間行いエステル化率が93%のビス(2−ヒドロキシエチル)ナフタレートおよびオリゴマーの混合物(以下BHEN混合物という)を得た。このBHEN混合物をハステロイ製攪拌機付き重縮合器に輸送し、これに重縮合触媒として結晶性二酸化ゲルマニウム/エチレングリコール溶液およびリン酸とエチレングリコールを加熱処理した溶液を得られるポリエステルに対し、それぞれGe残存量で約20ppmおよびP残存量で約2000ppmになるように添加した。次いで、窒素雰囲気下、常圧にて255℃で10分間攪拌した。その後、280℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)として50分間第一段目の初期重縮合を行い、さらに295℃、13.3PaでIVが約0.65デシリットル/グラムになるまで重縮合反応を実施した。放圧に続き、微加圧下のレジンを冷水中にストランド状に吐出して急冷し、ストランドカッターでチップ化してシリンダー形状のチップを得た。なお、チップ化時、重縮合器出口からノズル細孔までの樹脂温度は約295℃とし、約30分以内に全量をチップ化した。
次いで、直ちに減圧乾燥機にて約50〜約150℃で熱処理し、振動式篩分工程および気流分級工程によって処理して、結晶化ポリマーを得た。IVは0.65デシリットル/グラム、酸価は16当量/トン、アセトアルデヒド含有量は43ppm、DEG含有量は4.7モル%、Fe原子含有量、Cr原子含有量、Ni原子含有量およびZn原子含有量は、全て0.1ppmであった。特性を表1に示す。ファイン含有量は約500ppmであった。
(ポリエステル樹脂(1)−B)
SUS316L製攪拌機付き熱媒循環式エステル化反応器、重縮合時間を短縮する以外は前記ポリエステル樹脂(1)−Aを得るのと同一条件でIVが約0.56デシリットル/グラムになるまで溶融重縮合反応を実施した。
上記溶融重縮合反応で得られたポリエステルチップを加熱処理してポリエステルを結晶化させた後、静置固相重縮合塔で窒素気流下、約100℃〜130℃、次いで150℃で乾燥後、205℃で固相重合しIVが0.72デシリットル/グラム、酸価は16当量/トン、アセトアルデヒド含有量は25ppm、DEG含有量は5.0モル%であった。特性を表1に示す。ファイン含有量はポリエステル樹脂(1)−Aと同程度であった。
(ポリエステル樹脂(1)−C)
SUS316製攪拌機付き熱媒循環式エステル化反応器、重縮合触媒として結晶性二酸化ゲルマニウムの代わりに三酸化アンチモンをSb残存量として180ppmになるように添加する以外は前記ポリエステル樹脂(1)−Aと同様にして重縮合を行い、IV=0.68デシリットル/グラムのポリエステル樹脂を得た。これを前記と同様にして乾燥結晶化した。アセトアルデヒド含有量は50ppm、DEG含有量は5.5モル%であった。特性を表1に示す。ファイン含有量はポリエステル樹脂(1)−Aと同程度であった。
(ポリエステル樹脂(1)−D)
SUS316L製熱媒循環式エステル化反応器にナフタレンジカルボン酸756kgと高純度テレフタル酸983kgとその2倍モル量のエチレングリコールを仕込み、トリエチルアミンを酸成分に対して0.3モル%加え、0.25MPaの加圧下245℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を2時間行いエステル化率が93%のビス(2−ヒドロキシエチル)ナフタレートとビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートおよびオリゴマーの混合物(以下BHEN混合物という)を得た。このBHEN混合物をSUS316L製攪拌機付き重縮合器に輸送し、これに重縮合触媒として結晶性二酸化ゲルマニウム/エチレングリコール溶液およびリン酸とエチレングリコールを加熱処理した溶液を得られるポリエステルに対し、それぞれGe残存量で約20ppmおよびP残存量で約2000ppmになるように添加した。次いで、窒素雰囲気下、常圧にて245℃で10分間攪拌した。その後、250℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)として50分間第一段目の初期重縮合を行い、さらに275℃、13.3PaでIVが約0.65デシリットル/グラムになるまで重縮合反応を実施した。放圧に続き、微加圧下のレジンを冷水中にストランド状に吐出して急冷し、ストランドカッターでチップ化してシリンダー形状のチップを得た。なお、チップ化時、重縮合器出口からノズル細孔までの樹脂温度は約270℃とし、約30分以内に全量をチップ化した。
次いで、直ちに減圧乾燥機にて約50〜約150℃で熱処理し、振動式篩分工程および気流分級工程によって処理して、結晶化ポリマーを得た。樹脂組成としては、ナフタレンジカルボン酸50モル%、テレフタル酸50モル%、IVは0.65デシリットル/グラム、酸価は16当量/トン、アセトアルデヒド含有量は45ppm、DEG含有量は4.7モル%であった。特性を表1に示す。ファイン含有量はポリエステル樹脂(1)−Aと同程度であった。
(ポリエステル樹脂(1)−E)
SUS316L製熱媒循環式エステル化反応器にナフタレンジカルボン酸590kgと高純度テレフタル酸1058kgとその2倍モル量のエチレングリコールを仕込み、トリエチルアミンを酸成分に対して0.3モル%加え、0.25MPaの加圧下255℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を2時間行いエステル化率が93%のビス(2−ヒドロキシエチル)ナフタレートとビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートおよびオリゴマーの混合物(以下BHEN混合物という)を得た。このBHEN混合物をSUS316L製攪拌機付き重縮合器に輸送し、これに重縮合触媒として結晶性二酸化ゲルマニウム/エチレングリコール溶液およびリン酸とエチレングリコールを加熱処理した溶液を得られるポリエステルに対し、それぞれGe残存量で約20ppmおよびP残存量で約2000ppmになるように添加した。次いで、窒素雰囲気下、常圧にて245℃で10分間攪拌した。その後、250℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)として50分間第一段目の初期重縮合を行い、さらに275℃、13.3PaでIVが約0.65デシリットル/グラムになるまで重縮合反応を実施した。放圧に続き、微加圧下のレジンを冷水中にストランド状に吐出して急冷し、ストランドカッターでチップ化してシリンダー形状のチップを得た。なお、チップ化時、重縮合器出口からノズル細孔までの樹脂温度は約270℃とし、約30分以内に全量をチップ化した。
次いで、直ちに減圧乾燥機にて約50〜約150℃で熱処理し、振動式篩分工程および気流分級工程によって処理して、結晶化ポリマーを得た。樹脂組成としては ナフタレンジカルボン酸30モル%、テレフタル酸70モル%、IVは0.65デシリットル/グラム、酸価は16当量/トン、アセトアルデヒド含有量は45ppm、DEG含有量は4.7モル%であった。特性を表1に示す。ファイン含有量はポリエステル樹脂(1)−Aと同程度であった。
(ポリエステル樹脂(1)−F)
SUS316L製攪拌機付き熱媒循環式エステル化反応器にナフタレンジカルボン酸1512kgとその2倍モル量のエチレングリコールを仕込み、トリエチルアミンを酸成分に対して0.3モル%加え、0.25MPaの加圧下255℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を2時間行いエステル化率が93%のビス(2−ヒドロキシエチル)ナフタレートおよびオリゴマーの混合物(以下BHEN混合物という)を得た。このBHEN混合物をハステロイ製攪拌機付き重縮合器に輸送し、これに重縮合触媒として結晶性二酸化ゲルマニウム/エチレングリコール溶液およびリン酸とエチレングリコールを加熱処理した溶液を得られるポリエステルに対し、それぞれGe残存量で約20ppmおよびP残存量で約200ppmになるように添加した。次いで、窒素雰囲気下、常圧にて255℃で10分間攪拌した。その後、265℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)として50分間第一段目の初期重縮合を行い、さらに280℃、13.3PaでIVが約0.65デシリットル/グラムになるまで重縮合反応を実施した。放圧に続き、微加圧下のレジンを冷水中にストランド状に吐出して急冷し、ストランドカッターでチップ化してシリンダー形状のチップを得た。なお、チップ化時、重縮合器出口からノズル細孔までの樹脂温度は約280℃とし、約30分以内に全量をチップ化した。
次いで、直ちに減圧乾燥機にて約50〜約150℃で熱処理し、振動式篩分工程および気流分級工程によって処理して、結晶化ポリマーを得た。IVは0.63デシリットル/グラム、酸価は10当量/トン、アセトアルデヒド含有量は28ppm、DEG含有量は3.7モル%であった。特性を表1に示す。ファイン含有量はポリエステル樹脂(1)−Aと同程度であった。
(ポリエステル樹脂(1)−G)
SUS316L製熱媒循環式エステル化反応器にナフタレンジカルボン酸1512kgとその2倍モル量のエチレングリコールを仕込み、トリエチルアミンを酸成分に対して0.3モル%加え、0.25MPaの加圧下255℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を2時間行いエステル化率が93%のビス(2−ヒドロキシエチル)ナフタレートおよびオリゴマーの混合物(以下BHEN混合物という)を得た。このBHEN混合物をSUS316L製攪拌機付き重縮合器に輸送し、これに重縮合触媒として結晶性二酸化ゲルマニウム/エチレングリコール溶液およびリン酸とエチレングリコールを加熱処理した溶液を得られるポリエステルに対し、それぞれGe残存量で約20ppmおよびP残存量で9000ppmになるように添加した。次いで、窒素雰囲気下、常圧にて255℃で10分間攪拌した。その後、280℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)として50分間第一段目の初期重縮合を行い、さらに295℃、13.3PaでIVが約0.65デシリットル/グラムになるまで重縮合反応を実施した。放圧に続き、微加圧下のレジンを冷水中にストランド状に吐出して急冷し、ストランドカッターでチップ化してシリンダー形状のチップを得た。なお、チップ化時、重縮合器出口からノズル細孔までの樹脂温度は約295℃とし、約30分以内に全量をチップ化した。
次いで、直ちに減圧乾燥機にて約50〜約150℃で熱処理し、振動式篩分工程および気流分級工程によって処理して、結晶化ポリマーを得た。IVは0.65デシリットル/グラム、酸価は22当量/トン、アセトアルデヒド含有量は46ppm、DEG含有量は6.8モル%であった。特性を表1に示す。ファイン含有量はポリエステル樹脂(1)−Aと同程度であった。
(ポリエステル樹脂(1)−H)
SUS304製熱媒循環式エステル化反応器にナフタレンジカルボン酸1512kgとその2倍モル量のエチレングリコールを仕込み、トリエチルアミンを酸成分に対して0.3モル%加え、0.25MPaの加圧下255℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を2時間行いエステル化率が93%のビス(2−ヒドロキシエチル)ナフタレートおよびオリゴマーの混合物(以下BHEN混合物という)を得た。このBHEN混合物をSUS304製攪拌機付き重縮合器に輸送し、これに重縮合触媒として結晶性二酸化ゲルマニウム/エチレングリコール溶液およびリン酸とエチレングリコールを加熱処理した溶液を得られるポリエステルに対し、それぞれGe残存量で約20ppmおよびP残存量で約2000ppmになるように添加した。次いで、窒素雰囲気下、常圧にて255℃で10分間攪拌した。その後、280℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)として50分間第一段目の初期重縮合を行い、さらに295℃、13.3PaでIVが約0.65デシリットル/グラムになるまで重縮合反応を実施した。放圧に続き、微加圧下のレジンを冷水中にストランド状に吐出して急冷し、ストランドカッターでチップ化してシリンダー形状のチップを得た。なお、チップ化時、重縮合器出口からノズル細孔までの樹脂温度は約295℃とし、約30分以内に全量をチップ化した。
次いで、直ちに減圧乾燥機にて約50〜約150℃で熱処理し、振動式篩分工程および気流分級工程によって処理して、結晶化ポリマーを得た。IVは0.65デシリットル/グラム、酸価は16当量/トン、アセトアルデヒド含有量は43ppm、DEG含有量は4.7モル%であった。特性を表1に示す。ファイン含有量は1.8重量%であった。
(ポリエステル樹脂(1)−I)
SUS316L製熱媒循環式エステル化反応器にナフタレンジカルボン酸295kgと高純度テレフタル酸1285kgとその2倍モル量のエチレングリコールを仕込み、トリエチルアミンを酸成分に対して0.3モル%加え、0.25MPaの加圧下245℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を2時間行いエステル化率が93%のビス(2−ヒドロキシエチル)ナフタレートとビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートおよびオリゴマーの混合物(以下BHEN混合物という)を得た。このBHEN混合物をSUS316L製攪拌機付き重縮合器に輸送し、これに重縮合触媒として結晶性二酸化ゲルマニウム/エチレングリコール溶液およびリン酸とエチレングリコールを加熱処理した溶液を得られるポリエステルに対し、それぞれGe残存量で約20ppmおよびP残存量で約2000ppmになるように添加した。次いで、窒素雰囲気下、常圧にて245℃で10分間攪拌した。その後、250℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)として50分間第一段目の初期重縮合を行い、さらに275℃、13.3PaでIVが約0.65デシリットル/グラムになるまで重縮合反応を実施した。放圧に続き、微加圧下のレジンを冷水中にストランド状に吐出して急冷し、ストランドカッターでチップ化してシリンダー形状のチップを得た。なお、チップ化時、重縮合器出口からノズル細孔までの樹脂温度は約270℃とし、約30分以内に全量をチップ化した。
次いで、直ちに減圧乾燥機にて約50〜約150℃で熱処理し、振動式篩分工程および気流分級工程によって処理して、結晶化ポリマーを得た。樹脂組成としては ナフタレンジカルボン酸15モル%、テレフタル酸85モル%、IVは0.65デシリットル/グラム、酸価は16当量/トン、アセトアルデヒド含有量は45ppm、DEG含有量は4.7モル%であった。特性を表1に示す。ファイン含有量はポリエステル樹脂(1)−Aと同程度であった。
(ポリエステル樹脂(1)−J)
SUS316L製熱媒循環式エステル化反応器にナフタレンジカルボン酸1512kgとその2倍モル量のエチレングリコールを仕込み、トリエチルアミンを酸成分に対して0.3モル%加え、0.25MPaの加圧下255℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を2時間行いエステル化率が93%のビス(2−ヒドロキシエチル)ナフタレートおよびオリゴマーの混合物(以下BHEN混合物という)を得た。このBHEN混合物をSUS316L製攪拌機付き重縮合器に輸送し、これに重縮合触媒として結晶性二酸化ゲルマニウム/エチレングリコール溶液およびリン酸とエチレングリコールを加熱処理した溶液を得られるポリエステルに対し、それぞれGe残存量で約20ppmおよびP残存量で60ppmになるように添加した。次いで、窒素雰囲気下、常圧にて255℃で10分間攪拌した。その後、280℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)として50分間第一段目の初期重縮合を行い、さらに295℃、13.3PaでIVが約0.65デシリットル/グラムになるまで重縮合反応を実施した。放圧に続き、微加圧下のレジンを冷水中にストランド状に吐出して急冷し、ストランドカッターでチップ化してシリンダー形状のチップを得た。なお、チップ化時、重縮合器出口からノズル細孔までの樹脂温度は約295℃とし、約30分以内に全量をチップ化した。
次いで、直ちに減圧乾燥機にて約50〜約150℃で熱処理し、振動式篩分工程によって処理して、結晶化ポリマーを得た。IVは0.65デシリットル/グラム、酸価は16当量/トン、アセトアルデヒド含有量は18ppm、DEG含有量は2.0モル%であった。特性を表1に示す。ファイン含有量は2.3重量%であった。
(ポリエステル樹脂(1)−K)
SUS316L製熱媒循環式エステル化反応器にナフタレンジカルボン酸1512kgとその2倍モル量のエチレングリコールを仕込み、トリエチルアミンを酸成分に対して0.3モル%加え、0.25MPaの加圧下255℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を2時間行いエステル化率が95%のビス(2−ヒドロキシエチル)ナフタレートおよびオリゴマーの混合物(以下BHEN混合物という)を得た。このBHEN混合物をSUS316L製攪拌機付き重縮合器に輸送し、これに重縮合触媒として結晶性二酸化ゲルマニウム/エチレングリコール溶液およびリン酸とエチレングリコールを加熱処理した溶液を得られるポリエステルに対し、それぞれGe残存量で約20ppmおよびP残存量で16000ppmになるように添加した。次いで、窒素雰囲気下、常圧にて255℃で10分間攪拌した。その後、280℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)として50分間第一段目の初期重縮合を行い、さらに295℃、13.3Paで重合した所、ゲル化して重合出来なかった。特性を表1に示す。
Figure 2007204742
(ポリエステル樹脂(2)−a)
SUS304製熱媒循環式エステル重合装置に予め反応物を含有している第1エステル化反応器に、高純度テレフタル酸とエチルグリコールとのスラリーを連続的に供給し、撹拌下、約250℃、0.5kg/cmGで平均滞留時間3時間反応を行った。この反応物を第2エステル化反応器に送付し、撹拌下、約260℃、0.05kg/cmGで所定の反応度まで反応を行った。また、塩基性酢酸アルミニウムのエチレングリコール溶液と、Irganox1222(チバ・スペシャルティーケミカルズ社製)とエチレングリコールを事前に加熱処理したエチレングリコール溶液とをこの第2エステル化反応器に連続的に供給した。このエステル化反応生成物を連続的に第1重縮合反応器に供給し、撹拌下、約265℃、25torrで1時間、次いで第2重縮合反応器で撹拌下、約265℃、3torrで1時間、さらに最終重縮合反応器で撹拌下、約275℃、0.3〜1torrで重縮合させた。得られた溶融重縮合PETの極限粘度は0.55デシリットル/グラムであった。重縮合反応物をチップ化してシリンダー形状のチップとし、ひきつづき窒素雰囲気下、約155℃で結晶化し、さらに窒素雰囲気下で約200℃に予熱後、連続固相重合反応器に送り窒素雰囲気下で約207℃で固相重合した。固相重合後篩分工程およびファイン除去工程で連続的に処理しファインを除去した。
得られたPETの極限粘度は0.74デシリットル/グラム、アセトアルデヒド含有量は3.2ppm、DEG含有量は2.6モル%、環状3量体の含有量は0.32重量%であった。Al残存量は20ppm、P残存量は35ppmであった。真空乾燥して水分率を35ppmとした。特性を表2に示す。ファイン含有量は約50ppmであった。
(ポリエステル樹脂(2)−b)
重縮合触媒としてチタニウムテトラブトキシドのエチレングリコール溶液、酢酸マグニシウム4水和物のエチレングリコール溶液、また安定剤として燐酸のエチレングリコール溶液を用いる以外は前記ポリエステル樹脂(2)−Aの場合と同様の方法で溶融重縮合PETを得た。得られた溶融重縮合PETの極限粘度は0.58デシリットル/グラムであった。
次いで、前記ポリエステル樹脂(2)−Aの場合と同様にして固相重合を行った。
得られたPETの極限粘度は0.73デシリットル/グラム、アセトアルデヒド含有量は5ppm、DEG含有量は2.6モル%、環状3量体の含有量は3300ppmあった。Ti残存量は3.5ppm、Mg残存量は2ppm、P残存量は7ppm、ファイン含有量は約50ppm、水分率は35ppmであった。特性を表2に示す。
(ポリエステル樹脂(2)−c)
重縮合触媒として三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液、安定剤として燐酸のエチレングリコール溶液を用いる以外は前記ポリエステル樹脂(2)−Aの場合と同様の方法で溶融重縮合PETを得た。得られた溶融重縮合PETの極限粘度は0.57デシリットル/グラムであった。次いで、前記ポリエステル樹脂(2)−Aの場合と同様にして固相重合を行った。
得られたPETの極限粘度は0.75デシリットル/グラム、アセトアルデヒド含有量は5.1ppm、DEG含有量は2.6モル%、環状3量体の含有量は3100ppmであった。Sb残存量は290ppm、P残存量は12ppm、水分率は30ppmであった。特性を表2に示す。ファイン含有量は約50ppmであった。
Figure 2007204742
(実施例1)
上記ポリエステル樹脂(2)−a、98重量部および触媒失活用ポリエステル樹脂(1)−A、2重量部をブレンダーにて混合した。その後、(11)の方法で段付成形板、(12)の方法で中空成形体であるボトルを成形した。
段付成形板(5mm厚み)のヘイズは6.5%、紫外線遮断性 99%、アセトアルデヒド含有量は14.5ppm、カラーb値は0、官能試験は◎と問題なかった。成形板のTc1は165℃と良好であり問題なかった。表3に結果を示した。
(実施例2)
上記ポリエステル樹脂(2)−b、98重量部および触媒失活用ポリエステル樹脂(1)−A、2重量部をブレンダーにて混合した。その後、(11)の方法で段付成形板、(12)の方法で中空成形体であるボトルを成形した。
段付成形板(5mm厚み)のヘイズは6.8%、紫外線遮断性 99%、アセトアルデヒド含有量は15.8ppm、カラーb値は0、官能試験は◎と問題なかった。成形板のTc1は165℃であり問題なかった。表3に結果を示した。
(実施例3〜8)
以下実施例1と同様に実施例3〜8を評価を実施したが問題なかった。 表3に結果を示した。
(比較例1)
上記ポリエステル樹脂(2)−a、98重量部およびポリエステル樹脂(1)−H、2重量部をブレンダーにて混合した。その後、(11)の方法で段付成形板、(12)の方法で中空成形体であるボトルを成形した。
紫外線遮断性は98%、アセトアルデヒド含有量は13.0ppmと問題なかったが、段付成形板(5mm厚み)のヘイズは21.0%、Tc1は148℃、カラーb値は5.0と悪かった。表3に結果を示した。
(比較例2)
上記ポリエステル樹脂(2)−a、98重量部およびポリエステル樹脂(1)−I、2重量部をブレンダーにて混合した。その後、(11)の方法で段付成形板、(12)の方法で中空成形体であるボトルを成形した。
段付成形板(5mm厚み)のヘイズは3.5%、Tc1は165℃、アセトアルデヒド含有量は12.9ppm、カラーb値は0、官能試験は◎と正常であったが、紫外線遮断性は38%と非常に悪かった。
表3に結果を示した。
(比較例3)
上記ポリエステル樹脂(2)−a、98重量部およびポリエステル樹脂(1)−J、2重量部をブレンダーにて混合した。その後、(11)の方法で段付成形板、(12)の方法で中空成形体であるボトルを成形した。
紫外線遮断性は98%、Tc1は165℃、カラーb値は0と問題ないが、重縮合触媒が失活されず、また、相溶性が悪いため、段付成形板(5mm厚み)のヘイズは46.0%、アセトアルデヒド含有量は22.0ppmと悪かった。官能試験も×と悪く問題であった。表3に結果を示した。
(比較例4)
上記ポリエステル樹脂(2)−c、98重量部および触媒失活用ポリエステル樹脂(1)−H、2重量部をブレンダーにて混合した。その後、(11)の方法で段付成形板、(12)の方法で中空成形体であるボトルを成形した。
紫外線遮断性は99%と良好であるが、段付成形板(5mm厚み)のヘイズは59.8%、アセトアルデヒド含有量は33.3ppm、カラーb値は2.5、官能試験は××と非常に悪く問題であった。成形板のTc1も138℃と低かった。表3に結果を示した。
Figure 2007204742
(実施例9)
ポリエステル樹脂(2)−a、98重量部および乾燥条件調節して水分率を800ppmにした触媒失活用水分含有ポリエステル樹脂(1)−A、2重量部をブレンダーにて混合した。その後、(11)の方法で段付成形板、(12)の方法でボトルを成形した。
ポリエステル樹脂組成物のCT含有量が3200ppm、成形板のCT含有量が3250ppm、成形による環状3量体の増加量は50ppm、成形によるアセトアルデヒド含有量の増加量は9.1ppm、IV保持率 98%、成形品外観は○で良好、連続成形加速テストによるボトル外観評価も○と問題なかった。表4に結果を示した。
(実施例10、11)
乾燥条件を調節して水分率を、それぞれ、表4の値にした触媒失活用水分含有ポリエステル樹脂(1)−A、2重量部とポリエステル樹脂(2)−a、98重量部からのポリエステル樹脂組成物について実施例9と同様にしてテストを実施したが、いずれの評価項目も問題なかった。表4に結果を示した。
(比較例5)
乾燥条件を調節して水分率を表4の値にした触媒失活用水分含有ポリエステル樹脂(1)−H、2重量部とポリエステル樹脂(2)−a、98重量部からのポリエステル樹脂組成物について(11)の方法で段付成形板、(12)の方法でボトルを成形し評価した。
成形による環状3量体の増加量、アセトアルデヒド含有量の増加量などは問題なかったが、IV保持率は80%と低く、成形品外観も悪かった。表4に結果を示した。
(比較例6)
乾燥して水分率を表4の値にした触媒失活用水分含有ポリエステル樹脂(1)−H、2重量部とポリエステル樹脂(2)−a、98重量部からのポリエステル樹脂組成物について(11)の方法で段付成形板、(12)の方法でボトルを成形し評価した。
IV保持率は98%だが、成形品外観は△で色相、透明性が悪く、成形による環状3量体の増加量は200ppmおよび成形によるアセトアルデヒド含有量の増加量は12.0ppmと多く、連続成形加速テストによるボトル外観評価は×と悪かった。表4に結果を示した。
(比較例7)
上記ポリエステル樹脂(2)−a、100重量部を(11)の方法で段付成形板、(12)の方法でボトルを成形した。
IV保持率 98%、成形品外観は○で良好であったが、成形による環状3量体の増加量は800ppmおよび成形によるアセトアルデヒド含有量の増加量は19.5ppmと多く、連続成形加速テストによるボトル外観評価も×と悪かった。表4に結果を示した。
Figure 2007204742
本発明のポリエステル樹脂は、ポリエステルの製造時に用いられる重縮合触媒の作用を失活させ、成形時のアセトアルデヒドなどのアルデヒド類や環状エステルオリゴマーの生成を抑制するために使用することができる、紫外線遮断性に優れたポリエステル樹脂として好適に用いることができる。特に、本発明のポリエステル樹脂組成物は、溶融重合時の金属溶出量が非常に少なく、紫外線遮断性、透明性、香味保持性に優れ、連続成形時に金型汚れによる透明性の悪化などの問題がなく、また耐熱寸法安定性にも優れた中空成形体などを効率よく生産することができるポリエステル樹脂組成物であり、前記の特性を備えた成形体や被覆物などを初めとする種々の用途への利用が可能であり、産業界に寄与することが大である。
実施例において使用した段付成形板の平面図 図1の段付成形板の側面図

Claims (11)

  1. ナフタレンジカルボン酸20モル%〜100モル%と、その他のカルボン酸80〜0モル%からなる酸成分とグリコール成分とから構成され、リン化合物をリン原子として100〜10000ppmの量含有するポリエステル樹脂であって、Zn原子、Fe原子、Ni原子、Cr原子からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属原子を下記の式(A)〜(D)を満足する量含有することを特徴とするポリエステル樹脂。
    Cr ≦ 10ppm (A)
    Fe ≦ 30ppm (B)
    Ni ≦ 5ppm (C)
    Zn ≦ 5ppm (D)
  2. 末端カルボキシル基濃度が40当量/トン以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂。
  3. 共重合されたジアルキレングリコール含有量およびトリアルキレングリコール含有量が、構成するグリコ−ル成分の、それぞれ、10モル%以下および2モル%以下であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
  4. 水分率が500〜10000ppmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
  5. 重縮合触媒が、Sb化合物またはGe化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂(1)と、Al、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Nb、Mo、Cd、In、Sn、Ta及びPbからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含む化合物と、必要に応じてSb化合物および/またはGe化合物と、を含有するポリエステル樹脂(2)と、からなることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  7. 請求項6に記載のポリエステル樹脂組成物を溶融成形してなることを特徴とするポリエステル成形体。
  8. 請求項7に記載のポリエステル成形体が、中空成形体、シ−ト状物あるいは前記シート状物を少なくとも一方向に延伸してなる延伸フィルムのいずれかであることを特徴とするポリエステル成形体。
  9. 請求項6に記載のポリエステル樹脂組成物を基材上に溶融押出してなることを特徴とする被覆物。
  10. 請求項6に記載のポリエステル樹脂組成物を溶融成形してなることを特徴とするポリエステル繊維。
  11. 請求項6に記載のポリエステル樹脂組成物を射出成形、圧縮成形あるいは押出成形することを特徴とするポリエステル成形体の製造方法。
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