JP2007204285A - 改質器 - Google Patents

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Abstract

【課題】原燃料マニホールドに溜まる水が流路を狭めあるいは閉塞することを防止してガスの流れを安定にすることや、燃焼排ガスの熱を原燃料および水へ伝熱させて、燃焼排ガスが持つ熱を有効利用できる改質器を提供する。
【解決手段】多重円筒内にバーナーを有し、各円筒間に形成される複数の環状空間のうち、少なくとも1つに原燃料流路、他の1つに燃焼排ガス流路を形成し、前記原燃料流路に連通する原燃料マニホールドと前記燃焼排ガス流路に連通する燃焼排ガスマニホールドとが隔壁を介してこの順で上下に隣接する改質器において、前記隔壁の前記燃焼排ガスマニホールド側に集熱部材を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、原燃料である炭化水素燃料を水蒸気改質する改質器に関する。
燃料電池は、電解質層を挟んで一対の電極を配置し、アノード側の電極に水素を含む燃料ガスを、もう一方のカソード側の電極に酸素を含む酸化剤ガスを供給し、電気化学反応によって電気エネルギーを得るもので、高いエネルギー効率での発電が可能である。
以下に、燃料電池で起きる電気化学反応を表す式を示す。(1)式はアノード側に於ける反応、(2)式はカソード側に於ける反応を表し、燃料電池全体では(3)式に表す反応が進行する。
H→ 2H+ 2e ・・・(1)
1/2O+2H+2e→HO ・・・(2)
H+1/2O→HO ・・・(3)
一般に、酸化剤ガスとしては空気、燃料ガスとしては水素が用いられている。改質器は、天然ガス等の炭化水素系の原燃料を水蒸気改質して水素を含んだガスを生成し、このガスを燃料電池に供給する。
図5は従来の燃料電池発電装置の概略構成図であり、図6は従来の改質器の概略構造図である。31は脱硫器、32は熱交換器、1は改質器、33は一酸化炭素変成器、34は一酸化炭素除去器であり、35は燃料電池、35aはアノード極である。炭化水素系の原燃料は、まず、原燃料ガスブロア39により脱硫器31へと送られ、脱硫される。脱硫された原燃料は、改質用水供給ポンプ37によって供給された改質用水と混合されて熱交換器32へと送られ、改質器1のバーナー2から排出される高温の燃焼排ガスによって加熱されて高温の蒸気となる。熱交換器32により加熱されて高温となった原燃料と蒸気の混合物は、バーナー2によって加熱された改質器1の改質部8へと導かれ改質される。
(4)式は、改質器1におけるメタン(CH)の改質反応を示す化学反応式である。式に示されているように、メタンの改質反応は吸熱反応であるため、メタン(CH)に水蒸気(HO)を添加した上で、燃料電池35のアノード極35aから排出される燃料オフガスをバーナー2で燃焼させて生じた燃焼排ガスによって改質部8の粒状改質触媒を加熱し、600〜700℃に保持された改質部8を通流することにより、水素に富む改質ガスが生成される。
Figure 2007204285
上記の改質反応によって高濃度の水素を含む改質ガスが改質器1より取り出されることとなるが、この改質ガスには多量の一酸化炭素が含まれる。固体高分子形燃料電池は動作温度が60〜80 ℃と低いため、改質ガス中に一酸化炭素が含まれると、これが触媒毒となって燃料電池の性能が低下する。したがって、一酸化炭素濃度を抑えるために、改質器1より得られた改質ガスは、一酸化炭素変成器33へと送られて一酸化炭素濃度が1%以下に低減され、次いで、さらに一酸化炭素除去器34へと送られて10ppm 以下の濃度に抑えられる。
改質器1は、輻射筒3と改質器内筒4、改質器中間筒5、改質器外筒6とバーナー2などから構成されている。バーナー2は、燃料オフガスなどの燃焼用燃料入口12と燃焼用空気入口13を備え、輻射筒内部に配置されている。燃焼用燃料入口12から導入された燃焼用燃料は、燃焼用空気入口13から導入された燃焼用空気と合流し燃焼に供される。燃焼により得られた燃焼排ガスは、輻射筒3と改質器内管4との間隙に形成された燃焼排ガス流路16を通り、燃焼排ガス出口14より排出される際、改質器内筒4を介して改質部(改質触媒層)8を加熱する。通常、改質部(改質触媒層)8を加熱後の燃焼排ガスは依然高温であり、そのまま系外に排出すると改質器の熱効率が低下する。
そこで、特許文献1では、改質器の熱効率が低下する問題を解決するために、改質部(改質触媒層)8に接した改質器内管4の燃焼排ガス流路16側にフィンを設けることにより、熱効率を向上している。
また、燃料電池発電装置の運転停止時には、改質ガスの流路の水素を排気するために水蒸気パージを行う方法が知られている。水蒸気パージを行った後、改質器の温度が低下すると水蒸気パージした流路内に凝縮水が溜まる現象が起こりやすい。具体的には、図6では、原燃料マニホールド19部分に凝縮水が溜まることがある。そのため、燃料電池発電装置の運転開始時、この原燃料マニホールド19に溜まる水が流路を狭めあるいは閉塞し、ガスの流れが不安定になる問題点があった。
特許2746108号公報
特許文献1の改質器では、原燃料マニホールド19と燃焼排ガスマニホールド18とが互いに接する壁面で燃焼排ガスの熱が伝熱され、原燃料マニホールド19に溜まる水を蒸発することができる可能性があるとはいえ、伝熱面積が少ないため改質器が安定して機能するまでの時間が長いと考えられる。そのため、原燃料マニホールド19に溜まる水が流路を狭めあるいは閉塞し、ガスの流れが不安定になる問題点は依然解消できないと考えられた。
そこで、上記問題点を考慮し、本発明は、原燃料マニホールドに溜まる水が流路を狭めあるいは閉塞することを防止してガスの流れを安定にすることや、燃焼排ガスの熱を原燃料および水へ伝熱させて、燃焼排ガスが持つ熱を有効利用できる改質器を提供することを目的としている。
本発明の改質器は、多重円筒内にバーナーを有し、各円筒間に形成される複数の環状空間のうち、少なくとも1つに原燃料流路、他の1つに燃焼排ガス流路を形成し、前記原燃料流路に連通する原燃料マニホールドと前記燃焼排ガス流路に連通する燃焼排ガスマニホールドとが隔壁を介してこの順で上下に隣接し、前記隔壁の前記燃焼排ガスマニホールド側に集熱部材を備える。集熱部材としては、フィン形状のものが望ましい。上記のように構成することにより、燃焼排ガスと集熱部材との伝熱面積を大幅に増加させて、燃焼排ガスの熱を原燃料マニホールドに効率的に伝熱でき、燃焼排ガスマニホールドを通過した燃焼排ガスが持つ残熱量を低減できる。そして、原燃料マニホールドに伝わった熱は、原燃料および水蒸気の混合ガスへ伝わり、燃焼排ガスが持つ熱を有効利用することができる。
本発明によれば、燃焼排ガスマニホールド側にフィンを備えたことにより燃焼排ガスの熱を受ける伝熱面積を大幅に増加させて原燃料マニホールドに溜まる水の蒸発を促進するので、水が原燃料マニホールドの流路を狭めあるいは閉塞することを防止してガスの流れを安定にすることや、燃焼排ガスの熱を原燃料および水へ伝熱させて、燃焼排ガスが持つ熱を有効利用できる改質器を提供できる。
本発明における改質器の概略構造図を図1に示す。図1では、改質部(改質触媒層)8と輻射筒3、バーナー2等からなる最も単純な改質器の構成例を説明するが、この改質器に前述の一酸化炭素変成器33、一酸化炭素除去器34、あるいは熱交換器32等の機能を統合してもよい。なお、図6と同じ機能を持つものには同じ符号を付けて説明を省略する。
本発明の改質器は、原燃料マニホールド19と燃焼排ガスマニホールド18とが隔壁を介してこの順で上下に隣接する隔壁の燃焼排ガスマニホールド18側に、フィン20を備える。
図3〜図5は、燃焼排ガスマニホールド18を垂直方向下方から見た図であり、フィンの設置例を示すものである。フィン20は、図3に示すように中心から放射状に配置されても良いし、図4のように中心から放射方向に対して角度をつけて配置しても良い。このとき、フィン20の高さは任意であるが、燃焼排ガスマニホールド18の底面に接触しないように設置する。
また、図5に示すように、円筒状のフィン20を複数設置しても良いが、円筒状のフィン20により燃焼排ガスの流路が閉塞されないよう考慮しなければならない。
改質器1の運転時には、燃焼用燃料入口12から燃焼用燃料(燃料オフガス)、燃焼用空気入口13から燃焼用空気が導入され、混合され燃焼に供される。改質器1の起動当初は燃焼排ガスの温度は低いが、改質部(改質触媒層)8の昇温が進むにつれ燃焼排ガスの温度も上昇する。これにともない、燃焼排ガスの持つ熱は、フィン20を介して原燃料マニホールド19を加熱する。原燃料マニホールド19内に水が溜まっている場合は、この熱で加熱され蒸発する。これにより、水が原燃料マニホールド19の流路を狭めあるいは閉塞することを防止してガスの流れを安定にする。
さらに、燃焼排ガスの熱を原燃料および水へ伝熱させて、燃焼排ガスが持つ熱を有効利用できる。そして、従来の燃料電池発電装置を説明した図5の熱交換器32を原燃料マニホールド19部分で代用できるので、熱交換器32を削減することもできる。
本発明における改質器の概略構造図 本発明におけるフィンの設置例1 本発明におけるフィンの設置例2 本発明におけるフィンの設置例3 従来の燃料電池発電装置の概略構成図 従来の改質器の概略構造図
符号の説明
1 改質器
2 バーナー
3 輻射筒
4 改質器内筒
5 改質器中間筒
6 改質器外筒
7 燃焼空気筒
8 改質部(改質触媒層)
9 断熱材
10 燃焼排ガスマニホールドの天板面
11 原燃料入口
12 燃焼用燃料入口
13 燃焼用空気入口
14 燃焼排ガス出口
15 改質ガス出口
16 燃焼排ガス流路
17 空気流路
18 燃焼排ガスマニホールド
19 原燃料マニホールド
20 フィン

Claims (1)

  1. 多重円筒内にバーナーを有し、各円筒間に形成される複数の環状空間のうち、少なくとも1つに原燃料流路、他の1つに燃焼排ガス流路を形成し、前記原燃料流路に連通する原燃料マニホールドと前記燃焼排ガス流路に連通する燃焼排ガスマニホールドとが隔壁を介してこの順で上下に隣接する改質器において、
    前記隔壁の前記燃焼排ガスマニホールド側に集熱部材を備えたことを特徴とする改質器。
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