JP2007202459A - 固定化酵素の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】繰返し反応における固定化酵素の寿命を延長させることにより、より低コストな光学活性シアノヒドリンの合成方法を提供する。
【解決手段】(S)-ヒドロキシニトリルリアーゼを含む溶液にポリビニルアルコールを添加し、多孔性担体と混合することにより、(S)-ヒドロキシニトリルリアーゼが該多孔性担体に吸着された固定化酵素を得ることを特徴とする、固定化酵素の製造方法、及び該方法で製造される固定化酵素、ならびに該固定化酵素を利用した光学活性シアノヒドリンの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、酵素寿命が著しく改善された固定化酵素とその製造方法、ならびに該固定化酵素を利用した光学活性シアノヒドリンの製造方法に関する。より詳しくは、特定のポリマーを添加して製造される、酵素寿命が著しく改善された(S)-ヒドロキシニトリルリアーゼ固定化酵素と、該固定化酵素を利用した光学活性シアノヒドリンの工業的製法に関する。
(S)-ヒドロキシニトリルリアーゼ(SHNL)は、青酸とアルデヒドあるいはケトンとの反応を触媒し、工業的に価値の高い光学活性シアノヒドリン類を生成させる酵素である。汎用されているSHNLとしては、キャッサバ(Manihot esculenta)由来のSHNL、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)由来のSHNL、又はイネ科植物であるモロコシ(Sorghum bicolor)由来のSHNLなどが知られている。こうしたSHNLを用いた光学活性シアノヒドリン類の合成は、そのままでは必ずしも工業的製法に適したものではないため、その収率を高めコスト低減を図る工夫が、これまで多数なされてきた。
例えば、SHNLの反応で通常使用するのは有機溶媒系であることから、有機溶媒不溶性の酵素を反応系に分散させ、効率よく反応を行うため、SHNLは固定化酵素として使用されることが多い。固定化する担体としては、セルロースやシリカ系担体が汎用されているが、(R)-ヒドロキシニトリルリアーゼ(RHNL)についてはポリビニルアルコールを添加剤として用いる方法(ポリビニルアルコールゲルとエバポレーションして固定化する方法)も報告されている(非特許文献1参照)。しかし、RHNLとSHNLは、いずれもシアノヒドリンを合成する酵素という点では一致するが、そのアミノ酸配列や立体構造は全く異なるため、RHNLとSHNLの固定化を同等に論じることはできない。
また、酵素の安定化を図るために、アルブミン等のタンパク質やポリエチレングリコール等のポリマーを添加することも行われている(特許文献1参照)。
一方、天然のSHNLを生物資源から分離するコストは高額であるため、工業的には、天然の酵素に加えて組換え型SHNLが用いられている。そして、この組換え型SHNLに修飾を加えることで、高活性化した改変型組換えSHNLを開発することで収率を高め、コスト低減を図る工夫もなされている(特許文献2参照)。
他方、架橋により分子量を上げたRHNLやSHNLを、ポリビニルアルコールゲルに固定化する技術も報告されている(特許文献3参照)が、天然の酵素と同等の分子量を有するSHNLの固定化については記載されていない。
特開2004-113053号公報 特開2005-312431号公報 特表2003-514567号公報 Wehtje E., et al, Biotechnology and Bioengineering, 1993, 41(2), p.171-178
(S)-ヒドロキシニトリルリアーゼ(SHNL)を用いた光学活性シアノヒドリンの合成では、固定化酵素の寿命が極めて短いため、繰返し反応の回数に限界があり、これまで製造コスト高の原因となっていた。本発明の目的は、光学活性シアノヒドリンの合成反応における固定化酵素の寿命を延長させることで、より高効率で低コストな光学活性シアノヒドリンの合成方法を提供することにある。
上記課題を解決するため鋭意検討した結果、発明者らは、(S)-ヒドロキシニトリルリアーゼの固定化時にポリビニルアルコール等の特定のポリマーを添加することで、酵素寿命が飛躍的に延長されることを見出した。
すなわち、本発明は、(S)-ヒドロキシニトリルリアーゼを含む溶液にポリビニルアルコールを添加し、多孔性担体と混合することにより、(S)-ヒドロキシニトリルリアーゼが該多孔性担体に吸着された固定化酵素を得ることを特徴とする、固定化酵素の製造方法を提供する。
本発明において使用する(S)-ヒドロキシニトリルリアーゼを含む溶液は、タンパク質質量に対する酵素活性からなる比活性が8〜80 U/mgであることが好ましい。この範囲では、ポリビニルアルコールの添加による酵素寿命への延長効果が大きいからである。酵素液濃度は、使用する固定化担体の使用量に合わせて純水や緩衝液などで希釈したり、限外ろ過膜を用いて濃縮して調製することができる。
酵素液質量と担体質量の比は、使用する単体の水分保持能力により調製することができ、0.5/1〜2/1の範囲が好ましい。この範囲ではラセミ体の生成を抑制し、効率良くシアノヒドリンを合成することができるからである。
一般にポリビニルアルコールはポリ酢酸ビニルをアルカリや酸でけん化することにより得られる。完全けん化ポリビニルアルコールと一部酢酸ビニル基を残した部分けん化ポリビニルアルコールがある。またアミノ基や酸基を有するビニルモノマーを共重合して得られるポリ酢酸ビニル共重合体をけん化した変性ポリビニルアルコールがある。本発明では、ポリマー成分にビニルアルコールモノマー単位を有していれば特に限定されない。本発明で用いられるポリビニルアルコールとしては部分けん化されたものが好ましく、特にけん化度60〜90mol%で部分けん化されたものがより好ましい。また、ポリビニルアルコールの重合度は、400〜2500程度のものが好ましい。
前記方法において、ポリビニルアルコールは(S)-ヒドロキシニトリルリアーゼに対して3〜50質量%で添加されることが好ましい。
本発明において、固定化する多孔性担体は特に限定されないが、多孔性無機材料からなる担体が好ましく、その好適な一例としては、例えばシリカ系担体を挙げることができる。
本発明はまた、前記した方法で製造される固定化酵素を、水に難溶性又は不溶性の有機溶媒存在下で、カルボニル化合物及びシアン化合物と接触させることにより光学活性シアノヒドリンを製造する方法を提供する。
さらに本発明は、前記した方法で製造される、(S)-ヒドロキシニトリルリアーゼが多孔性担体に吸着された固定化酵素も提供する。この固定化酵素は、青酸と2-クロロベンズアルデヒドから(S)-2-クロロマンデロニトリルを合成する繰返し反応において、10回反応後においても90%eeを超える光学純度で(S)-2-クロロマンデロニトリルを合成しうる、寿命の長い固定化酵素である。
本発明によれば、(S)-ヒドロキシニトリルリアーゼを固定化した酵素の寿命を顕著に延長することができる。これにより、固定化酵素の反復利用回数が増大し、従来よりも高効率かつ低コストで光学活性シアノヒドリン類を合成することができる。
1.(S)-ヒドロキシニトリルリアーゼ
本発明で用いられる、「(S)-ヒドロキシニトリルリアーゼ(以下SHNLと略記する)」は、植物から単離・精製された天然のSHNL、あるいは当該SHNLと同等のアミノ酸配列を有する天然型組換えSHNL、ならびに活性や安定性向上のために遺伝的改変を加えた改変型組換えSHNLの全てを含む。
天然のSHNLの場合、その由来は特に限定されず、例えば、モロコシ(Sorghum bicolor)などのイネ科植物由来のSHNL、キャッサバ(Manihot esculenta)やパラゴムノキ(Hevea brasiliensis)などのトウダイグサ科植物由来のSHNL、キシメニア(Ximenia america)などのボロボロノキ植物由来のSHNL等を挙げることができる。これらのSHNLのアミノ酸配列や遺伝子の塩基配列は既に公知であり、GenBank等の公共データベースを通じて容易に入手することができる。例えば、パラゴムノキ由来SHNL遺伝子はAccession No.U40402、キャッサバ由来のSHNL遺伝子はAccession No. Z29091、モロコシ由来SHNL遺伝子はAccession No.AJ421152として、それぞれGenBankに登録されている。
したがって、組換えSHNLは、これらの配列を基に調製したSHNL遺伝子を、そのままあるいは周知の方法に従い適宜改変を加えて、酵母や大腸菌等の適当な宿主で発現させることにより、得ることができる。天然型組換えSHNLの具体的製造方法については、例えば、特開2000-189159号公報、特開2000-189160号公報、特開2000-245486号公報、特開2004-194550等に詳述されている。また、活性を向上させた改変型組換えSHNLについては、例えば、特開2005-312431号等に詳述されている。
2.ポリビニルアルコール
本発明で用いられるポリビニルアルコールは、分子量10,000〜200,000程度の高分子量のものが好ましい。重合度でいえば、重合度400〜2500程度のものが好ましい。この範囲では、混合した酵素溶液の粘度が高くならないため、固定化酵素同士の凝集が起こりにくい。
特に、ポリビニルアルコールは部分けん化されたものが好ましく、けん化度60〜90mol%で部分けん化されたものがより好ましい。この範囲では、水溶液を調製しやすく、容易に酵素と混合することができるからである。
本発明において、前記ポリビニルアルコールは、酵素(SHNL)蛋白質質量に対し1〜100%を添加でき、特に3〜50%で添加されることが好ましい。この範囲では、ポリビニルアルコールが基質と酵素の反応を阻害することなく、反応することができるからである。
3.多孔性担体
本発明で用いられるSHNLの固定化担体は、SHNLを吸着しうる多孔性担体であれば特に限定されない。特に、シリカ系担体、シリカアルミナ系担体、アルミナ系担体、粘土系焼結担体などの多孔性無機材料からなる固定化担体が反応液との比重差があり、固定化酵素との分離が容易となるため、好ましい。
前記シリカ系担体とは、二酸化ケイ素の微粒子が凝集してできた高表面積の多孔性担体であり、シリカゲル等が挙げられる。具体的には、Micro Bead Silica Gel(富士シリシア化学社製)、Chromatography Silica Gel(富士シリシア化学社製)などが挙げられる。
前記シリカアルミナ系担体とは、酸化アルミニウムと二酸化ケイ素とを主成分とする多孔性担体をいう。具体的には、ミズカシーブスY-540 Y型ゼオライト(水沢化学工業社製)、ミズカシーブス 13X-488 ゼオライト13X(水沢化学工業社製)、HSZ-630HOA H-モルデナイト(東ソー社製)、Na−モルデナイト(触媒化成社製)などが挙げられる。
前記アルミナ系担体とは、酸化アルミニウムを主成分とする多孔性担体をいう。具体的には、NeoBead DL(水沢化学工業)、γ-アルミナ KHA-34(住友化学工業社製)などが挙げられる。
前記粘土系焼結担体とは、ケイ酸塩類原料(例えば、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイトなどのカオリナイト族鉱物、パイロフィライト、モンモリロナイト、絹雲母、滑石、緑泥石などの粘土系のものなど)を造粒し、焼結して得られる多孔性担体をいう。具体的には、Toyonite200(東洋電化工業社製)、Toyonite200A(東洋電化工業社製)などが挙げられる。
多孔性担体は、酵素の吸着量が担体の細孔径によって左右されることから、酵素を充分固定化するために有効な細孔径の担体を選択することが好ましい。具体的には、細孔径が10〜80nm、好ましくは10〜60 nm、最も好ましくは10〜40 nmのものを選択する。さらに、多孔性担体を構成する材料は、より多くの酵素を固定化することができるように、比表面積が、より大きいことが好ましく、具体的には20m2/g以上であることが好ましい。また、固定化に用いる場合の担体の形状は、多孔性であれば特に限定されないが、充填型反応槽用の固定化酵素を作製する場合には球状であることが好ましい。粒径は固定化酵素の分離作業性の面、あるいは充填型反応装置の場合では通液の圧力損失の面を考慮すると、粒度分布が比較的狭く、粒径は10μm〜5mm、好ましくは100μm〜2mmであることが好ましいが、その限りではない。固定化担体の種類や細孔径、粒径については、特開2001-190275号等を参考にされたい。
4.固定化酵素の製造方法 (S)-ヒドロキシニトリルリアーゼを含む溶液にポリビニルアルコールを添加した酵素組成物に適当な多孔性担体を混合して、S-ヒドロキシニトリルリアーゼを担体に固定化する。ポリビニルアルコールは、S-ヒドロキシニトリルリアーゼを含む溶液を酵素活性が損なわれない範囲のpHに調整した後、前記した所望の量で添加される。ここで、ポリビニルアルコールは、SHNLを含む溶液に単に添加剤として加えられるだけである。S)-ヒドロキシニトリルリアーゼを含む溶液へのポリビニルアルコールの添加と、多孔性担体の混合はいずれを先に行ってもよいし、同時に行ってもよい。
前記混合物は、吸着率が最大となるまで攪拌・放置して酵素を担体に固定化する。通常、1〜24時間の攪拌・放置時間で最大の吸着率を達成することができる。
固定化処理後、得られた固定化酵素は、そのまま用いることができる。しかしながら、固定化酵素は過剰に水分を含んだ状態では、光学活性シアノヒドリンの合成時に反応溶媒中で担体同志が凝集する原因となるので、固定化酵素中に含まれる水分は、分散可能なレベルまで除去することが好ましい。固定化酵素からの水分の除去は、減圧乾燥、通風乾燥などによって行うことができる。
5.固定化酵素による光学活性シアノヒドリンの合成
本発明の固定化酵素を用いた光学活性シアノヒドリンの合成は、公知の方法(例えば、特開2002-355085号、特開2002-176974号、特開2001-346596号、特開2001-190275号、特開2000-245486、特開2001-120289号、特開2000-217590号等参照)に従い、以下のようにして実施できる。
すなわち、反応溶媒中に、本発明の固定化酵素及び反応基質を加え、反応温度0〜40℃において、20分間〜24時間反応させることによって、光学活性シアノヒドリンを合成することができる。反応時間は、基質の転換速度に応じて適宜調整する。反応基質としては、カルボニル化合物及びシアン化合物を使用することができる。カルボニル化合物は、COR1R2で示されるアルデヒド又はケトンであり、R1とR2は水素原子、置換又は非置換の炭素数1〜18の線状又は分枝鎖状の飽和アルキル基、あるいは置換又は非置換の環員が5〜22の芳香族基である(ただし、R1とR2は同時に水素原子を表すことはない)。シアン化合物は、シアン化水素を用いる場合、その供給方法は液体として供給する方法、気体として供給する方法のいずれを採用することもできる。また、シアン化物イオン(CN-)を生じる物質であれば特に限定されず、例えば、シアン化ナトリウムやシアン化カリウムなどのシアン化水素塩、アセトンシアンヒドリンなどのシアノヒドリン類を用いることができる。
反応溶媒としては、反応系内に水が大量に存在すると、酵素反応によって生成した光学活性シアノヒドリンのラセミ化が起こりやすくなる。また、水に対する溶解度の小さいアルデヒドやケトンを原料として用いる場合には生産効率が低下するなどの点から、水に難溶又は不溶である有機溶媒を主成分とする反応溶媒を用いることが好ましい。このような有機溶媒としては、酵素反応による光学活性シアノヒドリンの合成反応に影響を与えないものであれば特に制限はなく、合成反応に用いる原料のアルデヒド又はケトンの物性、生成物であるシアノヒドリンの物性に応じて適宜選択することができる。具体的には、ハロゲン化されていてもよい脂肪族又は芳香族の直鎖状又は分枝状又は環状の飽和又は不飽和炭化水素系溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、トルエン、キシレン、塩化メチレンなど;ハロゲン化されていてもよい脂肪族又は芳香族の直鎖状又は分枝状又は環状の飽和又は不飽和アルコール系溶媒、例えば、イソプルピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、n−アミルアルコールなど;ハロゲン化されていてもよい脂肪族又は芳香族の直鎖状又は分枝状又は環状の飽和又は不飽和エーテル系溶媒、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソピルエーテル、ジブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテルなど;ハロゲン化されていてもよい脂肪族又は芳香族の直鎖状又は分枝状又は環状の飽和又は不飽和エステル系溶媒、例えば、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなどが挙げられ、これらを単独で用いても、また複数を混合して用いてもよい。また、上記溶媒は水又は水系の緩衝液を含有又は飽和させたものを用いることもできる。
6.固定化酵素の寿命
本明細書中において、「固定化酵素の寿命」は、青酸と2-クロロベンズアルデヒドから(S)-2-クロロマンデロニトリルを合成する反応において、得られる(S)-2-クロロマンデロニトリルの光学純度が90%ee以下になるまでの繰返し回数で評価する。
その結果、本発明にかかる固定化酵素は、繰返し回数10回においても、90%eeを超える光学純度を示すことが確認された。一方、ポリビニルアルコールを添加しない場合や、ポリビニルピロリドン、アルブミンを添加して製造した固定化酵素は、90%ee以上の純度で(S)-2-クロロマンデロニトリルを合成できるのは、それぞれ繰返し反応6回、1回、2回までであった。
すなわち、本発明の固定化酵素は、従来用いられていた固定化酵素に比較して、繰返し反応における寿命が顕著に長い固定化酵素であり、光学活性シアノヒドリンの工業的製造に有用なものといえる。
1.S-ヒドロキシニトリルリアーゼの調製
S-ヒドロキシニトリルリアーゼは、酵母サッカロマイセス・セレビシエを宿主として用い、遺伝子工学的に調製した(特開2001−190275参照)。すなわち、まず、キャッサバの葉から常法に従って、全mRNAを抽出した。次いで、得られたmRNAを鋳型として、cDNA合成を行い、cDNAを作製した。一方、文献[Arch. Biochem. Biophys. 311,496-502(1994)]に記載のキャッサバ由来のS-ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子の配列に基づいて、下記のプライマーを合成した。
センスプライマー:ggggaattcatggtaactgcacattttgttctgattc(配列番号1)
アンチセンスプライマー:ggggtcgacctcacggattagaagccgccg(配列番号2)
合成したプライマーを用いて、上記cDNAを鋳型としてPCR(90℃、30秒;55℃、30秒;72℃、60秒;計35サイクル)を行い、S-ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子を獲得した。遺伝子配列の解析を行ったところ、文献に示されている配列と一致した。
次いで、得られたPCR断片を発現ベクターYEp352-GAPのプロモーターとターミネーターとの間に挿入することにより、酵母エピソーム型発現ベクターYEp352-GCを作製した。これを酵母サッカロマイセス・セレビシエInv-Sc1株へ、常法によって形質転換し、ウラシルを含まない最少選択培地において増殖する株を選択することによって発現ベクターYEp352-GCを含む組換え酵母菌YEp352-GC-S2株を得た。
次いで、得られた組換え酵母菌株YEp352-GC-S2株を、YNBDCas液体培地(6.7g/L Yeast nitrogen base without amino acid(Difco社製)、20g/Lグルコース、20g/Lカザミノ酸、40mg/mL L-トリプトファン)中で24時間培養することによって、細胞内にS-ヒドロキシニトリルリアーゼを生産させた。組換え菌培養液から遠心分離によって菌体を回収し、ビーズミルを用い、菌体を破砕した。破砕菌体液を遠心分離し、粗酵素液を調製、これを硫安分画することによって精製したものをS-ヒドロキシニトリルリアーゼ溶液として、以下の実施例に使用した。
続いて、前記(1)で得られた酵素溶液について、タンパク質濃度を測定した。タンパク質濃度は、BCA Protein Assay Reagent Kit(PIERCE社製)を用いて測定した。前記(1)で得られた酵素溶液のタンパク質濃度は、37.5mg/mLであった。また、酵素組成物における(S)−ヒドロキシニトリルリアーゼの酵素活性(容量活性)は495U/mLであった。したがって、前記(1)で得られた酵素溶液の比活性は13.2U/mgと算出された。
2.固定化酵素の調製
(実施例1)
前記実施例1で調製した酵素溶液1mLに対して、10wt%に調整した部分けん化ポリビニルアルコール(商品名クラレポバールPVA217:重合度1700、株式会社クラレ製)水溶液 0.2mLを混合し、酵素組成物を調製した。
次に、得られた酵素組成物1mLと固定化担体(多孔性シリカゲル、商品名MB−5D、富士シリシア化学株式会社製)1gを混合した。これにより、酵素組成物が固定化された固定化酵素を調製した。
(実施例2)
前記実施例1のポリビニルアルコールの重合度を変えた水溶液(部分けん化ポリビニルアルコール、商品名クラレポバールPVA205:、重合度500、株式会社クラレ製)0.2mLを混合して酵素組成物を調製した。次いで、実施例1と同様にして、この酵素組成物が多孔性シリカゲルに固定化された固定化酵素を調製した。
(比較例1)
前記実施例1のポリビニルアルコールの代わりに0.2M クエン酸ナトリウム緩衝液0.2mLを混合して酵素組成物を調製した。次いで、実施例1と同様にして、この酵素組成物が多孔性シリカゲルに固定化された固定化酵素を調製した。
(比較例2)
前記実施例1のポリビニルアルコールの代わりに10wt% ポリビニルピロリドン水溶液(分子量30000)0.2mLを混合して酵素組成物を調製した。次いで、実施例1と同様にして、この酵素組成物が多孔性シリカゲルに固定化された固定化酵素を調製した。
(比較例3)
前記実施例1のポリビニルアルコールの代わりにアルブミン(Albumin, Bovine、SIGMA CHEMICAL製)20mgと0.2Mクエン酸ナトリウム緩衝液0.2mLを混合して酵素組成物を調製した。次いで、実施例1と同様にして、この酵素組成物が多孔性シリカゲルに固定化された固定化酵素を調製した。
3.光学活性シアノヒドリンの合成
先ず、0.2Mクエン酸緩衝液で飽和させたt−ブチルメチルエーテル3gと青酸0.2gとを混合した混合液に、実施例1で調製した固定化酵素0.6gを添加し、次いで、2-クロロベンズアルデヒド0.7gを添加した。これを20℃で攪拌することによって、(S)-2-クロロマンデロニトリルの合成を行った。反応液をサンプリングしてHPLCによってアルデヒドの転化率を測定し、転化率が95%以上になるまで反応を行った。反応液を回収し、HPLCにより(S)-2-クロロマンデロニトリルの光学純度を測定した。更に、反応終了後の固定化酵素を回収し、前記と同じ条件で繰返し反応を行った。繰返し反応は光学純度が90%ee未満になるまで行った。
同様にして、実施例2、及び比較例1〜3で調製した各固定化酵素を用いて(S)-2-クロロマンデロニトリルの合成を行った。
4.結 果
各固定化酵素による(S)-2-クロロマンデロニトリルの合成について、繰返し回数(バッチ数)毎の反応時間と(S)-2-クロロマンデロニトリルの光学純度を測定した結果を表1に示した。
Figure 2007202459
表1の結果から明らかなように、ポリビニルアルコールを添加して調製した固定化酵素は10回繰返し反応後でも、92%ee以上の純度で(S)-2-クロロマンデロニトリルを合成することができた。一方、クエン酸ナトリウム緩衝液、ポリビニルピロリドン、アルブミンを加えて調製した固定化酵素は、90%ee以上の純度で(S)-2-クロロマンデロニトリルを合成できるのは、それぞれ繰返し反応6回、1回、2回までであった。こうした効果の理由は明らかではないが、固定化酵素作製段階においてポリビニルアルコールが酵素の保護に寄与していることが考えられる。
以上より、ポリビニルアルコールの添加して固定化酵素を調製することにより、従来に比較して顕著に寿命の長い固定化酵素を得られることが確認された。
本発明によれば、固定化S-ヒドロキシニトリルリアーゼの寿命を顕著に延長することで、従来よりも低コストで光学活性シアノヒドリン類を合成することができる。したがって、本発明は光学活性シアノヒドリン類の工業的合成に有用である。
配列番号1−人工配列の説明:プライマー
配列番号2−人工配列の説明:プライマー

Claims (5)

  1. (S)-ヒドロキシニトリルリアーゼを含む溶液にポリビニルアルコールを添加し、多孔性担体と混合することにより、(S)-ヒドロキシニトリルリアーゼが該多孔性担体に吸着された固定化酵素を得ることを特徴とする、固定化酵素の製造方法。
  2. 前記ポリビニルアルコールがけん化度60〜90mol%で部分けん化されたものである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記溶液中、ポリビニルアルコールが(S)-ヒドロキシニトリルリアーゼの質量に対して3〜50%で添加されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法で作製される、(S)-ヒドロキシニトリルリアーゼ、ポリビニルアルコール、及び多孔性担体を含む固定化酵素。
  5. 請求項4に記載の固定化酵素を、カルボニル化合物及びシアン化合物と接触させることを特徴とする、光学活性シアノヒドリンの製造方法。
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