JP2007199237A - 転写材料、液晶セル用基板及び液晶表示装置 - Google Patents

転写材料、液晶セル用基板及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】液晶セル内に、温度・湿度などの環境に対して安定で、且つ大面積にわたって均一な偏光分離能を有する偏光分離層を形成可能な転写材料を提供する。
【解決手段】仮支持体11上に、少なくとも一つの偏光分離層12と、少なくとも一つの感光性樹脂層13とを、仮支持体11に近い側からこの順に有する転写材料である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、偏光分離層付き転写材料、液晶セル用基板及び液晶表示装置に関し、特に視野角特性の優れた液晶表示装置に使用可能な液晶セル用基板に関する。
ワードプロセッサやノートパソコン、パソコン用モニターなどのOA機器、携帯端末、テレビなどに用いられる表示装置としては、CRT(Cathode Ray Tube)がこれまで主に使用されてきた。近年、液晶表示装置(LCD)が、薄型、軽量、且つ消費電力が小さいことからCRTの代わりに広く使用されてきている。液晶表示装置は、液晶セル及び偏光板を有する。偏光板は保護フィルムと偏光膜とからなり、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護フィルムにて積層して得られる。例えば、透過型LCDでは、この偏光板を液晶セルの両側に取り付け、さらには一枚以上の光学補償シートを配置することもある。一方、反射型LCDでは、反射板、液晶セル、一枚以上の光学補償シート、及び偏光板の順に配置する。液晶セルは、液晶分子、それを封入するための二枚の基板及び液晶分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、液晶分子の配向状態の違いで、ON、OFF表示を行い、透過型、反射型及び半透過型のいずれにも適用でき、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、STN(Super Twisted Nematic)のような表示モードが提案されている。しかしながら、従来のLCDで表示し得る色やコントラストは、LCDを見る時の角度によって変化する。そのため、LCDの視野角特性は、CRTの性能を越えるまでには至っていない。
この視野角特性を改良するために、視野角補償用位相差板(光学補償シート)が適用されてきた。これまでに上述の様々の表示モードに対して種々の光学特性を有する光学補償シートを用いることにより、優れたコントラスト視野角特性を有するLCDが提案されている。特にOCB、VA、IPSの3つのモードは広視野角モードとして全方位に渡り広いコントラスト視野角特性を有するようになり、テレビ用途として既に家庭に普及しており、さらには近年30インチを超える大サイズディスプレイも登場してきた。
しかしながら、光学補償シートを用いたLCDでもなお改良効果が十分ではなく、特に色視野角特性改良はLCDの重要な課題となっている。そこで光学補償シートを用いる以外の方法として、プリズムシートやレンズシートなどを用いて比較的良好に集光されたバックライト光源上に液晶セルを配置することで液晶セルを斜めに通過する光線を減らし、垂直に液晶セルを通過することで形成された集光された画像光をディスプレイの観察者側に配置されたプリズムシート、散乱板、フレネルシート、レンチキュラーシートのような拡散性シートによって広げる方法が提案されている(特許文献1、2)。
しかしながら、この方法で例えばテレビ用LCDの視野角を広げようとすると、液晶セル内の画素と観察者側に配置された拡散性シートとの距離が、少なくとも液晶セルを構成するガラス基板の厚み分だけ離れているために、画素の形状がぼけてしまって高精細性が損なわれる。拡散性シートを画素の近く、即ち液晶セル内に設けられたカラーフィルタに隣接するように形成しようとすると、液晶セルの外側に設けられた一対の偏光板の間に形成することになるが、この配置では拡散シートが偏光解消性を有しているために画像光が好ましい偏光状態でなくなってしまい、結果的に視野角が悪化する。
このような問題を改良するためには液晶セル内に偏光板を形成することが必要である。液晶セル内の偏光板としては、リオトロピック液晶を用いた塗布型偏光板が提案されている(特許文献1、2)。しかしながら、塗布のみによって配向させる本方式は偏光度が十分でなく、水溶性であるために偏光分離能が湿度などに影響されてしまうという問題があった。
特表平8−511129号公報 米国特許5,481,385号 SID Symposium Digest vol.35, p.1170(2004). SID Symposium Digest vol.35, p.1106(2004).
本発明は、温度・湿度などの環境に対して安定で、且つ大面積にわたって均一な偏光分離能を有する偏光分離層を液晶セル内に形成可能な転写材料、及び偏光分離層付きの液晶セル用基板を提供することを課題とする。また、本発明は、液晶表示装置、特に集光されたバックライトを有する液晶表示装置、の視野角拡大に寄与し得る液晶セル用基板、及びかかる液晶セル用基板の作製に有用な転写材料及び作製方法を提供することを課題とする。また、本発明は、他の表示特性を損なうことなく、漏れ光が軽減され、視野角特性が改善された液晶表示装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 仮支持体上に、少なくとも一つの偏光分離層と、少なくとも一つの感光性樹脂層とを、仮支持体に近い側からこの順に有する転写材料。
[2] 前記偏光分離層と前記感光性樹脂層との間に少なくとも一つの光拡散性層を有する[1]の転写材料。
[3] 前記感光性樹脂層が、光拡散性層を兼ねている[1]の転写材料。
[4] 前記光拡散性層が、屈折率分布型光拡散性層である[2]又は[3]の転写材料。
[5] 前記偏光分離層が、少なくとも一つの反応性基を有する液晶性化合物を含む組成物を液晶相とした後、熱]又は[電離放射線照射されて形成された層である[1]〜[4]のいずれかの転写材料。
[6] 前記液晶性化合物の反応性基が、エチレン性不飽和基である[5]の転写材料。
[7] 前記液晶性化合物が、棒状液晶である[5]又は[6]の転写材料。
[8] 前記組成物の示す液晶相が、ネマチック相又はスメクチック相である[5]〜[7]のいずれかの転写材料。
[9] 前記組成物の示す液晶相が、コレステリック相である[5]〜[7]のいずれかの転写材料。
[10] 前記偏光分離層が、二色性色素を含有する[1]〜[9]のいずれかの転写材料。
[11] 前記偏光分離層が、ワイヤグリッド偏光層である[1]〜[8]のいずれかの転写材料。
[12] 前記偏光分離層の上に直接又は他の層を介して光学異方性層を有する[1]〜[11]のいずれかの転写材料。
[13] [1]〜[12]のいずれかの転写材料から、前記偏光分離層及び感光性樹脂層の少なくとも一部を透明基板上に転写することにより作製された液晶セル用基板。
[14] 前記透明基板が、ガラス基板である[13]の液晶セル用基板。
[15] 前記透明基板の前記偏光分離層及び感光性樹脂層の少なくとも一部が転写された面の反対側の面上に、第2の偏光分離層をさらに有する[14]の液晶セル用基板。
[16] 前記第2の偏光分離層が、ヨウ素系偏光分離層である[15]の液晶セル用基板。
[17] 前記第2の偏光分離層の表面上に、該偏光分離層を保護する保護フィルムを有する[15]又は[16]の液晶セル用基板。
[18] 一対の基板と、該一対の基板に挟持される液晶層とを有する液晶セルであって、前記一対の基板の一方が[13]〜[17]のいずれかの液晶セル用基板である液晶セル。
[19] [18]の液晶セルを有する液晶表示装置。
[20] 集光する手段を備えたバックライトユニットをさらに有する[19]の液晶表示装置。
[21] 液晶モードがVA、IPS及びOCBモードのいずれかである[19]又は[20]の液晶表示装置。
[22] 少なくとも次の[1]〜[3]の工程をこの順に含む[13]〜[17]のいずれかの液晶セル用基板の製造方法;
[1]基板に[1]〜[12]のいずれかの転写材料をラミネートする工程
[2]該基板上の転写材料から仮支持体を剥離する工程
[3]該基板上の感光性樹脂層を露光する工程。
本発明の転写材料を用いて液晶セル内に偏光分離層を設けることによって、偏光分離能の温湿度による影響がなくなり、液晶表示装置の光漏れを改善することができる。また、偏光分離層とともに光拡散性層も液晶セル内に設けることによって、高精細性を損なうことなく液晶表示装置の視野角を拡大することができる。
即ち、本発明によれば、液晶セル内に、温度・湿度などの環境に対して安定で、且つ大面積にわたって均一な偏光分離能を有する偏光分離層を形成可能な転写材料、及び偏光分離層付きの液晶セル用基板を提供することができる。また、本発明によれば、液晶表示装置、特に集光されたバックライトを有する液晶表示装置、の視野角拡大に寄与し得る液晶セル用基板、及びかかる液晶セル用基板の作製に有用な転写材料及び作製方法を提供することができる。さらに本発明によれば、他の表示特性を損なうことなく、漏れ光が軽減され、視野角特性が改善された液晶表示装置を提供することができる。
発明の実施の形態
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、Reレターデーション値は、以下に基づき算出するものとする。Re(λ)は波長λにおける面内のレターデーション及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)は平行ニコル法により、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。本明細書におけるλは、R、G、Bに対してそれぞれ611±5nm、545±5nm、435±5nmを指し、特に色に関する記載がなければ545±5nm又は590±5nmを指す。
本明細書において、角度について「実質的に」とは、厳密な角度との誤差が±5°未満の範囲内であることを意味する。さらに、厳密な角度との誤差は、4°未満であることが好ましく、3°未満であることがより好ましい。レターデーションについて「実質的に」とは、レターデーションが±5%以内の差であることを意味する。さらに、Reが実質的に0でないとは、Reが5nm以上であることを意味する。また、屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域の任意の波長を指す。なお、本明細書において、「可視光」とは、波長が400〜700nmの光のことをいう。
[転写材料]
本発明の転写材料について以下説明する。
本発明の転写材料は、仮支持体と、少なくとも一層の偏光分離層と少なくとも一層の感光性樹脂層とをこの順に有する。前記転写材料は、前記偏光分離層と前記感光性樹脂層の少なくとも一部を他の基板上に転写するのに用いられる材料である。本発明の転写材料を用いることにより、偏光分離層を容易に基板面に転写することができ、その結果、偏光分離層をセル内に有する液晶セルを容易に作製することができる。図面を用いて本発明の転写材料の実施形態について説明する。図1は本発明の転写材料のいくつかの例の概略断面図である。図1(a)に示す転写材料は、透明又は不透明な仮支持体11上に偏光分離層12と感光性樹脂層13とを有する。感光性樹脂層13は、偏光分離層12とともに、被転写材料であるガラス基板等の透明基板上に転写され、偏光分離層と被転写材料とを接着する機能を有する。また、感光性樹脂層は露光部と非露光部とで溶解性に差を生じるので、基板上に転写後、パターン露光することで、感光性樹脂層及び偏光分離層を所定のパターン状にすることもできる。さらに、転写後の感光性樹脂層を、カラーフィルタ層として利用してもよい。
本発明の転写材料は他の層を有していてもよく、例えば、図1(b)に示すように、偏光分離層12と感光性樹脂層13との間に、光拡散性層14を有していてもよい。偏光分離層12とともに光拡散性層14を基板上に転写すると、偏光分離層13によって偏光分離された光を、光拡散性層14によって画像光に広げることができる。また、図1(a)の構成の転写材料であっても、感光性樹脂層13が光拡散性層を兼ねることで、同様に、光拡散機能を付与することができる。たとえば、感光性樹脂層13中に、バインダと異なる屈折率を有する粒子等を添加するとともに、ヘイズ値を後述する所望の範囲にすること等により、光拡散性機能を持たせることができる。その他、図1(c)に示すように、偏光分離層12が、例えば、液晶性分子の配向によって偏光分離機能を有する場合は、液晶性分子の配向を制御するための配向層15が配置されてもよいし、さらに図1(d)に示すように双方の層を有していてもよい。また、図1(e)に示すように、偏光分離層12と仮支持体11との間に、光学異方性層16をさらに有していてもよい。偏光分離層12とともに光学異方性層16を基板上に転写すると、集光されずに斜めに入射した光の偏光状態を光学補償層16によって補償することができる。また、図1(e)に示す様に、光学異方性層16が液晶性組成物からなる場合は、光学異方性層16は、液晶性分子の配向を制御するための配向層15’の上に設けてもよい。また、図1(f)に示すように、さらに光拡散性層14を有していてもよい。
上記した通り、本発明の転写材料を転写する際に、感光性樹脂層は、被転写材料である基板と偏光分離層とを接着する機能を有するので、偏光分離層より上に形成されている必要がある。それ以外については、各層の配置については特に制限はなく、所望により形成される各層の機能に応じて、偏光分離層との相対的位置関係を決定すればよい。例えば、光拡散性層を有する態様では、図1(b)に示す様に、光拡散性層は、感光性樹脂層と偏光分離層との間に配置されるのが好ましい。かかる態様の転写材料を透明基板に転写すると、透明基板側から光拡散性層及び偏光分離層の順に積層した構成になり、この基板を液晶セル用基板として用い偏光分離層を液晶層側にして配置する(即ちセル内に配置する)と、液晶セル内に入射した光を、偏光分離層によって偏光分離し、その後、光拡散性層によって拡散することができ、視野角の拡大に寄与し得る。また、例えば、光学異方性層を有する態様では、図1(e)に示す様に、光学異方性層は、偏光分離層と仮支持体との間に配置するのが好ましい。かかる態様の転写材料を基板に転写すると、基板側から偏光分離層及び光学異方性層の順に積層した構成になり、この基板を液晶セル用基板として用い偏光分離層を液晶層側にして配置する(即ちセル内に配置する)と、集光されずに斜めに入射した光の偏光状態を光学異方性層によって補償することができ、光の利用効率が改善される。
以下、本発明の転写材料の各構成部材について詳細に説明する。
[仮支持体]
前記転写材料に用いられる仮支持体は、透明でも不透明でもよく特に限定はない。仮支持体を構成するポリマーの例には、セルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート)、ポリオレフィン(例、ノルボルネン系ポリマー)、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエステル及びポリスルホン、ノルボルネン系ポリマーが含まれる。製造工程において光学特性を検査する目的には、仮支持体は透明で低複屈折の材料が好ましく、低複屈折性の観点からはセルロースエステル及びノルボルネン系が好ましい。市販のノルボルネン系ポリマーとしては、アートン(JSR(株)製)、ゼオネックス、ゼオノア(以上、日本ゼオン(株)製)などを用いることができる。また安価なポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート等も好ましく用いられる。
[偏光分離層]
前記転写材料における偏光分離層は、任意の直線偏光を透過し、該直線偏光と偏光面が直交する偏光を吸収又は反射、後方散乱するもの;及び右又は左円偏光を透過し、該円偏光とらせんが逆向きの円偏光を吸収又は反射、後方散乱するもの;のいずれかであれば特に限定はないが、液晶セル中に配置される場合は液晶層に対する耐性が求められること、及び偏光度が比較的高いという観点などから、例えば特開2000−352611号公報に記載の重合性コレステリック液晶を用いた直線又は円偏光分離層、二色性色素を含有し一軸配向した重合性ネマチック液晶を用いたゲスト−ホスト型直線偏光分離層、特開昭55−95981号公報に記載のアルミニウムなどの金属グリッドを用いたワイヤグリッド偏光分離層が好ましい例として挙げられる。コレステリック液晶は通常円偏光分離機能があるが、λ/4板との組み合わせによって直線偏光分離機能にすることができる。コレステリック偏光分離層とワイヤグリッド偏光分離層は偏光度が非常に高いため、特に好ましい。耐熱性や液晶層に対する耐性の観点から、コレステリック偏光分離層及びゲスト−ホスト型偏光分離層、加えてλ/4板は、少なくとも一種の液晶性化合物を含有する組成物から形成されていることが好ましく、また、重合性基を有する少なくとも一種の液晶性化合物を含有する組成物を、液晶相とした後、熱を供給及び/又は紫外線を照射することで硬化させて形成された層であることが好ましい。
[感光性樹脂層]
前記感光性樹脂層は、感光性樹脂組成物よりなる。本発明の転写材料から転写される感光性樹脂層及び偏光分離層が液晶セル内の層となる場合は、感光性樹脂層は通常の軟らかい粘着剤と比較して、露光転写後に紫外線などで硬化し、必要に応じてポストベークによりさらに硬化して、その後の液晶セル用基板作製工程において十分な耐熱性を有しているのが好ましい。さらに、感光性樹脂層をマスク等を介して光照射した際に露光部と未露光部に、基板への転写性の差(例えば、現像工程における現像液に対する溶解性の差)が生じれば、感光性樹脂層とともに偏光分離層等をパターニングすることができる。その場合、感光性樹脂層はポジ型でもネガ型でもよい。
前記感光性樹脂層は、少なくとも(1)アルカリ可溶性樹脂と、(2)モノマー又はオリゴマーと、(3)光重合開始剤又は光重合開始剤系と、を含む樹脂組成物から形成するのが好ましい。
以下、これら(1)〜(3)の成分について説明する。
(1)アルカリ可溶性樹脂
前記アルカリ可溶性樹脂(以下、単に「バインダ」ということがある。)としては、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーが好ましい。その例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができ、またこの他にも、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。また、特に好ましい例として、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。これらの極性基を有するバインダポリマーは、単独で用いてもよく、或いは通常の膜形成性のポリマーと併用する組成物の状態で使用してもよく、感光性樹脂組成物の全固形分に対する含有量は20〜50質量%が一般的であり、25〜45質量%が好ましい。
(2)モノマー又はオリゴマー
前記感光性樹脂層に使用されるモノマー又はオリゴマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有し、光の照射によって付加重合するモノマー又はオリゴマーであることが好ましい。そのようなモノマー及びオリゴマーとしては、分子中に少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上の化合物を挙げることができる。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンやグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加した後(メタ)アクリレート化したもの等の多官能アクリレートや多官能メタクリレートを挙げることができる。
さらに特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報及び特開昭51−37193号公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報及び特公昭52−30490号公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレー卜やメタクリレートを挙げることができる。
これらの中で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合性化合物B」も好適なものとして挙げることができる。
これらのモノマー又はオリゴマーは、単独でも、2種類以上を混合して用いてもよく、着色樹脂組成物の全固形分に対する含有量は5〜50質量%が一般的であり、10〜40質量%が好ましい。
(3)光重合開始剤又は光重合開始剤系
前記感光性樹脂層に使用される光重合開始剤又は光重合開始剤系としては、米国特許第2367660号明細書に開示されているビシナルポリケタルドニル化合物、米国特許第2448828号明細書に記載されているアシロインエーテル化合物、米国特許第2722512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3046127号明細書及び同第2951758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3549367号明細書に記載のトリアリールイミダゾール2量体とp−アミノケトンの組み合わせ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール化合物とトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されているトリハロメチルオキサジアゾール化合物等を挙げることができる。特に、トリハロメチル−s−トリアジン、トリハロメチルオキサジアゾール及びトリアリールイミダゾール2量体が好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合開始剤C」も好適なものとしてあげることができる。
これらの光重合開始剤又は光重合開始剤系は、単独でも、2種類以上を混合して用いてもよいが、特に2種類以上を用いることが好ましい。少なくとも2種の光重合開始剤を用いると、表示特性、特に表示のムラが少なくできる。
感光性樹脂組成物の全固形分に対する光重合開始剤又は光重合開始剤系の含有量は、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。
[光拡散性層]
本発明の転写材料は光拡散性層を有していてもよい。光拡散性層は、該層に入射した光が透過した際に拡散していれば特に材料及び構成等について限定はない。液晶セルに垂直入射することで優れた画質を有する画像光を、観察者の見る位置に効率よく分布させるためには、光拡散性層は、そのヘイズが5〜40%であることが好ましく、10〜30%であることがさらに好ましい。光拡散性層としては、層を形成するバインダ中に屈折率の異なる粒子を分散することで簡便に作製できる。層を形成するバインダとしては特に制限はないが、液晶セル中に配置される層となる場合は、耐熱性が要求され、上記した感光性樹脂層に用いられるものと同様の材料が望ましい。粒子としては、粒径が0.1〜5.0μmが好ましく、0.5〜2.0μmが特に好ましい。粒子の屈折率はバインダの屈折率にもよるが、一般に1.45〜2.7程度であるのが好ましい。
前記粒子分散型光拡散性層は作製が容易であるが、拡散性を所定の範囲に設計するためには屈折率分布型光拡散性層を利用することが好ましい。屈折率分布型光拡散性層とは、層内の局所的な屈折率分布を制御して作製される層であり、このような屈折率不均一構造は、露光部の屈折率が上昇又は低下するようなフォトポリマーを用い、ホログラフィック手法を用いて記録することにより作製することができる。具体的に拡散性を制御する公知の方法としては、米国特許6,158,245号などが挙げられる。
[光学異方性層]
本発明の転写材料は光学異方性層を有していてもよい。前記光学異方性層は、位相差を測定したときにReが実質的に0でない入射方向が一つでもある、即ち等方性でない光学特性を有していれば特に材料、構成等について限定はない。液晶セル中に配置される場合には、光学特性の制御を厳密に行わなければならず、光学特性の制御が容易である等の観点から、少なくとも一種の液晶性化合物を含有する組成物から形成されていることが好ましく、また、重合性基を有する少なくとも一種の液晶性化合物を含有する組成物を、液晶相として、その後、熱を供給及び/又は紫外線を照射することで硬化させて形成された層であることが望ましい。
[液晶性化合物を含有する組成物からなる光学異方性層]
前記光学異方性層は、上記のように、液晶セル中に配置され、液晶表示装置の視野角を補償する光学異方性層として機能する。なお、前記光学異方性層単独で充分な光学補償能を有する態様はもちろん、前記光学異方性層と他の層(例えば、対向基板に設けられる光学異方性層、液晶セル外に配置される光学異方性層等)との組み合わせで光学補償に必要とされる光学特性を満足する態様であってもよい。前記転写材料が有する光学異方性層は、光学補償能に充分な光学特性を満足している必要はなく、例えば、本発明の液晶セル用基板の作製工程で、転写される過程において実施される露光工程を通じて、光学特性が発現又は変化して、最終的に光学補償に必要な光学特性を示すものであってもよい。
[偏光分離層及び光学異方性層を形成する液晶性化合物]
上述のように、偏光分離層及び光学異方性層は、少なくとも一種の液晶性化合物を含有する組成物から形成されることが好ましい。一般的に、液晶性化合物はその形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、いずれの液晶性化合物を用いることもできるが、棒状液晶性化合物又は円盤状液晶性化合物を用いるのが好ましい。2種以上の棒状液晶性化合物、2種以上の円盤状液晶性化合物、又は棒状液晶性化合物と円盤状液晶性化合物との混合物を用いてもよい。温度変化や湿度変化を小さくできることから、反応性基を有する棒状液晶性化合物又は円盤状液晶性化合物を用いて形成するのがより好ましく、混合物の場合少なくとも1つは1液晶分子中の反応性基が2以上あることがさらに好ましい。液晶性化合物は二種類以上の混合物でもよく、その場合少なくとも1つが2以上の反応性基を有していることが好ましい。前記偏光分離層及び光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜10μmであることがさらに好ましい。
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。上記高分子液晶性化合物は、低分子の反応性基を有する棒状液晶性化合物が重合した高分子化合物である。特に好ましく用いられる上記低分子の反応性基を有する棒状液晶性化合物としては、下記一般式(I)で表される棒状液晶性化合物である。
一般式(I):Q1−L1−A1−L3−M−L4−A2−L2−Q2
式中、Q1及びQ2はそれぞれ独立に、反応性基であり、L1、L2、L3及びL4はそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表すが、L3及びL4の少なくとも一方は、−O−CO−O−が好ましい。A1及びA2はそれぞれ独立に、炭素原子数2〜20のスペーサ基を表す。Mはメソゲン基を表す。
以下に、上記一般式(I)で表される反応性基を有する棒状液晶性化合物についてさらに詳細に説明する。式中、Q1及びQ2は、それぞれ独立に、反応性基である。反応性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)又は縮合重合であることが好ましい。換言すれば、反応性基は付加重合反応又は縮合重合反応が可能な反応性基であることが好ましい。以下に反応性基の例を示す。
Figure 2007199237
1、L2、L3及びL4で表される二価の連結基としては、−O−、−S−、−CO−、−NR2−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR2−、−NR2−CO−、−O−CO−、−O−CO−NR2−、−NR2−CO−O−、及びNR2−CO−NR2−からなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R2は炭素原子数が1〜7のアルキル基又は水素原子である。この場合、L3及びL4の少なくとも一方は、−O−CO−O−(カーボネート基)である。前記式(I)中、Q1−L1及びQ2−L2−は、CH2=CH−CO−O−、CH2=C(CH3)−CO−O−及びCH2=C(Cl)−CO−O−CO−O−が好ましく、CH2=CH−CO−O−が最も好ましい。
1及びA2は、炭素原子数2〜20を有するスペーサ基を表す。炭素原子数2〜12のアルキレン基、アルケニレン基、及びアルキニレン基が好ましく、特にアルキレン基が好ましい。スペーサ基は鎖状であることが好ましく、隣接していない酸素原子又は硫黄原子を含んでいてもよい。また、前記スペーサ基は、置換基を有していてもよく、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)、シアノ基、メチル基、エチル基が置換していてもよい。
Mで表されるメソゲン基としては、すべての公知のメソゲン基が挙げられる。特に下記一般式(II)で表される基が好ましい。
一般式(II):−(−W1−L5n−W2
式中、W1及びW2は各々独立して、二価の環状アルキレン基もしくは環状アルケニレン基、二価のアリール基又は二価のヘテロ環基を表し、L5は単結合又は連結基を表し、連結基の具体例としては、前記式(I)中、L1〜L4で表される基の具体例、−CH2−O−、及びO−CH2−が挙げられる。nは1、2又は3を表す。
1及びW2としては、1,4−シクロヘキサンジイル、1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5ジイル、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル、1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイルが挙げられる。1,4−シクロヘキサンジイルの場合、トランス体及びシス体の構造異性体があるが、どちらの異性体であってもよく、任意の割合の混合物でもよい。トランス体であることがより好ましい。W1及びW2は、それぞれ置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、シアノ基、炭素原子数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基など)、炭素原子数1〜10のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基など)、炭素原子数1〜10のアシル基(ホルミル基、アセチル基など)、炭素原子数1〜10のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、炭素原子数1〜10のアシルオキシ基(アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基など)、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基などが挙げられる。
前記一般式(II)で表されるメソゲン基の基本骨格で好ましいものを、以下に例示する。これらに上記置換基が置換していてもよい。
Figure 2007199237
以下に、前記一般式(I)で表される化合物の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、一般式(I)で表される化合物は、特表平11−513019号公報に記載の方法で合成することができる。
Figure 2007199237
Figure 2007199237
Figure 2007199237
本発明の他の態様として、前記偏光分離層及び光学異方性層にディスコティック液晶を使用した態様がある。前記偏光分離層及び光学異方性層は、モノマー等の低分子量の液晶性ディスコティック化合物の層又は重合性の液晶性ディスコティック化合物の重合(硬化)により得られるポリマーの層であるのが好ましい。前記ディスコティック(円盤状)化合物の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physicslett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。上記ディスコティック(円盤状)化合物は、一般的にこれらを分子中心の円盤状の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等の基(L)が放射線状に置換された構造であり、液晶性を示し、一般的にディスコティック液晶とよばれるものが含まれる。ただし、このような分子の集合体が一様に配向した場合は負の一軸性を示すが、この記載に限定されるものではない。また、本発明において、円盤状化合物から形成したとは、最終的にできた物が前記化合物である必要はなく、例えば、前記低分子ディスコティック液晶が熱、光等で反応する基を有しており、結果的に熱、光等で反応により重合又は架橋し、高分子量化し液晶性を失ったものも含まれる。
本発明では、下記一般式(III)で表わされるディスコティック液晶性化合物を用いるのが好ましい。
一般式(III): D(−L−P)n
式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
前記式(III)中、円盤状コア(D)、二価の連結基(L)及び重合性基(P)の好ましい具体例は、それぞれ、特開2001−4837号公報に記載の(D1)〜(D15)、(L1)〜(L25)、(P1)〜(P18)が挙げられ、同公報に記載される円盤状コア(D)、二価の連結基(L)及び重合性基(P)に関する内容をここに好ましく適用することができる。
上記ディスコティック化合物の好ましい例を下記に示す。
Figure 2007199237
Figure 2007199237
Figure 2007199237
Figure 2007199237
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Figure 2007199237
Figure 2007199237
Figure 2007199237
Figure 2007199237
前記偏光分離層及び光学異方性層は、液晶性化合物を含有する組成物(例えば塗布液)を、後述する配向層の表面に、例えば塗布等により配置して、所望の液晶相を示す配向状態とした後、該配向状態を熱又は電離放射線の照射により固定することで作製された層であるのが好ましい。液晶相としては特に限定はないが、全面にわたって均一な光学特性を付与するためにはネマチック相またはコレステリック相が、高いオーダーの一軸性を付与するためにはスメクチック相が好ましい。例えば、偏光分離層は、上記した通り、ネマチック液晶と二色性色素を含有する組成物を配向膜の表面に塗布等により配置し、ネマチック相又はスメクチック相に転移させて、その後、該配向状態を熱又は電離放射線の照射により固定することで作製するのが好ましい。また、重合性コレステリック液晶を含有する組成物を、同様に配向膜表面に配置し、コレステリック相に転移させて、その後、配向状態を熱又は電離放射線の照射により固定することで作製するのも好ましい。また、光学異方性層も、液晶性化合物を含有する組成物を、配向膜の表面に塗布等により配置し、一旦、液晶性化合物の分子を水平配向させた後、後述する偏光照射等で所望の配向状態とし、その後、該配向状態を熱又は電離放射線の照射により固定することで作製してもよい。
液晶性化合物からなる偏光分離層及び光学異方性層を2層以上積層する場合、液晶性化合物の組み合わせについては特に限定されず、全て円盤状液晶性化合物からなる層の積層体、全て棒状性液晶性化合物からなる層の積層体、円盤状液晶性化合物からなる層と棒状性液晶性化合物からなる層の積層体であってもよい。また、各層の配向状態の組み合わせも特に限定されず、同じ配向状態の光学異方性層を積層してもよいし、異なる配向状態の光学異方性層を積層してもよい。
偏光分離層及び光学異方性層は、液晶性化合物及び下記の重合開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、後述する所定の配向層の上に塗布することで形成することが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
[液晶性化合物の配向状態の固定化]
配向させた液晶性化合物は、配向状態を維持して固定することが好ましい。固定化は、液晶性化合物に導入した反応性基の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、光重合反応がより好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜10J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、窒素雰囲気下あるいは加熱条件下で光照射を実施してもよい。
前記光学異方性層は、偏光照射による光配向によって面内のレターデーションが発生した層であってもよい。この偏光照射は、上記配向固定化における光重合プロセスと同時に行ってもよいし、先に偏光照射を行ってから非偏光照射でさらに固定化を行ってもよいし、非偏光照射で先に固定化してから偏光照射によって光配向を行ってもよい。偏光照射により、二軸性の光学異方性層を作製する方法が知られている。
前記光学異方性層が二軸性を示すと、液晶セル、特にVAモードの液晶セルを正確に光学補償できるので好ましい。液晶性化合物として、反応性基を有する棒状液晶性化合物を用いる場合、二軸性を発現させるためにはコレステリック配向もしくは傾斜角が厚み方向に徐々に変化しながらねじれたハイブリッドコレステリック配向を、偏光照射によって歪ませることが必要である。偏光照射によって配向を歪ませる方法としては、二色性液晶性重合開始剤を用いる方法(EP1389199 A1)や分子内にシンナモイル基等の光配向性官能基を有する棒状液晶性化合物を用いる方法(特開2002−6138号公報)が挙げられる。本発明においては、いずれも利用できる。なお、偏光照射による光配向によって発生した面内のレターデーションを示す光学異方性層は、特に、VAモードの液晶表示装置を光学補償するのに優れている。
[偏光照射による光配向]
前記光学異方性層は、偏光照射による光配向で面内のレターデーションが発現した層であってもよい。大きな面内レターデーションを得るために、偏光照射は液晶化合物層塗布、配向後に最初に行う必要がある。偏光照射は、酸素濃度0.5%以下の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜10J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。照度は20〜1000mW/cm2であることが好ましく、50〜500mW/cm2であることがより好ましく、100〜350mW/cm2であることがさらに好ましい。偏光照射によって硬化する液晶性化合物の種類については特に制限はないが、反応性基としてエチレン不飽和基を有する液晶性化合物が好ましい。照射波長としては300〜450nmにピークを有することが好ましく、350〜400nmにピークを有することがさらに好ましい。
[偏光照射後の紫外線照射による後硬化]
前記光学異方性層は、最初の偏光照射(光配向のための照射)の後に、偏光もしくは非偏光紫外線をさらに照射することで反応性基の反応率を高め(後硬化)、密着性等を改良すると共に、大きな搬送速度で生産できるようになる。後硬化は偏光でも非偏光でも構わないが、偏光であることが好ましい。また、2回以上の後硬化をすることが好ましく、偏光のみでも、非偏光のみでも、偏光と非偏光を組み合わせてもよいが、組み合わせる場合は非偏光より先に偏光を照射することが好ましい。紫外線照射は、不活性ガス置換してもしなくてもよいが、酸素濃度0.5%以下の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜10J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。照度は20〜1000mW/cm2であることが好ましく、50〜500mW/cm2であることがより好ましく、100〜350mW/cm2であることがさらに好ましい。照射波長としては偏光照射の場合は300〜450nmにピークを有することが好ましく、350〜400nmにピークを有することがさらに好ましい。非偏光照射の場合は200〜450nmにピークを有することが好ましく、250〜400nmにピークを有することがさらに好ましい。
上記二軸性を示す光学異方性層を形成するためには、一旦、液晶性分子を水平配向させ、その後、偏光照射等によって所望の配向としてもよい。前記光学異方性層の形成用組成物中に、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物の少なくとも一種を含有させることで、液晶性化合物の分子を実質的に水平配向させることができる。尚、本明細書において「水平配向」とは、棒状液晶の場合、分子長軸と透明支持体の水平面が平行であることをいい、円盤状液晶の場合、円盤状液晶性化合物のコアの円盤面と透明支持体の水平面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、水平面とのなす傾斜角が10度未満の配向を意味するものとする。傾斜角は0〜5度が好ましく、0〜3度がより好ましく、0〜2度がさらに好ましく、0〜1度が最も好ましい。
以下、下記一般式(1)〜(3)について、順に説明する。
一般式(1)
Figure 2007199237
式中、R1、R2及びR3は各々独立して、水素原子又は置換基を表し、X1、X2及びX3は単結合又は二価の連結基を表す。R1〜R3で各々表される置換基としては、好ましくは置換もしくは無置換の、アルキル基(中でも、無置換のアルキル基又はフッ素置換アルキル基がより好ましい)、アリール基(中でもフッ素置換アルキル基を有するアリール基が好ましい)、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子である。X1、X2及びX3で各々表される二価の連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、二価の芳香族基、二価のヘテロ環残基、−CO−、―NRa−(Raは炭素原子数が1〜5のアルキル基又は水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基は、アルキレン基、フェニレン基、−CO−、−NRa−、−O−、−S−及びSO2−からなる群より選ばれる二価の連結基又は該群より選ばれる基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることがより好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。二価の芳香族基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい
一般式(2)
Figure 2007199237
式中、Rは置換基を表し、mは0〜5の整数を表す。mが2以上の整数を表す場合、複数個のRは同一でも異なっていてもよい。Rとして好ましい置換基は、R1、R2、及びR3で表される置換基の好ましい範囲として挙げたものと同じである。mは、好ましくは1〜3の整数を表し、特に好ましくは2又は3である。
一般式(3)
Figure 2007199237
式中、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は各々独立して、水素原子又は置換基を表す。R4、R5、R6、R7、R8及びR9でそれぞれ表される置換基は、好ましくは一般式(I)におけるR1、R2及びR3で表される置換基の好ましいものとして挙げたものである。本発明に用いられる水平配向剤については、特開2005−99248号公報の段落番号[0092]〜[0096]に記載の化合物を用いることができ、それら化合物の合成法も該明細書に記載されている。
前記一般式(1)〜(3)で表される化合物の添加量としては、液晶性化合物の質量の0.01〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.02〜1質量%が特に好ましい。なお、前記一般式(1)〜(3)にて表される化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
[偏光分離層の作製に用いられる二色性色素]
前記偏光分離層は、上記した通り、二色性色素を含有し一軸配向したネマチック液晶組成物からなるゲスト−ホスト型直線偏光分離層であってもよい。二色性色素としては、棒状液晶性化合物と混合して二色性を発現すれば特に限定はないが、二色性が0.6以上あることが好ましい。二色性色素の発色団はいかなるものであってもよく、例えば、アゾ色素、アントラキノン色素、ペリレン色素、メロシアニン色素、アゾメチン色素、フタロペリレン色素、インジゴ色素、アズレン色素、ジオキサジン色素、ポリチオフェン色素、フェノキサジン色素などが挙げられる。好ましくはアゾ色素、アントラキノン色素、フェノキサジン色素であり、特に好ましくはアントラキノン色素、フェノキサゾン色素(フェノキサジン−3−オン)である。
アゾ色素はモノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素、ペンタキスアゾ色素などいかなるものであってもよいが、好ましくはモノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素である。アゾ色素に含まれる環構造としては芳香族基(ベンゼン環、ナフタレン環など)のほかにも複素環(キノリン環、ピリジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリミジン環など)であってもよい。
アントラキノン色素の置換基としては、酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含むものが好ましく、例えば、アルコキシ、アリーロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルアミノ、アリールアミノ基である。該置換基の置換数はいかなる数であってもよいが、ジ置換、トリ置換、テトラキス置換が好ましく、特に好ましくはジ置換、トリ置換である。該置換基の置換位置はいかなる場所であってもよいが、好ましくは1,4位ジ置換、1,5位ジ置換、1,4,5位トリ置換、1,2,4位トリ置換、1,2,5位トリ置換、1,2,4,5位テトラ置換、1,2,5,6位テトラ置換構造である。
フェノキサゾン色素(フェノキサジン−3−オン)の置換基としては、酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含むものが好ましく、例えば、アルコキシ、アリーロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルアミノ、アリールアミノ基である。
ゲストとなるネマチック液晶は、特に制限されないが、配向状態に固定するため、重合性基を有しているのが好ましい。ネマチック液晶としては、アゾメチン化合物、シアノビフェニル化合物、シアノフェニルエステル、フッ素置換フェニルエステル、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル、フッ素置換シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル、シアノフェニルシクロヘキサン、フッ素置換フェニルシクロヘキサン、シアノ置換フェニルピリミジン、フッ素置換フェニルピリミジン、アルコキシ置換フェニルピリミジン、フッ素置換アルコキシ置換フェニルピリミジン、フェニルジオキサン、トラン系化合物、フッ素置換トラン系化合物、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリルなどが挙げられる。また、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第154〜192頁および第715〜722頁に記載の液晶化合物を用いることができる。
なお、ゲスト−ホスト型直線偏光分離層の作製の詳細については、米国特許5672296号明細書等に記載があり、本発明においても利用することができる。
なお、偏光分離層又は光学異方性層は、基板上に転写された後は、液晶セル内に配置され、高温に曝される場合もあるので、耐熱性が高いことが好ましい。各層の耐熱性は、例えば、高温処理した際の特性の変化の有無やその変化量で評価することができる。前記光学異方性層は、200℃1時間の処理でそのレターデーション値の変化が10%以下であるのが好ましく、5%以下であるのがより好ましい。また、前記偏光分離層は、200℃1時間の処理でその偏光度の変化が10%以下であるのが好ましく、5%以下であるのがより好ましい。
例えば、光学異方性層や偏光分離層を液晶性組成物から形成する場合は、該組成物中に含有される重合性成分(例えば、重合性液晶性化合物や別途添加される重合性モノマー)が、2つ以上の反応性基を有する化合物であると、高い耐熱性の層を形成できるので好ましい。
[配向層]
上記したように、前記偏光分離層及び光学異方性層の形成には、配向層を利用してもよい。配向層は、一般に透明支持体上又は該透明支持体に塗設された下塗層上に設けられる。配向層は、その上に設けられる液晶性化合物の配向方向を規定するように機能する。配向層は、偏光分離層及び光学異方性層の形成に用いられる液晶性化合物の分子に配向性を付与できるものであれば、どのような層でもよい。配向層の好ましい例としては、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理された層、無機化合物の斜方蒸着層、及びマイクログルーブを有する層、さらにω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド及びステアリル酸メチル等のラングミュア・ブロジェット法(LB膜)により形成される累積膜、あるいは電場あるいは磁場の付与により誘電体を配向させた層を挙げることができる。
配向層用の有機化合物の例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカーボネート等のポリマー及びシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。好ましいポリマーの例としては、ポリイミド、ポリスチレン、スチレン誘導体のポリマー、ゼラチン、ポリビルアルコール及びアルキル基(炭素原子数6以上が好ましい)を有するアルキル変性ポリビルアルコールを挙げることができる。
配向層の形成には、ポリマーを使用するのが好ましい。利用可能なポリマーの種類は、液晶性化合物の配向(特に平均傾斜角)に応じて決定することができる。例えば、液晶性化合物を水平に配向させるためには配向層の表面エネルギーを低下させないポリマー(通常の配向用ポリマー)を用いる。具体的なポリマーの種類については液晶セル又は光学補償シートについて種々の文献に記載がある。例えば、ポリビニルアルコールもしくは変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸もしくはポリアクリル酸エステルとの共重合体、ポリビニルピロリドン、セルロースもしくは変性セルロース等が好ましく用いられる。配向層用素材には液晶性化合物の反応性基と反応できる官能基を有してもよい。反応性基は、側鎖に反応性基を有する繰り返し単位を導入するか、あるいは、環状基の置換基として導入することができる。界面で液晶性化合物と化学結合を形成する配向層を用いることがより好ましく、かかる配向層としては特開平9−152509号公報に記載されており、酸クロライドやカレンズMOI(昭和電工(株)製)を用いて側鎖にアクリル基を導入した変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。配向層の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがさらに好ましい。配向層は酸素遮断膜としての機能を有していてもよい。
また、LCDの配向層として広く用いられているポリイミド膜(好ましくはフッ素原子含有ポリイミド)も有機配向層として好ましい。これはポリアミック酸(例えば、日立化成工業(株)製のLQ/LXシリーズ、日産化学(株)製のSEシリーズ等)を支持体面に塗布し、100〜300℃で0.5〜1時間焼成した後、ラビングすることにより得られる。
また、前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を利用することができる。即ち、配向層の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
また、無機斜方蒸着膜の蒸着物質としては、SiO2を代表とし、TiO2、ZnO2等の金属酸化物、あるいやMgF2等のフッ化物、さらにAu、Al等の金属が挙げられる。尚、金属酸化物は、高誘電率のものであれば斜方蒸着物質として用いることができ、上記に限定されるものではない。無機斜方蒸着膜は、蒸着装置を用いて形成することができる。フィルム(支持体)を固定して蒸着するか、あるいは長尺フィルムを移動させて連続的に蒸着することにより無機斜方蒸着膜を形成することができる。
偏光分離層及び光学異方性層は、液晶性化合物を仮配向層上で配向させ、その配向を固定化した後、透明支持体に粘着剤を用いるなどして転写することもできるが、生産性の観点からは転写なしに直接形成することが好ましい。
[その他の層]
転写材料をパターニング用材料として用いる際には、仮支持体と偏光分離層の間には、力学特性や凹凸追従性をコントロールするために熱可塑性樹脂層を形成することが好ましい。熱可塑性樹脂層に用いる成分としては、特開平5−72724号公報に記載されている有機高分子物質が好ましく、ヴイカーVicat法(具体的にはアメリカ材料試験法エーエステーエムデーASTMD1235によるポリマー軟化点測定法)による軟化点が約80℃以下の有機高分子物質より選ばれることが特に好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンと酢酸ビニル或いはそのケン化物の様なエチレン共重合体、エチレンとアクリル酸エステル或いはそのケン化物、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニル及びそのケン化物の様な塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なスチレン共重合体、ポリビニルトルエン、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なビニルトルエン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体ナイロン、共重合ナイロン、N−アルコキシメチル化ナイロン、N−ジメチルアミノ化ナイロンの様なポリアミド樹脂等の有機高分子が挙げられる。
本発明の転写材料の作製において、塗布工程によって複数の層を形成する場合は、塗布時及び塗布後の保存時における層間の成分の混合を防止する目的から、中間層を設けることが好ましい。該中間層としては、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断膜を用いることが好ましく、この場合、露光時の感度が上がり、露光機の時間負荷が減り、生産性が向上する。該酸素遮断膜としては、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液に分散又は溶解するものが好ましく、公知のものの中から適宜選択することができる。これらの内、特に好ましいのは、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの組み合わせである。
前記熱可塑性樹脂層や前記中間層を、前記配向層と兼用することもできる。特に前記中間層に好ましく用いられるポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンは配向層としても有効であり、中間層と配向層を1層にすることが好ましい。
本発明の転写材料の最表面に位置する感光性樹脂層の表面には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護する為に薄い保護フィルムを設けることが好ましい。保護フィルムは仮支持体と同じか又は類似の材料からなってもよいが、樹脂層から容易に分離される材料である必要がある。保護フィルム材料としては例えばシリコン紙、ポリオレフィンもしくはポリテトラフルオロエチレンシートが適当である。
偏光分離層、感光性樹脂層、ならびに所望により形成される光拡散性層、光学異方性層、配向層、熱可塑性樹脂層及び中間層等の各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)等を利用した塗布工程により形成することができる。二以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書及び原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
[液晶セル用基板]
本発明の液晶セル用基板は、透明基板と、該透明基板上に、本発明の転写材料から転写された偏光分離層及び感光性樹脂層を少なくとも有する。本発明の転写材料を用いて作製した液晶セル用基板は、液晶を挟持してなる一対の基板のどちらに配置しても構わないが、LCDの視野角改良の効果からは上側、即ち観察者側の基板に用いることが好ましい。一般に透過型アクティブマトリクスLCDでは下側基板にはTFT、上側基板にはカラーフィルタが形成されていることが多く、本発明の液晶セル用基板はカラーフィルタ基板として用いられる態様が一般的であるが、反射型や半透過型などにおいてはその限りでない。被転写体である透明基板として、ガラス基板の他、プラスティックからなる基板等、種々の透明基板を用いることができる。透明基板上に転写された偏光分離層をセル内に配置する場合は、従来液晶セル用基板に求められているレターデーションが小さいという性質が必要ないことから、種々の材料から選択することができる点で有利である。また、透明基板の被転写面である表面には、ブラックマトリックスやカラーフィルタ層が、あらかじめ形成されていてもよい。また、被転写面と反対側の表面にも、他の層、例えば、偏光分離層や光学補償層等が形成されていてもよい。
図2(a)に本発明の液晶セル用基板の好ましい一例の概略断面図を示す。図2(a)に示す液晶セル用基板は、透明基板21上に、ブラックマトリクス22、カラーフィルタ層23、ならびに本発明の転写材料から転写された感光性樹脂層24及び偏光分離層25を有する。本態様の液晶セル用基板は、例えば、ブラックマトリックス22及びカラーフィルタ層23を表面に有する透明基板、及び図1(a)に示した転写材料を用いて作製することができる。偏光分離層25が、コレステリック偏光分離層やゲスト−ホスト型偏光分離層であり、偏光分離可能な波長域が制限される場合は、例えば、R光、G光及びB光をそれぞれ偏光分離可能な偏光分離層を有する転写材料を3種類用意し、順次転写して液晶セル用基板を作製してもよい。
また、図2(b)に示す態様のように、ブラックマトリックス22及びカラーフィルタ層23と、感光性樹脂層24及び偏光分離層25との配置が、図2(a)と逆であってもよい。本態様の液晶セル用基板は、例えば、図1(a)に示した転写材料を用いて透明基板21上に感光性樹脂層24及び偏光分離層25を転写した後、ブラックマトリックス22及びカラーフィルタ層23を形成することで作製することができる。カラーフィルタやブラックマトリックスは一般的には、感光性樹脂材料をパターン露光することにより作製することができる。
図2(c)に示す液晶セル用基板は、感光性樹脂層24と偏光分離層25との間に光拡散性層26を有する以外は、図2(a)と同一の構成である。本態様の液晶セル用基板は、例えば、図1(b)に示した転写材料を用いることで作製することができる。さらに、光拡散性層26を別途配置せず、感光性樹脂層24に光拡散性機能を付与してもよく、かかる態様では、図2(a)及び(b)の構成であっても、光拡散性層を有する場合と同様の効果が得られる。図2(d)に示す液晶セル用基板は、偏光分離層25の上にさらに光学異方性層27を有する以外は、図2(a)と同一の構成である。本態様の液晶セル用基板は、例えば、図1(e)に示した転写材料を用いることで作製することができる。
本発明の転写材料を用いて液晶セル用基板を作製する際には、感光性樹脂層のパターニング特性を生かして偏光分離層などの機能性層ごとパターニングすることもできる。コレステリック偏光分離層やゲスト−ホスト型偏光分離層は、偏光分離できる波長域が制限されているため、パターニングすることで層構成が簡略化できるのみならず、一層がカラーフィルタとしての機能と偏光分離層としての機能を兼ねることも可能となる。さらに、光学異方性層を有する転写材料を用いることによって、R、G及びBそれぞれの色に最適化された光学異方性層をカラーフィルタ上に形成することができ、生産性を損なうことなく色視野角特性を改良することができる。偏光分離層をパターン状に形成するためには、感光性樹脂層が、露光部と非露光部において、転写性に差(例えば現像液に対する溶解性の差)が生じる層である必要がある。
図3(a)に示す液晶セル用基板は、透明基板21上に、ブラックマトリックス22、カラーフィルタ23、ならびに本発明の転写材料から転写され、且つパターン状に形成された感光性樹脂層24及び偏光分離層25を有する。偏光分離層25は、カラーフィルタ23のR、G、Bパターンと同様のパターン状に形成されている。本態様の液晶セル用基板は、例えば、ブラックマトリックス22及びカラーフィルタ層23を表面に有する透明基板、及び図1(a)に示した転写材料を用いて、パターン露光することで作製することができる。偏光分離層として、コレステリック偏光分離層やゲスト−ホスト型偏光分離層を有し、R光、G光及びB光それぞれに対してのみ偏光分離能を有する偏光分離層をそれぞれ有する転写材料を3種類用いて、各々パターン露光すれば、カラーフィルタのR、G及びBのそれぞれの上に形成された偏光分離層25は、R、G及びBの単色それぞれに対してのみ偏光分離能を有する層となる。
図3(b)に示す液晶セル用基板は、感光性樹脂層24と偏光分離層25との間に光拡散性層26を有する以外は、図3(a)と同一の構成である。本態様の液晶セル用基板は、例えば、ブラックマトリックス22及びカラーフィルタ層23を表面に有する透明基板、及び図1(b)に示した転写材料を用いて、パターン露光することで作製することができる。また、別途、光拡散性層を形成しなくても、感光性樹脂層が光拡散機能を有する場合は、図3(a)に示す構成であっても、同様の効果が得られる。
また、図3(c)に示す液晶セル用基板は、偏光分離層25の上に光学補償層27を有する以外は、図3(a)と同一の構成である。光学補償層27は、R、G及びBそれぞれの色に最適化された光学補償能を示すように、互いに異なる光学異方性を示すr、g及びbからなる。本態様の液晶セル用基板は、例えば、ブラックマトリックス22及びカラーフィルタ層23を表面に有する透明基板、及び図1(e)に示した転写材料3種類(例えば、R光、G光及びB光に対してそれぞれ最適な光学補償能を示す光学異方性層を有する転写材料の3種類)を用いて、それぞれパターン露光することで作製することができる。
図3(d)に示す液晶セル用基板は、透明基板21上に、ブラックマトリックス22、ならびに本発明の転写材料から転写され、且つパターン状に形成された感光性樹脂層24及び偏光分離層28を有する。本態様では、偏光分離層28は、カラーフィルタ層を兼ねている。本態様の液晶セル用基板は、例えば、ブラックマトリックス22を表面に有する透明基板、及び図1(a)に示した転写材料を用いて、パターン露光することで作製することができる。本態様の液晶セル用基板は、例えば、コレステリック偏光分離層やゲスト−ホスト型偏光分離層を偏光分離層として有する転写材料を用いることによって容易に作製することができる。
また、カラーフィルタを、感光性樹脂層を利用して形成してもよい。より具体的には、色素等を含有させ、所定の色に着色された感光性樹脂層を有する転写材料を用いて、透明基板上に転写し、パターン露光することで、カラーフィルタを形成してもよい。図3(e)に示す液晶セル用基板は、透明基板21上に、ブラックマトリックス22、ならびに転写材料から転写された感光性樹脂層からなるカラーフィルタ29、光拡散性層26、偏光分離層25及び光学異方性層27を有する。カラーフィルタ29を構成しているR、G及びB層は、それぞれR、G及びBに着色された感光性樹脂層をパターン露光することで形成された層である。さらに、図3(f)に示す液晶セル用基板は、着色感光性樹脂層と光拡散性層を複合化した態様であり、カラーフィルタ30は、転写材料から転写された着色感光性樹脂層をパターン露光することによって形成されたものであり、且つ光拡散性層としても機能する。図3(e)及び(f)に示す液晶セル用基板は、例えば、R、G及びBそれぞれに対応した転写材料を3種用いて、それぞれパターン露光することで作製することができる。Rに対応した転写材料は、例えば、Rに着色された感光性樹脂層、所望により光拡散性層、R光に対して偏光分離能を有する偏光分離層、及びR光に対して最適な光学補償能を有する光学異方性層を有する。G及びBに対応した転写材料も同様に構成することができる。転写材料を透明基板にラミネートする工程、所定のパターン状にそれぞれ露光する工程、及び現像によって未露光部または露光部を除去する工程をそれぞれの転写材料について実施することで、作製することができる。図3(e)や図3(f)の態様は、カラーフィルタと他の機能性層が同時に形成できるため位置合わせの必要がなく、生産性の観点から特に好ましい。液晶セル用基板には、さらにITO膜等からなる透明電極層、及びさらにその上に液晶セル中の液晶分子を配向させるための配向層を形成してもよい。
[液晶セル用基板の表面処理]
本発明の液晶セル用基板に用いられる透明基板として、少なくとも一つの反応性基を有するシランカップリング剤で表面処理した基板を用いてもよい。透明基板としては、表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板を挙げることができる。特に限定されるわけではないが、透明基板の膜厚としては、700〜1200μmが一般的に好ましい。透明基板として、予めシランカップリング剤による表面処理を施したガラス基板等を用いると、特に感光性樹脂層との密着が良好になり、転写工程をより安定的に実施することができるので好ましい。
[液晶セル用基板の作製方法]
本発明の液晶セル用基板は、例えば、少なくとも次の[1]〜[3]の工程をこの順に含む方法によって作製することができる。
[1]透明基板に本発明の転写材料をラミネートする工程
[2]該基板上の転写材料から仮支持体を剥離する工程
[3]該基板上の感光性樹脂層を露光する工程。
前記[3]工程により、感光性樹脂層が硬化して、前記感光性樹脂層と、偏光分離層及び基板表面との接着性が改善する。また、前記[3]の工程を実施する際に、所定のパターン状に露光して、その後現像により、感光性樹脂層及び偏光分離層の未露光部又は露光部を除去して、パターン状の感光性樹脂層及び偏光分離層を形成してもよい。また、本発明の転写材料が、最表層(例えば感光性樹脂層)を保護する保護フィルムを有する場合は、[1]工程の前に又は[1]工程と同時に、保護フィルムを剥離する工程を実施してもよい。また、[1]工程の前に、透明基板の表面を表面処理する工程や、また透明基板の被転写面にブラックマトリックス及び/又はカラーフィルタを形成する工程や、透明基板の被転写面と反対側の表面に、偏光分離層等の機能層を別途形成する工程を実施してもよい。同様に、前記[3]工程の後に、ブラックマトリックス及び/又はカラーフィルタを形成する工程や、透明電極層を形成する工程を実施してもよい。
前記[1]工程において、転写材料を上述のように透明基板上にラミネートする方法については特に制限されず、例えば、フィルム状に形成した転写材料を、感光性樹脂層面を透明基板表面側にして、ラミネータを用いて加熱及び/又は加圧したローラー又は平板で圧着又は加熱圧着して、貼り付けることができる。具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネータ及びラミネート方法が挙げられるが、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。その後、仮支持体は剥離してもよく、剥離によって露出した偏光分離層表面に、他の層、例えば電極層等を形成してもよい。
パターン状ではない偏光分離層を液晶セル用基板に形成する場合は全面露光し、パターニングされた偏光分離層を形成する場合はパターン露光する。パターン露光は、被転写材料である透明基板上に形成された感光性樹脂層の上方に所定のマスクを配置し、その後該マスクを介してマスク上方から露光してもよいし、レーザや電子線などを用いてマスクなしに決められた位置にフォーカスして露光してもよい。前記露光の光源としては、感光性樹脂層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量としては、通常5〜200mJ/cm2程度であり、好ましくは10〜100mJ/cm2程度である。
また、パターン露光後の現像工程に用いられる現像液としては特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載のものなど、公知の現像液を使用することができる。尚、現像液は感光性樹脂層が溶解型の現像挙動をするものが好ましく、例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05〜5mol/Lの濃度で含むものが好ましいが、さらに水と混和性を有する有機溶剤を少量添加してもよい。水と混和性を有する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。該有機溶剤の濃度は0.1質量%〜30質量%が好ましい。
また、上記現像液には、さらに公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01質量%〜10質量%が好ましい。
現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー&スピン現像、ディップ現像等、公知の方法を用いることができる。露光後の樹脂層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、未硬化部分を除去することができる。尚、現像の前に樹脂層の溶解性が低いアルカリ性の液をシャワーなどにより吹き付け、熱可塑性樹脂層、中間層などを除去しておくことが好ましい。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。洗浄液としては公知のものを使用できるが、(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有、商品名「T−SD1(富士写真フイルム(株)製)」、或いは、炭酸ナトリウム・フェノキシオキシエチレン系界面活性剤含有、商品名「T−SD2(富士写真フイルム(株)製)」)が好ましい。現像液の液温度は20℃〜40℃が好ましく、また、現像液のpHは8〜13が好ましい。
本発明の液晶セル用基板をカラーフィルタ基板として用いる際には、特開平11−248921号公報、特許3255107号公報に記載のように、カラーフィルタを形成する着色樹脂組成物を重ねることで土台を形成し、その上に透明電極を形成し、さらに必要に応じて分割配向用の突起を重ねることでスペーサを形成することが、コストダウンの観点で好ましい。
[液晶表示装置]
図4は本発明の液晶セル用基板を有する液晶表示装置の一例の概略断面図である。図4(a)〜(c)の例はそれぞれ図2(a)、図2(c)及び図3(f)にそれぞれ示した基板に、さらに透明電極層31及び液晶セル中の液晶分子を配向させるための配向層32を形成した液晶セル用基板を上側基板とし、透明基板21にTFT層42を形成した液晶セル用基板をその対向基板とし、基板間に液晶41を挟んだ液晶セル47、47’及び47”をそれぞれ用いた液晶表示装置である。図4(d)は、(c)と同様、液晶セル47”を用いた液晶表示装置の例であり、さらに、表面側に偏光板46を有する。図4(a)〜(d)の液晶表示装置はそれぞれ、液晶セル47の裏面に、2枚のセルロースエステルフィルム等からなる保護フィルム44及び45と、これに挟まれた偏光層43とを有する偏光板46が配置されている。液晶セル側に配置される保護フィルム45としては光学補償能を有するフィルムを用いてもよいし、保護フィルム44と同様のフィルムを用いてもよい。さらに、図4(d)のように偏光分離層25の偏光度が足りないような場合のために、補助的に表面側に偏光板46を配置することで正面の黒輝度を低減し、高い正面コントラストを得ることができ、好ましい。図には示さないが、反射型液晶表示装置の態様では偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セルの背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。もちろんフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。さらに、表示装置の一画素内に、透過部と反射部を設けた半透過型も可能である。本液晶表示装置の表示モードは特に制限がなく、全ての透過型及び反射型液晶表示装置に用いることが可能である。中でも、VA、IPS及びOCBモードの液晶表示装置に好ましく適用できる。
液晶セルの外側に配置される偏光板46については特に制限はなく、直線偏光分離機能を有するいずれの偏光板も使用することができる。偏光板は一般的には偏光分離層と該偏光分離層を挟持する一対の保護フィルムを有する。前記偏光分離層は、ヨウ素系偏光分離層であるのが好ましい。ヨウ素系偏光分離層は、吸収型の偏光分離層であり、ポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを含んでなる高分子フィルムを、ヨウ素イオンを含む水溶液中に浸漬し、水溶液中または空気中にて該高分子フィルムを延伸して作製される。ヨウ素系偏光分離層は、セルロースアシレートフィルム等からなる一対の保護フィルムで表面が保護されているのが好ましい。
本発明の液晶表示装置は透過型において特に視野角改良効果を発揮する。特に集光された光を出射可能な、集光手段を有するバックライトユニットと、本発明の液晶セル用基板とを組み合わせると、視野角改良効果がより顕著となるので好ましい。集光手段を有するバックライトユニットの構成については特に制限されず、例えば、一枚以上のプリズムシートやレンズシートなどによってコリメートされたバックライトユニット、及び導光板の上面又は下面にプリズム構造のような集光手段を備えたバックライトユニット;及びこれらを組み合わせた集光手段を有するバックライトユニットが挙げられる。
[コリメートフィルム]
コリメートフィルムとしては、プリズム構造やレンズ構造を表面に有するフィルムが挙げられる。具体例としては、一般に知られているようなフレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシート、屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)シートの他、プリズムシートとしてBEF、BEF II、BEF III、ウェーブフィルム(いずれも3M社製)が挙げられる。中でもプリズムシートが好ましい。これらプリズムシートは一つの面内でしか集光性がないため、プリズム方向を直交に配置した2枚のプリズムシートを用いることが特に好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
(熱可塑性樹脂層用塗布液CU−1の調製)
下記の組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、配向層用塗布液CU−1として用いた。
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熱可塑性樹脂層用塗布液組成(%)
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メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合組成比(モル比)=55/30/10/5、重量平均分子量=10万、Tg≒70℃)
5.89
スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=65/35、重量平均分子量=1万、Tg≒100℃)
13.74
BPE−500(新中村化学工業(株)製) 9.20
メガファックF−780−F(大日本インキ化学工業(株)社製) 0.55
メタノール 11.22
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 6.43
メチルエチルケトン 52.97
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(中間層/配向層用塗布液AL−1の調製)
下記の組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、中間層/配向層用塗布液AL−1として用いた。
──────────────────────────────────――
中間層/配向層用塗布液組成(%)
──────────────────────────────────――
ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製) 3.21
ポリビニルピロリドン(Luvitec K30、BASF社製) 1.48
蒸留水 52.1
メタノール 43.21
──────────────────────────────────――
(R円偏光分離層用塗布液POL−R1の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、R円偏光分離層用塗布液POL−R1として用いた。
POL−1−1はTetrahedron Lett.誌、第43巻、6793頁(2002)に記載の方法準じて合成した。
──────────────────────────────────――
R円偏光分離層用塗布液組成(質量%)
──────────────────────────────────――
棒状液晶(Paliocolor LC242,BASFジャパン)31.27
カイラル剤(Paliocolor LC756,BASFジャパン)
1.30
水平配向剤(POL−1−1) 0.10
光重合開始剤
(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)1.0
増感剤(カヤキュアDETX、日本化薬(株)製) 0.33
メチルエチルケトン 66.0
──────────────────────────────────――
Figure 2007199237
(G円偏光分離層用塗布液POL−G1の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、G円偏光分離層用塗布液POL−G1として用いた。
──────────────────────────────────――
G円偏光分離層用塗布液組成(質量%)
──────────────────────────────────――
棒状液晶(Paliocolor LC242,BASFジャパン)31.01
カイラル剤(Paliocolor LC756,BASFジャパン)
1.56
水平配向剤(POL−1−1) 0.10
ラジカル重合開始剤
(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)1.0
増感剤(カヤキュアDETX、日本化薬(株)製) 0.33
メチルエチルケトン 66.0
──────────────────────────────────――
(B円偏光分離層用塗布液POL−B1の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、G円偏光分離層用塗布液POL−B1として用いた。
──────────────────────────────────――
B円偏光分離層用塗布液組成(質量%)
──────────────────────────────────――
棒状液晶(Paliocolor LC242,BASFジャパン)30.71
カイラル剤(Paliocolor LC756,BASFジャパン)
1.86
水平配向剤(POL−1−1) 0.10
ラジカル重合開始剤
(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)1.0
増感剤(カヤキュアDETX、日本化薬(株)製) 0.33
メチルエチルケトン 66.0
──────────────────────────────────――
(感光性樹脂層用塗布液PP−1の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、感光性樹脂層用塗布液PP−1として用いた。
──────────────────────────────────――
感光性樹脂層用塗布液組成(質量%)
──────────────────────────────────――
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物
(重量平均分子量3.7万) 5.0
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比のランダム共重合物
(重量平均分子量4.0万) 2.45
KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製) 3.2
ラジカル重合開始剤
(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.75
増感剤(カヤキュアDETX、日本化薬(株)製) 0.25
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 27.0
メチルエチルケトン 53.0
シクロヘキサノン 9.2
メガファックF−176PF(大日本インキ化学工業(株)製) 0.05
──────────────────────────────────――
(光学異方性層用塗布液LC−1の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方性層用塗布液LC−1として用いた。
LC−1−1はEP1388538A1,page 21に記載の方法により合成した。
──────────────────────────────────――
光学異方性層用塗布液組成(質量%)
──────────────────────────────────――
棒状液晶(Paliocolor LC242,BASFジャパン)28.38
カイラル剤(Paliocolor LC756,BASFジャパン)
3.34
4,4’−アゾキシジアニソール 0.27
水平配向剤(POL−1−1) 0.10
光重合開始剤(LC−1−1) 1.34
メチルエチルケトン 66.57
──────────────────────────────────――
Figure 2007199237
(光学異方性層用塗布液LC−2の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方性層用塗布液LC−2として用いた。
──────────────────────────────────――
光学異方性層用塗布液組成(質量%)
──────────────────────────────────――
棒状液晶(Paliocolor LC242,BASFジャパン)24.85
水平配向剤(POL−1−1) 0.18
ラジカル重合開始剤
(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.72
増感剤(カヤキュアDETX、日本化薬(株)製) 0.24
メチルエチルケトン 74.01
──────────────────────────────────――
(実施例1〜3の転写材料の作製)
厚さ75μmのロール状ポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、ワイヤーバーを用いて順に、熱可塑性樹脂層用塗布液CU−1、中間層/配向層用塗布液AL−1を塗布、乾燥した。乾燥膜厚はそれぞれ14.6μm、1.6μmであった。次いで、ワイヤーバーを用いてR円偏光分離層用塗布液POL−R1を塗布、120℃で2分間乾燥し、コレステリック相状態とした後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射してその配向状態を固定化して、厚さ5.0μmのR円偏光分離層を形成した。最後に、R円偏光分離層の表面に感光性樹脂層用塗布液PP−1を塗布、乾燥して1.0μmの感光性樹脂層を形成し、実施例1の転写材料R−1を作製した。同様に、R円偏光分離層用塗布液の代わりにG円偏光分離層用塗布液、B円偏光分離層用塗布液を用いた以外は同様にして、それぞれ実施例2、3の転写材料G−1、B−1を作製した。
(実施例4〜6の転写材料の作製)
実施例1〜3の感光性樹脂層と偏光分離層との間に、ホログラム用フォトポリマー(デュポン(株)製、OmniDex HRF−352)を塗布し、広がり角60°の光拡散板(60°LSD、フィジカルオプティクス社製)のマスクの上から488nmのアルゴンレーザーを用いてホログラム露光した後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射してフォトポリマーを固定化して、厚さ1.0μmの光拡散性層を形成した以外は同様にして、それぞれ実施例4〜6の転写材料R−2、G−2、B−2を作製した。
(偏光UV照射装置POLUV−1)
UV光源として350〜400nmに強い発光スペクトルを有するD−Bulbを搭載したマイクロウェーブ発光方式の紫外線照射装置(Light Hammer 10、240W/cm、Fusion UV Systems社製)を用い、照射面から3cm離れた位置に、ワイヤグリッド偏光フィルタ(ProFlux PPL02(高透過率タイプ)、Moxtek社製)を設置して偏光UV照射装置を作製した。この装置の最大照度は400mW/cm2であった。
(実施例7の転写材料の作製)
実施例6の中間層/配向層と偏光分離層との間に、LC−1をワイヤーバーコータで塗布し、膜面温度が95℃2分間加熱乾燥熟成して均一な液晶相を有する層を形成してからさらに熟成後、直ちにこの層に対して、酸素濃度0.3%以下の窒素雰囲気下において、POLUV−1を用いて偏光板の透過軸が透明支持体のTD方向となるようにして偏光UVを照射(照度200mW/cm2、照射量200mJ/cm2)して、配向状態を維持して材料を固定化し、厚さ2.75μmの光学異方性層を形成した以外は同様にして、実施例7の転写材料B−3を作製した。
(実施例8の転写材料の作製)
実施例7の光学異方性層と偏光分離層との間に、光学異方性層をラビング後、LC−2をワイヤーバーコータで塗布し、膜面温度が120℃2分間加熱乾燥熟成して均一な液晶相を有する層を形成してからさらに熟成後直ちにこの層に対して、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して、配向状態を維持して材料を固定化して、厚さ0.9μmのλ/4板層を形成した以外は同様にして、実施例8の転写材料B−4を作製した。
(位相差測定)
ファイバ型分光計を用いた平行ニコル法により、任意の波長λにおける正面レターデーションRe(0)及び遅相軸を回転軸として±40度サンプルを傾斜させたときのレターデーションRe(40)、Re(−40)を測定した。R、G、Bに対してλはそれぞれ611nm、545nm、435nmのレターデーションを測定した。実施例7の光学異方性層の光学特性は、別途偏光分離層のないサンプルを作製し、ガラス基板上に転写することで測定した。実施例8のLC−2による光学異方性層は、同じ厚みのλ/4板層をガラス基板上に作製して測定した。実施例7の光学異方性層、実施例8のλ/4板層の位相差測定結果を表1に示す。
Figure 2007199237
(実施例9の液晶セル用基板の作製)
特開平3−282404号公報に記載されていると同様のカラーフィルタ製造工程により、洗浄、表面処理したガラス基板上にトランサーフィルム(富士写真フイルム(株)製)を用いてブラックマトリクス及びR、G、Bのカラーフィルタを形成した。次いで、上記で作製した転写材料R−1、G−1、B−1を順にラミネータ((株)日立インダストリイズ製(LamicII型))を用い、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分で、100℃で2分間加熱した前記基板にラミネートした。このとき、感光性樹脂層表面を基板表面に接触させてラミネートした。それぞれ仮支持体を剥離後、超高圧水銀灯にて露光量50mJ/cm2で全面露光して、感光性樹脂層及び円偏光層を基板上に固定し、液晶セル用基板を作製した。この液晶セル用基板は、円偏光分離能を有する液晶セル用基板であり、市販の円偏光板で円偏光分離能を目視観察したところ、円偏光分離能は良好であった。
(実施例10の液晶セル用基板の作製)
転写材料B−1の代わりにB−3を用いた以外は実施例9と同様にして、円偏光分離能を有する実施例10の液晶セル用基板を作製した。市販の円偏光板で円偏光分離能を目視観察したところ、円偏光分離能は良好であった。
(実施例11の液晶セル用基板の作製)
転写材料B−1の代わりにB−4を用いた以外は実施例9と同様にして、直線偏光分離能を有する実施例11の液晶セル用基板を作製した。市販の直線偏光板で偏光分離能を目視観察したところ、偏光分離能は良好であった。
(突起用感光性転写材料の作製)
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体上に熱可塑性樹脂層用塗布液CU−1を塗布、乾燥させ、乾燥膜厚が15μmの熱可塑性樹脂層を設けた。
次に、前記熱可塑性樹脂層上に中間層/配向層用塗布液AL−1を塗布、乾燥させ、乾燥膜厚が1.6μmの中間層を設けた。
前記中間層上に、下記の処方からなる塗布液を塗布、乾燥させ、乾燥膜厚が2.0μmの液晶配向制御用突起用感光性樹脂層を設けた。
──────────────────────────────────――
突起用塗布液組成(%)
──────────────────────────────────――
FH−2413F(富士フイルムアーチ(株)製) 53.3
メチルエチルケトン 46.66
メガファックF−176PF 0.04
──────────────────────────────────――
さらに、前記感光性樹脂層表面に厚さ12μmのポリプロピレン製のフィルムをカバーフィルムとして貼り付け、仮支持体上に、熱可塑性樹脂層、中間層、感光性樹脂層、カバーフィルムがこの順に積層された転写材料を作製した。
(突起の形成)
前記実施例11で作製した液晶セル用基板の、円偏光分離層を形成した表面に、透明電極膜としてITO膜を形成した。形成したITO膜表面と、上記で作製した突起用転写材料からカバーフィルムを剥がして、露出した感光性樹脂層の表面とを重ね合わせ、ラミネータ((株)日立インダストリイズ製(LamicII型))を用いて、線圧100N/cm、温度130℃、搬送速度2.2m/分の条件下で貼り合わせた。その後、転写材料の仮支持体のみを熱可塑性樹脂層との界面で剥離し、除去した。この状態では、前記実施例11で作製した液晶セル用基板(カラーフィルタ基板)上に、感光性樹脂層、中間層及び熱可塑性樹脂層がこの順に積層されていた。
次に、最外層である熱可塑性樹脂層の上方に、フォトマスクが感光性樹脂層の表面から100μmの距離となるようにプロキシミティー露光機を配置し、該フォトマスクを介して超高圧水銀灯により照射エネルギー70mJ/cm2でプロキシミティー露光した。その後、1%トリエタノールアミン水溶液を、シャワー式現像装置にて30℃で30秒間基板に噴霧して、熱可塑性樹脂層及び中間層を溶解除去した。この段階では、感光性樹脂層は実質的に現像されていなかった。
続いて、0.085mol/Lの炭酸ナトリウムと0.085mol/Lの炭酸水素ナトリウムと1%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム水溶液を、シャワー式現像装置にて33℃30秒間基板に噴霧しながら現像し、感光性樹脂層の不要部(未硬化部)を現像除去した。すると、カラーフィルタ側基板上に、所望の形状にパターニングされた感光性樹脂層よりなる突起が形成された。次いで、該突起が形成されたカラーフィルタ基板を240℃下で50分ベークすることにより、カラーフィルタ基板上に、高さ1.5μm、縦断面形状が蒲鉾様の液晶配向制御用突起を形成することができた。
(配向層の形成)
上記で形成した液晶配向制御用突起の上に、さらにポリイミドの配向膜を設けた。カラーフィルタの画素群の周囲に設けられたブラックマトリックスの外枠に相当する位置に、スペーサ粒子を含有するエポキシ樹脂のシール剤を印刷し、カラーフィルタ基板を対向基板(ガラス基板にTFT層を設けたもの(TFT基板))と10kg/cmの圧力で貼り合わせた。次いで、貼り合わされたガラス基板を150℃、90分で熱処理し、シール剤を硬化させ、2枚の基板の積層体を得た。このガラス基板積層体を真空下で脱気し、その後大気圧に戻して2枚の基板の間隙に液晶を注入し、液晶セルを得た。この液晶セルのTFT基板外面に、(株)サンリッツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。
(実施例12、13のVA−LCDの作製)
カラー液晶表示装置用冷陰極管バックライトとしては、BaMg2Al1627:Eu,Mnと、LaPO4:Ce,Tbとを重量比50:50で混合した蛍光体を緑色(G)、Y23:Euを赤色(R)、BaMgAl1017:Euを青色(B)として、任意の色調を持つ白色の三波長蛍光ランプを作製した。このバックライト上に上記偏光板を液晶セルの両側に付与した液晶セルを設置し、実施例12のVA−LCDを作製した。さらに、バックライトと液晶セルの間に、直交する2枚のプリズムシート(BEF III、3M社製)を挿入した以外は実施例12と同様にして実施例13のVA−LCDを作製した。
(比較例1のVA−LCDの作製)
特開平3−282404号公報に記載されているようなカラーフィルタ製造工程により、洗浄、表面処理したガラス基板上にトランサーフィルム(富士写真フイルム(株)製)を用いてブラックマトリクス及びR、G、Bのカラーフィルタを形成し、カラーフィルタ基板を作製した。このカラーフィルタ基板を用い、転写材料による偏光分離層の転写は行わなかった以外は、実施例12と同様に液晶セルを作製した。カラーフィルタ基板の外側に(株)サンリッツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた以外は同様にして、比較例1のVA−LCDを作製した。
(VA−LCDの評価)
作製した実施例12、13及び比較例1の液晶表示装置の表示品位、黒表示(電圧無印加)時における光漏れについて、まず室温条件にて目視観察した後、40℃、90%RHの恒温恒湿条件にて48時間静置した後、再び観察した。結果を表3に示す。
Figure 2007199237
[実施例14]
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物、分子量3.7万)を乾燥膜厚5μmでコーティングし、その上に真空蒸着により、アルミニウム薄膜を250nmの膜厚で蒸着した。蒸着したアルミニウム薄膜上に、光硬化性樹脂PAK−01(東洋合成工業製)を150nmの膜厚でコーティングした。そして、ピッチ100nm、深さ200nmの凹凸(グリッドパターン)を有する石英モールドを光硬化性樹脂に平行に配置し、圧力を加え、石英モールドのグリッドパターンを光硬化性樹脂に写し、石英モールドを通して紫外線を照射して光硬化性樹脂を硬化させ、光硬化性樹脂を硬化した後に、前記石英モールドを光硬化性樹脂から分離し、石英モールドが分離した光硬化性樹脂に、石英モールドのパターンと等しい、陰陽が反対であるグリッドパターンを形成した。
石英モールドを光硬化性樹脂から分離した後に、光硬化性樹脂のグリッドパターンの凹部の金属薄膜の表面が露出するように、ポリマーパターン全面をドライエッチングし、グリッドパターンの厚さの薄い凹部の光硬化性樹脂を前記腐刻工程によって除去し、金属薄膜の表面を露出させた。凹部がドライエッチングされた光硬化性樹脂をレジストとして、表面が露出した金属薄膜を、電子サイクロトロン共鳴方式の装置を用い、エッチングガスとしてはBCl3 60〔SCCM〕,Cl2 90〔SCCM〕を用い、圧力10〔mTorr〕,マイクロ波出力800〔W〕でエッチングを行い、金属グリッドパターンを形成した。その後、前記金属格子パターン上に残っている光硬化性樹脂を、マイクロ波ダウンフローアッシャで、O2 200〔SCCM〕,CF4 10〔SCCM〕,圧力1〔Torr〕,マイクロ波出力500〔W〕の条件下でアッシングして除去し、ポリエチレンテレフタレート上に金属グリッドパターンを持つワイヤグリッド偏光子を作製した。
次に、ワイヤグリッド偏光子の上に、グリッドに直接接触しない塗布方式としてカーテンコートによって下記の組成の感光性樹脂層用塗布液を塗布し、乾燥膜厚5μmの感光性樹脂層を形成した。
──────────────────────────────────――
感光性樹脂層用塗布液組成(質量%)
──────────────────────────────────――
ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=
72/28モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) 4.00
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 24.07
メチルエチルケトン 67.00
ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.003
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(KAYARAD DPHA、日本化薬(株)製) 4.707
2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ジエトキシカルボニルメチルアミノ)−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン 0.204
下記構造物1 0.016
──────────────────────────────────――
Figure 2007199237
洗浄したガラスの片面に、上記の感光性樹脂層をラミネートし、支持体である100μmのポリエチレンテレフタレートを剥離し、ガラス上に感光性樹脂層とワイヤグリッド偏光子とを有する基板を得た。
本発明の転写材料のいくつかの例の概略断面図である。 本発明の液晶セル用基板のいくつかの例の概略断面図である。 本発明の液晶セル用基板のいくつかの例の概略断面図である。 本発明の液晶セル用基板を用いて作製したVA−LCDセルのいくつかの例の概略断面図である。
符号の説明
11 仮支持体
12 偏光分離層
13 感光性樹脂層
14 光拡散性層
15 偏光分離層作製用配向制御層
15’ 光学異方性層作製用配向制御層
16 光学異方性層
21 液晶セル用基板
22 ブラックマトリクス
23 カラーフィルタ層
24 感光性樹脂層
25 偏光分離層
26 光拡散性層
27 光学異方性層
28 カラーフィルタ/偏光分離層
29 カラーフィルタ/感光性樹脂層
30 光拡散性層/カラーフィルタ/感光性樹脂層
41 液晶
42 TFT
43 偏光層
44 セルロースアセテートフィルム(偏光板保護フィルム)
45 セルロースアセテートフィルム、又は光学補償シート
46 偏光板
47、47’、47” 液晶セル

Claims (14)

  1. 仮支持体上に、少なくとも一つの偏光分離層と、少なくとも一つの感光性樹脂層とを、仮支持体に近い側からこの順に有する転写材料。
  2. 前記偏光分離層と前記感光性樹脂層との間に少なくとも一つの光拡散性層を有する請求項1に記載の転写材料。
  3. 前記感光性樹脂層が、光拡散性層を兼ねている請求項1に記載の転写材料。
  4. 前記光拡散性層が、屈折率分布型光拡散性層である請求項2又は3に記載の転写材料。
  5. 前記偏光分離層が、少なくとも一つの反応性基を有する液晶性化合物を含む組成物を液晶相とした後、熱又は電離放射線照射されて形成された層である請求項1〜4のいずれか一項に記載の転写材料。
  6. 前記液晶性化合物の反応性基が、エチレン性不飽和基である請求項5に記載の転写材料。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の転写材料から、前記偏光分離層及び感光性樹脂層の少なくとも一部を透明基板上に転写することにより作製された液晶セル用基板。
  8. 前記透明基板が、ガラス基板である請求項7に記載の液晶セル用基板。
  9. 前記透明基板の前記偏光分離層及び感光性樹脂層の少なくとも一部が転写された面の反対側の面上に、第2の偏光分離層をさらに有する請求項7又は8に記載の液晶セル用基板。
  10. 前記第2の偏光分離層の表面上に、該偏光分離層を保護する保護フィルムを有する請求項9に記載の液晶セル用基板。
  11. 一対の基板と該一対の基板に挟持される液晶層とを有する液晶セルを含む液晶表示装置であって、前記一対の基板の少なくとも一方が請求項7〜10のいずれか一項に記載の液晶セル用基板である液晶表示装置。
  12. 集光する手段を備えたバックライトユニットをさらに有する請求項11に記載の液晶表示装置。
  13. 液晶モードがVA、IPS及びOCBモードのいずれかである請求項11又は12に記載の液晶表示装置。
  14. 少なくとも次の[1]〜[3]の工程をこの順に含む請求項7〜10のいずれか一項に記載の液晶セル用基板の製造方法;
    [1]基板に請求項1〜12のいずれか一項に記載の転写材料をラミネートする工程
    [2]該基板上の転写材料から仮支持体を剥離する工程
    [3]該基板上の感光性樹脂層を露光する工程。
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