JP2007198815A - プローブユニットおよび原子間力顕微鏡 - Google Patents

プローブユニットおよび原子間力顕微鏡 Download PDF

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Abstract

【課題】測定に用いるカンチレバーと被測定物間の相対変位を逐次補正して、装置や被測定物の熱膨張や収縮、床振動による装置振動等の影響を受けない原子間力顕微鏡を提供する。
【解決手段】原子間力を検出して被測定物の面形状を計測する計測用カンチレバー7と、被測定物の振動等を検出するための補正用カンチレバー8、9は、それぞれ圧電素子4〜6を介して同一基準であるベース1に支持される。各カンチレバー先端に発生する原子間力を一定に保つため、各カンチレバー7〜9はおのおの独立に圧電素子4〜6によって垂直方向に駆動される。計測用カンチレバー7を駆動する圧電素子4は走査用移動機構を備えており、走査方向に静止した補正用カンチレバー8、9の変位から、計測用カンチレバー7と被測定物間の相対位置の変化を検出し、計測用カンチレバー7による計測値を補正する。
【選択図】図1

Description

本発明は、尖点を被測定物に近接させて走査し、尖点と被測定物間の原子間引力または原子間斥力を検出して面形状を計測するプローブユニットおよび原子間力顕微鏡に関するものである。
原子間力顕微鏡はその原理が特許文献1に開示されている。それによれば、ばね状の片持ち梁(カンチレバー)の一端に固定した尖点を被測定物に近接させて、前記尖点の頂点の原子と被測定物表面の原子間に発生する原子間力によって片持ち梁をたわませる。このたわみ量(変位)が一定になるように尖点と被測定物間の距離を制御するトラッキング制御を行い、かつ制御のための信号を尖点の位置を表す走査位置信号として取り出して、被測定物の表面像を形成している。
なお特許文献1ではトンネル電流検知によりカンチレバーのたわみ量を検知しているが、光テコ法も従来技術としては一般的である。すなわち、カンチレバー背面にはレーザ光を反射するミラー面を形成しておく。変位計測光学系にはミラー面に向けてレーザビームを射出するレーザダイオードと、カンチレバー上のミラー面からレーザビームを受ける二分割受光器を設置する。二分割受光器は2つの受光領域を有し、カンチレバーが測定時の基準状態にあるとき、ミラー面からのレーザビーム中心が2つの受光領域の境界に照射されるように配置しておく。2つの受光領域は受光した光の強度に応じた電圧信号を出力するので、その出力差を調べることにより、ミラー面の傾きすなわちカンチレバーの変位を測定できる。
このような原子間力顕微鏡では、先端に固定された尖点を備えるカンチレバーと、該カンチレバーを3次元的に駆動する機構と組み合わせたプローブユニットを複数個持ち、大型の被測定物の複数箇所を同時に測定するものが知られている。
一方、対象とする被測定物が大型になるにつれて、測定環境の温度変化、プローブユニット側の駆動機構の発熱、被測定物を支持するステージの駆動源の発熱等の影響により、カンチレバー先端の尖点と被測定物との相対位置関係が経時的に変化する。このために、縦分解能の低下や、横方向には、得られる像の歪みが問題になってきている。
このような問題に対し、上述の複数の3次元的駆動機構を利用して走査位置を正確に知るために、被測定物裏面に基準となる結晶を装着し、被測定物表面を測定するプローブユニットとは別のプローブユニットを裏面にも配置した構成が知られている。これは、前記結晶の格子構造の像を目盛りとして被測定物表面側のプローブユニットと被測定物の相対位置関係の情報を得るようにしたものである(非特許文献1参照)。
また、特許文献2に開示されたように、プローブユニットと被測定物の相対位置関係の情報を、計測走査用のプローブユニットとは別に補正用のプローブユニットを設けて、被測定物や試料台の特定位置を追従させることで得ようとするものもある。これによれば、補正用のプローブユニットは被測定物の特定位置、例えば被測定物表面の原子スケール凹凸の特定位置を追従するように制御される。補正用プローブユニットのX、Y、Z方向への移動量は、補正用プローブユニットの駆動部と被測定物との相対的なX、Y、Z方向への変化量を表わすことにより、計測走査用のプローブユニットから得られる出力画像の補正を行う。
特開昭62−130302号公報 特開平10−267943号公報 川勝英樹、樋口俊郎、星泰雄、川合稔、北野斉、西沖暢久,「結晶格子を用いた測長と位置決め」,生産研究,1991,43巻,11号,P.585−590
一般にカンチレバーとその駆動機構を構成するプローブユニット側と被測定物は、原子分解能レベルで見ればともにその固有振動数で揺れており、静止しているということはない。さらに詳しく言えば、まったく同じ構成のプローブユニットであっても、固有振動数をほぼ同じに設計することはできても、自由振動の位相をまったく同じくすることはできない。このため、上記のプローブユニットを複数配置するという従来の構成では、補正用プローブユニットと被測定物の平均的な相対位置関係情報は得ることはできても、同時刻での計測走査用のプローブユニットと被測定物の相対位置の変化を把握することはできない。
このような問題は被測定物が大型化するにつれて、その重さのため低い周波数で揺れていることに起因して高精度な測定を阻害する大きな要因となってきている。すなわち、小さな被測定物ではその搭載ステージも含めて高剛性化が容易であり、これにより最低次の振動モードをトラッキング制御における周波数よりも十分高くすることができる。このため小さな被測定物では、計測走査用のプローブユニットと被測定物の相対位置関係が存在することによる誤差要因は小さく無視することができた。
しかしながら、被測定物が大型化すると最低次の振動モード固有値はトラッキング制御における周波数に近接、または下回り、計測不能となってしまう。トラッキング制御における周波数を下げるという目的で計測走査の周波数を下げればよいことになるが、データサンプリングのセンサや回路などのドリフトおよび測定環境の長期熱的安定性の点からも無制限にできるものではない。
従って、大型の被測定物に対する最大の課題は、縦分解能の低下のために十分に高精度な測定ができなくなるということになる。また熱的な不均一性からプローブユニットや被測定物の経時的な傾斜でも、得られる測定データは歪んだものになってしまうことも問題となる。
本発明は、上記従来の技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであり、温度変動による装置の熱膨張や収縮、床振動による装置振動等の外乱の影響を受けない高精度なプローブユニットおよび原子間力顕微鏡を提供することを目的とするものである。
本発明のプローブユニットは、尖点を被測定物に近接させたときに前記尖点に発生する原子間の力を検出することにより前記被測定物を計測するためのプローブユニットであって、前記プローブユニットの基準部材に支持された第1のカンチレバーと、前記基準部材に支持された第2のカンチレバーと、各カンチレバーに固定された尖点と、各カンチレバーの変位を検出する検出手段と、各尖点に発生する前記力を一定に保つために、各カンチレバーを独立して駆動する駆動手段と、前記第1のカンチレバーを前記基準部材上で走査する走査手段と、を有し、前記第1のカンチレバーの変位に基づいて前記被測定物の面形状を計測し、前記第2のカンチレバーの変位に基づいて、前記被測定物に対する前記基準部材の相対位置の変化を検出することを特徴とする。
プローブユニット内の第1のカンチレバーを走査させて被測定物の面形状を計測し、同じプローブユニット内の第2のカンチレバーによって、プローブユニットと被測定物間の相対変位を検出する。測定用の第1のカンチレバーと同一基準の補正用の第2のカンチレバーを設けることで、装置の振動等による外乱を逐次検出して計測値を補正することが可能となり、高精度な3次元計測を行うことができる。
本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、基準部材であるベース1には、円管2、カンチレバーサポート3が取り付けられ、計測および補正のためのすべての基準を構成している。ベース1には、駆動手段である計測走査用圧電素子4、および2つの補正用圧電素子5、6が支持され、計測走査用圧電素子4は計測用カンチレバー(第1のカンチレバー)7を駆動・走査する。補正用圧電素子5、6はそれぞれ補正用カンチレバー(第2のカンチレバー)8、9を駆動する。計測用カンチレバー7と計測走査用圧電素子4は圧電素子アタッチメント4aにより接続され、補正用カンチレバー8、9は補正用圧電素子5、6とそれぞれ圧電素子アタッチメント5a、6aにより接続されている。なお、すべてのカンチレバー7、8、9はそれぞれ、カンチレバーホルダー7a、8a、9aを介して弾性ヒンジ7b、8b、9bにより、同じカンチレバーサポート3に結合されている。
図3は、計測走査用圧電素子4の電極配置を示す。また、図4は一方の補正用圧電素子5の電極配置を示し、他方の補正用圧電素子6も同じ構成である。
圧電素子4、5、6はいずれも円管状で同軸に配設され、それぞれ半径方向に分極させておき、かつ電極を内面と外面に配置することにより、軸方向(Z方向)に伸縮させることができる。走査手段を有する計測走査用圧電素子4は、Z方向の伸びのほかX方向への走査を可能にするために、図3の(a)に示すように、内径部に内面電極41、外径部には180度対向して一対の外面電極42、43を配置しておく。両外面電極42、43を同じように電圧印加すればZ方向に伸び、さらに位相をずらせて交流印加すれば首振り運動的にX方向走査が可能となる。X方向走査とZ方向の伸びを完全に独立させたいときには、図3の(b)に示すように、内径部の内面電極41、外径部のX方向走査に用いる外面電極42、43に加えて、Z方向の伸縮に用いる外面電極44を独立に配置しておけばよい。
補正用圧電素子5は、Z方向の伸縮だけすればよいので、図4に示すように、内径部に内面電極51、外径部に外面電極52のみを配置する。補正用圧電素子6も同様である。
図5は、原子間力顕微鏡の構成を示す模式図である。図1のプローブユニットのベース1はプローブユニット移動手段であるY方向走査ユニット12に設置されており、XYの2軸走査が可能な構成になっている。さらにその上には各カンチレバー7、8、9の変位(たわみ量)を計測する光テコ等の公知の検出手段である変位計測光学系13が設置されている。これによって、プローブユニットに内蔵されている計測用および補正用カンチレバー7〜9の変位がそれぞれ計測可能となっている。このプローブユニットに対向するように、被測定物14がステージ15に搭載される。
補正用カンチレバー8の尖点として、図6の(a)に示すように、カンチレバー先端に球81が接着されている。
あるいは、図6の(b)に示すように、カンチレバー先端に三角柱形状部材82を接着する。これによって、補正用の位置情報信号を1次元的に平均化することができる。すなわち三角柱のエッジ部分に並ぶ1次元的に配列された原子と被測定物間の原子間力を検出して補正用信号を平均化することができる。
また、図6の(c)に示すように、カンチレバー先端に針状突起83の集合体を設けることにより、計測領域を面として補正用の位置情報信号を2次元的に平均化してもよい。すなわち、針状突起83と同じの数の原子と被測定物間の平均的な原子間力を検出して2次元的に平均化する。例えば、カーボンナノチューブのような細く構成された線材を用いるとよい。なお、補正用カンチレバー9についても同様である。
先端に固定された尖点を備える計測用カンチレバー7と被測定物14を近接させたときに尖点頂点の原子と被測定物表面の原子間に発生する引力または斥力を検出し、前記力を一定に保ちつつ走査することにより被測定物14の面形状を得る。計測用カンチレバー7と同一基準を有する2つの補正用カンチレバー8、9の変位からは、前記ベース1と被測定物14の相対変位を検出して、計測用カンチレバー7による被測定物14の面形状の測定値を補正する。
図2に示すように、2つの補正用カンチレバー8、9の尖点は、計測用カンチレバー7の尖点をはさんで被測定物14との相対運動の直線上に配置する。
計測用カンチレバー7の走査方向として補正用カンチレバー8、9の尖点を結ぶ方向を選ぶことで、走査する計測用カンチレバー7と被測定物14の間の上下方向の相対変位に加えて1軸傾斜の補正が可能となる。
あるいは少なくとも3個の補正用カンチレバーの尖点を、計測用カンチレバーの尖点の周辺に非同一直線上に2次元的に配置してもよい。このように構成することで、被測定物の上下方向相対変位に加えて2軸傾斜の補正が可能となり、任意の走査方向を選択できるようになる。
また、各カンチレバーを駆動するための円管状の圧電素子を同軸に配置することで、中央部に光路パスを確保して、公知の光テコ法などを用いたカンチレバー変位計測を容易に行うことができる。
このため光路の折り曲げ等で複雑な光学部品が不要となり、高剛性な構成による信頼性の高い測定が可能となる。
図1ないし図5は実施例1を示す。計測用カンチレバー7の尖点および補正用カンチレバー8、9の先端球(尖点)が被測定物14に近づくとき、遠距離ではファン・デル・ワールス力などの引力が作用し、さらに原子結合距離程度の近距離になると斥力が作用する。
原子間力顕微鏡にはいくつかのモードがあり、以下に代表的な3つのモードを記載しておく。コンタクトモードは上記の斥力領域で動作するものであり、カンチレバー先端の尖点が被測定物と接触した状態で利用され、ノンコンタクトモードは逆にカンチレバー先端の尖点が常に被測定物と接触しない距離で走査される。この場合カンチレバーを振動させないDCモード、加振用圧電素子によりカンチレバーを強制振動させるACモードがある。また、カンチレバーの尖点や被測定物に損傷を与える可能性のあるコンタクトモードと、一般的に分解能の劣るノンコンタクトモードの折衷案として、強制振動するカンチレバー先端の尖点を部分的に接触させて損傷を低減させるタッピングモードがある。
図1および図2に示すプローブユニットの構成においては、上記いずれのモードでも使用可能であるが、強制振動させて使用する場合にはカンチレバーを保持しているカンチレバーホルダー部分に加振用圧電素子を新たに挿入する必要がある。以下ではコンタクトモードを前提に本実施例の動作を説明する。
まず、プローブユニットの計測用カンチレバー7の尖点および補正用カンチレバー8、9の先端球が被測定物14の所望測定位置近傍にくるようにステージ15にて位置決めしておく。その後、計測用カンチレバー7の尖点および補正用カンチレバー8、9の先端球が、被測定物14との相互作用にて斥力を検知できる位置にまで、計測走査用圧電素子4および補正用圧電素子5、6をZ方向に駆動する。そして計測用カンチレバー7を計測走査用圧電素子4でX方向に走査させる。このとき、計測用カンチレバー7のたわみ量(変位)は変位計測光学系13で検知しており、検出される斥力が一定になるように計測走査用圧電素子4のトラッキング制御が行われる。この制御信号により、被測定物14の1ライン分の形状データが得られることになる。Y方向にも、プローブユニットを所望のピッチでY方向走査ユニット12にて移動させて、繰り返し上記のX方向走査を行えば、被測定物14の面形状データが得られる。
このときプローブユニットと被測定物の間に相対運動があると、横方向であれば得られる像が歪み、縦方向であればノイズとなり分解能低下を引き起こす。熱的な緩やかな動きであれば測定不能にまでになることはなく、高精度測定を要求する被測定物や、高精度を追及する測定機材の多くは低熱膨張材で作られることが多く、精密恒温室での測定にするなど対策もあり、大きな問題になることは少ない。しかし縦方向の振動となると従来全く対策がなされていない領域であり、特に大型の被測定物になると大きな問題になる。
関係する振動周波数を概算すると、もちろん面形状や走査範囲によっても異なるが、実用的な走査速度としては0.5〜2Hz程度のX方向走査に対して100〜500サンプリングのデータ取得にて画像を形成することが多い。すなわち50Hz〜1kHz程度のトラッキング制御にて画像データを得ていることになる。さらに言えば分解能を上げて測定する場合には走査をゆっくりさせ、多数のデータサンプリングを行うので500Hz程度がひとつの目安になる。
被測定物が小さければ、それを搭載するステージが小さくてよいので高剛性に構成し、振動による分解能低下を小さくすることができる。しかし近年の原子間力顕微鏡には大型の被測定物を非破壊でそのまま測定したいというニーズがある。被測定物が大きくなると被測定物とステージをあわせた最低次の固有振動数は低下せざるを得なく、上記のように500Hz程度のトラッキング周波数に影響を及ぼす程度になると大きな問題となる。すなわち、計測用カンチレバーと被測定物の相対位置がゆれている状態で計測していることになり、その振動振幅が計測データに載ってくることになる。計測機械構造体の最低次の固有振動数が大きなところにあれば、トラッキング周波数付近での自由振動振幅は非常に小さく計測誤差としては小さくなる。
プローブユニットと被測定物の相対位置が変動する問題に対して、プローブユニットを複数配置して被測定物の変位を補正用プローブユニットの動きから求めるという従来技術がある。しかし前にも説明したようにように一般には別位置に設置した複数のプローブユニットが同位相で動いているという保証は全く無いので、平均的な位置情報を得ることはできても、同時刻での位置補正を行うことはできない。
これに対して本実施例では、プローブユニットのベース1を基準に、すべての計測用および補正用カンチレバー7〜9を駆動する円管型の圧電素子4〜6が設置されている。それに連なる形で圧電素子アタッチメント4a〜6aおよびカンチレバーホルダー7a〜9aを介して計測用カンチレバー7および補正用カンチレバー8、9が接続されている。すべてのカンチレバー7〜9は、同様に円管2、カンチレバーサポート3を介して、弾性ヒンジ7b〜9bで接続されている。つまりすべてのカンチレバー7〜9は同一基準であるベース1に対し、圧電素子4〜6と圧電素子アタッチメント4a〜6aの剛性をもって接続されていることになる。このように構成することで、プローブユニットの実質的な最低次の固有振動数は、計測走査用圧電素子4および補正用圧電素子5、6の部品レベルでの自由振動のみが支配的になる。
各ユニットとしては数kHzの最低次の固有振動数を持ち、ベース1から見れば周波数帯域が大きく離れているので、トラッキング周波数レベルでは静止しているとみなせるようになる。また、カンチレバー7〜9をその先端部の大きさレベルで近接配置することが可能であり、例えば被測定物14がシリコンウエハのような薄板であったとしても、被測定物自体の振動モード変形による誤差要因はほとんどない。このような効果は従来のプローブユニットを複数配置するということでは到底なし得ない、本実施例によるプローブユニット固有の効果である。
しかも本実施例では、駆動用圧電素子として円管型を組み合わせた三重管構造をとっているため、駆動機構が中空構造であり、公知の光テコ等のカンチレバー変位計測手段を使用するのに光路が確保できるので好ましい。
さらに補正用カンチレバー8、9の先端には球を接着している。通常の原子間力顕微鏡では先端半径が5〜15nmの尖点をもつカンチレバーを使用することが多いが、本実施例では半径500nmのシリコン球を補正用カンチレバー先端に用いている。
計測用カンチレバー7ではほぼ近似的に尖点の頂点1個の原子と被測定物間の原子間力(コンタクトモードでは斥力)を検出するのに対し、補正用カンチレバー8、9では球半径が大きいことから、先端にある複数の原子と被測定物の原子間力平均値を検出する。この原子間力平均値を一定にするように補正用圧電素子5、6を駆動制御することで被測定物14との相対位置を計測する際、被測定物表面の粗さ(原子レベルの凹凸)の影響を受けにくくなる。このため位置補正信号のS/Nが向上し、より信頼性の高い計測が可能となる。
もうひとつの本実施例の特徴は、補正用カンチレバー8、9が走査方向に静止しているのに対し、計測用カンチレバー7のみがX方向に1軸走査する構成になっていることである。補正用カンチレバー8、9の先端を結ぶ方向はX軸に一致している。このように構成することで、補正用カンチレバー8、9の中心に計測用カンチレバー7がある場合には、補正用カンチレバー8、9からの信号の平均値が計測用カンチレバー7と被測定物14との並進相対位置の補正信号となる。また補正用カンチレバー8、9からの信号の差の半分が計測用カンチレバー7と被測定物14との傾斜成分の補正信号となる。この2つのデータ処理された信号から、つねに計測用カンチレバー7と被測定物14との位置関係を把握することが可能となる。計測用カンチレバー7のX方向走査中も計測用カンチレバー7は補正用カンチレバー8、9の間にあるため、大きな走査ストロークの時には補正用カンチレバー8、9からの信号を内分して並進相対位置の補正信号と傾斜成分の補正信号を得ればよい。このようにして得られた補正信号をもとに、計測用カンチレバー7による形状データを補正する。
本実施例によれば、計測用カンチレバーと被測定物の動きをリアルタイムで補正可能であるため、大きな被測定物であっても、振動起因のノイズによって測定分解能を低下させることなく高精度な形状測定を行うことができる。また、より周波数的に低い温度変動による装置の熱膨張や収縮によるプローブユニットと被測定物間の並進・傾斜相対位置変化の影響も補正できることはいうまでもない。
図7は実施例2を示すものであり、実施例1の円管状圧電素子の代わりに4個の角柱状の圧電素子24〜27を配設したものである。補正用カンチレバー29〜31を駆動する補正用圧電素子25〜27は、X方向に分極させておきX方向に電圧印加することでZ方向の変位を得るだけでよい。計測用カンチレバー28を駆動する計測走査用圧電素子24には、上記構成に加えて、底部にバイモルフ型の圧電素子を組み合わせるなど公知手段を組み合わせればよい。補正用圧電素子25〜27は、同一直線上に無いように圧電素子アタッチメント25a〜27aが計測走査用圧電素子24のアタッチメント24aを取り囲むように配置される。この上には、計測用カンチレバー28が1つ、補正用カンチレバー29〜31の3つが配置され、おのおのカンチレバーホルダー28a〜31aおよび弾性ヒンジ28b〜31bを介してカンチレバーサポート23に結合されている。このように構成することにより、計測用カンチレバー28と被測定物間の動きがZ方向の成分に加えてX回転方向およびY回転方向の成分についても補正可能になる。
本発明の構成は、原子間力顕微鏡以外の走査型プローブ顕微鏡にも適用できる。
実施例1によるプローブユニットのみを示す模式断面図である。 図1の装置を分解して示す分解斜視図である。 計測走査用圧電素子の構成を示す図である。 補正用圧電素子の構成を示す図である。 原子間力顕微鏡の構成を示す図である。 補正用カンチレバーの先端形状を説明する図である。 実施例2によるプローブユニットを分解して示す分解斜視図である。
符号の説明
1 ベース
2 円管
3、23 カンチレバーサポート
4、24 計測走査用圧電素子
5、6、25〜27 補正用圧電素子
7、28 計測用カンチレバー
8、9、29〜31 補正用カンチレバー

Claims (8)

  1. 尖点を被測定物に近接させたときに前記尖点に発生する原子間の力を検出することにより前記被測定物を計測するためのプローブユニットであって、
    前記プローブユニットの基準部材に支持された第1のカンチレバーと、前記基準部材に支持された第2のカンチレバーと、各カンチレバーに固定された尖点と、各カンチレバーの変位を検出する検出手段と、各尖点に発生する前記力を一定に保つために、各カンチレバーを独立して駆動する駆動手段と、前記第1のカンチレバーを前記基準部材上で走査する走査手段と、を有し、前記第1のカンチレバーの変位に基づいて前記被測定物の面形状を計測し、前記第2のカンチレバーの変位に基づいて、前記被測定物に対する前記基準部材の相対位置の変化を検出することを特徴とするプローブユニット。
  2. 前記第1のカンチレバーの尖点は、複数の前記第2のカンチレバーの尖点を結ぶ直線上に配設されていることを特徴とする請求項1記載のプローブユニット。
  3. 前記第1のカンチレバーの尖点の周辺に、少なくとも3個の前記第2のカンチレバーの尖点が2次元的に配設されていることを特徴とする請求項1または2記載のプローブユニット。
  4. 前記駆動手段は、前記第1および前記第2のカンチレバーをそれぞれ前記被測定物に垂直な方向に駆動するように同軸的に配設された複数の円管状の圧電素子を有することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載のプローブユニット。
  5. 前記第2のカンチレバーの尖点は、球形状であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載のプローブユニット。
  6. 前記第2のカンチレバーの尖点は、三角柱形状であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載のプローブユニット。
  7. 前記第2のカンチレバーの尖点は、複数の針状突起を有することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載のプローブユニット。
  8. 請求項1ないし7いずれか1項記載のプローブユニットと、前記プローブユニットを前記被測定物に対して相対的に移動させるプローブユニット移動手段と、を備えたことを特徴とする原子間力顕微鏡。
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