JP2007198569A - 等速自在継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】エアブリーザに軸方向の力が作用等しても、シールプレートからエアブリーザが外れることを防止できる等速自在継手を提供する。
【解決手段】外側継手部材2と、内径孔にシャフト8の一端が連結された内側継手部材1と、反シャフト突出側の外側継手部材開口部34を塞ぐ密封装置10とを備えた等速自在継手において、密封装置10は、外側継手開口部34に装着される円盤状のシールプレート13と、シールプレート13の中心部の装着孔32に装着されるエアブリーザ14とを備える。エアブリーザ14は内面側にリング状の膨出部19を有するとともに、シールプレート13の装着孔32は、その周縁部に外径方向に開口した周方向溝23を有する。エアブリーザ14の膨出部19を周方向溝23に外径方向から装着する。
【選択図】図1
【解決手段】外側継手部材2と、内径孔にシャフト8の一端が連結された内側継手部材1と、反シャフト突出側の外側継手部材開口部34を塞ぐ密封装置10とを備えた等速自在継手において、密封装置10は、外側継手開口部34に装着される円盤状のシールプレート13と、シールプレート13の中心部の装着孔32に装着されるエアブリーザ14とを備える。エアブリーザ14は内面側にリング状の膨出部19を有するとともに、シールプレート13の装着孔32は、その周縁部に外径方向に開口した周方向溝23を有する。エアブリーザ14の膨出部19を周方向溝23に外径方向から装着する。
【選択図】図1
Description
この発明は等速自在継手に関する。
プロペラシャフト用等の等速自在継手は、例えば、図6に示すように、内輪101、外輪102、ボール103およびケージ104を主要な構成要素としている。
内輪101は、その外周面に複数のトラック溝106が形成されている。この内輪101の中心孔(内径孔)105にシャフト108を挿入してスプライン嵌合させ、そのスプライン嵌合により両者間でトルク伝達可能としている。
外輪102は、その内周面に内輪101のトラック溝106と同数のトラック溝107が形成されている。外輪102のトラック溝107と内輪101のトラック溝106との間にトルクを伝達する複数のボール103が組み込まれている。内輪101と外輪102の間にケージ104が配置され、ボール103は、ケージ104のポケット109内に保持されている。
シャフト突出側において、ブーツ固定板111と、ゴムブーツ112とを備えたシール構造が形成されている。
反シャフト突出側において、外輪開口部を塞ぐ密封装置110が装着されている。密封装置110は、外部との通気を可能とし、内圧上昇の防止、及び継手内部への塵埃等の異物侵入防止や継手内部に封入されたグリースの漏れ防止を目的としている。
プロペラシャフト用等速自在継手に使用する密封装置110は、図9や図10に示すように、円盤状のシールプレート113の中央部に孔114を設け、この孔114に円盤状のゴム部材(エアブリーザ)115を装着したシール構造のものが一般的である(特許文献1、特許文献2)。
前記エアブリーザ115は、図7に示すように、外周面に周方向溝116を設け、この周方向溝116にシールプレート113の孔114の周縁部を嵌合させている。すなわち、エアブリーザ115の内径方向への圧縮力によって、このエアブリーザ115をシールプレート113に装着している。
なお、図8に示すように、エアブリーザ115中央部にはスリット117が設けられており、外部との通気を可能とすることで内圧上昇を防止する。
特開2002−331804号公報
特許第3662050号公報
前記のような密封装置110では、エアブリーザ115は、内径方向への圧縮力にて装着されているので、エアブリーザ115の周方向溝116とシールプレート113の孔114との締め代をきつくすると、エアブリーザ115のスリット部117が異常変形する。このため、異物の侵入及びグリースの漏れを防止して、エアのみを通過させる機能を損なうことになり、締め代をきつくすることはできなかった。
逆に、締め代が弱いと、取り扱い時等や、継手内部が負圧になったり加圧されたりして、エアブリーザ115に軸方向の力が加わった時に、エアブリーザ115の圧縮力が弱いため、エアブリーザ115がシールプレート113から外れるおそれがある。
また、従来ではエアブリーザ115がシールプレート113から突出した状態となっているので、その突出部に異物等が接触する場合があり、このように異物等が接触すれば、エアブリーザ115がシールプレート113から外れやすくなるという問題もあった。このため、エアブリーザ115に異物等が当たらないように取り扱わなければならなかった。
本発明は、上記課題に鑑みて、エアブリーザに軸方向の力が作用等しても、シールプレートからエアブリーザが外れることを防止できる等速自在継手を提供することを目的とする。
本発明の等速自在継手は、外側継手部材と、内径孔にシャフトの一端が連結された内側継手部材と、反シャフト突出側の外側継手部材開口部を塞ぐ密封装置とを備えた等速自在継手において、前記密封装置は、前記外側継手開口部に装着される円盤状のシールプレートと、前記シールプレートの中心部の装着孔に装着されるエアブリーザとを備え、前記エアブリーザは内面側にリング状の膨出部を有するとともに、前記シールプレートの装着孔は、その周縁部に外径方向に開口した周方向溝を有し、前記エアブリーザの膨出部が前記周方向溝に外径方向から装着される。
このため、シールプレートの周方向溝に外径方向からエアブリーザの膨出部を嵌合させることによって、シールプレートにエアブリーザを装着することができる。取り扱い時等にエアブリーザに軸方向の力が加わった場合、膨出部には内径方向に引張り力が作用することになる。しかしながら、膨出部はシールプレートの周方向溝に外径方向から嵌合しているので、膨出部には外れる力が作用しない。
前記エアブリーザは、前記膨出部に外径方向への引張り力が作用した状態でシールプレートに装着される。このため、エアブリーザに軸方向の力が加わっていない状態で、膨出部にはその復元力にて縮径する力が生じている。また、エアブリーザに軸方向の力が加わった場合にも、より一層の引張り力が作用する。
前記エアブリーザの平板状のエアブリーザ本体部と、前記膨出部との間に内径側に開口する溝を設け、この溝にシールプレートの周方向溝の外壁が嵌合する。このため、膨出部と本体部との間に外壁が介在されているので、エアブリーザに軸方向の押圧力が作用した場合にも、エアブリーザは安定した装着状態を確保することができる。
エアブリーザ装着状態において、シールプレートの外端面とエアブリーザの外端面とが面一となるように配置される。すなわち、エアブリーザをシールプレートから外方側へ突出させない。
エアブリーザに軸方向の押圧力が加わっても、膨出部に内径方向の引張り力が作用することになり、周方向溝にて膨出部を一層安定して受けることができる。このため、エアブリーザは、シールプレートから外れにくく、異物の侵入及びグリースの漏れをなくし、エアーだけを通過させる機能を有効に発揮することができる。
エアブリーザの膨出部に縮径する力が生じるため、膨出部は、シールプレートの周方向溝に安定した状態で嵌合する。
膨出部の内周側にシールプレートの周方向溝の外壁が嵌合する溝を設けることにより、エアブリーザに軸方向の押圧力が加わっても装着安定性の更なる向上を図ることができる。
シールプレートの外端面とエアブリーザの外端面とが略同一面上に配置されるので、取り扱い時等において、エアブリーザに異物が接触しにくく、シールプレートからこのエアブリーザが外れるおそれが減少する。
以下本発明の実施の形態を図1〜図5に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態を示す等速自在継手の断面図である。本発明の等速自在継手は、内側継手部材としての内輪1、外側継手部材としての外輪2、ボール3およびケージ4を主要な構成要素としている。
内輪1は、その外周面(凸球状外周面)に複数のトラック溝6が形成されている。この内輪1の中心孔(内径孔)5にシャフト8を挿してスプライン嵌合させ、そのスプライン嵌合により両者間でトルク伝達可能としている。なお、シャフト8は、スナップリング15により内輪1に対して抜け止めされている。
外輪2は、その内周面(円筒状内周面)に内輪1のトラック溝6と同数のトラック溝7が形成されている。外輪2のトラック溝7と内輪1のトラック溝6との間にトルクを伝達する複数のボール3が組み込まれている。内輪1と外輪2の間にケージ4が配置され、ボール3は、ケージ4のポケット9内に保持されている。
この外輪2の軸方向一端部(シャフト突出側の開口部)には、ブーツ12とアダプタ11とからなる密封装置16にて塞がれている。一方、反シャフト突出側の外輪開口部にはシールプレート13とエアブリーザ(通気用ゴム部材)14とからなる密封装置10にて塞がれている。これら密封装置10、16にて、継手内部に充填したグリースの漏洩を防ぐと共に異物の侵入を防止している。
前記エアブリーザ14は、ゴム成形品であり、図2に示すように、円形平板状の本体部17と、この本体部17の外周縁部に設けられる肉厚部18とを備える。すなわち、肉厚部18は、内径側に開口した溝21が形成された連設部30を介して連設される膨出部19を有する。また、肉厚部18の外径側には、断面舌状の鍔部20が周方向に沿って外径方向に突設されている。このように、前記エアブリーザ14には、本体部17と膨出部19との間に前記溝21が形成されることになる。鍔部20の継手内部側には、内部側から外部側へ向かって拡径するテーパ面31が設けられている。
また、エアブリーザ14の本体部17の中央部には、図3のように、径方向のスリット22が設けられている。これにより、継手内部の圧力が上昇した場合には、前記スリット22から内圧の上昇分を外部に逃がし、継手内部の圧力上昇を防止する。一方、継手内部の圧力が低下した場合には、前記スリット22から内圧の低下分を外部から吸い込み、継手内部の圧力低下を防止する。
シールプレート13は、中央部にエアブリーザ14を装着するための装着孔32が設けられており、図4に示すように、装着孔32の周縁部(外周縁部)には外径方向に開口した周方向溝23を有している。すなわち、シールプレート13の装着孔32の外周縁部は、断面釣り針形状であって、外径側から内径側へ向かって順次継手内部側へ傾斜するテーパ壁部24と、このテーパ壁部24の内径端から内径側に延びる径方向壁部33と、この径方向壁部33の内径端から外方へ延びる軸方向壁部25と、この軸方向壁部25の外端から継手外部に向かって順次拡径する外壁部26とからなる。このため、装着孔32の外周縁部には外径方向に開口した周方向溝23が形成される。なお、シールプレート13は、例えば、SPC材(冷間圧延鋼板)をプレスにて成形し、エアブリーザ14は、例えば、ゴム材を使ってインジェクション法にて成形する。
そして、図5に示すように、シールプレート13の周方向溝23に、エアブリーザ14の膨出部19を嵌合させることによって、エアブリーザ14がシールプレート13の装着孔32に装着される。この際、エアブリーザ14の溝21にシールプレート13の外壁部26が嵌合すると共に、エアブリーザ14の鍔部20のテーパ面31がシールプレート13のテーパ壁部24に当接している。
ところで、φa(自由状態の膨出部19の内径)<φA(周方向溝23の軸方向壁部25の径)としている。これにより、エアブリーザ14はこの膨出部19が外径方向へ引張られた状態でシールプレート13に保持される。すなわち、図5のように、前記シールプレート13の中央部に設けられた装着孔32にエアブリーザ14を装着するには、エアブリーザ14の肉厚部18を外径方向に引っ張った状態で、シールプレート13の周方向溝23に膨出部19の一部を嵌合させ、その後、円周方向に連続的に嵌合させればよい。また、エアブリーザ14の装着状態において、シールプレート13の外端面29とエアブリーザ14の外端面28とが面一となるように配置される。すなわち、シールプレート13の周方向溝23を内部側の凹んだ位置に設けるようにして、エアブリーザ14をシールプレート13から軸方向外方側へ突出させないようにしている。ここで、面一とは、完全同一はもちろんのこと、エアブリーザ14の外端面28がシールプレート13の外端面29に対してわずかに内方又は外方にずれた状態を含むものとする。
なお、シールプレート13の外周縁部には、外輪2の反シャフト突出側の開口部34に装着されるための装着部35が形成されている。この装着部35は、内径側から継手内方に向かって順次拡径するテーパ壁36と、このテーパ壁36の外周縁から外径方向に延びる径方向壁部37と、この径方向壁部37の外周縁から継手外方へ延びる軸方向壁部38とからなる。そして、外輪2の反シャフト突出側の開口部34にシールプレート13を装着した際には、軸方向壁部38がこの内径面に圧接する。
このように構成された等速自在継手では、シールプレート13の周方向溝23に外径方向からエアブリーザ14の膨出部19を嵌合させることによって、エアブリーザ14にシールプレート13を装着することができる。取り扱い時等にエアブリーザ14に軸方向の力が加わった場合、膨出部19には内径方向に縮径する力が作用することになる。しかしながら、膨出部19はシールプレート13の周方向溝23に外径方向から嵌合しているので、膨出部19には外れる力が作用しない。
本発明では、エアブリーザ14に軸方向の押圧力が加わっても、膨出部19に内径方向の引張り力が作用することになり、周方向溝23にて膨出部19を一層安定して受けることができる。このため、エアブリーザ14は、シールプレート13から外れにくく、異物の侵入及びグリースの漏れをなくし、エアーだけを通過させる機能を有効に発揮することができる。
前記エアブリーザ14は、前記膨出部19に外径方向への引張り力が作用してシールプレート13に装着される。このため、エアブリーザ14に軸方向の力が加わっていない状態で、膨出部19はその復元力にて縮径する力が生じている。このため、膨出部19は、シールプレート13の周方向溝23に安定した状態で嵌合している。
前記エアブリーザ14の平板状のエアブリーザ本体部17と、前記膨出部19との間に内径側に開口する溝21を設け、この溝21にシールプレート13の周方向溝23の外壁26が嵌合する。このため、膨出部19と本体部17との間に外壁26が介在されるので、エアブリーザ14に軸方向の押圧力が作用した場合、この外壁26が引っ掛かりとなり、エアブリーザ14の安定した装着状態を確保することができ、装着安定性の更なる向上を図ることができる。
シールプレート13の外端面29とエアブリーザ14の外端面28とが略同一面上に配置されるので、取り扱い時等において、エアブリーザ14に異物が接触しにくく、シールプレート13から外れるおそれが減少する。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、エアブリーザ14の膨出部19をリング状とせずに、周方向に沿って所定ピッチで複数個が配置されるものであってもよい。また、エアブリーザ14として鍔部20を有さないものであってもよく、鍔部20を有するものであっても、テーパ面31を有さなくてもよい。さらに、シールプレート13の周方向溝23の断面形状は、膨出部19が嵌合するものであれば種々のものを採用でき、逆に膨出部19の断面形状もシールプレート13の周方向溝23に嵌合するものであればよい。さらには、シールプレート13の外端面29とエアブリーザ14の外端面28とが同一面上になくてもよく、エアブリーザ14の外端面28がシールプレート13の外端面29より内部に装着されるようにしてもよい。
エアブリーザ14の材質もゴムに限定されるものではなく、この等速自在継手が使用される環境に対応でき、しかも、弾性変形するものであれば、合成樹脂材料等種々のものを使用することができる。
また、等速自在継手としては、実施形態のような固定型等速自在継手に限るものではなく、摺動型自在継手であってもよい。
1 内輪
2 外輪
8 シャフト
10 密封装置
13 シールプレート
14 エアブリーザ
17 本体部
19 膨出部
21 溝
23 周方向溝
28 外端面
29 外端面
32 装着孔
34 外輪開口部
2 外輪
8 シャフト
10 密封装置
13 シールプレート
14 エアブリーザ
17 本体部
19 膨出部
21 溝
23 周方向溝
28 外端面
29 外端面
32 装着孔
34 外輪開口部
Claims (4)
- 外側継手部材と、内径孔にシャフトの一端が連結された内側継手部材と、反シャフト突出側の外側継手部材開口部を塞ぐ密封装置とを備えた等速自在継手において、前記密封装置は、前記外側継手開口部に装着される円盤状のシールプレートと、前記シールプレートの中心部の装着孔に装着されるエアブリーザとを備え、前記エアブリーザは内面側にリング状の膨出部を有するとともに、前記シールプレートの装着孔は、その周縁部に外径方向に開口した周方向溝を有し、前記エアブリーザの膨出部が前記周方向溝に外径方向から装着されることを特徴とする等速自在継手。
- 前記エアブリーザは、前記膨出部に外径方向への引張り力が作用した状態でシールプレートに装着されることを特徴とする請求項1に記載の等速自在継手。
- 前記エアブリーザの平板状のエアブリーザ本体部と、前記膨出部との間に内径側に開口する溝を設け、この溝にシールプレートの周方向溝の外壁が嵌合することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の等速自在継手。
- エアブリーザ装着状態において、シールプレートの外端面とエアブリーザの外端面とが面一となるように配置されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の等速自在継手。
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- 2006-01-30 JP JP2006020843A patent/JP2007198569A/ja not_active Withdrawn
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