JP2007197863A - 印刷用紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】 和紙の風合いを有しながら、枚葉オフセット印刷機のような吸引により自動給紙される印刷機にかけても、給紙トラブルが発生しない新たな印刷用紙を提供すること。
【解決手段】 少なくとも3層構造の印刷用紙であって、表、裏の最外層がJIS P8121に規定されるカナダ標準ろ水度が600ml以上の製紙原料からなり、それら表、裏層の間に前記ろ水度が450ml以下の製紙原料からなる中層を少なくとも1層有し、かつ、JIS P8117に規定される透気度が10秒以上であること。
【選択図】図1
【解決手段】 少なくとも3層構造の印刷用紙であって、表、裏の最外層がJIS P8121に規定されるカナダ標準ろ水度が600ml以上の製紙原料からなり、それら表、裏層の間に前記ろ水度が450ml以下の製紙原料からなる中層を少なくとも1層有し、かつ、JIS P8117に規定される透気度が10秒以上であること。
【選択図】図1
Description
本発明は、和紙の風合いを有し、枚葉オフセット印刷時における給紙のトラブルが発生しにくい多色カラー印刷が可能な印刷用紙に関する。
一般的に、紙は、和紙と洋紙に大きく分けることができ、使用原料から分類すると、楮や三椏、雁皮など、日本で古くから製紙原料として用いられてきた原料を使用したものを和紙、広葉樹や針葉樹のような木材パルプを用いた繊維長の短いものを洋紙のように区別することができる。また、抄き方によって、手抄きの場合は和紙、機械抄きの場合は洋紙のように区別することもある。なお、和紙は本来すべて手抄きによって製造されるが、現在は生産効率をあげるために木材パルプを活用しながら、80%以上が機械抄き和紙となっているのが実情である。
和紙と洋紙は、それ以外に見た目や手触りなどの品質の面からも比較的簡単に区別することができる。また、商業印刷で一般的なオフセット印刷適性の面から考えた場合、一般的に和紙は印刷しにくいが、洋紙は印刷し易いという点で区別することができる。なお、現在は紙の生産の99%以上が洋紙であるため、単に紙というときは板紙を含まない洋紙をさすことが多く、オフセット印刷用紙としても洋紙をベースとしたものが主流で、印刷機も洋紙をベースとした印刷用紙に対応して設計されている。
しかしながら、最近は、印刷したり包装したりする実用的な機能に加え、見た目の美しさや手触りの良さ、高級感なども印刷用紙に要求されている。これら感覚的な品位、高級感は、紙の色調、平滑性、光沢感、重圧感などの視感的な感覚と、手触り、滑らかさなどの触感的な感覚を総合したもので、紙の風合いといわれている。これらの風合いを付与するために、特別な製紙原料を用いたり、ワイヤーマーク加工、型付け、キャレンダがけ、塗工等の加工が施された洋紙は、一般にファインペーパー、もしくはファンシーペーパーと呼ばれ、一般の紙と区別される。洋紙の範疇から派生したこれらファインペーパーの中には、長繊維原料を用いた和紙のような、凹凸感のある、さらりとした手触り感を持つものもあるが、和紙が本来持つ手触りの良さ、暖か味、高級感など十分に満足できるものではなかった。なお、ここで想定している和紙は、前述の楮、三椏などの長繊維原料を用いた紙で、一般的に表面が比較的凹凸に富み、可撓性が高く柔らかいが破れにくいという特徴を持つものであり、代表的な和紙として美濃紙等を挙げることができる。
上記に想定される和紙風の風合いを備えたファインペーパー、もしくは従来の和紙そのものにオフセット印刷にて印刷することを考えた場合、現在のオフセット印刷機は、上記のように、洋紙をベースとした印刷用紙に対応して設計されているため、一般的に透気度が低い和紙風ファインペーパー、もしくは和紙をそのままオフセット印刷機で印刷しようとすると、給紙のときにトラブルが発生しやすい。具体的には、最近の枚葉オフセット印刷機では、印刷用紙は吸引により自動給紙されるので、紙の透気度が低すぎると、給紙のとき用紙が2枚一緒に給紙されたり、1枚も給紙されなかったりしてトラブルが発生しやすい。なお、透気度は、一定容量の空気が試料を垂直方向に通過する時間(秒)で表し、その数値が小さい(透気度が低い)ほど空気が通過しやすいことを示す。
そのため、和紙の風合いを有しながら印刷時に給紙トラブルが発生しない印刷用紙の開発が望まれている。開発の方向としては、従来の手抄き和紙をベースにそのオフセット印刷適性を向上させる方法もある。しかし、この方向での開発は、手抄き和紙の生産方法が、一般的な商業ベースでの大量生産が難しく、市場性をあまり期待できないことから、上述した和紙の風合いを付与したファインペーパーである機械抄き和紙をベースに印刷性を向上させる方向での開発が進められている。
その開発過程で問題となるのは、給紙トラブルを解消するために紙の透気度を高めると和紙の風合いである凹凸感、柔らかさがなくなってしまうことである。この関係を更にろ水度も含めて検討すると、一般的に、和紙の風合いを出すためには、原料処理において叩解をあまり行わないで分散、離解のみを行えばよい。叩解の進み具合を示すろ水度は、低ければ低い程、叩解が進んでいることを示し、和紙の風合いである凹凸感、柔らかさがなくなり透気度が高くなって通気性(空気の通り)が悪くなる。逆に、ろ水度が高いパルプで製造した紙は、和紙の風合いは出るが、透気度が低く通気性が良すぎるため、枚葉オフセット印刷時、給紙の際に紙を1枚のみ吸い上げることが困難となり、給紙でのトラブルが発生しやすい。なお、透気度は、使用する紙繊維の長さや、紙の密度などとの関係から捉えることもできる。
ここで実際にどのような研究、開発がなされているか、その動向を検討すると、例えば、特許文献1には、紙の風合いに着目し、柔らかい風合いを有する低密度の紙であるにも関わらず、オフセット印刷でカラー印刷が可能な印刷用紙の製造方法の発明が開示されている。この特許文献1に開示されている発明は、製紙用パルプを主材としているが、微細フィブリル化セルロースを添加することにより透気度が上昇することを知得し、密度が低いままで透気度が10秒以上、表面強度が10A以上で地合いの良好な印刷用紙を製造できるようにしたものである。しかしながら、この特許文献1に開示されている発明は、1層構成の1枚の紙で、低密度化による紙の風合いの向上と透気度の上昇による印刷時の給紙トラブルの防止を行っているため、柔らかな紙の風合いは出るとしても、和紙の風合いになるまでには至っていない。また、手触りを柔らかく感じるために、非木材パルプを1重量%以上混合することが好ましいとあるが、和紙の持つ手触りを出すためには比較的高価な非木材パルプを多量に混合する必要があり、高コストになる。更に非木材パルプを多量に混合することでパルプのろ水度が大幅に上昇し、ある値まで上昇すると微細フィブリル化セルロースがパルプ中にネットワークを形成することなく流出し、透気度向上が見込めなくなる。
また、特許文献2には、品質が一定でオフセット印刷等により高速印刷が可能な、機械抄き和紙によるラベル用紙とその製造方法、抄紙機の発明が開示されている。特許文献2に開示されている発明のラベル用紙は、楮又はパルプ液等の紙繊維液により湿紙を形成し、その湿紙の上面に水又は紙繊維液を滴下して多数のクレータからなる落水模様を形成すると共に、下面にパルプ液等による矩形の紙繊維層を抄き合わせて製造されるものである。この特許文献2の発明では、透気度を上げるために、紙繊維長が約5mmの楮などの紙繊維液により湿紙を形成し、その湿紙の下面に紙繊維長が約2mm程度と短いパルプ液等による繊維層を抄き合せたり、抄紙後にカレンダー掛けして紙繊維を密な状態にしたりしている。しかしながら、ラベル用紙として上、下面で紙質が異なっているため、通常の用途で使用される印刷用紙としては違和感を与えたり、上下の材料の差によってカールし易くなるという問題があり、また、カレンダー掛けにより紙繊維が密になりすぎると和紙の風合いがなくなってしまうという問題があった。透気度を上げるための手法として繊維長の短い紙繊維層を抄き合わせる方法を提示するが、短い紙繊維層について特に規定がない。
更に、特許文献3には、障子紙や壁紙用として、パルプを主原料とする表裏の和紙間に、炭、アパタイト、ゼオライト、トルマリン、酸化チタン、無機消臭剤からなる群から選ばれた粒状もしくは粉状添加剤を抄き込んだパルプを主原料とする和紙を介在させて全体を一体化したサンドイッチ構造の和紙の発明が開示されている。しかしながら、この特許文献3に開示されている発明の和紙は、通気性を考慮したものであるため、透気度が低すぎ、オフセット印刷等の印刷用紙として使用するのには無理があった。
なお、特許文献4には、3層以上の多層構造の紙で、表、裏の片側又は両側をセルロース繊維を主体とする普通紙層にし、中層の少なくとも1層を、カールドファイバーと微細繊維を含有する低密度層にした多層紙の発明が開示されている。この特許文献4に開示されている発明は、和紙の風合いを有するとはいえないが、多層構造にすることにより平滑性と剛性に優れ、印刷性を向上させた軽量の紙に形成できる点で参考になる。
特開平8−13380号公報
特開2000−192390号公報
特開2004−52152号公報
特開平11−303000号公報
本発明は、和紙の風合いを有しながら、枚葉オフセット印刷機のような吸引により自動給紙される印刷機にかけても、給紙トラブルが発生しない新たな印刷用紙を提供することを、その課題とするものである。
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明の構成は、少なくとも3層構造の印刷用紙であって、表、裏の最外層がJIS P8121に規定されるカナダ標準ろ水度が600ml以上の製紙原料からなり、それら表、裏層の間に前記ろ水度が450ml以下の製紙原料からなる中層を少なくとも1層有し、かつ、JIS P8117に規定される透気度が10秒以上であることを特徴とするものである。
本発明は、上記構成において、中層はろ水度が280ml〜400mlの製紙原料により形成するのが好ましい。また、印刷用紙の表、裏層の緊度は0.35〜0.45であるのが好ましい。
本発明の印刷用紙は、少なくとも3層構造で、表、裏の最外層をカナダ標準ろ水度が600ml以上の製紙原料により形成して和紙の風合いが出るようにすると共に、それら表、裏の層の間にろ水度が450ml以下、好ましくは280mlから400mlの範囲の製紙原料により形成した中層を少なくとも1層有するので、全体として見た目の美しさは勿論、手触りの良さや暖か味があり、高級感がある和紙の風合いを有しながら透気度が高く、枚葉オフセット印刷機のような吸引により自動給紙される印刷機にかけても、給紙トラブルが発生しないという格別の効果が得られる。
また、本発明の印刷用紙は、多層構造であるため従来の和紙単独のものと比較し剛性に優れ、更に中層にろ水度が450ml以下の製紙原料を含有させれば、中層を薄くしても透気度が高い印刷用紙にすることができるので、全体として薄くすることができる。しかもこの中層を用いると、層間の剥離がしにくくなり、多層構造であっても表、裏の層が剥がれたりすることはないので、従来の和紙と違和感なく使用することができる。更に、中層のろ水度が450ml以下の製紙原料は、一般的な木材パルプ等の製紙原料が使用可能であり、比較的高価な和紙原料に比べて低コストであり、また、機械抄きにより各層を抄き合わせながら連続生産が可能であるため、手抄き和紙単独の場合と比較し、コストダウンできるという効果も得られる。
次に、本発明の実施の形態例を図に拠り説明する。図1は本発明の3層構造の印刷用紙の一例の側断面図である。
図において、Pは、本発明の一例の3層構造の印刷用紙、1はこの印刷用紙Pの表層、2は同じく裏層、3はこれら表、裏の層1、2に挟持されるように設けられている中層である。なお、本発明の印刷用紙は、3層構造のものに限定されるものではなく、4層、5層、6層などのように多層構造のものであってもよい。
表層1と裏層2は、JIS P8121に規定されるカナダ標準ろ水度(以下、単にろ水度ともいう)が600ml以上の製紙原料からなり、中層は、ろ水度が450ml以下、好ましくは280mlから400mlの範囲の製紙原料からなる層である。ここでカナダ標準ろ水度とは、製紙過程におけるパルプの叩解度(ビーディング)の度合いを測定し、これによりパルプの水切れの程度を数値により表すものである。本発明において、各層をろ水度により規定しているのは、和紙の風合いを判断するのに好適だからである。因みに、和紙の風合いを発現させる長繊維層のろ水度規定は、600ml以上が妥当であるといわれている。
次に、中層3は、ろ水度が450ml以下、好ましくは280mlから400mlの範囲の製紙原料からなる層であるが、ろ水度と透気度との関係については上述したように、ろ水度が低ければ低い程、透気度は高くなる。従って、本発明では、中層3の透気度が高く、表層1と裏層2の透気度が低くなっている。なお、図1に示した印刷用紙Pの中層3は1層であるが、2層以上にすることもできる。本発明は、印刷用紙P全体としての透気度が10秒以上になるようにしている。10秒より小さいと、枚葉オフセット印刷機のような吸引により自動給紙される印刷機にかけると、給紙トラブルが発生するからである。
表、裏の層1、2、中層3には、和紙原料、洋紙原料、その他の製紙原料を使用することができる。和紙原料としては、楮(6〜21)、三椏(3〜5)、雁皮(3〜5)、桑(5〜8)などが挙げられ、洋紙原料としては、広葉樹晒クラフトパルプ〔LBKP〕(0.7〜1.6)、針葉樹晒クラフトパルプ〔NBKP〕(2.0〜4.5)などが挙げられ、その他の原料として、大麻(〜25)、黄麻(1.5〜5.0)、亜麻(20〜30)、ケナフ全茎(1.0〜1.5)、ケナフ靭皮(2〜3)、ケナフ芯(0.5〜0.8)、タケ(1.5〜4.5)、バガス(0.7〜3.8)、ワラ(0.6〜3.5)、リンター(3〜7)、バナナ(3.5〜5.0)などが挙げられる。なお、括弧内は一般的な繊維長を示し、単位はmmである。因みに、タケパルプの未叩解のろ水度は630ml程度である。
次に、本発明の印刷用紙の表、裏層の緊度を、0.35〜0.45とするのが望ましい。緊度が0.35より小さいと、紙層強度が低下してオフセット印刷が難しくなり、0.45より大きいと、凹凸間を特徴とする和紙としての風合いが減少することとなり、好ましくないからである。ここで緊度とは、密度のことで、印刷用紙の単位体積当たりの重量を表すものである。なお、緊度は、叩解により調節される。
次に、本発明のより具体的な構成の実施例と比較例について説明する。
3層構造の本発明の印刷用紙を次のようにして製造した。
まず、表層として、カナダ標準ろ水度700mlのリンターパルプを絶乾(35g/m2)分取し、このパルプを水500ml中に均一に分散してパルプスラリーを得た。
このパルプスラリーを角型シートマシン(熊谷理機工業株式会社製)にて均一に分散、搾水してシート化し、シートマシンのワイヤー上にこのパルプの紙料を形成した。
形成された紙料の上に適宜ろ紙を敷き、このシートマシンに付属のクーチングロールにて圧搾を行い、シートマシンのワイヤーから、紙料を破壊しないようにろ紙ごと紙料を剥離し、水分率約70%程度の表層紙料を得た。
次に、中層として、カナダ標準ろ水度400mlに調整したLBKPとNBKPを1:1の割合で混合したパルプを絶乾(30g/m2)分取し、このパルプを水500ml中に均一に分散してパルプスラリーを得た。
このパルプスラリーを角型シートマシン(熊谷理機工業株式会社製)にて均一に分散、搾水してシート化し、シートマシンのワイヤー上にこのパルプの中層紙料を形成した。形成された中層紙料の上に、表層紙料を均一に密着させ、これらが密着した紙料の上に適宜ろ紙を敷き、シートマシンに付属のクーチングロールにて圧搾を行い、シートマシンのワイヤーから、この表層と中層が密着した紙料を破壊しないようにろ紙ごと紙料を剥離し、水分率約70%程度の表層と中層が密着した紙料を得た。
裏層は、表層と同一原料、同一方法でシートマシンのワイヤー上に、この原料のパルプの裏層紙料を形成した。形成された裏層紙料の上に、表層と中層が密着した紙料の中層側を均一に密着させ、これらが密着した3層構造の紙料の上に適宜ろ紙を敷き、上記シートマシンに付属のクーチングロールにて圧搾を行い、シートマシンのワイヤーから、上記紙料を破壊しないようにろ紙ごと紙料を剥離し、水分率約70%程度の3層構造の紙料を得た。
できた3層構造の紙料を適宜ろ紙ではさみ、シートマシン用プレス(熊谷理機工業株式会社製)にて圧搾し、水分率約55%程度のシートを得た。
更に、できたシートを回転型乾燥機(熊谷理機工業株式会社)にて乾燥させて、坪量約100g/m2の紙シートである印刷用紙を得た。このときの表、裏層の緊度は0.412であった。
まず、表層として、カナダ標準ろ水度700mlのリンターパルプを絶乾(35g/m2)分取し、このパルプを水500ml中に均一に分散してパルプスラリーを得た。
このパルプスラリーを角型シートマシン(熊谷理機工業株式会社製)にて均一に分散、搾水してシート化し、シートマシンのワイヤー上にこのパルプの紙料を形成した。
形成された紙料の上に適宜ろ紙を敷き、このシートマシンに付属のクーチングロールにて圧搾を行い、シートマシンのワイヤーから、紙料を破壊しないようにろ紙ごと紙料を剥離し、水分率約70%程度の表層紙料を得た。
次に、中層として、カナダ標準ろ水度400mlに調整したLBKPとNBKPを1:1の割合で混合したパルプを絶乾(30g/m2)分取し、このパルプを水500ml中に均一に分散してパルプスラリーを得た。
このパルプスラリーを角型シートマシン(熊谷理機工業株式会社製)にて均一に分散、搾水してシート化し、シートマシンのワイヤー上にこのパルプの中層紙料を形成した。形成された中層紙料の上に、表層紙料を均一に密着させ、これらが密着した紙料の上に適宜ろ紙を敷き、シートマシンに付属のクーチングロールにて圧搾を行い、シートマシンのワイヤーから、この表層と中層が密着した紙料を破壊しないようにろ紙ごと紙料を剥離し、水分率約70%程度の表層と中層が密着した紙料を得た。
裏層は、表層と同一原料、同一方法でシートマシンのワイヤー上に、この原料のパルプの裏層紙料を形成した。形成された裏層紙料の上に、表層と中層が密着した紙料の中層側を均一に密着させ、これらが密着した3層構造の紙料の上に適宜ろ紙を敷き、上記シートマシンに付属のクーチングロールにて圧搾を行い、シートマシンのワイヤーから、上記紙料を破壊しないようにろ紙ごと紙料を剥離し、水分率約70%程度の3層構造の紙料を得た。
できた3層構造の紙料を適宜ろ紙ではさみ、シートマシン用プレス(熊谷理機工業株式会社製)にて圧搾し、水分率約55%程度のシートを得た。
更に、できたシートを回転型乾燥機(熊谷理機工業株式会社)にて乾燥させて、坪量約100g/m2の紙シートである印刷用紙を得た。このときの表、裏層の緊度は0.412であった。
表、裏の層は、実施例1の印刷用紙と同じである。中層に、カナダ標準ろ水度300mlに調整したLBKPとNBKPを1:1の割合で混合したパルプを絶乾30g/m2分取し、水500ml中に均一に分散してパルプスラリーを得た。他は実施例1と同様にして坪量約100g/m2の紙シートである印刷用紙を得た。このときの表裏層の緊度は実施例1と同様0.412であった。
〔比較例〕
比較例として、1層構造の印刷用紙を製造した。カナダ標準ろ水度700mlのリンターパルプを絶乾100g/m2分取し、このパルプを水500ml中に均一に分散してパルプスラリーを得た。シート調製、乾燥方法は、実施例1と同じにして、坪量100g/m2の紙シートである印刷用紙を得た。
比較例として、1層構造の印刷用紙を製造した。カナダ標準ろ水度700mlのリンターパルプを絶乾100g/m2分取し、このパルプを水500ml中に均一に分散してパルプスラリーを得た。シート調製、乾燥方法は、実施例1と同じにして、坪量100g/m2の紙シートである印刷用紙を得た。
次に、得られた実施例1,2、比較例の印刷用紙について、次の測定を行った。
・透気度:JIS P8117に規定される方法にて測定した。
・平滑度:JIS P8119に規定される方法にて測定した。
・比破裂度:JIS P8112に規定される方法にて測定した。
・比耐折度:JISP8115に規定される方法にて測定した。
・比引裂度:JISP8116に規定される方法にて測定した。
・層間強度:JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.18-2に規定される方法にて測定した。
・坪量:JIS P8124に規定される方法にて測定した。
・厚み:JIS P8118に規定される方法にて測定した。
これらの測定結果は、次の表1に示す通りである。
・透気度:JIS P8117に規定される方法にて測定した。
・平滑度:JIS P8119に規定される方法にて測定した。
・比破裂度:JIS P8112に規定される方法にて測定した。
・比耐折度:JISP8115に規定される方法にて測定した。
・比引裂度:JISP8116に規定される方法にて測定した。
・層間強度:JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.18-2に規定される方法にて測定した。
・坪量:JIS P8124に規定される方法にて測定した。
・厚み:JIS P8118に規定される方法にて測定した。
これらの測定結果は、次の表1に示す通りである。
〔評価〕
坪量は、実施例1、2、比較例とも、ほぼ同一の範囲にあり、比較しうる範囲である。
厚み、緊度については、実施例1のように、中層にろ水度が低い通常のパルプを使用することで緊度が上昇することが分かる。また、実施例2のように、中層に更にろ水度の低い通常のパルプを使用することで緊度が更に上昇することが分かる。
比破裂度、比耐折度、比引裂度については、中層にろ水度が低い通常のパルプを使用することで強度が上昇し(実施例1)、ろ水度を更に低めることによって更に強度が上昇する(実施例2)ことが分かる。
層間強度については、比較例と実施例1を比較すると、実施例1の方が値が低下しているが、これは層構造が1層か多層の違いによるものであり、抄き合わせの弱点が現れているといえる。実施例1と実施例2を比較すると、実施例2の方が値が上昇しているが、これは中層のパルプのろ水度を更に下げることにより紙力強度向上が効いて、層間強度も向上したと推定され、実施例2のものでは、1層構造の紙と同等の値を示していることが分かる。
透気度については、比較例の印刷用紙に比べ、中層にろ水度が低い通常のパルプを使用した実施例1の印刷用紙の方が高く、更に実施例2のように中層に更にろ水度の低いパルプを添加することにより更に透気度が高くなっていることが分かる。
平滑度については、実施例1、2、比較例とも全てほぼ同一であり、表面の凹凸状態は全て同じ状態にあるといえる。
以上から、実施例1、2の印刷用紙は、和紙の触感は損なわれていない上に、透気度が高く、枚葉オフセット印刷機のような吸引により自動給紙される印刷機にかけても、給紙トラブルが発生しないといえる。
坪量は、実施例1、2、比較例とも、ほぼ同一の範囲にあり、比較しうる範囲である。
厚み、緊度については、実施例1のように、中層にろ水度が低い通常のパルプを使用することで緊度が上昇することが分かる。また、実施例2のように、中層に更にろ水度の低い通常のパルプを使用することで緊度が更に上昇することが分かる。
比破裂度、比耐折度、比引裂度については、中層にろ水度が低い通常のパルプを使用することで強度が上昇し(実施例1)、ろ水度を更に低めることによって更に強度が上昇する(実施例2)ことが分かる。
層間強度については、比較例と実施例1を比較すると、実施例1の方が値が低下しているが、これは層構造が1層か多層の違いによるものであり、抄き合わせの弱点が現れているといえる。実施例1と実施例2を比較すると、実施例2の方が値が上昇しているが、これは中層のパルプのろ水度を更に下げることにより紙力強度向上が効いて、層間強度も向上したと推定され、実施例2のものでは、1層構造の紙と同等の値を示していることが分かる。
透気度については、比較例の印刷用紙に比べ、中層にろ水度が低い通常のパルプを使用した実施例1の印刷用紙の方が高く、更に実施例2のように中層に更にろ水度の低いパルプを添加することにより更に透気度が高くなっていることが分かる。
平滑度については、実施例1、2、比較例とも全てほぼ同一であり、表面の凹凸状態は全て同じ状態にあるといえる。
以上から、実施例1、2の印刷用紙は、和紙の触感は損なわれていない上に、透気度が高く、枚葉オフセット印刷機のような吸引により自動給紙される印刷機にかけても、給紙トラブルが発生しないといえる。
本発明の印刷用紙は、見た目の美しさは勿論、手触りの良さや暖か味があり、高級感がある和紙の風合いを有しながら透気度が高く、枚葉オフセット印刷機のような吸引により自動給紙される印刷機にかけても、給紙トラブルが発生しない。また、本発明の印刷用紙は、従来の手抄き和紙とは違い、大量生産が可能な機械抄きで製造することができる和紙の風合いを有した印刷用紙であり、しかも多層構造で適度のこしがあるため、印刷用紙として好適に用いることができる。
本発明の印刷用紙を、本の背表紙に用いれば手触りがよく高級感がある本にすることができる。また、贈答用の箱の外装材として用いることができ、更に、封筒や和菓子の包装袋などにも用いることができる。勿論、障子紙や壁紙にも用いることができる。
P 印刷用紙
1 表層
2 裏層
3 中層
1 表層
2 裏層
3 中層
Claims (3)
- 少なくとも3層構造の印刷用紙であって、表、裏の最外層がJIS P8121に規定されるカナダ標準ろ水度が600ml以上の製紙原料からなり、それら表、裏層の間に前記ろ水度が450ml以下の製紙原料からなる中層を少なくとも1層有し、かつ、JIS P8117に規定される透気度が10秒以上であることを特徴とする印刷用紙。
- 中層は、ろ水度が280ml〜400mlの製紙原料により形成した請求項1に記載の印刷用紙。
- 表、裏層の緊度が0.35〜0.45であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷用紙。
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JP2006017112A JP2007197863A (ja) | 2006-01-26 | 2006-01-26 | 印刷用紙 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016023383A (ja) * | 2014-07-22 | 2016-02-08 | 北越紀州製紙株式会社 | 記録用紙 |
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2006
- 2006-01-26 JP JP2006017112A patent/JP2007197863A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016023383A (ja) * | 2014-07-22 | 2016-02-08 | 北越紀州製紙株式会社 | 記録用紙 |
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