JP2007197721A - フルオロポリマー水性分散液 - Google Patents

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Abstract

【課題】粘度上昇と起泡性とを抑え且つ機械的安定性に優れたフルオロポリマー水性分散液を提供する。
【解決手段】特定ノニオン界面活性剤の存在下に水性媒体中にフルオロポリマーからなる粒子が分散しているフルオロポリマー水性分散液であって、前記特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物が有する炭化水素基は、連続して隣接する炭素数が1〜5である炭化水素基のみであり、前記特定ノニオン界面活性剤を構成する各化合物における単位−CO−及び/又は−OC−の含有量(質量%)についての分布がマルチモーダルであることを特徴とするフルオロポリマー水性分散液。
【選択図】なし

Description

本発明は、フルオロポリマー水性分散液に関する。
フルオロポリマー水性分散液は、コーティング、含浸等の方法で、化学的安定性、非粘着性、耐候性等に優れた特性を示すフィルム、被膜等を形成することができるので、調理器具、配管のライニング、ガラスクロス含浸膜等の用途に広く使われている。
フルオロポリマー水性分散液は、一般に、含フッ素界面活性剤の存在下での重合により得られるが、含フッ素界面活性剤の含有量は、フィルム等の特性の点で、低いことが好ましい。
フルオロポリマー水性分散液における含フッ素界面活性剤の低減方法として、例えば、相分離法、イオン交換樹脂法、膜処理法、電気泳動法等が知られている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
含フッ素界面活性剤を低減させたフルオロポリマー水性分散液には、しかしながら、粘度が高く、また貯蔵安定性及び機械的安定性が低い問題があった。
例えば、特許文献3には、安定化の為にノニオン性、アニオン性又はカチオン性界面活性化合物を添加したフッ素化重合体分散物を、限外ろ過半透過膜に通し、含フッ素ポリマーの濃縮を行う方法が提案されているが、これらの問題について言及していない。
フルオロポリマー水性分散液について、フッ素非含有ノニオン界面活性剤、含フッ素アニオン界面活性剤又はこれらの混合物を、濃縮操作の前又は後に含フッ素ポリマー固形分の10〜5000ppmに相当する量で添加することにより濃縮する方法も提案されている(例えば、特許文献5参照。)。しかしながら、この方法には、添加する界面活性剤量が少ないと、却って粘度上昇が生じる問題があることが指摘されている。
粘度上昇と安定性低下の問題を改善したフルオロポリマー水性分散液として、特定のアニオン非フッ素化界面活性剤又は含フッ素アニオン界面活性剤を含有したフルオロポリマー水性分散液が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。しかしながら、この方法に用い得るアニオン非フッ素化界面活性剤は、分子量1000以上のものに限定されている。
国際公開第2004/050719号パンフレット 特表2002−532583号公報 特開昭55−120630号公報 英国特許第642025号明細書 米国出願公開2004/171736号パンフレット 米国出願公開2004/186219号パンフレット
本発明の目的は、上記現状に鑑み、含フッ素界面活性剤濃度が低い場合であっても粘度上昇と起泡性とを抑え且つ機械的安定性に優れたフルオロポリマー水性分散液を提供することにある。
本発明は、特定ノニオン界面活性剤の存在下に水性媒体中にフルオロポリマーからなる粒子が分散しているフルオロポリマー水性分散液であって、上記特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物が有する炭化水素基は、連続して隣接する炭素数が1〜5である炭化水素基のみであり、上記特定ノニオン界面活性剤を構成する各化合物における単位−CO−及び/又は−OC−の含有量(質量%)についての分布がマルチモーダルであることを特徴とするフルオロポリマー水性分散液(以下、本フルオロポリマー水性分散液を「本発明のフルオロポリマー水性分散液(I)」と称することがある。)である。
本発明は特定ノニオン界面活性剤の存在下に水性媒体中にフルオロポリマーからなる粒子が分散しているフルオロポリマー水性分散液であって、上記特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物が有する炭化水素基は、連続して隣接する炭素数が1〜5である炭化水素基のみであり、上記特定ノニオン界面活性剤は、単位−CO−及び/又は−OC−の平均合計含有量が50〜90質量%である特定ノニオン界面活性剤Aと、単位−CO−及び/又は−OC−の平均合計含有量が10質量%以上、50質量%未満である特定ノニオン界面活性剤Bとを含むことを特徴とするフルオロポリマー水性分散液(以下、本フルオロポリマー水性分散液を「本発明のフルオロポリマー水性分散液(II)」と称することがある。)である。
以下に本発明を詳細に説明する。なお、上記フルオロポリマー水性分散液(I)と上記フルオロポリマー水性分散液(II)とを総称して、「本発明のフルオロポリマー水性分散液」ということがある
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、後述の特定ノニオン界面活性剤の存在下に水性媒体中にフルオロポリマーからなる粒子が分散しているものである。
上記フルオロポリマーは、炭素原子に結合したフッ素原子を有している重合体である。
上記フルオロポリマーとしては、特に限定されず、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕、変性PTFE、テトラフルオロエチレン〔TFE〕/ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕共重合体〔FEP〕、TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕共重合体〔PFA〕、エチレン/TFE共重合体〔ETFE〕、ポリビリニデンフルオライド〔PVDF〕、ポリクロロトリフルオロエチレン〔PCTFE〕等が挙げられる。
本明細書において、変性PTFEとは、TFEと微量単量体とを重合して得られる非溶融加工性のフルオロポリマーを意味する。上記微量単量体としては、例えば、HFP、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕等のフルオロオレフィン、炭素原子1〜5個、特に炭素原子1〜3個を有するアルキル基を持つフルオロ(アルキルビニルエーテル);フルオロジオキソール;パーフルオロアルキルエチレン;ω−ヒドロパーフルオロオレフィン等が挙げられる。
上記フルオロポリマーとしては、パーフルオロポリマーが好ましく、なかでも、PTFE及び/又は変性PTFEが好ましい。
上記フルオロポリマーは、平均一次粒子径が、通常50〜500nmであり、好ましくは100〜350nmである。
上記平均一次粒子径は、フルオロポリマー濃度を0.22質量%に調整した水性分散液の単位長さに対する550nmの投射光の透過率と、透過型電子顕微鏡写真における定方向径を測定して決定された平均一次粒子径との検量線をもとにして、上記透過率から決定したものである。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、上記フルオロポリマーが30〜80質量%であることが好ましい。
上記フルオロポリマーの含有量は、より好ましい下限が35質量%であり、より好ましい上限が75質量%である。
本明細書において、上記フルオロポリマーの含有量は、試料約1g(X)を直径5cmのアルミカップにとり、100℃、1時間で乾燥し、更に300℃、1時間乾燥した加熱残分(Z)に基づき、式:P=Z/X×100(%)にて決定したものである。
本発明のフルオロポリマー水性分散液における水性媒体は、水を含む液体であれば特に限定されず、水に加え、例えば、アルコール、エーテル、ケトン、パラフィンワックス等のフッ素非含有有機溶媒及び/又はフッ素含有有機溶媒をも含むものであってもよい。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、特定ノニオン界面活性剤を含有するものである。
上記フルオロポリマー水性分散液は、該特定ノニオン界面活性剤を1種のみ含有するものであってもよいし、2種以上を含有するものであってもよい。
本発明において、上記特定ノニオン界面活性剤とは、後述の親水基と疎水基とを有し且つ乳化作用を示す化合物から構成されるものを意味する。
本発明において、上記特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物が有する炭化水素基は、連続して隣接する炭素数が1〜5である炭化水素基のみである。
上記化合物における炭化水素基としては、連続して隣接する炭素数が2〜4である炭化水素基のみであることが好ましい。
上記特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物は、親水基として、好ましくは単位−CO−及び/又は−OC−を含むものである。
本明細書において、上記「−CO−及び/又は−OC−」は、「−CO−」又は「EO」と略記する。
同様に、特に異なる記載をしない限り、後述の「−RO−及び/又は−OR−」は、「−RO−」と略記と略記し、「−CO−及び/又は−OC−」は、「−CO−」又は「PO」と略記する。
本発明のフルオロポリマー水性分散液において、特定ノニオン界面活性剤は、該特定ノニオン界面活性剤を構成する各化合物における単位−CO−の含有量(質量%)についての分布がマルチモーダルであるものが好ましい。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、単位−CO−の含有量分布が上記特徴を有する特定ノニオン界面活性剤を含有する場合、起泡や粘度上昇が生じ難いだけでなく、フルオロポリマーからなる粒子の分散安定性が良い。
上記フルオロポリマー水性分散液は、単位−CO−の平均合計含有量(質量%)が異なる特定ノニオン界面活性剤(i)と特定ノニオン界面活性剤(ii)とを少なくとも含有する。
本明細書において、上記「特定ノニオン界面活性剤(i)」と「特定ノニオン界面活性剤(ii)」とは、単位−CO−の平均合計含有量が互いに異なる特定ノニオン界面活性剤であれば、特に他の性質について限定されないものである。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、特定ノニオン界面活性剤として、単位−CO−の平均合計含有量が50質量%以上、90質量%以下であるもの(以下、単位−CO−の平均合計含有量が本範囲内にあるものを「特定ノニオン界面活性剤A」という。)を含有することが好ましい。上記特定ノニオン界面活性剤Aは、該フルオロポリマー水性分散液の起泡や粘度上昇を抑制する作用を示すことができる。
上記特定ノニオン界面活性剤Aにおける単位−CO−の平均含有量は、起泡抑制や粘度上昇抑制の点で、より好ましい下限が55質量%、更に好ましい下限が60質量%であり、より好ましい上限が85質量%である。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、特定ノニオン界面活性剤として、また、単位−CO−の平均合計含有量が10質量%以上、50質量%未満であるもの(以下、単位−CO−の平均合計含有量が本範囲内にあるものを「特定ノニオン界面活性剤B」という。)を含有することが好ましい。上記特定ノニオン界面活性剤Bは、該フルオロポリマー水性分散液におけるフルオロポリマーからなる粒子の分散を安定にする作用を示すことができる。
上記特定ノニオン界面活性剤Bにおいて、単位−CO−の平均含有量は、上記分散安定性の点で、より好ましい下限が15質量%、更に好ましい下限が20質量%であり、より好ましい上限が45質量%である。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、上記特定ノニオン界面活性剤として、特定ノニオン界面活性剤Aと上記特定ノニオン界面活性剤Bとを含有しているものが好ましい。
上記フルオロポリマー水性分散液は、特定ノニオン界面活性剤Aと上記特定ノニオン界面活性剤Bとの両方を含有しているので、該フルオロポリマー水性分散液の起泡や粘度上昇を抑制するだけでなく、フルオロポリマーの分散を安定にすることができたものである。また、機械的安定性や含浸性にも優れた水性分散液を得ることができる。
上記特定ノニオン界面活性剤は、上記特定ノニオン界面活性剤A及び上記特定ノニオン界面活性剤Bをそれぞれ1種のみ含有するものであってもよいし、上記各化合物の何れか又は両方を2種以上含有するものであってもよい。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、上記特定界面活性剤として上記特定ノニオン界面活性剤Aと上記特定ノニオン界面活性剤Bとからなるものを含有している場合、該特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物における単位−CO−の含有量(質量%)についての分布が少なくともマルチモーダルであるものである。
上記特定ノニオン界面活性剤として、上記特定ノニオン界面活性剤Aと上記特定ノニオン界面活性剤Bとを含有する本発明のフルオロポリマー水性分散液(II)は、起泡や粘度上昇が生じ難く、フルオロポリマーの分散安定性が良い。
本発明のフルオロポリマー水性分散液における特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物は、単位−CO−を含む単位に加え、例えば水酸基等、他の種類の親水基を含む単位を1種又は2種以上有するものであってもよい。
上記特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物は、疎水基として−RO−の繰返しを含むものが好ましい。
上記Rは、炭素数3〜5の炭化水素基を表す。
上記−RO−の繰返しにおいて、各Rは、直鎖であってもよいし分岐鎖であってもよく、また、相互に同一であってもよいし異なるものであってもよい。
上記Rとしては、例えば、炭素数3〜5のアルキレン基等が挙げられるが、中でも、−C−、−C−が好ましく、−C−がより好ましい。
上記−RO−の繰返しは、−RO−の繰返し数が5〜85であることが好ましく、10〜70であることがより好ましく、15〜60であることが更に好ましい。
上記化合物は、上記−RO−の繰返し部分を1つ有するものであってもよいし、2つ以上有するものであってもよい。
上記−RO−の合計質量は、該特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物1モルあたり300〜7000gであることが好ましい。
上記−RO−の合計質量は、上記−RO−の繰り返し部分を含む合計質量であるが、上記化合物1モルあたり、好ましい下限が500g、より好ましい下限が750gであ、好ましい上限が6000g、より好ましい上限が5000gである。
本発明における特定ノニオン界面活性剤は、なかでも、上記−RO−が−CO−であり、該−CO−の合計質量が上記化合物1モルあたり300〜7000gであることが好ましい。
本明細書において、特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物1モルあたりの上記−CO−の合計質量(g)を、便宜上「PO分子量」ということがある。
上記特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物としては、例えば、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等が挙げられる。
上記エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロック共重合体であることが好ましい。
上記ブロック共重合体としては、下記一般式(1)又は(2)で表されるものが挙げられる。
上記ブロック共重合体としては、下記一般式(1)又は(2)で表されるものが挙げられる。
O−(EO)n1−(PO)n2−(EO)n3−R (1)
O−(PO)n4−(EO)n5−(PO)n6−R (2)
(上記各式において、R及びRは、同一若しくは異なって、H又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。n1及びn3は、同一又は異なって、n1とn3の数の和は、1〜200の整数を表し、n2は、5〜85の整数を表す。n4及びn6は、同一又は異なって、n4とn6の和は10〜70の整数を表し、n5は2〜200の整数を表す。上記R及びRとしてのアルキル基は、水素原子の一部がフッ素等の他の元素に置換されていてもよい。)
上記R及びRは、それぞれ、H又は炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、H又は炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましい。
上記各式中、各POにおける−C−は、上述したように、直鎖であってもよいし、分岐鎖であってもよい。
上記式(1)において、n1とn3の数の和は2〜180の整数であることが好ましく、n2は10〜70の整数であることが好ましく、15〜60の整数であることがより好ましい。
上記式(2)において、n4とn6の数の和は15〜60の整数であることが好ましく、n5は2〜150の整数であることが好ましい。
上記特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物は、平均分子量が15000未満であるものが好ましい。
上記平均分子量は、より好ましい上限が12000以下で、更に好ましい上限が10000以下であり、上記範囲内であれば500以上、好ましくは1000以上、より好ましくは1500以上であってもよい。
上記特定ノニオン界面活性剤は、一般に、曇点が10〜95℃であるものである。
上記曇点の下限は、15℃であることが好ましく、20℃であることがより好ましい。
本明細書において、上記曇点は、ISO1065(Method A)に従い、測定希釈試料15mlを試験管に入れ、完全に不透明になるまで加熱させた後に、攪拌しながら徐々に冷却させた際に液全体が透明となる温度として測定した値である。
上記特定ノニオン界面活性剤は、HLBが1〜20であることが好ましく、5〜19であることがより好ましい。
上記HLBは、Griffinの式から求めた値である。
上記特定ノニオン界面活性剤は、10質量%の水溶液にしたときの電気伝導度が、好ましくは2000mS/cm以下、より好ましくは1000mS/cm以下、更に好ましくは500mS/cm以下である。
本明細書において、上記電気伝導度は、25℃において導電率計(Orion社)にて測定した値である。
本発明のフルオロポリマー水性分散液において、特定ノニオン界面活性剤はフルオロポリマー100質量部に対し0.1〜15質量部に相当する量であることが好ましい。
上記特定ノニオン界面活性剤の量は、フルオロポリマー100質量部あたり、より好ましい下限が0.2質量部、より好ましい上限が10質量部である。
上記フルオロポリマー水性分散液が2種以上の特定ノニオン界面活性剤を含む場合、上記特定ノニオン界面活性剤の量は、各特定ノニオン界面活性剤の合計量を表す。
上記特定ノニオン界面活性剤は、例えば、上述の特定ノニオン界面活性剤Aと、上述の特定ノニオン界面活性剤Bとを適宜混合することより調製することができる。
上記混合は、フルオロポリマー水性分散液の調製前に予め行ってもよいし、フルオロポリマー水性分散液の調製時にフルオロポリマー分散液に特定ノニオン界面活性剤Aと特定ノニオン界面活性剤Bとを同時又は逐次添加することにより行うものであってもよい。
本発明のフルオロポリマー水性分散液(I)における特定界面活性剤が示す上述の分布は、上述の特定ノニオン界面活性剤Aと、上述の特定ノニオン界面活性剤Bとを適宜混合することにより調整することができる。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、界面活性剤として上述の特定ノニオン界面活性剤に加え、他の種類の界面活性剤を含むものであってもよい。
上記界面活性剤としては特に限定されず、例えば、従来公知のノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤等が挙げられる。
上記従来公知のノニオン界面活性剤としては、公知のものを使用でき、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル等のエーテル型ノニオン界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のエステル型ノニオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等のアミン系ノニオン界面活性剤;等が挙げられる。
上記従来公知のノニオン界面活性剤は、芳香族系化合物、直鎖化合物及び分岐鎖を有する化合物の何れであってもよいが、アルキルフェノールを構造中に有しない直鎖化合物又は分岐鎖を有する化合物であることが好ましい。
上記フルオロポリマー水性分散液は、フルオロポリマー100質量部に対し、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下のノニオン界面活性剤を含有することができる。
本明細書において、上記ノニオン界面活性剤の含有量は、上述の特定ノニオン界面活性剤を含むノニオン界面活性剤の合計量である。
上記ノニオン界面活性剤の含有量(N)は、試料約1g(Xg)を直径5cmのアルミカップにとり、100℃にて1時間で加熱した加熱残分(Yg)、更に、得られた加熱残分(Yg)を300℃にて1時間加熱した加熱残分(Zg)より、式:N=[(Y−Z)/X]×100(%)から算出したものである。
上記アニオン界面活性剤としては、含フッ素界面活性剤からなるものが好ましい。
上記含フッ素界面活性剤としては、含フッ素化合物からなり乳化作用を示すものであれば特に限定されないが、構成する含フッ素化合物としては、平均分子量が1000以下であるものが好ましく、除去容易である点で、平均分子量が500以下であるものがより好ましく、また、炭素数が6〜12であるものが好ましい。
上記含フッ素界面活性剤としては、含フッ素カルボン酸化合物、含フッ素スルホン酸化合物等の含フッ素アニオン化合物からなるもの(以下、「含フッ素アニオン界面活性剤」ということがある。)が好ましく、含フッ素カルボン酸化合物又はその塩からなるものがより好ましい。
上記含フッ素アニオン化合物としては、例えば、パーフルオロオクタン酸及びその塩(以下、「パーフルオロオクタン酸及びその塩」をまとめて「PFOA」と略記することがある。)、パーフルオロオクチルスルホン酸及びその塩(以下、「パーフルオロオクチルスルホン酸及びその塩」をまとめて「PFOS」と略記することがある。)等挙げられる。
上記含フッ素アニオン化合物が塩である場合、該塩を形成する対イオンとしては、アルカリ金属イオン又はNH 等が挙げられ、アルカリ金属イオンとしては、例えば、Na、Ka等が挙げられる。上記対イオンとしては、NH が好ましい。上記PFOA及びPFOSは、塩である場合、特に限定されないが、アンモニウム塩等が挙げられる。
上記含フッ素界面活性剤は、上述のフルオロポリマーを水性媒体中にて重合する際に乳化剤(重合乳化剤)として添加したものであってよい。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、含フッ素アニオン界面活性剤濃度が、一般にフルオロポリマーの固形分の500ppmに相当する量以下、好ましくは200ppm相当する量以下、より好ましくは上記固形分の100ppm相当する量以下であり、特にPFOAを含有する場合、好ましくはフルオロポリマーの固形分の75ppm相当する量以下、より好ましくは上記固形分の50ppm相当する量以下、更に好ましくは上記固形分の25ppm相当する量以下である。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、含フッ素アニオン界面活性剤濃度が上記範囲内のように低い場合であっても、実用上充分に高いフルオロポリマー濃度を有するフルオロポリマー水性分散液を得ることができる点で優れている。
本明細書において、上記含フッ素アニオン界面活性剤の含有量は、これら水性分散液と等量のメタノールを添加してソックスレー抽出を行ったのち、後述の条件にて、高速液体クロマトグラフィー〔HPLC〕を行うことにより測定したものである。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、例えば、(1)フルオロポリマーの重合を行ったのち、濃縮し、(2)上記工程(1)から得られたフルオロポリマー分散液に特定ノニオン界面活性剤を添加することにより調製することができる。
上記工程(1)は、懸濁重合、乳化重合等、従来公知の方法にて行うことができる。
上記各重合において、使用するフッ素含有単量体、フッ素非含有単量体、及び、重合開始剤、連鎖移動剤等の添加剤は、適宜公知のものであればよく、また必要に応じ、上述の含フッ素界面活性剤を使用することができる。
上記各重合は、重合効率の点で、含フッ素界面活性剤を上記水性媒体の0.0001〜10質量%に相当する量存在させて行うことが好ましい。上記含フッ素界面活性剤の量は、上記水性媒体の0.001質量%に相当する量以上であることが好ましく、1質量%に相当する量以上であることがより好ましい。
上記工程(2)は、得られるフルオロポリマー水性分散液が、特定ノニオン界面活性剤を上述の範囲内の量含有するよう行えばよい。
上記工程(2)において、フルオロポリマーは、系全体の30〜80質量%であることが好ましい。
上記フルオロポリマーの含有量は、より好ましい下限が35質量%であり、より好ましい上限が75質量%である。
上記フルオロポリマーの含有量は、希釈、後述の含フッ素界面活性剤削減工程等を行うことにより適宜調整することができる。
上記特定ノニオン界面活性剤は、水に対する溶解度が低い場合、有機溶剤に溶解させて上記フルオロポリマー水性分散液Aに添加することもできる。
上記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル;等が挙げられる。
特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物について、その分子量が高い場合及び/又は上述の−RO−の合計質量(g)が高い場合、上記特定ノニオン界面活性剤の疎水性が一般に高くなり、水に対する溶解度が低くなる傾向がある。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、上記工程(1)及び工程(2)に加え、更に(3)含フッ素界面活性剤削減工程を経て得られるものであってもよい。
上記工程(3)は、上記工程(2)の前に行ってもよいし、上記工程(2)の後に行ってもよく、また、上記工程(2)及び工程(3)を行ったのち更に工程(2)を行ってもよい。
上記工程(3)は、添加する特定ノニオン界面活性剤の損失を少なくする点で、上記工程(2)の前に行うことが好ましい。
上記(3)含フッ素界面活性剤削減工程は、特に限定されないが、相分離法、イオン交換樹脂法、膜処理法、電気泳動法及び蒸発法から選択される少なくとも1つの操作からなるものであることが好ましく、相分離法、イオン交換樹脂法及び膜処理法から選択される少なくとも1つの操作からなるものであることがより好ましい。
上記(3)含フッ素界面活性剤削減工程は、1回の操作のみからなるものであってもよいし、2回以上の操作からなるものであってもよい。
上記(3)含フッ素界面活性剤削減工程における操作としては、例えば、国際公開第2004/050719号パンフレット記載の相分離法、特表2002−532583号公報記載のイオン交換樹脂法、特開昭55−120630号公報記載の膜処理法、英国特許第642025号明細書記載の電気泳動法、特表2003−531232号公報記載の蒸発法等が挙げられる。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、上記工程(1)、工程(2)及び必要に応じて工程(3)に加え、(4)アニオン界面活性剤(P)及び/又は水溶性高分子(Q)を添加して粘度を調整する工程や(5)上述のノニオン界面活性剤を添加する工程をも経て得られるものであってもよい。
上記フルオロポリマー水性分散液の調製において、上記工程(4)及び工程(5)は、それぞれ、上記工程(1)の後であれば何れの段階に行ってもよく、上記工程(2)と同時に行うこともできるが、添加する特定ノニオン界面活性剤の損失を少なくする点で、上記工程(3)の後に行うことが好ましい。
上記アニオン界面活性剤(P)は、一般に、(a)スルホコハク酸アルキルエステル若しくはその塩、又は、スルホコハク酸フルオロアルキルエステル若しくはその塩、(b)分子量が1000未満であり上記工程(1)において使用したものとは異なる含フッ素アニオン界面活性剤、(c)酸基を有しpKaが4未満であるフッ素非含有アニオン界面活性剤、及び、(d)上記工程(1)において使用した含フッ素アニオン界面活性剤よりなる群から選択されるものである。
上記(a)スルホコハク酸アルキルエステル若しくはその塩、又は、スルホコハク酸フルオロアルキルエステル若しくはその塩は、モノエステルであってもよいが、ジエステルであることが好ましい。
上記(b)の含フッ素アニオン界面活性剤は、特に限定されないが、炭素数4〜7であることが好ましく、炭素数5〜7であることがより好ましい。
上記(b)の含フッ素アニオン界面活性剤としては、フルオロアルキルカルボン酸又はその塩、フルオロアルキルスルホン酸又はその塩等が好ましく、パーフルオロカルボン酸又はその塩、パーフルオロアルキルスルホン酸又はその塩等がより好ましい。
上記(c)としては、炭化水素を主鎖として有するアニオン炭化水素界面活性剤が好ましい。
上記炭化水素としては、例えば、炭素数6〜40、好ましくは炭素数8〜20の飽和又は不飽和の脂肪族鎖を有するものが挙げられる。上記飽和又は不飽和の脂肪族鎖は、直鎖又は分岐鎖の何れであってもよく、環状構造を有するものであってもよい。上記炭化水素は、芳香族性であってもよいし、芳香族基を有するものであってもよい。上記炭化水素は、酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を有するものであってもよい。
上記(c)としては、アルキルスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルアリールサルフェート及びそれらの塩;脂肪族(カルボン)酸及びその塩;リン酸アルキルエステル、リン酸アルキルアリールエステル又はそれらの塩;等が挙げられるが、中でも、スルホン酸及びカルボン酸並びにそれらの塩よりなる群から選択されるものが好ましく、脂肪族カルボン酸又はその塩が好ましい。
上記アニオン界面活性剤(P)は、塩である場合、一部又は全部が電離しているものをも含み得るものである。
上記塩としては、上述の含フッ素界面活性剤において例示したものと同様のものが挙げられる。
上記アニオン界面活性剤(P)は、合計で、一般にフルオロポリマーの質量の5〜5000ppmに相当する量、好ましくは5〜2500ppmに相当する量、より好ましくは5〜1000ppmに相当する量を添加することができ、添加量低減の点で、一般にフルオロポリマーの質量の5〜500ppmに相当する量、好ましくはフルオロポリマーの質量の200ppmに相当する量以下を添加するものであってもよい。また、上記添加量は、上記範囲内であれば、機械的強度向上等の点で、好ましくはフルオロポリマーの質量の10ppmに相当する量以上であってもよい。
上記水溶性高分子(Q)は、水への溶解度が0.1mg/100ml以上であり、分子量が10000以上、2000万以下である化合物である。
上記水への溶解度は、1mg/100ml以上であることが好ましい。
上記水溶性高分子(Q)は、分子量が500万以下であることが好ましく、上記範囲内であれば200万以下であることがより好ましい。
上記水溶性高分子(Q)としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール及びポリエチレンオキサイドよりなる群から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
本発明において、上記水溶性高分子(Q)はフルオロポリマー100質量部に対して0.00001〜5質量部の量を添加することが好ましい。上記水溶性高分子(Q)の添加量は、フルオロポリマー100質量部に対し、より好ましい下限が0.0001質量部、より好ましい上限が2.1質量部である。
上記工程(5)は、特定ノニオン界面活性剤に起因する効果に影響しないよう、上述の好ましい範囲内でノニオン界面活性剤を添加するものであればよい。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、含フッ素界面活性剤の含有量が極めて低いので、フィルム、塗膜等に加工しても着色が生じない。更に、上記フルオロポリマー水性分散液は、上述の特定ノニオン界面活性剤を含有するものであるので、フルオロポリマー濃度が高いにもかかわらず粘度が低く、機械的安定性、温度安定性、貯蔵安定性、塗工性、含浸性等にも優れており、クラック限界膜厚みが高く、起泡が生じにくい。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、そのまま又は各種添加剤を加えて、コーティング、キャストフィルム、含浸体等に加工することができる。
上記フルオロポリマー水性分散液は、例えば、オーブン内張り、製氷トレー等の調理器具、電線、パイプ、船底、高周波プリント基板、搬送用ベルト、アイロン底板における被覆材;繊維基材、織布・不織布等が挙げられる。上記繊維基材としては特に限定されず、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維(ケブラー(登録商標)繊維等)を被含浸体とする含浸物;等に加工することができる。
上記フルオロポリマー水性分散液の加工は、従来公知の方法にて行うことができる。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、上述の構成よりなるものであるので、含フッ素界面活性剤の含有量が極めて低くフルオロポリマーが高濃度であっても、適度な粘度を有し且つ機械的安定性、起泡防止性、及び消泡性に優れたフルオロポリマー水性分散液を調製することができる。
本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例により限定されるものではない。
本実施例及び比較例において、特に説明しない限り、「部」は「質量部」を表す。
各実施例で行った測定は、以下の方法により行った。
(1)平均粒子径
樹脂固形分濃度を0.22質量%に調整したフルオロポリマー水性分散液の単位長さに対する550nmの投射光の透過率と、透過型電子顕微鏡写真における定方向径を測定して決定された平均粒径との検量線をもとにして、上記透過率から決定した。
(2)フルオロポリマー濃度(P)
試料約1g(X)を直径5cmのアルミカップにとり、100℃、1時間で乾燥し、更に300℃、1時間乾燥した加熱残分(Z)に基づき、式:P=Z/X×100(%)にて決定した。
(3)含フッ素界面活性剤濃度
得られた水性分散液に等量のメタノールを添加してソックスレー抽出を行ったのち、高速液体クロマトグラフィー〔HPLC〕を以下の条件にて行うことにより求めた。なお、含フッ素界面活性剤濃度算出にあたり、既知の濃度の含フッ素界面活性剤濃度について上記溶出液及び条件にてHPLC測定して得られた検量線を用いた。
(測定条件)
カラム:ODS−120T(4.6φ×250mm、トーソー社製)
展開液;アセトニトリル/0.6質量%過塩素酸水溶液=1/1(vol/vol%)
サンプル量;20μL
流速;1.0ml/分
検出波長;UV210nm
カラム温度;40℃
(4)ノニオン界面活性剤の含有量(N)
試料約1g(Xg)を直径5cmのアルミカップにとり、100℃にて1時間で加熱した加熱残分(Yg)、更に、得られた加熱残分(Yg)を300℃にて1時間加熱した加熱残分(Zg)より、式:N=[(Y−Z)/X]×100(%)から算出した。
このうち、特定ノニオン界面活性剤は調製時に添加した量に基づき算出した。
(5)粘度
B型回転粘度計(東京計器社製)を用い、JIS K 6893に準拠して、25℃又は35℃における粘度を測定した。なお、測定評価は下記基準に基づくものである。
◎;25℃、35℃の両方における粘度が40mPa・s未満
○;25℃、35℃の両方における粘度が40〜50mPa・s未満
△;25℃、35℃の両方における粘度が50〜70mPa・s未満
×;25℃、35℃の両方における粘度が70mPa・s以上
(6)機械的安定性
35℃に保持した100mlのフルオロポリマー水性分散液を、内径8mm、外径11mmの塩化ビニルチューブを備えたダイヤフラムポンプで1500ml/分の条件で20分循環後、200メッシュSUS網を用いてろ過した際のメッシュアップ量を、用いたフルオロポリマー水性分散液に含まれるフルオロポリマー量に占める割合(質量%)として測定した。なお、測定評価は下記基準に基づくものである。
◎;1質量%
○;2質量%
△;3質量%
(7)起泡抑制性
JIS K3362に準拠してロスマイルス法を行い評価した。
◎;泡の高さ150mm未満
○;泡の高さ150mm以上〜180mm未満
×;泡の高さ180mm以上
(8)貯蔵安定性
フルオロポリマー水性分散液500mlをポリ容器に入れ、25℃で3ヶ月又は40℃の恒温室で1ヶ月間静置した。静置後、緩く攪拌した後にステンレス製400メッシュでろ過を行い、メッシュ上に残った凝集分を300℃で1時間乾燥し、該凝集分の樹脂固形分に対する割合を(元のフルオロポリマー水性分散液中のフルオロポリマーを基準とし)100分率で表した。貯蔵安定性の悪いものは、多量の凝集分が発生する。
◎;〜2%
○;2〜5%
△;5〜10%
×;10%〜
製造例1
PTFE分散液1(平均粒子径240nm、PTFE濃度:32%、PFOA量:PTFEの1500ppm)にノニオン界面活性剤(C1327−(OE)−OH、製品名TDS80、第一工業製薬社製)と水とを加え、アンモニア水でpHを9.5となるように調整し、フルオロポリマー濃度〔PC〕を25%、ノニオン界面活性剤濃度〔NC〕をPTFE100質量部に対し25質量部とした分散液を、80℃にて3時間保持し、上清相1と濃縮相1とに分離した。
上記濃縮相1は、PCが39%、NCがPTFE100質量部に対し2.4質量部、PFOAがPTFEの180ppmの量であった。
更に濃縮相1にTDS80と水とを加え、PC25%、NCがPTFE100質量部に対し15質量部となるように調整した後、60℃にて5時間保持し、PC68%、NCがPTFE100質量部に対し3.5質量部、PFOAがPTFEの25ppmの量である濃縮相2(PTFE分散液2)を回収した。
実施例1
製造例1で得られたPTFE分散液2に、特定ノニオン界面活性剤A(製品名Pluronic PE6800、BASF社製。EO割合80%、Mn8000)をPTFE100質量部に対し1.5質量部、特定ノニオン界面活性剤B(製品名Pluronic PE6400、BASF社製。EO割合40%、Mn2900)をPTFE100質量部に対し1.0質量部、及び、水を加えて、PCが60%であるPTFE水性分散液を調製し、粘度、機械的安定性、起泡抑制性及び貯蔵安定性を評価した。
実施例2〜4
製造例1で得られたPTFE分散液2に、更に表1に示す水溶性高分子及び/又はアニオン界面活性剤を加える以外は実施例1と同様にしてPTFE水性分散液を調製し、粘度、機械的安定性、起泡抑制性及び貯蔵安定性を評価した。
比較例1
製造例1で得られたPTFE分散液2に、特定ノニオン界面活性剤B(製品名Pluronic PE6400、BASF社製)をPTFE100質量部に対し1質量部、ノニオン界面活性剤(製品名TDS80、第一工業製薬社製)をPTFE100質量部に対し6質量部となるよう加え、更に水を加えて、PCが60%であるPTFE水性分散液を調製し、粘度、機械的安定性、起泡抑制性及び貯蔵安定性を評価した。
比較例2
更にアニオン界面活性剤としてラウリルベンゼンスルホン酸ナトリム(CH(CH11SONa)をPTFEの2000ppmの量となるよう加える以外は、比較例1と同様にしてPTFE水性分散液を調製し、粘度、機械的安定性、起泡抑制性及び貯蔵安定性を評価した。
実施例1〜4及び比較例1〜2の各結果を表1に示す。本表において、PVPはポリビニルピロロドンでピッツコール(製品名。第一工業製薬社製)を、PEG20000はポリエチレングリコールを、OTPはC17OCOCH(SONa)CHCOOC17を、SDBSはラウリルベンゼンスルホン酸ナトリムを表す。また、ノニオン界面活性剤及び水溶性高分子の各含有量は、PTFE100質量部に対する量を表し、アニオン界面活性剤の量はPTFE量に対する割合(ppm)を表す。
Figure 2007197721
各結果より、実施例1〜4から得られる各PTFE水性分散液は、全ての特性に優れる一方、特定ノニオン界面活性剤Bのみ含有した比較例1〜2の各PTFE水性分散液は、温度上昇に伴う増粘を抑制することができるものの、機械安定性及び貯蔵安定性に劣ることが分かった。
製造例2
PTFE分散液3(平均粒子径230nm、PTFE31%、PFOA含有量;PTFEの1800ppm)に、ノニオン界面活性剤(製品名;TDS80、第一工業製薬社製)をPTFE100質量部に対し5質量部加え、更に水を加えて、PC27%に調整したのち、陰イオン交換樹脂(製品名:アンバーライトIRA402、ローム・アンド・ハース社製)25mlを充填し50℃で保温したカラム(直径20mm)に空間速度(SV)4で流通した。得られた分散液は、PC27%、NCがPTFE100質量部に対し5質量部、PFOA含有量がPTFEの20ppmの量であった。
上記分散液に、上記ノニオン界面活性剤をPTFE100質量部に対し10質量部の量加え、更に水を加えて、PC25%に調整した後、70℃にて3時間加熱して、上清相と濃縮相とに分離した。
上記濃縮相(PTFE分散液4)は、PCが64%、NCがPTFE100質量部に対し3質量部、PFOA含有量が検出限界以下であった。
実施例5
製造例2から得られたPTFE分散液4に、ノニオン界面活性剤(製品名TDS80、第一工業製薬社製)をPTFE100質量部に対し1質量部、特定ノニオン界面活性剤A(製品名Pluronic PE6800、BASF社製)をPTFE100質量部に対し1.5質量部、特定ノニオン界面活性剤B(製品名Pluronic PE6400、BASF社製)をPTFE100質量部に対し1.0質量部となるよう加え、更に表2記載の水溶性高分子及びアニオン界面活性剤を加えて、PCが60%であるPTFE水性分散液を調製し、粘度、機械的安定性、起泡抑制性及び貯蔵安定性を評価した。
比較例3
製造例2から得られたPTFE分散液4に、ノニオン界面活性剤(製品名TDS80、第一工業製薬社製)をPTFE100質量部に対し6質量部、特定ノニオン界面活性剤B(製品名Pluronic PE6400、BASF社製)をPTFE100質量部に対し1.0質量部となるよう加え、更に表2記載のアニオン界面活性剤と水とを加えて、PCが60%であるPTFE水性分散液を調製し、粘度、機械的安定性、起泡抑制性及び貯蔵安定性を評価した。
比較例4
製造例2から得られたPTFE分散液4に、ノニオン界面活性剤(製品名TDS80、第一工業製薬社製)をPTFE100質量部に対し7質量部となるよう加え、更に表2記載のアニオン界面活性剤と水とを加えて、PCが60%であるPTFE水性分散液を調製し、粘度、機械的安定性、起泡抑制性及び貯蔵安定性を評価した。
実施例5及び比較例3〜4の各結果を表2に示す。本表において、PVPはポリビニルピロロドンでピッツコール(製品名。第一工業製薬社製)を、OTPはC17OCOCH(SONa)CHCOOC17を、SDBSはラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを表す。また、ノニオン界面活性剤及び水溶性高分子の各含有量は、PTFE100質量部に対する量を表し、アニオン界面活性剤の量はPTFE量に対する割合(ppm)を表す。
Figure 2007197721
各結果より、実施例5から得られるPTFE水性分散液は、温度上昇に伴う粘度上昇の抑制、機械的安定性、起泡抑制性及び貯蔵安定性の全てにおいて優れる一方、特定ノニオン界面活性剤を含有しない比較例4の各PTFE水性分散液は、機械安定性が比較的良いものの、温度上昇に伴う粘度上昇が生じ、貯蔵安定性に劣り、また起泡が生じることが分かった。更に、特定ノニオン界面活性剤Bのみ含有する比較例3は、貯蔵安定性に劣り、また起泡が生じることが分かった。
製造例3
PTFE分散液5(平均粒子径230nm、PTFE濃度:31%、PFOA量:PTFEの2000ppm)にノニオン界面活性剤(Pluronic PE6400;分子量2900、EOの割合40%、曇点60℃。BASF社製)をPTFE100質量部に対し5質量部と水とを加え、アンモニア水でpHを9.5となるように調整し、フルオロポリマー濃度〔PC〕を27%とした分散液を、陰イオン交換樹脂(製品名:アンバーライトIRA402、ローム・アンド・ハース社製)25mlを充填し50℃に保温したカラム(直径20mm)に空間速度(SV)4で流通した。
得られた分散液は、PCが27%、NCがPTFE100質量部に対し5質量部、PFOAがPTFEの30ppmの量であった。
更に分散液4に、Pluronic PE6400(PTFE100質量部に対し15質量部)と水とを加え、PC25%となるように調整した後、70℃にて5時間保持し、上清相と濃縮相とに分離した。
上記濃縮相(PTFE分散液6)は、PC63%、NCがPTFE100質量部に対し0.8質量部、PFOAが検出限界(PTFEの10ppmに相当する量)以下であった。
実施例6
製造例3で得られたPTFE分散液6に、特定ノニオン界面活性剤A(製品名Pluronic PE6800、BASF社製。EO割合80%、Mn8000)をPTFE100質量部に対し0.8質量部と、水とを加えて、PCが60%であるPTFE水性分散液を調製し、粘度、機械的安定性、起泡抑制性及び貯蔵安定性を評価した。
実施例7〜8
実施例6で得られたPTFE水性分散液に、上述のPVP(実施例7)又はPVP及びOTP(実施例7)を加えて、PTFE水性分散液を調製し、粘度、機械的安定性、起泡抑制性及び貯蔵安定性を評価した。
実施例6〜8の各結果を表3に示す。本表において、PVP及びOTPは表2と同様である。また、ノニオン界面活性剤及び水溶性高分子の各含有量は、PTFE100質量部に対する量を表し、アニオン界面活性剤の量はPTFE量に対する割合(ppm)を表す。
Figure 2007197721
各結果より、本願PTFE水性分散液は、特に、温度上昇に伴う粘度上昇の抑制と起泡抑制性とにおいて優れることが分かった。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、上述の構成よりなるものであるので、含フッ素界面活性剤の含有量が極めて低くフルオロポリマーが高濃度であっても、適度な粘度を有し且つ機械的安定性、起泡防止性、及び消泡性に優れたフルオロポリマー水性分散液を調製することができる。

Claims (13)

  1. 特定ノニオン界面活性剤の存在下に水性媒体中にフルオロポリマーからなる粒子が分散しているフルオロポリマー水性分散液であって、
    前記特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物が有する炭化水素基は、連続して隣接する炭素数が1〜5である炭化水素基のみであり、
    前記特定ノニオン界面活性剤を構成する各化合物における単位−CO−及び/又は−OC−の含有量(質量%)についての分布がマルチモーダルである
    ことを特徴とするフルオロポリマー水性分散液。
  2. 特定ノニオン界面活性剤は、単位−CO−及び/又は−OC−の平均合計含有量(質量%)が異なる特定ノニオン界面活性剤(i)と特定ノニオン界面活性剤(ii)とを少なくとも含有する請求項1記載のフルオロポリマー水性分散液。
  3. 特定ノニオン界面活性剤の存在下に水性媒体中にフルオロポリマーからなる粒子が分散しているフルオロポリマー水性分散液であって、
    前記特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物が有する炭化水素基は、連続して隣接する炭素数が1〜5である炭化水素基のみであり、
    前記特定ノニオン界面活性剤は、単位−CO−及び/又は−OC−の平均合計含有量が50〜90質量%である特定ノニオン界面活性剤Aと、単位−CO−及び/又は−OC−の平均合計含有量が10質量%以上、50質量%未満である特定ノニオン界面活性剤Bとを含む
    ことを特徴とするフルオロポリマー水性分散液。
  4. 特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物は、単位−RO−及び/又は−OR−(Rは、炭素数3〜5の炭化水素基を表す。)の繰返し(該繰返しにより複数個存在するRは、相互に同一又は異なる。)を含む請求項1〜3の何れか1項にフルオロポリマー水性分散液。
  5. 特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体である請求項1〜4の何れか1項に記載のフルオロポリマー水性分散液。
  6. エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロック共重合体である請求項5の何れか1項に記載の1項にフルオロポリマー水性分散液。
  7. 特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物は、分子量が15000未満である請求項1〜6の何れか1項に記載のフルオロポリマー水性分散液。
  8. 特定ノニオン界面活性剤は、曇点が10〜95℃である請求項1〜7の何れか1項に記載のフルオロポリマー水性分散液。
  9. 含フッ素界面活性剤削減工程を経たものである請求項1〜8の何れか1項に記載のフルオロポリマー水性分散液。
  10. 含フッ素界面活性剤削減工程は、相分離法、イオン交換樹脂法、膜処理法、電気泳動法及び蒸発法より選択される少なくとも1つである請求項9記載のフルオロポリマー水性分散液。
  11. 含フッ素界面活性剤濃度がフルオロポリマーの固形分の500ppmに相当する量以下である請求項1〜10の何れか1項に記載のフルオロポリマー水性分散液。
  12. 含フッ素界面活性剤濃度がフルオロポリマーの固形分の100ppmに相当する量以下である請求項1〜11の何れか1項に記載のフルオロポリマー水性分散液。
  13. フルオロポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン及び/又は変性ポリテトラフルオロエチレンである請求項1〜12の何れか1項に記載のフルオロポリマー水性分散液。
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