JP2007197697A - 低熱収縮・高接着性ポリイミドフィルム - Google Patents

低熱収縮・高接着性ポリイミドフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】熱に対する収縮性が改善されると同時に接着性が向上した低熱収縮・高接着性ポリイミドフィルムを提供する。
【解決手段】パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよびピロメリット酸二無水物から形成されたポリイミドフィルムに放電処理を施し、次いでこのフィルムの長さ方向の張力を一定に保ちながら加熱処理を施してなるポリイミドフィルムであって、接触角法に基づき測定した表面自由エネルギーが80mN/m以上であり、200℃1時間での加熱収縮率が0.10%以下であることを特徴とする低熱収縮・高接着性ポリイミドフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱に対する収縮性が改善されると同時に接着性が向上したポリイミドフィルムに関する。
芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを重縮合して得られるポリイミドフィルムは、耐熱性、絶縁性および機械特性に優れているため、フレキシブルプリント基板のベースフィルムとして従来から広く利用されてきた。
ポリイミドフィルムをベースフィルムに使用してフレキシブルプリント基板を作るためには、銅などの金属箔を接着剤を介してフィルムに積層するか、あるいは真空蒸着、スパッタリングなどにより金属を直接フィルムに付着させる必要があるが、これらの工程ではかなりの熱がかかるため、ポリイミドフィルムには熱に対する寸法安定性が要求される。さらに、最近の動向として、ファインピッチ化が進められており、熱による収縮がより小さなポリイミドフィルムが求められている。
このような要求に応える手段としては、ポリイミドフィルムを実質的に、無張力化、加熱オーブン中で加熱処理した後、冷却する方法(例えば、特許文献1参照)が提案されている。しかしながら、このように無張力下で熱処理する方法は、フィルムの潜在収縮応力が緩和され、その後の加熱に対する収縮が小さくなるため、有効な方法であるといえるが、無張力下で熱処理するために、フィルムを巻いたロールを加熱オーブン中に放置する方法あるいは巻出し、巻取り機を備えた連続的加熱炉中でフィルムを連続的に処理する方法がとられていることから、いずれにしても無張力下で長時間処理することになるために、得られるフィルムが波を打つ状態になり、これによって熱収縮率がばらつくという問題があった。また、特に連続処理の場合には、フィルムが蛇行して完全な製品ロールが得られないという不都合も生じていた。
さらに、フレキシブルプリント配線板のベースフィルム、ICのテープオートメイティッドボンディング用のキャリアテープフィルムなどの用途においては、通常、種々の接着剤を介してポリイミドフィルムと銅箔とが接着されて用いられている。ところがポリイミドはその化学構造および高度な耐薬品性により、接着性が不十分な場合が多いことから、フィルム表面を酸やアルカリを用いて化学的処理する方法(例えば、特許文献1参照)、およびサンドブラストのような物理的処理する方法(例えば、特許文献2参照)などを施すことにより、接着性を改善する試みが従来からなされている。
しかしながら、これらの処理は、処理後に、洗浄、乾燥などの別工程を要することから、生産性、安定性、コスト面だけでなく、環境保全の面でも問題を含んでいた。
特開昭62−41024号公報 特開2002−294965号公報 特開平9−48864号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
したがって、本発明の目的は、熱に対する収縮性が改善されると同時に接着性が向上したポリイミドフィルムを提供することにある。
上記の目的を達成するために本発明によれば、パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよびピロメリット酸二無水物から形成されたポリイミドフィルムに放電処理を施し、次いでこのフィルムの長さ方向の張力を一定に保ちながら加熱処理を施してなるポリイミドフィルムであって、接触角法に基づき測定した表面自由エネルギーが80mN/m以上であり、200℃1時間での加熱収縮率が0.10%以下であることを特徴とする低熱収縮・高接着性ポリイミドフィルムが提供される。
なお、本発明の低熱収縮・高接着性ポリイミドフィルムにおいては、
前記ポリイミドフィルムが、20〜40モル%のパラフェニレンジアミン、60〜80モル%の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、100モル%のピロメリット酸二無水物から形成された共重合ポリイミドからなること、
前記ポリイミドフィルムの弾性率が3〜5GPa、50〜200℃での線膨張係数が5〜20ppm/℃、湿度膨張係数が30ppm/%RH以下、吸水率が3%以下であること
前記放電処理がプラズマ放電処理であること、および
前記加熱処理が、フィルムの長さ方向の張力を1kg/m以上、10kg/m以下の範囲で一定に保ちながら行う処理であること
が、いずれも好ましい条件として挙げられる。
本発明によれば、以下に説明するとおり、熱に対する収縮性が改善されると同時に接着性が向上した共重合ポリイミドフィルムを得ることができる。すなわち、本発明の低熱収縮・高接着性ポリイミドフィルムは、熱に対する寸法安定性が優れるばかりか、熱による収縮が小さく、しかも銅箔との接着性が従来よりも格段に向上したものである。
以下、本発明の低熱収縮・高接着性ポリイミドフィルムについて、詳細に説明する。
まず、本発明のポリイミドフィルムを得るに際してその前駆体であるポリイミド酸について説明する。本発明に用いられるポリアミド酸は、芳香族ジアミン成分としてのパラフェニレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジフェニルエーテルと、芳香族テトラカルボン酸二無水物成分としてのピロメリット酸二無水物とを重合させることにより得られるものである。
本発明のポリイミドフィルムを製膜するまでの方法としては、あらかじめポリアミド酸を重合したのちイミド化する方法など公知のあらゆる方法を用いることができる。例えば、ポリアミド酸の製造方法としては公知のあらゆる方法を用いることができ、通常、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンを、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて、得られたポリアミド酸有機溶媒溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらのポリアミド酸溶液は通常5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得ることができる。
重合方法としてはあらゆる公知の方法を用いることができるが、特に好ましい重合方法として次のような方法が挙げられる。
すなわち、
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物と、これに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物と、これに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などの方法である。
本発明においては、上記いかなる方法を用いて得られるポリアミド酸を用いても良く、重合方法は特に限定されるものではない。本発明においては、ポリマー中の分子配列および高価なモノマーを使ってももちろん効果を得ることができる。
これら方法の中でも、安定的に工程を制御するという観点から、全工程において用いられる芳香族ジアミン成分すべてを有機溶剤に溶解し、その後実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物成分を添加して重合反応を行う方法を用いるのが好ましい。
本発明において、芳香族テトラカルボン酸二無水物成分としては、ピロメリット酸二無水物を単独で用いるが、40モル%以下であれば他の芳香族テトラカルボン酸二無水物を併用することができる。
ピロメリット酸二無水物と併用できる他の芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−カルボキシフェニル)エーテル二無水物、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、デカヒドロ−ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,6,−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物など、またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
また、芳香族ジアミン成分としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよびパラフェニレンジアミンの2種類を使用するが、40モル%以下であれば他の芳香族ジアミンをさらに併用することができる。
併用できる他の芳香族ジアミンとしては、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンチジン、4,4’−ジアミノジフェニルサルファイド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、2,6−ジアミノピリジン、ビス−(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、ビス−(4−アミノフェニル)ジフェニルシラン、3,3’−ジクロロベンチジン、ビス−(4−アミノフェニル)エチルホスフィンオキサイド、ビス−(4−アミノフェニル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(4−アミノフェニル)−N−フェニルアミン、ビス−(4−アミノフェニル)−N−メチルアミン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジメチル−3’,4−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシベンチジン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチル−フェニル)エーテル、p−ビス−(2−メチル−4−アミノ−ベンチル)ベンゼン、p−ビス−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ベンチル)ベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3−ジアミノアダマンタン、3,37−ジアミノ−1,17−ジアダマンタン、3,3’−ジアミノ−1,1’−ジアダマンタン、ビス(p−アミノ−シクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ペプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノ−ドデカン、1,2−ビス−(3−アミノ−プロポキシ)エタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシ−ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、1,4−ジアミノ−シクロヘキサン、1,12−ジアミノ−オクタデカン、2,5−ジアミノ−1,3,4−オキサジアゾール、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、N−(3−アミノフェニル)−4−アミノベンズアミド、4−アミノフェニル−3−アミノベンゾエートなどが挙げられる。
次に、本発明でポリイミドの縮重合に用いられる有機溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−ジメチルメトキシアセトアミド、N−メチル−カプロラクタム、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチレンスルホン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミドおよびプチロラクトンなどが挙げられる。これらの有機溶媒は単独または組み合わせて、あるいはベンゼン、ベンゾニトリル、ジオキサン、プチロラクトン、キシレン、トルエンおよびシクロヘキサンのごとき溶媒性の劣る溶媒との組み合わせにおいて用いることができる。
本発明においては、触媒を添加せずにポリイミドの重縮合を行うことも可能であるが、以下に挙げる触媒および脱水剤を添加することが好ましいこともある。
触媒としては、第三級アミン類の使用が望ましく、これらのアミン類の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ピリジン、イソキノリン、2−エチルピリジン、2−メチルピリジン、N−エチルモルフォリン、N−メチルモルフォリン、ジエチルシクロヘキシルアミン、N−ジメチルシクロヘキシルアミン、4−ベンゾイルピリジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、4−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−イソプロピルピリジン、N−ジメチルベンジルアミン、4−ベンジルピリジン、およびN−ジメチルドデシルアミンなどが挙げられる。
また、脱水剤としては、有機カルボン酸無水物、N,N−ジアルキルカルボジイミド類、低級脂肪酸ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪酸ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪酸無水物、アリールホスホン酸ジハロゲン化物およびチオニルハロゲン化物が挙げられる。
ここで、有機カルボン酸無水物としては、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、吉草酸無水物、これらが互いに混合された無水物および芳香族モノカルボン酸たとえば安息香酸、ナフトエ酸などの無水物との混合物、および炭酸及びギ酸並びに脂肪酸ケテン類(ケテン及びジメチルケテン)の無水物との混合物などが挙げられるが、なかでも無水酢酸およびケテン類の使用が好ましい。
安息香酸無水物のほか、他の使用し得る芳香族酸無水物としては、o−,m−またはp−トルイル酸、m−またはp−エチル安息香酸、p−プロピル安息香酸、p−イソプロピル安息香酸、アニス酸、o−、m−またはp−ニトロ安息香酸、o−、m−またはp−ハロ安息香酸、種々のジブロモまたはジクロロ安息香酸、トリブロモまたはトリクロロ安息香酸、ジメチル安息香酸の異性体たとえばヘメリチル酸、3,4−キシリル酸、イソキシリル酸またはメシチレン酸、ベラトルム酸、トリメトキシ安息香酸、αまたはβ−ナフトエ酸、ビフェニルカルボン酸などの酸無水物、上記無水物相互の混合無水物、脂肪酸モノカルボン酸たとえば酢酸、プロピオン酸などの無水物との混合物無水物、および炭酸またはギ酸各無水物との混合無水物が挙げられる。
N,N’−ジアルキルカルボジイミド類は、式:R−N=C=N−R(式中、Rは異なったアルキル基であり得るが、一般に同一である)により表され、好ましくは、R基は1乃至8個の炭素原子の低級アルキル基である。
ハロゲンを含む脱水剤としては、塩化アセチル、臭化アセチル、沃化アセチル、弗化アセチル、塩化プロピオニル、臭化プロピオニル、沃化プロピオニル、弗化プロピオニル、塩化イソブチリル、臭化イソブチリル、塩化n−ブチリル、臭化n−ブチリル、塩化バレリル、塩化モノ−、塩化ジ−または塩化トリ−クロロアセチル、臭化ブロモアセチル、クロロ酢酸無水物、フェニルホスホン酸ジクロライド、塩化チオニル、臭化チオニル、弗化チオニル、チオニルクロロフルオライドおよびトリフルオロ酢酸無水物などが挙げられる。
本発明のポリイミドフィルムの製膜法は特に限定されないが、ポリアミド酸溶液を流延またはフィルム状に押出し、乾燥、熱処理を行って、イミド化を進行させることにより、製膜するのが一般的である。
本発明のポリイミドフィルムは、20〜40モル%のパラフェニレンジアミン、60〜80モル%の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、および100モル%のピロメリット酸二無水物から形成されることが望ましい。
ただし、ジアミン成分におけるパラフェニレンジアミンと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの添加割合は、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが多くなると共重合ポリイミドフィルムが柔らかくなり、逆にパラフェニレンジアミンが多くなると共重合ポリイミドフィルムが硬くなるため、共重合ポリイミドフィルムの用途に応じて両者の添加割合を設定するのが好ましい。また、得られた共重合ポリイミドフィルムを例えばフレキシブルプリント基板に用いる際には、フィルムの特性として硬すぎず且つ柔らかすぎないことが好ましいため、かかる条件に適合する共重合ポリイミドフィルムを得るにはパラフェニレンジアミンが20〜40モル%であることが好ましい。
そして、本発明のポリイミドフィルムは、接触角法に基づき測定した表面自由エネルギーが80mN/m以上であることを特徴とする。
ここで、ポリイミドフィルムの表面自由エネルギーが80mN/m未満の場合は、接着性改良効果が不十分となるため好ましくない。表面自由エネルギーの条件が上記の範囲を満たすことにより、銅箔との接着性が優れた共重合ポリイミドフィルムを得ることができるのである。
また、本発明のポリイミドフィルムは、200℃/1時間の加熱条件における熱収縮率が0.10%以下であることが好ましく、より好ましくは、0.05%以下である。
熱収縮率が0.10%を超える場合には、熱に対する収縮性の改善効果が小さくなるため好ましくない。
上記の特性を満たす本発明の共重合ポリイミドフィルムは、上記の組成からなるポリイミドフィルムを製膜後、この共重合ポリイミドフィルムに放電処理を施し、次いでフィルムの長さ方向の張力を一定に保ちながら加熱処理することにより製造することができる。
本発明における放電処理としては、プラズマ処理が代表的である。
前記プラズマ処理を行う雰囲気の圧力は特に限定されないが、100〜1000Torrの範囲が好ましく、より好ましくは600〜900Torrの圧力範囲で選択するのがよい。前記プラズマ処理を行う雰囲気のガス組成としては、特に限定されないが酸素を含有することが好ましい。また、希ガスを少なくとも20モル%含有していてもよい。希ガスとしてはHe、Ne、Ar、Xeなどが挙げられるが、Arが好ましい。希ガスにCOおよびNなどを混合して使用してもよい。前記プラズマ処理を行うプラズマ照射時間は1秒〜10分が好ましい。
プラズマ処理のガス種類、ガス圧、処理密度は特に限定されないが、ガス圧に関しては、13300〜1330000Paの範囲の圧力下で行うことが好ましい。プラズマガスを形成するのに用いられ得るガスは、不活性ガスを50%以上含有していることが好ましい。さらには80%以上、特には90%以上が好ましい。不活性ガスの具体例としては、例えば、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノン、ネオン、ラドン、窒素等が挙げられ、これらは単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
また、不活性ガスと混合し得るガスとしては、酸素、空気、一酸化炭素、二酸化炭素、四塩化炭素、クロロホルム、水素、アンモニア、カーボンテトラフルオライド、トリクロロフルオロエタン、トリフルオロメタン等が挙げられる。
好ましい混合ガスの組み合わせは、アルゴン/酸素、アルゴン/アンモニア、アルゴン/ヘリウム/酸素、アルゴン/二酸化炭素、アルゴン/窒素/二酸化炭素、アルゴン/ヘリウム/窒素、アルゴン/ヘリウム/窒素/二酸化炭素、アルゴン/ヘリウム、アルゴン/ヘリウム/アセトン、ヘリウム/アセトン、ヘリウム/空気、アルゴン/ヘリウム/シランである。処理電力密度は、200w・min/m以上が好ましい。より好ましくは500w・min/m以上、さらに好ましくは1000w・min/mで処理するのが良い。このように、コロナ処理のガス種類、ガス圧、処理密度は特に限定されないが、一般的には大気中で行われる。
本発明における放電処理後の加熱処理については、得られたポリイミドフィルムを、フィルムの長さ方向の張力を1kg/m以上、10kg/m以下に保ちながら、比較的低い温度で、しかも比較的短時間で加熱処理することが重要な要件である。
加熱処理時の張力が小さい程低熱収縮性のフィルムが得られるが、完全無張力下では、特に連続巻取りを行うときにフィルムが蛇行し、フィルムにシワや波打ちが発生するばかりか、熱収縮率のバラツキが大きくなる傾向になるため、1kg/m以上にする必要がある。また、張力が10kg/mを越えると、本発明が目的とする加熱低収縮性のフィルムが得られなくなるため好ましくない。そして、好ましい張力の範囲は2kg/m〜7kg/mである。
加熱処理時の加熱の手段としては、遠赤外線を照射する方法または熱風を吹き付ける方法が好ましい。ポリイミドフィルムは遠赤外線領域に吸収ピークがあり、この吸収波長を含む遠赤外線を照射することにより、極めて短時間で加熱処理が行なわれる。また、遠赤外線照射や熱風吹き付けに加えて、ラジエーションヒーターを併用することもでき、さらにはラジエーションヒーターのみを用いて加熱処理を行うこともできる。
加熱処理温度は特に限定されないが、300〜500℃が好ましく、さらに好ましくは350〜450℃である。
また、加熱処理時間は1秒から10分程度が好ましい。処理時間がこれより長くなると、フィルム平面性が悪くなるなどの特性の低下を生じるため好ましくない傾向を生じる場合がある。
本発明においては、放電処理を行った後、加熱処理をすることが好ましい。この順序で処理を行うことにより、フィルムが適度な滑り性を持ち、巻き取ったときのしわなどが少なくなる。
本発明において、放電処理、加熱処理を行ったポリイミドフィルムは、端部をスリットするなどして規定の幅にしたのち巻き取られる。
かくして得られる本発明のポリイミドフィルムは、熱に対する寸法安定性が優れるばかりか、熱による収縮が小さく、しかも銅箔との接着性が従来よりも格段に向上したものであるため、これらの特性を活かして、電子部品などのフレキシブルプリント配線基板(FPC)に用いる基材であるTAB(Tape Automated Bonding)、COF(Chip On Flex)の基材絶縁フィルムとして、あるいは半導体装置における支持部材であるLOC用テープなどとして有用に利用することができる。
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例中のポリイミドフィルムの各特性は、次の方法で評価した。
(表面自由エネルギ−)
表面処理を実施したフィルム表面を水、エチレングリコール、ヨウ化メチレンで各n=5回測定した接触角の平均値から、Kyowa Interface ScienceのFACE CA-W150を用い表面自由エネルギ−を求めた。この値が大きいということは水濡れ性が良く接着力が一般に高い。
(接着性評価)
三井化学株式会社製 エポキシ樹脂接着剤(商品名エポックス AH−357A/AH−357B/AH−357C=100/5/12重量比)で混合した接着剤をコータで各フィルムに塗布し130℃×4分で予備乾燥を行い18μm圧延銅箔(BHY−22B−T、ジャパンエナジ−社製)を重ねて2MPa加圧下170℃80分のプレスキュアで銅張り積層板を得た。得られた積層板に0.8mmの回路をきり塩化第2鉄溶液でエッチングを行い評価用サンプルを作製した。得られた0.8mm幅の金属箔部分を90°の剥離角度、50mm/分の条件で剥離し、n=5回測定しその平均値を接着力とした。
(熱収縮率測定)
熱収縮率の測定は、200℃×1時間の加熱条件を用い、その他の条件については、IPC-FC-231 Number 2.2.4. に準じて行った。
<実施例1>
500ccのガラス製フラスコにN,N−ジメチルアセトアミド200mlを入れ、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを供給して溶解させ、続いてパラフェニレンジアミン及びピロメリット酸二無水物を順次供給し、室温で約1時間攪拌した。最終的にテトラカルボン酸二無水物とジアミン成分が約100モル%化学両論で4,4’−ジアミノジフェニルエーテル:70モル%、パラフェニレンジアミン:30モル%、ピロメリット酸二無水物:100モル%の組成からなるポリアミド酸濃度20重量%の溶液を調整し、ポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液に対し、無水酢酸、イソキノリン、N,N−ジメチルアセトアミドを加え攪拌した後、加熱支持体上に溶液を押出し、ポリイミドに転化させてから自己支持性のフィルムを得た。
次に、上記のフィルムを支持体から剥離し、さらにイミドへの転化反応を完結すると共に、250〜450℃の乾燥熱処理ゾーンを通過させることにより乾燥・熱処理して、厚み25μmのポリイミドフィルムとしてロール上に巻き取った。得られた、フィルムの熱収縮はMD:0.13、TD:0.12であった。
次いで、このポリイミドフィルムにプラズマ処理を施した。プラズマ処理は、希ガスを少なくとも20モル%含有する750Toorの雰囲気下で、表面が誘電体によって被覆され、かつ25℃に冷却された電極と、前記ポリイミドフィルムを支持する誘電体被覆電極との間に印加された高電圧によって、フィルムの表面を500w・min/mの処理強度で連続的に処理することにより行った。
次いで、400℃のトンネル型赤外線照射炉に連続的に送り込み、張力1.0kg/mで熱処理した後、炉外で巻取りながら室温まで冷却した。熱処理中のフィルム張力は送りローラと巻取ローラの回転速度差で調節し、熱処理時間は各ローラの相対回転速度で調節した。
このフィルムについて、接着性,熱収縮率の評価を行った結果を表1にまとめた。
<実施例2>
フィルム厚みを7.5μmにした以外は、実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを得た後、接着性,熱収縮率の評価を行った結果を表1にまとめた。
<実施例3>
テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分が約100モル%化学両論で、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル:60モル%、パラフェニレンジアミン:40モル%とした以外は、実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを得た後、接着性、熱収縮率の評価を行った結果を表1にまとめた。
<実施例4>
フィルム厚みを7.5μmにした以外は、実施例3と同様の方法でポリイミドフィルムを得た後、接着性,熱収縮率の評価を行った結果を表1にまとめた。
<比較例1>
400℃の加熱処理を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法で得たポリイミドフィルムについて、接着性,熱収縮率の評価を行った結果を表1にまとめた。
<比較例2>
プラズマ処理を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法で得たポリイミドフィルムについて、接着性,熱収縮率の評価を行った結果を表1にまとめた。
<比較例3>
400℃の加熱処理とプラズマ処理を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法で得たポリイミドフィルムについて、接着性,熱収縮率の評価を行った結果を表1にまとめた。
Figure 2007197697
本発明のポリイミドフィルムは、熱に対する寸法安定性が優れるばかりか、熱による収縮が小さく、しかも銅箔との接着性が従来よりも格段に向上したものであるため、これらの特性を活かして、電子部品などのフレキシブルプリント配線基板(FPC)に用いる基材であるTAB(Tape Automated Bonding)、COF(Chip On Flex)の基材絶縁フィルムとして、あるいは半導体装置における支持部材であるLOC用テープなどとして有用に利用することができる。

Claims (5)

  1. パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよびピロメリット酸二無水物から形成されたポリイミドフィルムに放電処理を施し、次いでこのフィルムの長さ方向の張力を一定に保ちながら加熱処理を施してなるポリイミドフィルムであって、接触角法に基づき測定した表面自由エネルギーが80mN/m以上であり、200℃1時間での加熱収縮率が0.10%以下であることを特徴とする低熱収縮・高接着性ポリイミドフィルム。
  2. 前記ポリイミドフィルムが、20〜40モル%のパラフェニレンジアミン、60〜80モル%の4,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよび100モル%のピロメリット酸二無水物から形成された共重合ポリイミドからなることを特徴とする請求項1記載の低熱収縮・高接着性ポリイミドフィルム。
  3. 前記ポリイミドフィルムの弾性率が3〜5GPa、50〜200℃での線膨張係数が5〜20ppm/℃、湿度膨張係数が30ppm/%RH以下、吸水率が3%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の低熱収縮・高接着性ポリイミドフィルム。
  4. 前記放電処理がプラズマ放電処理であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の低熱収縮・高接着性ポリイミドフィルム。
  5. 前記加熱処理が、フィルムの長さ方向の張力を1kg/m以上、10kg/m以下の範囲で一定に保ちながら行う処理であることを特徴とする請求項請求項1〜4のいずれか1項記載の低熱収縮・高接着性ポリイミドフィルム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012236889A (ja) * 2011-05-11 2012-12-06 Du Pont-Toray Co Ltd ポリイミドフィルムとその製造方法
JP2014139331A (ja) * 2014-05-07 2014-07-31 Du Pont-Toray Co Ltd ポリイミドフィルム

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