JP2007195740A - ローラポンプ - Google Patents

Abstract

【課題】弾性チューブの着脱時における操作を容易化し、且つ吐出流量を適切に制御できるローラポンプを提供する。
【解決手段】ローラポンプ１は、弾性チューブの配置を内周面において規制すると共にポンプブロックカバー５と２つのスライダリング６及び７を介して連結されるポンプスライド４、ポンプスライド４の開閉状態を操作するポンプブロックカバー５、第二スライダリンク７と接する略円弧形状の接面を有すると共に、一端部がポンプスライド４に支持ピンを用いて回転可能に連結され、他端部がポンプブロックカバー５に支持ピンを用いて回転可能に連結される第一スライダリンク６、基盤に形成されている固定部に支持ピン８を介して回転可能に連結されると共に、第一スライダリンク６に接する円弧形状の接面を有する第二スライダリンク７等を備える。
【選択図】図２

Description

本発明は、弾性チューブをローラ回転装置により押圧閉塞して血液、透析液、薬品等の液体の液送を行うローラポンプに関し、特に医療用に適したローラポンプに関する。

従来から、例えば腎機能不全の患者に対して、その患者の血液を浄化するために、持続緩徐式血液ろ過法（Continuous Hemofiltration：ＣＨＦ）や、持続緩徐式血液透析法（Continuous Hemodia：ＣＨＤ）や、持続的血液ろ過透析法（Continuous Hemodiafiltration：ＣＨＤＦ）等の持続的血液浄化法を用いた治療が行なわれている。

このような、血液浄化法や、血液の人工透析を行う透析装置においても、液体回路中にローラポンプを設置して弾性チューブ内の液体を液送するのが一般的である。

そして、このローラポンプとして、従来、ポンプハウジングをスライドかつ展開する機構により、チューブ脱着性能を向上する技術が記載されている（例えば、特許文献１参照）。この特許文献１に示すローラポンプでは、操作レバーを開位置と閉位置間で往復動させて、ステータを前後方向へ駆動し、胸部を案内孔に沿わせて移動させてチューブを着脱する構成となっている。
特開平６−１４２１９０号公報

しかしながら、上述した特許文献１に示されたローラポンプにおいては、チューブ脱着性は向上するものの、構成部品を増すことによりハウジングとローラの間隔精度を厳密に確保することが難しくなり、その結果、高精度の液体の吐出流量の制御ができなくなるという問題がある。

また、液体回路中に配置されるローラポンプに装着される弾性チューブの着脱時における手間をより簡易化することも望まれている。

本発明は、上記課題を解決するものであり、弾性チューブの着脱を容易化すると共に、弾性チューブの装着時に誤って弾性チューブが外れることを確実に防止したローラポンプを提供することを目的とする。また、弾性チューブの配置を規制するスライド部とローラとの間隔精度を確保して高精度の吐出流量の制御ができるローラポンプを提供することをも目的とする。

上記課題を解決するために、本発明に係るローラポンプは、弾性チューブを、基盤上に設けられたローラ回転装置のローラを用いて押圧閉塞して当該弾性チューブ内の液体を液送するローラポンプであって、前記弾性チューブの配置を規制し、前記ローラの方向へ移動可能なスライド部と、前記スライド部の前記弾性チューブを脱着する開状態又は前記弾性チューブが装着された閉状態を操作する操作部と、前記スライド部が前記閉状態の場合には、前記操作部を介さない前記スライド部材の前記開状態への移動を抑止する抑止部とを備えることを特徴とする。

この構成により、ハウジングであるスライド部とローラとの間隔精度を良好に保持することができ、その結果、高精度の液体の吐出流量の制御が可能となる。

また、本発明に係るローラポンプの前記抑止部は、略円弧形状の接面を有する前記第一リンク部材及び前記第二リンク部材から構成され、前記第一リンク部材は、一端部が前記スライド部に回転可能に連結され、他端部が前記第二リンク部材に回転可能に連結され、前記第二リンク部材は、一端部が前記第一リンク部材に回転可能に連結され、他端部が前記基盤に形成された固定部に回転可能に連結され、前記スライド部が前記開状態から前記閉状態になる場合に、前記第一リンク部材及び前記第二リンク部材の接点が前記第二リンク部材の死点を越えることを特徴とする。

この構成により、弾性チューブが装着された閉状態においては、第一リンク部材及び第二リンク部材が開状態から閉状態になる際に死点を越えるために自己拘束力が作用して、ローラポンプの使用中に弾性チューブが誤って外れることを防止できる。

本発明に係るローラポンプは、弾性チューブが摺接するスライド部が平行移動するために、弾性チューブをセッティングし易くする。また、弾性チューブの配置を規制するスライド部とローラの間隔精度を良好に保持することにより高精度の吐出流量の制御が実現できると共に、ローラポンプへの弾性チューブの装着中に誤って弾性チューブが外れることを確実に防止できる。

以下、本発明に係るローラポンプを図面を参照して説明する。

（実施の形態）
図１は、本実施の形態に係るローラポンプを用いる透析装置を示す斜視図である。

同図に示すように、透析装置は、血液の人工透析を行う装置であって、液体回路体１００と、液体回路に液体を流通させるための駆動手段を備える透析装置本体２００とを備え、液体移送のために、例えば後述の図４に示すローラポンプ４０を用いている。

図２は、本実施の形態に係るローラポンプ１の斜視図を示す。
尚、本実施の形態に係るローラポンプ１は、弾性チューブが摺接する壁面を有するポンプスライド４が平行移動するため、弾性チューブを着脱を容易化すると共に、弾性チューブの装着時には意図しないポンプスライド４の開状態への移動を抑止するスライダリング６及び７の構造を有することを特徴とする。

そして、図１に示すローラポンプ１は、モータ１１に接続され、このモータ１１による駆動力に基づいてローラ３と共に回転することにより弾性チューブ内の液体を送出するローラ回転装置であるローラヘッド２、このローラヘッド２に装着されポンプスライド４に沿って配置された弾性チューブを押圧して弾性チューブ内に充填される液体を送出する部材であるローラ３、弾性チューブの配置を内周面において規制すると共にポンプブロックカバー５と２つのスライダリング６及び７を介して連結されるポンプスライド４、ポンプスライド４の開閉状態を操作するポンプブロックカバー５、第二スライダリンク７と接する略円弧形状の接面を有すると共に、一端部がポンプスライド４に支持ピンを用いて回転可能に連結され、他端部がポンプブロックカバー５に支持ピンを用いて回転可能に連結される第一スライダリンク６、基盤に形成されている固定部に支持ピン８を介して回転可能に連結されると共に、第一スライダリンク６に接する円弧形状の接面を有する第二スライダリンク７、弾性チューブが把持されるチューブガイド１３を備えローラポンプ１の基盤上に一体的に設けられるポンプブロックベース９、ローラポンプを構成する基盤１０、ローラヘッド２に接続されローラヘッド２を回転駆動する駆動部であるモータ１１、弾性チューブの装着時においてポンプブロックカバー５と接続することによりポンプブロックカバー５を固定するカバーロック１２、及び弾性チューブを基盤上の所定位置において把持するチューブガイド１３を備えている。

本実施の形態においては、ポンプスライド４がローラヘッド２の外形状に沿った円弧形状を有している。そして、このポンプスライド４が第一スライダリンク６及び第二スライダリンク７を介してポンプブロックカバー５に連結しているために、ポンプブロックカバー５を開閉操作することでポンプスライド４が平行移動する。このため、作業者はポンプブロックカバー５を開閉する操作で弾性チューブの脱着を行うことが可能となる。

また、弾性チューブはポンプスライド４の内側壁とローラ３との間に装着され、ローラヘッド２が回転駆動することにより一定の圧力でローラ３により弾性的に押圧され、弾性チューブ内の液体を圧送するものである。

尚、図１においてローラヘッド２に一体に設けられているローラ３は１２０度間隔で３個有しているものについて図示したが、１８０度間隔で２個有するものや９０度間隔で４個有するもの等、種々の形態とすることができる。

また、図１に図示していないが、ポンプブロックカバー５がポンプスライド４の少なくとも一部が弾性チューブに当接する閉状態におけるローラヘッド２とポンプスライド４の間隔を調整するシャフト部を設けることも可能である。この構成により、シャフトの位置を調整して、それぞれ径の異なる種々の弾性チューブに本発明に係るローラポンプを適用できる。さらに、ポンプスライド４の位置、又は移動方向への長さを弾性チューブの径の種類に応じて変更することも考え得る。尚、本発明に係るローラポンプ１のポンプスライド４は独立部材であり、弾性チューブの太さに応じて前後方向に調整可能に基盤１０とバネ部材で接続されている。

そして、図２に示すように、ポンプスライド４の弾性チューブの当接面の角度は約１２０度となっている。２ローラの場合には、チューブを押圧できないローラの空転領域が生じるため、通常、ローラの当接面のなす角度は１８０度となるが、本願のようなポンプスライド４の移動によって、チューブを脱着するタイプのものは、チューブと当接するスライド４の端部と、チューブとのクリアランスが小さくなるため、当接面の角度を１８０度とするのは、困難である。但し、逆に当接角度を小さくすると、ローラの数を増やして、ローラの空転を防止する必要がある。以上のような理由のため、上記チューブとスライド壁面のとの当接角度（δ）は、１００〜１６０度であるのが好ましい。それに対応して、ローラの数も３つ以上で且つ等間隔（角度）で設置されているのが望ましい。

図３は、図２に示すローラポンプ１のポンプブロックカバー５の全開状態及び全閉状態での上面図及び側面図を示す。

図３（ａ）に示す全開状態は、ローラポンプ１に弾性チューブを着脱する状態であり、作業者はポンプブロックカバー５を開閉する簡単な操作で弾性チューブの着脱を行える。

図３（ｂ）に示す全閉状態は、ローラポンプ１に弾性チューブが装着された状態であり、本発明においては、第一スライダリンク６と第二スライダリンク７とが係止することにより、ポンプスライド４が勝手に後方へ移動することを抑止する自己抑止力が働くため、ローラポンプの使用中に弾性チューブを脱着させるためのポンプブロックカバー５が誤って開き、弾性チューブが外れることを確実に防止することが可能となる。

尚、本図においてポンプブロックカバー５とポンプブロックベース９のなす角度は、例えば図３（ａ）に示す全開状態においては７０度であり、第一スライダリング６及び第二スライダリング７のなす角度は、例えば９０度である。また、図３（ｂ）に示す全閉状態での第一スライダリング６及び第二スライダリング７のなす角度は、例えば０度を超えて、−１度から−３０度の範囲であって、より好ましくは−５度から−２０度の範囲となる。

図４は、上述した図２に示すローラポンプ１とは異なる形態のポンプブロックカバー４１を有するローラポンプ４０の全開状態及び全閉状態での上面図及び側面図を示す。

本図に示すローラポンプ４０は、図２に示すポンプブロックカバー５より小さなポンプブロックカバー４１を備える。

そして、図４（ａ）に示す全開状態は、ローラポンプ４０に弾性チューブを着脱する状態であり、作業者はポンプブロックカバー４１を開閉する簡単な操作で弾性チューブの着脱を行える。

図４（ｂ）に示す全閉状態は、ローラポンプ４０に弾性チューブが装着された状態であり、本発明においては、第一スライダリンク４３と第二スライダリンク４２とが係止することにより、ポンプスライド４４が勝手に後方へ移動することを抑止する自己抑止力が働くため、ローラポンプの使用中に弾性チューブを脱着させるためのポンプブロックカバー４１が誤って開き、弾性チューブが外れることを確実に防止することが可能となる。尚、全閉状態において第一スライダリンク４３及び第二スライダリンク４２のなす角度は、例えば０度を超えて、−１度から−３０度の範囲であって、より好ましくは−５度から−２０度の範囲となる。

図５は、図４（ｂ）に示すローラポンプ４０のスライダリンク４２及び４３部分の拡大側面図を示す。

本図に示すように、ポンプスライド４４には、第一スライダリンク４３及び第二スライダリンク４２の下方への移動を抑止するための移動抑止部４４ａが形成されている。

また、第一スライダリンク４３には、移動抑止部４４ａに対応する位置に、下方への移動を抑止するための移動抑止部４３ａが形成されている。

そして、第一スライダリンク４３及び第二スライダリンク４２が開状態から閉状態になる際に、反対方向からの押力がかかった場合においても第一スライダリンク４３及び第二スライダリンク４２が形成する角度が死点を越える場合においては、移動抑止部４４ａ及び移動抑止部４３ａが互いに接触して第一スライダリンク４３と第二スライダリンク４２とが係止することにより、ポンプスライド４４が勝手に後方へ移動することを抑止する自己抑止力が働く。このため、ローラポンプの使用中に弾性チューブを脱着させるためのポンプブロックカバー４１が誤って開き、弾性チューブが外れることを確実に防止することが可能となる。従って、閉状態中においては、ポンプブロックカバー４１を操作することなしにポンプスライド４４が後方へ移動することを確実に防止できる。

また、ローラポンプ４０の基盤４５の端部には、第二スライダリンク４２の一端が支持ピンを用いて回転可能に連結される固定部４５ａが形成され、この固定部４５ａが閉状態において第二スライダリンク４２の後方への移動を規制する。

以上の図５に示す構成により、ローラポンプ４０への弾性チューブの装着中において、ポンプスライド４４の後方への移動を抑止して、誤って弾性チューブが外れることを確実に防止できる。

以上の説明のように、本実施の形態に係るローラポンプ１は、ポンプスライド４がポンプブロックカバー５の操作に応じて平行移動するために、弾性チューブの着脱操作を容易化できる。

また、ポンプブロックカバー５が閉状態の場合には、ポンプスライド４の後方への移動が抑止されるため、意図しないポンプスライド４の後方への移動を防止して、弾性チューブの装着中に誤って弾性チューブが外れることを確実に防止すると共に、ポンプスライド４の内周面とローラ３との間の間隔精度を適切に保つことができる。そして、その結果、弾性チューブからの液体の吐出流量を高精度に保ち、本発明のローラポンプ１を用いる透析装置等においてより安定した液送を行うことができる。

尚、本発明に係るローラポンプは上述した実施の形態に限定されることなく、本発明の範囲内において種々の設計変更をなしえることは言うまでもない。

本発明に係るローラポンプは、医療の分野において血液、透析液等の液体を弾性チューブを用いて循環又は供給する装置におけるローラポンプとして用いることができ、例えば、人工透析装置等の液体移送を行うローラポンプとして用いることができる。

実施の形態に係るローラポンプを用いる透析装置を示す斜視図 実施の形態に係るローラポンプの斜視図 図２に示すローラポンプのポンプブロックカバーの全開状態及び全閉状態での上面図及び側面図 図２に示すローラポンプとは異なる形態のポンプブロックカバーを有するローラポンプの全開状態及び全閉状態での上面図及び側面図 図４（ｂ）に示すローラポンプのスライダリンク部分の拡大側面図

符号の説明

１，４０ ローラポンプ
２ ローラヘッド
３ ローラ
４，４４ ポンプスライド
５，４１ ポンプブロックカバー
６，４３ 第一スライダリンク
７，４２ 第二スライダリンク
８ 支持ピン
９ ポンプブロックベース
１０，４５ 基盤
１１ モータ
１２ カバーロック
１３ チューブガイド
４３ａ，４４ａ 移動抑止部
４５ａ 固定部
１００ 液体回路体
２００ 透析装置本体

Claims (8)

1. 弾性チューブを、基盤上に設けられたローラ回転装置のローラを用いて押圧閉塞して当該弾性チューブ内の液体を液送するローラポンプであって、
   前記弾性チューブの配置を規制し、前記ローラの方向へ移動可能なスライド部と、
   前記スライド部の前記弾性チューブを脱着する開状態又は前記弾性チューブが装着された閉状態を操作する操作部と、
   前記スライド部が前記閉状態の場合には、前記操作部を介さない前記スライド部材の前記開状態への移動を抑止する抑止部とを備える
   ことを特徴とするローラポンプ。
2. 前記抑止部は、略円弧形状の接面を有する前記第一リンク部材及び前記第二リンク部材から構成され、
   前記第一リンク部材は、一端部が前記スライド部に回転可能に連結され、他端部が前記第二リンク部材に回転可能に連結され、前記第二リンク部材は、一端部が前記第一リンク部材に回転可能に連結され、他端部が前記基盤に形成された固定部に回転可能に連結され、
   前記スライド部が前記開状態から前記閉状態になる場合に、前記第一リンク部材及び前記第二リンク部材の接点が前記第二リンク部材の死点を越える
   ことを特徴とする請求項１記載のローラポンプ。
3. 前記操作部による操作は、前記第一リンク部材及び前記第二リンク部材の回転運動を誘導する
   ことを特徴とする請求項２記載のローラポンプ。
4. 前記操作部が、前記第一リンク部材と前記第二リンク部材との連結部位を回転させ、且つ変位させることで前記スライド部を前記閉状態から前記開状態に移行させる
   ことを特徴とする請求項２記載のローラポンプ。
5. 前記スライド部は、前記操作部の操作に伴い平行移動する
   ことを特徴とする請求項１記載のローラポンプ。
6. 前記ローラ回転装置は、前記ローラを所定角度で少なくとも３つ以上備える
   ことを特徴とする請求項１記載のローラポンプ。
7. 前記ローラポンプは、さらに、
   前記閉状態における前記スライド部の内周面と前記ローラとの間隔を変更する間隔変更手段を備えている
   ことを特徴とする請求項１記載のローラポンプ。
8. 前記請求項１から７の何れか１項に記載のローラポンプを備えることを特徴とする血液透析装置。

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