[0015] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示したものである。このリソグラフィ装置は、放射ビームB(例えばUV放射またはDUV放射)を調整するように構成されたイルミネータILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第一位置決め装置PMに接続された支持構造体(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第二位置決め装置PWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つまたは複数のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSと、パターニングデバイスをその場で洗浄するように配置構成された洗浄ユニットCUとを含む。
[0016] イルミネータILは、放射の誘導、成形、または制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等のタイプの光学コンポーネント、またはその任意の組合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
[0017] 支持構造体MTは、パターニングデバイスを支持、つまりその重量を支えている。これは、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。この支持構造体MTは、パターニングデバイスを保持するために、機械的、真空、静電気等のクランプ技術を使用することができる。支持構造体MTは、例えばフレームまたはテーブルでよく、必要に応じて固定式または可動式でよい。支持構造体MTは、パターニングデバイスが例えば投影システムPSなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」または「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
[0018] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフト特徴(feature)またはいわゆるアシスト特徴を含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特別な機能層に相当する。
[0019] パターニングデバイスMAは透過性または反射性でよい。パターニングデバイスMAの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、Alternating位相シフト、減衰型位相シフトのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
[0020] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、または液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システムおよび静電気光学システム、またはその任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なされる。
[0021] ここで示した装置は反射タイプである(例えば反射マスクを使用する)。あるいは、装置は透過タイプでもよい(例えば透過マスクを使用する)。
[0022] リソグラフィ装置は2つ(デュアルステージ)またはそれ以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つまたは複数の他のテーブルを露光に使用している間に1つまたは複数のテーブルで予備工程を実行することができる。
[0023] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆うことのできるタイプでもよい。浸液は、例えばマスクと投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に使用してもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で周知である。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造体を液体中に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板の間に液体が存在するというほどの意味である。
[0024] 本明細書において使用する「その場で」(in-situ)という用語は、例えばリソグラフィ装置の汚染の低減に使用される真空がパターニングデバイスを洗浄する(またはその汚染を検出する)ために破壊される必要がないように、実質的にリソグラフィ装置内で、またはリソグラフィ装置で囲まれている、またはリソグラフィ装置と連通しているという意味と解釈されたい。
[0025] 図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源SOとリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、それぞれ別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラーおよび/またはビームエクスパンダなどを含むビームデリバリシステムの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体的な部分であってもよい。放射源SOおよびイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムとともに放射システムと呼ぶことができる。
[0026] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調節するアジャスタを含んでいてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の外側および/または内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ−outerおよびσ−innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータおよびコンデンサなどの他の種々の構成部品を含んでいてもよい。また、イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
[0027] 放射ビームBは、支持構造体(例えばマスクテーブルMT)上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスクMA)に入射し、パターニングデバイスによってパターン化される。放射ビームBはマスクMAを通り抜けて、基板Wのターゲット部分C上にビームを集束する投影システムPSを通過する。第二位置決め装置PWおよび位置センサIF2(例えば干渉計デバイス、リニアエンコーダまたは容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTを、例えば放射ビームBの経路において様々なターゲット部分Cに位置決めするように正確に移動できる。同様に、第一位置決め装置PMおよび別の位置センサIF1を使用して、例えばマスクライブラリから機械的に検索した後に、またはスキャン中に、放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めすることができる。一般的に、マスクテーブルMTの移動は、第一位置決め装置PMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現できる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第二位置決め装置PWの部分を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使用して実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、固定してもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスクアラインメントマークM1、M2および基板アラインメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アラインメントマークは、専用のターゲット位置を占有するが、ターゲット部分の間の空間に配置してもよい(けがき線アラインメントマークと呼ばれる)。同様に、マスクMA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアラインメントマークをダイ間に配置してもよい。
[0028] 図示のリソグラフィ装置は以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
[0029] 1.ステップモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTは基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち1回の静止露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向および/またはY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、1回の静止露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
[0030] 2.スキャンモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する(つまり1回の動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの拡大(縮小)および像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、1回の動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
[0031] 3.別のモードでは、マスクテーブルMTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動またはスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、またはスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、上記したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクなしリソグラフィに容易に利用できる。
[0032] 上述した使用モードの組合せおよび/または変形、または全く異なる使用モードも利用できる。
[0033] 現在のところ、パターニングデバイスMAの粒子汚染が、基板Wに適用されるパターンの影響を制限している。基板Wにパターンを形成するために使用する放射の波長のせいで、パターニングデバイスMAの小さい粒子汚染は、放射ビームBの伝播およびパターン形成にほとんど影響を及ぼさない。現在のパターニングデバイス(例えばレチクル)は典型的にパターニングデバイスMAから離間された保護薄膜を使用している。何らかの汚染物が保護薄膜に付着するかもしれないが、それは投影システムPSによって基板W上に結像されるパターンの一部とはならない。しかし、リソグラフィ装置の発達に伴い、基板Wのパターン形成に使用する波長が低下している。提案されるリソグラフィ装置はEUV放射(例えば5nmから20nmの範囲の波長を有する)を使用する。保護薄膜は、EUV放射を吸収するので、もはや使用することができない。パターニングデバイスMAが汚染すると、基板Wに適用されるパターンの欠陥につながり、したがって許容可能な程度にパターン形成された基板Wの歩留まりの低下につながることが認識される。
[0034] パターニングデバイスの寿命中に、粒子汚染が発生し得る多くの機会がある。例えば、パターニングデバイスMAの洗浄をリソグラフィ装置から独立した別個の設備で実行すると、パターニングデバイスは、洗浄後にリソグラフィ装置へと移動され、そしてリソグラフィ装置内の支持構造体MTに装填される間に汚染されることがある。現在のところ、パターニングデバイスMAをリソグラフィ装置内に装填する直前、または装置自体の中で、パターニングデバイスMAは検査も洗浄もされていない。基板Wに適用されたパターンに、粒子汚染による欠陥が検出されるのは、基板Wを露光した後だけである。この時までに、基板Wは既に露光され、欠陥があるパターンを含んでいる。多くの状況で、現在では基板Wの一部が無用になる(または再使用可能にするために長々とした修理プロセスが必要なことがある)。これは費用がかかり、歩留まりを低下させる。
[0035] パターニングデバイスMAをその場で洗浄するように配置された洗浄ユニットCUを提供することにより、別個の設備で最初に洗浄してから、それを支持構造体MTに装填するまでの間のパターニングデバイスの汚染問題が軽減かつ/または回避される。
[0036] 洗浄ユニットCUは、図2にさらに詳細に、使用状態で図示されている。洗浄ユニットCUはフィードチューブ1、およびフィードチューブ1と流体連通するノズル2を有する。ノズル2は、洗浄すべきパターニングデバイスMAの表面へと誘導される。(例えばパターニングデバイスMAを支持構造体MTに装填する前に)ノズル2がパターニングデバイスMAに対して所望の位置へと移動するか、パターニングデバイスMAがノズル2に対して所望の位置へと移動することができる。使用時には、二酸化炭素3(または任意の適切な洗浄流体、特に任意の適切な洗浄ガス)をノズル2の端部から放出し、パターニングデバイスMAの表面へと誘導する。二酸化炭素3がパターニングデバイスMAの表面に接触し、粒子汚染物(図示せず)を取り除く。次に、二酸化炭素3および粒子汚染物が、例えば排気装置4および排気パイプ5などの抽出装置によってまとめて除去される。排気装置4によって除去される二酸化炭素3および粒子汚染物は、リザーバに送ることができ、ここで粒子汚染物は、二酸化炭素3を再使用できるように二酸化炭素3から濾過して除去される。あるいは、二酸化炭素3および粒子汚染物を単純に廃棄してよい。排気装置4および排気パイプ5を例えば省略し、二酸化炭素3(または任意の他の適切な洗浄ガス)と粒子汚染物を、抽出装置として機能するポンプによってまとめて除去してもよい。同じポンプを、リソグラフィ装置の真空チャンバ内に真空を生成する通常の使用法でも使用することができる。
[0037] パターニングデバイスをその場で(つまりリソグラフィ装置内で、またはリソグラフィ装置と連通した状態で)洗浄することにより、放射に露光した場合のパターニングデバイスMAの汚染レベルが、従来の洗浄装置および洗浄方法に対して低下する。基板Wにパターンを形成するために使用する場合に、パターニングデバイスMAがさらにクリーンになっているので、その結果のパターンは、欠陥が少なくなるはずであり、歩留まりが改善される。さらに、極端紫外線リソグラフィ装置では、装置に、ポンプで排気する真空チャンバを設ける。パターニングデバイスMAをその場で洗浄することにより、パターニングデバイスMAを洗浄するために真空を破壊する必要がないか、パターニングデバイスMAを真空チャンバから出す必要がない。これは、貴重な作業(露光)時間を節約し、パターニングデバイスMAが汚染される可能性を低下させる。
[0038] 以上の実施形態は例示により説明したものであり、様々に変更してよいことが認識される。例えば、以上で説明した実施形態は、パターニングデバイスMAの洗浄に二酸化炭素を使用するが、他の適切な流体、例えば任意の適切な不活性ガスまたは複数のガスの組合せを使用することができる。以上の実施形態は、ノズルおよび排気装置の使用に関して説明してきたが、他の流体送出および抽出装置を使用してよい。これらは、本発明を実現する方法、つまりパターニングデバイスMAをその場で洗浄する方法の単なる例である。任意の適切な洗浄ユニット(つまりパターニングデバイスを洗浄する装置)を使用してよい。例えば、不活性ガスの代わりに原子状水素(例えば気体形態の原子状水素)を使用してよい。これは、例えば除去すべき汚染物が、パターニングデバイスMA上に成長した炭素を含む場合に有用である。原子状水素は、露光中でも支持構造体MT上にある間にパターニングデバイスを洗浄できるように、ノズルを支持構造体MTに誘導した状態で、パターニングデバイスMAに提供し、貴重な露光時間をさらに節約することができる。
[0039] 洗浄ユニットCUは、リソグラフィ装置内にある間にパターニングデバイスMAに付着した汚染物をパターニングデバイスMAから除去するためにも使用することができる。洗浄ユニットCUは、パターニングデバイスMAのパターン形成した表面の洗浄を可能にし、パターニングデバイスMAを支持構造体MTにクランプするために使用されるパターニングデバイスMAのクランプ表面の洗浄も可能にすることができる。このために、洗浄ユニットCUには、第一にパターン形成表面を洗浄し、第二にパターニングデバイスMAのクランプ表面を洗浄する、または逆に実行することができるように、パターニングデバイスMAを回転させる回転ユニットを設けることができる。洗浄ユニットは、パターニングデバイスMAを回転させずに、パターン形成した表面とクランプ表面の両方を洗浄できるように構築し、配置構成することもできる。
[0040] 上述した実施形態は、パターニングデバイスMAをその場で洗浄することに関する。本発明の別の態様によれば、パターニングデバイスMAの粒子汚染物をその場で検出するように配置構成された検出ユニットが提供される。粒子汚染物の検出は、パターニングデバイスMAを洗浄する前に、パターニングデバイスMAの洗浄と組み合わせて、パターニングデバイスMAを洗浄した後に、またはパターニングデバイスMAを洗浄する代わりに実行してよい。検出ユニットを提供した状態で、基板にパターンを適用する前にパターニングデバイスMAの汚染物を検出することができる。したがって、このような検出は、自身に適用される不良パターンの数を減少させることにより、許容可能なパターン形成済み基板Wの歩留まりを改善する。
[0041] 図3は、洗浄ユニットCU(図1に図示)が検出ユニットDUで置換されている点を除くと、図1に関して図示し、説明したものと同一の形態のリソグラフィ装置を示す。図1の洗浄ユニットCUと同様に、図3の検出ユニットDUは、パターニングデバイスMAの汚染物をその場で(つまりリソグラフィ装置内で、またはリソグラフィ装置と連通して)検出するように配置構成される。
[0042] 検出ユニットDUの一実施形態が図4に詳細に図示され、これはパターニングデバイスMAの楕円偏光法分析を実行する装置(楕円偏光法装置)を示す。装置は放射源10を含み、これは真空チャンバの外側に配置してよく、放射の検出ビーム11を、粒子汚染物の検出を必要とするパターニングデバイスMAの表面の部分へと誘導させるよう配置構成される。放射の検出ビーム11は、ビーム11がパターニングデバイスMAに入射する前に偏光子12によって偏光される。方向が分かっている直線偏光が表面から斜め入射で反射すると、反射した光は楕円偏光になる。反射し、この時点で楕円偏光しているビーム11は1/4波長板13および検光子14を通過してから、検出器15によって検出される。反射光11の偏光は、どの光も検光子14を通過しなくなるまで(つまり光が検出器で検出されなくなるまで)個々の方向を変化させることにより、1/4波長板および検光子14を使用して測定することができる。光が検出されなくなった時の1/4波長板13および検光子14の方向から、パターニングデバイスMAの表面からの反射によって導入された相対的相変化を計算することができる。この相変化から、既知の方法でパターニングデバイスMAの汚染物のサイズ(または厚さ)を計算することができる。
[0043] パターニングデバイスMAの汚染物を検出するために、他の検出装置および方法を使用してよいことが認識される。例えば、検出ユニットDUの別の実施形態が図5に図示され、これは暗視野画像化装置を示す。この実施形態では、検出ユニットDUは高度に発散性の光源(「点光源」)20を含む。光源20から放射された光21の一部は、光源20に隣接して配置された集光レンズ22に入射する。集光レンズ22と光源20の間には掩蔽ディスク23が配置される。掩蔽ディスク23は、高度に発散性の光のみが集光レンズ22へと通過できることを保証する。集光レンズ22は、高度に発散性の光(放射の検出ビーム)をパターニングデバイスMA上に集束する。光21はパターニングデバイスMAで反射する。検出器24(例えばCCD検出器)が、パターニングデバイスMAに面するが、パターニングデバイスMAに集束する光を妨害しないように、パターニングデバイスMAと集光レンズ22の間に位置決めされる。高度に発散性の光21がパターニングデバイスMAに入射すると、これは散乱しない限り、検出器24のいずれかの側で反射し、検出されない。しかし、高度の発散性の光21がパターニングデバイスMA上の汚染物(例えば粒子汚染物)によって散乱すると、光の一部21aが検出器24に向かって散乱する。したがって、検出器24によって検出される明るいスポットは、実際にはパターニングデバイスMA上の粒子汚染物から散乱した光によって引き起こされる。したがって、比較的単純な光学装置を使用して、パターニングデバイスMA上の(非常に小さい)粒子を検出することができる。
[0044] 以上の実施形態は例示によってのみ説明したものであり、様々な変更が可能であることが認識される。例えば、以上の実施形態は、楕円偏光および暗視野結像に関して説明されている。しかし、他の適切な検出方法および装置を使用してよい。検出ユニットDUは、パターニングデバイスMAの汚染物を検出できればよい。洗浄ユニットCUと同様に、検出ユニットDU(またはその装置)は、パターニングデバイスMAの特定部分の汚染物を検出するように動作できることが認識される。逆に、パターニングデバイスMAを検出ユニットDUに向かって、およびそれに対して動作させてもよい。パターニングデバイスMAの1つまたは複数の表面上の粒子汚染物を検出するために、それをスキャンする必要があることがある。その場合は、パターニングデバイスMAに対して検出ユニットDUをスキャンする、またはその逆に検出ユニットDUに対してパターニングデバイスMAをスキャンすることが適切なことがある。検出ユニットは、150nmと800nmの間の波長の光をパターニングデバイスに誘導する光学系を含んでよい。
[0045] 場合によっては、パターニングデバイスMAの1つの表面が汚染されているか判断するだけでよいことがあるが、パターニングデバイスのいずれかの表面が汚染されているか判断する必要がある場合が多い。そのために、検出ユニットDUには、最初にパターン形成された表面を検出でき、第二にパターニングデバイスMAの締め付け表面を検出できる、またはその逆であるように、パターニングデバイスMAを回転する回転ユニットを設けてよい。検出ユニットは、パターニングデバイスMAを回転せずに、パターン形成された表面と締め付け表面との両方を検出できるように構築し、配置構成してもよい。
[0046] 検出ユニットDUは、任意の適切な構成および/または方向でよい。フィールド画像化装置はパターニングデバイスMAに対して上、その下、またはそれに対してある角度で配置されることができる。パターニングデバイスMAの表面(または複数の表面)上の粒子汚染物を検出する場合は、検出の実行時に放射ビームBの断面にパターンを与える表面が下向きになるように、パターニングデバイスMAを回転することができる。パターニングデバイスMAは、パターニングデバイスMAのパターン形成側に追加の粒子汚染物が落下する可能性を低下させるために、回転して下向きにする。しかし、例えば空間または時間を節約する(またはパターニングデバイスMAの動作を制御するために使用する機器を単純化するためにも)、可能な場合はパターニングデバイスの回転を回避することが好ましいことがある。第一表面の特性を反対側の第二表面の(例えば光学的)特性から導出することができる様々な技術を使用することができる。例えば、上述した暗視野画像化技術は、(パターニングデバイスが透過性の場合に)パターニングデバイスのいずれかの表面上で粒子汚染物を検出することができる。この場合、パターニングデバイスは回転する必要がないことがある。あるいは、パターニングデバイスMAを回転する必要なく、その2つの表面を同時にスキャンして汚染物を探すことができるように、データフィールド画像化装置をパターニングデバイスMAの上および下に位置決めすることができる。
[0047] 上述した洗浄ユニットCUおよび検出ユニットDUは、その場でパターニングデバイスMAを洗浄し、その上の粒子汚染物を検出するものとして説明されている。その場とは、(例えば)パターニングデバイスの洗浄またはその上の粒子汚染物の検出を、リソグラフィ装置内に存在する真空を破壊せずに実行できるように、ほぼリソグラフィ装置内の位置、またはそれと連通する位置として説明されている。これは、EUVリソグラフィにとって有用である。というのは、EUVリソグラフィ装置では非常に高い真空が必要だからである。他の波長を使用するリソグラフィ装置にも有用なことがある。パターニングデバイスの洗浄またはその粒子汚染物の検出を、リソグラフィ装置から離れた別個の洗浄/検出設備へとパターニングデバイスを移送せずに実行することができ、移送中にパターニングデバイスが汚染される可能性が低下する。
[0048] 図6Aは、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置の略図を示す。リソグラフィ装置は、本明細書で使用する「その場で」という用語の説明を補助するために、極めて単純化した形式で図示されている。リソグラフィ装置は、基板Wの露光が実行される第一室30(例えば排気されたまたは真空チャンバ30)と、排気されたまたは真空チャンバ30と連通する第二または移送チャンバ31を含む。第二室31は、真空チャンバ30にオブジェクトを導入し、真空チャンバ30からオブジェクトを除去するために使用される。例えば、真空チャンバ30内に導入するために、異なる、または交換用パターニングデバイスMAを第二室31内に配置することができる。ロボット室(図示せず)が、例えば第一室30の部分を形成し、第二室31から受け取ったオブジェクトを取り扱うように配置構成することができる。ロボット室には、オブジェクトを把持し、取り扱う把持デバイスを設けてよい。
[0049] 図6Bは、第二室31(例えばパターニングデバイスMA保存室31)内に配置された洗浄ユニットCUおよび/または検出ユニットDUを示す。洗浄ユニットCUおよび/または検出ユニットDUをパターニングデバイスMA保存室31内に配置することにより、基板Wの汚染物をその場で洗浄および/またはスキャンすることができる。リソグラフィ装置は自立型であり、したがってパターニングデバイスMA保存室31内で検出または洗浄が実行されると、パターニングデバイスMA保存室31から真空チャンバ30内に導入する場合に、パターニングデバイスMAの表面にさらなる汚染物を追加することができない(またはそれが少なくとも非常に少ない)。実際、パターニングデバイスMA保存室31は汚染物を減少させるために排気されることが多く、時には真空チャンバ30と同じ程度まで排気される。ある実施形態では、パターニングデバイスMA保存室31と真空チャンバの間にドアを設けてよい。ドアを閉じ、その後にパターニングデバイスMAの洗浄を実行することができる。パターニングデバイスMA保存室31内に進むガスがあれば、ドアを開く前にそれを全てポンプで汲み出し、真空を回復することができる。したがって、パターニングデバイスMAは、真空チャンバ内の真空を破壊せずに洗浄することができる。パターニングデバイス保存室31はリソグラフィ装置の部分を形成するので、パターニングデバイスMAの洗浄は、リソグラフィ装置内でその場で実行される。
[0050] 図6Cは、図6Bのリソグラフィ装置の変形を示す。特に、洗浄ユニットCUはここではパターニングデバイスMA保存室31内に配置され、検出ユニットDUが真空チャンバ30内に配置される。洗浄ユニットCUおよび検出ユニットDUは、リソグラフィ装置内の任意の適切な位置に配置してよいことが認識される。しかし、状況によっては、例えば高圧の二酸化炭素に曝露することなどによってパターニングデバイスMAの表面から除去した粒子汚染物が、真空チャンバ30内でリソグラフィ装置の他の敏感な表面に付着しないように、洗浄ユニットを真空チャンバ30から離して配置することが望ましいことがある。
[0051] 洗浄ユニットおよび検出ユニットは、排気した真空チャンバ30またはそれと連通する第二真空チャンバ31内に配置されているものとして説明されているが、洗浄ユニットCUおよび検出ユニットDUは任意の適切な位置に配置してよい。洗浄ユニットおよび検出ユニットが真空チャンバ内にあることの利点は、パターニングデバイスMAのみを汚染保護箱内の真空の外に搬送できることである。パターニングデバイスMAがその箱の中にある場合は、汚染物の洗浄および検出が可能でないことがある。したがって、真空システム外の洗浄ユニットCUおよび/または検出ユニットDUは、箱を開き、汚染の危険を生じるパターニングデバイスMAを取り出すシステムが必要なことがある。洗浄ユニットCUおよび/または検出ユニットDUは、洗浄および検出をその場で(つまりリソグラフィ装置内で、またはそれと連通して)実行できる任意の場所に配置することができ、したがって例えば真空を洗浄および/または検出の実行のために破壊する必要がない。例えば、洗浄ユニットCUおよび/または検出ユニットDUは、パターニングデバイスMAの幾つかの取り扱いまたは保存ステージの1つに(例えば取り扱いまたは保存ステージの隣(またはその中またはその上)に)配置することができる。
[0052] リソグラフィ装置は検出ユニットDUおよび/または洗浄ユニットCUを含んでよいことが認識される。検出ユニットDUおよび洗浄ユニットCUは、相互の近傍に、またはリソグラフィ装置の異なる部分に、相互から離して配置することができる。検出ユニットDUおよび洗浄ユニットCUは、洗浄ユニットCUで(必要に応じて)洗浄する前に、検出ユニットDUで表面の汚染物をスキャンするように協働することができる。このプロセスを、基板のパターン形成に使用するほどパターニングデバイスMAが十分清浄であるとされるまで繰り返すことができる。
[0053] 本発明はあらゆるタイプのリソグラフィ装置に適用可能であるが、特に基板Wにパターンを適用するためにEUV放射を使用するリソグラフィ装置に関係がある。これは、粒子汚染物が、上述したように基板にパターンを形成するためにこのような放射を使用するリソグラフィ装置にとって、特に問題になることによる。
[0054] 図2、図4および図5に関して上述した特定の検出ユニットおよび洗浄ユニットは、リソグラフィ装置内でその場にあるものと言及されているが、これは他の何らかの位置に設けてよいことが認識される。
[0055] 概して上述した実施形態では、パターニングデバイスMAを、使用中のパターニングデバイスの通常の位置から離れて配置された洗浄ユニットまたは検出ユニットへと移動することが認識される。これは、例えばパターニングデバイスを洗浄位置または検出位置へと移動すると表すことができる。洗浄位置または検出位置はパターニングデバイス保存室31を含むか、リソグラフィ装置内の他の特定の位置を含んでよい。パターニングデバイスMAは、パターニングデバイス取り扱い装置を使用して移動可能にすることができ、その例は当技術分野でよく知られている。場合によっては、洗浄ユニットまたは検出ユニットを移動可能にしてよい。
[0056] 洗浄および検出ユニットは、支持構造体MTのクランプ表面または基板テーブルWTのクランプ表面の汚染物を洗浄または検出するように構築し、配置構成することもできる。支持構造体または基板テーブルのクランプ表面上の汚染物も、マスクから基板への露光劣化につながることがある。
[0057] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学装置、磁気ドメインメモリ用誘導および検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどである。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」または「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」または「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前または露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、計測ツールおよび/または検査ツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上およびその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに、基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
[0058] 以上では光学リソグラフィとの関連で本発明の実施形態の使用に特に言及しているが、本発明は、インプリントリソグラフィなどの他の用途においても使用可能であり、状況が許せば、光学リソグラフィに限定されないことが認識される。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスの微細構成によって、基板上に生成されるパターンが画定される。パターニングデバイスの微細構成を基板に供給されたレジストの層に押しつけ、その後に電磁放射、熱、圧力またはその組合せを適用することにより、レジストを硬化する。パターニングデバイスをレジストから離し、レジストを硬化した後にパターンを残す。
[0059] 以上の説明で二酸化炭素の使用について言及してきたが、これは例示にすぎず、他の適切なガスを使用してよいことが理解される。例えば、不活性ガスまたは複数の不活性ガスの組合せを使用してよい。
[0060] 本明細書で使用する「放射」および「ビーム」という用語は、イオンビームあるいは電子ビームといったような粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nmまたは126nmの波長を有する)および極端紫外線(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
[0061] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気および静電気光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか、またはその組合せを指す。
[0062] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが認識される。例えば、本発明は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つまたは複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、またはその内部に記憶されたこのようなコンピュータプログラムを有するデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気または光ディスク)の形態をとることができる。
[0063] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。